JP6302666B2 - ラミネート用接着剤 - Google Patents
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Description
特許文献1〜3は、ウレタン接着剤で複合フィルムを作製し、食品包装フィルムとして利用すること、及び金属箔とプラスチックフィルムとを貼り合わせ、絶縁性に優れたプリント配線基板を製造することを開示する。
更に、ウレタン接着剤で食品包装袋を製造する場合、食品包装フィルム用接着剤は、滅菌処理後、ある程度の期間を経ても、包装フィルムの外観に影響を及ぼさないこと、即ち、耐内容物性に優れることが要求される。
(A)ポリオール成分、(B)イソシアネート成分および(C)酸変性されたブチラール樹脂が配合されて得られる、ラミネート用接着剤を提供する。
かかるラミネート用接着剤は、食品包装袋を製造するための積層物(又はラミネート)を製造するために好適に使用することができる。
本発明の他の態様において、(A)ポリオール成分は、ポリエステルポリウレタンポリオールを含む、ラミネート用接着剤を提供する。
ポリエステルポリウレタンポリオールは、ポリエステルポリオールがイソシアネート化合物によって鎖延長されて得られる、ラミネート用接着剤を提供する。
本発明の他の要旨において、本発明に係るラミネート用接着剤を用いて得られるラミネートフィルムを提供する。かかるラミネートフィルムは、食品包装袋を製造するために好適に使用することができる。
本発明のラミネート用接着剤を用いて得られるラミネートフィルムは、経時による接着強度の低下が少ないので、ラミネートフィルムに剥離が生じ難く、長期間にわたって外観を維持することができる。
本発明の他の態様において、(A)ポリオール成分は、ポリエステルポリウレタンポリオールを含む場合、耐内容物性がより向上する。
ポリエステルポリウレタンポリオールが(A)成分に含まれると、本発明のラミネート用接着剤の耐内容物性がさらに向上する。
ポリエステルポリオールは、一般に、低分子ポリオールと、ジカルボン酸及びその無水物との縮合重合反応によって得られる。
本発明では、「アクリルポリオール」は、水酸基を有する(メタ)アクリレートの単独重合体でも、「その他の重合性単量体」との共重合体であってもよい。アクリルポリオールの水酸基がイソシアネート基と反応する。
「ポリエステルポリウレタンポリオール」とは、上記ポリエステルポリオールをイソシアネート化合物で鎖長延長し、ウレタン化したものである。
「ポリエーテルエステルポリオールとは、」主鎖中に、エステル基とエーテル基の双方を有するポリオールである。
尚、(A)成分は、低分子ポリオールを含んでよい。そのような低分子ポリオールとして、ポリエステルポリオールの製造に使用される低分子ポリオールを例示できる。
これらのイソシアネート化合物は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
一般的なブチラール樹脂は、下記化学式(1)で表される構造を有し、ブチラール基の他に、少量の水酸基と少量のアセチル基(又は酢酸エステル基)を有し得る。
本明細書において、「酸変性」とは、酸価が0.3mgKOH/g以上あることを意味する。
尚、本発明に係る(C)酸変性ブチラール樹脂の「酸価」は、樹脂1g中に含まれる酸基が全て遊離した酸であると仮定して、それを中和するために必要な水酸化カリウムのmg数の計算値で表す。従って、実際の系内で塩基として存在しているとしても、遊離した酸として考慮する。
F:0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S:資料の質量(g)
5.611:水酸化カリウムの式量56.11×1/10
尚、本明細書において、数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定し、ポリスチレン標準を用いて換算して得られる値である。具体的には、下記のGPC装置及び測定方法を用いて値を測定し、換算することができる。GPC装置は、東ソー社製のHCL−8220GPCを用い、検出器として、RIを用いる。GPCカラムとして、東ソー社製のTSKgel SuperMultipore HZ−M 2本を用いる。試料をテトラヒドロフランに溶解して、流速を0.35ml/min、カラム温度を40℃にて流して、測定値を得る。標準物質としての単分散分子量のポリスチレンを使用した検量線を用いて、測定値を換算して、目的とするMnを得る。
上記範囲内で(C)酸変性ブチラール樹脂を使用すると、本発明のラミネート用接着剤の耐内容物性がよりいっそう向上する。
本発明の実施態様として、接着剤の総重量100重量部(固形分)に対し、接着促進剤0.1〜5重量部を含むことが好ましい。
本発明のラミネート用接着剤は、15〜100℃でフィルムに塗布されるので、この温度領域において低粘度であるべきである。食品包装フィルム用接着剤の粘度は、塗布性を考慮すると、(Brookfield粘度計)を用いて測定して、100〜5000mPasであることが好ましく、100〜500mPasであることがより好ましい。
フィルムへラミネート用接着剤を塗布する場合、塗布量は、1〜100g/m2であることが好ましく、2〜35g/m2であることがより好ましい。
食品包装フィルムは、本発明のラミネート用接着剤で製造されるので、フィルムが剥離し難く、滅菌処理後、2週間経過しても、フィルム外観に変化が見られず、従来の食品包装フィルムと比較して、耐内容物性により優れる。
実施例および比較例で使用したラミネート用接着剤の原料を以下に記載する。
(A)ポリオール成分
A1:ポリエステルポリウレタンポリオール(ヘンケル社製 Liofol UR2790−22(商品名))
A2:ポリエステルポリオール(ヘンケル社製 Liofol LA2770−21(商品名))
B1:キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体(三井化学(株)社製 タケネートD110N(商品名))
B2:イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体(三井化学(株)社製 タケネートD140N(商品名))
C1:酸変性されたポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)社製 エスレック HR−7 酸価2mgKOH/g)
(C’)酸変性されていないブチラール樹脂
C’2:ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製 エスレックB BL−10(商品名) 酸価0.1mgKOH/g)
C1及びC’2の酸変性の有無は、酸価及びIRスペクトルで判断した。
既出の計算式(I)でC1よびC’2の酸価を算出し、更に、赤外分光装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、各々のIRスペクトルを測定した。C1の赤外吸収スペクトルを図2に示し、C’2の赤外吸収スペクトルを図3に示した。
ラミネート用接着剤の詳細な組成を、表1〜2に示した。実施例1の接着剤の製造方法を具体的に下記に示した。実施例2〜5及び比較例1〜2の接着剤は、実施例1の製造方法と同様の方法を用いて製造した。各接着剤は、下記の試験方法を用いて評価された。
表1に示すように、74.0gの(A1)ポリエステルポリウレタンポリオール[105.6gの(A1)ポリエステルポリウレタンポリオールの酢酸エチル溶液(固形分70.0重量%)]、(C1)酸変性されたブチラール樹脂0.05g[0.5gの酸変性されたポリビニルブチラールのジプロピレングリコール溶液(固形分10.0重量%)]を秤量して混合し、その後、この混合物に(B1)15.6g及び(B2)10.4gを添加し、さらに、酢酸エチルを加え、固形分30重量%の接着剤溶液を製造した。この溶液をラミネート用接着剤として用いて、以下の試験を行った。
先ず、実施例1の食品包装フィルム用接着剤を無延伸ポリプロピレン(CPP)シート(東レフィルム加工社製 トレファンNO ZK207(商品名) 厚さ70μm)に固形分重量が4g/m2となるように塗布し、80℃で5分間乾燥させ、接着剤塗布CPPシートを得た。
その後、接着剤塗布CPPシートの接着剤塗布面に、アルミ箔(住友軽金属社製 1N30 厚さ50μm)のマット面を被せ、平面プレス機(神藤金属工業社製のASF−5(商品名))を用いて、圧締圧1.0MPa 50℃で30分間、CPPシートとアルミ箔をプレスした。プレスされたシートと箔を50℃で3日間養生して、CPPシート/接着剤/アルミ箔からなる積層体を得た。
1.養生後接着剤の初期接着強度
積層物を15mm幅に切り出した。引っ張り強度試験機(オリエンテック社製のテンシロンRTM−250(商品名))を用いて、室温環境下、引っ張り速度300mm/min、90°の剥離試験を行って、養生後接着剤の初期接着強度を評価した。
評価基準は以下のとおりである。
○:9N/15mm以上
△:7N/15mm以上、9N/15mm未満
×:7N/15mm未満
積層物の両端をヒートシールし、CPPシートが内側になるように内寸が14cm×14cmの袋(又はパウチ)を作製した。その袋にサラダ油:ケチャップ:食酢=1:1:1(重量比)で混合した擬似食品を100g入れ、121℃で30分間滅菌処理をした。試験後の袋を切り開き、積層物を15m幅に切り出した。その後、養生後の初期接着強度の測定と同様の方法を用いて、滅菌後の接着強度を測定して、接着強度を評価した。
評価基準は以下のとおりである。
○:8N/15mm以上
△:6N/15mm以上、8N/15mm未満
×:6N/15mm未満
滅菌後の接着強度の測定と同様の方法を用いて、擬似食品(内容物)を含む滅菌処理をした袋を、更に50℃で2週間保管した。1週間保管後および2週間保管後の袋を切り開き、CPPシート/アルミ箔層間のデラミネーション(浮き又は剥がれの有無)を目視にて観察した。
○:デラミネーションなし
△:僅かにデラミネーション有り
×:明らかにデラミネーションが発生
比較例1のラミネート用接着剤は酸変性されたブチラール樹脂を含まないので、耐内容物性に劣る。比較例2のラミネート用接着剤は酸変性されていないブチラール樹脂を用いているため、アルミ箔との密着性が低下し、耐内容物性に劣る。
図2の1700cm−1付近に、明確に高いピークが認められる。このピークは、カルボキシル基に含まれるカルボニル基の伸縮振動と考えられる。これは、(C1)がカルボン酸で変性されており、多くのカルボキシル基を有することを示す。
これに対し、図3の1700cm−1付近のピークは、図2よりかなり低い。(C’2)は、カルボン酸で変性されていないが、少量のアセチル基を有するので、そのカルボニル基の伸縮振動が観察されていると考えられる。
本発明係るラミネート用接着剤は、養生後の初期接着強度に優れ、経時による接着強度の低下が小さく、及び耐内容物性に優れるので、様々な用途に利用することができる。特に、優れた耐熱性が要求され、かつ長期保管が可能なことが求められる食品包装フィルム用接着剤として適する。好ましくはレトルト食品の包装フィルムを製造するために用いるレトルトパウチ用接着剤として利用できる。
Claims (3)
- (A)ポリオール成分、(B)イソシアネート成分および(C)酸変性されたブチラール樹脂が配合されて得られる、ラミネート用接着剤であって、
(A)〜(C)の総重量100重量部に対し、(C)酸変性されたブチラール樹脂が0.01〜1.0重量部配合された、ラミネート用接着剤。 - (A)ポリオール成分は、ポリエステルポリウレタンポリオールを含む、請求項1に記載のラミネート用接着剤。
- 請求項1又は2に記載のラミネート用接着剤を用いて得られるラミネートフィルム。
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