JP6301311B2 - 超高感度センサ - Google Patents

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Description

相互参照
本願は、全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる2012年4月10日出願の米国仮特許出願第61/622,226号の利益を主張するものである。
連邦政府資金による研究開発の記載
本発明は、米国防総省高等研究計画局(DARPA)により与えられた助成金番号FA9550−08−1−0222の下で米国政府資金の提供を受けてなされた。米国政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
背景
生物学的および化学的アッセイのルミネセンスシグナル(例えば、蛍光シグナル)および検出感度を増大させる必要性が高まっている。本願は、マイクロ/ナノ構造および分子層に関し、増大(即ち、ルミネセンスの増幅および検出感度の改善)、それらの作製および適用を実現する方法に関する。
概要
本開示は、数ある中で、基板と、基板の表面から延在する1つまたは複数のピラーを含み、ピラーの側壁の金属ドット構造と、ピラーの上面の金属ディスクと、ピラーの底面付近のかなりの(有意な)エリアを覆う金属バックプレーンと、を有するナノセンサを提供する。ナノセンサは、金属ドット構造、および/または金属ディスク、および/または金属バックプレーンの少なくとも一部を覆い、捕捉剤に結合する、分子接着層を更に含む。ナノセンサは、標的となる分析物(例えば、蛋白質または核酸であり得る分子)を特異的に捕捉する捕捉剤でコーティングされている。分析物は、場合により直接的または間接的に標識され得る。間接的標識において、光学標識を有する二次捕捉剤(即ち、標識された検出剤)を結合に用い、こうして捕捉された分析物の存在を同定する。分析物が捕捉剤に結合すると、ナノセンサが分析物からの光シグナルを増幅させる。
当業者には、以下に記載される図面が例示目的に過ぎないことが、理解されるであろう。図面は、本発明の技術範囲を限定することを決して意図するものではない。図面の一部は、均等倍率で描かれていない。
パネルAおよびBは、標題のナノデバイスの実施形態のいくつかの特徴を示す略図である。パネルCは、標題のナノデバイスを製造し得る一方法を示す略図である。 例示的システムを示す略図である。 例示的な自己集合化単層を示す略図である。 例示的な抗体検出アッセイを示す略図である。 例示的な核酸検出アッセイを示す略図である。 別の実施形態の核酸検出アッセイを示す略図である。 ディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイ(D2PA)プレートおよびイムノアッセイ。(a)イムノアッセイを含まないD2PAプレートの略図(全体像および断面図)。D2PAは、内側に高密なプラズモンナノドットを備えた高密な三次元(3D)共鳴空洞ナノアンテナ(周期的な非金属ピラーの上部の金のディスク、およびピラー底部の金のバックプレーンにより形成される)のアレイを有し、ナノギャップを介して金属構成要素に連結している。(b)接着層の自己集合化単層(SAM)と、プロテインA(捕捉層として)と、IRDye800CWが予め標識されたヒトIgG(予め標識されたバイオマーカとして)と、からなる、D2PA上のイムノアッセイの略図。(c)200nm周期のD2PAの走査電子顕微鏡像(SEM)(全体像および断面図)。シリカナノピラーの側壁に残留する金ナノドットが、明瞭に観察される。 イムノアッセイ物質が結合している(青色線)、または結合していない(赤色線)D2PAの測定された吸収スペクトル。ピーク吸光度は、イムノアッセイ物質の存在下または非存在下で、それぞれ98%および97%であり、ピーク共鳴幅は、それぞれ165nmおよび145nmである。イムノアッセイ物質の結合により、吸収ピークが795nmから788nmにわずかに青色移動し、吸収波長の範囲が広がった。 それぞれD2PA(赤色線)およびガラスプレート(青色線、1000倍増幅させると、所定の倍率で目視できる)でのアッセイにより捕捉されたIRDye800CW標識ヒトIgGの測定エリア平均蛍光強度スペクトル。ガラスプレート上のアッセイと比較すると、平均蛍光増大(破線)は、蛍光のピーク波長(800nm)では7,440倍であり、FWHM蛍光の平均では7,220倍である。プラズモン蛍光増大係数(EF)スペクトルは、蛍光スペクトルよりもかなり広いFWHMを有し、観察されたD2PAプラズモン共鳴スペクトルと一致している(図5)。 広い領域で測定された蛍光増大量の均一性。(a)D2PAの合計5mm×5mmのエリアで測定されたイムノアッセイ蛍光増大(係数)マップ。このマップは、100μm×100μmの各タイルエリア(即ち、レーザプローブエリア)および100μmのステップ・アンド・リピート距離を利用することにより測定された合計2,500タイル(50×50)を有する。(b)測定された増大係数の対応するヒストグラムは、ガウス分布偏差±9%を示す。 プロテインAおよびIgGのモデル直接アッセイ。D2PA(四角)およびガラスプレート参照(丸)での蛍光強度対IgG濃度。四角および丸は、測定されたデータであり、曲線は、測定データの間にデータポイントを外挿させた5パラメータロジスティック回帰モデルを用いたフィッティングであった。D2PAおよびガラスプレートの検出限界(LoD)は、それぞれ0.3fMおよび0.9nMと見出され、3,000,000倍のLoD増大を示している。接着層の自己集合化単層(SAM)と、プロテインA(捕捉層として)と、IRDye800CWが予め標識されたヒトIgG(予め標識されたバイオマーカとして)と、からなる、D2PA上でのイムノアッセイの略図。 D2PAプレート上のIRDye800CW標識IgGの単一分子蛍光。(a)IgG濃度10−10MでのD2PAプレート上のプロテインA/IgGイムノアッセイの50μm×50μmエリアの2D蛍光画像。明白な「輝点」が目視できる。そして(b)単一輝点の蛍光対時間。二段階的な挙動から、蛍光がD2PAのホットスポット(電場の大きな位置)に配置された単一染料分子のものであることが示される。ガラス参照上のイムノアッセイと比較すると、ホットスポットの単一分子蛍光は、4×106倍増大している。 D2PAプレート上のPSAイムノアッセイ。LoDを計算するために、実験データを5パラメータロジスティックモデルを用いてフィッティングした(実線の曲線)。LoD約10aMが、D2PAで実現された。LoDが0.9pMであったガラスプレートに比較すると、D2PAの感度は、90,000倍良好である(Chouの研究グループが発表予定)。 D2PAプレート上のCEAイムノアッセイ。同様の構成が、PSAイムノアッセイとして用いられている。これまでの仮の試験で本発明者らは、LoD約28aMを実現できた。シグナル対雑音比を上昇させることができれば、より良好な感度(より低いLoD)が予測される(Chouの研究グループが発表予定)。 D2PAプレート上のCA15.3イムノアッセイ。同様の構成が、PSAイムノアッセイとして用いられている。これまでの仮の試験では、本発明者らは、LoD約0.01U/mLを実現できた。シグナル対雑音比を上昇させることができれば、より良好な感度(より低いLoD)が予測される(Chouの研究グループが発表予定)。 添加濃度と観察濃度の間の相関を示す2つのグラフである。 2種の抗体の間の交叉反応性を示す2つのグラフである。 結果の再現性を示す2つのグラフである。 DNAハイブリダイゼーションアッセイの結果、およびその略図を示す。 一連の走査電子顕微鏡像を示す。 別の実施形態を略図で示す。
対応する参照数字は、図面の複数の図を通して対応する部分を示す。図面が本開示を説明する概念の例示であり、均等倍率で描かれていないことを、理解すべきである。
本発明の任意の実施形態が詳細に説明される前に、本発明が以下の説明に示された、または図面に例示された構成要素の構造および配置の詳細への適用に限定されないことが、理解されなければならない。
定義
例示的実施形態をより詳細に記載する前に、以下の定義を説明して、詳細な説明で用いられる用語の意味および範囲を例示および定義する。
用語「分子接着層」は、ナノデバイスに結合されている内表面と、捕捉剤に結合され得る外部(外)表面と、を含む定義された厚さの分子単層または多層を指す。
用語「捕捉剤反応性基」は、捕捉剤と反応性がある、即ち捕捉剤中の部分(例えば、ヒドロキシル、スルフヒドリル、カルボキシまたはアミン基)と反応して、安定した強力な、例えば共有結合を生成し得る分子中の化学的機能の部分を指す。
本明細書で用いられる用語「捕捉剤」は、標的分析物に結合する薬剤であって、該薬剤が異なる分子の不均質混合物の標的分子に結合し、濃縮させるのに十分な相互作用を通して、結合する薬剤を指す。結合相互作用は、典型的には捕捉剤の親和性領域により媒介される。典型的な捕捉剤は、標的分析物に特異的に結合し得る任意の部分を含む。ある特定の捕捉剤は、他の分子に有意に結合せずに、約10−6M未満(例えば、約10−7M未満、約10−8M未満、約10−9M未満、約10−10M未満、約10−11M未満、約10−12M未満、約10−16Mもの低濃度まで)の解離定数(KD)で標的分子に特異的に結合する。例示的捕捉剤としては、蛋白質(例えば、抗体)、および核酸(例えば、アプタマーを含むオリゴヌクレオチド、DNA、RNA)が挙げられる。
用語「特異的結合」および「選択的結合」は、異なる標的分子の不均質混合物中に存在する特定の標的分子に優先的に結合する捕捉剤の能力を指す。特異的または選択的結合相互作用により、試料中の所望の(例えば、活性のある)標的分子と望ましくない(例えば、不活性の)標的分子とを、典型的には約10〜約100倍、またはそれを超える差で(例えば、約1000または10,000倍を超える差で)識別する。
用語「蛋白質」は、任意の長さ、即ち2アミノ酸を超える、約5アミノ酸を超える、約10アミノ酸を超える、約20アミノ酸を超える、約50アミノ酸を超える、約100アミノ酸を超える、約200アミノ酸を超える、約500アミノ酸を超える、約1000アミノ酸を超える、約2000アミノ酸を超えるが、通常は約10,000アミノ酸を超えない長さのアミノ酸のポリマー形態を指し、コード化および非コード化アミノ酸、化学的または生化学的に修飾または誘導されたアミノ酸、ならびに修飾されたペプチドバックボーンを有するポリペプチドを包含し得る。該用語は、非限定的に、異種のアミノ酸配列を有する融合蛋白質、N−末端メチオニン残基を有するまたは有さない異種および同種のリーダ配列を有する融合体;免疫学的にタグを付けた蛋白質;検出可能な融合パートナーを有する融合蛋白質、例えば融合パートナーとして蛍光蛋白質、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼなどを含む融合蛋白質などを包含する。細胞内で翻訳後修飾された、例えばグリコシル化、開裂、分泌、プレニル化、カルボキシル化、リン酸化などを受けたポリペプチド、および二次または三次構造を有するポリペプチド、および他の部分、例えば他のポリペプチド、原子、補因子などに強力に結合された、例えば共有または非共有結合されたポリペプチドも、これらの用語に包含される。
用語「抗体」は、抗原結合が可能な一本鎖抗体およびファージディスプレイ抗体をはじめとする、免疫グロブリンまたはその任意のフラグメントを指すものとする。
用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド、例えばデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドで構成された任意の長さのポリマー、または例えばワトソン・クリック塩基対合相互作用に関与し得る、2つの天然由来核酸と類似の配列特異的様式で天然由来核酸とハイブリダイズし得る合成された化合物(例えば、米国特許第5,948,902号および本明細書に引用された参考資料に記載されたPNA)を説明するために本明細書で互換的に用いられる。
本明細書で用いられる用語「相補的」は、水素結合により目的の標的核酸に塩基対合するヌクレオチド配列を指す。標準的なワトソン・クリック塩基対合では、DNAにおいて、グアニン(G)がシトシン(C)と塩基対を形成するように、アデニン(A)はチミン(T)と塩基対を形成する。RNAでは、チミンがウラシル(U)に置き換えられる。そのためAは、Tに相補的であり、GはCに相補的である。典型的には「相補的」は、該配列内の各ヌクレオチドが対応する位置にある標的核酸内の各ヌクレオチドに相補的であるように、目的の標的に完全に相補的である、ヌクレオチド配列を指す。ヌクレオチド配列が、非標的配列に完全に相補的(100%相補性)でないが、非標的配列へのある特定のひと続きのヌクレオチド配列の相補性により非標的配列に塩基対をなし得る場合、相補性%を計算して、非特異的(オフターゲット)結合の可能性を評価してもよい。一般に50%以下の相補性は、非特異的結合をもたらさない。加えて、70%以下の相補性は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、非特異的結合をもたらし得ない。
本明細書で用いられる用語「リボ核酸」および「RNA」は、リボヌクレオチドで構成されたポリマーを意味する。
本明細書で用いられる用語「デオキシリボ核酸」および「DNA」は、デオキシリボヌクレオチドで構成されたポリマーを意味する。
本明細書で用いられる用語「オリゴヌクレオチド」は、約10〜200ヌクレオチド長、そして300ヌクレオチド長以下、またはそれより長い、例えば500ヌクレオチド長以下、またはそれより長いヌクレオチド長の一本鎖ヌクレオチドマルチマーを示す。オリゴヌクレオチドは、合成されてもよく、ある特定の実施形態において、300ヌクレオチド長未満である。
本明細書で用いられる用語「結合する」は、1つの分子の他の分子への強力な、例えば共有結合または非共有結合の結合連結を指す。
本明細書で用いられる用語「表面に結合された」は、表面に強力に結合された分子を指す。
本明細書で用いられる用語「試料」は、目的の1つ以上の分析物を含む材料または材料混合物に関する。特定の実施形態において、試料は、細胞、組織、体液および糞便などの生物学的試料から得られてもよい。目的の体液としては、非限定的に、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば、全血、血液画分、血漿、血清など)、母乳、脳髄液(CSF)、耳垢(耳糞)、乳び、消化粥(chime)、内リンパ、外リンパ、便、胃酸、胃液、リンパ、粘液(鼻漏および痰を含む)、囲心腔液、腹腔液、胸膜液、膿、粘膜分泌液、唾液、皮脂(皮膚の油)、精液、喀出物、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿および呼気凝縮液が挙げられる。特定の実施形態において、試料は、対象、例えばヒトから得てもよく、標題のアッセイにおいて用いる前に加工されてもよい。例えば分析の前に、公知の方法を利用して、蛋白質/核酸を組織試料から抽出した後、使用してもよい。特定の実施形態において、試料は、臨床試料、例えば患者から採取された試料であってもよい。
用語「分析物」は、捕捉剤により結合され、検出され得る分子(例えば、蛋白質、核酸、または他の分子)を指す。
用語「アッセイすること」は、試料を試験して分析物の存在および/または存在量を検出することを指す。
本明細書で用いられる用語「決定すること」、「測定すること」、「評価すること」および「アッセイすること」は、互換的に用いられ、定量的および定性的決定の両方を包含する。
本明細書で用いられる用語「発光標識」は、外部励起の下で光を発し得る標識を指す。これは、ルミネセンスであってもよい。蛍光標識(染色分子または量子ドットを含む)およびルミネセンス標識(例えば、エレクトロルミネセンスまたは化学ルミネセンス標識)は、発光標識の種類である。外部励起は、蛍光では光(フォトン)、エレクトロルミネセンスでは電流、および化学ルミネセンスでは化学反応である。外部励起は、上記のものの組み合わせであってもよい。
語句「標識された分析物」は、標識の存在を評価することにより検出され得るように、発光標識で検出可能に標識された分析物を指す。標識された分析物は直接標識されていてもよく(即ち、分析物そのものが例えば共有結合または非共有結合などの強力な結合を介して、標識に直接結合されていてもよく)、または標識された分析物は間接的に標識されていてもよい(即ち、分析物が、直接標識された二次捕捉剤に結合される)。
用語「ハイブリダイゼーション」は、ワトソン・クリック塩基対合を介した、核酸の相補的核酸への特異的結合を指す。したがって用語「in situハイブリダイゼーション」は、中期または間期染色体への核酸の特異的結合を指す。
核酸に関する用語「ハイブリダイズする」および「結合する」は、互換的に用いられる。
用語「捕捉剤/分析物複合体」は、捕捉剤と分析物との特異的結合から得られる複合体を指す。捕捉剤、およびその捕捉剤用の分析物は通常、捕捉剤と分析物の間で起こる結合を溶液中で可能にする条件である「特異的結合条件」または「特異的結合に適した条件」(塩濃度、pH、界面活性剤、蛋白質濃度、温度などに関する)の下、互いに特異的に結合する。特に抗体およびそれらの抗原、ならびに核酸ハイブリダイゼーションに関するそのような条件は、当該技術分野で周知である(例えば、Harlow and Lane(Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)、およびAusubel,et al,Short Protocols in Molecular Biology,5th ed.,Wiley & Sons,2002参照)。
本明細書で用いられる用語「特異的結合条件」は、互いに特異的に結合する分子の対を含む核酸二本鎖または蛋白質/蛋白質(例えば、抗体/抗原)複合体を生成し、その一方で互いに特異的に結合しない分子間の複合体形成には不利になる条件を指す。特異的結合条件は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件の両方の合計または組み合わせ(全体性)であり、必要に応じて洗浄およびブロッキングステップを含んでいてもよい。
核酸ハイブリダイゼーションの場合、特異的結合条件は、50%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート液、10%デキストラン硫酸、および20μg/ml変性断片処理済みサケ精子DNAの溶液中、42℃でインキュベーションし、続いて0.1×SSC中、約65℃でフィルタを洗浄することにより実現され得る。
抗体の抗原への結合の場合、特異的結合条件は、ブロッキング溶液(例えば、3%BSAまたは脱脂乳を含むPBS)中で抗体を含む基質をブロッキングし、続いて希釈されたブロッキング緩衝液中で分析物を含有する試料と共にインキュベートすることにより実現され得る。このインキュベーションの後、基質を洗浄溶液(例えば、PBS+TWEEN20)で洗浄して、二次捕捉抗体(抗原内の二次的部位を認識する検出抗体)と共にインキュベートする。二次捕捉抗体は、光学検出可能な標識、例えばIRDye800CW、Alexa790、Dylight800などのフルオロフォアと結合されていてもよい。さらなる洗浄の後に、結合した二次捕捉抗体の存在が検出されてもよい。当業者は、検出シグナルを増加させてバックグランドノイズを減少させるように改良され得るパラメータに関して熟知しているであろう。
「検出剤」とも称され得る用語「二次捕捉剤」は、抗原に対する高い特異的親和力を有する生体分子または化学化合物の群を指す。二次捕捉剤は、光学検出可能な標識、例えば酵素、蛍光標識に強力につながることができ、またはバイオコンジュゲーションを通して光学検出可能な標識につながる別の検出剤によりそれ自体が検出され得る(Hermanson,“Bioconjugate Techniques” Academic Press,2nd Ed.,2008)。
用語「ビオチン部分」は、ビオチンまたはビオチン類似体、例えばデスチオビオチン、オキシビオチン、2’−イミノビオチン、ジアミノビオチン、ビオチンスルホキシド、ビオシチンなどをはじめとする親和性薬剤を指す。ビオチン部分は、少なくとも10−8Mの親和性でストレプトアビジンに結合する。ビオチン親和性薬剤は、リンカー、例えば−LC−ビオチン、−LC−LC−ビオチン、−SLC−ビオチンまたは−PEGn−ビオチン(ここでnは、3〜12である)を含んでいてもよい。
用語「ストレプトアビジン」は、ストレプトアビジンおよびアビジンの両方に加え、高い親和力でビオチンに結合するそれらの任意の変異体を指す。
用語「マーカー」は、生物学的試料中の存在または存在量が疾患または状態と相関する分析物を指す。
用語「結合」は、水素結合、イオン結合、およびファンデルワールス力により生成される結合をはじめとする共有結合および非共有結合を含む。
用語「増幅する」は、シグナル規模の増加、例えばシグナルの少なくとも10倍増加、少なくとも100倍増加、少なくとも1000倍増加、少なくとも10,000倍増加、または少なくとも100,000倍増加を指す。
他の特異的結合条件は、当該技術分野で公知であり、本明細書でも用いることができる。
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる通り、単数形「a」、「an」、および「the」は、他に明白に断りがある場合、例えば言語「単一の」が用いられている場合を除き、複数の指示対象を包含することに留意しなければならない。例えば「分析物」を参照する場合、単数の分析物および複数の分析物を包含し、「捕捉剤」を参照する場合、単数の捕捉剤および複数の捕捉剤を包含し、「検出剤」を参照する場合、単数の検出剤および複数の検出剤を包含する。
例示的実施形態の詳細な説明
以下の詳細な説明は、本発明のいくつかの実施形態を実施例により例示するものであり、限定するものではない。
図1Aおよび1Bを参照すると、(a)基板110と;(b)基板の表面から延在する1つまたは複数のピラー115と、を含むナノデバイス100であって、ピラーの少なくとも1つが、ピラー本体120と、ピラーの上面の金属ディスク130と、ピラーの底面にあり、ピラーの底面付近の基板表面の大部分を覆う金属バックプレーン150と、ピラーの側壁に配設された金属ドット構造140と、金属ドット構造、および/または金属ディスク、および/または金属バックプレーンの少なくとも一部を覆う分子接着層160と、を含むナノデバイス100が、本明細書に開示される。このデバイスの基礎構造は、「ディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイ(D2PA)」とも称され、それらの実施例が記載されている(例えば、参照により組み入れられた、Li et al Optics Express 2011 19,3925−3936および国際公開第2012/024006号を参照されたい)。
分子接着層160の外表面は、捕捉剤反応性基、即ち、捕捉剤と化学的に反応し得る反応性基、例えばアミン反応性基、チオール反応性基、ヒドロキシル反応性基、イミダゾリル反応性基およびグアニジニル反応性基を含む。例示的目的で、分子接着層160は、金属ドット構造140の外表面、金属ディスク130、および金属バックプレーン150の全てを覆っている。しかし実用目的では、接着層160は、金属ドット構造140の外表面、金属ディスク130、または金属バックプレーン150の一部のみを必要とする。図示された通り、ある特定の例において、基板110は誘電体(例えば、SiO)で製造されていてもよいが、他の材料、例えばケイ素、GaAs、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)が用いられてもよい。同様に金属は、金、銀、プラチナ、パラジウム、鉛、鉄、チタン、ニッケル、銅、アルミニウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせであってもよいが、材料のプラズマ周波数が光シグナルの周波数および光シグナルの生成に用いられる光の周波数よりも高いものであれば、他の材料が用いられてもよい。
ナノデバイス100は、接着層の外表面付近の光シグナルを増幅させることを特徴とする。
いくつかの実施形態において、ピラーの部品の1つ以上の寸法、または2つの構成要素の間の距離が、増幅された光の波長よりも小さくてもよい。例えばピラー本体120の側部寸法、ピラー本体120の高さ、金属ディスク130の寸法、金属ドット構造140の間にある任意の空隙の間の距離、金属ドット構造140と金属ディスク130の間の距離は、増幅された光の波長よりも小さくてもよい。図1Aに示す通り、ピラーは、アレイの形態で基板上に配列されていてもよい。特定の例において、アレイの最も近いピラーは、光の波長よりも短い距離で離れていてもよい。ピラーアレイは、周期的および非周期的であってもよい。
ナノデバイスは、容器、例えばマルチウェルプレートのウェル内に配設されていてもよい。ナノデバイスは、マルチウェルプレートのウェルの底または壁であってもよい。ナノデバイスは、マイクロ流体チャネル(1〜1000マイクロメータのチャネル幅)またはナノ流体チャネル(1マイクロメータ未満のチャネル幅)の内側、またはそのようなチャネルの内壁の一部に配設されていてもよい。
以下により詳細に記載される通り(そして図1Cに例示される通り)、標題のナノデバイス100は、基板110と、ピラー本体120、金属ディスク130、金属バックプレーン150、および金属ドット構造140を含む複数のピラーと、で本質的に構成された、いわゆる「ディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイ」200(即ち、D2PA)を、分子接着層160でコーティングすることにより作製されてもよい。詳細な説明として、標題のナノデバイス内で用いられ得る例示的なD2PAの詳細は、全ての目的で参照により本開示に組み入れられる国際公開第2012/024006号に示されている。
以下に示す説明の最初の部分は、基礎となるD2PA構造のある特定の特徴(即ち、基板、ピラー本体、金属ディスク、金属バックプレーン、および金属ドット構造)を説明している。以下に示す説明の第二の部分は、分子接着層、捕捉剤、および標題のナノデバイスが用いられ得るアッセイを説明している。
ディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイ(D2PA)
ディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイは、ピラー本体上のナノスケール金属ドットに連結された浮動する金属ディスクまたはナノディスクを備えた3Dプラズモン空洞アンテナを有する。詳細にはいくつかの実施形態において、D2PAは、基板と、基板上のピラーアレイと、ピラーそれぞれの上部の金属ディスクまたはナノディスクと、ピラーの側壁にあるナノスケール金属ドットでありディスクと一部のドットの間および隣接するドットの間に空隙のあるドットと、ピラーに占有されていない基板エリアのほとんどを覆う金属バックプレーンと、を有する。
一実施形態において、ピラーアレイはSiOから作製され、ケイ素から形成された基板上でピッチ200nm、高さ130nm、および直径70nmを有する。金属バックプレーンは40nm厚の金の層から形成されていて、法線方向に沿った電子ビーム蒸着を利用してピラーアレイ構造および基板上に被覆(析出)されていてもよい。その被覆(析出)工程により、各SiO2ピラーの上部に金の金属ディスクが形成され、同時にケイ素基板の表面に金ナノホールの金属バックプレーンが形成される。各ディスクは、厚さ40nmおよび直径約110nmを有する。蒸着工程の間に、約0.4A/秒の析出速度で、金原子がSiOピラーの側壁に拡散され、10nm〜30nmの微粒サイズのランダム粒子に集結して、ナノスケール金属ドットを形成する。
金ナノディスク、ランダム金ナノ粒子金属ドット、および底部金ナノホールプレート(バックプレーン)を備えた基板が、蒸着工程により形成される。SiOピラーの側壁に分散されてナノスケール金属ドットを形成している金ナノ粒子は、それらの間に約0.5nm〜20nmの狭い空隙を有し、高度に増大された電場を誘導できる。本明細書で用いられる用語「空隙」は、2つの構造の間にある極小の空間、例えば2つのディスクの間の極小の空間、またはディスクと隣接するドット構造との間の空間として定義される。ドットの一部が別のドットと接触しても、他の位置の隣接する構造の間に存在する他の空隙のために、本発明の構造により実現される増大作用が依然として存在することも注目されなければならない。
D2PA構造は、プラズマ共鳴およびナノアンテナを通して光吸収を増大できる。該構造は、ディスクとナノドットの間のナノギャップおよびナノドットそのものの間のナノギャップ(140)を通して局所電場を増大でき、ディスクとバックプレーンの間に形成される垂直空洞(光のための)およびディスクアレイにより形成される側方空洞により支援される。
より詳細には、該構造は、ナノピラーのアレイを通して光吸収を増大でき、これらの構造を通して表面からの光シグナルの反射を増大できる。それは、ドットおよびバックプレーンを通してディスクにより形成されて光吸収を増大する、増大された垂直空洞光吸収作用を有し得る。それは、金属のバックプレーンを通して光吸収を増大する、側方空洞光吸収作用も有し得る。任意の特定のD2PA構造が、ピラーアレイ内の間隔、ピラーのサイズ、ディスクのサイズ、ドットのサイズ、および用いられる材料など、該構造の具体的構成に応じて、これらの機能の1つ、複数、または全てを有し得ることは、当業者に認識されよう。
該構造による光シグナルの増大は、該構造の形状の間のナノギャップからの増大、プラズモン共鳴からの増大、アンテナ吸収からの増大、アンテナ放射からの増大、垂直空洞からの増大、および側方空洞からの増大の結果生じるものである。D2PA構造の要素および機能は、異なる角度から見ることができる。ディスクならびにディスクと隣接する金属ドットとの間の空隙、およびドットそのものの間の空隙は、該構造によりもたらされる局所電場増大に影響を及ぼし得る。各ピラー本体上のドット位置およびドット数も、局所電場を増大し得る。各ピラーの直径およびキャッピングディスクの直径は、プラズモン共鳴周波数に影響を及ぼし得る。二酸化ケイ素ピラーの高さは、空洞の長さおよびナノギャップ数に影響を及ぼし得、ディスクと金バックプレーンとの連結にも影響を及ぼし得る。単位セルあたりのピラー数は有効面積に影響を及ぼし得、ピラーのアレイ内のピッチ(間隔)は、コヒーレント吸収および光放射に影響を及ぼし得る。金バックプレーンはアンテナおよび空隙に影響を及ぼし得、ピラーの形状は光に依存する吸収を決定し得る。
構造内では、複数の変数が、シグナルを増大するように「調整」されてもよい。例えばディスクの直径およびピラーの形状を変動させてプラズモン共鳴周波数を変化させてもよく、金属ドットは局所シグナル増大に影響を及ぼし、各ピラー本体のディスク−ドット間空隙、ドット位置、およびドット計数も同様であり;ピラーの高さは、共鳴空洞の長さおよび存在するナノギャップ数、ならびにディスクと金属バックプレーンの間の連結作用に影響を及ぼす。該構造表面の単位セルあたりのピラー総数は有効面積を画定し、ピラーの間隔(ピッチ)はコヒーレント吸収および光学エネルギーの放射に影響を及ぼす。最後に、金属バックプレーンの材料および厚さはアンテナおよび空洞の作用に関係する。本発明の範囲から逸脱せずに、これらの変数のそれぞれが本明細書に示された例示的実施形態から必要に応じて変化して所望の特徴を有する構造100を実現すること、または「調整」により特定の増大を実現し得ることは、当業者に認識されよう。
該構造の様々な構成が予期される。例えばD2PAの構造は、金属バックプレーンの下にSiOの層を有して、ピラーを連続で形成できる。あるいはピラーがバックプレーン材料上に直接形成され、その一方でバックプレーン材料が基礎となる基板上のSiO層の上に被覆されているように、D2PAが穴のない金属バックプレーンを有していてもよい。
本開示のD2PA構造を構築する際、基礎となる基板の材料は、絶縁体、半導体、または誘電絶縁体であってもよい。基板は、モノリシックである必要はなく、絶縁体または半導体材料の上部層(ピラーの次の層)を含み、基板の残り部分が任意の固体材料で生成されている、積層構造であってもよい。
基板の上部層の上のピラー本体は、絶縁体材料から形成されてもよいが、半導体であってもよい。ピラーの形成のための例示的材料は、誘電体:二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ハフニウム(HfO)、酸化アルミニウム(AlO)または半導体:ケイ素、GaAs、およびGaNである。いったん形成されると、ピラーは側壁を有していてもよく、側壁は円柱状(直線状)、傾斜状、曲線状、またはそれらの任意の組み合わせである。各ピラーの高さは、5nm〜7,000nmから選択されてもよく、各ピラーの側方寸法は、5nm〜8,000nmから選択されてもよい。ピラーの上部表面の形状は、円形、尖形(錐体)、多角形、楕円形、細長い棒状、多角形、他の類似形状またはそれらの組み合わせであってもよい。アレイ内のピラーの間の間隔は、周期的または非周期的であってもよい。いくつかの適用のためには、周期的であることが好ましく、その周期は、光吸収および放射を最大にするように選択されるが、光の波長に依存的である。アレイ内の隣接するピラーの間の間隔(ピッチ)は、4nm〜4000nmであってもよい。
各ピラーは、(a)金、銀、銅、アルミニウム、ニッケルなどの単一金属元素;(b)多層の組み合わせおよび/もしくは単一金属の多層;(c)金属合金;(d)半導体;(e)プラズモンを発生させる他の任意金属;または(f)(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の任意の組み合わせ、のいずれかから形成され得る金属ディスクが上部を覆っている。各ディスクの形状は、円形、尖形(錐体または円錐の形態など)、多角形、楕円形、細長い棒状、多角形、他の類似形状またはそれらの組み合わせであってもよい。各ディスクの形状は、その上にディスクが配設される連携するピラーの上部表面の形状と同一であっても、または異なっていてもよい。好ましくは各ディスクの側方寸法は4nm〜1500nmであり、ディスクの厚さは1nm〜500nmである。金属ディスクの直径は、支持しているピラーの直径よりも大きくても、または小さくてもよい。直径の差は、実行波長に応じて、0〜200nmの範囲で多様であってもよい。
金属ドットは、金属ディスクと金属バックプレーンの間で各ピラーの側壁に配設されており、ほぼ球形、円盤状、多角形、細長い形、他の形状、またはそれらの組み合わせの形状を有する。ピラー上の金属ドットは全てがほぼ同じ形状を有していてもよく、または個々に異なっていてもよい。金属ドットの寸法は、好ましくは3nm〜600nmであり、三次元で異なっていてもよい。ドットの厳密な寸法は、特異的な光シグナルに対して選択されてもよく、また作製の利便性およびドット間に付随する空隙の作製により調節されてもよい。
いくつかの実施形態において、近隣の金属ドット間の空隙およびディスクと隣接する金属ドットとの間の空隙は、0.5nm〜200nmである。多くの適用では、小さな空隙が、光シグナルを増大するのに好ましい。空隙は、ピラー上の各金属ドット間で変動してもよい。
該実施形態において、金属バックプレーンは、各ピラーのための穴を有する基板上で金属層を画定する。金属バックプレーンの厚さは、1nm〜2000nmから選択され、50nm〜200nmの範囲の厚さが好ましい。金属バックプレーンの材料は、先に記載された金属ディスクを形成するのに用いられるのと同じ群から選択できるが、所与のD2PA構造の場合、金属バックプレーンは、ディスクの形成に用いられるのと同じ材料または異なる材料から形成できる。
D2PA構造の先の説明は、用いられ得るが排他的とはみなされない材料、形状、および寸法の範囲の例示である。他の材料、形状、および寸法が、所望の増大作用を実現するのに必要ならば用いられてもよい。各D2PA構造の厳密な材料、形状、および寸法は、増大される光吸収(波長、偏光)、増大される光再放射、および/または増大される局所電場により課される特定の要件により決定される。
D2PAアレイは、以下の方法を利用して作製されてもよい。最初のステップは、基板にSiO2などのピラー材料の層を設けることである。次のステップは、リソグラフィックインプリント工程を用いて、ピラーのパターンを有する鋳型をピラー材料の層に被覆されたレジスト層にインプリントすることである。パターンをレジスト層にインプリントしてエッチマスクを生成した後、残りの材料をエッチング工程により除去して、レジスト層のピラー様構造のパターンを残留させる。エッチマスク材料、例えばクロム(Cr)または他の材料の層をその後、ピラー様構造のパターンに析出させて、残りのレジスト材料を除去し、ピラー材料の層に直接被覆されたCrのパターンを得る。レトロエッチングなどのドライエッチングまたはウェットエッチング工程による最後のエッチングステップで、ピラー材料の非保護部分を除去して、基板の表面に配設されたピラーのアレイを残留させる。任意の残されたエッチマスク材料(Cr)は、場合によりドライまたはウェットエッチング工程のいずれかにより除去され、金属バックプレーン材料、ディスク材料、および金属ドットは蒸着工程を利用して実質的に平行に構造上に析出させる。
様々なリソグラフィーステップが電子ビームリソグラフィー、イオンビームリソグラフィー、フォトリソグラフィー、またはナノインプリントリソグラフィーをはじめとする任意の様々な公知のリソグラフィー法を利用して、レジスト材料にパターンを形成し得ることを、当業者は認識するであろう。同様にエッチングマスク材料が金属誘電体または絶縁体であり得ることが、認識されよう。
エッチマスク材料は、リソグラフィーステップが実施される前、または実施された後に、レジスト層に析出させることができる。リフトオフ工程は、典型的には、エッチマスキング材料がリソグラフィーステップの後に被覆される場合に用いられる。あるいは最初にナノインプリントリソグラフィーを用いてレジストパターンを生成する場合には、その次にエッチマスク材料を得られたトレンチに析出させてもよく、その後、リフトオフ工程を実施する。D2PAアレイの作製には他の方法も可能である。
D2PA構造の様々なパラメータを操作することで、約100nm〜約8000nmの様々な波長の光を操作し得る。
増大構造は、検出される光の波長に特異的な1つ以上の特徴を用いて構成させてもよい。これらの特徴としては、材料の選択、ナノスケールピラーの高さ、ナノスケールピラーの側壁形状、ナノスケール金属ディスクの形状、ナノスケール金属ドット構造の間隔、金属材料、および金属バックプレーンの構成などが挙げられる。ナノスケール金属ドット構造の間隔の選択としては、更に、隣接するナノスケール金属ドット構造間の空隙距離を選択すること、および/またはナノスケール金属ディスクと隣接するナノスケール金属ドット構造との空隙間隔を選択すること、が挙げられる。
ナノスケール構造の基板は、電気絶縁体、誘電絶縁体または半導体であってもよい。場合により基板は、積層構造であってもよく、その場合、基板表面の層は、電気絶縁体または半導体のいずれかであり、表面層の下の基板本体は、任意の固体材料からなる。
ピラー本体は、絶縁体または半導体から形成されていてもよく、円形、尖形、多角形、錐体、楕円形、細長い棒状、またはそれらの任意の組み合わせからなる形状の群より選択される形状を有する上部を有する。ピラーの側壁表面は、円柱状、傾斜状または曲線状であってもよい。好ましくはピラーは、5nm〜7000nmの範囲の高さ、および5nm〜8000nmの範囲の直径を有する。場合によりピラーは、基板表面から延在するピラーのアレイの一部であってもよく、隣接するピラー間の間隔は、2nm〜4,000nmの範囲である。ピラーのアレイは、ナノスケール構造を利用して光の吸収または放射を最大にするために、選択された波長の光に関して選択された間隔で、周期的アレイを画定してもよい。ナノスケール構造上でのピラーの形成に適した材料としては、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、ケイ素、砒化ガリウム、および窒化ガリウムが挙げられる。
ナノスケール構造の金属ディスクは、金、銀、銅、アルミニウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせなどの金属から、ピラーの上部に形成される。金属ディスクの表面は均一である必要はなく、円形、尖形、多角形、楕円形、棒状、またはそれらの組み合わせなどの任意の構成を有していてもよい。好ましくは金属ディスクの側方寸法は、5nm〜1500nmの範囲であり、金属ディスクの垂直方向の厚さは、1nm〜500nmの範囲である。
ナノスケール構造のピラー側壁上に配設される金属ドット構造は、それぞれほぼ球状、円形、多角形、細長い形状またはそれらの組み合わせからなる形状の群より選択される形状を有し、3nm〜600nmの範囲の寸法を有する。共通のピラー上の金属ドット構造と金属ディスクとの空隙は、隣接する金属ドット構造間の空隙と同様に、0.5nm〜600nmの範囲である。
ナノスケール構造の金属バックプレーンは、ピラー本体を基板の表面から延在させる穴を含んで構成されてもよく、または実質的に連続していて、その表面にピラー本体が配設されていてもよい。好ましくは金属バックプレーンは、1nm〜2000nm、例えば50nm〜200nmの範囲の厚さを有し、金、銀、銅、アルミニウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせからなる金属の群より選択される金属で構成されている。金属バックプレーンは、金属ディスクと同一材料、または異なる材料のいずれかで形成されていてもよい。
本開示のナノスケール構造は、様々な方法により生成されてもよい。局所電場を増大させるため、光を吸収するため、または光を放射するための、ナノスケール構造を製造する例示的方法は、絶縁体または半導体材料の外表面を含む基板を用意するステップ;5nm〜7000nmの範囲の高さおよび5nm〜8000nmの範囲の側方寸法を有するピラーのアレイを該外表面に形成するステップ;導体材料をピラーの上部および基礎となる基板に塗布するステップ;ならびに同時に(または続いて)ピラー側壁上に導体ドット構造を析出させるステップ、を含む。ピラーのアレイは、電子ビームリソグラフィー、イオンビームリソグラフィー、フォトリソグラフィーまたはナノインプリントリソグラフィーを含む工程により形成される。
約800nmの波長で光を増大するように構成された一実施形態において、D2PAナノ構造は、周期的な非金属(例えば、誘電体または半導体)ピラーアレイ(ピッチ200nmおよび直径約100nm)と、各ピラーの上部の金属ディスク(直径約135nm)と、ピラーの底部の金属バックプレーンと、ピラーの壁に無作為に配置された金属ナノドットと、およびこれらの金属構成要素の間のナノギャップと、で構成されていてもよい。ディスクアレイおよびバックプレーン(両者とも厚さ55nm)が、励起光を垂直方向および側方に効率的に捕捉し得る3D空洞アンテナを形成する。各ピラーは、ピラーの幾何学的配置に応じて約10〜50個のナノドットを有し、ピラーの密度は、2.5×10ピラー/cmである。
該デバイスは、400〜1,000nmの範囲の波長を有する光を検出するように構成されていてもよい。ある特定の実施形態において、ナノドットの平均直径は、1nm〜25nmの範囲であり、ナノドット間の空隙、およびナノドットとナノディスクとの間の空隙は、1nm〜10nmの範囲であってもよい。金属は、金、銀、銅、アルミニウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される。ピラーの上部は、円形、多角形、錐体、楕円形、細長い棒状、またはそれらの任意の組み合わせからなる形状の群より選択される形状を有する。金属ディスクの側方寸法は、5nm〜150nmの範囲である。金属ディスクと金属バックプレーンとは、0.1nm〜60nmの範囲の距離を空けられている。少なくとも1つの金属ドット構造は、1nm〜25nmの範囲の寸法を有する。金属ドット構造と金属ディスクとの間の距離、および金属ドット構造と金属バックプレーンとの間の距離は、0.5nm〜50nmの範囲の距離を空けられている。
特定の実施形態において、複数のピラーの最も近い2つのピラーの間の間隔は、2nm〜20nmの範囲である。ピラーは、円柱状、傾斜状、または曲線状の側壁表面を有する。金属ディスクおよび金属バックプレーンの厚さは5nm〜60nmである。ピラーは、光の波長よりも小さい側方寸法または高さを有する。金属ディスクは、実質的にピラーと同じ側方の幾何学的配置を有する。ピラーは、ポリマー、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、ケイ素、砒化ガリウム、および窒化ガリウムからなる群より選択される誘電体または半導体材料を含む。金属ディスクの側方寸法は、光の波長よりも小さい。
図21は2つの別の実施形態を示し、実施形態(A)400では、ピラーの側壁には金属ドット構造が存在せず、ピラー415、ピラー上部の金属ディスク430、ピラー底部の金属バックプレーン450、ならびに該ディスクおよびバックプレーンにコーティングされた分子接着層460のみが存在する。それは基板410を有する。実施形態(B)500では、ピラーおよび金属ドット構造は存在せず、金属バックプレーン570のみが存在氏、それは当該金属バックプレーン上の誘電体(例えば、SiO)または半導体の薄膜580を有する誘電体または半導体基板510上の金属薄膜580となっており、最終的に金属ディスク、該ディスクのみにコーティングされた分子接着層560が存在する。それは基板510を有する。
金属ディスクの形状およびサイズ(側方寸法およびその厚さ)は、D2PAのものと類似している。実施形態(A)の場合、ピラーおよびバックプレーンはD2PAと類似している。実施形態(B)の場合、薄い誘電体および半導体層の材料はピラーの材料と類似しているが、膜の厚さは0.5nm〜150nmであり、バックプレーンの厚さに限定はない(2nmよりも薄いものは存在しないことを除く)。実施形態(B)において2つの非類似材料がディスクおよびバックプレーンで用いられ得ることを除けば、両方の実施形態において、金属の材料はD2PA内のものと類似している。
分子接着層および捕捉剤の被覆
図1に示される通り、ナノデバイス100は、基礎となるD2PAの金属表面の少なくとも一部を覆う分子接着層160を含む。分子接着層は2つの目的を有する。第一に、分子接着層はスペーサとして働く。最適な蛍光のために、発光標識(例えば、フルオロフォア)は金属表面に過度に接近させることはできない。なぜなら非放射線工程は蛍光をクエンチするからである。また増幅が減少されるため、発光標識を金属表面から過度に離すこともできない。理想的には発光標識は金属表面から最適な距離になければならない。第二に、分子接着層はナノデバイスに捕捉剤を結合させるための良好な接着をもたらす。良好な接着は、分子接着層の分子中に、一方では捕捉剤への、そして他方ではナノデバイスに対する高い親和性を有する反応性基を有することにより実現される
分子接着層(MAL)160は、(a)架橋分子の自己集合化単層(SAM)と、(b)多分子層の薄膜と、(c)(a)および(b)の組み合わせと、(d)捕捉剤のみと、を含む、多くの異なる構成を有し得る。
分子接着層160が架橋分子またはリガンドの自己集合化単層(SAM)である、MAL(a)の実施形態において、SAMの各分子は、3つの部分:(i)ナノデバイスの表面に対する特異的な化学的親和性を有する頭部基と、(ii)捕捉剤に対する特異的な親和性を有する末端基と、(iii)頭部基と末端基をつなぐ長く連続した分子であり、その長さ(金属から捕捉剤までの平均間隔を決定する)がナノデバイスの光増幅に影響を及ぼし得る分子鎖と、を含む。そのようなSAMを、図3に示す。
多くの実施形態において、金属表面に結合される頭部基は、チオール基、例えば−SHに属する。金属表面に結合する頭部基の他の代替物は、カルボン酸(−COOH)、アミン(C=N)、セレノール(−SeH)、またはホスファン(−P)である。他の頭部基、例えばシラン(−SiO)は、単層が誘電体材料または半導体、例えばケイ素でコーティングされる場合に用いることができる。
多くの実施形態において、末端基は、非限定的にN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ハロ置換フェノールエステル、ペンタフルオロフェノールエステル、ニトロ置換フェノールエステル、酸無水物、イソシアナート、イソチオシアナート、イミドエステル、マレイミド、ヨードアセチル、ヒドラジド、アルデヒド、またはエポキシドをはじめとし、様々な捕捉剤反応性基を含み得る。他の適切な基は、当該技術分野で公知であり、例えばHermanson,“Bioconjugate Techniques”Academic Press,2nd Ed.,2008に記載され得る。末端基は、ナノデバイス表面に集合化された後に分子鎖に化学的に結合でき、または表面に集合化される前に分子鎖と共に合成できる。
他の末端基は、カルボキシル−COOH基(EDC/NHSで活性化されてリガンド上の−NH2との共有結合を形成する);アミン−NH基(EDC/NHSにより活性化されたアミド結合を介してリガンド上の−COOHと共有結合を形成する);−NH2と反応してエポキシ(架橋剤を必要としないリガンド);アルデヒド(架橋剤を必要とせずにリガンド上の−NHと反応);チオール、−SH(SMCC様のバイオコンジュゲーションアプローチによりリガンド上の−NH2につなぐ);およびグルタチオン(GHS)(GSTタグ蛋白質の捕捉に理想的)である。
分子鎖は、炭素鎖であってもよく、その長さは、光シグナルを最適化するために発光標識から金属までの距離を変動させるよう調整できる。一実施形態において、実施例の節で詳細に記載される通り、SAM層は、ジチオビス(スクシンイミジルウンデカノアート)であり、その頭部基は硫黄−金結合を通して金表面に結合する−SHであり、末端基は捕捉剤の第一級アミン部位に結合するNHS−エステルであり、分子アルカン鎖は、1.7nmの長さを有する。
多くの実施形態において、頭部基と末端基をつなぐ分子鎖はアルカン鎖であり、それは水素原子および炭素原子のみで構成されていて、全ての結合が単結合であり、かつ炭素原子は環状構造で結合しておらず、代わりに簡単な直鎖を形成している。分子鎖の他の代替物は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(乳酸)(PLA)などのポリマーから得られるリガンドであってもよい。分子鎖は、頭部基が結合する金属表面にも、末端基が結合する捕捉剤にも、化学的に反応性がない。最大シグナル増幅を実現するために、分析物からナノデバイス表面までの距離を決定する鎖長を最適化できる。以下により詳細に記載される通り、分子鎖は、例えば0.5nm〜50nmの厚さを有し得る。
標題のナノセンサにおいて用いられる分子接着層は、一方の側では金属に強力に結合し(例えば硫黄原子を介して)、他方の側(外側)では捕捉剤反応性基、例えばアミン反応性基、チオール反応性基、ヒドロキシル反応性基、イミダゾリル反応性基、およびグアニジニル反応性基を終結させる、自己集合化単層(SAM)で構成されていてもよい。単層は、疎水性または親水性表面を有していてもよい。最も一般的に用いられる捕捉剤反応性基は、NHS(アミン反応性)およびマレイミド(スルフヒドリル反応性)であるが、多くの他の基を用いてもよい。
いくつかの実施形態において、分子接着層は、アルカンチオール(例えば、Kato Journal of Physical Chemistry 2002 106:9655−9658参照)、ポリ(エチレン)グリコールチオール(例えば、Shenoy et al Int.J.Nanomedicine.2006 1:51−57参照)、芳香族チオール、またはチオールで終結するいくつかの他の鎖の自己集合化単層であってもよい。
(a)チオールの硫黄が金および他の金属と相互作用すれば、強力かつ安定した結合を形成する(例えば、Nuzzo et al J.Am.Chem.Soc.1987 109:2358−2368参照)ため、かつ(b)ファンデルワールス力はアルカンと他の鎖とを集積させて、SAMを自発的に集合化させる(例えば、Love et al.Chem.Rev.2006 105:1103−1169参照)ので、チオール基が用いられてもよい。更に、末端基は、捕捉分子への直接結合に、または更なる化学修飾に利用できる。
アルカンチオールが、いくつかの実施形態において用いられ得る。アルカンチオールの集密な単層1cm2あたり4×1014のアルカンチオール分子が存在すると推定されており(Nuzzo et al,J.Am.Chem.Soc.1987 109:733−740)、これは基礎構造の表面の各金原子に対する1つのアルカンチオール結合に大体相当する。アルカンチオールで構成される自己集合化単層は、金基板をアルカンチオール溶液に浸漬することにより生成され得る(例えば、Lee et al Anal.Chem.2006 78: 6504−6510参照)。金は、還元されたアルカンチオール(−SH基)およびアルキルジスルフィド(−S−S−)の両方と反応可能である(例えば、Love et al Chem.Rev.2005 105:1103−1169参照)。
ポリ(エチレン)グリコールチオールまたはアルカンチオールの自己集合化単層が生成されたら、数多くの方策を利用して、捕捉剤を自己集合化単層とつなぐことができる。一実施形態において、ストレプトアビジン(SA)などの捕捉剤をSAMに結合させて、ビオチン化捕捉剤を固定できる。
一実施形態において、ストレプトアビジン(SA)そのものをSAMの官能基(例えば、末端基)として用いて、SAに対する高い結合親和性を有する捕捉剤分子、例えばペプチド、オリゴヌクレオチド、蛋白質および糖を含むビオチン化分子を架橋させることができる。
アビジン、ストレプトアビジンの官能基は、ビオチン基に対する高い親和性を有し、アビジン−ビオチンを形成する。そのような高い親和性が、アビジン/ストレプトアビジンを官能基として、そしてビオチン基を相補的官能基の結合として良好に作用させる。そのような官能基は、分子接着層のナノデバイスへの結合、分子接着層と捕捉剤との結合、および発光標識の二次捕捉剤への結合、におけるものであってもよい。一実施形態において、チオール反応性基を含む分子接着層は、金表面をアミン末端のSAMにつなぎ、そして更にスルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシラート(スルホ−SMCC)を利用してアミン基を更に修飾してマレイミド活性化表面を生成することにより、作製してもよい。マレイミド活性化表面は反応性チオール基であり、チオール(例えば、システイン)基を含む捕捉剤につなぐために用いることができる。
別の実施形態において、アミン反応性基(N−ヒドロキシルスクシンイミド(NHS))を含む分子接着層は、例えば金基板をジチオビススルホスクシンイミジルプロピオナート(DSP)またはジチオビス(スクシンイミジルウンデカノアート)などのスクシンイミジルアルカンジスルフィドの1〜10mM溶液に浸漬することにより、生成できる(例えば、Peelen et al J.Proteome Res.2006 5:1580−1585、およびStorri et al Biosens.Bioelectron.1998 13:347−357参照)。
別の実施形態において、アミン反応性基(NHS)を含む分子接着層は、12−カルボキシ−1−ウンデカンチオールなどのカルボキシル末端SAMを用いて生成してもよい。この場合、SAMの表面を1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl(EDC)の存在下でNHSにつないで、第一級アミンとの安定したアミド結合を形成する中間体を生成してもよい(例えば、Johnsson et al Anal. Biochem. 1001 198: 268−277参照)。
別の実施形態において、分子接着層はIgG、他の免疫グロブリン形態、例えばIgEのFc領域に高い親和性で結合するプロテインAを含んでいてもよい。
別の実施形態において、イミダゾール基(同じくアミンと反応性がある)は、カルボキシル末端SAMを1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させることにより付加されてもよい。
更なる実施形態において、アルデヒド末端アルカンチオール単層を用いて、蛋白質とアミン末端DNAオリゴヌクレオチドの両方を固定でき、ヒスチジン・タグ融合蛋白質を、ニトリロ三酢酸(NTA)修飾金表面上に固定できる。
チオール反応性基は、アプタマーをはじめとする合成DNAおよびRNAオリゴヌクレオチドにつなぐことができ、それらはチオール末端付きで商業的に容易に合成できる。チオール反応性基は、システイン基を含む蛋白質、例えば抗体にもつなぐことができる。チオール化された分子はマレイミド修飾表面に結合させることができる(例えば、Smith et al Langmuir 2002 19:1486−1492参照)。ある特定の例では、末端Cysの後に挿入されたアミノ酸スペーサ(例えば、Ser−Gly−Ser−Gly)を用いて、スペーサを欠く相対ペプチドの結合量を改善できる。オリゴヌクレオチドでは、アルカンスペーサを用いることができる。末端チオールを含むよう合成された炭水化物は、同じ方法で金に結合させることができる。
アミノ反応性基は、第一級アミン、例えばリシン残基上の遊離アミンと結合を形成できる。アミン反応性表面を用いて、蛋白質だけでなく、リシン残基を含むペプチドおよびアミン末端を有する合成オリゴヌクレオチドなどの他の生体分子を固定できる。
分子接着層160が多分子層の薄膜であるMAL(b)の実施形態において、該分子を、物理的吸着または強力な結合によりD2PAナノデバイス上にコーティングしてもよい。一実施例において、プロテインAを、D2PAナノデバイス表面の全体または部分的エリアにコーティングでき、その場合、プロテインAは、物理的吸着工程により結合させることができ、4nm〜5nmの厚さを有する。別の実施例において、該層はポリエチレングリコール(PEG)などのポリマーの薄膜であってよく、1つの末端に官能性頭部基、例えばチオール(−SH)を有する。官能化されたPEG分子層は、D2PAナノデバイス表面に強力な結合を形成する。PEG分子層の厚さはPEGポリマー鎖の長さを変化させることにより調整できる。別の実施例は非晶質SiO2薄膜であり、物理的または化学的析出法、例えば蒸着、スパッタリング、ゾル−ゲル法を利用してD2PAナノデバイスの表面に被覆される。SiO2薄膜の厚さは被覆の間に正確に制御できる。
分子接着層160が多分子層薄膜とSAMとの組み合わせである、MAL(c)の実施形態において、SAM層が最初に被覆され、次に多分子層が被覆されてもよい。
一実施例において、分子接着層は最初にストレプトアビジンの単層を含み、その次にビオチン、ペプチド、オリゴヌクレオチド、蛋白質および糖を含むビオチン化分子など、ストレプトアビジンに対する高い結合親和性を有する他の分子層を含んでもよい。
一実施例において、分子接着層は、SAM層ジチオビス(スクシンイミジルウンデカノアート)(DSU)およびプロテインA層を含んでもよい。DSU SAM層は、硫黄−金結合を通してナノデバイスの金属表面に結合し、かつプロテインA上の第一級アミン部位に結合するNHSエステルの末端基を有する。特定の例において、捕捉抗体は、DSUの上部にプロテインAがあるそのような二層に、それらのFc領域により結合する。プロテインAは、より良好な捕捉効率のために抗体の配向を確保できる。
分子接着層160が捕捉剤そのものであるMAL(d)の実施形態において、捕捉剤は、標題のナノデバイス(即ち、D2PA)の金属またはピラー側壁に対して高い親和性を有する頭部基を有する。一般的な頭部基の1つはチオール反応性基である。チオール反応性基は、アプタマーをはじめとする合成DNAおよびRNAオリゴヌクレオチドに結合させることができ、それらはチオール末端付きで商業的に容易に合成できる。チオール反応性基は、システイン基を含む蛋白質、例えば抗体にもつなぐことができる。MALそのものが捕捉剤として用いられる別の実施例には、抗体フラグメント、例えば半IgG、Fab、F(ab’)2、Fcの層がある。抗体フラグメントは、ヒンジ領域内に局在するチオールエンドペプチダーゼを介して直接、金属表面に結合する。この実施形態を図6に示す。この実施形態において、核酸は、ナノデバイスに直接結合する頭部基を含む。そのステップの残りは、図5に記載する通り実施される。
分子接着層の厚さは、0.5nm〜50nm、例えば1m〜20nmの範囲でなければならない。分子接着層の厚さは、例えば用いられるSAMのリンカー(アルカンまたはポリ(エチレングリコール)鎖)の長さを増加または減少させることにより、特定の適用例に最適化させることができる。リンカー内の各結合が0.1nM〜0.15nMであると仮定すれば、最適なSAMは、ある特定の例において、5〜50個の炭素原子、例えば10〜20個の炭素原子のポリマーリンカーを含み得る。
捕捉剤と分子接着層表面の捕捉剤反応性基との反応を介して、捕捉剤を分子接着層に結合させることにより、ナノセンサが作製され得る。
捕捉剤は、先に議論された方法など任意の簡便な方法により、分子接着層に結合させることができる。多くの例において、捕捉剤は、ビオチンとストレプトアビジンなどのような高親和性で強力な相互作用により、分子接着層に結合され得る。ストレプトアビジンは蛋白質であるため、先に記載されたアミン反応性の方法のいずれかを利用して、ストレプトアビジンを分子接着層の表面につなぐことができる。ビオチン化された捕捉剤は、それらをストレプトアビジン上にスポットすることにより固定できる。他の実施形態において、捕捉剤は、強力な結合を形成する反応、例えば捕捉剤と分子接着層との間にアミド結合を生成する、蛋白質のリシン残基内のアミン基またはアミノ化オリゴヌクレオチドとNHSエステルとの反応、を介して分子接着層に結合させることができる。他の実施形態において、捕捉剤は、蛋白質のシステイン残基内のスルフヒドリル基またはスルフヒドリルオリゴヌクレオチドと分子接着層の表面のスルフヒドリル反応性マレイミドとの反応を介して、分子接着層に強力に結合させることができる。捕捉剤を様々な反応性基につなぐためのプロトコルは、当該技術分野で周知である。
一実施形態において、捕捉剤は、蛋白質を捕捉する核酸であってもよく、または捕捉剤は、核酸、例えばDNA、RNAを捕捉する蛋白質であってもよい。核酸は、配列特異的(緊密な)結合または非配列特異的(緩い)結合により蛋白質に結合し得る。
ある特定の例において、標題のナノデバイスは、方法:(a)基板の上部表面で少なくとも1つのピラーをパターン化すること;(b)上部表面の金属材料層を被覆させること;(c)ピラー上部に付着した金属材料にディスクを形成させ、ピラー底部に付着した金属材料に金属バックプレーンを形成させ、かつ側壁に被覆された金属材料に少なくとも1つの金属ドット構造を形成させること;そして先に記載された通り(d)被覆した金属材料の上部に分子接着層を結合させて、分子接着層が金属ドット構造、金属ディスク、および/または金属バックプレーンの少なくとも一部を覆い、かつ分子接着層の外表面が捕捉剤反応性基を含むこと、を利用して作製されてもよい。
更に、(a)におけるパターン化は材料の直接的なインプリンティング(エンボシング)を含み、該材料は、電気的性質として誘電体または半導体であってもよく、ポリマー、またはモノマーもしくはオリゴマーの硬化により形成されたポリマー、または非晶質無機材料であってもよい。該材料は、10ナノメータ〜10ミリメータの厚さの薄膜であってもよく、または基板を有する多層材料であってもよい。インプリンティング(即ち、エンボシング)とは、表面に構造を有する鋳型を有し、この鋳型を該材料内にプレスすると該材料に反転した構造が刻印されることである。基板、または上部のインプリンティングされた層は、プラスチック(即ち、ポリマー)、例えばポリスチリング(polystyring)(PS)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、他のアクリル樹脂などであってもよい。インプリンティングは、ローラーインプリンターを用いたロール・ツー・ロール技術により実施されてもよい。そのような工程は、大きな経済的利点を有し、このためコストが削減される。
ナノセンサ
先に示された方法により作製されるナノセンサが提供される。ある特定の実施形態において、ナノセンサは、(a)基板と;(b)基板の表面から延在する1つまたは複数のピラーと、を含み、ピラーの少なくとも1つは、i.ピラーの上部の金属ディスクと、ii.ピラーの底部にあり、ピラーの底部付近の基板表面の大部分を覆う金属バックプレーンと、iii.ピラーの側壁に配設された金属ドット構造と;iv.金属ドット構造、金属ディスクおよび/または金属バックプレーンの少なくとも一部を覆う分子接着層と;v.分析物に特異的に結合する、分子接着層につなげられた捕捉剤と、を含む。ナノセンサは、分析物が捕捉剤に結合されると、分析物からの光シグナルを増幅させることを特徴とする。
光の増幅は、以下の因子の1つまたは複数によって生じる:ナノセンサが(a)光(例えば、蛍光部分を励起する波長の光)の励起を効果的に吸収することができる、(b)吸収された光をある特定の位置に集束させることができる、(c)光のほとんどが集束される領域に分析物を配置させることができる、そして(d)分析物が固定された位置から、分析物により発生された光を効率的に放射させることができる。
分析物を標識する方法にもよるが、増幅される光シグナルは、ルミネセンス(例えば、化学ルミネセンス、エレクトロルミネセンス、または蛍光)であってもよい。図3に、捕捉剤が蛋白質、例えば抗体であるバイオセンサを示し;図4に、捕捉剤が核酸、例えばオリゴヌクレオチドであるバイオセンサを示す。いくつかの実施形態において、分子接着層の厚さは、光シグナルの増幅を最適化するように選択される。
いくつかの実施形態において、異なる捕捉剤が、ナノセンサ表面に結合されており、各捕捉剤は、例えばアレイの形態で、ナノセンサ表面の異なる位置にコーティングされ、各位置は特異的な分析物種を捕捉するよう特化されているため、こうして異なる分析者の検出における多重化が得られる。
いくつかの実施形態において、ナノセンサは、マルチウェル形式、例えば24ウェル、96ウェル、または384ウェル形式で実行されてもよく、その場合、マルチウェルプレートの各ウェルがナノセンサを含む(例えば、ナノセンサは、ウェルそれぞれの内部にあるか、または各ウェルの底もしくは側壁部分にある)。各ウェルの捕捉剤は、同一であっても、または異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、それぞれが異なる位置にコーティングされている複数の異なる捕捉剤が、ウェルに入れられていてもよく、それにより異なる分析者の検出の多重化を得られる。これらの実施形態において、試料中の複数の分析物が、並行して分析され得る。いくつかの実施形態において、ナノセンサは、マイクロまたはナノ流体チャネルの一部であってもよい。
特定の実施形態において、標題のナノセンサは、捕捉剤に特異的に結合する標識された分析物を更に含んでいてもよい。先に注記された通り、標識された分析物は、発光標識で直接的または間接的に標識されていてもよい。分析物が発光標識で間接的に標識される実施形態において、分析物は、それ自体が光学的に標識されている、検出剤(例えば、二次抗体または別の核酸)とも言われる二次捕捉剤に結合されていてもよい。二次捕捉剤は、いくつかの例において、「検出剤」と呼ばれる場合がある。
別の実施形態において、標題のナノセンサは、マイクロ流体チャネル(1〜1000マイクロメータのチャネル幅)もしくはナノ流体チャネル(1マイクロメートル未満のチャネル幅)の内側、またはそのようなチャネルの内壁の一部に配設されていてもよい。ナノセンサは、各チャネルの内側の複数の位置に配設されていてもよく、複数のチャネル内で用いられてもよい。異なる位置または異なる流体チャネル内のナノセンサが、後に、検出の多重化のために異なる捕捉剤でコーティングされてもよい。
システム
また提供されるのは、標題のナノセンサと、ナノセンサのためのホルダーと、標識(即ち、発光標識)からの光シグナルを誘導する励起供給源と、光シグナルを読み取るように適合されたリーダ(例えば、ナノセンサの表面の二次元スペクトルマップを生成し得る、光検出器、CCDカメラ、CMOSカメラ、分光計、または画像デバイス)と、を含むシステムである。明白であろうが、該システムは、リーダからの電気シグナルを増幅、フィルタリング、調節、制御および保存し、リーダおよび試料ホルダーの位置を制御する、電子装置、コンピュータシステム、ソフトウエア、および他のハードウエアも有し得る。試料ホルダーの位置は1つまたは全ての3つの垂直方向に移動して、試料の異なる位置からの光シグナルをリーダにスキャンさせることができる。
励起源は、(a)光源、例えば特定のフルオロフォアを励起するのに適した波長のレーザ、および波長の選択のための光フィルタを備えたランプもしくは発光ダイオード、または(b)電流を提供してナノセンサからの光を励起する電源(電子化学ルミネセンス標識が用いられる場合に使用され得る)であってもよい。例示的システムを図2に示す。図2を参照すると、励起システムは、レーザと、レーザ光学素子(ビームエキスパンダ、レンズ、鏡およびレーザラインパスフィルタを含む)と、リーダ(例えば、CCDセンサを有する分光計)と、更なる光学素子(例えば、長波長パスフィルタ、ビームスプリッタ、およびレンズ)と、ナノセンサのホルダーと、を含み得る。ある特定の例において、ホルダーは、X−YおよびZ移動する電動化ステージ上にあってもよい。
特定の例において、レーザラインパスフィルタは、波長がレーザと異なる光を選別し、長波長パルフィルタは、光検出標識からの光発出のみを通過させる。異なる蛍光標識は異なるスペクトル範囲の光を吸収するため、蛍光標識は、最適な量子効率を実現するためにピーク吸収波長をレーザ励起波長に適合させるように選択されなければならない。多くの実施形態において、ナノセンサ上の蛍光標識から発出する光シグナルは、レーザ波長よりも少なくとも20nm高い波長である。つまりナノセンサのプラズモン共鳴は、蛍光標識の吸収ピーク波長、発光ピーク波長、およびレーザ励起波長を網羅するように調整されなければならない。いくつかの実施形態において、励起および蛍光波長範囲は、100nm〜20,000nmであってもよい。好ましい範囲は、300nm〜1200nmである。600〜850nmの範囲は、低いバックグランドノイズであるため好ましい。
先の事柄から明白であろうが、ある特定のナノセンサは、マルチウェル形式で実行されてもよい。これらの実施形態において、ステージは、リーダがマルチウェルプレートの各ウェルからの光シグナルを個別に読み取り得るように移動できる。
アッセイ法
標題のナノセンサを用いて試料中の分析物を検出してもよい。この方法は、(a)試料中の分析物と捕捉剤との特異的結合に適した条件下で、分析物を含む試料をナノセンサと接触させること;および(b)ナノセンサから光検出可能なシグナルを読み取ること、を含んでいてもよく、光検出可能なシグナルが、分析物が捕捉剤に結合していることを示す。先のステップ(a)において、捕捉剤への結合の前に、分析物は発光標識で標識されてもよく、または標識されなくてもよい(直接的または間接的標識とも称される)。分析物が結合前に発光標識で標識されない実施形態において、捕捉剤に結合した後の分析物は、それ自体が光標識された二次捕捉剤(即ち、検出剤)(例えば、二次抗体または別の核酸)、標識された二次捕捉剤または標識された検出剤に結合されてもよい(そのような工程は、分析物の間接的標識とも称される)。間接的標識を利用した感知において、分析物に結合していない標識二次捕捉剤は、先の読み取りステップ(b)の前に除去される。直接的標識を利用した感知において、分析物に結合していない光標識は、先の読み取りステップ(b)の前に除去される。
アッセイで発光標識を読み取る際、励起(光励起、電子励起、化学励起、またはそれらの組み合わせ)が発光標識に適用されて、強度、波長、および位置をはじめする光の特性が検出される。
ある特定の実施形態において、該方法は、捕捉剤を標題のナノデバイスの分子接着層に結合させてナノセンサを生成することを含み、その結合は、先に記載された通り、捕捉剤と、分子接着層状上の分子中の捕捉剤反応性基との化学反応を通して実施される。次に、該方法は、標的分析物を含む試料をナノセンサと接触させることを含み、接触は、特異的結合に適した条件下で実施され、標的分析物は捕捉剤に特異的に結合する。このステップの後、該方法は、捕捉剤に結合していない任意の標的分析物を除去することを含み(例えば、結合緩衝液中でナノセンサの表面を洗浄することによる)、その後、光検出性標識と結合された検出剤を添加して、標的分析物を検出する。標的分析物に結合していない検出剤を除去した後、ナノデバイスをその後読み取りシステムと共に用いて、ナノセンサに結合したままの検出剤からの光シグナル(例えば、300nm〜1200nmの範囲の波長の光)を読み取ることができる。明白であろうが、該方法は、標的分析物を発光標識で標識することを更に含む。これは、接触ステップの前または後に、即ち分析物が捕捉剤に結合した後に実施できる。ある特定の実施形態において、分析物は、ナノセンサと接触する前に標識される。他の実施形態において、分析物は、ナノセンサの捕捉剤に結合した後に標識される。更に先に述べた通り、分析物は、直接的に標識されても(その場合、分析物は該方法の開始時に発光標識に強力につながり得る)、または間接的に標識されてもよい(即ち、標的分析物を、標的分析物に特異的に結合しかつ発光標識につながれる二次捕捉剤、例えば標識された二次抗体または標識された核酸、に結合させることによる)。いくつかの実施形態において、該方法は、接触ステップ(b)の前にナノセンサをブロッキングし、それにより捕捉剤の非標的分析物への非特異的結合を予防することを含んでいてもよい。
特異的結合および標的分析物が捕捉剤に特異的に結合するための適切な条件としては、適切な温度、時間、溶液のpHレベル、周囲の光レベル、湿度、化学試薬濃度、抗原−抗体比などが挙げられる。
ある特定の実施形態において、核酸捕捉剤を用いて蛋白質分析物(例えば、DNAまたはRNA結合蛋白質)を捕捉できる。別の実施形態において、該蛋白質捕捉剤(例えば、DNAまたはRNA結合蛋白質)を用いて核酸分析物を捕捉できる。
試料は液体試料であってもよく、ある特定の実施形態において、試料は細胞、組織または体液由来の臨床試料であってもよい。目的の体液としては、非限定的に、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば、全血、血液画分、血漿、血清など)、母乳、脳髄液(CSF)、耳垢(耳糞)、乳び、消化粥、内リンパ、外リンパ、便、胃酸、胃液、リンパ、粘液(鼻漏および痰を含む)、囲心腔液、腹腔液、胸膜液、膿、粘膜分泌液、唾液、皮脂(皮膚の油)、精液、喀出物、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿および呼気凝縮液が挙げられる。
アッセイのステップのいくつかを、図4および5に示す。捕捉剤とそれらの結合パートナー(分析物を含む)との分子相互作用についての方法の一般的方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Harlow et al,.Antibodies:A Laboratory Manual,First Edition(1988)Cold spring Harbor,N.Y.;Ausubel,et al,Short Protocols in Molecular Biology,3rd ed.,Wiley & Sons,1995参照)。図4および5に示された方法は、例示であり、それらの図に記載された方法は、アッセイを実施する唯一のやり方ではない。
例示的抗体結合アッセイのステップのいくつかを図4に示す。このアッセイにおいて、ナノデバイス100は、先に記載された方法に従って抗体につながれて、ナノデバイスの分子接着層に結合された抗体202を含むナノセンサ200を生成する。ナノセンサ200が生成された後、ナノセンサは、特異的結合に適した条件下で標的分析物(例えば、標的蛋白質)を含む試料と接触される。抗体202は試料中の標的分析物204に特異的に結合する。未結合分析物がナノセンサから洗い流された後、ナノセンサは、特異的結合に適した条件下で発光標識208で標識された二次抗体206と接触される。未結合の二次抗体がナノセンサから除去された後、ナノセンサを読み取り、初期試料中の分析物204の量が同定および/または定量化されてもよい。
例示的核酸結合アッセイのステップのいくつかを図5に示す。このアッセイにおいて、ナノデバイス100は、先に記載された方法に従って核酸、例えばオリゴヌクレオチドにつながれて、分子接着層につながれた核酸分子302を含むナノセンサ300を生成する。ナノセンサ200が生成された後、ナノセンサは、標的核酸304の核酸捕捉剤302への特異的ハイブリダイゼーションに適した条件下で、標的核酸304を含む試料と接触される。核酸捕捉剤304は試料中の標的核酸304に特異的に結合する。未結合の核酸がナノセンサから洗い流された後、ナノセンサは、特異的ハイブリダイゼーションのための条件下で、発光標識308で標識された二次核酸306と接触される。未結合二次核酸がナノセンサから除去された後、ナノセンサを読み取り、初期試料中の核酸304の量が同定および/または定量化されてもよい。
標題のデバイスを用いて実施され得る、増大されたDNAハイブリダイゼーションアッセイの一例が、サンドイッチハイブリダイゼーションアッセイである。捕捉DNAは、その3’末端がチオールで官能化された一本鎖DNAである。検出DNAは、3’末端が蛍光標識、例えばIRDye800CWで官能化された一本鎖DNAである。捕捉DNAおよび検出DNAは両者とも20bpの長さを有する。それらは異なる配列で合成されており、異なる領域で標的DNAへの相補的結合を形成する。最初に捕捉DNAが硫黄−金反応によりD2PAナノデバイスの金属表面に固定される。その後、標的DNAがナノデバイスに添加されて、捕捉DNAにより捕捉される。最後に蛍光標識された検出DNAがナノデバイスに添加されて、固定された標的DNAが検出される。未結合の検出DNAを洗い流した後、ナノデバイス表面からの蛍光シグナル発出が、標的DNA分子の検出および定量化のために測定される。
図4および5に示される実施形態において、結合した分析物は、フルオロフォアまたは視覚的に検出され得る色素生成化合物の合成を触媒する酵素に結合され得る二次捕捉剤(即ち、「検出剤」)を用いて、もしくは画像システムを用いて検出できる。一実施形態において西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を用いてもよく、これにより色素生成基質(例えば、TMB、DAB、またはABTS)を有色生成物に変換し得る、または、化学ルミネセンス基質が用いられる場合にはルミネセンス生成物を生成し得る。特定の実施形態において、標識により生成された光シグナルは、300nm〜900nmの範囲の波長を有する。ある特定の実施形態において、標識は、エレクトロルミネセンスであってもよく、そのため光シグナルは、センサに電流を供給することにより生成され得る。
いくつかの実施形態において、二次捕捉剤(即ち、検出剤)、例えば二次抗体または二次核酸は、フルオロフォア、例えばキサンテン染料、例えばフルオレセインイソチオシアナート(FITC)、6−カルボキシフルオレセイン(略語FAMおよびFにより一般に知られる)、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOEまたはJ)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRAまたはT)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROXまたはR)、5−カルボキシローダミン−6G(R6G5またはG5)、6−カルボキシローダミン−6G(R6G6またはG6)、およびローダミン110などのフルオレセインおよびローダミン染料;シアニン染料、例えばCy3、Cy5およびCy7染料;クマリン、例えばウンベリフェロン;ベンゾイミド染料、例えばHoechst 33258;フェナントリジン染料、例えばTexas Red;エチジウム染料;アクリジン染料;カルバゾール染料;フェノキサジン染料;ポルフィリン染料;ポリメチン染料、例えばCy3、Cy5などのシアニン染料;BODIPY染料ならびにキノリン染料につながれてもよい。表題の適用において一般に用いられる具体的な目的のフルオロフォアとしては、ピレン、クマリン、ジエチルアミノクマリン、FAM、フルオレセインクロロトリアジニル、フルオレセイン、R110、エオシン、JOE、R6G、テトラメチルローダミン、TAMRA、リサミン、ROX、ナプトフルオレセイン、Texas Red、ナプトフルオレセイン、Cy3、およびCy5、IRDye800、IRDye800CW、Alexa 790、Dylight 800などが挙げられる。
一次および二次捕捉剤は、高い特異的親和性により標的分析物に結合しなければならない。しかし一次および二次捕捉剤は、抗原内の異なる部位に結合する必要があるため分子であることはできない。一例が、抗ヒトβアミロイド捕捉抗体6E10および検出G210であり、その場合、6E10はヒトβアミロイドペプチド上の10番目のアミン部位のみに結合し、G210は40番目のアミン部位のみに結合する。捕捉剤および二次捕捉剤は互いに反応しない。別の実施例は、ウサギ抗ヒトIgGを捕捉抗体として使用しロバ抗ヒトIgGを検出抗体として使用する。捕捉および検出剤は異なる宿主種に由来するため、それらは互いに反応しない。
蛋白質、例えば二次抗体、および核酸をフルオロフォアで標識する方法は、当該技術分野で周知である。化学ルミネセンス標識は、アクリジニウムエステルおよびスルホンアミド、ルミノールおよびイソルミノールを含み;電子化学ルミネセンス標識は、ルテニウム(II)キレート化剤を含み、他のものも公知である。
応用例
標題の方法および組成物は、様々な適用例に用途を見出し、そのような適用例は、所与の試料中の特定分析物の存在を、定量的でないとしても少なくとも定性的に検出する、分析物検出の適用例である。分析物検出アッセイを実施するためのプロトコルは、当業者に周知であり、本明細書に詳細に記載する必要はない。一般に、目的の分析物を含むことが疑われる試料を、標題のナノセンサに結合された各捕捉剤に分析物を結合させるのに十分な条件下で、該センサの表面と接触させる。捕捉剤は目的の標的分子に対して高い特異的親和性を有する。この親和性は、抗体が抗原上の特異的エピトープに結合する抗原−抗体反応であってもよく、または核酸の2つ以上の相補鎖の間での配列特異的なDNA/RNAまたはDNA/RNAハイブリダイゼーション反応であってもよい。つまり目的の分析物が試料中に存在する場合、分析物が捕捉剤の部位でセンサに結合する可能性があり、センサ表面に複合体が形成される。即ち、捕捉された分析物がセンサ表面に固定される。未結合の分析物を除去した後、センサ表面のこの結合複合体(即ち、目的の固定化分析物)の存在が、例えば標識された二次捕捉剤を用いて、検出される。
目的の特異的分析物検出の適用例としては、核酸捕捉剤が用いられるハイブリダイゼーションアッセイ、およびポリペプチド、例えば抗体が用いられる蛋白質結合アッセイが挙げられる。これらのアッセイでは、試料が最初に調製され、試料の調製に続いて、試料が特異的結合条件下で標題のナノセンサと接触され、これによりセンサ表面に結合された捕捉剤に相補的な標的核酸またはポリペプチド(または他の分子)の間に、複合体が形成される。
一実施形態において、捕捉オリゴヌクレオチドは、一方の端部がチオール化された20〜100塩基長の合成一本鎖DNAである。これらの分子は、ナノデバイス表面に固定されて、固定された捕捉DNAに相補的な配列を有する標的一本鎖DNA(少なくとも50bp長であってもよい)を捕捉する。ハイブリダイゼーション反応の後、配列が標的DNAの未占有の核酸に相補的である検出一本鎖DNA(20〜100bp長であってもよい)を付加して、標的とハイブリダイズする。検出DNAは蛍光標識に結合された一方の端部を有し、その発光波長はナノデバイスのプラズモン共鳴内である。それゆえ、ナノデバイス表面からの蛍光発光を検出することにより、標的とされる一本鎖DNAを正確に検出し、定量化できる。捕捉および検出DNAの長さは、融解温度(ヌクレオチド鎖は融解温度を超えると分離する)、誤対合の度合い(鎖が長い程、誤対合が少ない)を決定する。相補的結合のために長さを選択する際の関心事の1つは、融解温度を可能な限り高く保持しながら誤対合を最小限に抑える必要性に依存する。さらに、ハイブリダイゼーション長の全長が、最適なシグナル増幅を実現するために決定される。
標題のセンサは、(a)疾患または状態を有することが疑われる患者から液体試料を得ること、(b)試料を標題のナノセンサと接触させることであって、ナノセンサの捕捉剤が疾患のバイオマーカと特異的に結合し、接触はバイオマーカと捕捉剤との特異的結合に適した条件下で実施される、接触させること;(c)捕捉剤に結合していない任意のバイオマーカを除去すること;および(d)ナノセンサに結合したままのバイオマーカから光シグナルを読み取ることであって、光シグナルは患者が疾患または状態を有することを示す、読み取ること、とを含む疾患または状態を診断する方法であって、バイオマーカが捕捉剤に結合される前または結合された後に、バイオマーカを発光標識で標識すること、を更に含む、方法において用いられ得る。以下により詳細に記載される通り、患者は癌を有することが疑われる可能性があり、かつ抗体は癌のバイオマーカに結合する。別の実施形態において、患者は神経障害を有することが疑われ、かつ抗体は神経障害のバイオマーカに結合する。
標題のセンサの適用例としては、非限定的に、(a)ある特定の疾患、例えば感染および寄生虫疾患、傷害、心臓血管疾患、癌、精神障害、神経精神病障害および器質性疾患、例えば肺疾患、腎臓疾患のステージに相関する化学化合物もしくは生体分子の検出、精製および定量化、(b)環境、例えば水、土壌、もしくは生物学的試料、例えば組織、体液から得られる微生物、例えばウイルス、真菌および細菌の検出、精製および定量化、(c)食品安全性もしくは国家保安への脅威を有する化学化合物もしくは生物学的試料、例えば有毒廃棄物、炭疽の検出、定量化、(d)医学的もしくは生理学的モニタにおけるバイタルパラメータ、例えばグルコース、血中酸素レベル、総血球数の定量化、(e)生体試料、例えば細胞、ウイルス、体液から得られた特定のDNAもしくはRNAの検出および定量化、(f)ゲノム解析のための染色体およびミトコンドリア中のDNAの遺伝子配列のシーケンシングおよび比較、または(g)例えば医薬品の合成もしくは精製の間の、反応生成物の検出、が挙げられる。
検出は、細胞、組織、体液、および糞便などの様々な試料マトリクス中で実施され得る。目的の体液としては、非限定的に、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば、全血、血液画分、血漿、血清など)、母乳、脳髄液(CSF)、耳垢(耳糞)、乳び、消化粥、内リンパ、外リンパ、便、胃酸、胃液、リンパ、粘液(鼻漏および痰を含む)、囲心腔液、腹腔液、胸膜液、膿、粘膜分泌液、唾液、皮脂(皮膚の油)、精液、喀出物、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿および呼気凝縮液が挙げられる。
いくつかの実施形態において、標題のバイオセンサは、試料中の病原体から標的核酸を検出することにより、病原体感染を診断するのに用いることができる。標的核酸は、例えばヒト免疫不全ウイルス1および2(HIV−1およびHIV−2)、ヒトT細胞白血病ウイルスおよび2(HTLV−1およびHTLV−2)、呼吸系発疹ウイルス(RSV)、アデノウイルス、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、サイトメガロウイルス(CMV)、単純ヘルペスウイルス1および2(HSV−1およびHSV−2)、ヒトヘルペスウイルス8(HHV−8、カポジ肉腫ヘルペスウイルスとしても公知)および黄熱病ウイルス、デングウイルス、日本脳炎ウイルスおよび西ナイルウイルスを含むフラビウイルスを含む群より選択されるウイルス由来であってよい。しかし、本発明は前述のウイルスから得られるDNA配列の検出に限定されず、獣医学および/またはヒト医学において重要な他の病原体に何の問題もなく適用できる。
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)は、それらのDNA配列相同性に基づき、70を超える異なる型に更に細分化される。これらの型は異なる疾患を誘発する。HPV1型、2型、3型、4型、7型、10型および26〜29型は、良性の疣贅を誘発する。HPV5型、8型、9型、12型、14型、15型、17型および19〜25型および46〜50型は、免疫系の弱い患者において病変を引き起こす。6型、11型、34型、39型、41〜44型および51〜55型は、生殖器領域および呼吸管の粘膜に良性尖形疣贅を誘発する。HPV16型および18型は、生殖器粘膜の上皮異形成を誘発し、子宮頸部、膣、陰門、および肛門管の浸潤癌の高割合に関連することから、特別な医療的関心を集めている。ヒト乳頭腫ウイルスのDNAの組み込みは、子宮頸癌の発癌性に決定的であるとみなされている。ヒト乳頭腫ウイルスは、例えばそのカプシド蛋白質L1およびL2のDNA配列から検出され得る。したがって本発明の方法は、癌の発生リスクを評価するための、組織試料中のHPV16型および/または18型のDNA配列の検出に特に適する。
いくつかの例において、ナノセンサを用いて、低濃度で存在するバイオマーカを検出してもよい。例えばナノセンサを用いて、例えば容易に入手可能な体液(例えば、血液、唾液、尿、涙液など)中の癌抗原を検出してもよく、容易に入手可能な体液中の組織特異的疾患のバイオマーカ(例えば、神経障害(例えば、アルツハイマー病の抗原)のバイオマーカ)を検出してもよく、感染を検出してもよく(特に低力価の潜伏ウイルス、例えばHIVの検出)、母体血中の胎児性抗原を検出してもよく、かつ対象の血流中の外来性化合物(例えば、薬物または汚染因子)を検出してもよい。
以下の表に、標題のナノセンサ(適切なモノクローナル抗体と併用される場合)を用いて検出され得る蛋白質バイオマーカおよび関連の疾患の列挙を示す。バイオマーカの1つの潜在的供給源(例えば、「CSF」;脳脊髄液)も表中に示す。多くの場合、標題のバイオマーカにより、示された異なる体液中のバイオマーカを検出できる。例えばCSF中に見出されるバイオマーカは、例えば尿、血液または唾液中で同定され得る。
先に記載された通り、表題のナノセンサを用いて、試料中の核酸を検出できる。標題のナノセンサは、様々な創薬に用いることができ、また先に記載された診断適用に加えて研究適用に用いることができる。例えば標題のナノセンサは、非限定的に、疾患または状態の診断またはモニタリング(核酸の存在が疾患または状態のバイオマーカを提供する場合)、薬物ターゲットの発見(例えば核酸が疾患または状態において異なって発現され、薬物治療の標的となり得る場合)、薬物スクリーニング(核酸レベルを評価することにより、薬物の作用がモニタリングされる場合)、薬物感受性の決定(薬物感受性が核酸の特定のプロファイルと関連する場合)および基本的検査(試料中の核酸の存在を同定すること、またはある特定の実施形態において、2つ以上の試料において特定核酸の相対レベルを同定することが望ましい場合)をはじめとし、様々な適用例に用いられ得る。
ある特定の実施形態において、2つ以上の異なる核酸試料中の相対的核酸レベルは、先の方法を利用して得られ、比較されてもよい。これらの実施形態において、上記方法から得られる結果は通常、試料中の核酸(例えば、構成的RNA)の総量に標準化され、比較される。これは、比率を比較すること、または任意の他の手段により実施されてもよい。特定の実施形態において、2つ以上の異なる試料の核酸プロファイルを比較して、特定疾患または状態に関連する核酸を同定してもよい。
いくつかの例において、異なる試料は、「実験的」試料、即ち目的の試料と、実験的試料を比較し得る「対照」試料とからなり得る。多くの実施形態において、異なる試料は、細胞型またはその画分の対であり、一方の細胞型は、目的の細胞型、例えば異常細胞であり、他方は対照細胞、例えば正常細胞である。2つの細胞画分を比較する場合、画分は通常、2種の細胞それぞれから得られた同じ画分である。しかしある特定の実施形態において、同じ細胞の2つの画分が、比較されてもよい。例示的な細胞型の対としては、例えば組織生検から単離された細胞(例えば、結腸癌、乳癌、前立腺癌、肺癌、皮膚癌などの疾患を有する組織、または病原体などに感染した組織から得たもの)と、通常は同じ患者からの、同じ組織の正常細胞;不死であり(例えば、増殖性突然変異または不死化導入遺伝子を有する細胞)、病原体に感染した、または処置された(例えば、ペプチド、ホルモン、温度変化、増殖条件、物理的ストレス、細胞形質転換など、環境または化学剤による)組織培養で増殖された細胞と、正常細胞(例えば、不死でないこと、感染されていないこと、または処置されていないこと以外は実験的細胞と同一である細胞);癌、疾患を有する哺乳動物、老齢の哺乳動物、または状態に暴露された哺乳動物から単離された細胞と、健常または若齢の同じ種の、好ましくは同じ族の、哺乳動物から得た細胞;および同じ哺乳動物からの分化細胞と非分化細胞(例えば、哺乳動物の一方の細胞が、他方の前駆細胞である)、が挙げられる。一実施形態において、異なる型の細胞、例えば神経細胞と非神経細胞、または異なる状態(例えば、細胞への刺激前および刺激後)の細胞が、用いられてもよい。本発明の別の実施形態において、実験的材料は、ウイルス、例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの病原体による感染を受け易い細胞であり、対照材料は、病原体による感染に耐性のある細胞である。本発明の別の実施形態において、試料の対は、未分化細胞、例えば幹細胞と、分化細胞により表される。
前述の実施形態は、理解を明瞭にする目的で図示および実施例によりいくらか詳細に記載されたが、添付の特許請求の範囲の主旨または範囲を逸脱せずに、それらにある特定の変更および修正を施し得ることは、先の教示を参照することで当業者に即座に明白となろう。
本発明の教示の態様を、以下の実施例を参照して更に理解することができるが、実施例は、本発明の教示の範囲を限定するものと決して理解されるべきではない。
以下の実施例は、プロテインAと、近赤外染料(IRDye800CW)のタグを付けたヒト免疫グロブリンG(IgG)とを用いたイムノアッセイの蛍光および検出感度を、分子スペーサの自己集合化単層(SAM)を有する新しいプラズモン構造D2PAを利用して測定した方法の説明を示す。D2PA上のイムノアッセイの平均蛍光は、ガラスプレート上で実施された同一アッセイと比較して、7,400倍増大され、検出感度は3,000,000倍増大される(検出限界は0.9nMから0.3fMに低下される)。更に、蛍光増大の平均は、8桁のダイナミックレンジ(100nM〜1fM)を有し、大きな試料エリア全体で均一であり、空間変動は±9%である。単一分子のフルオロフォアが、D2PAの「ホットスポット」に配置されると、その蛍光は4×106倍増大され、平均増大量および検出感度が有意に更に上昇する可能性が示される。観察された増大は、過去に報告されたものよりも桁違いに大きい。大幅な増大は、現行のプラズモン構造設計におけるいくつかの重要な欠点を克服し得るD2PAの独特の3D構成に加え、薄いSAM分子スペーサの使用に起因する。D2PAは、溶液中のバイオマーカを、プラズモン構造のホットスポットに濃縮し得ることも考えられ、そのことが増大を更に改善し得る。D2PAプレートの作製方法は単純であり、安価で、自在に拡大縮小できる。良好な空間的均一性、広いダイナミックレンジ、および製造の容易さを合わせれば、イムノアッセイの蛍光および検出感度における大幅な増大は、生物学的試験、医療診断、および多くの他の実践において広い用途を有するに違いない。
材料と方法I
プラズモン構造。本明細書に記載されたプラズモン構造は、「ディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイ(D2PA)」とも称され、内側に高密なプラズモンナノドットを備えた高密な三次元(3D)共鳴空洞ナノアンテナのアレイと、金属構成要素を連結するナノギャップと、を有する(図7に図示;Li et al Optics Express 2011 19,3925−3936も参照)。3Dアンテナは、光の受信および放射の効率を大きく上昇させ、金属ナノドットおよびナノギャップは更に、光を小さな領域に「集束」させて、局所電場を増加させ、その高い密度が平均増大および均一性を上昇させる。特にD2PAは、周期的な非金属(例えば、誘電体または半導体)ピラーアレイ(ピッチ200nm、直径約100nmおよび高さ約65nm)と、各ピラーの上部の金属ディスク(直径約135nm)と、ピラーの底部の金属バックプレーンと、ピラーの壁上に無作為に配置された金属ナノドットと、これらの金属構成要素の間のナノギャップと、からなる(図7)。ディスクアレイおよびバックプレーン(両者とも55nm厚)は、励起光を垂直方向および側方に効率的に捕捉し得る3D空洞アンテナを形成する。ナノドットは約5〜20nmの直径を有し、それらとナノディスクの間のナノギャップは1〜10nmである。各ピラーは、ピラーの幾何学配置に応じて約10〜50個のナノドットを有し、ピラー密度は2.5×109ピラー/cm2である。ピラーおよび金属ディスクの厳密な直径および高さは、励起レーザおよび蛍光の波長に適合するように最適化され、プラズモン増大におけるD2PAの各要素の役割は、他で議論されている(Li et al Optics Express 2011 19,3925−3936)。
ナノインプリント(トップダウン)を自己整列自己集合化(ボトムアップ)と組み合わせたナノファブリケーションアプローチにより、D2PA構造を4’’ヒューズドシリカウェハー上に作製した。最初にピラーを、ナノインプリントおよび反応性イオンエッチングによりシリカウェハー内にパターン化した。その後、薄い金層をウェハー上に、ウェハー表面に対して法線方向に蒸着させて、金ナノディスクをピラー上部に、金バックプレーン、およびピラー側壁に金ナノドットを、同時に析出させた。ピラー側壁に付着した金は、ナノディスクの上部およびバックプレーンのそれよりもかなり薄い。そのような薄い金は高い蒸着温度では不安定で拡散し、SiO2表面での金の非湿潤性も加わることで、金はナノドットに自己集合化し、ナノドットは間に小さな空隙を含みながら、金ナノディスクに隣接して正確に自己整列する。D2PA構造および作製についての他の詳細は、他に記載される(Li et al,上記文献;Chou et al Science 1996 272:85−87およびChou et al Applied Physics Letters 1995 67:3114−3116、それらの教示については全てが参照により組み入れられる)。
図20に、ナノデバイス・ディスク・カップルド・ドット・オン・ピラー・アンテナアレイ(D2PA)の走査電子顕微鏡像を示す。直径70nmの金属ディスクと、側壁にある5nm〜30nmの範囲のサイズの金属ドット構造と、を有する同じD2PAの(A)上面図および(B)側面図。そして直径100nmの金属ディスクと、側壁にある1nm〜15nmの範囲のサイズの金属ドット構造と、を有するもう1つのD2PAの(C)上面図および(D)側面図。(C)において、4つのディスクのうちの2つが、欠如している。両方のD2PAは、200nmの周期を有する。
イムノアッセイ、フルオロフォア、接着層および参照。蛍光および検出感度の増大の試験に利用したイムノアッセイはプロテインAおよびヒト免疫グロブリンG(IgG)の直接アッセイであったが、これはそのような試験の最も簡単なモデルアッセイとして広く用いられている。固体プレート表面のプロテインAは、赤外蛍光染料(IRDye800CW(Li−COR))で既に標識されている溶液中のIgG(標的分析物)を捕捉する捕捉剤として働き、こうして追加の検出剤を利用する必要はなかった。プロテインAは、強力なFc(フラグメント、結晶化可能)結合を通してヒトIgGを捕える。その後、溶液中のIgGの濃度を、その蛍光標識を測定することにより定量化した。
プロテインAは、D2PAプレートでは金属表面に十分に結合しないため、金属とプロテインAの間に追加の接着層を用いた。この接着層は、追加の材料をスペーサに付加し、プラズモンの増大を潜在的に減弱し得る。プロテインAの金属(本発明では金)への良好な結合を提供しながら総スペーサ厚を限定するために、本発明者らは、ジチオビススクシンイミジルウンデカノアート(DSU)の自己集合化単層(SAM)を接着層として使用した。DSU分子は、金表面に強力に結合するスルフィドの一方の端部と、プロテインAのアミン基に良好に結合するN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基のもう一方の端部と、を有する26。SAMは、厚さ約1.7nm、屈折率n=1.50であった。プロテインAの層が4.8nmと推定されることを合わせると、総スペーサ厚は,6.5nmである。
D2PAプレートのイムノアッセイ蛍光増大測定との比較のために、本発明者らは、参照として単純で平坦なガラスプレートを用いた。D2PAプレートおよび参照でのイムノアッセイは、同じ手法および同じバッチで調製した。
フルオロフォア標識の調製およびイムノアッセイ。 ヒトIgG(Rockland Immunochemicals)を、自前で赤外蛍光染料IRDye800CWで標識した。反応性の染料をIgG溶液と混合し、それらを暗所環境において20℃で2時間反応させることにより、染料分子上のNHSエステル基をIgG上のアミン基に連結させた。脱塩スピンカラム(Pierce Zeba)を利用して、遊離染料を緩衝液の交換により分離した。各IgGは、平均で1.3個のIRDye800CW分子を有する。
D2PA上にDSU SAMをコーティングするために、プレートを1,4−ジオキサン(Sigma−Aldrich)中の0.5mMDSU(同仁化学研究所、日本)の溶液に浸漬して、密閉容器内で室温で一晩インキュベートし、SAMスペーサを形成させた。インキュベーションの後、それらを1,4−ジオキサンで十分にすすぎ、アルゴンガスで乾燥させて、プロテインA固定化の準備を整えた。
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝溶液(pH=7.4、Sigma−aldrich)中のプロテインA(Rockland Immunochemicals)をD2PAおよび参照プレートに滴下し、各プレートを密閉容器において室温で120分間インキュベートした。その後、プレートを洗浄溶液(R&D systems)で15分間ずつ3回洗浄して、未結合分子を除去した。プロテインAをコーティングした後、本発明者らは、試験のためにプレートを5mm×5mmの正方形断片に切断した。その後、PBS溶液中の蛍光標識IgGを、プロテインA層に滴下し、密閉容器において室温で60分間インキュベートした。同じ手法でもう一度洗浄した後、プレートを脱イオン水の一定の流れの中で穏やかにすすいで、任意の塩物質を除去した。アルゴンガスで乾燥させた後、プレートを直ちに光学測定した。
プレート上のIgG濃度を正確に制御するために、本発明者らはまず、原液を系列希釈することにより(±0.6%の最大誤差を有する分注ピペットを使用)1μM〜10aMの異なる濃度のPBS溶液中IgGを調製する。その後、本発明者らは、個々の正方形断片(それぞれ5mm×5mm)に各濃度の3μL溶液を正確に滴下した。プレート上部表面を完全に湿潤させた後に溶液層がプレートの裏側にこぼさないようにするために、3μL体積を選択する。
光学測定。D2PAプレートおよび参照プレートでのイムノアッセイの平均蛍光を、市販のレーザ走査型共焦点分光計(ARAMIS,Horiba Jobin Yvon)を用いてレーザ励起785nmで測定した。該システムは、励起レーザ光線を試料表面で法線方向に集束する顕微鏡レンズを使用し、発生した蛍光を集めるのに同じレンズを使用している。レーザ光線は、レーザスポットサイズ(回折限界焦点(diffraction limited focal point))から100μm×100μmまで変動し得る「レーザスキャンエリア」と称されるエリアにわたり励起を均質化する急速なラスタスキャニング(走査型ガルボミラーシステムによる)であった。x−yステージを利用したレーザスキャンエリアのステップ・アンド・リピートにより、試料エリアの20mm×20mmまで自動で測定できる。試料の光シグナルを、スペクトル測定のために回折格子とCCDとからなる分光計に送信した。典型的には、本発明者らは、10倍対象物(開口数(N.A.)=0.25)、および100μm×100μmレーザスキャンエリアを使用した。単一分子蛍光を測定するために、励起エリアに及ぶ光シグナルの2Dマップを与える別の光学装置を使用した。
結果と考察I
D2PAプレートのプラズモン共鳴。プラズモン共鳴が励起レーザの波長(785nm)と同時にイムノアッセイで用いられた蛍光染料(IRDye800CW)の吸収および発光ピークの波長(それぞれ780nmおよび800nm)に近くなるように、D2PAナノ構造を最適化した。D2PAの吸収は、白色光源を用いて透過(T)および反射(R)スペクトルを測定することにより得て、それぞれガラスプレート(T=94%)および銀鏡標準(R=98%)で実施された同じ測定に較正した。吸光度(1−T−R)は、任意の分子コーティングを有さずに最適化されたD2PAプレートでは、795nmで97%の共鳴ピークおよび145nmの共鳴半値全幅(FWHM)であることが見出された。イムノアッセイの適用後、ピーク吸光度は98%になり、共鳴ピークは、788nmにわずかに青色シフトし、FWHMは165nmでわずかにより広い(図8)。一般的な赤色シフトではなく青色シフトであったことは、別のプラズモン装置でも観察され、表面プラズモンからの振動分極を破壊的に干渉する負の分子分極率に起因した。
大きなエリアの7,400倍を超える平均蛍光増大と良好な均一性(±9%偏差)。D2PAプレートおよび参照(平坦なガラスプレート)でのプロテインA/IgGイムノアッセイの典型的な蛍光スペクトルを図9に示す。いずれのスペクトルも10nM蛍光標識Igおよびレーザスキャンエリア100μm×100μmのアッセイで測定した。レーザ出力および検出器の積分時間は、D2PAでは3μWおよび1秒であり、参照ガラスプレートでは212μWおよび8秒であったが、図9でのプロッティングでは標準化されている。ガラスの参照試料に比較して、D2PAでのイムノアッセイの蛍光強度は有意に増大している。その一方で蛍光ピーク波長は同じ(800nm)であり、半値全幅(FWHM)は参照とほぼ同じ(約30nm)であるが、このことは、D2PAのプラズモン共鳴が788nmで最適化されたピークおよび約165nmのFWHMを有し、それは染料蛍光ピークより5倍広く、したがってプラズモン増大係数をIRDye800CW蛍光の波長範囲全体でほぼ一定にしているという事実によるものである。
参照(ガラスプレート)に対する、D2PAプレートでのイムノアッセイの平均蛍光増大は、
(式中、IEXC.REFおよびIEXC.D2PAは、レーザ励起の強度であり、IFluo.REFおよびIFluor.D2PAは、それぞれ参照プレートおよびD2PAプレートで測定された平均蛍光強度である)により得られた。本発明者らが、参照およびD2PAの両方で同じIgG濃度を利用して平均蛍光増大量を測定したことに留意されたい。これは、異なるIgG濃度の効果により生じる誤差を避けるためである。更に、平均精度を確保するために、1つの試料で合計で少なくとも5ヶ所の異なるレーザスキャンエリア(それぞれ100μm×100μm)を測定した。
先のアプローチを利用して、10nM蛍光標識IgGにおいてD2PAプレートの測定された平均蛍光増大は、蛍光ピークの比較では参照の7,440倍であり、蛍光強度を蛍光スペクトルのFWHMで積分すると7,220倍であった。図9から、平均蛍光増大スペクトルが蛍光スペクトルよりもかなり広いFWHMを有することが示され、観察されたD2PAプラズモン共鳴スペクトルと一致する(図8)。蛍光標識IgG濃度100nMでは、平均ピーク増大は8,460倍である。この実施例で観察された免疫アッセイの蛍光増大は、イムノアッセイにおける過去のプラズモン増大蛍光よりも2桁高い(Zhang et al Optics Express 2007 15 2598−2606;Tabakman et al Nature Communications 2011 2:466)。
D2PAの別の重要な特徴は、大きなエリアにわたる巨大な平均蛍光増大の均一性である。D2PAプレートの均一性は、10nM蛍光標識IgG濃度の蛍光強度をD2PAプレートの5mm×5mmエリア全体でマッピングすることにより測定した。マッピングにおいて「タイル」と呼ばれるレーザスキャンエリア(100μm×100μm)を用い;したがって合計2,500のタイル(50×50)が存在する(図10a)。レーザ出力は3μWであり、タイルあたりの積分時間は1秒であった。マッピング測定について実施した統計解析により、そのような大きな試料表面にわたる平均蛍光増大が7,000倍であり、偏差(ガウス分布の偏差として定義)が18%即ち平均±9%であり、どの部分も非常に均一であることが示された(図10b)。
先の測定で用いられたレーザ励起出力密度および励起時間では、飽和または顕著なブリーチングのいずれも観察されず、このことは正確な増大測定を確保するために肝要である。実際に、D2PAおよび参照試料の両方の蛍光シグナルは、広範囲のレーザ出力密度および染料濃度にわたり直線性があり、飽和を示さないことが見出されている。更に、時間に対する蛍光測定から、用いられたレーザ強度の下では、本発明者らが使用した典型的な測定時間よりもかなり長い期間でさえも、顕著なブリーチングは存在しないことが示された。
フェムトモル以下の検出感度および広いダイナミックレンジ。臨床診断適用において、検出感度(即ち、検出限界(LoD))およびダイナミックレンジは、蛍光増大係数よりも実用的意義を有する。これらを試験するために、本発明者らは、1μM〜10aM(系列希釈係数10)の異なるIgG濃度で調製されたD2PAおよび参照によるイムノアッセイの蛍光シグナルを測定した。広く受け入れられている標準を利用して決定したLoDは、バックグランド光学ノイズ+その標準偏差(即ち、平均平方根偏差)の三倍に等しい蛍光シグナルに対応するIgG濃度である。本発明者らの実験では、バックグランド光学ノイズは、ブランク試料についてIgG入りの試料と厳密に同じ光学測定(即ち、同じ光学装置、試料エリア、レーザ出力および積分時間)を実施することにより得た。ブランク試料は、蛍光標識IgGを滴下する通常のステップを、純粋な緩衝液(即ち、IgGを含まない)の滴下に置き換えたこと以外は、同じ調製プロトコルを利用して同一の基板上に調製した。
図11は、D2PAおよび参照に結合した蛍光標識IgG濃度に対する蛍光シグナルの対数プロット(応答曲線)を示す。エラーバーは、各濃度の5箇所の異なる試料エリアでの測定値から計算された標準偏差である。LoDを決定するために、本発明者らは最初に5パラメータのロジスティック回帰モデルを用いてフィッティング曲線を作成し、測定されたポイントの間のデータポイントを外挿した。D2PAプレートでのイムノアッセイのLoDは0.3fM(3×10−16M)であることが見出され、ダイナミックレンジ(蛍光がIgG濃度と直線性がある場合)は8桁を超える(1μM〜1fM)(図11)。その一方で、参照プレート(平坦なガラスプレート)において実施された同一のイムノアッセイのLoDは、0.9nM(0.9×10−9M)であることが見出された。それゆえ検出感度は、ガラスプレートと比較して、D2PAプレートでは3,000,000倍(6桁超)増大している。この検出感度の増大は、プラズモン構造を用いた過去の実験の二桁を超える増大である(Zhang et al Optics Express 2007 15 2598−2606;Tabakmanet al Nature Communications 2011 2:466)。
ホットスポットにおける単一分子フルオロフォアの4×106倍までの蛍光増大。蛍光および検出感度を更に増大する可能性を模索するために、イムノアッセイの蛍光増大を、D2PAの「ホットスポット」(即ち、局所電場が最も強力な領域)に配置された単一標識IgG分子から測定した。そのような単一分子蛍光は、IgG分子が互いにかなり離れていて(即ち、非常に低いIgG濃度の場合)高感度のCCDカメラが用いられる場合に、可視となり得る。
100pMのIgG濃度を用いて、2つの固定化IgG間の平均距離が約420nmである単一分子蛍光を試験した。40倍対物レンズ(N.A.=0.6)を有する倒立顕微鏡(Nikon、米国)を用いて、イムノアッセイの二次元蛍光をマッピングした。785nmレーザ光線を均一に拡大して、D2PAプレート上で50μm×50μmエリアを照射した。512×512ピクセル解像度(つまり所与のレーザスキャニングエリアで、1ピクセルあたり約390nm)の電子倍増型電荷結合素子(EM−CCD、Andor)により映像を連続で回収した。そのCCDピクセルサイズで、光学回折限界(レイリー基準による決定で0.8μm)で撮影された蛍光強度分布をオーバーサンプリングする。
D2PAプレート上の100pM蛍光標識IgGの蛍光画像(図12a)から、均一なバックグランド内に無作為に分布した明白な蛍光の「輝点」が観察された。時間関数としての各輝点の蛍光強度は、二段階の挙動を有することを示しており(図12b)、このことは、D2PAのホットスポットまたはその付近の単一分子が最初に蛍光を発し、その後ブリーチされることを示している。
ホットスポットの単一分子の蛍光増大係数gHotspotを推定するために、本発明者らは2つの方法を用いた。第一の方法では、gHotspotは、参照試料における1分子あたりの平均蛍光シグナル(参照試料における単位エリアあたりの平均IgG分子数nRef.Aveで割った、参照試料におけるエリア平均蛍光強度IRef.Avgと等しい)に対する、D2PAの「ホットスポット」での単一分子蛍光シグナルSHot.spotの比である:
(式中、IExc.D2PAおよびIExc.Refは、それぞれD2PAおよび参照プレートの励起強度である。図12(a)によれば、SHotspot=1,200カウント、IRef.Avg=3,088カウント/μm2、nRef.Ave=7.22×105分子/μm2、IRef.ExC=1.74mWおよびIEXC.D2PA=110μW。本発明者らは、蛍光増大がgHotspot=4.4×106であり、「ホットスポット」内の単一分子で報告されたほとんどの蛍光増大よりも3桁大きいことを見出した31。
第二の方法では、参照での分子あたりの平均蛍光強度を、蛍光増大係数(EF)で割った、D2PAプレートの分子あたりの平均蛍光強度(ID2PA.Avg/nD2PA.Avg)から差し引いた。EFの除算で、D2PAプレートからのシグナルを通常のガラスプレートに合わせて調整する:
ID2PA.Avg=19カウント、EF=7,220、およびnAvg約7.22分子/μm2の場合、gHotspot=3.28×106であることを本発明者らは見出した。両方の方法とも、単一分子蛍光増大を計算するための一定した結果を与えた。2つの方法の平均から、gHotspot約4×106が得られる。
アッセイでの蛍光および検出感度の巨大な増大および均一性の成因。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、観察された蛍光および検出感度の増大には3つの主な理由があると考えられる。第一の、そして最も重要な理由は、独特のD2PAプラズモン構造である。第二は、適切な超薄膜スペーサ層である。そして第三は、D2PA構造がバイオマーカをD2PAのホットスポットに濃縮し得る可能性である。
同じく特定の理論に拘束されることを望むものではないが、プラズモン構造D2PAは、4つの重要因子により蛍光を有意に増大させると考えられる。(1)3Dアンテナアレイは、励起光を受光し、蛍光を放射する上で極めて効率的である。図8に既に示された通り、最適化されたD2PAの測定吸光度は、785nmの励起レーザ波長で約97%である。良好な光吸収体は、良好な放射体でもある。(2)D2PAにおける小さな金属ドットおよび小さな空隙は、SERS試験において既に実証された通り、光を小さな領域に強力に集束して、局所電場を顕著に増大させることができる(Li et al,上記文献)。ドットおよび空隙が小さい程、集束(および局所電場の増大)が強力になる(Schuller et al Nature Materials 2010 9: 193−204およびNie et al Science 1997 275: 1102−1106)。しかし、サブ波長サイズの小さな金属構造が、極めて弱い光吸収体および放射体であることも周知である(Fromm et al Nano Letters 2004 4 957−961およびFarahani et al Physical Review Letters 2005 95, article no. 017402)。つまり、アンテナを有さない小さなドットおよび単独の空隙のみでは良好な蛍光増大構造が作製されない。なぜなら、少量の入射光子を濃縮することはできるが光子のほとんどが廃棄され、近辺で発生した蛍光を離れた場へ効率的に放射できないためである。(3)D2PAのアンテナとナノ構造とを、それらの間のナノギャップを介して効果的に連結させることで、D2PAが、光を受容および放射すること、ならびに光を小さなスポットに局所的に集束させること、の両方に効果的になる。そして(4)高密度のアンテナ、ドット、および空隙が、標的分子をより大きなパーセンテージでホットスポット付近に存在させ、それにより蛍光の平均強度および均一性を上昇させ、かつデバイスの幾何学的変化に対する性能感度を低下させることができる。最終的なプラズモン増大は、4つの要因全ての結果生じるものであるため、4つの要因の1つを欠く任意のプラズモン構造は、最終的に不十分なプラズモン増大構造となる可能性があり、それはまさに過去のプラズモン構造のほとんどが陥った問題であり、4つの要因全てを同時に改善するD2PAが優れていることを示す的確な理由である。
全体的なMEF蛍光を最大にするために、適切な超薄層スペーサ層が、同じ金属による蛍光励起とクエンチングとのバランスを保つうえで重要な役割を担う。D2PAの金属とフルオロフォアとの間の唯一のスペーサがSiO2層である(即ち、任意のアッセイ物質を含まない)別の実験において、本発明者らは、SiO2厚5nmが、MEFとクエンチングとの最良のバランスをもたらすことを見出した30。本発明者らのD2PAのアッセイでは全体的なスペーサ層の厚さが6.5nmであり(IgGを含まない)、かつ効果的誘電率が3であることを考慮すれば、このスペーサは5nmのSiO2スペーサに非常に近い全体的有効誘電距離(total effective dielectric distance)を有する。それゆえ、自己集合化接着層DSUを選択することで、MEFに適切なスペーシングが提供される。
D2PAが溶液中のバイオマーカ(標的分析物)をホットスポット(即ち、局所電場の大きな領域)に濃縮し得るという理論は、推測に過ぎない。3つの可能な理由により、そのような濃縮を説明できる。(1)D2PA表面での液体の乾燥は最初にピラー側壁の外側で起こるが、最後は空隙の内側である。このため乾燥中の液体移動が、他の位置から空隙へのバイオマーカの移動をもたらし得る。(2)D2PA内の局所的ビルトイン電場がバイオマーカをホットスポットに移動させ得る(バイオマーカが極性分子である場合)。そして(3)SAM接着層DSUが、SiO2ではなく金のみに接着し、このことでより多くのプロテインAを、つまりより多くの蛍光標識IgGを、金に覆われていないSiO2側壁よりも金ナノドット上に誘導することができる。
考察を必要とする2つのより重要な実験的事実がある。(1)測定されたイムノアッセイの蛍光シグナル強度は、バイオマーカの濃度程に急速に降下しない(即ち、1:1比ではない)。このことは、蛍光イムノアッセイでは公知であり、インキュベーション時のIgGのプロテインAへの結合と、洗浄時のプロテインAに結合したIgGの損失が、IgG濃度の違いにより異なり得る、という事実により生じると考えられる。そして(2)D2PAによる検出感度(LoD)の増大(3,000,000)は、10nM蛍光標識IgGでの蛍光増大(7,400)よりも400倍を超えて高い。本発明者らは、これを、溶液中のバイオマーカがD2PAのホットスポットに濃縮されたためであると推測している。
プラズモン構造による蛍光増大は染料の固有の量子効率(QE)に依存し、QEが低い程増大が強くなることが公知であることに、注目すべきである。低いQEでは、蛍光増大はQEに反比例する。IRDye800CW染料は7%の量子効率を有し、他のアッセイ実験で用いられた染料のQEと同程度である。異なる染料のQEの差異を規模調整した場合であっても、観察される平均蛍光増大は、依然として過去の実験よりも2桁高い。
最後に、ホットスポットでの単一フルオロフォアの大きな蛍光増大係数は、バイオマーカをホットスポットに配置させれば更にアッセイの検出感度を有意に上昇させ得ることを示しているかもしれない。
材料と方法II
前立腺特異的抗原の超高感度検出
ナノセンサ(D2PAプレートとも称する)上でのPSAイムノアッセイの調製。D2PAイムノアッセイプレートを、2種の構成要素で作製する:(1)前述のD2PAプラズモンナノ構造、および(2)ジチオビススクシンイミジルウンデカノアート(DSU)の上部にプロテインA層がある混合自己集合層。DSU分子は、金に強力に結合するスルフィドの一方の端部とプロテインAのアミン基に良好に結合するN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基のもう一方の端部とを提供することにより、金表面へのプロテインAの強力な架橋を提供する。これらの分子層(プロテインAおよびDSU)は、2つの機能を有する:(1)合計6.5nmの厚さにより、分子層は金属の蛍光クエンチング作用を抑制し得るスペーサ層として働くこと、および(2)抗体はFc領域を介してプロテインAに結合するため、D2PA上の分子層は抗体の配向および固定化の性能を向上させて、抗体の捕捉効率を更に改善し得ること。
D2PA上にDSU SAMおよびプロテインAをコーティングするために、新たに作製したD2PA基板を最初に5mm×5mmの断片に切断して、1,4−ジオキサン(Sigma−Aldrich)中の0.5mM DSU(同仁化学研究所、日本)の溶液に浸漬し、密閉容器内で室温で一晩インキュベートした。インキュベーション後、D2PA基板を1,4−ジオキサンで十分にすすぎ、アルゴンガスで乾燥させた。直ちに、これらのDSUコーティングD2PA基板を、標準の96ウェルプレート(Pierce,USA)の別個のウェルに入れた。その後、それらをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝溶液(pH=7.2、Sigma−Aldrich)中の10μg/mLプロテインA(Rockland Immunochemicals)100μLに浸漬して、密閉条件下、4℃の冷蔵庫で一晩インキュベートした。その溶液はその後吸引して、各個々のD2PAプレートを洗浄液(R&D systems)中でそれぞれ15分間ずつ3回洗浄し、未結合のプロテインAを除去した。その後、プレートを脱イオン水の一定の流れの中で穏やかにすすぎ、任意の塩物質を除去した。アルゴンガスで乾燥させた後、D2PAイムノアッセイプレートは直ちにイムノアッセイ試験を行うか、または後の使用のために−20℃で貯蔵した。
研究および臨床診断の両方で広く用いられているPSAの蛍光利用サンドイッチアッセイを、D2PAイムノアッセイプレートで実施した。最初に、180μg/mLの濃度の捕捉抗体(マウス抗ヒトカリクレイン3)溶液100μLにD2PAイムノアッセイプレートを浸漬し室温で2時間インキュベートすることにより、捕捉抗体を固定した。その後、溶液を吸引し、プレートを洗浄緩衝液で洗浄して、ブロッキング溶液(R&D systems)100μLに浸漬することにより各個々のプレートをブロッキングして、室温で1時間インキュベートした。その後、同じ吸引/洗浄工程の後、各ウェルのD2PAプレートを、希釈係数10で10aM〜10pMの濃度のPBS溶液中PSA(R&D systems)100μLに浸漬した。その後、それらを室温で2時間インキュベートした。もう一度洗浄した後、200ng/mLの濃度の検出抗体(ヤギ抗ヒトカリクレイン3)100μLを各個々のプレートに添加して、室温で1時間インキュベートした。その後、吸引/洗浄工程を再度繰り返して、50ng/mL濃度の希釈IRDye800CW標識ストレプトアビジン(Rockland Immunochemicals)50μLを各D2PAプレートに添加して、室温で1時間インキュベートした。最後の洗浄の後、D2PAプレートを脱イオン水で穏やかにすすいで、アルゴンガスで乾燥させた。イムノアッセイ物質を発色させた後、直ちにプレートを光学測定した。
D2PAイムノアッセイプレートの蛍光増大および感度改善と比較するために、本発明者らは、参照としてプロテインAでコーティングされた単純で平坦なガラスプレートを用いた。同一のサンドイッチPSAイムノアッセイを、参照上に同じバッチの試薬を用いて調製し、同じ手法で処理した。
光学測定。D2PAプレートおよび参照プレートでの蛍光利用PSAイムノアッセイを、市販のレーザ走査型共焦点分光計(ARAMIS, Horiba Jobin Yvon)を用いて、両者とも785nmレーザ励起で測定した。励起光および蛍光シグナルは、正常角(normal angle)で試料表面上で測定した。該システムは、励起レーザ光線を集束するために、また発生した蛍光を集めるために同じ顕微鏡レンズを使用する。レーザ光線は、レーザスポットサイズ(回折限界焦点)から100μm×100μmまで変動し得る「レーザスキャンエリア」と称されるエリアにわたり励起を均質化する急速なラスタスキャニング(走査型ガルボミラーシステムによる)であった。x−yステージを利用したレーザスキャンエリアのステップ・アンド・リピートにより、試料エリアの20mm×20mmまで自動測定ができる。試料からの蛍光シグナルを、スペクトル測定のために回折格子とCCDとからなる分光計に連結した。この報告では、本発明者らは、10倍対象物(開口数(N.A.)=0.25)、および100μm×100μmレーザスキャンエリアを使用し、5mm×5mm D2PAイムノアッセイプレート表面全体にわたり測定した。
結果II
大きなエリアにわたる1,700倍を超える巨大な蛍光増大と良好な均一性(±10%偏差)。
図13は、D2PAプレートおよびガラスプレート参照で測定されたPSAイムノアッセイの典型的な蛍光スペクトルを示す。いずれのスペクトルも10pM PSA濃度でのアッセイで得た。レーザ出力および検出積分時間は、D2PAでは3μWおよび10秒であり、参照ガラスプレートでは212μWおよび8秒であった。本発明者らは、良好なシグナル対雑音比(SNR)でスペクトルを得るために、参照ガラスプレートでの測定でより大きなレーザ励起出力を使用しなければならなかった。先の測定で用いられたレーザ励起出力密度および励起時間では、飽和および顕著なブリーチングのいずれも観察されず、このことは正確な増大係数測定に肝要である。実際に、蛍光シグナル強度は、レーザ焦点スポットのラスタスキャニングにより長時間にわたり一定しており、本発明者らの実験ではブリーチング効果がこのように最小限に抑えられた。
本明細書で推定された増大係数は、より高い濃度でも保持された。上記アプローチを用いて、10pM PSAでのD2PAプレートで測定された平均蛍光増大は、蛍光ピーク強度を比較すると、ガラス参照プレートの1700倍であった。
10aMの検出感度および広いダイナミックレンジ。巨大な蛍光増大がどのようにしてイムノアッセイの感度、即ちLoDおよびダイナミックレンジを改善するかを実証するために、D2PAおよび参照ガラスプレートでの10aM〜10pM(系列希釈係数10)のPSA濃度のPSAイムノアッセイ蛍光シグナル応答を測定した。広く受け入れられている標準を利用して決定されたLoDは、バックグランド光学ノイズ+その標準偏差(即ち、平均平方根偏差)の三倍に等しい蛍光シグナルに対応するPSA濃度である。PSAイムノアッセイでは、バックグランド光学ノイズは、PSA溶液を純粋なPBS緩衝溶液(即ち、PSAを含まない)に置き換えて調製プロトコルの他のステップは同じままのアッセイで、厳密に同じ光学測定を実施することにより得られた。
図13は、D2PAおよび参照ガラスプレートの蛍光イムノアッセイシグナルを、対数スケールでのPSA濃度の関数(即ち、応答曲線)として示す。エラーバーは、5回の反復測定(同一イムノアッセイおよび同じPSA濃度で異なる試料プレート)から計算された標準偏差である。5パラメータのロジスティック回帰関数を用いてフィッティング曲線を作成し、測定されたPSA濃度の間のデータポイントを外挿した。その後、D2PAプレートでのイムノアッセイのLoDが10aM(0.3fg/mL)であり、ダイナミックレンジが6桁を超える(1fM〜1μM)と決定した。参照ガラスプレートにおいて実施した同一のイムノアッセイで、LoDが0.9pM(27pg/mL)であることも見出された。それゆえD2PAイムノアッセイプレートの検出感度は、ガラスプレートに比較して、90,000倍増大した。更に、本発明者らがこの実施例で報告した検出感度は、競合技術を用いた過去の報告よりも少なくとも30倍良好である。
乳癌バイオマーカCEAおよびCA15.3の超高感度検出
先に記載されたナノセンサでは、(a)癌胎児性抗原(CEA)(図14参照)およびCA15.3(乳癌バイオマーカ)(図15参照)のLoDはそれぞれ28aM(約0.8fg/mL)および0.001U/mLであり、市販のELISAキット(CEA:R&D systemsおよびCA15.3:Abcam)よりも3〜5桁良好であり、臨床カットオフレベル(血漿中のCEAで4ng/mLおよびCA15.3で25U/mL)よりも5〜6桁感度が高いことが示された。(b)新規アッセイは両者とも、8桁のダイナミックレンジで直線性を有する。
D2PAプレートでの改良三層サンドイッチCEAアッセイにおいて、本発明者らは、従来のプレートリーダを用いた場合に(エリア平均蛍光強度)、緩衝液中で28aM(約0.8fg/mL)のLoDおよび8桁のダイナミックレンジをそれぞれ実現した(図14)。新規アッセイでのLoDは、標準のガラスプレートで実施された同一アッセイよりも170,000倍良好であり、現在最良のCEAイムノアッセイ(例えば、ランダムゴールドアイランド)よりも20倍高感度であり、かつ血漿中の典型的なCEAレベル(4ng/mL)よりも5〜6桁高感度である。
CA15.3のイムノアッセイにおいて、本発明者らは、0.001U/mL(単位/mL、1単位は保持された参照抗原調製物に関する任意の値である。U/mLからモル濃度への変換は利用できない)のLoD、および血漿中の典型的なCA15.3レベル(25U/mL)よりも4〜5桁高感度を実現した。
アルツハイマー病バイオマーカβアミロイド1−40および1−42の超高感度検出
新規アッセイで、(a)緩衝液中β−アミロイド(Aβ)のLoDがAβ42では2.3fM(10.3fg/mL)およびAβ40では0.2fM(0.9fg/mL)、(b)8桁を超えるダイナミックレンジの直線性、(c)血清および唾液の添加回収評価でそれぞれ88%および106.8%の回収率、(d)Aβ42(1pg/ML Aβ濃度)に対するAβ40の0.06%交叉反応性、ならびに(e)血液および唾液の両方で一定して再現性のあるAβ42検出、を実証した。図16および17を参照されたい。
Aβ−42検出において、通常の96ウェルプレートの底を新規アッセイプレートに置き換え、市販の「Aβ−42および40ELISAキット」(Covance、米国)に変更を加え、市販のストレプトアビジン結合蛍光(IRDye800CW)標識(Rockland、米国所在)をビオチン−アビジン反応(本発明者のアッセイでは酵素は用いていない)によりCovanceのビオチン化検出抗体(検出剤)に結合させるのみにした。その後、キットの残りの成分はそのまま使用し、従来のプロトコルに従った。Covanceキットの捕捉および検出剤はそれぞれ、Aβ−42では6E10および抗Aβ42、ならびにAβ−40では6E10および抗Aβ40である。
Aβアッセイで本発明者らが用いたのは、ジチオビス(スクシンイミジルウンデカノアート)(DSU)およびプロテインAの二重層である。DSUは、D2PA上の金表面に強力に結合するスルフィドの一方の端部と、プロテインAのアミン基に良好に結合するN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基のもう一方の端部と、を有し、プロテインAはFc領域を介して捕捉抗体に結合する。
(a)8桁のダイナミックレンジを有する100fM以下の検出限界(LoD)。D2PAプレートでの最初の試験において、本発明者らは、プロテインAおよび蛍光標識IgGの二層モデルイムノアッセイを利用し、ガラスプレートに対し100万倍(×106)を超えるLoD増大を実現した。図11を参照されたい。D2PAプレートでの改良三層サンドイッチAβアッセイにおいて、本発明者らは、従来のプレートリーダを用いた場合に(エリア平均蛍光強度)、緩衝液中のAβ42および40の検出について、8桁のダイナミックレンジでそれぞれ2.3fM(10.3fg/mL)および0.2fM(0.9fg/mL)のLoDを実現した。新規アッセイでのLoDは、標準のガラスプレートで実施された同一アッセイよりも5,000倍良好であり、現在最良の市販Aβアッセイ(例えば、Meso Scale Discovery)よりも500倍高感度であり、かつ血漿中のAβ42および40の典型的なレベルよりも約4〜5桁高感度(CAβ42約50pg/mL、CAβ40約200pg/mL)であり、唾液中では約3〜4桁高感度(CAβ42約5pg/mL、CAβ40約25pg/mL)である。
(b)ダイナミックレンジ8桁の優れた直線性が、全ての試験で実現された(例えば、図11参照)。
(c)血清で88%、そしてヒト唾液で102%という回収率が、D2PAプレートでのAβ−42イムノアッセイについて実施された添加回収試験で実現される(例えば、図16参照)。
(d)1pg/mL Aβ濃度のAβ40に対するAβ42イムノアッセイの交叉反応性0.06%、およびより高濃度のAβでのより良好な交叉反応性が、実現された(図17)。
(e)D2PAプレート上でのAβイムノアッセイ(図18)およびD2PA上での他のアッセイについて優れた平行性が実証された。実際に、本発明者らは、2つの独立した製造工程を実施して、一致した結果を得た。
超高感度DNAハイブリダーゼーションアッセイ
D2PAナノデバイスを用いた増大DNAハイブリダーゼーションアッセイの実施例の1つが、サンドイッチハイブリダーゼーションアッセイである。捕捉DNAは、5’末端がチオールで官能化された一本鎖DNAである(3’−GAAGAAGATAGACTTACATG−5’−SH)。検出DNAは、3’末端が蛍光標識、例えばIRDye800CWで官能化された一本鎖DNAである(IR800−3’−TTTGGCTTGTGGTAGTTAGA−5’)。捕捉DNAおよび検出DNAは両者とも、20bp長を有する。それらは、異なる配列で合成されて、異なる領域で標的DNAへの相補的結合を形成する。標的DNAは、5’−ACCGAACACCATCAATCTCTTCTATCTGAATGTACTTTTT−3’である。
最初にD2PAナノデバイスを1M NaCl濃度の1×TE緩衝液で希釈された5μM溶液と共にインキュベートすることにより、捕捉DNAをD2PAナノデバイスの金属表面に固定する。その後、標的DNAをDNAハイブリダーゼーション緩衝液(H7140,Sigma−Aldrich)で希釈し、ナノデバイスに添加して、捕捉DNAとハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションの温度は、35℃の融解温度未満に制御する。最後に100μMの濃度の蛍光標識検出DNAをナノデバイスに添加して、固定された標的DNAとハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション緩衝液および温度は、最後のステップと同じままである。未結合の検出DNAを洗い流した後、ナノデバイスの表面から発出された蛍光シグナルを、標的DNA分子の検出および定量化のために測定する。
本発明者らは、標的DNAの濃度が異なるDNAハイブリダイゼーションアッセイから蛍光シグナル強度を測定した。図19は、D2PAナノデバイスで実施されたハイブリダイゼーションアッセイについての蛍光応答曲線(標準曲線)を示す。バックグランドシグナル+バックグランドシグナルの標準偏差の3倍として計算された検出限界は、71fMである。

Claims (77)

  1. (a)基板と、
    (b)前記基板の表面から延在する1つまたは複数のピラーとを含むナノセンサであって、
    前記ピラーの各々が、
    i.当該ピラーの上部の金属ディスクと、
    ii.当該ピラーの底部の金属バックプレーンであって、当該ピラーの底部付近の前記基板表面の大部分を覆う金属バックプレーンと、
    iii.当該ピラーの側壁上の金属ドット構造と、
    iv.前記金属ドット構造、前記金属ディスク、前記金属バックプレーン、又は前記ピラーの側壁の一部に、分子接着層を介して連結し、分析物に特異的に結合する捕捉剤を含み、
    前記分析物が前記捕捉剤に結合すると、前記分析物からの光シグナルを増幅する、ナノセンサ。
  2. 前記分子接着層の外表面が、アミン反応性基、チオール反応性基、ヒドロキシル反応性基、イミダゾリル反応性基およびグアニジニル反応性基から選択される捕捉剤反応性基を含む、請求項1に記載のナノセンサ。
  3. 前記捕捉剤反応性基が、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ハロ置換フェノールエステル、ペンタフルオロフェノールエステル、ニトロ置換フェノールエステル、酸無水物、イソシアナート、イソチオシアナート、イミドエステル、マレイミド、ヨードアセチル、ヒドラジド、アルデヒド、またはエポキシドである、請求項2に記載のナノセンサ。
  4. 前記分子接着層が、金属−硫黄結合を介して前記金属ドット構造、前記金属ディスク、および/または前記金属バックプレーンに結合する、請求項1から3のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  5. 前記分子接着層が0.5nm〜50nmの厚さを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  6. 前記分子接着層がアルカンチオールまたはチオ−ポリ(エチレン)グリコールの単層である、請求項1から5のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  7. 前記分子接着層が、ストレプトアビジン/ビオチン相互作用を介して前記金属ドット構造、前記金属ディスク、および/または前記金属バックプレーンに結合する、請求項1から6のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  8. 前記分子接着層の外表面がビオチン部分またはストレプトアビジンを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  9. 前記金属ドット構造、前記金属ディスク、および/または前記金属バックプレーンの外表面が、ビオチン化された捕捉剤に結合し得るストレプトアビジン基を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  10. 前記金属ドット構造、前記金属ディスク、および/または前記金属バックプレーンの外表面が、ストレプトアビジンにつながれた捕捉剤に結合し得るビオチン部分を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  11. 前記ナノセンサが容器内に配設されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  12. 前記分子接着層が自己集合化単層(SAM)であり、前記SAMの各分子が次の3つの部分:(i)ナノデバイスの金属表面に対する特異的親和性を有する頭部基、(ii)捕捉剤に対する特異的親和性を有する末端基、及び(iii)前記頭部基と前記末端基をつなぐリンカーを含み、前記リンカーの長さが前記金属表面間の平均間隔を決定し、結合した捕捉剤がナノデバイスの光増幅に影響を及ぼし得る、請求項1から11のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  13. 前記金属が、金、銀、銅、アルミニウム、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  14. 前記ピラーの上部が、円形、多角形、錐体、楕円形、細長い棒状、またはそれらの任意の組み合わせからなる形状の群より選択される形状を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  15. 前記金属ディスクの側方寸法が5nm〜150nmの範囲である、請求項1から14のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  16. 前記金属ディスクと前記金属バックプレーンが、0.1nm〜60nmの範囲の距離で離間している、請求項1から15のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  17. 前記少なくとも1つの金属ドット構造が1nm〜25nmの範囲の寸法を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  18. 前記金属ドット構造と前記金属ディスクとの距離、および金属ドット構造と前記金属バックプレーンとの距離が、0.5nm〜50nmの範囲である、請求項1から17のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  19. 前記複数のピラーの最も近い2つのピラーの間の間隔が、2nm〜200nmの範囲である、請求項1から18のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  20. 前記ピラーが、円柱状、傾斜状、または曲線状の側壁表面を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  21. 前記金属ディスクおよび金属バックプレーンの厚さが5nm〜60nmである、請求項1から20のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  22. 前記ピラーが、前記光の波長よりも小さい側方寸法または高さを有する、請求項1から21のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  23. 前記金属ディスクが、前記ピラーと実質的に同じ側方幾何学的配置を有する、請求項1から22のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  24. 前記ピラーが、ポリマー、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、ケイ素、砒化ガリウム、および窒化ガリウムからなる群より選択される誘電体または半導体材料を含む、請求項1から23のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  25. 前記金属ディスクの側方寸法が前記光の波長よりも小さい、請求項1から24のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  26. 前記光シグナルがルミネセンスまたは蛍光である、請求項1から25のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  27. 前記捕捉剤が蛋白質である、請求項1から26のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  28. 前記捕捉剤が抗体である、請求項27に記載のナノセンサ。
  29. 前記捕捉剤が核酸である、請求項1から26のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  30. 前記捕捉剤がオリゴヌクレオチドである、請求項29に記載のナノセンサ。
  31. 前記捕捉剤に特異的に結合する標識された分析物を更に含む、請求項1から30のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  32. 前記標識された分析物が発光標識で直接的または間接的に標識される、請求項31に記載のナノセンサ。
  33. 前記標識された分析物が、ストレプトアビジン/ビオチン相互作用を介して前記発光標識に結合する、請求項32に記載のナノセンサ。
  34. 前記分子接着層の厚さが、前記光シグナルの増幅を最適化するように選択される、請求項1から33のいずれか一項に記載のナノセンサ。
  35. マルチウェル形式であり、マルチウェルプレートの各ウェルが請求項1から34のいずれか一項に記載のナノセンサを含み、前記ウェルそれぞれのナノセンサが異なる捕捉剤を含む、マルチウェル形式のナノセンサ。
  36. (a)請求項1から35のいずれか一項に記載のナノセンサと、
    (b)前記ナノセンサのためのホルダーと、
    (c)標識からの光シグナルを誘導する励起源と、
    (d)前記光シグナルを読み取るように適合されたリーダとを含むシステム。
  37. 前記励起源が光源である、請求項36に記載のシステム。
  38. 前記励起源が電流である、請求項36に記載のシステム。
  39. 前記リーダが、前記ナノセンサの表面の二次元スペクトルマップを生成し得る、光検出器、CCDカメラ、CMOSカメラ、分光計、または光センサである、請求項36から38のいずれか一項に記載のシステム。
  40. 前記ナノセンサがマルチウェル形式であり、リーダが前記ウェルそれぞれからの光シグナルを独立して読み取り得るように前記ホルダーおよび/または前記リーダが移動し得る、請求項36から39のいずれか一項に記載のシステム。
  41. 分析物を検出および/または定量化する方法であって、
    (a)標的分析物を含む試料を請求項1から35のいずれか一項に記載のナノセンサに接触させる工程であって、前記標的分析物が前記捕捉剤に特異的に結合し、前記接触が前記結合に適した条件下で実施される工程、および
    (b)前記ナノセンサに結合された任意の標的分析物からの光シグナルを読み取る工程を含み、
    前記標的分析物が前記捕捉剤に結合する前または結合した後に、前記標的分析物を発光標識で標識することを更に含む、方法。
  42. 前記読み取りが、光、電気、化学剤またはそれらの組み合わせを用いて前記発光標識を励起すること、及び、強度、波長、および位置から選択される前記光シグナルの少なくとも1つの特性を測定することを利用する、請求項41に記載の方法。
  43. 前記分析物が、前記ナノセンサの前記捕捉剤に結合した後に標識される、請求項41または42に記載の方法。
  44. 前記標識が、前記標的分析物に特異的に結合し、かつ発光標識に連結された検出剤に前記標的分析物が結合することにより実施される、請求項41から43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記発光標識が前記捕捉剤に結合した後に前記発光標識を標識することを含み、前記読み取りの前に前記ナノセンサから任意の未結合の発光標識を除去することを更に含む、請求項41から44のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記検出剤が発光標識を含む二次抗体である、請求項44または45に記載の方法。
  47. 前記検出剤が発光標識を含む核酸である、請求項44または45に記載の方法。
  48. 前記発光標識が、蛍光標識、化学ルミネセンス標識またはエレクトロルミネセンス標識である、請求項41から47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記発光標識が、IRDye800CW、Alexa790またはDylight800で標識される、請求項48に記載の方法。
  50. 前記標識が300nm〜1200nmの範囲の波長で発光する、請求項41から49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記接触工程(a)の前に前記ナノセンサをブロッキングし、それにより前記捕捉剤の非標的分析物への非特異的結合を防ぐことを含む、請求項41から50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記試料が液体試料である、請求項41から51のいずれか一項に記載の方法。
  53. 前記試料が臨床試料である、請求項41から52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 前記試料が体液に由来する、請求項41から53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記分析物が蛋白質である、請求項41から54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記捕捉剤および前記分析物が核酸である、請求項41から54のいずれか一項に記載の方法。
  57. 前記分析物が癌のバイオマーカである、請求項41から56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 前記分析物が神経疾患のバイオマーカである、請求項41から56のいずれか一項に記載の方法。
  59. 前記分析物が心臓血管疾患のバイオマーカである、請求項41から56のいずれか一項に記載の方法。
  60. 前記分析物が器質性疾患のバイオマーカである、請求項41から56のいずれか一項に記載の方法。
  61. 前記分析物が、感染性疾患または寄生虫疾患のバイオマーカである、請求項41から56のいずれか一項に記載の方法。
  62. 請求項1に記載の前記ナノセンサを製造する方法であって、
    (a)基板の上部表面で少なくとも1つのピラーをパターン化する工程、
    (b)前記上部表面の金属材料層を析出させる工程、
    (c)前記ピラーの上部に析出した前記金属材料にディスクを形成させる工程であって、前記ピラーの底部に析出した前記金属材料に金属バックプレーンを形成させ、前記側壁に析出した前記金属材料に少なくとも1つの金属ドット構造を形成させる工程、
    (d)前記析出させた金属材料の上部に分子接着層を被覆させる工程であって、前記分子接着層が前記金属ドット構造、前記金属ディスク、および/または前記金属バックプレーンの少なくとも一部を覆い、前記分子接着層の外表面が捕捉剤反応性基を有する工程、及び、
    (e)捕捉剤を前記分子接着層に結合させることを含む、方法。
  63. 前記パターン化が材料のエンボス化である、請求項62に記載の方法。
  64. 疾患または状態を診断するためにバイオマーカーを検出または定量化する方法であって、
    (a)疾患または状態を有することが疑われる患者からの液体試料を請求項1に記載のナノセンサと接触させる工程であって、前記ナノセンサの前記捕捉剤が前記疾患のバイオマーカと特異的に結合し、前記接触が、前記バイオマーカと前記捕捉剤との特異的結合に適した条件下で実施される工程、
    (b)前記捕捉剤に結合していない任意のバイオマーカを除去する工程、および
    (c)前記ナノセンサに結合されたままのバイオマーカから光シグナルを読み取る工程を含み、
    前記バイオマーカが前記捕捉剤に結合する前または結合した後に、前記バイオマーカを発光標識で標識することを更に含む、方法。
  65. 前記患者が癌を有していると疑われ、前記抗体が癌のバイオマーカに結合する、請求項64に記載の方法。
  66. 前記患者が神経障害を有していると疑われ、前記抗体が前記神経障害のバイオマーカに結合する、請求項64に記載の方法。
  67. 前記液体試料が、羊水、房水、硝子体液、全血、血液画分、血漿、血清、母乳、脳髄液(CSF)、耳垢(耳糞)、乳び、消化粥(chime)、内リンパ、外リンパ、便、胃酸、胃液、リンパ、粘液(鼻漏および痰を含む)、囲心腔液、腹腔液、胸膜液、膿、粘膜分泌液、唾液、皮脂(皮膚の油)、精液、喀出物、汗、滑液、涙液、嘔吐物、尿または呼気凝縮液を含む、請求項64から66のいずれか一項に記載の方法。
  68. 疾患のステージに相関する化学化合物または生体分子を検出または定量化するための請求項1から35のいずれか一項に記載のナノセンサの使用。
  69. 前記疾患が、癌、心臓疾患、肺疾患、腎臓疾患、または精神障害である、請求項68に記載の使用。
  70. 微生物を検出または定量化するための請求項1から35のいずれか一項に記載のナノセンサの使用。
  71. 前記微生物が、環境または臨床試料由来のウイルス、真菌または細菌である、請求項70に記載の使用。
  72. 食品安全性または国家保安への脅威を有する化学化合物または生物学的物質を検出または定量化するための請求項1から35のいずれか一項に記載のナノセンサの使用。
  73. 前記化学化合物または生物学的物質が、有毒廃棄物または炭疽である、請求項72に記載の使用。
  74. 医学的または生理学的モニタにおけるバイタルパラメータを定量化するための請求項1から35のいずれか一項に記載のナノセンサの使用。
  75. 前記バイタルパラメータが、グルコース、血中酸素レベル、または総血球数である、請求項74に記載の使用。
  76. 生体試料由来の特異的DNAもしくはRNAの検出または定量化のための請求項1から35のいずれか一項に記載のナノセンサの使用。
  77. 染色体またはミトコンドリア内のDNAの遺伝子配列の配列決定及び比較のための請求項1から35のいずれか一項に記載のナノセンサの使用。
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