JP6299805B2 - 自動車車体の剛性試験装置及び方法 - Google Patents

自動車車体の剛性試験装置及び方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6299805B2
JP6299805B2 JP2016080065A JP2016080065A JP6299805B2 JP 6299805 B2 JP6299805 B2 JP 6299805B2 JP 2016080065 A JP2016080065 A JP 2016080065A JP 2016080065 A JP2016080065 A JP 2016080065A JP 6299805 B2 JP6299805 B2 JP 6299805B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle body
mounting table
stereo image
coefficient
vehicle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016080065A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017058357A (ja
Inventor
知克 片桐
知克 片桐
塩崎 毅
毅 塩崎
玉井 良清
良清 玉井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Publication of JP2017058357A publication Critical patent/JP2017058357A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6299805B2 publication Critical patent/JP6299805B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)

Description

本発明は、自動車車体の剛性試験装置及び方法に関し、特に、自動車車体の車体幅方向に荷重を作用させて剛性試験を行う自動車車体の剛性試験装置及び方法に関する。
従来、自動車車体の剛性は、自動車車体のフロント側又はリア側における左右のダンパー取り付け位置を固定し、固定していない反対側の左右のサスペンション締結部それぞれにアクチュエーターを接続し、左右のアクチュエーターを逆位相で動かして前記自動車車体全体をねじり、一定荷重負荷時のねじれ角を測定するねじり剛性試験による評価が一般的に行われている。このようなねじり剛性試験で評価される剛性は静的な評価値であり、特許文献1に開示されているように、構造体としての自動車車体の剛性を評価するには有用であり、実車両の走行試験における左右振られ感に基づく乗り心地評価に適用されている。しかしながら、テストドライバーによる実車両の走行試験により評価される操縦安定性や乗り心地等といった官能評価値との相関性において十分であるとはいえない。
実車両の走行試験により評価される官能評価値は、タイヤやサスペンション等の足回りやシャシ構造の寄与が大きく、ボディ構造(自動車車体)の剛性のみで決定されるわけではない。しかしながら、自動車車体の剛性が十分ではない車両では、シャシ構造の調整のみで官能評価値を満足のいくものにすることはできない。
官能評価値に近い指標を、自動車車体を試験対象としたラボスケールでの剛性試験により得るためには、少なくとも負荷荷重の変動に対する自動車車体の動的な変形挙動を測定することが重要である。動的な変形挙動を測定するためには、例えば、前述のねじり剛性試験において負荷荷重を連続的に変化させることにより周期的なねじり変形を自動車車体に与えて、その時のねじり角の変化や自動車車体各部の変形挙動を測定する手法が考えられる。このようなねじり剛性試験では、タイヤとサスペンションを介して路面の段差により車両上下方向に荷重が入力する場合における変形挙動に関しては、ラボスケールでの試験データとして有用であるが、車体幅方向に作用する荷重による変形挙動を知ることができない。
車体幅方向に作用する荷重による変形挙動を知る方法として、例えば、特許文献2には、車体各部の剛性を計測する技術が開示されている。この技術によれば、荷重を入力する部位及び方向を任意に設定することができる。
特開2015−161587号公報 特開2006−284340号公報
特許文献2に開示された技術によれば、車体幅方向の荷重に対する剛性を評価することが可能であると考えられる。しかしながら、特許文献2に開示されている技術は、モーダル解析として実施されている強制振動を付与した車体の周波数応答や固有値解析を用い、30Hz以上の周波数領域を主体とした剛性試験であって、定常状態での振動挙動を解析するものであるため、車体振動やロードノイズに関連する車両性能の評価項目との相関性は強いが、非定常状態である操縦安定性といった官能評価値の評価には不十分である。
操縦安定性や乗り心地といった官能評価値を物理的な数値指標に基づいて評価することが可能であると、自動車車体に要求される性能の基準や目標が明確となり、車体骨格の設計段階であっても車両性能の作り込みが容易となる。
車両性能の中でも、操縦安定性はコーナーリングや車線変更時における車両の応答挙動と強い相関があると考えられ、車体幅方向に作用する荷重による非定常の過渡的(動的)な自動車車体の変形挙動に大きく左右される。
車体幅方向に作用する荷重による自動車車体各部の動的な変形挙動を観測することができると、物理的な数値指標により官能評価値を得ることが可能になると考えられる。特に、車線変更時における操縦安定性においては、従来行われている周期的な応力(荷重)付与による定常状態における振動観測よりも、本発明が扱う自動車車体に作用する荷重が消失した後の自動車車体変形の復元挙動が重要である。
本発明は係る課題を解決するためになされたものであり、車体幅方向に荷重を作用させて自動車車体の動的な変形挙動を測定することにより、車両の操縦安定性と相関性がある自動車車体の幅方向の剛性を得る自動車車体の剛性試験装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、操縦安定性といった官能評価を実車両の走行試験を行わずに、自動車車体を用いたラボ試験により行うための自動車車体の剛性試験装置及び方法について検討した。
まず、前述のとおり、操縦安定性と自動車車体の幅方向の剛性とは互いに相関があることから、自動車車体に荷重を作用して変形させた状態から荷重を消失させ、変形前の初期形状に復元する際の自動車車体の変形挙動を測定する剛性試験により得られる結果と、走行時における操縦安定性との相関性は大きいと考えた。
すなわち、自動車車体に作用する荷重変動に伴う変形挙動が線形に近い場合、例えば、自動車車体に作用する荷重が消失し、自動車車体が変形前の形状へと復元する過程の応答が早いほど、操縦安定性といった官能評価値は向上すると推察した。
しかし、実際の自動車車体は荷重を作用させると弾性変形するため、当該荷重が消失した場合、自動車車体は減衰振動しながら初期形状へと復元する変形挙動を示す。この場合、初期形状に復元するまでの変形挙動の減衰が遅く、又は、振動による揺り返し(オーバーシュート)が大きいほど、自動車車体の変形挙動は非線形性が強い。そのため、このような自動車車体を用いた実車両の走行試験を行った場合には、乗員が感じる操縦安定性といった官能評価値は低くて、操縦安定性が悪いと推察した。
次に、荷重を消失させてからの自動車車体の変形挙動を知るためには、自動車車体に作用させる幅方向の荷重はなるべく単純で一方向であることが望ましいと考えた。理想的には、パルス状の幅方向荷重を1ショット作用させ、その時の自動車車体の変形挙動を測定することで、操縦安定性との相関性が高い自動車車体の剛性を評価できると期待した。
パルス状の幅方向荷重を1ショット作用させる方法として、フロアに自動車車体を固定した状態で前記自動車車体のある特定部位を所定の荷重まで引っ張り、当該荷重を一気に開放する方法が考えられる。しかし、この方法では作用させる幅方向荷重が、車体の一部に作用させる集中荷重であるため、このような荷重を作用させたときの前記自動車車体の変形状態は実走行時における変形挙動とは大きく異なってしまう。
そこで、本発明者らは、自動車車体を載置及び固定した載置台を車体幅方向の一方向に直線運動するように加速駆動し、その後、前記載置台を急制動して前記自動車車体に大きな減速度を生じさせることで、前記自動車車体の全体に荷重を作用させ、この過程における前記自動車車体の変形挙動を測定することにより、前記自動車車体の幅方向の動的な剛性を試験する装置及び方法を想到するに至った。
本発明は係る検討に基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成を備えてなるものである。
(1)本発明に係る自動車車体の剛性試験装置は、自動車車体の車体幅方向に荷重を作用させて前記自動車車体の剛性試験を行うものであって、前記自動車車体が載置及び固定される載置台を有し、該載置台が該自動車車体の車体幅方向に直線移動可能なスライドテーブルと、前記載置台を直線運動するように加速駆動する加速駆動装置と、直線運動している前記載置台を減速制動する減速制動装置と、前記加速駆動装置及び/又は減速制動装置により前記載置台の前記自動車車体に作用された荷重によって変形が生じた前記自動車車体のステレオ画像を撮像するステレオカメラと、前記ステレオ画像を画像解析して変形が生じた前記自動車車体の前記載置台に対する相対変位を求めるステレオ画像解析装置とを有することを特徴するものである。
(2)上記(1)に記載のものにおいて、前記ステレオカメラは、前記載置台に載置されたものであることを特徴するものである。
(3)上記(1)に記載のものにおいて、前記ステレオカメラは、前記載置台の直線運動とは分離したフロア面に設置され、前記ステレオカメラに対する前記載置台の位置変化を測定する位置変化測定器をさらに備え、前記位置変化測定器により測定された前記載置台の位置変化を用いて前記自動車車体の前記載置台に対する相対変位を求める変位取得手段を有することを特徴とするものである。
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記載置台は、前記加速駆動装置により所定の速度まで加速駆動され、一定速度で直線運動した後、前記減速制動装置により減速制動されることを特徴とするものである。
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のものにおいて、前記自動車車体の相対変位の時系列データを下式でフィッティングし、該下式の係数B及びTを取得するフィッティング係数取得手段と、該取得した係数B及びTから、前記自動車車体を用いた実車両の走行時における操縦安定性の指標として比率B/Tを算出する操縦安定性指標算出手段をさらに備えたことを特徴とするものである。
W(t)=-A・exp(-t/B)・sin[2π(t-C)T-1]
ただし、
W(t):変位量(mm)
t:時間(s)
A:最大変位量を規定する係数(mm)
B:減衰速度を規定する係数(s)
C:位相遅れを規定する係数(s)
T:振動周期を規定する係数(s)
(6)本発明に係る自動車車体の剛性試験方法は、自動車車体の車体幅方向に荷重を作用させて前記自動車車体の剛性試験を行うものであって、前記自動車車体が載置及び固定された載置台を、前記自動車車体の車体幅方向に直線運動するように加速駆動する加速駆動工程と、直線運動している前記載置台を減速制動する減速制動工程と、前記加速駆動工程及び/又は前記減速制動工程において前記自動車車体に作用された荷重によって変形が生じた前記自動車車体のステレオ画像を撮像するステレオ画像撮像工程と、前記ステレオ画像を画像解析して変形が生じた前記自動車車体の前記載置台に対する相対変位を求めるステレオ画像解析工程とを有することを特徴とするものである。
(7)上記(6)に記載のものにおいて、前記ステレオ画像撮像工程は、前記載置台に載置された前記ステレオカメラにより前記自動車車体のステレオ画像を撮像することを特徴とするものである。
(8)上記(6)に記載のものにおいて、前記ステレオ画像撮像工程は、前記載置台の直線運動とは分離したフロア面に設置された前記ステレオカメラにより前記自動車車体のステレオ画像を撮像し、前記ステレオカメラに対する前記載置台の位置変化を測定する位置変化測定工程をさらに備え、前記ステレオ画像解析工程は、前記位置変化測定工程において測定された前記載置台の位置変化を用いて前記載置台に対する前記自動車車体の相対変位を求めることを特徴とするものである。
(9)上記(6)乃至(8)のいずれかに記載のものにおいて、前記加速駆動工程により前記載置台を所定の速度にまで加速駆動した後、一定速度で直線運動させる定速運動工程をさらに備え、前記減速制動工程は、前記定速運動工程において一定速度で直線運動している前記載置台を減速制動することを特徴とするものである。
(10)上記(6)乃至(9)のいずれかに記載のものにおいて、前記自動車車体の相対変位の時系列データを下式でフィッティングし、該下式の係数B及びTを取得するフィッティング係数取得工程と、該取得した係数B及びTから、前記自動車車体を用いた実車両の走行時における操縦安定性の指標として比率B/Tを算出する操縦安定性指標算出工程をさらに備えたことを特徴とするものである。
W(t)=-A・exp(-t/B)・sin[2π(t-C)T-1]
ただし、
W(t):変位量(mm)
t:時間(s)
A:最大変位量を規定する係数(mm)
B:減衰速度を規定する係数(s)
C:位相遅れを規定する係数(s)
T:振動周期を規定する係数(s)
本発明においては、試験対象である自動車車体が載置及び固定される載置台を有し、該載置台が前記自動車車体の車体幅方向に直線運動可能なスライドテーブルと、前記載置台を直線運動するように加速駆動する加速駆動装置と、直線運動している前記載置台を減速させて制動する減速制動装置と、前記加速駆動装置及び/又は減速制動装置により前記載置台の前記自動車車体に作用された荷重によって変形が生じた前記自動車車体のステレオ画像を撮像するステレオカメラと、前記ステレオ画像を画像解析し、変形が生じた前記自動車車体の前記載置台に対する相対変位を求めるステレオ画像解析装置とを有することにより、前記自動車車体の車体幅方向に荷重を作用させて前記自動車車体の動的な変形挙動を測定し、実車両の走行試験における非定常の操縦安定性に関わる官能評価との相関性の高い剛性試験を行うことができる。
本実施の形態に係る自動車車体の剛性試験装置を説明する説明図である。 本実施の形態に係る自動車車体の剛性試験装置の他の態様を説明する説明図である。 本実施の形態に係る自動車車体の剛性試験装置の動作及び剛性試験方法における各工程を説明する図である。 1自由度減衰自由振動を説明する説明図である。 自動車車体の変形挙動を減衰自由振動で表した場合における各係数の影響を説明する説明図である(その1)。 自動車車体の変形挙動を減衰自由振動で表した場合における各係数の影響を説明する説明図である(その2)。 本実施例1における相対変位量の測定結果の図である。
本発明の実施の形態に係る自動車車体の剛性試験装置1(以下、単に「剛性試験装置1」という)は、自動車車体の車体幅方向に荷重を作用させて自動車車体の剛性試験を行うものであって、図1に示すように、自動車車体50が載置及び固定される載置台13を有し、載置台13が自動車車体50の車体幅方向に直線移動可能なスライドテーブル11と、載置台13を直線運動するように加速駆動する加速駆動装置17と、直線運動している載置台13を減速制動する減速制動装置19と、自動車車体50のステレオ画像を撮像するステレオカメラ21と、前記ステレオ画像を画像解析して自動車車体50の載置台13に対する相対変位を求めるステレオ画像解析装置31とを有することを特徴するものである。
以下、試験対象とする自動車車体50及び本実施の形態に係る剛性試験装置1の各構成を図1に基づいて詳細に説明する。
<自動車車体>
本発明で試験対象とする自動車車体50は、フロントピラー、サイドシル、クロスメンバー等といった骨格部品のみで構成される車体骨格(ホワイトボディ)であり、サスペンション又はアブソーバーを締結するための締結部51(図1参照)を有する。
<スライドテーブル>
スライドテーブル11は、自動車車体50を載置及び固定し、自動車車体50の車体幅方向に直線運動するものであり、例えば図1に示すように、自動車車体50を載置及び固定する載置台13と、載置台13を自動車車体50の車体幅方向に直線運動可能とするリニアガイド15から構成されている。
図1において、自動車車体50は、サスペンション及び/又はショックアブソーバーを締結する締結部51を介して載置台13に固定されている。
さらに、載置台13は、後述する加速駆動装置17により直線運動するように加速駆動された後に減速制動装置19により減速制動されるまでの間に、一定速度で直線運動可能であることが好ましい。この場合、加速駆動装置17により加速駆動される際に自動車車体50に作用する幅方向荷重によって自動車車体50に生じた変形を復元させるため、リニアガイド15は載置台13が一定速度で直線運動可能な距離を十分に有するものであることが望ましい。
なお、スライドテーブル11は、載置台13とリニアガイド15から構成されたものに限定されるものではなく、自動車車体50を載置及び固定した状態で車体幅方向に直線運動できるものであれば良く、前述のとおり、一定速度で直線運動可能なものであることがより好ましい。
<加速駆動装置>
加速駆動装置17は、自動車車体50が載置及び固定された載置台13をリニアガイド15上において直線運動させるために、載置台13を自動車車体50の車体幅方向に加速駆動するものである。
加速駆動装置17は、自動車車体50を載置及び固定した載置台13を加速駆動する際の加速度が、実際の自動車車両が走行して車線変更する際に車体幅方向に生じる加速度と同程度であることが望まれる。
また、加速駆動装置17は、後述する減速制動装置19により自動車車体50を減速制動し、減速制動時の相対変位を求める場合、自動車車体50に所定の減速度を付与するのに要する速度まで載置台13を加速させる必要がある。
加速駆動装置17には、例えば油圧シリンダーを用いることができるが、自動車車体50を載置した載置台13を所定の加速度又は所定の速度まで加速駆動できるものであれば、その態様には特に限定はない。
<減速制動装置>
減速制動装置19は、加速駆動装置17により駆動され、あるいはその後に直線運動している載置台13を減速させて制動するものであり、自動車車体50を減速及び制動することにより慣性力が発生し、自動車車体50全体に対して荷重を作用させる。
減速制動装置19は、自動車車体50を載置及び固定した載置台13を減速制動する際の減速度が、実際の自動車車両が走行して車線変更する際に車体幅方向に生じる減速度と同程度であることが望まれ、具体的には、自動車車体50の車体幅方向に0.1〜5.0G程度の減速度を付与できるものであることが望ましい。
減速制動装置19には、例えばコイル及び又はダンパーを用いることができる。
<ステレオカメラ>
ステレオカメラ21は、減速制動装置19により車体幅方向に荷重が作用され、変形が生じている自動車車体50のステレオ画像を撮像するものであり、図1に示す剛性試験装置1においては、支持台23を介して載置台13に設置される。
ステレオカメラ21は、連続撮影又は動画撮影が可能な複数台のデジタルカメラにより構成することができ、ステレオカメラ21の解像度や記録速度は、車体幅方向に荷重を作用させた際に自動車車体50に生じる変形範囲及び変形速度や、ステレオ画像解析装置31による画像解析において必要とされる分解能によって適宜選択できる。
なお、載置台13が減速制動装置19により減速制動される際、支持台23においても慣性力により荷重が作用するので、支持台23は当該荷重によって変形しない程度に十分な剛性を有するものであることが望ましい。
<ステレオ画像解析装置>
ステレオ画像解析装置31は、ステレオカメラ21により撮像された自動車車体50のステレオ画像の画像解析を行い、減速制動装置19によって荷重が作用された自動車車体50に生じている変形挙動を測定し、自動車車体50の載置台13に対する相対変位を求めるものである。
本実施の形態では、前述のとおり、自動車車体50は載置台13に固定及び載置された状態で車体幅方向に直線運動しているので、ステレオ画像解析装置31は、載置台13に対する自動車車体50の相対変位を演算するものである。
ステレオ画像解析装置31には、PC(パーソナルコンピュータ)等のコンピュータによって構成されたものを用いることができ、図1に示す通り、表示装置33、入力装置35、主記憶装置37、補助記憶装置39及び演算処理部41を有している。そして、演算処理部41には、表示装置33、入力装置35、主記憶装置37及び補助記憶装置39が接続され、演算処理部41の指令によって各機能を行う。
表示装置33は、モニター等で構成され、ステレオカメラ21により撮像されたステレオ画像やステレオ画像の解析結果の表示等に用いられる。
入力装置35は、キーボードやマウス等で構成され、画像解析条件の入力等に用いられる。
主記憶装置37は、RAM等で構成され、演算処理部41で使用するデータの一時保存や演算等に用いられる。
補助記憶装置39は、ハードディスク等で構成され、ステレオカメラ21により撮像されたステレオ画像や解析結果等のファイルの記憶等に用いられる。
演算処理部41は、PC等のCPU(中央演算処理装置)によって構成され、以下に説明する変位取得手段43はCPUが所定のプログラムを実行することによって実現することができる。以下、変位取得手段43について詳細に説明する。
変位取得手段43は、ステレオカメラ21により撮像されたステレオ画像毎に画像解析を行い、自動車車体50における特定点の載置台13に対する相対変位を撮影タイミング毎に取得するものである。
特定点とは、本実施の形態における試験対象である自動車車体50の表面における任意の位置にある点であり、変形挙動の測定対象とする点である。
自動車車体50のある特定点のある撮影タイミングにおける相対変位は、剛性試験対象である自動車車体50に荷重を作用させる前のステレオ画像(以下、「基準画像」という)から演算した前記特定点の座標(以下、「基準座標」という)と、自動車車体50に荷重が作用されて変形している状態又は変形している状態から復元する過程におけるある撮影タイミングでのステレオ画像(以下、「変形途中画像」という)から演算した座標(以下、「変形途中座標」という)との差分として求めることができる。
そして、前記ある特定点毎及びある撮影タイミング毎に取得することにより、自動車車体50の載置台13に対する相対変位の時系列データが前記ある特定点における変形挙動として得られる。
図1に示す本実施の形態に係る剛性試験装置1は、スライドテーブル11の載置台13にステレオカメラ21を設置したものであり、ステレオカメラ21により撮像されたステレオ画像をそのままステレオ画像解析装置31により画像解析することで、載置台13に対する自動車車体50の相対変位を求めることができる。
ただし、本実施の形態に係る剛性試験装置1は、図2に示すように、載置台13の直線運動とは分離したフロア面25にステレオカメラ21を設置したものでも良く、この場合、フロア面25に設置したステレオカメラ21に対する載置台13の位置変化を測定する位置変化測定器27をさらに備え、位置変化測定器27で測定された載置台13の位置変化の時系列データとステレオ画像解析により求められた自動車車体50の変位の時系列データとを対応付けることにより、載置台13に対する自動車車体50の相対変位を測定することができる。
なお、ステレオ画像解析装置31による画像解析としては、例えば、デジタル画像相関法又はマーカー法と呼ばれる手法を適用することができ、これらの手法によりステレオ画像の画像解析を行うことで、ステレオ画像毎に前記特定点の位置(3次元空間座標)を演算することができる。
なお、本実施の形態では、自動車車体50の載置台13に対する相対変位を測定する装置としてステレオ画像解析装置31を用いているが、例えば、レーザー変位計や接触式ポジションセンサー等の変位測定装置を用いて自動車車体50の前記相対変位を測定してもよい。ただし、レーザー変位計や接触式ポジションセンサー等の変位測定装置は一方向のみの前記相対変位を計測するものであるため、予め自動車車体50に荷重を付与した際における自動車車体50の変形方向を測定点毎に想定した上で前記変位測定装置を設置する必要がある。
これに対し、ステレオ画像解析装置31を用いて自動車車体50の変位を測定する場合、自動車車体50の3次元的な変位を測定することができるため、自動車車体50の変形方向を予め想定してステレオカメラ21を設置する必要がない。
さらに、ステレオ画像解析装置31を用いた場合、ステレオカメラ21により撮像されたステレオ画像の中から任意の位置にある特定点の変位を得ることができる。そして、前記特定点の位置は、ステレオ画像を画像解析する段階で自由に選択することが可能であり、かつ、何度でも選択し直すことができる。
したがって、本実施の形態に係る剛性試験装置1においては、ステレオ画像解析装置31を用いて自動車車体50の変位を測定することが望ましい。
次に、上記のように構成された自動車車体の剛性試験装置1を用いて剛性試験を行う自動車車体の剛性試験方法を、剛性試験装置1の動作と共に、図3を参照して以下に説明する。
本実施の形態に係る自動車車体の剛性試験方法は、自動車車体50の車体幅方向に荷重を作用させて自動車車体50の剛性試験を行うものであって、自動車車体50が載置された載置台13を、自動車車体50の車体幅方向に直線運動するように加速駆動する加速駆動工程と、直線運動している載置台13を、所定の減速度で減速させて制動する減速制動工程と、自動車車体50のステレオ画像を撮像するステレオ画像撮像工程と、該ステレオ画像を画像解析し、自動車車体50の載置台13に対する相対変位を求めるステレオ画像解析工程とを備えている。
以下、各工程について詳細に説明する。
<加速駆動工程>
加速駆動工程は、加速駆動装置17を用いて自動車車体50が載置及び固定された載置台13を加速させ、自動車車体50の車体幅方向に直線運動するように駆動させる工程である(図3(a)参照)。
当該加速駆動工程では、実際の自動車車両が走行して車線変更する際の車体幅方向に生じる加速度と同程度とするか、又は、後述する減速制動工程において自動車車体50を減速及び制動する過程において所定の減速度を自動車車体50に付与するのに必要となる速度まで載置台13を加速させるとよい。
<減速制動工程>
減速制動工程は、前記加速駆動工程により直線運動するように駆動された載置台13を制動する工程であり、自動車車体50の車体幅方向に減速度を発生させて荷重を作用させる(図3(c)参照)。
減速制動工程において自動車車体50の車体幅方向に発生される減速度は、走行している車両の車線変更時に作用する減速度と同程度であることが好ましく、具体的には、0.1〜5.0G程度の減速度を自動車車体50の車体幅方向に発生できるものであれば良い。
例えば、自動車車体50に1.0Gの減速度を発生させるためには、1.0Gの減速度を持続する持続時間を10〜50msとすると、減速区間のストローク設定は、2〜25mmとすれば良い。
<ステレオ画像撮像工程>
ステレオ画像撮像工程は、載置台13に載置及び固定された自動車車体50のステレオ画像を撮像する工程であり、ステレオ画像を撮像するステレオカメラ21は、図1に示すように載置台13に設置、又は、図2に示すように載置台13の直線運動とは分離したフロア面25に設置される。
ステレオカメラ21をフロア面25に設置した場合、ステレオ画像を撮像するタイミングと対応づけて載置台13の位置変化の時系列データを位置変化測定器27により測定する。
<位置変化測定工程>
位置変化測定工程は、ステレオカメラ21をフロア面25に設置した場合、ステレオ画像を撮像するタイミングと対応づけて載置台13の位置変化の時系列データを位置変化測定器27により測定する工程である。
測定された載置台13の位置変化の時系列データは、前記ステレオ画像解析工程において自動車車体50の載置台13に対する相対変位を求める際に用いられる。
<ステレオ画像解析工程>
ステレオ画像解析工程は、ステレオ画像解析装置31を用い、ステレオカメラ21により撮像されたステレオ画像のステレオ画像解析を行い、車体幅方向に作用した荷重によって変形が生じた自動車車体50の載置台13に対する相対変位を求める工程である。
さらに、本発明に係る自動車車体の剛性試験方法は、以下に説明する定速運動工程をさらに備えることが望ましい。
<定速運動工程>
定速運動工程は、前記加速駆動工程において加速駆動された載置台13が前記減速制動工程において減速制動されるまでの間に、載置台13を一定速度で直線運動させる工程である。
当該定速運動工程においては、前記加速駆動工程において自動車車体50に作用した荷重によって生じた自動車車体50の変形が復元するまで、載置台13の速度を一定に維持させることが望ましい。
載置台13及びリニアガイド15から構成されるスライドテーブル11においては、加速駆動装置17によって載置台13が所定の速度まで加速駆動された時点で、加速駆動装置17による加速駆動を停止することにより、載置台13をリニアガイド15上においてほぼ一定速度で直線運動させることができる。
上記のように構成された剛性試験装置1又は剛性試験方法では、通常の走行シミュレーターの様に3次元的な複雑な動きや周期的な動きの繰り返しは必要ではなく、1軸方向にのみ作用する慣性力(荷重)を自動車車体50に作用させることで、実際の車両を用いずに自動車車体50のみを用いて剛性試験を行うことができる。
なお、本実施の形態に係る剛性試験装置1及び剛性試験方法は、実車両の走行時における車線変更時の操縦安定性評価を主眼においた剛性試験を行うための装置及び方法であり、車体幅方向に生じた荷重により変形が生じた自動車車体50の載置台13に対する相対変位を測定するものである。
ただし、本実施の形態に係る剛性試験装置1又は剛性試験方法による変形挙動の測定は、スライドテーブル11を減速制動する過程において作用された荷重による変形に限定するものではなく、例えば、加速駆動装置17により載置台13を加速する過程において作用した荷重による自動車車体50の変形挙動を測定することを排除するものではない。
本実施の形態に係る自動車車体の剛性試験装置1及び剛性試験方法を用い、車体幅方向に荷重が作用されて変形が生じた自動車車体の変位を測定することで、自動車車両の非定常の操縦安定性に関わる官能評価の指標が得られると考えられる。以下、これについて説明する。
前述のとおり、自動車車両の操縦安定性は、自動車車体の車体幅方向に荷重を作用させた時の車体変形の応答性との相関性が高いと考えられる。
自動車車体に作用する車体幅方向の荷重による変形挙動が線形応答に近い場合、例えば、荷重が消失して自動車車体が変形前の形状へと復元する過程の応答が早いほど、操縦安定性といった官能評価は向上するものと推察される。
しかしながら、自動車車体に荷重を作用させた場合、自動車車体は弾性変形するため、荷重を消失させた後の車体の変形挙動は減衰振動を示す。そして、変形前の初期形状に復元するまでの変位の減衰が遅く、又は、振動による変位の揺り返し(オーバーシュート)が大きいほど、車体の変形挙動は非線形性が強くなり、乗員が感じる操縦安定性といった官能評価は低下すると考えられる。
そこで、車体幅方向に荷重を作用させた自動車車体の変形と、当該荷重を消失させて変形前の形状へと復元する過程における自動車車体の変位の減衰振動を評価することで、操縦安定性評価の指標が得られるものと考えた。
自動車車体の変形挙動は、図4に示すようなばねとダンパー(ダッシュポッド)により支持される質点の1自由度減衰自由振動で記述することができるものとした。この場合、自動車車体の変位量は式(1)で表すことができる。
W(t)=-A・exp(-t/B)・sin[2π(t-C)T-1] ・・・(1)
ただし、
W(t):変位量(mm)
t:時間(s)
A:最大変位量を規定する係数(mm)
B:減衰速度を規定する係数(s)
C:位相遅れを規定する係数(s)
T:振動周期を規定する係数(s)
式(1)の各係数(A、B、C、T)と車体の減衰振動特性との関係について、以下に説明する。
係数Aは、減衰振動の最大変位量を表し、車体剛性が高いほど係数Aの値は小さいと考えられるが、同時に車体骨格の重心位置(フロアからの高さ)や車体に作用する入力荷重の影響を受ける。
係数Bは、減衰振動の減衰速度を規定するものであり、車体に作用する慣性力(荷重)により励起された車体振動が一定の割合に収束するまでの時間を表す。
係数Cは、入力荷重の波形に対する車体振動の位相遅れを表すものであり、車体剛性が高いほど車体振動の位相遅れは小さく、車体骨格の局部に剛性が低い部位があると、入力荷重による車体の変形に遅れが発生する。
係数Tは、減衰振動の振動周期を表し、本発明に係る剛性試験においては、振動系の質点部分に相当する質量と、ばね定数に相当する車体剛性、特に、フロア部より上方にあるアッパーボデーの剛性に依存する。
自動車の実車両の官能試験等で評価される操縦安定性は、ステアリング操作に対する自動車車体の変形挙動の非線形性を感じ取っているものと推察されるため、コーナーリングやレーンチェンジにおいては、車体幅方向に作用する横荷重に対する自動車車体の変形が線形的であるほど、操縦安定性は良好な評価になるものと考えられる。
また、自動車車体の幅方向に作用する荷重の消失後、弾性変形した自動車車体の復元過程における変位量のオーバーシュート(揺り返し)は、運転者のステアリング操作とは関係なく起こる挙動であり、車両に対する操作あるいは荷重入力等に対して非線形的な挙動である。したがって、オーバーシュートは、操縦安定性を低下させる要因であると考えられる。
オーバーシュートの定量的な表現には、式(1)により記述される減衰振動において、減衰速度を表す係数Bと、振動周期を表す係数Tが重要である。
図5及び6に、式(1)により求めた減衰自由振動における変位量の経時変化の例を示す。図5及び6において、変位量W(t)は、自動車車体50を載置及び固定した載置台13が直線運動する方向を負としたものである。
図5及び6より、式(1)における係数B及びTは、車体の変形が回復する減衰過程を特徴付ける係数であることがわかる。
すなわち、係数Tが一定で係数Bが変化する場合、減衰振動過程におけるオーバーシュート量が変化する(図5(a)参照)。
係数B及びTそれぞれが変化したとしても、その比率(B/T)が一定の場合、減衰振動過程におけるオーバーシュート量は一定である(図5(b)参照)。
減衰振動の初期の変位量W(t)をほぼ一定にして、係数Aと係数Bが変化すると、振動の周期が変化し、変形が十分に減衰するまでの時間に差が生じる(図5(c)参照)。また、係数Bの値が小さい場合、変位量の減衰が早く、車体変形挙動は初期形状(変位量=0)への速やかな復元を示すため、振動は発生せずにオーバーシュートも発生しない。
さらに、係数Bの値を一定のまま係数Tの値を変化させると、減衰速度が同じであっても、係数Tの値が小さくて振動周期が短いため、オーバーシュートの発生回数は多くなる(図6参照)。
したがって、本発明に係る自動車車体の剛性試験装置においては、自動車車体50の車体幅方向に荷重を作用させた状態から測定した載置台13に対する相対変位の時系列データを式(1)でフィッティングし、係数B及びTを取得するフィッティング係数取得手段と、該フィッティング係数取得手段により取得した係数B及びTから、自動車車体50を用いた実車両の走行時における操縦安定性の指標として比率B/Tを算出する操縦安定性指標算出手段をさらに備えることにより、自動車車体50を用いて製作した実車両の走行試験における非定常の操縦安定性に関わる官能評価と相関の高い自動車車体50の剛性試験を行うことができると考えられる。
フィッティング係数取得手段及び操縦安定性指標算出手段としては、例えば、剛性試験装置1のステレオ画像解析装置31における演算処理部41が機能として有しているものであっても良いし、これらの手段の機能を有する装置やコンピュータ等を別途用いるものであっても良い。
同様に、本発明に係る自動車車体の剛性試験方法においても、自動車車体50の相対変位の時系列データを式(1)でフィッティングし、係数B及びTを取得するフィッティング係数取得工程と、該取得した係数B及びTから自動車車体50を用いた実車両の走行時における操縦安定性評価の指標として比率B/Tを算出する操縦安定性指標算出工程をさらに有することにより、自動車車体50を用いて製作した実車両の走行試験における非定常の操縦安定性に関わる官能評価と相関の高い剛性試験を行うことができると考えられる。
フィッティング係数取得工程及び操縦安定性指標算出工程は、例えば、ステレオ画像解析装置31の演算処理部41が所定のプログラムを実行することにより実現することができる。
本発明に係る自動車車体の剛性試験装置及び方法により得られた剛性試験結果と、実車両走行時における操縦安定性に関わる官能評価との相関に関しては、後述する実施例2において説明する。
本発明に係る自動車車体の剛性試験装置及び方法の作用効果について確認するための具体的な実験を行ったので、以下これについて説明する。
本実施例1では、本発明に係る自動車車体の剛性試験装置1(図1参照)を用い、自動車車体50の車体幅方向に荷重を作用させた時の自動車車体50の変形挙動を測定した。
まず、剛性試験装置1の載置台13に自動車車体50を載置及び固定した。
次に、加速駆動装置17により、載置台13を所定の速度まで加速駆動した。
そして、減速制動装置19により、前記所定の速度で直線運動している載置台13を減速させて急制動した。
減速制動装置19による減速及び制動過程において、ステレオカメラ21により自動車車体50のステレオ画像を撮像し、ステレオ画像解析装置31により自動車車体50のセンターピラー上部の水平方向の変位量を測定した。なお、当該変位量は、載置台13に対する相対変位量である。
本実施例1の剛性試験に供した自動車車体50は、車両重量0.8tonクラス、及び、車両重量1.4tonクラスの小型車の2車種について、フード、ドア類は外し、バンパーレインフォースを装着した状態の車体骨格(ホワイトボディ)として剛性試験を行った。
図7に自動車車体50の相対変位量の測定結果を示す。図7(a)は車両重量0.8tonクラスの自動車車体50、図7(b)は車両重量1.4tonクラスの自動車車体50における相対変位量の経時変化であり、時間t=0秒は、減速制動装置19による減速度の発生及び急制動の開始をした時間であり、自動車車体50が直線運動する方向を負とする載置台13に対する相対変位量である。
さらに、図7に、自動車車体50の相対変位量の実測値を式(1)でフィッティングした結果も併せて示す。
図7より、いずれの車種においても、急制動を開始した直後、自動車車体50に荷重が作用して変形が生じ、自動車車体50の制動が完了して自動車車体50に作用する荷重が消失することにより、自動車車体50の相対変位量の実測値は減衰振動しながら変形前の初期形状(相対変位量=0mm)に漸近する結果が得られた。
さらに、相対変位量の減衰振動は、バラツキはあるものの、車種(車両重量)によらず式(1)により良好にフィッティングできることが示された。
以上より、本発明に係る自動車車体の剛性試験装置及び方法を用いることにより、前記自動車車体の車体幅方向に荷重を作用させて前記自動車車体の動的な変形挙動を測定できることが実証された。
次に、本発明に係る自動車車体の剛性試験装置及び方法により自動車車体の動的な変形挙動を測定し、該測定結果から実車両の走行時における操縦安定性に関する指標を算出する実験を行った。
本実施例2においては、まず、車両重量0.4〜1.4tonの市販小型車の4車種を対象とし、複数の一般の運転者による走行時の官能試験を行い、各車種の操縦安定性としてレーンチェンジや曲線路での運転のしやすさを評価した。
操縦安定性の評価においては、最高点(=5点)から最低点(=1点)までの5段階で評価し、車種毎に平均値を求めた。
次に、官能試験において操縦安定性を評価した車両から自動車車体50(ホワイトボディ―)を製作し、本発明に係る自動車車体の剛性試験装置1を用いて剛性試験を行った(図1参照)。
本実施例2における剛性試験においては、前述の実施例1と同様、自動車車体50の車体幅方向に荷重を作用させた時の自動車車体50の変形挙動を測定した。
自動車車体50の変形挙動の測定は、ステレオカメラ21により自動車車体50のステレオ画像を撮像し、該ステレオ画像をステレオ画像解析装置31により画像解析することにより行い、載置台13に対する相対変位量の時系列データを取得した。
取得した時系列データを、式(1)によりフィッティングして式(1)中の係数B、Tを求め、係数BとTの比率B/Tを算出した。
表1に、剛性試験により測定した車体の変形挙動の時系列データから求めた係数B、T及び比率B/Tと、実車両の官能試験により得られた操縦安定性の評価結果を示す。
表1より、剛性試験により得られた比率B/Tの値が小さい車種ほど、官能試験における操縦安定性の評価は高くなり、本発明に係る車体の剛性試験により得られた指標(比率B/T)と、実車両の官能試験により得られた操縦安定性の評価との間には相関があることが分かる。
以上より、本発明に係る車体の剛性試験装置及び方法により、実車両の走行時における操縦安定性との相関が高い自動車車体の剛性試験を行うことができ、実車両の操縦安定性に関わる官能評価の指標を算出できることが実証された。
1 剛性試験装置
11 スライドテーブル
13 載置台
15 リニアガイド
17 加速駆動装置
19 減速制動装置
21 ステレオカメラ
23 支持台
25 フロア面
27 位置変化測定器
31 ステレオ画像解析装置
33 表示装置
35 入力装置
37 主記憶装置
39 補助記憶装置
41 演算処理部
43 変位取得手段
50 自動車車体
51 締結部

Claims (10)

  1. 自動車車体の車体幅方向に荷重を作用させて前記自動車車体の剛性試験を行う自動車車体の剛性試験装置であって、
    前記自動車車体が載置及び固定される載置台を有し、該載置台が該自動車車体の車体幅方向に直線移動可能なスライドテーブルと、
    前記載置台を直線運動するように加速駆動する加速駆動装置と、
    直線運動している前記載置台を減速制動する減速制動装置と、
    前記加速駆動装置及び/又は減速制動装置により前記載置台の前記自動車車体に作用された荷重によって変形が生じた前記自動車車体のステレオ画像を撮像するステレオカメラと、
    前記ステレオ画像を画像解析して変形が生じた前記自動車車体の前記載置台に対する相対変位を求めるステレオ画像解析装置とを有することを特徴する自動車車体の剛性試験装置。
  2. 前記ステレオカメラは、前記載置台に載置されたものであることを特徴する請求項1記載の自動車車体の剛性試験装置。
  3. 前記ステレオカメラは、前記載置台の直線運動とは分離したフロア面に設置され、
    前記ステレオカメラに対する前記載置台の位置変化を測定する位置変化測定器をさらに備え、
    前記位置変化測定器により測定された前記載置台の位置変化を用いて前記自動車車体の前記載置台に対する相対変位を求める変位取得手段を有することを特徴とする請求項1記載の自動車車体の剛性試験装置。
  4. 前記載置台は、前記加速駆動装置により所定の速度まで加速駆動され、一定速度で直線運動した後、前記減速制動装置により減速制動されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動車車体の剛性試験装置。
  5. 前記自動車車体の相対変位の時系列データを下式でフィッティングし、該下式の係数B及びTを取得するフィッティング係数取得手段と、
    該取得した係数B及びTから、前記自動車車体を用いた実車両の走行時における操縦安定性の指標として比率B/Tを算出する操縦安定性指標算出手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の自動車車体の剛性試験装置。
    W(t)=-A・exp(-t/B)・sin[2π(t-C)T-1]
    ただし、
    W(t):変位量(mm)
    t:時間(s)
    A:最大変位量を規定する係数(mm)
    B:減衰速度を規定する係数(s)
    C:位相遅れを規定する係数(s)
    T:振動周期を規定する係数(s)
  6. 自動車車体の車体幅方向に荷重を作用させて前記自動車車体の剛性試験を行う自動車車体の剛性試験方法であって、
    前記自動車車体が載置及び固定された載置台を、前記自動車車体の車体幅方向に直線運動するように加速駆動する加速駆動工程と、
    直線運動している前記載置台を減速制動する減速制動工程と、
    前記加速駆動工程及び/又は前記減速制動工程において前記自動車車体に作用された荷重によって変形が生じた前記自動車車体のステレオ画像を撮像するステレオ画像撮像工程と、
    前記ステレオ画像を画像解析して変形が生じた前記自動車車体の前記載置台に対する相対変位を求めるステレオ画像解析工程とを有することを特徴とする自動車車体の剛性試験方法。
  7. 前記ステレオ画像撮像工程は、前記載置台に載置された前記ステレオカメラにより前記自動車車体のステレオ画像を撮像することを特徴とする請求項6記載の自動車車体の剛性試験方法。
  8. 前記ステレオ画像撮像工程は、前記載置台の直線運動とは分離したフロア面に設置された前記ステレオカメラにより前記自動車車体のステレオ画像を撮像し、
    前記ステレオカメラに対する前記載置台の位置変化を測定する位置変化測定工程をさらに備え、
    前記ステレオ画像解析工程は、前記位置変化測定工程において測定された前記載置台の位置変化を用いて前記載置台に対する前記自動車車体の相対変位を求めることを特徴とする請求項6記載の自動車車体の剛性試験方法。
  9. 前記加速駆動工程により前記載置台を所定の速度にまで加速駆動した後、一定速度で直線運動させる定速運動工程をさらに備え、
    前記減速制動工程は、前記定速運動工程において一定速度で直線運動している前記載置台を減速制動することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の自動車車体の剛性試験方法。
  10. 前記自動車車体の相対変位の時系列データを下式でフィッティングし、該下式の係数B及びTを取得するフィッティング係数取得工程と、
    該取得した係数B及びTから、前記自動車車体を用いた実車両の走行時における操縦安定性の指標として比率B/Tを算出する操縦安定性指標算出工程をさらに備えたことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の自動車車体の剛性試験方法。
    W(t)=-A・exp(-t/B)・sin[2π(t-C)T-1]
    ただし、
    W(t):変位量(mm)
    t:時間(s)
    A:最大変位量を規定する係数(mm)
    B:減衰速度を規定する係数(s)
    C:位相遅れを規定する係数(s)
    T:振動周期を規定する係数(s)
JP2016080065A 2015-09-18 2016-04-13 自動車車体の剛性試験装置及び方法 Active JP6299805B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015184717 2015-09-18
JP2015184717 2015-09-18

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017058357A JP2017058357A (ja) 2017-03-23
JP6299805B2 true JP6299805B2 (ja) 2018-03-28

Family

ID=58389839

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016080065A Active JP6299805B2 (ja) 2015-09-18 2016-04-13 自動車車体の剛性試験装置及び方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6299805B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6635081B2 (ja) * 2017-03-27 2020-01-22 Jfeスチール株式会社 自動車車体の動的剛性試験方法
JP6575556B2 (ja) * 2017-04-07 2019-09-18 Jfeスチール株式会社 自動車車体の動的剛性試験方法
JP6835034B2 (ja) * 2018-05-15 2021-02-24 Jfeスチール株式会社 自動車車体の特性試験方法
CN108827664B (zh) * 2018-08-10 2020-03-31 重庆迈通充磁机电设备有限责任公司 一种汽车转向系统冲击试验检测台
JP7070511B2 (ja) * 2019-06-18 2022-05-18 Jfeスチール株式会社 自動車車体の特性試験方法
JP7438086B2 (ja) 2020-11-18 2024-02-26 株式会社日立ソリューションズ データの系列間の差異を判定する方法、装置およびプログラム

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2956408B2 (ja) * 1993-02-25 1999-10-04 三菱自動車工業株式会社 車両のロール特性試験装置
US20050081656A1 (en) * 2003-07-23 2005-04-21 Mts Systems Corporation Force element for vehicle impact crash simulator
JP4205727B2 (ja) * 2005-03-17 2009-01-07 有限会社フォルムアソシエート 車体のねじり剛性測定方法
JP2006284340A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Fuji Heavy Ind Ltd 剛性計測装置、及び、剛性計測方法
US7836749B2 (en) * 2006-08-09 2010-11-23 Ford Motor Company Sled buck testing system
JP6416456B2 (ja) * 2012-10-16 2018-10-31 Jfeスチール株式会社 車体剛性試験装置及び車体剛性試験方法
JP5849991B2 (ja) * 2013-05-31 2016-02-03 Jfeスチール株式会社 自動車車体剛性試験方法および自動車車体剛性試験装置
JP5858003B2 (ja) * 2013-06-26 2016-02-10 Jfeスチール株式会社 自動車車体剛性試験方法および自動車車体剛性試験装置
JP2015161587A (ja) * 2014-02-27 2015-09-07 ダイハツ工業株式会社 自動車の乗り心地評価方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017058357A (ja) 2017-03-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6299805B2 (ja) 自動車車体の剛性試験装置及び方法
JP6390646B2 (ja) 自動車車体の剛性試験装置及び方法
JP5849991B2 (ja) 自動車車体剛性試験方法および自動車車体剛性試験装置
JP6822428B2 (ja) 自動車車体の特性試験方法
KR100534700B1 (ko) 자동차의 서스펜션 및 그 제어방법
CN108918074B (zh) 一种基于智能材料阻尼器的冲击载荷模拟设备及应用方法
JP6695634B2 (ja) 試験装置
JP2016075489A (ja) センターピラーの側面衝突試験のための支持治具
CN112182764A (zh) 车辆平顺性测试方法及装置
JP6575556B2 (ja) 自動車車体の動的剛性試験方法
JP6635081B2 (ja) 自動車車体の動的剛性試験方法
JP5858003B2 (ja) 自動車車体剛性試験方法および自動車車体剛性試験装置
US11814120B2 (en) Data processing device and data processing system
JP6835034B2 (ja) 自動車車体の特性試験方法
JP7364907B2 (ja) 構造ヒステリシス測定方法及び構造ヒステリシス測定装置
JP6083793B2 (ja) 車両固有振動数検出装置および重心位置測定装置
Žuraulis et al. Quarter car test rig for extended dynamics research in laboratory conditions
JP2021032680A (ja) 自動車車体の特性試験方法
Ripin et al. Dynamic characterization of engine mount at different orientation using sine swept frequency test
KR20110096072A (ko) 차량 정렬 방법 및 장치
Pürscher et al. Analysis of disk brake creep groan vibrations at automobile chassis front corner level using high-speed recordings and digital image processing
CN114624037B (zh) 驾驶室载荷提取方法和装置
JP7070511B2 (ja) 自動車車体の特性試験方法
JP6260477B2 (ja) 振動解析装置及び振動解析方法
Teodorescu et al. Mathematical Model for Study of Behavior of the Bodywork at Impact

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170424

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180130

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180212

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6299805

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250