以下、本発明の一実施形態に係る可視像形成装置及び画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の外観を示す斜視図である。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置1は、ファクシミリ通信機能、コピー機能、プリンター機能、およびスキャナー機能等の複数の機能を兼ね備えた複合機である。図1に示すように、画像形成装置1は、装置本体2と、装置本体2の上方に配置された画像読取部5と、画像読取部5と装置本体2との間に設けられた連結部3とから構成される。
画像形成装置1の外郭を構成する筐体7には、画像形成装置1の様々な機能を実現するための複数の構成機器が収容されている。例えば、筐体7には、画像読取部5、画像形成部12(図2)、定着部、給紙部30、及び本発明の一実施形態に係る2つの可視像形成部50等が収容されている。
画像読取部5は、原稿搬送部6と、原稿搬送部6により搬送されてくる原稿又は不図示のコンタクトガラスに載置された原稿を光学的に読み取るスキャナーとを有するADF(Auto Document Feeder)である。画像読取部5は、ファクシミリ送信対象の原稿を1枚ずつ読み取ることで、画像形成対象となる画像データを取得する。
画像形成部12は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、及び転写装置を備え、画像読取部5によって読み取られた画像や、ネットワーク接続されたパーソナルコンピューターから送られてくるプリント対象データを用いて、給紙部30から供給される記録紙に画像を形成(印刷)する。画像形成済みの記録紙は上記定着部による定着処理を受けた後、排出トレイ4に排出される。
操作部47は、例えば、当該画像形成装置1の機能の動作開始を指示するためのスタートキー、数値入力を行うための数値入力キー、可視像形成部50及び操作検知部60の起動を指示する起動キー、操作者への操作案内等を表示する表示部473等を備える。
可視像形成部50は、画像形成装置1の正面向き壁面及び側面向き壁面に1つずつ設けられており、それぞれが空中に操作画面を示す可視像を形成する。これらの操作画面は、後で説明するように擬似的タッチ操作により操作可能であり、操作部47と略同等の機能を有する。
(1)可視像形成部50は、不可視のレーザー光を間欠的に発光させ、当該レーザー光をレンズやミラー等により集光してプラズマを発生させ、当該プラズマから発光する可視光により文字、画像等の可視像を空中に形成する(その可視像形成方法は、例えば特開2003−233339号公報及び特開2007−206588号公報に示されている)。或いは、(2)可視像形成部50は、光学結像装置を有し、表示装置から発せられた光を受け入れて反射させ、当該光学結像装置を挟んで当該表示装置とは対称となる位置に反射光を収束させることで空中に物体像を結像させる構成である(その可視像形成方法は、例えば特開2013−127625号公報に示されている)。以下、本実施形態では、可視像形成部50が上記(1)の構成を採るものとして説明する。
また、画像形成装置1の正面向き壁面及び側面向き壁面には、それぞれの操作検知部60が設けられている。これら2つの操作検知部60は、それぞれの可視像形成部50に対応付けられて組み合わせられており、自己に対応付けられた可視像形成部50により形成された可視像(操作画面)に操作者がその手を位置させたときに、可視像(操作画面)に対する擬似的タッチ操作を検知する。これらの操作検知部60は、当該操作の検出時、操作の検知と共に当該操作が行われた位置情報を指示受付部101(図2)に出力する。
次に、画像形成装置1の構成を説明する。図2は画像形成装置1の主要内部構成を示す機能ブロック図である。
画像形成装置1は、制御ユニット10を備える。制御ユニット10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM、ROM及び専用のハードウェア回路等から構成される。
画像読取部5は、制御ユニット10による制御の下、光照射部及びCCDセンサー等を有する読取機構を備える。画像読取部5は、光照射部により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサーで受光することにより、原稿から画像を読み取る。
画像処理部31は、画像読取部5で読み取られた画像の画像データを、必要に応じて画像処理する。例えば、画像処理部31は、画像読取部5により読み取られた画像が画像形成部12により画像形成された後の品質を向上させるために、シェーディング補正等の予め定められた画像処理を行う。
画像メモリー32は、画像読取部5による読取で得られた原稿画像のデータを一時的に記憶したり、画像形成部12による画像形成の対象となるデータを一時的に保存する領域である。
画像形成部12は、画像読取部5で読み取られた印刷データ、ネットワーク接続されたコンピューター200から受信した印刷データ等の画像形成を行う。
操作部47は、画像形成装置1の機能及び処理等について操作者からの指示を受付ける。
2つの可視像形成部50は、制御部100による制御の下で空中に操作画面を示す可視像をそれぞれ形成する。本実施形態では、各可視像形成部50のいずれも、不可視のレーザー光を間欠的に発光させ、当該レーザー光をレンズやミラー等により集光してプラズマを発生させ、当該プラズマから発光する可視光により文字、画像等からなる操作画面の可視像を空中に形成する。各可視像形成部50のいずれも、レーザー光源部51と、形成位置算出部52と、レーザー光源制御部53とを少なくとも備える。
レーザー光源部51は、レーザー光源制御部53による制御の下で、不可視の上記レーザービームを発光する。なお、レーザー光源部51は、レーザービームを発光するレーザー光源と、レーザー光源からのレーザー光を集光してプラズマを発生させるレンズやミラー等と、レーザー光源及び当該レンズやミラー等を走査させる走査機構とを有する。
形成位置算出部52は、制御部100から操作画面を示す画面画像を受け取り、この画面画像(操作画面)を示す可視像が、予め定められた可視像形成位置(予め定めた三次元空間座標系上における位置座標)で形成されるように、レーザー光源部51によるレーザー光出射方向及び出射位置を算出する。すなわち、形成位置算出部52は、どのような可視像形成位置でレーザー光源部51によりプラズマを発生させるかを算出する。
レーザー光源制御部53は、形成位置算出部52により算出されたレーザー光出射方向及び出射位置に存在する気体をプラズマ発光させるためにレーザー光源部51を制御する。可視像は、2つのレーザー光の交点に発生する輝点により生じるため、レーザー光源制御部53は、例えば、当該輝点の位置が画面画像(操作画面)を構成する各画素に対応する位置となるように、当該2つのレーザー光を発光させるタイミングを調節しつつ、レーザー光源部51を駆動制御する。
制御ユニット10は、制御部100と、指示受付部101とを備えている。制御ユニット10は、HDD92にインストールされている可視像形成制御プログラムに従った動作により、制御部100及び指示受付部101として機能する。但し、制御部100及び指示受付部101は、制御ユニット10による可視像形成制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハード回路により構成することも可能である。
制御部100は、画像読取部5、原稿搬送部6、画像処理部31、画像メモリー32、画像形成部12、操作部47、ファクシミリ通信部71、ネットワークインターフェイス部91、HDD(ハードディスクドライブ)92、各可視像形成部50、及び各操作検知部60等と接続され、これら各部の駆動制御を行う。
各操作検知部60のいずれも、自己に対応付けられた可視像形成部50により上記予め定められた空間位置に可視像が形成されたときに、当該可視像として形成されている操作画面の表示位置に操作者の手を位置させた状態である擬似的タッチ操作を検知する。各操作検知部60は、当該擬似的タッチ操作を検知すると、操作画面の種別と、当該擬似的タッチ操作の位置情報とを、指示受付部101に出力する。
例えば、操作検知部60は、撮像部61を備える。撮像部61は、その操作検知部60に対応付けられた可視像形成部50によって可視像が形成される上記予め定められた形成位置から三次元空間の一定範囲内を撮像する。操作検知部60では、撮像部61によって撮像された画像に基づいて操作者の手等の画像及び当該画像の空間位置を特定し、画像の空間位置が、上記予め定められた形成位置に可視像として形成されている操作画面から一定範囲内(例えば、xyz方向の少なくともいずれかにおいて10mm以内)の位置である場合には、当該可視像としての操作画面に対する擬似的タッチ操作として検知し、当該擬似的タッチ操作が行われた位置を示す位置情報を取得する。
例えば、操作検知部60は、撮像部61による撮影画像を基に、2値化処理や濃淡情報を利用したパターンマッチング等の画像処理を行って、操作者の画像を判別する。ここでは、操作検知部60は、撮影画像より抽出される操作者の手の画像と、操作検知部60が予め記憶している基本画像とのパターンマッチングにより、撮像画像が操作者の手の画像であるか否かを判別する。そして、操作検知部60は、当該手の画像が判別されると、当該手の画像の位置を予め定めた三次元空間座標における位置座標として検出する。そして、操作検知部60は、当該手の画像の位置と、可視像としての操作画面が形成されている上記予め定められた空間位置とが重なる部分が存在するか否かを判定する。操作検知部60は、当該重なる部分がある場合には、操作画面に対する擬似的タッチ操作ありと検知する。操作検知部60は、当該擬似的タッチ操作を検知すると、操作画面の種別と、当該擬似的タッチ操作の位置情報とを、指示受付部101に出力する。
指示受付部101は、2つの操作検知部60毎に、操作検知部60によって検知された擬似的タッチ操作に対応付けられた内容の指示を受付ける。指示受付部101は、操作画面の種別と、上記擬似的タッチ操作の位置情報の組み合わせに対応付けられた指示内容を予め記憶している。指示受付部101は、操作検知部60から、ある操作画面の種別と該操作面に対する擬似的タッチ操作の位置情報を受け取ると、これら操作画面の種別及び擬似的タッチ操作の位置情報に基づいて、これらに対応付けられた指示内容を判別し、当該判別指示内容を操作者からの指示として受付ける。
ファクシミリ通信部71は、図略の符号化/復号化部、変復調部及びNCU(Network Control Unit)を備え、公衆電話回線網を用いてのファクシミリの送信を行うものである。
ネットワークインターフェイス部91は、LANボード等の通信モジュールから構成され、当該ネットワークインターフェイス部91に接続されたLAN等を介して、ローカルエリア内のコンピューター200等と種々のデータの送受信を行う。画像形成装置1には複数のコンピューター200が接続され得る。
HDD92は、画像読取部5によって読み取られた原稿画像等を記憶する大容量の記憶装置である。また、HDD92は、特許請求の範囲における画面画像記憶部として、可視像形成部50による可視像形成の対象とされる複数の操作画面を示すそれぞれの画面画像を記憶している。画像形成装置1では、複数の予め定められた機能、例えば、コピー機能、スキャナー機能、ファクス機能、及びプリント機能等の実行が可能であり、機能の選択に用いられる操作画面(画面画像)や、当該機能毎に、機能の動作に必要な項目の設定値を受付けるために用いられる操作画面(画面画像)などが定められている。また、HDD92の記憶領域の一部には、当該機能毎に、機能の動作に必要な項目の設定値を受付けるために用いられる操作画面(画面画像)を示す必要画面情報が記憶されている。
駆動モーター70は、画像形成部12の各回転部材及び搬送ローラー対等に回転駆動力を付与する駆動源である。
なお、可視像形成部50、HDD92、制御部100、操作検知部60、及び指示受付部101が、本発明に係る可視像形成装置の一実施形態となり得る。
このような構成において、操作者は、操作部47を操作することによりファクシミリ通信機能、コピー機能、プリンター機能、およびスキャナー機能のいずれかを選択し、選択した機能の動作に必要な項目の設定値を入力して、選択した機能の動作を開始させることができる。すなわち、操作部47の操作により、画像を扱ういずれかの機能に係る処理を指示することができる。そして、制御部100は、操作部47の操作により指示された機能に係る処理を実行する。例えば、操作部47の操作により、コピー機能が選択され、記録紙の枚数が指示され、コピー動作の開始が指示されると、制御部100は、画像読取部5により原稿の画像を読取らせ、画像形成部12により該原稿の画像を上記指示された枚数の記録紙に印刷させる。同様に、ファクシミリ通信機能、プリンター機能、およびスキャナー機能についても、操作部47の操作により、機能の選択や、設定値の入力、動作の開始等の機能に係る処理が指示されると、制御部100は、その指示された機能に係る処理を実行する。
また、本実施形態では、操作部47を操作する代わりに、2つの可視像形成部50により空中に形成されたそれぞれの操作画面の可視像に対して擬似的タッチ操作を行うことによっても、画像を扱ういずれかの機能に係る処理を実行することができる。
ここで、通常は、図3に示すように操作画面の可視像が形成されておらず、操作部47のみの操作が可能である。しかしながら、複数の操作者が、画像形成装置1に対する操作入力を同時期に行おうとしたときには、操作部47のみでは不足することになる。このとき、操作部47における可視像形成部50並びに操作検知部60の起動を指示する起動キー(図略)を操作すると、制御部100は、1組の可視像形成部50及び操作検知部60を起動して、図4に示すように1つの操作画面Paを可視像Dとして空中に形成し、この操作画面Paに対する擬似的タッチ操作により機能に係る処理の指示を操作者が入力することを可能にする。また、操作部47の上記起動キーを更に操作すると、制御部100は、他の1組の可視像形成部50並びに操作検知部60を起動して、図5に示すように他の1つの操作画面Pbを可視像Dとして空中に形成し、この操作画面Pbに対する擬似的タッチ操作により機能に係る処理の指示を可能にする。
例えば、2つの操作画面Pa、Pbを表示した状態では、1人目の操作者は、操作部47を操作して、ファクシミリ機能に係る処理を指示し、また2人目の操作者は、一方の操作画面Paに対する擬似的タッチ操作を行って、コピー機能に係る処理を指示し、更に3人目の操作者は、他方の操作画面Pbに対する擬似的タッチ操作を行って、スキャナー機能に係る処理を指示することができる。勿論、同一機能について、2人又は3人の操作者が操作部47及び操作画面を通じて指示を出すことができる。
従って、最大で3人の操作者が、同時期にそれぞれの機能に係る処理を指示することができる。
なお、本実施形態では、表示部473のタッチパネル機能により操作部47からも指示を入力する場合を例にしているが、操作部47からの指示入力を想定せず、複数(例えば本実施形態のように2つ)の可視像形成部50及び操作検知部60から指示を入力する形態を採用しても構わない。
次に、2つの操作画面の可視像Dにより各操作画面を通じて指示を入力する手順を説明する。
まず、操作部47における可視像形成部50並びに操作検知部60の起動を指示する起動キーが操作されると、制御部100は、1組の可視像形成部50及び操作検知部60を起動し、HDD92から初期画面となる操作画面P11の画面画像を読み出して、この初期画面となる操作画面P11の画面画像を可視像形成部50に入力する。可視像形成部50は、図6に示すような初期画面となる操作画面P11の可視像Dを、図4に示すような第1空間位置E1に形成する。
この第1空間位置E1は、例えば画像形成装置1の前方方向において、標準的な身長を有するとした操作者の標準的な目線の高さ位置とされる。また、操作画面P11としての可視像Dは、例えば、縦400mm×横600mmの大きさで形成される。このため、画像形成装置1の操作部47に備えられたLCD等の表示部473の画面を視認する場合よりも、操作画面P11の内容の視認性がよい。
そして、操作部47の起動キーが更に操作されると、制御部100は、他の1組の可視像形成部50及び操作検知部60を起動し、上記と同様の手順で、図6に示すような初期画面となる操作画面P11の可視像Dを、図5に示すような第2空間位置E2に形成させる。
なお、上記においては、画像形成装置1に、可視像形成部50及び操作検知部60に対向する位置に存在する操作者を検知する人体検知センサー(例えば、光学センサーからなる)を、各可視像形成部50及び操作検知部60について設けておき、当該各人体検出センサーにより操作者が検出された場合に、対応する方の可視像形成部50及び操作検知部60を制御部100が起動して、操作画面の可視像を形成させるようにしてもよい。
この第2空間位置E2は、第1空間位置E1から適宜離れた位置とされ、第1空間位置E1と同一高さ位置とされる。また、第2空間位置E2の操作画面P11も、上記と同様の大きさとされ、視認性がよい。
こうして第1空間位置E1及び第2空間位置E2にそれぞれの初期画面となる操作画面P11が形成される。勿論、1組の可視像形成部50及び操作検知部60のみを起動して、第1空間位置E1の操作画面P11のみを形成しても構わない。
以降、第1空間位置E1及び第2空間位置E2のいずれの操作画面P11に対しても、次のような手順で、擬似的タッチ操作を行って、画像を扱う機能に係る処理を指示することができる。
図6に示すように可視像Dとして空中に形成されている操作画面P11は、コピーボタンB1、送信ボタンB2、ファクスボタンB3等の画像を有している。操作者により、操作画面P11におけるコピーボタンB1、送信ボタンB2、ファクスボタンB3等のいずれかに対して擬似的タッチ操作が行われると、操作検知部60によって該擬似的タッチ操作及びその位置が検知され、この位置を示す位置情報及び操作画面P11を示す画面情報の組み合わせに対応付けられている内容の指示を指示受付部101が受付ける。
例えば、コピーボタンB1にはコピー機能を選択する旨の指示、送信ボタンB2にはスキャン機能を選択する旨の指示、ファクスボタンB3にはファクス機能を選択する旨の指示、が対応付けられている。
上記のようにして、操作者が擬似的タッチ操作を行ったボタンに対応付けられた指示が指示受付部101に受付けられると、制御部100は、当該指示により選択された機能に係る次の操作画面の画面画像をHDD92から読み出す。
例えば、操作者によるコピーボタンB1への擬似的タッチ操作により、コピー機能の選択指示が指示受付部101に受付けられると、制御部100は、当該コピー機能に係る次の操作画面P12(図7)の画面画像をHDD92から読み出す。
そして、制御部100は、上記初期画面となる操作画面P11の画面画像の代わりに、コピー機能に係る次の操作画面P12の画面画像を可視像形成部50に入力させる。可視像形成部50は、その次の操作画面P12の可視像Dを、第1空間位置E1又は第2空間位置E2に形成する。
図7は、次の操作画面P12の可視像Dを例示している。この操作画面P12は、拡大縮小設定ボタンB11、濃度ボタンB12、用紙選択ボタンB13、両面/片面ボタンB14、画質ボタンB15、ソートボタンB16、リターンボタンB21、原稿セットボタンB22、スタートボタンB23等を有している。
この状態で、例えば、操作検知部60により拡大縮小設定ボタンB11が擬似的タッチ操作されたことが検知され、拡大縮小率を設定する旨の指示が指示受付部101に受付けられると、制御部100は、拡大縮小について必要な項目の設定値を受付けるための次の操作画面P13の画面画像をHDD92から読み出す。
そして、制御部100は、上記操作画面P12の画面画像の代わりに、操作画面P13の画面画像を可視像形成部50に入力させる。可視像形成部50は、その操作画面P13(図8)の可視像Dを、第1空間位置E1又は第2空間位置E2に形成させる。
図8は、次の操作画面P13の可視像Dを例示している。この操作画面P13は、コピー機能の動作に必要な項目である拡大縮小率を設定するために用いられる各ボタンの画像を有している。ここで、操作検知部60により拡大縮小率設定のためのいずれかのボタンの操作が検知され、指示受付部101により当該操作に基づいて拡大縮小率の設定値が受付けられた場合、制御部100は、この拡大縮小率の設定値を記憶する。
また、操作画面P13には、上記操作画面P12と略同様に、濃度ボタンB12、用紙選択ボタンB13、両面/片面ボタンB14、画質ボタンB15、ソートボタンB16等が表示されている。操作検知部60によりいずれかのボタンが擬似的タッチ操作されたことが検知され、その操作されたボタンに対応する項目の設定値を設定する旨の指示が指示受付部101に受付けられると、制御部100は、その項目の設定値を受付けるための次の他の操作画面の画面画像をHDD92から読み出す。そして、制御部100は、上記操作画面P13の画面画像の代わりに、次の他の操作画面を可視像形成部50に入力させる。可視像形成部50は、次の他の操作画面の可視像を、第1空間位置E1又は第2空間位置E2に形成させる。
この状態で、操作検知部60により上記次の他の操作画面のいずれかのボタンの操作が検知され、指示受付部101により当該操作に基づいて必要な項目の設定値が受付けられると、制御部100によりその設定値が記憶される。
また、上記次の他の操作画面にも、上記操作画面P12、P13と略同様に、濃度ボタンB12、用紙選択ボタンB13、両面/片面ボタンB14、画質ボタンB15、ソートボタンB16等が表示されており、操作検知部60によりいずれかのボタンが擬似的タッチ操作されたことが検知され、その操作されたボタンに対応する項目の設定値を設定する旨の指示が指示受付部101に受付けられると、制御部100によりその項目の設定値を受付けるための次の別の操作画面の画面画像がHDD92から読み出され、可視像形成部50により次の別の操作画面の可視像が第1空間位置E1又は第2空間位置E2に形成される。
そして、上記次の別の操作画面のいずれかのボタンの操作が検知され、指示受付部101により当該操作に基づいて必要な項目の設定値が受付けられると、制御部100によりその設定値が記憶される。
以降同様に、操作画面における濃度ボタンB12、用紙選択ボタンB13、両面/片面ボタンB14、画質ボタンB15、ソートボタンB16のいずれかが擬似的タッチ操作されると、この操作されたボタンに対応する次の操作画面の画面画像がHDD92から読み出されて、次の操作画面の可視像が形成され、次の操作画面のボタンの操作に基づいて必要な項目の設定値が受付けられて、この設定値が記憶される。
こうしてコピー機能の動作が開始される前に、必要な各項目の設定値が設定されて記憶される。
また、コピー機能の動作に必要な項目の設定値を設定するための操作画面のいずれにも、リターンボタンB21が表示されており、このリターンボタンB21が擬似的タッチ操作されると、操作検知部60によりリターンボタンB21の擬似的タッチ操作が検知され、前の操作画面P12に戻る旨の指示が指示受付部101に受付けられて、制御部100により操作画面P12の画面画像がHDD92から読み出され、可視像形成部50により操作画面P12の可視像Dが第1空間位置E1又は第2空間位置E2に再び形成される。
尚、初期画面となる操作画面P11における送信ボタンB2、ファクスボタンB3等のいずれについても、コピーボタンB1と同様に、複数の操作画面が階層的に設定されており、それぞれの操作画面のボタンに対する擬似的タッチ操作により、上位階層の操作画面から複数の下位階層の操作画面のいずれかに遷移したり、下位階層の操作画面から他の下位階層の操作画面に遷移したりしつつ、それぞれの下位階層の操作画面ボタンに対する擬似的タッチ操作により、各種の項目の設定値を設定して記憶することができる。
また、操作部47においても、各種のキーの操作により、階層的に設定された複数の画面を該操作部47の表示部473に選択的に逐次表示させて、下位階層の画面において各種の項目の設定値を設定して記憶することができる。
ところで、操作部47、第1空間位置E1の操作画面、第2空間位置E2の操作画面に対する操作を複数の操作者が同時期に行うことができても、画像形成装置1の機能の動作開始を指示できるのは1人の操作者だけである。すなわち、複数の操作指示に基づいた動作を画像形成装置1が同時に行うことはできない。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置1では、画像読取部5に原稿を先にセットした操作者に対して、当該原稿をセットした上で行う機能についての指示を構成する各要素の受付を優先させる。
画像読取部5には、該画像読取部5にセットされた原稿を検出するセンサー(図示せず)が設けられている。また、操作部47、第1空間位置E1の操作画面、及び第2空間位置E2の操作画面のいずれにおいても、原稿セット終了の旨を入力することができる。制御部100は、画像読取部5のセンサーによる原稿の検出結果と、操作部47及び少なくとも1つの操作画面を通じての原稿セット終了の操作入力とに基づき、操作部47、第1空間位置E1、又は第2空間位置E2のいずれの操作画面から操作者により入力される指示を優先させるかを判定する。なお、制御部100は、画像読取部5のセンサーによる原稿の検出結果のみに基づいて、当該いずれの操作画面からの指示を優先させるかを判定してもよい。
図9は、複数の指示のうち1つの指示を優先させて選択的に受け付ける際のフローチャートである。
例えば、操作者は、画像読取部5に原稿をセットし、また下位階層の操作画面のリターンボタンB21に対して擬似タッチ操作を行って、上位階層の操作画面P12を表示させ、更に操作画面P12の原稿セットボタンB22に対して擬似的タッチ操作を行って、原稿セット終了の旨を入力する。
このとき、制御部100は、画像読取部5のセンサーにより原稿が検出結果され、かつ、操作検知部60により原稿セットボタンB22が擬似的タッチ操作されたことが検知されて、原稿セット終了の指示が指示受付部101に受け付けられると、画像読取部5に原稿がセットされたと判定する(S1でYES)。
制御部100が、原稿がセットされたと判定したとき(S1でYES)、指示受付部101は、操作部47、第1空間位置E1、又は第2空間位置E2の操作画面により受け付けられている指示のうち、当該原稿がセットされたと判定した指示について、各要素の受付を優先させ、当該指示について各要素の受付が完了するまでは、他の操作画面からの指示の受付を禁止する(S2)。
上記例でいえば、指示受付部101は、上記操作者の操作画面P12を通じての機能の動作開始の指示に対して優先権を与えて、上記操作者の操作画面P12のスタートボタンB23の操作を待機する。また、指示受付部101は、操作部47又は他の操作画面を通じての原稿セット終了の指示の受付け並びに機能の動作開始の指示の受付けを無効となるようにしておく。
上記操作者の操作画面P12のスタートボタンB23の操作を待機中に、操作検知部60によりスタートボタンB23が擬似的タッチ操作されたことが検知され、コピー機能の動作開始の指示が指示受付部101に受付けられると、制御部100は、コピー機能の動作開始が指示されたと判定して、画像読取部5及び画像形成部12を作動させ、各項目の設定値に応じたコピー機能を実行する。
そして、コピー機能の動作が完了すると、指示受付部101は、操作部47又は他の操作画面を通じての原稿セット終了の指示の受付け及び機能の動作開始の指示の受付けを有効にして、これらの受付けを待機する。
一方、制御部100が、原稿セット終了の指示が指示受付部101に受け付けられず、原稿がセットされていないと判定した場合は(S1でNO)、指示受付部101は、操作部47、第1空間位置E1、又は第2空間位置E2の全ての操作画面から入力される各指示について、各要素の入力を受け付ける(S5)。
上記のようにして、操作部47、第1空間位置E1、又は第2空間位置E2の操作画面により受け付けられている指示のうち、当該原稿がセットされたと判定した指示について、各要素の受付を優先させたにもかかわらず、優先権を与えてから予め定められた期間(例えば、1分間)、各要素の受付が完了しない場合、例えば当該指示の入力のために操作される、例えば操作画面P12のスタートボタンB23が操作者により操作されなかった場合(S3でNO)、制御部100は、スタートボタンB23の操作を促すための警告を示す画像を操作画面P12に追加して、この操作画面P12を可視像形成部50に入力し、上記警告を可視像Dとしての操作画面P12に追加表示させる(S4)。
なお、上記予め定められた期間内に各要素の受付が完了した場合は(S3でYES)、処理は終了する。
換言すれば、このように画像読取部5に原稿を先にセットした操作者に対して、機能の動作開始の指示についての優先権を与える場合は、原稿を画像読取部5にセットしなければ、機能の動作開始を指示することができない。
また、原稿を先にセットした操作者は、機能の動作開始を指示する前に、上位階層の操作画面P12から下位階層の操作画面に遷移して、下位階層の操作画面のボタンに対する擬似的タッチ操作を行って、項目の設定値を修正することができ、このための猶予を与えられる。
また、上記複数の操作画面を原稿セットなしに操作する各操作者のうちの一人の操作が長時間に及んでいても、別の操作画面を操作する他の操作者が原稿を画像読取部5にセットして操作を短時間で終わらせれば、当該他の操作者が、画像形成装置1を優先して稼働させることができ、画像形成装置1の稼働効率を向上できることになる。更に、一人の操作者による原稿セットなしでの操作中であっても、原稿セットありで操作する上記他の操作者が、当該一人の操作者の操作が終わるまで待機する必要がないため、画像形成装置1に当該他の操作者所望の機能の動作を開始させるまでの時間を短縮することができる。
<変形例1>
図10は、複数の指示のうち1つの指示を優先させて選択的に受け付ける際のフローチャートである。この変形例1では、指示受付部101は、上記実施形態のように画像読取部5に原稿を先にセットした指示を優先して受け付けるのではなく、操作部47、第1空間位置E1、又は第2空間位置E2の各操作画面において、最も早く操作が開始された指示を判別し、当該指示について(S11)、各要素の受付を優先させ、当該指示について各要素の受付が完了するまでは、他の操作画面からの指示の受付を禁止する(S12)。
例えば、操作者は、コピー機能についての指示を入力するために、初期画面となる操作画面P11のコピーボタンB1に対して擬似的タッチ操作を行う。このとき、操作検知部60によりコピーボタンB1が擬似的タッチ操作されたことが検知されると、指示受付部101は、当該操作画面P11を介して入力される指示について、各要素の受付を優先して受け付け、当該指示について各要素の受付が完了するまでは、他の操作画面からの指示の受付を待機する。
<変形例2>
制御部100は、予め定められた規則に従って、指示受付部101によって受け付けられた各指示が示す機能の実行順を設定するようにしてもよい。
図11は、予め定められた規則に従って、複数の指示についての機能実行順を決定する処理を示すフローチャートである。なお、指示受付部101は、上記のように操作部47、第1空間位置E1、又は第2空間位置E2の各操作画面において、最も早く操作が開始された指示について、各要素の受付を優先させて他の操作画面からの指示の受付を待機するのではなく、操作開始の先後に拘わらず、全ての指示を受け付け(S21)、制御部100が、当該受け付けた各指示についての機能実行順を、早く操作が開始された順とするようにしてもよい(S22)。
<変形例3>
図12は、予め定められた規則に従って、複数の指示についての機能実行順を決定する処理を示すフローチャートである。この変形例3では、指示受付部101は、操作部47及び少なくとも1つの操作画面を通じて指示されているそれぞれの機能の内容(各項目の設定値)に応じて、いずれかの操作画面からの指示を優先して受け付ける。
例えば、ファクシミリ通信機能とコピー機能とを比較すると、予め定められた条件が満たされるときにファクシミリ通信機能をコピー機能よりも優先させる。予め定められた条件としては、例えば、コピー機能で印刷される記録紙の枚数が第1規定枚数M1以上であって、かつファクシミリ通信機能で送信される画像の枚数が第2規定枚数M2(M1≫M2。M1はM2よりもはるかにおきい)以下であるという条件等である。この場合は、指示受付部101は、コピー機能の動作開始から終了までに長い時間を要するので、ファクシミリ通信機能についての指示受付を、コピー機能についての指示受付よりも優先させる。
ここで、操作部47を通じてのコピー機能の動作に必要な項目の設定値の設定と、第1空間位置E1又は第2空間位置E2のいずれか操作画面を通じてのファクシミリ通信機能の動作に必要な項目の設定値の設定とが同時期に行われているものとする。このとき、制御部100は、操作部47の操作によりコピー機能で印刷される記録紙の枚数が指示されると(S31)、この記録紙の枚数を記憶する。また、第1空間位置E1の操作画面のボタンに対する擬似的タッチ操作によりファクシミリ通信機能で送信される画像の枚数が入力されて、この送信される画像の枚数が操作検知部60及び指示受付部101を通じて指示されると(S32)、制御部100は、この送信される画像の枚数を記憶する。そして、制御部100は、コピー機能で印刷される記録紙の枚数が第1規定枚数M1以上であって、かつファクシミリ通信機能で送信される画像の枚数が第2規定枚数M2以下であるという条件が満たされるか否かを判定する(S33)。
制御部100は、上記条件が満たされないと判定すると(S33でNO)、変形例1と同様に、コピー機能及びファクシミリ通信機能のうちから、操作部47又は操作画面を通じての動作開始の指示のタイミングがより早い方の機能を優先して、機能の動作を開始させる(S35)。
また、制御部100は、上記条件が満たされていると判定すると(S33でYES)、上記条件を満たして処理が早く終了する機能、すなわち、本実施形態ではファクシミリ通信機能の動作を先に開始させる(S34)。
これにより、処理時間が長くなるコピー機能よりも、処理時間が短いファクシミリ通信機能を優先的に動作させることができる。
尚、本発明は、上記実施形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、2組の可視像形成部50及び操作検知部60を設けているが、この組の数を増減させても構わない。また、1組の可視像形成部50及び操作検知部60により、複数の操作画面をそれぞれの可視像として互いに離間させて空中に形成し、それぞれの操作画面に対する擬似的タッチ操作を検出しても構わない。
また、上記実施形態では、図1乃至図12を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。