以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
図1は、遊技球の機外へ払出しを行わず、機内に遊技球を封入して遊技を行う循環式遊技機50の正面図である。図1に示すように、循環式遊技機50は、台間ユニット100と隣り合わせで配置されている。台間ユニット100には、カード挿入口100aと、現金挿入口100bとが設けられており、カード挿入口100aにICカードを挿入するか現金挿入口100bに現金を挿入することで、循環式遊技機50に設けた球貸しボタン102aの操作が可能となる。
循環式遊技機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて各部を保持する構造を有している。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられていると共に、該ヒンジ53には内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。
また、内枠70には、ヒンジ53等により前枠52が開閉可能に取り付けられていると共に、この前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には、内枠70に取り付けられた遊技盤1が配されている。前枠52の上部左右には、スピーカ(図示無し)が設けられており、循環式遊技機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ(図示無し)も複数設けられている。また、前枠52の右下部には入賞表示装置20が配置され、後述する入賞口に遊技球が入賞すると、入賞口毎に設定された獲得遊技球数を表示する。
前枠52の下方右側には遊技球の発射操作を行う発射操作ユニット107が配置され、その下には手置き台71が取付けられている。手置き台71は、常時発射操作を行う遊技者の手を乗せておく台となる。発射操作ユニット107は、発射強度調整スイッチ部108と、遊技者が遊技球を発射するために操作する摺動操作部107aと、摺動操作部107aの上部に配置した発射停止スイッチ111と、発射強度を固定する場合に操作する発射強度固定スイッチ110と、発射強度を数値で示す発射強度表示部107bと、遊技者の操作を感知する図示しないタッチセンサ112とで構成されている。摺動操作部107aは右方向に操作するほど発射強度が強くなる。本実施例では、摺動スイッチを用いて発射強度の調節を行っているが、これに限るわけではなく、一般的な発射ハンドルの回動量に応じて発射強度を調節する構成でも何ら差し支えない。
発射操作ユニット107の右上(循環式遊技機50の右端)には、内枠70と前枠52の両方の枠の開放が規制できるスライド錠を操作するシリンダ錠36が配置され、鍵が挿入可能となっている。このシリンダ錠36は、解錠するための鍵の種類を変更自在に行い得る可変式錠になっており、このような可変式錠を循環式遊技機50に使用することで、遊技店は、店に配置される全ての遊技機を店独自の鍵(1種類)に設定することが出来る。
発射操作ユニット107の左には、遊技者とのインターフェースとなるコントロール部8が設けられている。このコントロール部8には、タッチパネル式の液晶表示器となる操作部装置102(タッチパネル式液晶表示器)と、計数スイッチ105と、遊技球数表示装置106が配置されている。操作部装置102のタッチパネル上には、球貸しスイッチ102aと、返却スイッチ102bと、画面切換スイッチ102cと、球貸しスイッチ102a及び返却スイッチ102bの操作結果を示す操作結果表示部102dとが設けられている。
なお、ICカードからの球貸し、持球の精算、及びICカードの返却、離席等を行うボタン類(球貸しスイッチ102a、計数スイッチ105、返却スイッチ102b)を台間ユニット100に配置する構成としてもよく、これにより、球貸しや精算などの操作を台間ユニット100にまとめることで、遊技に係る演出関連の操作と明確に区別することが可能となる。また、本実施例ではタッチパネル式液晶パネルに上記したスイッチを備える構成としているが、タッチパネル式液晶パネルに限るわけではなく、機械式のスイッチを用いても何ら差し支えない。
コントロール部8を備える前板部も、ヒンジ53等によって内枠70から開閉可能となっているが、前枠52が前板部に被さる様に設置されているため、前枠52の開放時のみ前板部の開放も可能となる。
また、図1は、板ガラス61の奥に位置する遊技盤1の遊技領域3の様子を概略的に示している。遊技領域3は、ガイドレール16によって囲まれた略円形の領域であると共に、多数の遊技釘が植設されており、遊技盤1の左上に配置した発射装置から発射された遊技球は、発射直後に遊技領域3を流下する構成となっている。
遊技領域3のほぼ中央部には、ワープ通路やステージ等が形成されたセンターケースや窓が設けられており、この窓の奥には、演出図柄表示装置6の液晶画面が配置される。また、これら以外にも、遊技領域3には、常時入賞可能な普通図柄作動ゲート17や、第1始動口11や、普通電動役物として構成された第2始動口12や、一般入賞口13、アタッカー式の大入賞口14等の役物(入賞口)や、アウト口15が設けられ、遊技領域3の右下には第1特図表示装置9、第2特図表示装置10、普通図柄表示装置8、第1特図保留数表示装置9a、第2特図保留数表示装置10a、普図保留数表示装置7a等が設けられている。遊技領域3に進入した遊技球は、上記した第1始動口11、普通第2始動口12、一般入賞口13、大入賞口14、アウト口15の何れかから遊技領域3外に排出される。
上記のように遊技盤1を構成することによって、普通図柄作動ゲート17に遊技球が入球(普通図柄作動スイッチ17a(図3参照)が遊技球を検出)すると、普通図柄表示装置で普通図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普通図柄の態様に応じて、後述する普通電役ソレノイド12b(図3参照)を駆動させる。普通電役ソレノイド12bが駆動すると、ほぼ同期して普通電動役物の羽根部材が開放して、第2始動口12への入球(第2始動口スイッチ12a(図3参照)の検出)が可能となるように構成されている。尚、本実施形態におけるパチンコ機では、普通電動役物の羽根部材が駆動する開放時間は、通常時は0.2秒(1回)、時短状態(開放延長状態)では1.8秒(2回)である。また、第2始動口12は、普通電動役物の羽根部材が駆動しなければ遊技球が入球不可能な構成となっている。
第1始動口11に遊技球が入球(第1始動口スイッチ11a(図3参照)が遊技球を検出)すると、第1特図表示装置9において第1特別図柄が変動を開始し、所定時間後に停止する。また、第2始動口12である普通電動役物に遊技球が入球(第2特図始動スイッチ12a(図3参照)が遊技球を検出)すると、第2特図表示装置10において第2特別図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、演出図柄表示装置6において各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示する。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、第1始動口11と第2始動口12への入球順に関係なく、第2特別図柄の変動停止を優先して実施する。具体的には、第1特別図柄の保留記憶がある場合、第2特別図柄の変動が停止し且つ第2特別図柄保留記憶が無い状態となって、第1特別図柄保留記憶分の変動を開始する。
第1特別図柄及び第2特別図柄の確定表示した態様に応じて後述する大入賞口ソレノイド14b(図3参照)が駆動する。大入賞口ソレノイド14bが駆動すると、ほぼ同期して大入賞口14の扉部材が開放し、大入賞口14への遊技球の入球(カウントスイッチ14a(図3参照)が遊技球を検出)が可能となるように構成されている。
また、第1始動口11、第2始動口12に遊技球が入球したとき、又は普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過したときに取得する当否乱数等の種々の乱数を、保留記憶として主制御装置50に格納(記憶)するとともに、第1始動口11及び第2始動口12への入球に起因する各種コマンドをサブ統合制御装置83(図3参照)に送信する処理を行う。以後、第1始動口11に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第1保留記憶、第2始動口12に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第2保留記憶、普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過したときに格納される保留記憶を普図保留記憶として説明する。
本実施形態においては、普図保留数表示装置7a、第1特図保留数表示装置9a、第2特図保留数表示装置10aによる各々の点灯数の最大個数は4個(最大保留記憶数が4個)となっている。また、それぞれの保留記憶数が0であっても、第1始動口11、第2始動口12に遊技球が入球したとき、又は普通図柄作動ゲート17を遊技球が通過したときに取得される当否乱数等の種々の乱数は、最大値未満の記憶数がある場合と同様に主制御装置50に格納される。
第1特図始動スイッチ11a又は第2特図始動スイッチ12aが遊技球を検出し、その場合の第1保留記憶又は第2保留記憶の数が4個未満であれば、抽出した大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、小当り図柄判定用乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン決定用乱数を第1又は第2保留記憶として記憶領域に格納する。
保留記憶された各種乱数は、当否判定処理(大当り判定)によって予め設定されている値との比較判定が行われ、大当り判定用乱数の当否判定結果が大当り図柄決定用乱数の値に基づいて第1特図表示装置9a、第2特図表示装置10a、演出図柄表示装置6に表示される。
尚、本実施形態におけるパチンコ機は確率変動機として構成されている。具体的に説明すると、本実施形態のパチンコ機による遊技は、大入賞口14を閉鎖した遊技と大入賞口14を開放する大当たり遊技とに大別され、大入賞口14を閉鎖した遊技には、大きく分類して、通常確率状態(以下、通常状態)と、該通常状態に比べて遊技者にとって有利な状態(大当りとなる確率が甘く、大当りし易い)となる高確率状態(以下、確率変動状態)とが存在する。
特別図柄は、確率変動図柄及び非確率変動図柄とからなり、確率変動状態は確率変動図柄での大当たり遊技終了後に移行可能に設定され、通常状態、確率変動状態のうち、いずれの遊技状態でも確率変動図柄で大当りすれば、大当り遊技終了後、確率変動状態に移行する。同様に通常状態は、非確率変動図柄での大当たり遊技終了後に移行可能に設定され、通常状態、確率変動状態のうち、いずれの遊技状態でも非確率変動図柄で大当たりすれば、大当たり遊技終了後、通常状態に移行する。
通常状態に移行後は、規定回数(例えば、100回)だけ特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、かつ普通電動役物の開放延長機能が作動する時短状態となる。特別図柄及び普通図柄の変動時間(変動開始から結果(確定図柄)が表示されるまでの時間)が短縮されると、一定時間内に変動表示が行なわれる回数が増大される。
具体的には、本実施形態の時短状態では、特別図柄の変動時間の短縮とともに、普通図柄表示装置に表示される普通図柄の時間短縮も行われるが、この普通図柄の変動表示を短縮させることで、一定時間内で多数回普通図柄の確定表示を行う。従って、一定時間内での普通図柄が当りとなる回数が増大し、これにより普通電動役物の作動回数も増大する。また、普通電動役物の開放時間が長くなるように設定されている(開放延長機能)ので、多数の遊技球が入賞し易くなる。このように多数の遊技球が入賞し易くなることにより、特別図柄の変動表示回数が更に増大されるとともに、普通電動役物入賞で得る賞球により、遊技者の持ち玉が減り難くなり、有利な遊技を行うことができる。
尚、確率変動状態では、時短状態と同様に特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、普通電動役物の開放延長機能が作動する。各種図柄の短縮と普通電動役物開放延長機能に関わる設定は時短状態と同一であるが、確率変動状態は時短状態に加えて特別図柄の大当り確率が高くなる(大当りし易い状態)ため、更に遊技者に有利な遊技状態となる。
次に、図2を用いて、本実施例における循環式遊技機50の遊技球の循環の仕組みを説明する。図2は循環の仕組みを背面から模式的に示した説明図となる。図2には、遊技球を循環させるための主な装置と、遊技球を揚上させる経路と、主な制御装置とが記載されている。遊技球が発射されてから循環する流れを順を追って説明する。
少なくとも、発射可能な遊技球を循環式遊技機50が管理(記憶)している状態で、摺動操作部107aが操作されると、発射装置87に配置された球送りソレノイド130が作動し、遊技球を発射位置に送り出す。その際、本実施例の循環式遊技機50では、発射位置に送り出された遊技球は、直後の発射によって必ず遊技領域3まで到達する構成(発射位置に送り出された遊技球は、必ず発射され、且つ、ファール球とならず遊技領域3に到達する)であるため、発射装置87内に設けられた減算センサ131は、送り出した遊技球を発射球として検出し、持球カウンタ(発射可能な遊技球数)から1を減算する。本実施例では、遊技球の発射を不能状態に制御する場合、球送りソレノイド130の駆動を禁止する構成となっているが、発射ソレノイド129の駆動を禁止する構成としてもよく、但しその場合は、減算センサ131の遊技球検出を発射球検出とはみなさず、発射後に遊技領域3に進入した遊技球を検出するセンサを設け、該センサの遊技球検出を発射球の検出とする構成が望ましい。発射可能な遊技球数は、遊技球数表示装置106に表示され、減算センサ131の遊技球検出に応じて1を減算して表示する。
発射位置に送り出された遊技球は、摺動操作部107aの位置に応じた発射強度で発射ソレノイド129の作動により遊技領域3に発射される。本実施例における循環式遊技機50では、発射装置87の位置(遊技球を発射する位置)が遊技領域3を表から見て左上部(図は背面であるため右上部)となるため、従来機のように、発射された遊技球がガイドレールで形成された発射経路によって打ち上げられることがなく、発射ソレノイド129によって弾球された遊技球は、弾球直後に遊技領域3に到達する。
遊技領域3に到達した遊技球は、遊技領域3を流下し、第1始動口11、第2始動口12等の入賞口に入球するか、或いは、アウト口15に入球する。いずれかの入賞口に入賞した遊技球は、遊技盤1の裏面を流下し誘導経路に配置された入賞検出センサ124に検出され、アウト口15に入球した遊技球は非入賞検出センサ125に検出される。
入賞検出センサ124、又は非入賞センサ125が遊技球を検出するとアウト球数(本発明の遊技領域から排出された遊技球数に相当)として加算される。アウト球数と発射球数(減算センサ131検出球数)とにより遊技球循環の管理が行われる。本実施例では、上記した各センサは払出発射制御装置84に接続され、封入された遊技球の循環は払出発射制御装置84によって管理されるが、払出発射制御装置84と相互通信が可能に接続された主制御装置80で管理する構成としてもよい。
入賞検出センサ124、非入賞センサ125が検出した遊技球は玉磨き装置85に繋がる誘導経路を流下する。玉磨き装置85では、カセットモータ114、研磨モータ115、カセットスイッチ116、研磨モータセンサ117を備え、研磨布を搭載したカセットを使用し、遊技球の研磨を実施する。また、研磨布を搭載したカセットの検知が行われる。
遊技球の研磨は、研磨モータ115を動作させて遊技球を研磨布に押し付けるように動かすことにより実施される。研磨布はカセットに搭載した構造で交換可能となっており、カセットモータ114を使用して一定周期で布を巻き取るように作動させる。また、カセットスイッチ116により、研磨布を搭載したカセットの有無を検知する。
研磨された遊技球は、球磨き装置85から誘導経路を経て揚上装置86に誘導される。揚上装置86は、揚上発射モータ119、揚上発射モータ監視センサ121、揚上入口センサ120を備え、封入式遊技機50の下部まで流下した遊技球を、発射装置87を配置した上部(発射球タンク40)まで揚上させる。
本実施例の循環式遊技機50では、揚上装置86まで誘導された遊技球を、揚上発射モータ119を用いて、循環式遊技機50の上部に配置されている発射球タンク40まで打ち上げる構成となっている。揚上装置86では、揚上入口センサ120、発射入口センサ131により、揚上発射モータ119の遊技球発射位置と揚上経路の出口(発射球タンク40の入口)とに遊技球が存在するか否かを検出し、該検出結果に応じて揚上発射モータ119を駆動させる。揚上発射モータ119の駆動によって発射された遊技球は、図に示す封入球打上げ揚上経路の最上部の曲面に接触することより飛球経路が変化し、飛球速度が減速して発射球タンク40に達する。揚上発射モータ監視センサ121は、揚上モータ119が正常な発射動作を行っているか検出する。
上記した構成により、本実施例の循環式遊技機50では、揚上装置86に誘導された遊技球は、揚上動作(揚上発射モータ119による球の打ち上げ)の実施直後に発射球の待機する発射球タンク40に移動する。従って、螺旋構造の揚上装置や、ベルトによる揚上装置のように揚上経路上に複数の遊技球が存在することがないため、遊技を待機せざるを得ない遊技球の数を減少させ、結果的に循環式遊技機50内で循環させる封入球数を減らすことが可能となっている。
発射球タンク40まで揚上された遊技球は、転動して発射装置87に至るが、発射装置87への誘導を兼ねる封入球数計数経路に配置された適正量センサ123と満タンセンサ126とで遊技球を検出し、循環に必要な遊技球数を管理して過不足を検出すると報知を行う構成となっている。この場合の報知は、台間ユニット100を介して機外の管理装置(ホールコンピュータ87)に信号を出力すると共に、循環式遊技機50が備える表示装置(演出図柄表示装置6およびタッチパネル式液晶表示器102)に遊技球の過不足を表示する。
次に、循環式遊技機50の電気的構成を図3、4に示したブロック図を用いて説明する。詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出発射制御装置84、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、はいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。
図3に示す主制御装置80を中心にしたブロックでは、主制御装置80には、遊技盤中継端子板74を介して、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を検出するためのカウントスイッチ14a、一般入賞口13に入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ13a、遊技球の流下方向に影響を与える磁力を検出する磁力センサ91、同様に遊技球の流下方向に影響を与える振動を検出する振動センサ92、上記した入賞口の検出スイッチを誤動作させる電波を検出する電波センサ93等の検出信号が入力される。
主制御装置80は、搭載しているプログラムに従って動作し(約2msごとの割込み)、上記した検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成してサブ統合制御装置83に出力する。また、主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して、遊技領域3の右下に配置されている第1特図表示装置9、第2特図表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特図保留数表示装置9a、第2特図保留数表示装置10a、普図保留数表示装置7aの点灯を制御する。
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御し、入賞口への入賞を検出すると入賞口毎に設定された獲得遊技球数を入賞表示装置20に表示する。また、各入賞口への入賞に応じて賞球数指示信号を払出発射制御装置84に送信する。
また、主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動、遊技状態、大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が、払出発射制御装置84と台間ユニット100を介してホールコンピュータに送られる。本実施例では、遊技機から機外の管理装置に向けての信号は全て台間ユニット100を介して出力される構成となっているが、これに限らず、払出発射制御装置84の制御に基づく信号が払出発射制御装置84から機外の管理装置に直接出力されてもよいし、主制御装置80を介して機外の管理装置に出力されてもよい。同様に、主制御装置80の制御に基づいて機外に出力する信号も、主制御装置から直接出力してもよいし、払出発射制御装置84を介して(台間ユニット100を介さず)出力してもよい。
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し(払出発射制御装置84から出力され、主制御装置50を介して受信するコマンドもある)、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカか66らの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80、又は主制御装置80を介して払出発射制御装置84から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が主制御装置80からの入力に基づいて生成したものとがある)に基づく制御を行い、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面に表示させる。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とはサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。
次に、図4を用いて、主制御装置80と双方向通信が可能に接続された払出発射制御装置84を中心としたブロックを説明する。払出発射制御装置84は、搭載しているプログラムに従って動作(約2ms毎の割り込み)し、主制御装置80から上述した獲得遊技球数の要求を示すコマンドを受信すると、要求された獲得遊技球数を発射可能な遊技球数(持球カウンタ)へ加算し、加算した値を遊技球数表示装置106に表示する。また、操作に応じた信号又は、センサの検出に応じた信号に基づいて、貸球の加算、台間ユニット100への持球データの移行、遊技球の発射、遊技球の研磨、遊技球(封入球)の循環、等を制御する。
払出発射制御装置84に台間ユニット100及び操作部接続基板101を介して接続された操作部装置102となるタッチパネル式の液晶表示器には、前述したように球貸しスイッチ102aと、返却スイッチ102bと、画面切換スイッチ102cと、球貸しスイッチ102a及び返却スイッチ102bの操作結果を示す操作結果表示部102dとが設けられている。この循環式遊技機50に設けられたタッチパネル式の液晶表示器の電源は、台間ユニット100から供給される。
また、タッチパネル式液晶表示器には、台間ユニット100に挿入されたICカード(又は会員カード)に記録されているカード情報や循環式遊技機50の遊技情報(遊技履歴等)を表示する機能も備えている。
操作部装置102の球貸しスイッチ102aを操作すると、タッチパネル操作情報として貸球数の加算を要求する信号が台間ユニット100を介して払出発射制御装置84に入力され、払出発射制御装置84は、該入力によって要求された貸球数を持球カウンタに加算し、加算後の持球カウンタの値を遊技球数表示装置106に表示する。この時、遊技球数表示装置106の加算状況に応じて貸球動作の結果内容を操作結果表示部102dに表示する。なお、一回の球貸しスイッチ102aの操作に対しては、予め設定された所定額(例えば、500円)に応じた貸球数(例えば、125個)を要求する。
操作部装置102の返却スイッチ102bを操作すると、タッチパネル操作情報としてICカードの返却動作を要求する信号が台間ユニット100に入力され、台間ユニット100から払出発射制御装置84に排出確認信号が入力される。その時の循環式遊技機50の状態がICカードの返却が可能な状態であるか否かに応じて返却の可否と返却結果を操作結果表示部102dに表示する。返却可能な状態であれば、操作結果表示部102dに返却が可能であることが表示され、ICカードが台間ユニット100から排出される。返却不可能な状態であれば、操作結果表示部102dに返却が不可能であることが表示されるとともに、主制御装置80を介してサブ統合制御装置83に指示信号を送信することにより、演出図柄表示装置6において計数スイッチ105の操作を促す報知を実施する。
操作部装置102の画面切換スイッチ102cを操作すると切換回路101aが作動し、タッチパネル式液晶表示器に表示する情報を、台間ユニット100から受信した情報から循環式遊技機50の演出図柄制御装置82から受信した情報(画像含む)へ切り替える。この切り替えに応じて、演出図柄表示装置6には台間ユニット100からの情報が表示される。
台間ユニット100と操作部接続基板101とは相互通信が可能に接続され、演出図柄制御装置82と操作部装置102とは、互いに操作部接続基板101と相互通信が可能に接続されている。なお、循環式遊技機50からホールコンピュータ87への全ての出力は、台間ユニット100を介して行われるため、台間ユニット100も循環式遊技機50を管理することが可能な構成となっている。但し、この構成に限らず、台間ユニット100を介さずに払出発射制御装置84から直接ホールコンピュータ87に出力する構成や主制御装置80から直接ホールコンピュータ87に出力する構成も考えられる。
循環式遊技機50内においては、払出発射制御装置84には操作部中継基板103が相互通信可能に接続され、操作部中継基板103には相互通信可能に遊技球数表示基板104が接続されている。遊技球数表示基板104には、計数スイッチ105と遊技球数表示装置106が配置され、計数スイッチ105の操作信号が払出発射制御装置84に入力される。また、払出発射制御装置84の出力に応じて遊技球数表示装置106に発射可能な遊技球数が表示される。
計数スイッチ105が操作されると、持球カウンタが記憶している全ての値を持球カウンタから減算し、台間ユニット100に減算した値を送信する。よって持球カウンタの値を表示する遊技球数表示装置106の数値も減算される。計数スイッチ105の操作によって発射可能な遊技球数が0になると、台間ユニット100に挿入されているICカードの返却が可能となる。
払出発射制御装置84には、裏配線中継端子板75を介して、前枠閉鎖スイッチ18、内枠閉鎖スイッチ19からの検出信号が入力され、操作部中継基板103を介して、発射操作ユニット107が相互通信が可能に接続され、発射操作ユニット107では、前述したように、発射強度調節スイッチ108、発射強度固定スイッチ110、発射停止スイッチ111、タッチセンサ112、からの信号が払出発射制御装置84へ入力され、発射強度表示装置109の表示が払出発射制御装置84によって制御される。
また、払出発射制御装置84には、相互通信可能に接続された研磨中継基板113を介して、カセットスイッチ116、研磨モータセンサ117の検出信号が入力され、払出発射制御装置84は研磨中継基板113を介してカセットモータ114、研磨モータ115の駆動を制御する。
また、研磨中継基板113と相互通信可能に接続された揚上中継基板118を介して、払出発射制御装置84には、揚上入口センサ120、揚上モータ監視センサ121からの検出信号が入力され、払出発射制御装置84は前述した揚上発射モータ119の駆動を制御する。
また、内枠中継基板122は、内枠中継基板122から研磨中継基板113へと一方向通信が可能に接続され、内枠中継基板122には、前述した、適正量センサ123、入賞検出センサ124、非入賞検出センサ125、満タンセンサ126と、夜間監視スイッチ127とが接続され、各センサ又はスイッチからの信号が払出発射制御装置84に入力される。
夜間監視スイッチ127は、夜間(営業時間外)の扉開放を伴う不正を判断するための装置であり、電源基板に搭載されたバックアップ電源により、電源がオフの状態であっても内枠70の開放を監視可能とし、払出発射制御装置84が夜間の内枠70の開放回数情報を記憶し、電源投入時に開放回数情報を主制御装置80を介して機外に出力する構成となっている。
また、研磨中継基板113と相互通信が可能に接続された発射中継基板128を介して、払出発射制御装置84には、減算センサ131、発射入口センサ132の検出信号が入力され、同様に発射中継基板128を介して払出発射制御装置84は、球送りソレノイド130と発射ソレノイド129の駆動を制御する。
次に、図5を用いて、主制御装置80が実行する特図変動開始処理を説明する。本処理は第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づいて抽出し保留記憶した乱数を判定し、該判定の結果に応じて第1特図表示装置9又は第2特図表示装置10に表示する特別図柄の変動表示を開始し、サブ統合制御装置83に疑似図柄の変動開始を指示する処理となり、本発明の待機信号手段を含む。
本処理を開始すると、特別図柄の始動条件が成立しているか否か判定する(S10)。この判定では、大当り遊技中でないこと、第1特別図柄及び第2特別図柄が変動中又は確定表示中でないことを確認する。否定判定なら(S10:no)リターンし、肯定判定なら(S10:yes)、第2保留記憶が有るか否か判定する(S15)。肯定判定なら(S15:yes)、S25に進み、否定判定なら(S15:no)第1保留記憶が有るか否か判定し(S20)、肯定判定なら(S20:yes)S25に進む。
S20が否定判定、即ち、大当り遊技中でもなく、第2保留記憶も第1保留記憶もなく、第2特別図柄及び第1特別図柄の変動中でもなく、確定表示中でもなければ(S20:no)、払出発射制御装置84に待機信号を送信し(S50)(本発明の待機設定手段の一部に相当)リターンする。
S15とS20の判定順により、第2保留記憶の当否判定を優先して実施する構成となっている。尚、本実施例では、特別図柄が複数(第1特別図柄と第2特別図柄)の構成となっているが、特別図柄を1つとした構成であっても本発明の効果に変わりはない。
S15、又はS20の肯定判定(S15:yes、S20:yes)に続く当否判定処理では、最も古い保留記憶を当否判定の対象として保留記憶の大当り判定用乱数値と遊技状態に応じて予め設定された当否判定テーブルとを比較し、大当りか小当りかはずれかを判定する(S25)。続いてS25の判定結果と、読み出した乱数値に応じて第1特図表示装置9又は第2特図表示装置10に確定表示する図柄の種類と変動パターン(変動時間)とを選択する(S30、S35)。
次に、S30で選択した図柄およびS35で選択した変動パターンの情報を指示する変動指示コマンドを生成しサブ統合制御装置83へ送信する(S40)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づいて、演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、大当り図柄および変動パターンの情報に対応する疑似図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特図表示装置9又は第2特図表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
S40に続いては、払出発射制御装置84に特別図柄の変動を開始することを示す変動信号を送信し(S45)リターンする。この変動信号は、疑似図柄の変動を示す信号となり(本発明の待機設定手段の一部に相当)、その送信は、待機信号の送信後初めて変動表示を開始する場合のみ実施する構成としてもよく、例えば、待機信号送信時に待機フラグを立て、該待機フラグが立っている場合のみ変動信号を送信してフラグを降ろす構成としてもよい。これにより、保留記憶からの変動を開始するごとに無駄な信号送信を行わずに済む。本実施例では変動信号はS45のタイミングで払出発射制御装置84に送信されたが、待機信号の送信後初めて第1始動口11又は第2始動口12へ遊技球が入球したタイミング(抽出した乱数が保留記憶されたタイミング)で払出発射制御装置84に送信してもよい。
次に、図6を用いて、払出発射制御装置84が実行する待機設定処理を説明する。本処理は本発明の待機設定手段に相当する。本処理を開始すると、待機信号を受信したか否か判定する(S100)。肯定判定なら(S100:yes)、待機フラグに1を設定し(S105)、S105又はS100の否定判定(S100:no)に続いては、変動信号を受信したか否か判定する(S110)。否定判定なら(S110:no)リターンし、肯定判定なら(S110:yes)、待機フラグに0を設定して(S115)リターンする。
待機フラグは払出発射制御装置84が記憶する値であり、その内容は図11の図表に示すように、値が0であれば特別図柄が変動表示を実施中(継続中)であることを、値が1であれば特別図柄の変動表示と確定表示が終了し且つ保留記憶がないこと(特別図柄の変動表示の継続が不可能なこと)を払出発射制御装置84が判断する。当然、値が1であれば大当り遊技中でないことも判断する。従って、払出発射制御装置84は、この待機フラグの値に基づいて図柄変動遊技が終了しているか、大当り遊技中でないか否かの判断が可能となる。
以上が払出発射制御装置84が実行する待機設定処理となり、本発明の「前記待機信号を受信すると待機フラグを設定し、保留記憶数を示す信号又は疑似図柄の変動表示を示す信号を受信すると待機フラグをクリアする」構成となっている。なお、S115では、S45によって送信される変動信号の受信に基づいて待機フラグに0を設定したが、第1始動口11又は第2始動13への入球に基づいて、即ち第1又は第2保留記憶の発生に基づいて主制御装置80から払出発射制御装置84に入賞信号(保留記憶信号)を送信し、この信号の受信に応じて待機フラグに0を設定する構成としてもよい。
次に、図7を用いて、払出発射制御装置84が実行するタイマ処理を説明する。本処理は本発明のタイマ手段を含む。本処理を開始すると、停止フラグが0か否か判定する(S150)。停止フラグは払出発射制御装置84が記憶する値であり、その内容は図11の図表に示すように、値が0であれば発射位置への球送りが可能な期間であることを、値が1であれば発射位置への球送りが不可能な期間であることを払出発射制御装置84が判断する。発射位置への球送りが不可能な期間とは、1分間の発射球数が100個であった場合、約0.6秒間隔で遊技球の発射(球送り)が行われる。このため、前回の球送りから約0.6秒が経過するまでは球送りは実施されず、この約0.6秒間は球送り、即ち遊技球の発射が不可能な期間となる。
S150が肯定判定なら(S150:yes)、球送りソレノイド130の駆動によって球送りが実施されたか否か判定する(S160)。肯定判定なら(S160:yes)、新たな球送りが実施されたことに基づいて最後の球送りが実施されてからの経過時間を計時しているタイマを初期化し(S165)、停止フラグに1を設定する(S170)。
S170、又はS150、S160の否定判定(S150:no、S160:no)に続いては、上記したタイマとなるカウンタに+1するインクリメント処理を行い(S175)、停止フラグが1か否か判定する(S180)。否定判定、即ち、球送りが可能な期間であるが球送りが行われなかったなら(S180:no)リターンし、肯定判定なら(S180:yes)、タイマとなるカウンタの値が球送りを待機する約0.6秒に相当する値に達したか否か判定し(S185)、否定判定なら(S185:no)リターンし、肯定判定なら(S185:yes)、停止フラグに0を設定してリターンする。
以上が払出発射制御装置84が実行するタイマ処理となる。本処理のS175が、遊技球の最後の発射からの経過時間を計測するタイマ手段のタイマ部となる。また本処理では、同じタイマ部を用いて球送りの待機時間を計測する構成となっている。
次に、図8を用いて、払出発射制御装置84が実行するIN/OUT計数処理を説明する。本処理は、遊技領域に発射された遊技球数をINカウンタを用いて、遊技領域から排出された遊技球数をOUTカウンタを用いてそれぞれを計数する処理となる。本処理を開始すると、発射球として球送りソレノイド130が送り出した遊技球を検出する減算センサ131が遊技球を検出したか否か判定し(S200)、肯定判定なら(S200:yes)、INカウンタに+1するインクリメント処理を行う(S205)。S205、又はS200の否定判定(S200:no)に続いては、遊技領域3に配置された入賞口(第1始動口11、第2始動口12、一般入賞口13、大入賞口14)に入賞した遊技球を検出する入賞検出センサ124が遊技球を検出したか否か判定し(S210)、肯定判定なら(S210:yes)、OUTカウンタに+1するインクリメント処理を行う(S215)。S215、又はS210の否定判定(S210:no)に続いては、遊技領域3に配置されたアウト口15に入賞した遊技球を検出する非入賞検出センサ125が遊技球を検出したか否か判定し(S220)、否定判定なら(S220:no)リターンし、肯定判定なら(S220:yes)、OUTカウンタに+1するインクリメント処理を行い(S225)リターンする。
以上が、払出発射制御装置84が実行するIN/OUT計数処理となる。本実施例では、入賞口に入賞した遊技球とアウト口15に入球した遊技球とを別々のセンサを用いて検出したが、各入賞口に入賞した遊技球とアウト口15に入球した遊技球とを1つのセンサでまとめて検出する構成としてもよい。また、ファール球(発射後に遊技領域まで到達しない遊技球)が発生する構成の場合、ファール球を検出するセンサを備え、該センサが遊技球を検出するとOUTカウンタにインクリメントする構成が好適である。また、INカウンタとOUTカウンタとを1つにまとめ、減算センサ131が遊技球を検出した場合にはカウンタにインクリメント(+1)し、入賞検出センサ124と非入賞検出センサ125とが遊技球を検出した場合にはカウンタをデクリメント(−1)し、これによりカウンタ値が発射球数と排出球数との差となる構成としてもよい(発射球数と排出球数が一致すればカウンタ値は0)。
次に、図9を用いて、払出発射制御装置84が実行する異常設定処理を説明する。本処理は、本発明の出入一致監視手段と、異常設定手段と、不正監視手段と、第1不正設定手段と、第2不正設定手段とを備えた処理となる。
本処理を開始すると、OUTカウンタからINカウンタの値を引いた値が0よりも大きいか否か判定し(S250)、肯定判定なら(S250:yes)、不正フラグに2を設定する(S255)(本発明の第2不正設定手段に相当)。このS250の肯定判定は、発射した遊技球よりも遊技領域3から排出された遊技球の方が多い状態を示し、これは、不正な遊技球が混入されたり、センサを誤動作させる電波が照射される等の、明確な不正行為が実行されたと判断でき、その場合には不正フラグに2が設定される。
S255、又はS250の否定判定(S250:no)に続いては、INカウンタからOUTカウンタの値を引いた値が所定値αよりも大きいか否か判定する(S260)(S260の一部が本発明の不正監視手段に相当)。肯定判定なら(S260:yes)、不正フラグに1を設定し(S265)、否定判定なら(S260:no)不正フラグに0を設定する(S270)(本発明の第1不正設定手段に相当)。
不正フラグは、払出発射制御装置84が記憶する値であり、その内容は図11の図表に示すように、値が0であれば、発射球数と遊技領域3からの排出球数との関係が正常であることを、値が1であれば、発射球数から排出球数を引いた値が所定数を超えている状態であることを、値が2であれば、発射球数よりも排出球数の方が大きな値となっている状態であることを払出発射制御装置84が判断する。
また、不正フラグの記憶領域は、図11の不正フラグの詳細に示すように2ビットで構成され、1ビット目を第1不正フラグ、2ビット目を第2不正フラグとして区別することが可能となっている。このように、不正フラグ自体は実質的に1個だが、2ビット構成とすることで2種類の判断が行える。
また、上記したように不正フラグの値が1である場合は、発射球数から排出球数を引いた値が所定数を超えている状態となり、これは、遊技領域3に配置された役物等の構成によっても異なるが、通常の遊技では想定できない遊技球が遊技領域3に停滞している状態となる。この場合に最も考えられるのは、遊技釘と役物と遊技盤のベースとなる板面との間で複数の遊技球が詰まった状態であり、この状態は通常の遊技中に自然に発生してしまうこともあれば、不正行為として任意の入賞口への遊技球の誘導を目的に、磁石等を用いて意図的に作られる場合がある。従って、不正フラグの値が1の場合は、自然に球詰まりが発生した異常状態なのか、不正行為によるものなのかが判断できない曖昧な状態といえるが、遊技進行に支障をきたす異常状態であることには間違いない状態と判断できる。
S265、又はS270に続いては、図7を用いて説明したタイマ処理によって計測されているタイマ(遊技球の最後の発射からの経過時間)が所定値(本実施例でが20,000ms)以上か否か判定し(S275)、肯定判定なら(S275:yes)、INカウンタの値とOUTカウンタの値とが一致していないか否か判定する(S280)(本発明の出入一致監視手段に相当)。S280が肯定判定なら(S280:yes)、発射が停止されてから所定の時間が経過したにも拘らず発射球数と排出球数とが一致しないことを示す信号を台間ユニット100を介してホールコンピュータ87に出力するとともに、その場合の発射球数と排出球数との差を示す信号を同様にホールコンピュータ87に出力し(S285)、異常フラグに1を設定して(S290)リターンする。S275、又はS280が否定判定なら(S275:no、S280:no)、異常フラグに0を設定して(S295)リターンする。なお、S280が否定判定、即ちINカウンタの値とOUTカウンタの値が一致していれば、各カウンタの値をクリアする処理を実施してもよい。
異常フラグは、払出発射制御装置84が記憶する値であり、その内容は図11の図表に示すように、値が0なら、最後の球送りが実施されてから所定時間が経過していないこと、又は発射球数と排出球数とが等しいことを、値が1なら、最後の球送りが実施されてから所定時間が経過し且つ発射球数と排出球数とが一致していないことを払出発射制御装置84が判断する。
以上が払出発射制御装置84が実行する異常設定処理となる。S285の処理が、本発明の「出入一致監視手段による判定結果を機外に出力し、該判定結果が一致していない場合は、発射球数とアウト球数との誤差数を機外に出力する」に相当するものとなる。本実施例では、ホールコンピュータ87への出力を台間ユニット100を介して行うが、払出発射制御装置84から直接ホールコンピュータ87に出力してもよいし、主制御装置80を介して主制御装置80から直接ホールコンピュータ87に出力してもよい。
次に、図10を用いて払出発射制御装置84が実行する球送り制御処理を説明する。本処理は、本発明の発射制御手段を含む処理となる。本処理を開始すると、不正フラグが2ではないか否か、即ち、明らかな不正による異常状態ではないか否か判定し(S300)、肯定判定なら(S300:yes)、不正フラグが0か否か判定し(S305)、肯定判定なら(S305:yes)、異常フラグが1か否か判定し(S310)、S310が肯定判定、又はS305が否定判定(不正フラグ=1)なら(S310:yes、S305:no)、待機フラグが1か否か判定する(S315)。S315が否定判定、又はS310が否定判定なら(S315:no、S310:no)禁止フラグに0を設定して(S325)リターンし。S315が肯定判定、又はS300が否定判定(不正フラグ=2)なら(S315:yes:S300:no)、禁止フラグに1を設定して(S320)リターンする。
禁止フラグは払出発射制御装置84が記憶する値であり、その内容は図11の図表に示すように、値が0なら、球送りソレノイド130の駆動が可能な状態、即ち遊技球の発射が可能な状態を、値が1なら、球送りソレノイド130の駆動が禁止された状態、即ち遊技球の発射が禁止された状態を払出発射制御装置84が判断する。
以上が払出発射制御装置84が実行する球送り制御処理となる。S310、S315、S320の処理構成が、本発明の「異常フラグ及び前記待機フラグが設定された状態となることを条件に遊技球の発射不能状態とする発射制御手段」に相当している。また、S305、S315、S320の処理構成が、本発明の「待機フラグ及び前記不正フラグに値1が設定された状態となることを条件に、発射不能状態とする」に相当している。S300が否定判定の場合、即ち不正フラグに2が設定されたなら、明確な不正が実行されたと判断し禁止フラグに1が設定され、球送りソレノイド130の駆動が禁止されることにより遊技球の発射が不能状態となる。これは、本発明の「発射制御手段は、前記異常フラグ又は前記待機フラグが設定されているか否かに拘わらず、前記不正フラグが前記第2不正設定手段によって設定された値であるときに発射不能状態とする」に相当している。
不正フラグが1の場合は、不正が行われたのか若しくは異常が発生してしまったのかが曖昧な状態であり、これだけでは遊技球の発射は禁止されないが、待機フラグに1が設定されていることにより、遊技球の発射を停止しても特別図柄の変動とその変動結果に影響を及ぼさない状態であることが判断できるため、禁止フラグに1を設定して遊技球の発射を禁止する。異常フラグフラグに1が設定された場合も同様に、異常フラグに1が設定されただけでは遊技球の発射(球送り)は可能な状態だが、待機フラグに1が設定されることにより遊技に影響を及ぼさないことが判断できるため遊技球の発射が禁止される。
以上が循環式遊技機を用いた実施例となるが、賞球を機外に払い出す従来の一般的な遊技機(非循環式遊技)であっても、以下に説明する遊技球検出スイッチを備えることにより、上述した循環式遊技機と同一の発射制御機能を備えることが可能となる。この非循環式遊技機の場合も、主制御装置80bが実行する特図変動開始処理によって、変動を開始するタイミングで保留記憶が無い場合は、待機信号が払出制御装置84bに送信される。
図12は、賞球を機外に払い出す非循環式の一般的な遊技機の電気ブロック図となる。このブロック図には、上記した循環式遊技機と同等の機能を備えるために、払出制御装置84bにアウト口入球検出スイッチ15、発射待機球検出スイッチ16、発射球検出スイッチ等の検出信号が入力される構成となっている。
循環式遊技機で実行したIN/OUT計数処理と同一内容の処理を行うために、減算センサ131の代わりに発射球検出スイッチ17を用い、非入賞検出センサ125の代わりにアウト口入球検出スイッチ15を用い、入賞検出センサ124の代わりのスイッチは備えず、主制御装置80bから受信する各入賞口に何個入賞したかを示す信号を用いる。これにより、払出制御装置84bにおいて遊技領域3に発射された遊技球数と遊技領域から排出された遊技球数との計数を実行することが可能となる。そして、図10を用いて説明した球送り制御装置と同一内容の処理を払出制御装置84bで行い禁止フラグに1が設定された場合は、発射モータの駆動を禁止する処理を行う。
循環式遊技機では、遊技機自体が発射可能な遊技球数を記憶する構成となるが、図12の電気ブロック図を備えるような非循環式の遊技機では、遊技球を待機させる皿に遊技球が有れば遊技球の発射が可能となるため、発射待機球検出スイッチ16は、発射可能な遊技球があるか否かを判断するためのスイッチとなる。この発射待機球検出スイッチが遊技球を検出していることを条件に遊技球の発射が可能となる構成としてもよい。これにより、無駄な発射モータの駆動をなくすことができる。
また、非循環式の遊技機がファール球の発生する構成であれば、ファール球検出スイッチを払出制御装置84に接続し、ファール球検出スイッチが遊技球を検出した場合はOUTカウンタにインクリメントする構成が望ましい。