以下、本発明の実施形態に係る貯湯タンクユニット1について図1ないし図9を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、本実施形態に係る貯湯タンクユニット1を備えた給湯機Kについて図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る貯湯タンクユニットを備えた給湯機を示す全体構成図である。なお、以下では、図1に示す上下方向および前後方向、図2に示す前後左右方向を基準にして説明する。
図1に示すように、給湯機(給湯ユニット)Kは、貯湯タンクユニット1、ヒートポンプユニット10を含んで構成されている。
貯湯タンクユニット1は、貯湯タンク2、外箱3、内脚4、真空断熱材5、発泡断熱材6を含んで構成されている。
貯湯タンク2は、例えば、ステンレス鋼などの材料によって形成され、円筒形状の胴板2a、胴板2aの上部開口を覆う略お椀状の上部鏡板2b、胴板2aの下部開口を覆う略お椀状の下部鏡板2c、の3部材を溶接することで構成されている。また、貯湯タンク2の外面(前面)には、上下方向に間隔を置いて複数の温度センサ(サーミスタ、不図示)が設けられている。
外箱3は、貯湯タンク2を収容する鋼板製のものであり、貯湯タンク2の、前方に位置する前板3a、側方に位置する側板3b,3b(図2参照)、後方に位置する後板(背板)3c、上方に位置する上板(天板)3dおよび下方(底側)に位置する底板3eによって縦長の箱状に構成されている。
内脚4は、外箱3内において貯湯タンク2を支持するものであり、貯湯タンク2の周囲に120度間隔で配置されている。また、一の内脚4は、貯湯タンク2の前端部(最も前方に位置する部分)に配置され、他の内脚4は、貯湯タンク2の左右斜め後部に配置されている。なお、内脚4の本数は、3本に限定されるものではなく、4本以上であってもよい。
底板3eの下面には、各内脚4に対応する位置に外脚(製品脚)7が固定されている。この外脚7は、アンカーボルト(不図示)などを介して設置箇所Gに固定されている。
真空断熱材5は、シート状のものであり、貯湯タンク2の胴板2aの周囲に巻かれている。また、真空断熱材5は、グラスウールなどのガラス繊維からなるコア材を外包材などで被覆して、外包材の内部が真空引きされることで構成されている。外包材は、ガスバリア性を有するアルミニウム製のラミネートフィルムなどで構成されている。なお、図1では、真空断熱材5を貯湯タンク2の外壁面に接するように配置した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、外箱3の内壁面に接するように配置する構成であってもよい。また、真空断熱材5を、貯湯タンク2の外壁面と外箱3の内壁面の双方に設ける構成であってもよく、真空断熱材5を設けないで構成してもよい。
発泡断熱材6は、発泡スチロールのような予め成形された断熱材(成形断熱材)ではなく、貯湯タンク2と外箱3との間の隙間(空間)に発泡液(原液)を注入し、注入後に発泡させることで構成されるものである。この発泡断熱材6としては、例えば、硬質ポリウレタンフォームが用いられる。この硬質ポリウレタンフォームは、ポリオール成分とイソシアネート成分の2つのウレタン原液を、発泡剤、触媒、整泡剤の存在下で反応させることにより得られるものである。発泡剤としては、シクロペンタン、水、炭酸ガスなどである。なお、発泡断熱材6は、硬質ポリウレタンフォームに限定されるものではない。
貯湯タンク2の下部には、水道水が導入される給水管11(配管)が接続されている。貯湯タンク2の下部の水は、ポンプ(不図示)によって入水管(ヒートポンプ往き管)12(配管)を介してヒートポンプユニット10に導入される。ヒートポンプユニット10で加熱された温水は、出湯管(ヒートポンプ戻り管)13(配管)を介して貯湯タンク2の上部に導入される。
このような貯湯タンク2内の温水の温度は、例えば、鉛直方向下方から上方にいくにしたがって高くなる。すなわち、貯湯タンク2内の下部から上部にかけて、相対的に低温、中温、高温の温度分布となっている。例えば、貯湯タンク2内の上部で約90℃、中間部で約50℃となっている。
ヒートポンプユニット10は、貯湯タンク2から取り出した水を加熱するものであり、例えば、冷媒(例えば、二酸化炭素)を圧縮して高温・高圧にする圧縮機と、圧縮機から吐出された冷媒と貯湯タンク2からの水とを熱交換することによって貯湯タンク2からの水を加熱する凝縮器と、凝縮器から流出する冷媒を減圧する減圧弁と、大気中の熱を吸熱して減圧した冷媒を蒸発させる蒸発器と、を備えて構成されている。なお、本実施形態では、加熱手段として、ヒートポンプユニット10を例に挙げて説明したが、加熱手段として、電気ヒータやガスで加熱するものであってもよい。
貯湯タンク2の上部から取り出された湯は、給湯管14(配管)を通り、給水管11に分岐して接続された分岐給水管(不図示)からの水と、混合弁16を介して混合された後、給湯管17(外箱3の外部)を介して給湯端末18から出湯される。なお、本実施形態では、貯湯タンク2内部の湯を給湯端末18に使用する場合を例に挙げて説明したが、貯湯タンク2の湯を給湯端末の湯として使用せずに給水された水を熱交換(加熱)するための熱媒体として使用するタイプの貯湯タンクユニット(直圧給湯式、水道直結式)に適用するものであってもよい。
このように、外箱3内には、貯湯タンク2と接続される給水管11、入水管12、出湯管13、給湯管14などが配設されている。すなわち、これらの配管(給水管11、入水管12、出湯管13、給湯管14)は、外箱3の外部において他の配管や弁(混合弁16など)と接続されるようになっている。なお、前記した4種類の配管は、一例であって、4種類に限定されるものではない。
また、貯湯タンクユニット1は、外箱3の前方(正面側)に配管カバー3sを備えている。配管カバー3sは、前板3aとで囲まれる空間によって、ヒートポンプユニット10から貯湯タンク2に向かう出湯管13、分岐給水管(不図示)、混合弁16、給湯管17、制御基板(不図示)などを収容するように構成されている。
また、外箱3の前板3aの下部には、発泡断熱材6の発泡液を注入するための注入口8が形成されている。また、外箱3の前板3aの上部には、発泡断熱材6の発泡液を注入するための注入口9が形成されている。なお、注入口8,9は、発泡断熱材6の発泡液を注入する際に用いる孔であり、発泡断熱材6の発泡液の注入・発泡後に蓋(カバー)などで閉じられるものである。
図2は、第1実施形態に係る貯湯タンクユニット内部を上方からみたときの断面図である。なお、図2は、外箱3を配管が外側に引き出される高さ位置で切断したときの断面図であり、また配管カバー3s内の配管や弁などの部品の図示を省略している。また、図2では、給水管11、入水管12および出湯管13の図示を省略し、以下では、給湯管14を例に挙げて説明する。
図2に示すように、外箱3は、横断面視において略八角形状を呈し、中央に貯湯タンク2が配置されるように構成されている。また、外箱3の前方には、横断面視においてコ字状の配管カバー3sが取り付けられている。
また、外箱3の前板3aは、左右方向の中央部に左右方向に延在する長板部3a1を有している。前板3aは、左右両端部において長板部3a1の後方に左右方向に延在する短板部3a2,3a3を有している。前板3aは、長板部3a1と短板部3a2とを繋ぐ傾斜板部3a4と、長板部3a1と短板部3a3とを繋ぐ傾斜板部3a5と、を有している。これにより、前板3aは、前方に凸形状となる断面視略山型となるように構成されている。また、外箱3の後板3cは、前板3aと前後方向に対称であり、後方に凸形状となる断面視略山型となるように構成されている。
このように、貯湯タンクユニット1では、外箱3が貯湯タンク2の外周壁面に略沿うように略八角形状に形成されることで、貯湯タンク2と外箱3との間の隙間が略均等になっている。これにより、発泡断熱材6(発泡液)を注入して発泡させたときに、発泡する際の圧力(発泡圧力)を均等にすることができ、局部的に発泡圧力が高まるのを防止して、貯湯タンク2の変形を防止することができる。
また、外箱3には、貯湯タンク2に接続された給湯管14を外箱3の外部に引き出すための貫通孔3tが形成されている。この貫通孔3tは、前板3aの右端(図示左側)の短板部3a3に、給湯管14が挿通可能となるように給湯管14の最大径(外径)よりも大きい径を有して形成されている。なお、図2では、給湯管14以外の配管の図示を省略し、また配管カバー3s内の配管や弁などの部品の図示も省略している。以下では、一例として給湯管14の位置決めを例に挙げて説明する。
給湯管14は、貯湯タンク2の上部中央から短板部3a3側に向けて径方向外側に延び、そして貫通孔3tの後方において折れ曲がって前方に向けて延びている。この給湯管14は、短板部3a3の外壁面(表面)に対して直交する向きとなるように構成されている。これにより、貫通孔3tを円形にすることができ、加工が容易になる。
図3(a)は発泡液注入時の発泡断熱材の流れを示す模式図、(b)は発泡断熱材の発泡途中の状態を示す模式図である。なお、図3では、貯湯タンク2に接続される配管(給水管11、入水管12、出湯管13、給湯管14など)の図示を省略している。
図3(a)に示すように、配管カバー3s(図1参照)や外箱3の外側の配管などを取り付ける前に、内部に貯湯タンク2を内脚4を介して固定した外箱3を横倒しにして、外箱3の使用時の上下が水平方向、かつ、前板3aを上側にして、注入口8,9が上向きとなる状態にする。また、外箱3を横倒しにした際に、外箱3に発泡管理治具(やとい、ともいう)40を取り付ける。
発泡管理治具40は、発泡断熱材6の発泡液が発泡する際の圧力(発泡圧力)によって外箱3が変形するのを防止するものであり、外箱3の周囲全体を取り囲むように、前板3a、側板3b,3b、後板3c、上板3d、底板3eのそれぞれの面と接する板材を備えている。そして、発泡管理治具40の外側から、ノズル31を注入口8,9に挿し込んで外箱3内に発泡断熱材6(発泡液)を注入する。このとき、発泡断熱材6(発泡液)は、底側の後板3cの内壁面3c1に沿って広がり、内壁面3c1の一面に所定の深さで広がる。
注入後、発泡断熱材6(発泡液)が発泡を開始して、図3(b)に示すように、外箱3の後板3c側(図示下側、底側)から前板3a側(図示上側)に向けて発泡する。そして、発泡断熱材6(発泡中)が前板3aの内壁面3a6まで発泡し、外箱3と貯湯タンク2との間の隙間全体が発泡断熱材6(発泡後)で満たされる。このとき、発泡管理治具40によって外箱3の外面全体が変形を防止すべく抑えつけられているので、発泡断熱材6が発泡するときの発泡圧力によって外箱3が膨らむ(変形する)のを防止することができる。そして、発泡断熱材6は、発泡が完了した後に硬化する。
ところで、発泡断熱材6(発泡液)が外箱3の後板3cに到達する途中で内脚4、配管(給水管11、入水管12、出湯管13、給湯管14)などの他の部材に接触すると、内脚4などの他の部材の位置から発泡が開始されることになり、他の部材の後ろ側に発泡断熱材6(発泡後)が行き渡らなくなるおそれがある。そこで、注入口8から注入される発泡断熱材6(発泡液)を、内脚4、給水管11、入水管12など他の部材に接触させずに後板3cの内壁面3c1に到達させることが好ましい。また、注入口9から注入される発泡断熱材6(発泡液)についても、出湯管13、給湯管14など他の部材に接触させずに後板3cの内壁面3c1に到達させることが好ましい。これにより、発泡断熱材6(発泡後)が充填されないない箇所(ボイド)などが発生することが防止され、断熱性能が低下するといった不都合を防止できる。
また、貯湯タンク2に接続される給湯管14は、貯湯タンク2側と接続される給湯管14の端部を支点として、外箱3内において片持ち状態で支持されている。このため、貯湯タンク2と外箱3との隙間(空間)に発泡断熱材6の発泡液を注入して発泡させると、発泡液が発泡する際の圧力(発泡圧力)によって、給湯管14が発泡断熱材6(発泡中)で押圧され、給湯管14が位置ずれする。つまり、(1)給湯管14の先端が横向きになったり、(2)給湯管14の先端が上下向きになったり、(3)給湯管14の前後方向の位置がずれたりする。これによって、給湯管14に接続される配管や弁(混合弁16など)が接続できなくなったりする。また、弁と接続する配線(コネクタ)が接続できなくなるなどの不具合が生じる。
そこで、本実施形態では、以下に示すように、発泡管理冶具40に位置決め部材42を取り付けて、発泡管理冶具40を外箱3に取り付ける際の移動力(動作力)を利用して配管(給湯管14など)の位置決めを行うようにしている。これについて、図4ないし図9を参照して説明する。
図4(a)は貯湯タンクから外箱の外部に引き出される配管を示す斜視図、(b)は栓体とシール材を取り付けた状態を示す斜視図、(c)は抜け止め冶具を取り付けた状態を示す斜視図である。なお、以下では、給湯管14を例に挙げて説明するが、給湯管14に限定されるものではなく、その他の配管(給水管11、入水管12、出湯管13)などについても同様に適用することができる。
図4(a)に示すように、給湯管14は、外箱3の前板3a(短板部3a3)に形成された貫通孔3tから外箱3の外側に給湯管14の先端部が突出している。また、給湯管14の先端の軸方向は、短板部3a3の壁面(表面)に対して直交する方向に向いている。また、給湯管14が貫通孔3tを挿通できるように、貫通孔3tの直径D1が給湯管14の最大外径D2よりも大きく形成されている。
また、給湯管14は、給湯管14の先端に2つのフランジ部14a,14bが軸方向に間隔を空けて形成される。フランジ部14a,14bは、給湯管14に別の配管(給湯管)を接続する際の継手として構成されたものである。フランジ部14aは、給湯管14の先端の開口縁部に形成されている。フランジ部14bは、フランジ部14aよりも軸方向の基端側に位置し、フランジ部14aよりも軸方向に厚く形成されている。フランジ部14aとフランジ部14bとの間に形成された凹部14cにOリング(不図示)が嵌め込まれる。また、フランジ部14bは、前板3a(短板部3a3)の表面から離れた位置に形成されている。
図4(b)に示すように、給湯管14の先端には、給湯管14の先端の接続口14d(図4(a)参照)を閉塞する栓体50が取り付けられる。この栓体50は、凹部14c(図4(a)参照)にオーリング(不図示)を嵌めた状態で給湯管14に取り付けられている。このようにして給湯管14に栓体50が取り付けられることで、貯湯タンク2内に空気を導入したときに空気が給湯管14を通して外部に漏れ出ないようになっている。なお、貯湯タンク2内に導入する空気は、発泡断熱材6の発泡液が発泡する際の圧力によって貯湯タンク2が変形しないように(凹まないように)、貯湯タンク2内に圧力をかけるためのものである。また、図示していないが、空気を導入する配管以外には、このような栓体50が取り付けられる。
栓体50は、ステンレスなどの金属製のものであり、先端部に給湯管14の軸中心と同軸の円錐部50aを有している。また、栓体50は、円錐部50aの基端側に円柱部50bが形成され、円柱部50bの基端部につば部50cが形成されている。また、円錐部50aの先端50a1は、丸みを持って形成されている。
ところで、給湯管14を外箱3に挿通させるため、貫通孔3tの直径D1が給湯管14の最大外径D2よりも大きく形成されている関係上、貫通孔3tと給湯管14との環状の隙間から発泡断熱材6(発泡後)が外箱3の外部に漏れ出てしまう。そこで、本実施形態では、貫通孔3tと給湯管14との隙間を塞ぐシール部材60を設けている。
また、シール部材60は、四角形のシート状に形成され、貫通孔3tの全体を塞ぐことができる形状である。また、シール部材60は、独立気泡型のポリエチレンフォームなどを用いることができる。また、シール部材60には、給湯管14(フランジ部14bよりも基端側)の周面に密着して、給湯管14を挿通可能な挿通孔60aと、挿通孔60aから外周縁部に向けて延びるスリット60bとが形成されている。シール部材60を給湯管14に装着する場合には、スリット60bを開いて、この開いたスリット60bを介して挿通孔60aを給湯管14の位置まで移動させる。これによって、貫通孔3tと給湯管14との間の隙間が塞がれる。
図4(c)に示すように、給湯管14には、線材50が貯湯タンク2内の空気圧によって抜け出るのを防止する抜け止め冶具70(冶具)が取り付けられる。この抜け止め冶具70は、略四角ブロック状でステンレスなどの金属製のもので形成され、上下方向にスライド可能に挿入される切欠部71が形成されている。この切欠部71は、前面側から後面側に向けて貫通し且つ下面側が解放して形成され、前方からの平面視において略U字状に形成されている。また、切欠部71は、栓体50の円柱部50bの外周面と嵌合する壁部71a、つば部50cと嵌合する凹部71b、および給湯管14の外周面と嵌合する壁部71cを有している。
栓体50は、つば部50cが凹部71bに嵌合することで、給湯管14から抜け出ないようになっている。抜け止め冶具70は、壁部71cがフランジ部14bの外箱3側に係止されることで、給湯管14が給湯管14の軸方向に向けて抜け出ないようになっている。また、抜け止め冶具70と短板部3a3とによってシール部材60が挟まれることで、貫通孔3tと給湯管14との間の環状の隙間の密閉が確かなものとなる。
また、抜け止め冶具70は、短板部3a3の表面から円錐部50aと円柱部50bとの境界付近までの高さを有している。また、抜け止め冶具70は、前板3aの傾斜板部3a5(当接部)と平行な傾斜面72を有している。この傾斜面72が傾斜板部3a5に面接触することで、給湯管14の左右方向の位置決めが可能になる。
なお、図4では、給湯管14を例に挙げて説明しているが、その他の給水管11、入水管12、出湯管13についても、給湯管14と同様にして、前板3aの短板部3a2,3a3から給水管11、入水管12、出湯管13が突出するように構成されている。また、配管が長板部3a1から突出するようにしてもよい。つまり、外箱3の外側に引き出す配管を、すべて長板部3a1、短板部3a2,3a3の壁面に対して直交する向きで突出させることで、外箱3の前板3aの取り付けが容易になる。
図5は、位置決め部材を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。位置決め部材42は、発泡管理冶具40(図3参照)の所定の位置に取り付けられるものであり、発泡管理冶具40を外箱3に取り付ける方向に動作させる際の動作力Fによって動作するものである。なお、所定の位置とは、発泡管理冶具40で外箱3を閉じたときに給湯管14に取り付けられた栓体50(図4(b),(c)参照)を介して給湯管14が位置決め可能となる位置である。本実施形態の発泡管理冶具40では、外箱3の側板3b(図2参照)に対応する板材43(図6参照)に取り付けられている。なお、図5(a),(b),(c)に示す方向は、給湯管14が位置決めされている場合の方向を示している。
図5(a)に示すように、位置決め部材42は、左右方向に延びる長孔42aを有している。この長孔42aは、栓体50(二点鎖線参照)の円錐部50aを通過できない幅で形成されている。なお、図5(a)は、図3に示す状態の発泡管理冶具40を上方から見たときの状態である。なお、本実施形態では、上下方向(紙面垂直方向)に貫通する長孔42aを例に挙げて説明するが、貫通しない溝形状のものであってもよい。
図5(b)に示すように、位置決め部材42の長孔42aは、前方から後方に向けて(図示上方から下方に向けて)拡大するように(末広がり形状となるように)形成されている。また、長孔42aの左右方向の両端部分は、円錐部50aの斜面と平行な角度で形成されている。
図5(c)に示すように、位置決め部材42の長孔42aは、前方から後方に向けて(図示上方から下方に向けて)拡大するように(末広がりとなるように)形成されている。また、長孔42aの上下方向の両端部分は、円錐部50aの斜面と平行な角度で形成されている。
本実施形態では、前記したように、発泡管理冶具40に位置決め部材42を取り付け、また給湯管14に栓体50や抜け止め冶具70などを取り付けることで、給湯管14の位置ずれを防止する(給湯管14の位置出しを行う)ようにしたものである。以下において、位置決めする際の動作について、図6ないし図8を参照して説明する。図6は、横向きに位置ずれした配管を位置決めする場合の動作説明図であり、(a)は位置決め前、(b)は位置決め途中、(c)は位置決め完了時である。図7は、上下向きに位置ずれした配管を位置決めする場合の動作説明図であり、(a)は位置決め前、(b)は位置決め途中、(c)は位置決め完了時であり、図8は、前後方向に位置ずれした配管を位置決めする場合の動作説明図であり、(a)は位置決め前、(b)は位置決め途中、(c)は位置決め完了時である。なお、図6は、給湯管14が横向きのうちの右向きとなった場合、図7は、給湯管14が上下向きのうちの上向きとなった場合、図8は、給湯管14が前後方向のうちの前方に位置する場合の位置決め(位置出し)について説明する。
図6(a)に示すように、発泡管理冶具40には、外箱3の側板3bに対応する板材43に位置決め部材42が取り付けられている。この板材43は、他の板材(背板3c(図3参照)に対応する板材)に回動可能に支持されており、板材43の回動動作とともに位置決め部材42が回動動作するように構成されている。また、栓体50と抜け止め冶具70が取り付けられた配管14の軸方向O1は、貫通孔3tの軸方向O2に対して右側に傾いている。また、抜け止め冶具70は、短板部3a3および傾斜板部3a5から離間している。発泡管理冶具40の板材43が回動しながら動作することで、位置決め部材42の長孔42aが栓体50に近づくようになっている。
図6(b)に示すように、発泡管理冶具40の板材43が回動して位置決め部材42が図6(a)の状態からさらに回動すると、長孔42a内に円錐部50aの先端が位置する。そして、位置決め部材42は、円錐部50aの先端が長孔42a内を左端から右端に位置するように移動する(回動する)。このように、回動する板材43に位置決め部材42を取り付ける場合には、位置決め部材42が回動する方向(左右方向)に沿う長孔42aとすることにより、円錐部50aを長孔42aに案内できるようになる。なお、長孔42aの左端は、円錐部50aを長孔42a内に挿入できる位置であればよい。長孔42aの右端は、給湯管14の軸方向O1と貫通孔3tの軸方向O2とを一致させることが可能な位置に設定される。
そして、図6(c)に示すように、発泡管理冶具40の板材43が回動して位置決め部材42が図6(b)の状態からさらに回動すると、長孔42aの端部42a1が円錐部50aに当接する。このとき、発泡管理冶具40が回動する際の動作力Fによって、長孔42aの端部42a1によって円錐部50aが左側に押圧される。これにより、配管14の軸方向O1の向きが修正され、給湯管14の軸方向O1が貫通孔3tの軸方向O2に一致する。また、給湯管14の向きが修正されることで、抜け止め冶具70の傾斜面72が外箱3の傾斜板部3a5の壁面に面接触し、給湯管14が左側に傾くのを防止できる。このようにして、給湯管14の横向き(右向き)の位置ずれを防止できる。なお、抜け止め冶具70の傾斜面72が傾斜板部3a5に当接するように構成されていることで、発泡圧力によって給湯管14の軸方向O1の向きが左向きとなることが防止される。
図7(a)は、給湯管14の軸方向O3が、貫通孔3tの軸方向O2に対して上側(図示左側)に傾いている場合である。また、抜け止め冶具70が、短板部3a3から離間している。
図7(b)に示すように、発泡管理冶具40の板材43(図6参照)が回動しながら動作することで、長孔42a内に円錐部50aの先端が位置するように位置決め部材42が回動し、円錐部50aの先端が長孔42aの端部42a2に接触する。このように、長孔42aが前方から後方に向けて末広がり形状となるように構成されることで、給湯管14の軸方向O3が傾いている場合であっても、円錐部50aを長孔42a内に案内することが可能になる。
そして、図7(c)に示すように、発泡管理冶具40の板材43(図6参照)が回動して位置決め部材42が図7(b)の状態からさらに回動すると、そのときの回動力(移動力F)によって円錐部50aに長孔42aの上下(図示左右)の端部42a2、42a3が当接する。これにより、給湯管14の軸方向O3の上下方向の傾きが修正され、軸方向O3が貫通孔3tの軸方向O2に一致する。
図8(a)は、給湯管14が前後方向の前方に飛び出ている場合である。また、抜け止め冶具70は、短板部3a3から離間している。なお、説明を簡略化するため、給湯管14の軸方向は、貫通孔3tの軸方向と一致している場合を例に挙げて説明する。
図8(b)に示すように、発泡管理冶具40の板材43(図6参照)が回動しながら動作することで、抜け止め冶具70が短板部3a3には接しない状態で、円錐部50aに長孔42aの上下の端部42a2,42a3が当接する。
そして、図8(c)に示すように、発泡管理冶具40の板材43(図6参照)が回転して位置決め部材42が図8(b)の状態からさらに回動すると、そのときの回動力(動作力F)によって円錐部50aが位置決め部材42の長孔42aによって後方(図示下側)に押圧されることで、給湯管14が外箱3内に押し込まれ、給湯管14の前後方向の位置が予め決められた位置に修正される。
このようにして、給湯管14が発泡管理冶具40の位置決め部材42によって位置決めされた状態において、外箱3と貯湯タンク2との間の隙間に発泡断熱材6(発泡液)を注入して発泡させる(図3参照)。そして、給湯管14に取り付けられた栓体50および抜け止め部材70を取り外し、また貫通孔3tと給湯管14との隙間を密閉し、給湯管14に他の配管や弁などを取り付け、外箱3に配管カバー3sを取り付ける。
以上説明したように、本実施形態の貯湯タンクユニット1では、発泡管理冶具40に給湯管14を位置決めする位置決め部材42が設けられている。これにより、外箱3内に給湯管14を位置決めして固定する固定部材を設ける必要がなくなり、簡単な構成で給湯管14を位置決めすることが可能になる。また、固定部材が不要になることで、外箱3内の構造が複雑になるのを防止でき、給湯管14の周囲を含めて貯湯タンク2と外箱3との間の隙間全体に発泡断熱材6(発泡後)を容易に行き渡らせることができる。
また、本実施形態では、発泡管理冶具40の板材43を外箱3に取り付ける際の移動力(動作力F)によって給湯管14が位置決めされる。これにより、発泡管理冶具40の取り付けと同時に位置決めが完了するので、給湯管14を迅速に位置決めすることができ、その後の発泡断熱材6の発泡液の注入工程および発泡工程に直ちに移行することが可能になる。
また、本実施形態によれば、給湯管14の接続口14dに、接続口14dを閉塞する円錐部50aを有する栓体50を取り付けて、この円錐部50aを介して給湯管14を位置決めするようにしたので、給湯管14の位置決めとともに、貯湯タンク2内に空気圧をかけた状態で発泡断熱材6を構成できるので、発泡圧力による貯湯タンク2の変形(へこみ)も防止することが可能になる。
また、本実施形態によれば、給湯管14に栓体50が抜け出るのを防止する抜け止め冶具70を取り付け、この抜け止め冶具70の傾斜板部3a5に外箱3を当接させて給湯管14の左右方向の位置決めを行うことで、外箱3に抜け止め冶具70を当接させる当接部を新たに設ける必要がなくなる。
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る貯湯タンクユニットにおける配管の位置決め方法を説明する動作説明図であり、(a)は位置決め前、(b)は位置決め完了時である。第2実施形態では、外箱3に替えて外箱3Aとし、抜け止め冶具70に替えて抜け止め冶具70Aとしたものである。その他の構成については、第1実施形態と同様に構成されている。また、図9では、給湯管14が右向き(横向き)の場合のみを例に挙げて説明するが、上下方向に位置ずれしている場合、前後方向に位置ずれしている場合などその他の位置決め方法については、第1実施形態と同様にして位置決めされるものとして説明を省略する。
ずなわち、図9(a)に示すように、外箱3Aは、第1実施形態のように中央部が前方に突出する山型ではなく、前板3aが平坦な板状に形成されたものである。また、外箱3Aには、給湯管14が挿通される貫通孔3tよりも左側に、突起部3f(当接部)が形成されている。
抜け止め冶具70Aは、第1実施形態の抜け止め冶具70のように傾斜面72を有しない四角ブロック状に形成されたものである。すなわち、抜け止め冶具70の左側面70bは、前板3aの壁面(表面)に対して直交する面である。なお、本実施形態では、左側面70bが前板3aの壁面に直交する面である場合を例に挙げて説明したが、当接部に当接できるものであれば、左側面70bの向きや形状は特に限定されるものではなく、また当接部についても形状などは特に限定されるものではない。
図9(a)では、給湯管14の軸方向O1が貫通孔3tの軸方向O2に対して右方向(図示左方向)に傾斜し、また抜け止め冶具70Aの左側面70aが突起部3fから離間した状態である。また、抜け止め冶具70Aの下面は、前板3aの表面から離間している。
第2実施形態では、第1実施形態と同様にして、発泡管理冶具40の板材43が回動して、位置決め部材42が回動することで、右端において長孔42a内の円錐部50aの先端が位置し、円錐部50aの先端が長孔42a内を左端から右端に移動するように長孔42aが回動する。
そして、図9(b)に示すように、円錐部50aに長孔42aの端部42a1が当接する。このとき、発泡管理冶具40(板材43)が回動する際の動作力Fによって、長孔42aの端部42a1によって円錐部50aが左側に押圧される。これにより、配管14の軸方向O1の向きが修正され、給湯管14の軸方向O1が貫通孔3tの軸方向O2に一致する。また、給湯管14の向きが修正されることで、抜け止め冶具70Aの左側面70bが外箱3Aの突起部3fに当接し、給湯管14が左方向に移動し過ぎるのを防止できる。このようにして、給湯管14の横向き(右向き)の位置ずれを防止できる。なお、抜け止め冶具70Aの左側面70bが突起部3fに当接するように構成されていることで、発泡圧力によって給湯管14の軸方向O1の向きが左向きとなることが防止される。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、簡単な構成で給湯管14を位置決めすることが可能になり、給湯管14を迅速に位置決めすることができる。さらに、第2実施形態によれば、給湯管14の位置決めとともに、貯湯タンク2内に空気圧をかけた状態で発泡断熱材6(発泡液)を発泡させることができるので発泡圧力による貯湯タンク2の変形も防止することが可能になる。また、第2実施形態によれば、突起部3fを設けることで、横断面視四角形状の外箱3Aを備えた貯湯タンクユニットにも適用することができる。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更することができる。例えば、前記した実施形態では、発泡管理冶具40を外箱3に設置する際の動作力Fによって給湯管14(配管)を位置決めする場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、発泡管理冶具40の動作力によらずに配管を位置決めする構成であってもよい。
また、本実施形態では、発泡管理冶具40の板材43が回動可能に支持されて、位置決め部材42が回動する動作によって配管が位置決めされる場合を例に挙げて説明したが、前後方向に動作する発泡管理冶具40の板材によって配管が位置決めされる構成であってもよい。この場合には、長孔42aではなく、縦断面視において円錐台形状の孔によって配管を位置決めすることができる。
また、本実施形態では、発泡管理冶具40の板材43に位置決め部材42を取り付けた場合を例に挙げて説明したが、前板3aに対応する発泡管理冶具40の板材に位置決め部材を取り付ける構成であってもよい。
なお、前記実施形態では、剛体で形成された金属製の給湯管14(配管)を例に挙げて説明したが、金属製の蛇腹形状の配管としてもよい。これによれば、発泡圧力によって配管(給湯管14など)の向きが位置ずれしたとしても、発泡後に上下左右の所望の向きに配管の接続口を変更することができる。