JP6296242B2 - 薄鋼板の加熱方法および連続焼鈍設備 - Google Patents

薄鋼板の加熱方法および連続焼鈍設備 Download PDF

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Description

本発明は、冷間圧延した薄鋼板、特に板厚が0.5mm以下の薄鋼板の焼鈍等に用いて好適な薄鋼板の加熱方法および連続焼鈍設備に関するものである。
冷延鋼板(表面処理鋼板を含む)やステンレス鋼板、電磁鋼板等の製造工程においては、冷間圧延した鋼板に再結晶させる焼きなまし焼鈍を施して、加工性や強度を付与したり、集合組織を制御したりしている。上記焼鈍の方法には、冷間圧延した鋼板をコイルに巻き取ったままの状態でボックス炉に入れて熱処理を施すバッチ焼鈍と、上記コイルを巻き戻しながら高温の炉内を連続的に通板して熱処理を施す連続焼鈍とに大別されるが、現時点では、生産性や品質の均一性にも優れる連続焼鈍が主流となっている。
上記連続焼鈍における焼鈍温度は、鋼板のキュリー温度Tc(純鉄:770℃、3mass%Si鋼:750℃程度)と同程度かそれより高い温度であることが多い。例えば、特許文献1には、溶融亜鉛めっき高強度冷延鋼板の連続焼鈍における焼鈍温度を700〜900℃の範囲とすることが、また、特許文献2には、方向性電磁鋼板における一次再結晶焼鈍・脱炭焼鈍を810〜880℃の温度範囲で行うことが開示されている。
また、連続焼鈍設備の焼鈍炉は、鋼板を室温近傍温度から所定の焼鈍温度(均熱温度)まで加熱する加熱帯と、上記均熱温度で所定時間保持する均熱帯と、上記均熱温度から室温近傍まで冷却する冷却帯から構成されているのが一般的である。上記均熱帯は、製品鋼板に所定の材質や特性を付与するため、均熱温度で所定の時間保持する必要があるため、所定の炉長が必要となるが、加熱帯は、鋼板を均熱温度まで加熱することができればよく、炉長に制限はない。そこで、加熱帯での鋼板の昇温速度を高めることができれば、炉長を短縮して設備コスト削減したり、その短縮部分を均熱帯として使用し、均熱区間を長くすることで、鋼板の通板速度を増速して生産性を向上したりすることが可能となる。
しかし、加熱帯の昇温速度を高めると、加熱帯出側の鋼板の板幅方向の温度分布にムラができ易いことが知られている。加熱帯出側の鋼板温度が均一でなければ、鋼板が均熱帯において均熱温度に保持される時間も均一とならず、ひいては、得られる製品板の材質や特性も均一なものとはならない。そのため、加熱帯出側の鋼板温度管理は極めて重要となる。
連続焼鈍設備における加熱手段には、電気ヒータやラジアントチューブを用いた輻射式や、バーナの燃焼フレームによる対流・輻射で加熱する直火式があるが、上記の加熱手段では、加熱帯の炉内に温度分布が生じて鋼板を均一に加熱できないため、均熱帯に移行するときの鋼板温度が板幅方向で不均一となりやすい。なお、鋼板温度を均一化するには、温度を一定にした炉内で、長時間保持すればよいが、そのためには、長大な加熱設備が必要となり、生産性や設備コストの面で問題が大きい。
この問題を解決する技術として、特許文献3には、キュリー温度を有する鋼帯の加熱帯を3つの領域に区分し、第1加熱帯では輻射加熱手段で500℃以上キュリー温度T−50℃未満まで加熱し、続く第2加熱帯ではソレノイドコイル式高周波誘導加熱手段でT−30℃〜T−5℃まで加熱し、最後の第3加熱帯では輻射加熱手段でキュリー温度を超える目標温度まで加熱する方法が提案されている。
特開平05−255807号公報 特開2007−254829号公報 特開2008−255422号公報
しかしながら、上記特許文献3の技術は、ソレノイドコイル式高周波誘導加熱手段で鋼板を加熱することを開示しているが、その主眼は、鋼板の長手方向に均一な焼鈍を行うことにあり、鋼板の幅方向の温度分布の均一化については検討が一切なされていない。また、特許文献3の技術は、そもそも、加熱帯の昇温速度を高めることも指向していないため、生産性の向上も見込めない。
本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、薄鋼板の連続焼鈍設備において、鋼板のキュリー温度Tc近傍温度まで急速加熱しても、板幅方向の温度分布を均一に加熱することができる薄鋼板の加熱方法を提案するとともに、その加熱方法に用いる連続焼鈍設備を提供することにある。
発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた。その結果、加熱帯の前に、ソレノイド式誘導加熱装置を配設した予熱帯を設け、該ソレノイド式誘導加熱装置で、予熱終了時における昇温速度が10℃/s以下となる周波数で400℃以上キュリー温度Tc未満の予熱温度まで予熱した後、該予熱温度からキュリー温度Tcを超える均熱温度まで上記加熱帯で加熱することが望ましいことを見出し、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明は、予熱帯、加熱帯、均熱帯および冷却帯を備える連続焼鈍設備でキュリー温度Tcを超える均熱温度で薄鋼板を焼鈍するときの、上記薄鋼板の加熱方法であって、上記予熱帯に配設したソレノイド式誘導加熱装置で、予熱終了時における昇温速度が10℃/s以下となる周波数で400℃以上キュリー温度Tc未満の予熱温度まで予熱した後、該予熱温度からキュリー温度Tcを超える均熱温度まで上記加熱帯で加熱することを特徴とする薄鋼板の加熱方法を提案する。
本発明の上記薄鋼板の加熱方法は、上記ソレノイド式誘導加熱装置による予熱の前に、上記予熱温度から200℃以上低い温度までトランスバース式誘導加熱装置で予熱することを特徴とする。
また、本発明の上記薄鋼板の加熱方法は、上記トランスバース式誘導加熱装置および/またはソレノイド式誘導加熱装置を鋼板の進行方向に複数に分割して予熱することを特徴とする。
また、本発明の上記薄鋼板の加熱方法は、上記予熱帯に配設された最終のソレノイド式誘導加熱装置の周波数を400kHz以下として予熱することを特徴とする。
また、本発明の上記薄鋼板の加熱方法は、上記予熱帯の炉内雰囲気を、予熱温度より低い温度に制御することを特徴とする。
また、本発明の上記薄鋼板の加熱方法は、上記予熱帯の炉内雰囲気を、予熱温度に対して200℃以上低い温度に制御することを特徴とする。
また、本発明の上記薄鋼板の加熱方法における上記薄鋼板は、板厚が0.5mm以下のものであることを特徴とする。
また、本発明は、予熱帯、加熱帯、均熱帯および冷却帯を備えてなる薄鋼板の連続焼鈍設備であって、上記予熱帯には、ソレノイド式誘導加熱装置を配設してなるとともに、予熱帯炉内雰囲気を予熱温度より低い温度に制御する加熱−冷却手段を設けてなることを特徴とする薄鋼板の連続焼鈍設備である。
本発明の上記薄鋼板の連続焼鈍設備は、上記薄鋼板の連続焼鈍設備上記予熱帯のソレノイド式誘導加熱装置の前にトランスバース式誘導加熱装置を配設してなることを特徴とする。
また、本発明の上記薄鋼板の連続焼鈍設備は、上記トランスバース式誘導加熱装置および/またはソレノイド式誘導加熱装置は、鋼板進行方向に複数に分割されてなることを特徴とする。
また、本発明の上記薄鋼板の連続焼鈍設備は、板厚が0.5mm以下の薄鋼板を対象とすることを特徴とする。
本発明によれば、連続焼鈍設備の加熱帯で鋼板を均熱温度まで加熱する際、上記加熱帯の前の予熱帯に配設したソレノイド式誘導加熱装置でキュリー温度近傍温度まで急速加熱し、その後、加熱帯で均熱温度まで加熱するようにしたので、板幅方向で均一な温度の鋼板を均熱帯に装入することが可能となるので、製品板幅方向の材質や特性を均一なものとすることができるたけでなく、加熱帯の熱負荷を軽減し、連続焼鈍設備の処理能力を向上することができる。
また、本発明によれば、上記ソレノイド式誘導加熱装置による急速加熱の前に、加熱効率に優れるトランスバース式誘導加熱装置を配設するとともに、予熱帯炉内の雰囲気温度を適正に制御するので、トランスバース式誘導加熱装置の欠点である板幅端部の過加熱を抑制しつつ、効率的に急速加熱することができるので、連続焼鈍設備の処理能力をより向上することができる。
また、本発明によれば、ソレノイド式誘導加熱装置の特性を活かし、適正な周波数で鋼板を誘導加熱するので、特別な温度制御を行うことなく、キュリー温度以下の予熱目標温度に均一に加熱することができる。
ラジアントチューブ式の予熱炉を有する連続焼鈍設備を説明する図である。 トランスバース式誘導加熱装置を用いた加熱原理を説明する図である。 ソレノイド式誘導加熱装置を用いた加熱原理を説明する図である。 浸透深さ(スキンデプス)を説明する図である。 ソレノイド式誘導加熱装置を1基備えた予熱帯を有する連続焼鈍設備を説明する図である。 図5のソレノイド式誘導加熱装置で0.2mmの鋼板を誘導加熱したときの周波数と飽和温度との関係を示すグラフである。 トランスバース式誘導加熱装置とソレノイド式誘導加熱装置を備えた予熱炉を有する連続焼鈍設備を説明する図である。 複数のトランスバース式誘導加熱装置と複数のソレノイド式誘導加熱装置を備えた予熱炉を有する連続焼鈍設備を説明する図である。 図5の予熱帯で予熱したときの予熱帯出側における鋼板の板幅方向の温度分布を示すグラフである。 図6の予熱帯で予熱したときの予熱帯出側における鋼板の板幅方向の温度分布を示すグラフである。 図7の予熱帯で、図10とは異なる条件で予熱したときの予熱帯出側における鋼板の板幅方向の温度分布を示すグラフである。 図7の予熱帯で、図10、11とは異なる条件で予熱したときの予熱帯出側における鋼板の板幅方向の温度分布を示すグラフである。 図7の予熱帯で、図10〜12とは異なる条件で予熱したときの予熱帯出側における鋼板の板幅方向の温度分布を示すグラフである。 図7の予熱帯で、図10〜13とは異なる条件で予熱したときの予熱帯出側における鋼板の板幅方向の温度分布を示すグラフである。
前述したように、冷延鋼板や電磁鋼板等の薄鋼板を連続的に焼鈍する連続焼鈍設備の炉体部は、加熱帯、均熱帯および冷却帯で構成されているのが一般的である。また、連続焼鈍設備の生産性を高めるため、図1に示したように、上記加熱帯の前に予熱帯を配設し、加熱能力を高めることが行われている。上記加熱帯や予熱帯の加熱手段としては、従来、電気ヒータやラジアントチューブを用いた輻射式や、バーナの燃焼フレームによる対流・輻射で加熱する直火式が用いられてきた。しかし、上記加熱手段では、加熱帯の炉内に温度分布が生じて鋼板を均一に加熱できないため、均熱帯に移行するときの鋼板の温度分布が板幅方向で不均一となる他、鋼板を急速加熱することができない。
そこで、鋼板を急速加熱する手段として、特許文献3等には、予熱帯や加熱帯に高周波誘導加熱装置(以降、単に「誘導加熱装置」という)を配設し、鋼板を急速加熱する技術が提案されている。これにより、輻射式や直火式等の加熱手段と比較して、格段に加熱能力を高めることができる。
ところで、上記誘導加熱装置には、トランスバース式とソレノイド式とがある。
トランスバース式誘導加熱装置は、図2(a)に示したように、鉄心3付きの加熱コイル2を被加熱材(鋼板)1の上下に配設し、加熱コイル2に交番電流を流してコイル鉄心内に発生させた交番磁束4を被加熱材1の厚さ方向に貫通させ、その交番磁束4で発生させた誘導電流(渦電流)5のジュール熱で加熱するものである。このトランスバース式は、非磁性材や磁性材の非磁性の温度領域でも効率よく加熱できる反面、鋼板を加熱する場合には、図2(b)に示したように、誘導電流が鋼板の板幅端部に集中するため、板幅端部が過加熱となるという問題がある(図2(c)参照)。
一方、ソレノイド式誘導加熱装置は、図3(a)に示したように、被加熱材(鋼板)1の周囲に加熱コイル2をソレノイド状に巻回し、該加熱コイル2に交番電流を流すことによって被加熱材1の長さ方向に交番磁束4を発生させ、その交番磁束によって被加熱材1の表面に誘導電流5を発生させ、そのジュール熱で加熱するものである。このソレノイド式は、鋼板を加熱する場合、図3(b)に示したように、渦電流5が鋼板表面の板幅方向に流れ、板端部の過加熱は無視できるため、板幅方向の温度均一性は高い(図3(c)参照)。そのため、板厚が薄い鋼板を均一に加熱する場合には、有効な加熱手段となる。
しかしながら、上記ソレノイド式誘導加熱装置による加熱方法は、鋼板の温度が上昇するほど、特に鋼板が非磁性となる温度(キュリー温度Tc(キュリー点ともいう))近傍の高温領域やキュリー温度Tc超えの温度では、加熱効率が極端に悪くなるという問題がある。
誘導加熱で発生する熱エネルギーは、加熱コイルに高周波電流を流すことによって鋼板表面に生ずる渦電流による渦電流損と、被加熱材が磁性材料である場合、交番磁束により磁区回転が起こることによるヒステリシス損とに分けられ、通常、渦電流損による発熱量の方が圧倒的に大きい。
上記鋼板表面を流れる渦電流は、図4に示したように、周波数の増加と共に鋼板表面に集中し、電流密度は表面が最大で、内側に入るにつれて急激に減少する。その度合いは、一般に、下記(1)式;
δ=5.03×10√ρ/μ・f ・・・(1)
ここで、δ(cm):渦電流の浸透深さ
ρ(Ω・cm):被加工材の抵抗率
μ:被加工材の比透磁率(磁性材はμ>1、非磁性材はμ=1)
f(Hz):周波数
で定義される浸透深さ(「スキンデプス」とも称される)δで表される。上記浸透深さδは、電流密度が最表面の値の36.8%となる位置(表面からの深さ)を示す鋼板表面からの距離を意味し、計算上、鋼板表面から浸透深さδまでの範囲で渦電流損の87%が発生する。
しかし、被加熱材である鋼板(磁性材)の温度が上昇すると、抵抗率は上昇するものの、磁性(自発磁化)が失われて透磁率μが低下するため、浸透深さδは温度の上昇とともに大きくなる。その結果、板厚が薄い鋼板では、温度の上昇に伴って鋼板の表面(オモテ)面を流れる渦電流と、裏面を流れる渦電粒が、相互に打ち消し合うようになる。特に、浸透深さδが板厚の1/2を超えると、その影響が顕著となり、加熱効率が大きく低下する。さらに、鋼板温度がキュリー温度Tcを超えると、浸透深さはさらに拡大し、加えて、ヒステリシス損もなくなるため、より加熱が難しくなる。
また、近年では、自動車等に用いられる冷延鋼板や表面処理鋼板の分野では、燃費向上や原料コスの削減を目的として、鋼板の高強度化による板厚低減(薄肉化)が進行しており、0.5mm以下の鋼板が多量に製造されるようになってきている。また、方向性電磁鋼板の分野においても、渦電流損を低減し、鉄損を低減する観点から、0.2mm近傍まで板厚が低減されている。そのため、上記の影響はさらに顕著となり、電力を投入しようとしてもできなくなる。なお、上記状況を打開するには、上記(1)式からわかるように、周波数を高めて浸透深さδを薄くすることが有効であるが、周波数を高めることは、加熱装置の電源が高価となったり、漏洩磁束によって、構造物が加熱されたり、人体に悪影響を及ぼす懸念が高まるという問題がある。
ところで、上記考えからすれば、ソレノイド式誘導加熱装置による誘導加熱には、周波数によって、それ以上加熱できなくなる上限温度(飽和温度)が存在すると考えられる。
そこで、冷間圧延後の珪素鋼板(Si:3.5mass%、Tc:750℃、板厚:0.20mm×板幅:1300mm)を、図5に示したように、ソレノイド式誘導加熱装置を1基配設した予熱帯で、周波数を150〜1000kHzの範囲で種々に変化させて予熱し、予熱帯出側の鋼板板幅中央の温度を放射温度計で測定し、各周波数における飽和温度を求めた。ここで、上記飽和温度とは、鋼板温度の昇温速度が10℃/s以下となる温度のことと定義する。これは、僅か数秒という短時間で急速加熱する場合、10℃/s以下の昇温速度は、昇温が停止した状態と見做せるからである。
上記測定の結果を図6に示した。
この結果から、ソレノイド式誘導加熱装置を用いて加熱する場合には、周波数によって昇温速度が10℃/s以下となる飽和温度が存在し、上記珪素鋼板の場合、周波数が150kHzにおける飽和温度は約700℃、400kHzにおける飽和温度は約750℃であること、一方、上記キュリー温度Tcよりも高い飽和温度とする周波数は、キュリー温度Tc以下の飽和温度よりも急激に上昇し、例えば、飽和温度をTcより30℃高い780℃とするには、周波数を1000kHzまで高める必要があることがわかる。
上記の結果から、上記珪素鋼板の場合、キュリー温度Tc以下の加熱温度であれば、400kHz以下の周波数に設定するだけで、その他に特別の温度制御を行うことなく、上記周波数に応じた飽和温度まで加熱することができることがわかる。しかも、ソレノイド式誘導加熱装置を用いた加熱では、鋼板を板幅方向で均一の温度に加熱することができるという利点もある。
そこで、本発明は、ソレノイド式誘導加熱装置の上記特性を活かし、予熱帯における目標予熱温度がキュリー温度Tc以下の場合には、上記目標予熱温度が飽和温度となる周波数で加熱(予熱)することとした。
上記のように、ソレノイド式誘導加熱装置を用いた予熱温度はキュリー温度Tc以下とする理由は、図6からわかるように、キュリー温度Tc以上の温度を飽和温度とする周波数は、400kHzを超えて極端に大きくする必要があるが、工業的に利用できる電源出力が限られており、加熱効率が低下するという問題があるからである。ただし、ソレノイド式誘導加熱装置を用いた予熱温度は、400℃以上の温度とするのが好ましい。予熱温度が400℃未満となると、予熱帯後の加熱帯での加熱負荷が大きくなり、昇温速度が低下したり、加熱温度の不均一を招いたりするため、ソレノイド式誘導加熱装置を配設した意味が失われてしまうからである。より好ましくは500℃以上である。
ここで、前述した(1)式からわかるように、誘導加熱によって生ずる渦電流の浸透深さδは、被加熱材(鋼板)の寸法(板厚、板幅)や物性値(抵抗率ρ、比透磁率μ)によって変化する。したがって、ソレノイド式誘導加熱装置を用いた加熱において、周波数に応じて定まる飽和温度は、鋼板の寸法や物性値によって変化するはずであり、鋼板の寸法や鋼種が変化するたびに、周波数等の加熱条件を調整する必要がある。
しかし、鋼板の物性値(抵抗率ρ、比透磁率μ)は、鋼板の成分組成によってほぼ決まる値であり、同一の鋼種であれば、大きな違いはない。また、鋼板の板幅は、予熱に要する熱量、即ち、投入電力には影響するが、周波数には影響しない。したがって、予熱周波数は、予め代表的な鋼種(成分組成)の代表的な板厚における周波数と飽和温度との関係を求めておき、板厚の変化に応じて、板厚tと浸透深さδ(スキンデプス)との比が同じになるよう周波数を調整すればよい。
というのは、誘導加熱による渦電流損による発熱量は、図4に示した深さ方向の電流分布の2乗の面積に比例するので、板厚tに対する浸透深さδの比が同じ鋼板であれば、同じ昇温挙動(昇温速度、飽和温度)を示すと考えられるからである。
具体的には、板厚0.2mmの珪素鋼板の周波数と飽和温度の関係を示す図6では、飽和温度を750℃として予熱するときの周波数は400kHzであるが、板厚が0.4mmの珪素鋼板では、板厚が2倍なので浸透深さδ(スキンデプス)も2倍となる周波数で予熱すればよく、(1)式から板厚0.2mmのときの1/4の周波数である100kHzで予熱すればよいことになる。ただし、板厚が2倍になる分、投入する電力も2倍とする必要があることは勿論である。同様に、板厚が0.1mmの珪素鋼板を、飽和温度を750℃として加熱するときは、板厚が1/2であるので浸透深さδ(スキンデプス)が1/2となる周波数で加熱すればよく、(1)式から板厚0.2mmのときの4倍の周波数である1600kHzで加熱すればよいことになる。ただし、板厚が1/2倍になる分、投入する電力も1/2倍となる。
上記に説明したように、ソレノイド式誘導加熱装置は、所定の周波数に設定すれば、特段の温度制御を行なわずとも、上記周波数に応じた飽和温度に、しかも、板幅方向に均一に急速加熱することができるが、加熱効率に劣るという問題点がある。そこで、図7に示したように、加熱効率に優れるトランスバース式誘導加熱装置を設置し、予熱目標温度に対してある程度の温度まで予熱した後、均一加熱性に優れるソレノイド式誘導加熱装置で目標予熱温度まで加熱することが有効であると考えられる。
しかし、トランスバース式誘導加熱装置で薄鋼板を加熱すると、図2(c)に示したように、鋼板端部に過加熱が発生する。上記過加熱は、その後、ソレノイド式誘導加熱装置で加熱すれば、過加熱部分の浸透深さδの増大による加熱効率の低下によって緩和される。しかし、過加熱が大き過ぎると、その後のソレノイド式誘導加熱による温度均一化効果によっても解消することができなくなる。
そこで、ソレノイド式誘導加熱による予熱の前にトランスバース式誘導加熱で予熱する場合には、トランスバース式誘導加熱装置による予熱温度は、目標予熱温度に対して200℃以上低い温度とするのが好ましい。ソレノイド式誘導加熱装置による加熱区間が200℃以上であれば、トランスバース式誘導加熱装置による過加熱を、(鋼板の板幅端部の最高温度−板幅中央部の温度)で20℃程度以下まで解消することができるからである。しかし、トランスバース式誘導加熱装置による予熱温度を低くし過ぎると、ソレノイド式誘導加熱装置で予熱する温度範囲が大きくなり、トランスバース式誘導加熱装置を設置する意味がなくなるので、トランスバース式誘導加熱装置による予熱温度は、(目標予熱温度−200℃)以下とするのが好ましい。より好ましくは(目標予熱温度−250℃)以下である。
なお、上記トランスバース式誘導加熱装置による過加熱をより低減したい場合、あるいは、トランスバース式誘導加熱装置による予熱温度の上限を、上記温度より高めたい場合には、トランスバース式誘導加熱装置で発生した過加熱部分を積極的に冷却してやることが有効である。上記冷却手段として最も簡便な方法としては、予熱帯の炉内壁面に、例えば水冷式の冷却装置を設置して炉内の雰囲気温度を、鋼板の目標予熱温度(予熱帯出側の鋼板温度)以下の温度、具体的には、目標予熱温度に対して200℃以上低い温度に制御するのが好ましい。より好ましくは目標予熱温度に対して250℃以上低い温度である。
また、予熱帯に設置する上記のトランスバース式誘導加熱装置やソレノイド式誘導加熱装置は、図5や図7に示したように1基(1体もの)である必要はなく、複数に分割して鋼板の進行方向に直列に配設してもよい。複数に分割することにより、分割した個々の装置の電源をON,OFFしたり、出力を調整したりするだけで、鋼板を加熱する区間や昇温速度等を調整できるので、予熱操作の自由度が増すからである。また、誘導加熱装置を複数に分割することで、鋼板の支持がない区間(カテナリー)を短縮できるので、板破断を防止できるというメリットもある。
ここで、複数に小分割した装置の配列は、例えば、トランスバース式誘導加熱装置をT、ソレノイド式誘導加熱装置をSで表したとき、(T+T+T・・・)+S、T+(S+S+S・・・)、(T+T+T・・・)+(S+S+S・・・)のように、トランスバース式誘導加熱装置および/またはソレノイド式誘導加熱装置を複数に分割して配列したものでもよく、また、(T+S)+(T+S)+・・・+(T+S)のように、トランスバース式誘導加熱装置の後にソレノイド式誘導加熱装置を設けた誘導加熱装置のセットを複数配設する、あるいは、(T+S)+(T+S)+・・・+(T+S)+S、(T+S)+(T+S)+・・・+(T+S)+(S+S+・・・)のように、上記セットの配列の後にソレノイド式誘導加熱装置を1または2以上配列してもよい。
参考として、図8に、図7のトランスバース式誘導加熱装置とソレノイド式誘導加熱装置をそれぞれ2つに分割して設置((T+T)+(S+S))の例を示した。
ただし、上記のようにトランスバース式誘導加熱装置やソレノイド式誘導加熱装置を複数に分割する場合は、予熱帯の最後(予熱帯出側に最も近い位置)に設置する誘導加熱装置は、鋼板の予熱温度を周波数に応じた飽和温度とするため、および、板幅方向の温度均一性を確保するため、ソレノイド式誘導加熱装置とする必要がある。
また、上記のように、予熱帯にトランスバース式誘導加熱装置やソレノイド式誘導加熱装置する場合や誘導加熱装置を複数に分割して配設する場合において、隣接する誘導加熱装置との間が大きく離れているときは、上記間で鋼板温度が低下し、予熱帯における鋼板の昇温カーブが「鋸歯状」(serration)となり、昇温速度の低下や温度不均一の原因となる。また、予熱帯の雰囲気温度が低すぎる場合には、鋼板端部の温度が板幅中央部より低下することがある。そこで、斯かる場合には、炉壁に電気ヒータ等の加熱設備を設置し、予熱帯の炉内雰囲気を加熱してやることが好ましい。
上記雰囲気の加熱温度は、鋼板の目標予熱温度(予熱帯出側の鋼板温度)よりも低い温度とする必要がある。炉内雰囲気の温度が鋼板の目標予熱温度より高いと、鋼板端部が過加熱となるおそれがある。特に、予熱帯にトランスバース式誘導加熱装置を設置している場合には、鋼板端部の過加熱が助長されるおそれがあるので、斯かる場合には、炉内雰囲気の加熱温度は、鋼板の予熱目標温度より200℃以上低い温度とするのが好ましい。より好ましくは目標予熱温度に対して300℃以上低い温度である。
なお、本発明の加熱方法を適用する鋼板は、特に板厚の制限はないが、鋼板表裏面に生じた誘導電流(渦電流)が互いに打ち消し合う板厚の薄鋼板であることが好ましく、具体的には、板厚が0.5mm以下の薄鋼板であることが好ましい。より好ましい適用対象は、板厚が0.3mm以下の薄鋼板である。
予熱帯、加熱帯、均熱帯および冷却帯から構成される水平式焼鈍炉を有する連続焼鈍設備を用いて、冷間圧延後の珪素鋼板(Si:3.5mass%、Tc:750℃、板厚:0.20mm×板幅:1300mm)に、キュリー温度Tc超えの均熱温度(830℃)まで加熱し、60秒間保持した後、冷却する焼鈍を施す実験を行った。
上記実験では、上記珪素鋼板を、先述した図1、図5および図7に示した加熱方式が異なる3種類の予熱帯を用いて、種々の条件でキュリー温度Tc直下の720℃の目標予熱温度まで加熱した後、ラジアントチューブ加熱方式の加熱帯で上記均熱温度まで加熱した。この際、予熱帯出側における鋼板上面の温度を、予熱帯と加熱帯の間に配設した走査式放射温度計で測定し、板幅方向の温度分布を求めた。なお、上記予熱帯では、予熱帯出側の鋼板の最低温度が目標予熱温度となるように予熱した。また、上記実験では、予熱帯出側の鋼板温度が上記目標予熱温度となる通板速度の最高速度を調査した。
ここで、図1、図5および図7に示した3種類の予熱帯について説明すると、図1の予熱帯は、従来タイプのラジアントチューブ加熱方式の予熱帯であり、図2の予熱帯は、ソレノイド式の誘導加熱装置を1基配設した予熱帯であり、図3の予熱帯は、前段にトランスバース式の誘導加熱装置を、後段にソレノイド式の誘導加熱装置を各1基ずつ配設した予熱帯である。
なお、上記図5および図7の予熱帯は、内壁が断熱材で覆われた気密性の高い炉で構成されており、炉内雰囲気は50vol%H+50vol%Nの非酸化性雰囲気に制御されている。また、上記予熱帯の炉壁には、予熱帯内の雰囲気温度を鋼板のキュリー温度Tc近傍の温度まで加熱することができる電気ヒータと、予熱帯内の雰囲気温度をキュリー温度Tcより250℃以上低い温度まで冷却することができる水冷設備が配設されている。
以下、上記3種類の予熱帯を用いた実験結果について説明する。
<参考例>
図9は、図1に示したラジアントチューブ加熱方式の予熱帯で、電力に換算して2.4MWに相当する熱投入量で鋼板を輻射加熱したときの、予熱帯出側の鋼板板幅方向の温度分布を示したものである。
図9から、ラジアントチューブ加熱方式の予熱帯では、鋼板全体が720℃以上に加熱されているが、鋼板温度は板幅中央部が高く、板幅端部が最も低くなっており、最高温度と最低温度の差は40℃近いことがわかる。なお、このときの鋼板の通板速度は100mpmであった。
<発明例1>
図10は、図5に示したソレノイド式誘導加熱装置を1基配設した予熱帯で、周波数:200kHz、出力:2.2MWで鋼板を誘導加熱したときの、予熱帯出側の鋼板板幅方向の温度分布を示したものである。なお、上記予熱においては、予熱帯の炉壁に設置した電気ヒータで、炉内雰囲気を350℃に加熱した。
図10から、上記加熱条件では、板幅方向の温度分布は極めて均一であり、全幅における最高温度と最低温度の差が10℃程度に収まっていることがわかる。なお、この条件での鋼板の最高通板速度は、投入電力(出力)が図9の条件より低いにも拘わらず、120mpmに増速しており、加熱効率が向上している。
<発明例2>
図11は、図7に示したトランスバース誘導加熱装置とソレノイド式誘導加熱装置を各1基ずつ直列に配設した予熱帯で、トランスバース式誘導加熱装置の加熱条件は、周波数を300kHz、出力を1.0MWとし、ソレノイド式誘導加熱装置の加熱条件は、周波数を200kHz、出力を1.0MWとして鋼板を誘導加熱したときの、予熱帯出側の鋼板板幅方向の温度分布を示したものである。なお、上記予熱においては、予熱帯の炉壁に設置した電気ヒータで、炉内雰囲気を350℃に加熱した。
図11から、上記加熱条件では、トランスバース式誘導加熱装置を用いているにも拘わらず、全幅における最高温度と最低温度の差が15℃程度に収まっており、鋼板板幅方向でほぼ均一に予熱できていることがわかる。また、このときの鋼板の最高通板速度は、図10の予熱条件より合計出力(2.0MW)が低いにも拘わらず、130mpmを達成できており、加熱効率が向上していることがわかる。
<発明例3>
図12は、図11と同様、図7に示したトランスバース式誘導加熱装置とソレノイド式誘導加熱装置を各1基ずつ直列に配設した予熱帯で、図11の加熱条件よりも、トランスバース式誘導加熱装置(周波数:300kHz)の出力を1.3MWに高め、ソレノイド式誘導加熱装置(周波数:200kHz)の出力を、図11(発明例2)の条件に対して90%に設定して鋼板を誘導加熱したときの、予熱帯出側の鋼板板幅方向の温度分布を示したものである。なお、上記予熱においては、予熱帯の炉壁に設置した電気ヒータで、炉内雰囲気を300℃に加熱した。
図12から、上記加熱条件では、図11の加熱条件よりもトランスバース誘導加熱装置の出力を高めた分、予熱帯出側の鋼板板幅方向の温度分布の不均一が大きくなっているが、全幅における最高温度と最低温度の差が20℃程度に収まっている。
また、上記加熱条件におけるソレノイド式誘導加熱装置の実績出力は0.6MWで、トランスバース式誘導加熱装置との合計出力が1.9MWと、図11の予熱条件より合計出力が低いにも拘わらず、最高通板速度は、130mpmを確保できており、加熱効率が向上していた。
上記のように、ソレノイド式誘導加熱装置の出力設定値の低下以上に実績出力が低下している理由は、トランスバース式誘導加熱装置の出力を高めているため、ソレノイド式誘導加熱装置の加熱温度が高くなり、鋼板の磁性が低下して電力が入り難くなったためである。
<比較例>
図13は、図11と同様、図7に示したトランスバース誘導加熱装置とソレノイド式誘導加熱装置を各1基ずつ直列に配設した予熱帯で、図12の加熱条件よりも、トランスバース式誘導加熱装置(周波数:300kHz)の出力を1.6MWに高め、ソレノイド式誘導加熱装(周波数:200kHz)の出力の設定を、図11(発明例2)の条件に対して90%として鋼板を誘導加熱したときの、予熱帯出側の鋼板板幅方向の温度分布を示したものである。なお、上記予熱においては、予熱帯の炉壁に設置した電気ヒータで、炉内雰囲気を500℃に加熱した。
図13から、上記加熱条件では、トランスバース誘導加熱装置の出力を図12の条件より高めた分、全幅における最高温度と最低温度の差が40℃程度に拡大し、図9に示したラジアントチューブ加熱の予熱帯の例と同程度となっている。
また、上記加熱条件におけるソレノイド式誘導加熱装置の実績出力は0.1MWで、トランスバース式誘導加熱装置との合計出力が1.7MWと、図11(or図12)の予熱条件より合計出力が低いにも拘わらず、最高通板速度は、135mpmであった。
上記のように、ソレノイド式誘導加熱装置の出力設定が、図12の加熱条件と同じであるのも拘わらず、実績出力がより低下している理由は、トランスバース式誘導加熱装置の出力を高めているため、ソレノイド式誘導加熱装置の加熱温度がより高くなり、鋼板の磁性が低下して電力がさらに入り難くなったためである。
<発明例4>
図14は、図11と同様、図7に示したトランスバース誘導加熱装置とソレノイド式誘導加熱装置を各1基ずつ直列に配設した予熱帯で、図13と同じ加熱条件、すなわち、図12の加熱条件よりも、トランスバース式誘導加熱装置(周波数:300kHz)の出力を1.6MWに高め、ソレノイド式誘導加熱装置(周波数:200kHz)の出力の設定を、図11(発明例2)の条件に対して90%として鋼板を誘導加熱したときの、予熱帯出側の鋼板板幅方向の温度分布を示したものである。ただし、上記予熱においては、予熱帯の炉壁に設置した冷却装置で、炉内雰囲気の温度を目標予熱温度に対して−420℃の300℃に冷却した。
図14から、上記加熱条件では、図13と同じ条件で加熱しているにも拘わらず、板幅端部の過熱が抑制され、最高と最低の温度差が15℃程度まで軽減されていることがわかる。また、上記加熱条件におけるソレノイド式誘導加熱装置の実績出力は0.2MWで、トランスバース式誘導加熱装置との合計出力は1.8MWであり、最高通板速度も140mpmを達成することができた。
このように、上記加熱条件が、図13と同じ条件であるにも拘わらず、ソレノイド式誘導加熱装置の実績出力が、図13の場合より上昇したり、最高通板速度が上昇したりした理由は、予熱炉内の雰囲気温度を冷却した効果によるものである。
本発明の技術は、上記に説明したSiを含有する珪素鋼板(電磁鋼板)の焼鈍のみならず、一般冷延鋼板や高強度鋼板の焼鈍にも適用することができる。
1:鋼板
2:加熱コイル
3:鉄心
4:交番磁束
5:誘導電流(渦電流)
6:予熱帯
7:加熱帯
8:均熱帯
9:冷却帯
10:走査式放射温度計
11:ラジアントチューブ
12:ソレノイド式誘導加熱装置
13:トランスバース式誘導加熱装置

Claims (11)

  1. 予熱帯、加熱帯、均熱帯および冷却帯を備える連続焼鈍設備でキュリー温度Tcを超える均熱温度で薄鋼板を焼鈍するときの、上記薄鋼板の加熱方法であって、
    上記予熱帯に配設したソレノイド式誘導加熱装置で、400℃以上キュリー温度Tc未満の飽和温度まで予熱した後、該飽和温度からキュリー温度Tcを超える均熱温度まで上記加熱帯で加熱するとともに、上記ソレノイド式誘導加熱装置による予熱の前に、上記飽和温度から200℃以上低い温度までトランスバース式誘導加熱装置で予熱することを特徴とする薄鋼板の加熱方法。
    ここで、上記飽和温度は、ソレノイド式誘導加熱装置で鋼板を加熱するときに、予熱帯出側の鋼板板幅中央の昇温速度が10℃/s以下となる温度と定義する。
  2. 上記トランスバース式誘導加熱装置および/またはソレノイド式誘導加熱装置を鋼板の進行方向に複数に分割して予熱することを特徴とする請求項に記載の薄鋼板の加熱方法。
  3. 上記予熱帯に配設された最終のソレノイド式誘導加熱装置の周波数を400kHz以下として予熱することを特徴とする請求項1または2に記載の薄鋼板の加熱方法。
  4. 上記予熱帯の炉内雰囲気を、上記飽和温度より低い温度に制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄鋼板の加熱方法。
  5. 上記予熱帯の炉内雰囲気を、上記飽和温度に対して200℃以上低い温度に制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄鋼板の加熱方法。
  6. 上記薄鋼板は、板厚が0.5mm以下のものであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の薄鋼板の加熱方法。
  7. 予熱帯、加熱帯、均熱帯および冷却帯を備えてなる薄鋼板の連続焼鈍設備であって、
    上記予熱帯には、ソレノイド式誘導加熱装置を配設してなるとともに、予熱帯炉内雰囲気を飽和温度より低い温度に制御する加熱−冷却手段を設けてなることを特徴とする薄鋼板の連続焼鈍設備。ここで、上記飽和温度は、ソレノイド式誘導加熱装置で鋼板を加熱するときに、予熱帯出側の鋼板板幅中央の昇温速度が10℃/s以下となる温度と定義する。
  8. 上記予熱帯のソレノイド式誘導加熱装置の前にトランスバース式誘導加熱装置を配設してなることを特徴とする請求項に記載の薄鋼板の連続焼鈍設備。
  9. 上記ソレノイド式誘導加熱装置は、鋼板進行方向に複数に分割されてなることを特徴とする請求項7に記載の薄鋼板の連続焼鈍設備。
  10. 上記トランスバース式誘導加熱装置および/またはソレノイド式誘導加熱装置は、鋼板進行方向に複数に分割されてなることを特徴とする請求項に記載の薄鋼板の連続焼鈍設備。
  11. 板厚が0.5mm以下の薄鋼板を対象とすることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の薄鋼板の連続焼鈍設備。
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