JP2008255422A - キュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍方法および連続焼鈍設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加熱帯、均熱帯、冷却帯からなる連続焼鈍設備での、キュリー点(Tc)を有する鋼帯のTcを超える焼鈍温度での連続焼鈍方法において、前記加熱帯での加熱処理を3領域に区分し、第1加熱帯では、ガス加熱による輻射加熱手段及び/又は電気ヒータによる輻射加熱手段により、鋼帯をTc−50℃未満まで加熱し、続く第2加熱帯では、該加熱鋼帯を、ソレノイドコイル式高周波誘導加熱手段により、Tc−30℃乃至Tc−5℃の領域まで加熱し、最後の第3加熱帯では、該加熱鋼帯を、ガス加熱による輻射加熱手段及び/又は電気ヒータによる輻射加熱手段により、Tcを超える処理目標温度まで加熱する。
【選択図】図4
Description
また、特許文献3には、方向性電磁鋼板の脱炭焼鈍に際し、冷間圧延された鋼帯を230℃/秒以上の加熱速度で705℃以上の温度へ急速加熱することにより鉄損を改善できる発明が開示されており、その実施例2、3では、加熱操作は、キュリー点746℃へ1100ないし1200℃/秒の加熱速度を提供する450kHzの基本周波数で特別の電磁誘導加熱コイルを使用することにより行われることが開示されている。
また、上記特許文献3に記載の発明では、電磁誘導加熱による急速加熱を電磁鋼板の脱炭焼鈍のキュリー点までの加熱に適用することで、電磁鋼板の鉄損を改善できることが開示されているが、鋼帯長手方向の温度均一性については何ら開示されていない。
また、上記特許文献4に記載の発明では、誘導加熱装置の加熱目標温度を、鋼材の磁気変態温度(キュリー点)または700〜760℃とする熱処理を施せば、鋼板内の温度均一性を高めることができることが開示されているが、キュリー点を超える焼鈍温度となる鋼帯の連続焼鈍に適用して鋼板内の温度均一性を高めることができるか否かは開示も示唆もされていない。
(1)加熱帯、均熱帯、冷却帯、または加熱帯、均熱帯、窒化帯、冷却帯からなる連続焼鈍設備での、キュリー点を有する鋼帯のキュリー点を超える焼鈍温度での連続焼鈍方法において、前記加熱帯での加熱処理を第1〜3の3領域に区分し、
第1加熱帯では、間接ガス加熱もしくは直接ガス加熱による輻射加熱手段および/または電気ヒータによる輻射加熱手段により、鋼帯を500℃以上、キュリー点Tc(℃)−50℃未満まで加熱し、
続く第2加熱帯では、該加熱鋼帯を、ソレノイドコイル式高周波誘導加熱手段により、Tc−30℃ないしTc−5℃の温度領域まで加熱し、
最後の第3加熱帯では、該加熱鋼帯を、間接ガス加熱もしくは直接ガス加熱による輻射加熱手段および/または電気ヒータによる輻射加熱手段により、キュリー点を超える処理目標温度まで加熱することを特徴とする、キュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍方法。
(2)前記キュリー点を有する鋼帯が、Si≦4.5質量%を含有する冷間圧延された方向性電磁鋼板であることを特徴とする、上記(1)に記載のキュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍方法。
(3)前記キュリー点を有する鋼帯が、Cr≦18質量%を含有する冷間圧延されたフェライト系ステンレス鋼板またはマルテンサイト系ステンレス鋼板であることを特徴とする、上記(1)に記載のキュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍方法。
第1加熱帯には、鋼帯を500℃以上、Tc−50℃未満まで加熱する、間接ガス加熱もしくは直接ガス加熱による輻射加熱手段および/または電気ヒータによる輻射加熱手段を配設し、
第2加熱帯には、第1加熱帯で加熱された鋼帯をTc−30℃ないしTc−5℃の温度領域まで加熱する、ソレノイドコイル式高周波誘導加熱手段を配設し、
第3加熱帯には、第2加熱帯で加熱された鋼帯をキュリー点を超える処理目標温度まで加熱する、間接ガス加熱もしくは直接ガス加熱による輻射加熱手段および/または電気ヒータによる輻射加熱手段を配設することを特徴とする、キュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍設備。
図1は、方向性珪素鋼の仕上冷延板を脱炭焼鈍(焼鈍分離剤の塗布を含む)するための代表的な連続熱処理設備の概略的な等角投影図である。
また、炉部12の前後での鋼帯60の張力は、テンションメータ41、42で測定され、焼鈍分離剤乾燥装置15での鋼帯60の張力は、テンションメータ43で測定される。測定結果は通過するブライドルロール23〜26にフィードバックされ、ブライドルロール前後の鋼帯張力が確保されている。
なお、出側洗浄装置13は、炉部12での鋼帯の汚れが僅少であるときは、必ずしも設置する必要はない。
このように、本発明によれば、ラジアントチューブ方式による加熱領域31Aの出側では、板温度計36の測定データのように鋼帯の温度むらが存在するにもかかわらず、ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置35での出側では、板温度計37の測定データのように温度はほぼ均一になり、さらに、ラジアントチューブ方式による加熱領域31Bの出側では、鋼帯長手方向の板温は、板温度計38の測定データのように殆ど変動することがなく非常に安定している。
本発明による鋼帯の連続焼鈍設備により、方向性珪素鋼板の鋼帯を長手方向に極めて均一に焼鈍処理できるようになったことから、得られた方向性珪素鋼板の品質も、脱炭が均一となり、皮膜欠陥もほとんど解消した。
電磁鋼板の脱炭焼鈍設備の例と同じく、従来技術による炉構成では、加熱帯における昇温過程にはばらつきが大きかったが、本発明では、キュリー点近傍までソレノイドコイル式高周波誘導加熱炉にて加熱し、鋼帯長手方向に均一加熱をすることができた。
また、本発明が処理対象とするSi≦4.5質量%を含有する方向性電磁鋼板としては、例えば、特開2002−060842号公報や特開2002−173715号公報等で開示されている方向性電磁鋼板のような成分系のものであればよく、本発明でその成分系を特に限定するものではない。
一方、誘導加熱終了温度の高すぎる比較例11では、鋼板は目標温度に達せず、試験条件を満たすことができなかった。また、誘導加熱終了温度の低すぎる比較例12、誘導加熱開始温度の高い比較例13、14では、依然として、鋼板温度のばらつきは小さくなく、結果として鋼板の皮膜欠陥率は高かった。なお、誘導加熱を使用していない比較例15は、鋼板温度ばらつきが大きく、鋼板の皮膜欠陥率は非常に大きかった。
一方、誘導加熱終了温度の高すぎる比較例31では、鋼板は目標温度に達せず、試験条件をみたすことができなかった。また、誘導加熱終了温度の低すぎる比較例32、誘導加熱開始温度の高い比較例33、34では、依然として、鋼板の機械強度の不合部(加熱不足)の比率ばらつきは大きかった。なお、誘導加熱を使用していない比較例35は、鋼板の機械強度の不合部(加熱不足)の比率は非常に大きかった。
2 入側剪断機
3 溶接機
4 入側ストレージルーパー
5 出側ストレージルーパー
6 出側剪断機
7 テンションリール
11 入側洗浄装置
12 炉部
13 出側洗浄装置
14 焼鈍分離剤塗布装置
15 焼鈍分離剤乾燥炉
21〜26 ブライドルロール
31 ラジアントチューブ方式による加熱領域
31A ラジアントチューブ方式による加熱領域(前段)
31B ラジアントチューブ方式による加熱領域(後段)
32、52 均熱領域
33 窒化領域
34、54 冷却領域
35、55 ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置(による加熱領域)
36、37、38 板温度計
41、42、43 テンションメータ
51 マッフル式加熱炉の加熱領域
51A マッフル式加熱炉の加熱領域(前段)
51B マッフル式加熱炉の加熱領域(後段)
52 マッフル式加熱炉の均熱領域
53 マッフル式加熱炉の冷却領域
56、57、58 板温度計
60 鋼帯
Claims (4)
- 加熱帯、均熱帯、冷却帯、または加熱帯、均熱帯、窒化帯、冷却帯からなる連続焼鈍設備での、キュリー点を有する鋼帯のキュリー点を超える焼鈍温度での連続焼鈍方法において、前記加熱帯での加熱処理を第1〜3の3領域に区分し、
第1加熱帯では、間接ガス加熱もしくは直接ガス加熱による輻射加熱手段および/または電気ヒータによる輻射加熱手段により、鋼帯を500℃以上、キュリー点Tc(℃)−50℃未満まで加熱し、
続く第2加熱帯では、該加熱鋼帯を、ソレノイドコイル式高周波誘導加熱手段により、Tc−30℃ないしTc−5℃の温度領域まで加熱し、
最後の第3加熱帯では、該加熱鋼帯を、間接ガス加熱もしくは直接ガス加熱による輻射加熱手段および/または電気ヒータによる輻射加熱手段により、キュリー点を超える処理目標温度まで加熱することを特徴とする、キュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍方法。 - 前記キュリー点を有する鋼帯が、Si≦4.5質量%を含有する冷間圧延された方向性電磁鋼板であることを特徴とする、請求項1に記載のキュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍方法。
- 前記キュリー点を有する鋼帯が、Cr≦18質量%を含有する冷間圧延されたフェライト系ステンレス鋼板またはマルテンサイト系ステンレス鋼板であることを特徴とする、請求項1に記載のキュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍方法。
- キュリー点を有する鋼帯をキュリー点を超える焼鈍温度で連続焼鈍する、加熱帯、均熱帯、冷却帯、または加熱帯、均熱帯、窒化帯、冷却帯からなる連続焼鈍設備において、前記加熱帯を第1〜3の3領域に区分し、
第1加熱帯には、鋼帯を500℃以上、キュリー点Tc(℃)−50℃未満まで加熱する、間接ガス加熱もしくは直接ガス加熱による輻射加熱手段および/または電気ヒータによる輻射加熱手段を配設し、
第2加熱帯には、第1加熱帯で加熱された鋼帯をTc−30℃ないしTc−5℃の温度領域まで加熱する、ソレノイドコイル式高周波誘導加熱手段を配設し、
第3加熱帯には、第2加熱帯で加熱された鋼帯をキュリー点を超える処理目標温度まで加熱する、間接ガス加熱もしくは直接ガス加熱による輻射加熱手段および/または電気ヒータによる輻射加熱手段を配設することを特徴とする、キュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍設備。
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