JP6294904B2 - ギラツキ評価装置およびギラツキ評価方法 - Google Patents

ギラツキ評価装置およびギラツキ評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、防眩フィルムが装着された表示装置が備える表示部のギラツキを定量的に評価するギラツキ評価装置およびギラツキ評価方法に関する。
表示部への外光の映り込みを防止するために、表示部に装着するための防眩フィルムが開発されている。防眩フィルムは、例えば、透明な樹脂フィルムの表面に粗面化処理を施して、微細な凹凸面を形成させたフィルムであり、この凹凸面で外光を散乱反射させて外光の映り込みを防止することができる。防眩フィルムは、その基体として、例えばポリエチレンテレフタレート等の樹脂を用いることができる。また、凹凸面の形成方法としては、例えば、サンドブラスト方式、エンボス加工方式、エッチング方式等の表面加工方法が挙げられる。
ところで、近年の表示部における画素の高精細化に伴い、防眩フィルムを装着した表示部では画像が見づらくなる、いわゆる、ギラツキが発生するようになっている。このギラツキ発生の主な要因として、以下の2点が考えられる。まず1点目は、バックライトからの光が防眩フィルムの凹凸面によって屈折して視認される点である。2点目は、防眩フィルムの凹凸面によるレンズ効果によって表示部の画素が拡大されて視認される点である。
従来、防眩フィルムを装着した表示部におけるギラツキの評価は、一般的には検査者による目視による評価が行われてきた。このような目視による主観的な評価方法では、個人差が生じる上に、定量的な評価が難しいという問題があった。
そこで、例えば、特許文献1、2において、防眩フィルムの装着に起因して発生するギラツキの大きさを定量的に評価するギラツキ評価装置が提案されている。より具体的には、特許文献1、2に開示されたギラツキ評価装置は、表示部に表示された画像を撮影手段によって撮影し、得られた画像データをフーリエ変換した後、表示装置固有の構造に由来する周期的な輝度ムラを除去し、逆フーリエ変換を行う。そして、特許文献1、2に開示されたギラツキ評価装置は、逆フーリエ変換像のデータ処理を行い、ギラツキによる輝度のばらつきを定量的に評価する。
特許第3766342号公報 特開2009−175041号公報
しかしながら、上述のような特許文献1、2に開示された従来技術は、評価方法が煩雑であるとともに、防眩フィルムと表示装置との組合せを考慮した評価となっていないという問題がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な方法により防眩フィルムと表示装置との組合せを考慮したギラツキを評価できるギラツキ評価装置およびギラツキ評価方法を提供することにある。
本発明に係るギラツキ評価装置は、上記した課題を解決するために、防眩フィルムが装着された表示装置の表示部におけるギラツキを評価するギラツキ評価装置であって、前記表示部に表示された画像を撮像する撮像装置と、前記撮像装置の撮像素子の単位画素あたり撮像される表示部に表示された画像の画素数を調整する調整部と、前記調整部によって調整された状態で前記撮像装置によって撮像された画像データに基づき、ギラツキの大きさに相関する前記表示部に表示された画像における輝度のばらつきを求める画像処理装置と、を備え、前記調整部は、前記撮像素子の1画素あたり撮像される前記画像の画素数が0.5より大きく2.0以下となるように、該撮像素子の有効画素数に応じて調整する。
上記構成によると、撮像装置と画像処理装置とを備えるため、ギラツキの大きさに相関する表示部に表示された画像における輝度のばらつきを求めることができる。つまり、ギラツキを定量的に評価することができる。なお、輝度のばらつきを求める方法としては、例えば輝度分布の標準偏差を求める方法、または輝度分布の微分積和によって求める方法などが挙げられる。
また、調整部を備えるため、撮像装置の有する撮像素子の有効画素数に応じて、撮像素子の1画素あたり撮像される、表示部に表示された画像の画素数が0.5より大きく2.0以下となるように調整することができる。ここで、撮像素子の1画素あたり撮像される、表示部に表示された画像の画素数が0.5より大きく2.0以下となるという関係は、画像データにおいて表示部に表示された画像の画素が見えない、あるいは画素が見えていたとしてもギラツキ評価に影響を与えない程度である。
したがって、従来技術のようにフーリエ変換を行い、画素により生じる輝度ムラを除去し、逆フーリエ変換を行った逆フーリエ変換像をデータ処理する必要がない。すなわち、従来技術と比較して簡易な方法によりギラツキを評価できる。また、従来技術のように画像データから画素により生じる輝度ムラを除去することがないため、表示装置の機種に応じて異なる、例えばサブピクセルの配列パターンの相違などを考慮したギラツキ評価となる。つまり、防眩フィルムと、該防眩フィルムが装着される表示装置との組合せとを考慮したギラツキ評価となっている。
したがって、本発明に係るギラツキ評価装置は、簡易な方法により防眩フィルムと表示装置との組合せを考慮したギラツキを評価できるという効果を奏する。
また、本発明に係るギラツキ評価装置は、上記した構成において、前記調整部として、前記表示部と前記撮像装置との間の距離を変更させるように、該撮像装置を移動可能に保持する撮像装置保持部と、前記表示部と前記撮像装置との間の距離を変更させるように、前記表示装置を移動可能に支持する表示装置用架台との少なくともいずれか1つを備え、前記撮像装置保持部および前記表示装置用架台の少なくともいずれか1つは、前記撮像素子の1画素あたり撮像される前記画像の画素数が0.5より大きく2.0以下となるように、該撮像素子の有効画素数に応じて、前記撮像装置と前記表示部との間の距離を調整するように構成されていてもよい。
上記構成によると、前記調整部として、撮像装置保持部および表示装置用架台の少なくともいずれか1つを備えるため、表示装置の表示部と撮像装置との間の距離を変更させることで、撮像素子の1画素あたり撮像される画像の画素数が0.5より大きく2.0以下となるように調整することができる。
また、本発明に係るギラツキ評価装置は、上記した構成において、前記調整部として、前記撮像装置の焦点距離を変更可能とするズームレンズを備え、前記ズームレンズは、前記撮像素子の1画素あたり撮像される前記画像の画素数が0.5より大きく2.0以下となるように、該撮像素子の有効画素数に応じて、前記撮像装置の焦点距離を調整するように構成されていてもよい。
上記構成によると、前記調整部として、ズームレンズを備えるため、撮像装置の焦点距離を変更させることで、撮像素子の1画素あたり撮像される画像の画素数が0.5より大きく2.0以下となるように調整することができる。
本発明に係るギラツキ評価方法は、防眩フィルムが装着された表示装置の表示部におけるギラツキを評価するギラツキ評価方法であって、前記表示部に表示された画像を撮像する撮像装置の撮像素子の1画素あたり撮像される該画像の画素数が0.5より大きく2.0以下となるように調整する第1ステップと、前記表示部においてギラツキを評価する領域である測定エリアを設定する第2ステップと、前記第1ステップにより調整された状態で、前記第2ステップにおいて設定された前記測定エリアに表示された画像を、前記撮像装置により撮像する第3ステップと、前記第3ステップにおいて前記撮像装置によって撮像された画像データから、ギラツキの大きさに相関する、前記測定エリアに表示された画像の輝度のばらつきを求める第4ステップと、を含む。
上記方法によると、測定エリアにおけるギラツキの大きさに相関する、該測定エリアに表示された画像の輝度のばらつきを求めることができる。つまり、測定エリアにおけるギラツキを定量的に評価することができる。なお、輝度のばらつきを求める方法としては、例えば輝度分布の標準偏差を求める方法、または輝度分布の微分積和によって求める方法などが挙げられる。
また、表示部に表示された画像を撮像する撮像装置の撮像素子の1画素あたり撮像される該画像の画素数が0.5より大きく2.0以下となるように調整することができる。ここで、撮像素子の1画素あたり撮像される該画像の画素数が0.5より大きく2.0以下となるという関係は、画像データにおいて表示部に表示された画像の画素の輝線が見えない、あるいは画素の輝線が見えていたとしてもギラツキ評価に影響を与えない程度である。
したがって、従来技術のようにフーリエ変換を行い、画素の輝線により生じる輝度ムラを除去し、逆フーリエ変換を行った逆フーリエ変換像をデータ処理する必要がない。すなわち、従来技術と比較して簡易な方法によりギラツキを評価できる。
また、従来技術のように画像データから画素の輝線により生じる輝度ムラのデータを除去することがないため、表示装置の機種に応じて異なる、例えばサブピクセルの配列パターンの相違などを考慮したギラツキ評価となる。つまり、防眩フィルムと、該防眩フィルムが装着される表示装置との組合せとを考慮したギラツキ評価となっている。
したがって、本発明に係るギラツキ評価方法は、簡易な方法により防眩フィルムと表示装置との組合せを考慮したギラツキを評価できるという効果を奏する。
本発明によれば、簡易な方法により防眩フィルムと表示装置との組合せを考慮したギラツキを評価できるという効果を奏する。
本発明の実施形態に係るギラツキ評価装置の概略構成の一例を示す図である。 図1に示すギラツキ評価装置を用いて実施するギラツキ評価方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施例1における、防眩フィルムを装着した表示部で表示された画像の輝度分布に関する標準偏差の値と、官能評価結果がそれぞれ異なるサンプルとの対応関係を示す棒グラフである。 本発明の実施例2における、防眩フィルムを装着した2種類の表示部で表示された画像の輝度分布に関する標準偏差の値と、官能評価結果がそれぞれ異なるサンプルとの対応関係を示す棒グラフである。 本発明の実施例3における、防眩フィルムを、両面テープを介して装着した場合と、両面テープを用いない場合との表示部に表示された画像の輝度分布に関する標準偏差の値と、官能評価がそれぞれ異なるサンプルとの対応関係を示す棒グラフである。 本発明の一形態を得るに至った経緯を説明するために用いる図面であり、同図(a)、(b)は、表示部におけるサブピクセルの配列パターンの一例を示す図である。
(本発明の一形態を得るに至った経緯)
本発明者らは、防眩フィルムを装着した表示部におけるギラツキ評価について鋭意検討した。例えば、防眩フィルムはその種類によって凹凸のピッチが異なる。一方、表示装置が備える表示部は、図6(a)、(b)に示すように、表示装置の機種に応じて、サブピクセルの配列パターンがそれぞれ異なる。それ故、ギラツキ度合は、表示部におけるサブピクセルの配列パターンの違いと防眩フィルムの有する凹凸形状の違いとによって影響される。そのため、表示部と防眩フィルムとを組み合わせてギラツキを評価することで初めて目視によるギラツキ評価と相関し得るものとなることに本発明者らは気が付いた。そして、同一種類の表示装置の表示部に対して凹凸形状が異なる防眩フィルムを装着した場合と、複数種類の表示装置の表示部に対して防眩フィルムをそれぞれ装着した場合との両方について、同じ評価方法によりギラツキ評価できることが好適であることに気が付いた。図6は、本発明の一形態を得るに至った経緯を説明するために用いる図面であり、同図(a)、(b)は、表示部におけるサブピクセルの配列パターンの一例を示す図である。なお、R、G、Bそれぞれのサブピクセルを合わせたものを1画素とする。
ここで、特許文献1、2に開示されたギラツキ評価装置(以下、従来のギラツキ評価装置)は、表示部に表示された画像を撮影手段によって撮影し、得られた画像データをフーリエ変換した後、表示部に表示された画像の画素により生じる周期的な輝度ムラを除去し、逆フーリエ変換を行う。そして、逆フーリエ変換像をデータ処理することでギラツキを評価する構成であった。この構成により、従来のギラツキ評価装置は、防眩フィルムの有する凹凸形状に起因するギラツキを評価することができる。しかしながら、上記したように、従来のギラツキ評価装置は、撮影した画像データから、表示部に表示された画像の画素により生じる周期的な輝度ムラを除去する構成であった。このため、従来のギラツキ評価装置では、例えばサブピクセルの配列パターンの違い等、表示装置の機種ごとの違いが考慮された評価結果とはなっていない。したがって、特許文献1、2の評価結果は、防眩フィルムが装着された、様々な機種の表示装置ごとのギラツキを目視により官能評価した結果と相関しないものとなると考えられる。
そこで、本発明者らは、ギラツキを定量的に評価することができるとともに、ギラツキに対する官能評価と相関する評価結果が得られるギラツキ評価装置について検討し、その結果、本発明に至った。
以下、本発明の実施形態に係るギラツキ評価装置を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
(ギラツキ評価装置の構成)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係るギラツキ評価装置1の要部構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るギラツキ評価装置1の概略構成の一例を示す図である。ギラツキ評価装置1は、図1に示すように、筐体2、撮像装置3、撮像装置保持部(調整部)4、撮像装置用架台5、表示装置用架台(調整部)6、表示装置7、および画像処理装置8を備えてなる構成である。
筐体2は、ギラツキ評価を行う検査空間として暗室を形成するためのものであり、中空の直方体形状をしている。筐体2内には、撮像装置3、撮像装置保持部4、撮像装置用架台5、表示装置用架台6、および表示装置7が収容される。なお、筐体2は、これら各部を収容できるために必要な強度を有しつつ、外部から筐体2内への光の進入を防止できる材質から形成されていればよい。
撮像装置3は、表示装置7の表示部において表示された画像を撮像するための、レンズ3aと撮像素子とを有するエリアカメラであり、撮像された画像データは筐体2の外部に設けられた画像処理装置8に送信される。撮像装置3は、表示装置7の真上に位置し、レンズ3aと表示装置7の表示部とが対向するように、撮像装置保持部4によって保持されている。
撮像装置保持部4は、表示装置7と撮像装置3との間の距離を変更させるように、撮像装置3を図1の紙面における上下方向(鉛直方向)に移動可能に保持するものであり、鉛直方向に延伸した棒形状をしている。そして、撮像装置保持部4の先端部側に撮像装置3が保持されており、基端部側は撮像装置用架台5によって固定されている。このように、撮像装置保持部4によって撮像装置3を鉛直方向に移動させることができるため、撮像装置3と表示装置7との間の距離を調整することができる。撮像装置保持部4による撮像装置3の移動は、例えば、モータ等の駆動により行われる構成であってもよいし、手動により行われる構成であってもよい。なお、この撮像装置保持部4と後述する表示装置用架台6とによって本発明の調整部を実現することができる。
本発明の実施形態では、図1に示すように、表示装置7の真上に撮像装置3が配置された位置関係となるため、撮像装置保持部4による撮像装置3の移動方向は鉛直方向となっている。しかしながら、表示装置7と撮像装置3との位置関係によっては、撮像装置3の移動方向は異なる方向となる。例えば、撮像装置3と表示装置7とが水平方向(図1の紙面における左右方向)に、対向するように配置されている場合は、撮像装置3の移動方向は水平方向となる。つまり、撮像装置保持部4は、撮像装置3と表示装置7との間の距離が可変となるように、撮像装置3を表示装置7に近づく方向、あるいは表示装置7から遠ざかる方向に移動可能となっていればよい。
表示装置7はギラツキ評価の評価対象であり、図1では図示しないが表示装置7の表示部には防眩フィルムが装着されている。表示装置7は、表示装置用架台6の上面に載置されている。表示装置用架台6は、表示装置7の主面(表示部が設けられている面)が撮像装置3と対向し、かつ水平面となるように支持するとともに、該表示装置7を鉛直方向に移動させることができる。表示装置用架台6は、例えば、モータ等の駆動により移動可能となっている構成であってもよいし、手動により移動可能となっている構成であってもよい。表示装置用架台6による表示装置7の移動方向も、上記した撮像装置保持部4による撮像装置3の移動方向と同様に、表示部と撮像装置3との位置関係によって決まる。
以上のように、ギラツキ評価装置1では、撮像装置保持部4による撮像装置3の移動と、表示装置用架台6による表示装置7の移動とによって撮像装置3と表示装置7の表示部との間の距離を精度よく調整することができる構成となっている。そして、撮像装置3と表示装置7の表示部との間の距離を調整することによって、撮像装置3(撮像素子)により、表示部に表示された画像(表示画素)をどのくらいの大きさで撮像するのか調整される。換言すると、撮像素子の単位画素(例えば、1画素)あたり撮像される表示部に表示された画像の画素数が調整される。
画像処理装置8は、撮像装置3によって撮像された画像データのデータ処理を行うものである。具体的には、画像処理装置8は、撮像された画像データに基づき、表示部に表示された画像の輝度の標準偏差の値を求める。図1では特に図示しないが、画像処理装置8は、撮像装置3によって撮像された画像データが入力される入力部、入力された画像データを画像処理する画像処理部、画像処理部によって処理された結果を、不図示の表示装置または印字装置等に出力する出力部等を備えている。
上記したように、実施形態に係るギラツキ評価装置1では、本発明の調整部として、撮像装置保持部4と表示装置用架台6とを備え、撮像装置3と表示装置7の表示部との距離を調整する。そして、撮像装置3と表示装置7の表示部との距離を調整することで、撮像素子の単位画素(例えば、1画素)あたり撮像される表示部に表示された画像の画素数が調整される構成であった。しかしながら、撮像装置保持部4のみだけで撮像装置3と表示装置7の表示部との距離を適切に調整できる場合は、本発明の調整部として、撮像装置保持部4のみを備える構成であってもよい。あるいは、表示装置用架台6のみだけで撮像装置3と表示装置7の表示部との距離を適切に調整できる場合は、本発明の調整部として、表示装置用架台6のみを備える構成であってもよい。
また、撮像素子の単位画素(例えば、1画素)あたり撮像される表示部に表示された画像の画素数の調整は、撮像装置3と表示装置7との間の距離を変更させる方法に限定されるものではない。例えば、撮像装置3が備えるレンズ3aがズームレンズである場合、撮像装置3の焦点距離を変えることで、撮像素子の単位画素(例えば、1画素)あたり撮像される表示部に表示された画像の画素数を調整する構成としてもよい。この構成の場合、本発明の調整部は、レンズ3aによって実現される。
なお、本発明の実施形態では、ギラツキ評価を行う評価対象となる表示装置7の表示部として、スマートフォンのディスプレイを例に挙げて説明するが、表示装置7はスマートフォンに限定されるものではない。例えば、表示装置7の表示部は、コンピュータやテレビなどの液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等であってもよい。
(ギラツキ評価方法)
次に、図2を参照して、上記した構成を有するギラツキ評価装置1によるギラツキ評価方法について説明する。図2は、図1に示すギラツキ評価装置1を用いて実施するギラツキ評価方法の一例を示すフローチャートである。このギラツキ評価方法では、防眩フィルムが装着されたスマートフォンを表示装置7として用い、表示装置7の表示部の表示は、評価の便宜上、発光面を均一に発光させて緑色一色の表示とする。なお、表示部の表示は、この緑色一色の表示に限定されるものではなく、白など他の一色を表示させる構成であってもよい。
まず、撮像装置3の撮像素子の単位画素あたり撮像される表示部に表示された画像の画素数が所定の値となるように調整する(ステップS11)。すなわち、撮像装置3が有する撮像素子の有効画素数に応じて、該撮像装置3と表示装置7の表示部との間の距離を調整し、撮像装置3によって撮像された画像データにおいて表示装置7の表示部に表示された画像の画素の輝線が見えない、あるいは画素の輝線が見えていたとしてもギラツキ評価に影響を与えない程度となるように調整する。本発明者が実験により調べたところ、撮像装置3の撮像素子の1画素あたり撮像される表示部に表示された画像の画素数が0.5より大きく、2.0以下となるように設定すればよいことが分かった。具体的には、実験の容易性から以下の5つの範囲(i)〜(v)に分割して調べた。すなわち、撮像素子の1画素あたり撮像される表示部に表示された画像の画素数が(i)0より大きく0.5以下となる範囲、(ii)0.5より大きく1.0以下となる範囲、(iii)1.0より大きく1.5以下となる範囲、(iv)1.5より大きく2.0以下となる範囲、(v)2.0より大きく2.5以下となる範囲に分けて調べた。そして、表示部に表示された画像の画素の輝線が見えない、あるいは画素の輝線が見えていたとしてもギラツキ評価に影響を与えない程度となる、撮像素子の単位画素あたり撮像される表示部に表示された画像の画素数は、(ii)、(iii)、(iv)の範囲であることが分かった。なお、(i)の範囲は表示部に表示された画像の画素がはっきり見え、その明暗がギラツキを評価するための輝度分布に影響を与え、ギラツキに起因する輝度分布の標準偏差を正確に求めることができなかった。一方(v)の範囲では、小さなギラツキの差の区別がつけられなくなった。
なお、撮像装置3と表示装置7との間の距離は、実際のスマートフォンの使用を考慮し、設定されることが好適である。
撮像素子の単位画素あたり撮像される画像の画素数が所定の値となるように調整すると、測定エリアを設定する(ステップS12)。測定エリアは、表示部における、ギラツキが評価される領域であって、評価対象となる表示装置7の表示部のサイズに応じて適切に設定される。
次に、撮像装置3により測定エリア内の画像を撮像し(ステップS13)、得られた画像データは画像処理装置8へと入力される。画像処理装置8は、入力された画像データから表示装置7の表示部における測定エリアに表示された画像の輝度のばらつきを求める(ステップS14)。輝度のばらつきは、例えば、輝度分布の標準偏差を求めることで数値化できる。また、輝度のばらつき度合と表示部で表示された画像のギラツキ度合の関係は、標準偏差の値が小さいほどギラツキが小さくなる関係にある。なお、輝度のばらつきは、輝度分布の標準偏差を求める方法に限定されるものではなく、例えば、各ピクセルにおける輝度の微分値を求め、全ピクセルの微分値の和をとる積和演算(微分積和)によって求めてもよい。
(実施例1)
実施例1では、表示装置7の表示部に、異なる種類の防眩フィルムをそれぞれ装着したときのギラツキ評価を、ギラツキ評価装置1を用いて上記したギラツキ評価方法を実施して行った。まず、評価対象となる表示装置7として表示装置Aを準備した。表示装置Aとして、表示部に有機ELディスプレイを用いているものを採用した。また、表示装置Aの表示部に装着する防眩フィルムとして、ギラツキの官能評価結果が異なるサンプルα、β、γ、δ、εの5種類を準備した。なお官能評価は5段階で評価されており、数値が高いほどギラツキ度合が小さいことを示している。サンプルαは官能評価結果が3.0、サンプルβは官能評価結果が3.5、サンプルγは官能評価結果が4.0、サンプルδは官能評価結果が4.5、サンプルεは官能評価結果が5.0となった。したがって、官能評価結果においてサンプルεがもっともギラツキが小さかった防眩フィルムとなる。
次に、表示装置Aの表示部に上記した5種類の防眩フィルムをそれぞれ装着し、ギラツキ評価装置1を用いて上記したギラツキ評価方法を実施した。そして、表示部にサンプルα、β、γ、δ、εそれぞれを装着した場合について、各標準偏差の値を求めた。標準偏差の値と官能評価結果との対応関係は図3に示すようになった。図3は、本発明の実施例1における、防眩フィルムを装着した表示部で表示された画像の輝度分布に関する標準偏差の値と、官能評価結果がそれぞれ異なるサンプルとの対応関係を示す棒グラフである。図3では、横軸に官能評価の異なるサンプルα、β、γ、δ、εが示されており、縦軸に標準偏差の値が示されている。図3に示すように標準偏差の値の大小関係と官能評価結果の良否が対応していることが分かる。
(実施例2)
次に、実施例2として、異なる種類の表示装置7の表示部に防眩フィルムを装着したときのギラツキ評価を行った。評価対象となる表示装置7として表示装置A、Bの2種類を準備した。表示装置Aとして、表示部に有機ELディスプレイを用いているものを採用し、表示装置Bとして、表示部に液晶ディスプレイを用いているものを採用した。また、表示装置A、Bの表示部に装着する防眩フィルムとして、実施例1と同様にサンプルα、β、γ、δ、εの5種類を準備した。
まず、表示装置Aの表示部に上記した5種類の防眩フィルムをそれぞれ装着し、ギラツキ評価装置1を用いて上記したギラツキ評価方法を実施して、それぞれ標準偏差の値を求めた。次に、表示装置Bに上記した5種類の防眩フィルムをそれぞれ装着し、ギラツキ評価装置1を用いて上記したギラツキ評価方法を実施して、それぞれ標準偏差の値を求めた。標準偏差の値と官能評価結果との対応関係は図4に示すようになった。図4は、本発明の実施例2における、防眩フィルムを装着した2種類の表示部で表示された画像の輝度分布に関する標準偏差の値と、官能評価結果がそれぞれ異なるサンプルとの対応関係を示す棒グラフである。図4では、横軸に官能評価の異なるサンプルα、β、γ、δ、εが示されており、縦軸に標準偏差の値が示されている。図4に示すように表示装置Aの標準偏差の値の大小関係と官能評価結果の良否が対応している。また、表示装置Bの標準偏差の値の大小関係と官能評価結果の良否が対応していることが分かる。また、同じ防眩フィルムを装着した場合であっても表示装置Aと表示装置Bとは標準偏差の値が異なっており、表示装置Aよりも表示装置Bの方が標準偏差の値が小さくなっていることが分かる。つまり、表示装置Aよりも表示装置Bの方が防眩フィルムを装着したときのギラツキが小さいことが分かる。
(実施例3)
次に、本発明の実施形態に係るギラツキ評価装置1を用いて、実施例3として、表示装置7に防眩フィルムを装着したときのギラツキ評価を行った。特には、防眩フィルムを表示部に装着するためのバインダーとしてシリコンを含む両面テープを用いた場合と、両面テープなしでそのまま防眩フィルムを表示部に載置した場合とに分けてギラツキ評価を行った。なお、この両面テープとしては、例えば、第1剥離フィルム層、強粘着剤(光学粘着シート;OCA(Optically Clear Adhesive))層、支持基体(ポリエチレンテレフタラート;PET(polyethylene terephthalate))層、シリコン粘着層、第2剥離フィルム層から構成された、所謂、ABシートが例示できる。両面テープでは、第1剥離フィルム層をはがして防眩フィルムの非凹凸面に接着し、第2剥離フィルム層をはがして表示装置7の表示部に接着することで防眩フィルムを表示部に装着させることができる。
例えば、防眩フィルムを別途、購入し、表示装置7に後付けで装着する場合は、この防眩フィルムを表示装置7に装着するにあたり、両面テープを介して装着する場合が考えられる。この場合は、防眩フィルムと表示装置7の表示部との間に両面テープを挟まない場合に比べて、防眩フィルムと表示部との間の距離が大きくなる。ここで、この防眩フィルムと表示部との間の距離が大きくなればなるほどギラツキの度合が大きくなるという官能評価となることが経験的に知られている。
そこで、実施例3では、本発明の実施形態に係るギラツキ評価装置1用いた上記したギラツキ評価方法によって、両面テープの有無に起因して変わるギラツキ度合の違いについて、官能評価と相関した結果が得られるか調べた。
まず、評価対象となる表示装置7として表示装置Cを準備した。表示装置Cとして、表示部に有機ELディスプレイを用いているものを採用した。また、表示装置Cの表示部に装着する防眩フィルムとして、実施例1と同様のギラツキの官能評価結果が異なるサンプルα、β、γ、δ、εの5種類を準備した。そして、表示装置Cの表示部に上記した5種類の防眩フィルムを、それぞれ両面テープを用いて装着し、ギラツキ評価装置1を用いて上記したギラツキ評価方法を実施した。次に、表示装置Cの表示部に上記した5種類の防眩フィルムをそれぞれ、直接、載置し、ギラツキ評価装置1を用いて上記したギラツキ評価方法を実施した。そして、得られた標準偏差の値と官能評価結果との対応関係は図5に示すようになった。図5は、本発明の実施例3における、防眩フィルムを両面テープを介して装着した場合と、両面テープを用いない場合との表示部に表示された画像の輝度分布に関する標準偏差の値と、官能評価がそれぞれ異なるサンプルとの対応関係を示す棒グラフである。図5では、横軸に官能評価の異なるサンプルα、β、γ、δ、εが示されており、縦軸に標準偏差の値が示されている。
ギラツキ評価装置1を用いて上記したギラツキ評価方法を実施した結果、図5に示すように、両面テープをバインダーとして用いた場合と、両面テープを用いない場合とにおけるギラツキ度合の差を評価できることが分かった。すなわち、上記したギラツキ評価方法の結果、両面テープをバインダーとして用いた場合の方が、どのサンプルであっても総じて両面テープを用いない場合よりも標準偏差の値が大きくなるという官能評価に相関した結果となった。
また、両面テープをバインダーとして用いた場合と用いない場合とでは標準偏差の値は異なるものとなるが、両方の場合とも、サンプルα、β、γ、δ、εそれぞれの官能評価と対応した標準偏差の値が得られた。
したがって、本発明の実施形態に係るギラツキ評価装置1は、バインダーとして両面テープが利用された場合と両面テープが利用されなかった場合とのギラツキ度合の官能的な相違を定量的に示すことができるとともに、サンプルα、β、γ、δ、εそれぞれに対する官能評価に応じた定量的な評価値を得ることができる。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明は、スマートフォンのように様々な種類の表示部を採用する表示装置において、防眩フィルムを装着した際に生じるギラツキの評価に幅広く利用できる。
1 ギラツキ評価装置
2 筐体
3 撮像装置
3a レンズ
4 撮像装置保持部
5 撮像装置用架台
6 表示装置用架台
7 表示装置
8 画像処理装置

Claims (4)

  1. 防眩フィルムが装着された表示装置の表示部におけるギラツキを評価するギラツキ評価装置であって、
    前記表示部に表示された画像を撮像する撮像装置と、
    前記撮像装置の撮像素子の単位画素あたり撮像される表示部に表示された画像の画素数を調整する調整部と、
    前記調整部によって調整された状態で前記撮像装置によって撮像された画像データに基づき、ギラツキの大きさに相関する前記表示部に表示された画像における輝度のばらつきを、前記表示部においてギラツキを評価する領域である測定エリアにおける前記画像の画素の輝度分布の標準偏差を算出することによって求める画像処理装置と、を備え、
    前記調整部は、前記撮像素子の1画素あたり撮像される前記画像の画素数が0.5より大きく2.0以下となるように、該撮像素子の有効画素数に応じて調整するギラツキ評価装置。
  2. 前記調整部として、前記表示部と前記撮像装置との間の距離を変更させるように、該撮像装置を移動可能に保持する撮像装置保持部と、前記表示部と前記撮像装置との間の距離を変更させるように、前記表示装置を移動可能に支持する表示装置用架台との少なくともいずれか1つを備え、
    前記撮像装置保持部および前記表示装置用架台の少なくともいずれか1つは、前記撮像素子の1画素あたり撮像される前記画像の画素数が0.5より大きく2.0以下となるように、該撮像素子の有効画素数に応じて、前記撮像装置と前記表示部との間の距離を調整する請求項1に記載のギラツキ評価装置。
  3. 前記調整部として、前記撮像装置の焦点距離を変更可能とするズームレンズを備え、
    前記ズームレンズは、前記撮像素子の1画素あたり撮像される前記画像の画素数が0.5より大きく2.0以下となるように、該撮像素子の有効画素数に応じて、前記撮像装置の焦点距離を調整する請求項1に記載のギラツキ評価装置。
  4. 防眩フィルムが装着された表示装置の表示部におけるギラツキを評価するギラツキ評価方法であって、
    前記表示部に表示された画像を撮像する撮像装置の撮像素子の1画素あたり撮像される該画像の画素数が0.5より大きく2.0以下となるように調整する第1ステップと、
    前記表示部においてギラツキを評価する領域である測定エリアを設定する第2ステップと、
    前記第1ステップにより調整された状態で、前記第2ステップにおいて設定された前記測定エリアに表示された画像を、前記撮像装置により撮像する第3ステップと、
    前記第3ステップにおいて前記撮像装置によって撮像された画像データから、ギラツキの大きさに相関する、前記測定エリアに表示された画像の輝度のばらつきを、前記測定エリアにおける前記画像の画素の輝度分布の標準偏差を算出することによって求める第4ステップと、を含むギラツキ評価方法。
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