JP6294209B2 - ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
上記ポリカーボネート系樹脂の製造方法としては、ビスフェノールA等の芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを直接反応させる方法(界面重合法)が、高品質なポリカーボネートを製造する方法として知られている。界面重合法によるポリカーボネートの工業的な製造方法としては、ビスフェノール類のアルカリ水溶液とホスゲンとを有機溶媒の存在下で反応させて、反応性のクロロホルメート基を有するポリカーボネートオリゴマーを生成させ、該ポリカーボネートオリゴマーの生成と同時に又は逐次的に、さらにポリカーボネートオリゴマーとビスフェノール類とを第三級アミンなどの重合触媒及びアルカリ水溶液の存在下、重縮合反応を進める方法が採用されている。
反応工程や洗浄工程で使用された有機溶媒は、通常、回収した後に例えば蒸留などの手段によって精製して反応工程等(ホスゲン化反応工程、重縮合反応工程、及び洗浄工程を含む)で再利用される(特許文献1参照)。また、反応工程後の排水、洗浄工程で生じる排水、造粒工程で生じる排水は、塩化ナトリウム等の無機物や、フェノール類、ポリカーボネート等の有機物を含む。この有機物を水相から除去して排水を浄化するために、有機溶媒を用い、排水から有機物を抽出除去する。抽出除去されたフェノール類やポリマーを含む有機溶媒は、重縮合反応工程で再利用される(特許文献2参照)。
上記PC−POSの製造方法としては、二価フェノール系化合物とホスゲンとを反応させてポリカーボネートオリゴマーを製造し、該ポリカーボネートオリゴマーとポリオルガノシロキサンとを、塩化メチレン、アルカリ性化合物水溶液、二価フェノール系化合物及び重合触媒の存在下に重合させる方法が知られている(特許文献3参照)。
しかし、本発明者らの検討により、回収した有機溶媒を、ポリカーボネートオリゴマーを生成する工程におけるホスゲン化反応工程で再利用した場合、該工程に続くオリゴマー化反応器内での泡立ち、及び該反応器出口での流量変動が発生し、効率的にPC−POSを製造することが困難となった。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[10]に関する。
[2]前記工程(a)で得られたポリカーボネートオリゴマー、二価フェノールのアルカリ水溶液及びポリオルガノシロキサンを反応させてポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を得る工程(b)と、前記工程(b)の反応器からポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を含む溶液を連続的又は断続的に排出し、排出した溶液を水相と有機溶媒相に分離し、分離した有機溶媒相を洗浄した後、さらに水相と有機溶媒相に分離する工程(c)と、前記工程(c)で得られたポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を含む有機溶媒相を濃縮乾燥し、有機溶媒を除去する工程(d)とを更に有し、前記工程(d)で除去された有機溶媒の一部または全量を前記工程(a)に導入される有機溶媒として用いる、上記[1]に記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
[3]前記工程(a)に導入される有機溶媒が、その一部または全量をデミスターで処理することにより得られたものである、上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
[4]前記工程(a)に導入される有機溶媒が、その一部または全量を蒸留処理することにより得られたものである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
[5]前記工程(a)に導入される有機溶媒が塩化メチレンである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
[6]前記二価フェノールが、下記一般式(1)で表わされる二価フェノールである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
[7] 前記ポリオルガノシロキサンが、下記一般式(2)、(3)及び(4)から選択される少なくとも1種のポリオルガノシロキサンである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
[8]前記二価フェノールがビスフェノールAである、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
[9]前記アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
[10]前記ポリカーボネートオリゴマーの重量平均分子量が5000以下である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
また、本発明のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法は、前記工程(a)で得られたポリカーボネートオリゴマー、二価フェノールのアルカリ水溶液及びポリオルガノシロキサンを反応させてポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を得る工程(b)と、前記工程(b)の反応器からポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を含む溶液を連続的又は断続的に排出し、排出した溶液を水相と有機溶媒相に分離し、分離した有機溶媒相を洗浄した後、さらに水相と有機溶媒相に分離する工程(c)と、前記工程(c)で得られたポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を含む有機溶媒相を濃縮乾燥し、有機溶媒を除去する工程(d)とを更に有し、前記工程(d)で除去された有機溶媒の一部または全量を前記工程(a)に導入される有機溶媒として用いることが好ましい。
以下、本発明のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体(PC−POS)の製造方法について詳細に説明する。
工程(a)では、まず、二価フェノールのアルカリ水溶液、ホスゲン及び有機溶媒を混合してホスゲン化反応を行う。ホスゲン化反応は、主として二価フェノールにクロロホルメート基を導入する反応である。
工程(a)における反応温度は通常0〜80℃、好ましくは5〜70℃の範囲で選ばれる。
以下、ホスゲン化反応に用いられる各原料について説明する。
二価フェノールとしては、下記一般式(1)で表される二価フェノールを用いることが好ましい。
ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等のジヒドロキシジフェニル類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のジヒドロキシジアリールフルオレン類、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等のジヒドロキシジアリールアダマンタン類、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9−アントロン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2,3−ジオキサペンタン等が挙げられる。
これらの二価フェノールは、単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。
上記二価フェノールは、アルカリ水溶液として使用されるが、この際に使用されるアルカリ性化合物としては、水酸化アルカリ、特に強塩基性の水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを挙げることができる。中でも水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。
アルカリ水溶液のアルカリ濃度としては、通常、1〜15質量%のものが好ましく用いられる。また、アルカリ水溶液中の二価フェノールの含有量は、通常0.5〜20質量%の範囲で選ばれる。
ホスゲンは、通常、塩素および一酸化炭素を、塩素1モルに対し一酸化炭素1.01〜1.3モルの割合で触媒として活性炭を使用して反応させて得られる化合物である。使用するホスゲン中には、ホスゲンガスとして使用する場合、未反応の一酸化炭素を1〜30容量%程度含んだホスゲンガスを使用することができる。また、液化状態のホスゲンも使用することができる。
有機溶媒は、ポリカーボネートオリゴマーおよびポリオルガノシロキサンを希釈する溶媒として使用される。具体的にはジクロロメタン(塩化メチレン)、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、ジクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられ、特にジクロロメタン(塩化メチレン)が好ましい。
有機溶媒の使用量は、通常、有機溶媒相と水相との容量比が、好ましくは5/1〜1/7、より好ましくは2/1〜1/4となるように選択される。
工程(a)では、上記の各原料以外に必要に応じて、重合触媒を用いることができる。重合触媒としては、第三級アミンや第四級アンモニウム塩が挙げられる。第三級アミンとしては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等が挙げられる。第四級アンモニウム塩としては、例えばトリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられる。重合触媒としては、第三級アミンが好ましく、トリエチルアミンがより好ましい。
オリゴマー化反応に用いられる反応器としては、一般的に撹拌槽が用いられる。撹拌槽としては、撹拌機を有する槽型の撹拌槽であれば特に限定されない。
なお、オリゴマー化反応器での泡立ちを抑制する手段の一つとして、ボルテックスブレーカーを撹拌槽内に設置することが好ましい。
工程(b)では、アルカリ水溶液、有機溶媒及び必要に応じて重合触媒、末端停止剤の存在下で、工程(a)で得られたポリカーボネートオリゴマー、二価フェノールのアルカリ水溶液、及びポリオルガノシロキサンを添加して界面重合させて共重合反応を完結させる。
本工程におけるアルカリ水溶液、有機溶媒、重合触媒、二価フェノール及び末端停止剤としては、上記工程(a)で記載したものを挙げることができる。
R3〜R6としては、いずれも、好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基である。
一般式(2)、(3)及び(4)で表されるポリオルガノシロキサンとしては、R3〜R6がいずれもメチル基であるものが好ましい。
R7、Ar1及びAr2が表すアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基などの環形成炭素数6〜14のアリーレン基が挙げられる。これらアリーレン基は、アルコキシ基、アルキル基等の任意の置換基を有していてもよい。
R8が示すアルキル基としては炭素数1〜8、好ましくは1〜5の直鎖または分岐鎖のものである。アルケニル基としては、炭素数2〜8、好ましくは2〜5の直鎖または分岐鎖のものが挙げられる。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としては、フェニルメチル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
R10が示す直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基は、R7と同様である。
なお、一般式(3)中のp及びqについては、p=q、すなわち、p=n/2、q=n/2であることが好ましい。
平均繰り返し数nは20〜500であり、より好ましくは50〜400、さらに好ましくは70〜300である。nが20以上であれば、優れた耐衝撃特性を得ることができるだけでなく、耐衝撃特性の大幅な回復を達成することができる。nが、500以下であれば、PC−POSを製造する際のハンドリングに優れる。なお、繰り返し単位数nは1H−NMRにより算出できる。
また、βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基又はジカルボン酸又はジカルボン酸のハロゲン化物由来の2価の基を示し、例えば、以下の一般式(7−1)〜(7−5)で表される2価の基が挙げられる。
これらの中でも、重合の容易さの観点においては、上記一般式(2−1)で表されるフェノール変性ポリオルガノシロキサンが好ましい。また、入手の容易さの観点においては、上記一般式(2−2)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、上記一般式(2−3)で表される化合物中の一種であるα,ω−ビス[3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンが好ましい。
ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサンの粘度平均分子量(Mv)は、通常10,000〜30,000であり、好ましくは12,000〜28,000、より好ましくは15,000〜25,000である。なお、本発明において、粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度管にて、20℃における塩化メチレン溶液の極限粘度〔η〕を測定し、Schnellの式(〔η〕=1.23×10−5×Mv0.83)より算出した値である。
工程(c)では、まず、上記工程(b)の反応器からポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を含む溶液を連続的又は断続的に排出し、排出した溶液を水相と有機溶媒相とに分離する。分離する方法に特に制限は無く、静置分離でもよいが、水相と有機溶媒相との分離状態を良好にする観点から、遠心分離を行なうことが好ましい。遠心分離条件に特に制限は無いが、通常、回転速度は1000〜3000rpm程度であることが好ましい。
上記分離後に得られた有機溶媒相は、微量の二価フェノールを含有していることが多いため、有機溶媒相をアルカリ水溶液で洗浄することが好ましい。アルカリ水溶液に用いるアルカリ性化合物は、工程(a)にて使用したものと同じものが挙げられ、同じものを使用することが好ましい。アルカリ水溶液で洗浄した後、水相と有機溶媒相とに分離する。この際も、分離する方法に特に制限は無く、静置分離でもよいが、水相と有機溶媒相との分離状態を良好にする観点から、前記回転速度にて遠心分離を行なうことが好ましい。洗浄に使用するアルカリ水溶液の量に特に制限は無いが、洗浄効果と排水発生量低減の観点から、全液体中の5〜40体積%程度であることが好ましく、より好ましくは5〜30体積%、さらに好ましくは10〜20体積%である。40体積%以下であれば、連続相が有機溶媒相から水相に転換せず、有機溶媒相からの抽出効率を高く維持することができる。
上記分離後に得られた水相には、二価フェノールやアルカリ性化合物が含まれているため、製造コストの観点から、該水相を工程(a)に再利用することが好ましい。
上記分離によって得られた有機溶媒相には、洗浄で用いた酸や無機物が含まれる傾向にあるため、1回以上水によって洗浄することが好ましい。ここで、有機溶媒相の清浄度は、洗浄後の水相の電気伝導度により評価できる。目標とする電気伝導度は、好ましくは1mS/m以下、より好ましくは0.5mS/m以下である。水で洗浄した後、水相と有機溶媒相とに分離する。この際も、分離する方法に特に制限は無く、静置分離でよい。
なお、上記電気伝導度は、導電率測定器「DS−7」(株式会社堀場製作所製)により測定した値である。
工程(d)では、上記工程(c)で得られた有機溶媒相を濃縮して有機溶媒を除去し(濃縮工程)、粉砕し、好ましくは減圧下に80〜160℃程度で乾燥する(乾燥工程)ことによって、又はさらに造粒することによって、PC−POS粉体を得ることができる。得られたPC−POS粉体は、ペレタイザー等を使用してペレット化して、各種の成形体とすることができる。
工程(d)において、有機溶媒の固形分濃度が好ましくは30〜40質量%、より好ましくは30〜35質量%となる程度に濃縮する。
また、乾燥工程においては、有機溶媒の固形分濃度が好ましくは99.9質量%以上(樹脂中の塩化メチレン濃度が1,000ppm未満)となる程度に乾燥する。
本発明では、濃縮工程にて除去された有機溶媒の一部又は全部は、工程(a)の有機溶媒の少なくとも一部として再利用されることが好ましい。さらには、乾燥工程にて得られた有機溶媒の一部又は全部についても、工程(a)の有機溶媒の少なくとも一部として、再利用されることが好ましい。
また、デミスターで捕獲したPC−POSを含む液滴は、デミスターの下部から抜出し、工程(c)または工程(d)に戻すことができ、またそれが好ましい。
なお、下記実施例では、便宜上、一部、バッチ方式での製造によって本発明の効果を確認する手段をとった。
NMR測定によって、PDMSのメチル基のプロトンに着目して求めた。
(2.粘度数)
ISO1628−4(1999)に準拠して粘度数を測定した。
(3.粘度平均分子量(Mv)の測定方法)
ウベローデ型粘度管にて、20℃における塩化メチレン溶液の極限粘度〔η〕を測定し、次の関係式(Schnellの式)より計算した。
〔η〕=1.23×10−5×Mv0.83
(4.未反応PDMS量の算出方法)
未反応PDMSの1H−NMRにおける定量は以下の方法によって求めた。
(i)実施例1で得られたポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体フレーク6gを塩化メチレン50mlに溶解した溶液に、アセトン50ml及びn−ヘキサン150mlを添加して混合した後、30分間静置した。
(ii)濾紙(アドバンテック社、No.5A)を用いて吸引ろ過によりろ液を回収し、回収したろ液を濃縮乾固し、得られた乾固物の重量を測定した。得られた乾固物を重クロロホルムに溶解し、1H−NMR測定を行なった。未反応のフェノール変性ポリジメチルシロキサンの水酸基のオルト位のプロトン(δ6.7ppm)の積分値x、メチレン鎖に帰属されるプロトン(δ0.6ppm)の積分値yから、下記式により、未反応PDMSの割合z(%)を算出した。
z=2×x÷y×100
(iii)一方、標準サンプルとして準備した実質的に未反応PDMSを含まないポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体にフェノール変性ポリジメチルシロキサンを150〜2,000ppm添加した標準試料を別途用意し、上記同様の操作を行なうことで、zと未反応PDMS量(ppm,=フェノール変性ポリジメチルシロキサン添加量)との関係式(検量線)を求めた。
前記(ii)で求めたzと前記(iii)で求めた関係式から、未反応PDMS量(ppm)を算出した。
(5.PDMSの反応率)
下記計算式に従ってPDMSの反応率を算出した。
PDMSの反応率(質量%)=(1−未反応PDMS量(質量%)÷PDMS残基の量(質量%))×100
ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体の製造は、図1に示す流れに沿って製造した。
〔ポリカーボネートオリゴマー溶液の製造:工程(a)〕
5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に、後から溶解するビスフェノールAに対して2000質量ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加え、これにビスフェノールA濃度が13.5質量%になるようにビスフェノールAを溶解し、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
このビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液40L/hr、塩化メチレン15L/hrの流量で、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で、内径6mm、管長30mの管型反応器に連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器を出た反応液は、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入され、ここにさらにビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液2.8L/hr、25質量%水酸化ナトリウム水溶液0.07L/hr、水17L/hr、1質量%トリエチルアミン水溶液を0.64L/hrの流量で添加して反応を行なった。槽型反応器から溢れ出る反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。
このようにして得られたポリカーボネートオリゴマー溶液(塩化メチレン溶液)は、濃度318g/L、クロロホルメート基濃度0.75mol/Lであった。また、ポリカーボネートオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、1,190であった。
なお、重量平均分子量(Mw)は、展開溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、GPC〔カラム:TOSOH TSK−GEL MULTIPORE HXL−M(2本)+Shodex KF801(1本)、温度40℃、流速1.0ml/分、検出器:RI〕にて、標準ポリスチレン換算分子量(重量平均分子量:Mw)として測定した。
上記工程(a)で製造したポリカーボネートオリゴマー(PCO)溶液20リットル/hrと、塩化メチレン9.5リットル/hrを混合してから、ジメチルシロキサン単位の繰り返し数(n)が40であるアリルフェノール末端変性ポリジメチルシロキサン(PDMS)の20質量%塩化メチレン溶液を2.6kg/hrで加え、その後、スタティックミキサーでよく混合した後、混合液を熱交換器により19〜22℃に冷却した。
冷却した混合液に、トリエチルアミンの1質量%塩化メチレン溶液を0.5kg/hrを加えて混合した後、8.0質量%水酸化ナトリウム水溶液1.4kg/hrを加えて、直径43mmと直径48mmのタービン翼を有する内容積0.3リットルのT.Kパイプラインホモミキサー2SL型(特殊機化工業製)に供給し、回転数4400rpmの撹拌下で、PCOとPDMSとを反応させた。
続いて、得られた反応液を熱交換器にて17〜20℃まで冷却した。冷却後の反応液に、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液10.2kg/hrと15質量%水酸化ナトリウム水溶液1.5kg/hr、さらにp−t−ブチルフェノールの8質量%塩化メチレン溶液1.3kg/hrを加えた後、直径43mmと直径48mmのタービン翼を有する内容積0.3リットルのT.Kパイプラインホモミキサー2SL型(特殊機化工業製)に供給し、回転数4400rpmの撹拌下で、重合反応を行った。
さらに反応を完結させるため、50リットルパドル翼三段の塔型撹拌槽に供給し、重縮合を行い、重合液を得た。
〔分離工程、洗浄工程:工程(c)〕
上記工程(b)で得られた重合液35Lと塩化メチレン10Lを、邪魔板及びパドル型撹拌翼を備えた50L槽型洗浄槽に仕込み、240rpmで10分間撹拌した後、1時間静置することで、ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体を含む塩化メチレン相と過剰のビスフェノールA及び水酸化ナトリウムを含む水相に分離した。
こうして得られたポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体(PC−PDMS)を含む塩化メチレン溶液を、該溶液に対して順次、15容積%の0.03mol/L水酸化ナトリウム水溶液、0.2mol/L塩酸で洗浄した。次いで純水で洗浄を繰り返し、洗浄後の水相中の電気伝導度が0.1mS/m以下になるようにした。
洗浄後のPC−PDMSを含む塩化メチレン溶液中のPC−PDMS濃度を測定したところ、10質量%であった。
こうして得られたPC−PDMSを含む塩化メチレン溶液を100kg/hrの流量で、温度70℃、圧力0.2MPaGに保持した容積210Lの濃縮器に導入し、28質量%のPC−PDMS濃縮溶液を得る[濃縮工程]とともに、該濃縮器から排出された塩化メチレンガスを回収した。その後、上記濃縮溶液を粉砕処理し、減圧下、120℃の条件で乾燥した[乾燥工程]。
上記のようにして得られたポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体(PC−PDMS)は、ポリジメチルシロキサン残基の量が6.3質量%、粘度数が47.0であり、粘度平均分子量(Mv)は17,500であった。また、未反応のPDMSの量は150ppm以下であり、PDMSの反応率は99.5%以上であった。
上記工程(d)で回収した塩化メチレンガス全量を64kg/hrの流量でデミスター(KOCH−GLITSCH社製、YORK431)に通してPC−PDMSを含有するミストを除去した。その後、塩化メチレンガスを10℃で冷却して液化させたところ塩化メチレンの回収率は99%であり、該塩化メチレン中のPC−PDMS濃度は100質量ppmであった。
上記塩化メチレンを15L/hrで、前記工程(a)で用いられる塩化メチレンとして管型反応器に導入し、反応を行った。その後、前記工程(a)のバッフル付き槽型反応器内を観察したところ、泡立ちは生じていなかった。また、バッフル付き槽型反応器出口ポンプの吐出圧力は安定していた。
上記工程(d)で回収した塩化メチレンガス全量のうち一部を58kg/hrの流量で40段有する蒸留塔の20段目に導入し、塔頂温度40℃、塔底温度50℃、塔頂還流比2.0で蒸留精製を行った。塔頂から塩化メチレンが回収率99.5%にて蒸留精製された。上記塩化メチレンガスのうち蒸留精製しなかった残量を10℃で冷却し液化させた塩化メチレンと蒸留精製後の塩化メチレンとを混合した。該塩化メチレン中のPC−PDMS濃度は180質量ppmであった。
上記塩化メチレンを15L/hrで、前記工程(a)で用いられる塩化メチレンとして管型反応器に導入し、反応を行った。その後、前記工程(a)のバッフル付き槽型反応器内を観察したところ、泡立ちは生じていなかった。また、バッフル付き槽型反応器出口ポンプの吐出圧力は安定していた。
上記工程(d)で回収した塩化メチレンガス全量のうち一部を34kg/hrの流量でデミスター(KOCH−GLITSCH社製、YORK431)に通してPC−PDMSを含有するミストを除去した。その後、塩化メチレンガスを10℃で冷却して液化させたところ塩化メチレンの回収率は99%であった。上記塩化メチレンガスのうちデミスターで処理をしなかった残量を10℃で冷却し液化させた塩化メチレンと上記デミスターによる処理後の塩化メチレンとを混合した。該塩化メチレン中のPC−PDMS濃度は480質量ppmであった。
上記塩化メチレンを15L/hrで、前記工程(a)で用いられる塩化メチレンとして管型反応器に導入し、反応を行った。その後、前記工程(a)のバッフル付き槽型反応器内を観察したところ、泡立ちは生じていなかった。また、バッフル付き槽型反応器出口ポンプの吐出圧力は安定していた。
上記工程(d)で回収した塩化メチレンガス全量を10℃で冷却し液化させた。該塩化メチレン中のPC−PDMS濃度は900質量ppmであった。該塩化メチレンを15L/hrで、前記工程(a)で用いられる塩化メチレンとして管型反応器に導入し、反応を行ったところ、前記工程(a)のバッフル付き槽型反応器出口ポンプの吐出圧力は安定せず、PC−PDMS製造の運転継続は困難となった。
2 オリゴマー化反応:工程(a)
3 静置分離
4 重縮合反応工程(b)
5 分離工程(c)
6 洗浄工程(c)
7 濃縮工程(d)
8 乾燥工程(d)
9 排水処理
10 デミスターによる処理
Claims (9)
- 二価フェノールのアルカリ水溶液、ホスゲン及び有機溶媒を用いてポリカーボネートオリゴマーを生成する工程(a)を有するポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法であって、
前記工程(a)に導入される有機溶媒に含まれるポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の含有率を850質量ppm未満とする工程を有し、
前記工程(a)に導入される有機溶媒が、その一部または全量をデミスターで処理することにより得られたものであって、当該デミスターがワイヤメッシュからなるミスト分離帯が配設された構造であり、当該ワイヤメッシュの表面積が200〜400m 2 /m 3 である、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。 - 前記工程(a)で得られたポリカーボネートオリゴマー、二価フェノールのアルカリ水溶液及びポリオルガノシロキサンを反応させてポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を得る工程(b)と、
前記工程(b)の反応器からポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を含む溶液を連続的又は断続的に排出し、排出した溶液を水相と有機溶媒相に分離し、分離した有機溶媒相を洗浄した後、さらに水相と有機溶媒相に分離する工程(c)と、
前記工程(c)で得られたポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を含む有機溶媒相を濃縮乾燥し、有機溶媒を除去する工程(d)とを更に有し、
前記工程(d)で除去された有機溶媒の一部または全量を前記工程(a)に導入される有機溶媒として用いる、請求項1に記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。 - 前記工程(a)に導入される有機溶媒が、その一部または全量を蒸留処理することにより得られたものである、請求項1又は2に記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
- 前記工程(a)に導入される有機溶媒が塩化メチレンである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
- 前記二価フェノールが、下記一般式(1)で表わされる二価フェノールである、請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
[式中、R1およびR2は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。Xは単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、または−CO−を示す。a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数である。] - 前記ポリオルガノシロキサンが、下記一般式(2)、(3)及び(4)から選択される少なくとも1種のポリオルガノシロキサンである、請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
[式中、R3〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示し、複数のR3〜R6は、互いに同一であっても異なっていてもよい。Yは−R7O−、−R7COO−、−R7NH−、−R7NR8−、−COO−、−S−、−R7COO−R9−O−、または−R7O−R10−O−を示し、複数のYは、互いに同一であっても異なっていてもよい。前記R7は、単結合、直鎖、分岐鎖若しくは環状アルキレン基、アリール置換アルキレン基、置換または無置換のアリーレン基、またはジアリーレン基を示す。R8は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を示す。R9は、ジアリーレン基を示す。R10は、直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキレン基、又はジアリーレン基を示す。Zは、水素原子又はハロゲン原子を示し、複数のZは、互いに同一であっても異なっていてもよい。βは、ジイソシアネート化合物由来の2価の基、又はジカルボン酸若しくはジカルボン酸のハロゲン化物由来の2価の基を示す。pとqはそれぞれ1以上の整数であり、pとqの和は20〜500であり、nは20〜500の平均繰り返し数を示す。] - 前記二価フェノールがビスフェノールAである、請求項1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
- 前記アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液である、請求項1〜7のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
- 前記ポリカーボネートオリゴマーの重量平均分子量が5000以下である、請求項1〜8のいずれかに記載のポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法。
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