JP6292777B2 - 画像記録装置および画像記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は画像記録装置および画像記録方法に関する。
インクを吐出するための複数の吐出口を配列した記録ヘッドを記録媒体に対して走査させながらインクを吐出する記録走査と、記録媒体の搬送を行う副走査とを繰り返し行い、記録媒体上に画像を形成する画像記録装置が従来より知られている。このような画像記録装置では、記録媒体上の単位領域に対して複数回の記録走査を行う、いわゆるマルチパス方式が一般に用いられる。
近年では上述のような画像記録装置において様々な種類のインクや記録媒体が使用されている。このインクと記録媒体の組合せとして、明度の高い画像を形成するために、顔料を含むインクとインクの浸透性が低い記録媒体を用いることが知られている。
しかしながら、上述のようなインクと記録媒体を用いて画像を記録する場合、記録媒体の表面上にインクを定着させることで画像を記録するため、耐擦過性が低下してしまうことが知られている。特許文献1には反応液との反応性を有する樹脂をインクに添加し、記録媒体の表面上で反応液とインク内の樹脂を反応させることで耐擦過性を向上させることが開示されている。同文献は、造膜性を有する樹脂を用いることにより、記録媒体上に定着したインク表面に反応液との反応により樹脂皮膜が形成されることにより耐擦過性が向上すると記載されている。
特開2000−272220号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術ではインクとは別に反応液を記録媒体上に付与するための機構が必要となり、コストの増大に繋がってしまう可能性がある。
さらに、発明者らの検討の結果、顔料を含有するインクを使用する場合に従来では想定していなかったメカニズムが原因で耐擦過性が不十分になる可能性があることがわかった。また、このメカニズムによる耐擦過性の低化はアニオン系の色材やポリマーを含有するインク等を使用する場合に特に顕著に発生することも重ねて見出された。以下にこの課題について詳細に説明する。
図1は浸透性の低い記録媒体3上に対して顔料を含有するインクを吐出した際に形成されるインク滴50の定着の過程を説明するための図である。
図1(a)は記録媒体3の表面にインクを付与した際のインクの様子を示す図である。顔料インクは含有する水分などの揮発成分が蒸発することによって定着が行われる。ここで、特にアニオン性基を有するインクでは、記録媒体3上に付与された後にインク滴50内で酸析反応が生じる場合がある。ここで、酸析反応とはインク中において樹脂分散剤の酸解離型のアニオン性基(例えば−COO等)間の静電反発力によって安定に分散している顔料が酸性の液体組成物や記録媒体と接触すると、樹脂分散剤のアニオン性基が離型のアニオン性基(例えば−COOH等)となり静電反発力を失うことで顔料の分散状態が崩れ、顔料がインク膜51として析出する反応である。
図1(b)は図1(a)の後にインク膜51が形成された際のインクの様子を示す図である。インク滴50の表面には上述の酸析反応によりインク膜51が形成されるため、インク滴50の内部に残存する揮発成分の蒸発が抑制されてしまう。
図1(c)は画像の記録が完了した際のインクの様子を示す図である。上述の酸析反応により、記録後においても揮発成分がインク滴50内に残存した状態でインクドットが積層されてしまう。このように記録後に揮発成分が残存している領域はインク層としての堅牢性が十分でなく、紙や布等の擦れがあった場合に、その領域を起点として記録画像が記録媒体から剥がれてしまう可能性がある。
本発明は上記の課題を鑑みて為されたものであり、画像を記録する過程において酸析反応によりインク滴表面にインク膜が形成された場合であっても優れた耐擦過性を示す画像を記録することが可能な画像記録装置および画像記録方法を提供することを目的とするものである。
そこで、本発明は、それぞれ顔料を含有する第1のインクおよび第2のインクを少なくとも吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドと記録媒体とを走査方向に相対的に走査させる走査手段と、前記走査手段による走査をさせながら、前記記録媒体上の単位領域内に複数含まれる画素相当の小領域に対して前記記録ヘッドから前記第1、第2のインクを吐出するように制御する制御手段と、を備える画像記録装置であって、前記第2のインクは、前記第1のインクよりも塩基性領域におけるpH緩衝能が強く、前記制御手段は、前記第1、第2のインクのいずれもが吐出される前記単位領域内の前記小領域のうち、前記第2のインクが前記第1のインクよりも後に吐出される前記単位領域内の前記小領域が、前記第1のインクが前記第2のインクよりも後に吐出される前記単位領域内の前記小領域よりも多くなるように前記第1、第2のインクの吐出を制御することを特徴とする。
本発明に係る画像記録装置によれば、顔料を含有するインクを用いて記録を行う際に、耐擦過性に優れた記録物を得ることが可能な記録装置を提供することができる。
酸析反応によりインク膜が形成される過程を説明するための図である。 実施形態で適用する画像記録装置の斜視図である。 実施形態で適用する画像記録装置の側面図である。 実施形態で適用する記録ヘッドの模式図である。 実施形態で使用するインクのpH緩衝能について説明するための図である。 一般的なマルチパス記録方法を説明するための図である。 一般的なマルチパス記録方式で適用するマスクパターンの模式図である。 実施形態における記録制御系の構成を示すブロック図である。 pH緩衝能とインク膜の再溶解のメカニズムを説明するための図である。 耐擦過性の評価実験を説明するための図である。 実施形態で適用するマルチパス記録方法を説明するための図である。 実施形態で適用するマスクパターンを示す模式図である。 実施形態におけるデータの処理過程を説明するブロック図である。 実施形態で適用するマスクパターンを示す模式図である。 実施形態におけるデータの処理過程を説明するブロック図である。 実施形態で適用する画像記録装置の斜視図である。
(第1の実施形態)
以下に図面を参照し、本発明の第1の実施形態を詳細に説明する。
図2は本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置1000の内部の構成を部分的に示す斜視図である。また、図3は本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置1000の内部の構成を部分的に示す側面図である。
画像記録装置1000の内部にはプラテン2が配置されており、このプラテン2には記録媒体3を吸着させて浮き上がらないようにするために多数の吸引孔34が形成されている。この吸引孔34はダクトと繋がっており、さらにダクトの下部に吸引ファン36が配置され、この吸引ファン36が動作することでプラテン2に対する記録媒体3の吸着を行っている。
キャリッジ6は、紙幅方向に延伸して設置されたメインレール5に支持され、X方向に往復移動することが可能なように構成されている。キャリッジ6は、後述するインクジェット方式の記録ヘッド7を搭載している。なお、記録ヘッド7は、発熱体を用いたサーマルジェット方式、圧電素子を用いたピエゾ方式等、さまざまな記録方式を適用することが可能である。キャリッジモータ8は、キャリッジ6をX方向に移動させるための駆動源であり、その回転駆動力はベルト9でキャリッジ6に伝達される。
記録媒体3は、ロール状に巻かれた媒体23から巻き出すことで給送される。記録媒体3は、プラテン2の上でX方向(走査方向)と交差するY方向(搬送方向)に搬送される。記録媒体3は、先端をピンチローラ16と搬送ローラ11に挟持されており、搬送ローラ11が駆動することによって搬送が行われる。また、記録媒体3はプラテン2よりY方向の下流ではローラ31と排送ローラ32に挟持され、さらにターンローラ33を介して記録媒体3は巻取りローラ24に巻きつけられている。
図4は本実施形態で使用する記録ヘッドを示す。
記録ヘッド7は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ライトシアン(LC)ライトマゼンタ(LM)のインクをそれぞれ吐出する6つの吐出口列22K、22C、22M、22Y、22LC、22LMがX方向に並列されることにより構成される。これらの吐出口列22K、22C、22M、22Y、22LC、22LMのそれぞれは、インクを吐出する1280個の吐出口30が1200dpiの密度でY方向に配列されることで構成されている。なお、本実施形態における一つの吐出口30から一度に吐出されるインクの吐出量は約4.5ngである。
これらの吐出口列22K、22C、22M、22Y、22LC、22LMは、それぞれ対応するインクを貯蔵する不図示のインクタンクに接続され、インクの供給が行われる。なお、本実施形態にて用いる記録ヘッド7とインクタンクは一体的に構成されるものでも良いし、それぞれが分離可能な構成のものでも良い。
(インクの組成)
本実施形態で使用するインクについて以下に詳細に説明する。
以下、「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り、質量基準である。
・ブラックインクインクの作製
(1)分散液の作製
まず、アニオン系高分子P−1[スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(重合比(重量比)=30/40/30)酸価202、重量平均分子量6500]を準備した。これを、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な10質量%ポリマー水溶液を作製した。
上記ポリマー溶液を600g、カーボンブラックを100gおよびイオン交換水を300g、を混合し、機械的に所定時間撹拌した後、遠心分離処理によって、粗大粒子を含む非分散物を除去してブラック分散液とする。得られたブラック分散液は、その顔料濃度が10質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記ブラック分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度5質量%の顔料インクを調製した。
上記ブラック分散液 50部
ゾニールFSO−100(デュポン社製) 0.05部
グリセリン 10部
トリエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
トリエタノールアミン 0.5部
イオン交換水 残部
・シアンインクの作製
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸とを原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作製した。
上記のポリマー溶液を200g、C.I.ピグメントブルー15:3を100gおよびイオン交換水を700g、を混合し、機械的に所定時間撹拌した後、遠心分離処理によって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン分散液とした。得られたシアン分散液は、その顔料濃度が10質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度2質量%の顔料インクを調製した。
上記シアン分散液 20部
ゾニールFSO−100(デュポン社製) 0.05部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
トリエタノールアミン 0.5部
イオン交換水 残部
・マゼンタインクの作製
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、数平均分子量2500のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作製した。
上記ポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100gおよびイオン交換水を800g、を混合し、機械的に所定時間撹拌した後、遠心分離処理によって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とした。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度4質量%の顔料インクを調製した。
上記マゼンタ分散液 40部
ゾニールFSO−100(デュポン社製) 0.05部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
トリエタノールアミン 0.5部
イオン交換水 残部
・イエローインクの作製
(1)分散液の作製
まず、前記アニオン系高分子P−1を、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な10質量%ポリマー水溶液を作製した。
上記ポリマー溶液を300g、C.I.ピグメントイエロー74を100gおよびイオン交換水を600gを混合し、機械的に所定時間攪拌した後、遠心分離処理によって粗大粒子を含む非分散物を除去してイエロー分散液とした。得られたイエロー分散液は、その顔料濃度が10質量%であった。
(2)インクの作製
以下の成分を混合し、十分に攪拌して溶解・分散後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過して、顔料濃度4質量%の顔料インクを調製した。
上記イエロー分散液 40部
ゾニールFSO−100(デュポン社製) 0.025部
グリセリン 9部
エチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 1部
トリエタノールアミン 0.5部
イオン交換水 残部
・ライトシアンインクの作製
(1)分散液の作製
前記シアンインクについて説明したのと同様の原料および作製方法により、顔料濃度が10質量%のシアン分散液を作製した。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度0.4質量%の顔料インクを調製した。
上記シアン分散液 4部
ゾニールFSO−100(デュポン社製) 0.025部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
トリエタノールアミン 1.0部
イオン交換水 残部
・ライトマゼンタインクの作製
(1)分散液の作製
前記マゼンタインクについて説明したのと同様の原料および作製方法により、顔料濃度が10質量%のマゼンタ分散液を作製した。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にする。そして、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度0.8質量%の顔料インクを調製した。
上記マゼンタ分散液 8部
ゾニールFSO−100(デュポン社製) 0.025部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物(川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
トリエタノールアミン 1.0部
イオン交換水 残部
なお、本実施形態で使用するそれぞれのインクは、弱塩基性を示すトリエタノールアミンを含有している。トリエタノールアミンはpH調整や酸化防止、ビーディングの抑制等の目的から含有されている。
しかしながら、インク中のトリエタノールアミンの含有量が多いほどインクの粘度は上昇するため、吐出口からのインクの吐出不良等の問題が発生する。そこで、本実施径形態ではインクの吐出不良が発生しない範囲でビーディングの抑制等の目的を達成できるよう、それぞれのインク毎に適切な量だけトリエタノールアミンを添加している。具体的には、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクにはトリエタノールアミンを0.5質量%、ライトシアンインク、ライトマゼンタインクにはトリエタノールアミンを1.0質量%だけ添加している。このように画像の画質と吐出信頼性の両観点から弱塩基性物質であるトリエタノールアミンの添加量をインク毎に異ならせることで、結果的に後述する塩基性領域におけるpH緩衝能の強さが異なってくる。
また、本実施形態のインクはいずれもアニオン系の色材を使用しているため、それぞれインクのpHは塩基側で安定しており、その値は8.5以上9.5以下の値を有している。インクと接触する部材を構成する材料の劣化やインク内の顔料や分散樹脂の溶解性の低下などを防止する観点から、一般的にはインクのpHは7.0以上10.0以下の値であることが好ましい。なお、pHの測定は、HORIBA社製のpHMETER型式F−52を使用した。なお、インクのpHを測定できるものであれば、測定器は上記例示したものに限定されるものではない。
本実施形態で使用するインクが有する塩基性領域における緩衝能の強さについて以下に詳細に記載する。
インクの塩基性領域におけるpH緩衝能とは、pHが7以上の値を示すインクに対して酸を添加したときの水素イオン濃度の変化量に対応する指標である。より具体的には、pHが7以上の値を示すインクに酸を添加したときの水素イオン濃度の変化量が大きいほど塩基性領域におけるpH緩衝能が弱く、水素イオン濃度の変化量が小さいほど塩基性領域におけるpH緩衝能が強いと考えることができる。すなわち、塩基性領域におけるpH緩衝能が強いインクほど水酸化物イオンを多く保持しているということを示している。更に、pHの低い(例えば、pHが8.5以上9.5以下の値を示す)インクであっても、塩基性領域におけるpH緩衝能が強いインクであれば酸が添加された際にもpHが低下しにくいということも合わせて示している。
本実施形態においてトリエタノールアミン(化学式(CN)は、インク中で以下に示す式(1)の反応が起こる。
(CN+HO→(CNH+OH・・・式(1)
式(1)より、トリエタノールアミンを含有するインクに酸(H)を添加しても、式(1)右辺のOHと中和してHOとなるためインクのpHの変化が抑制される。また、上述した通り本実施形態で使用するインクのpHは8.5以上9.5以下である。そのため、本実施形態で使用するトリエタノールアミンは塩基性領域においてpH緩衝能を有することがわかる。また、式(1)による緩衝作用はトリエタノールの含有量が多いほど強く作用する。したがって、本実施形態で使用するライトシアンインク、ライトマゼンタインクはシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクよりも強いpH緩衝能を有することがわかる。
なお、本実施形態で使用するそれぞれのインクの塩基性領域におけるpH緩衝能の強さは実験により算出することも可能である。
以下にその実験方法と結果を詳細に記載する。
本実施形態で使用するそれぞれのインク50mlを攪拌しながら、それぞれのインクに対しスポイトにて1規定の塩酸水溶液を0.5mlずつ滴下し、滴下してから約10秒後にpHメーターを用いて各インクのpHの値を測定した。この塩酸水溶液の滴下とpHの測定とを交互に繰り返し、pHが7となるまでに滴下した塩酸水溶液の量を算出した。なお、1規定とは溶液1dmに対して溶質1g等量を含む場合の濃度である。
図5に上述の実験の結果を示す。
本実施形態で使用するそれぞれのインクのpHの値は上述した通り8.5以上9.5以下であり、互いにほぼ同じである。そのため、塩基性領域におけるpH緩衝能の強さはインクのpHが7になるまでに滴下した塩酸水溶液の量で判断することができる。すなわち、インクのpHが7になるまでの滴下した塩酸水溶液の量が多いほど、塩基性領域におけるpH緩衝能が強いと考えることができる。
例えば、本実施形態で使用するシアンインクのpHを7にするまでに要する塩酸水溶液は約1.3mlであり、ライトシアンインクのpHを7にするまでに要する塩酸水溶液は約3.2mlである。したがって、ライトシアンインクはシアンインクよりも強い緩衝能を有することがわかる。
上述のシアンインク、ライトシアンインクと同様の方法にて測定した本実施形態で使用するそれぞれのインクのpHを7にするまでに要する塩酸水溶液の量を表1に示す。
ライトシアンインク、ライトマゼンタインクのpHを7にするまでに要する塩酸水溶液の量が他のインクよりも相対的に多いことが表1より判断できる。したがって、トリエタノールアミンの含有量が多いライトシアンインク、ライトマゼンタインクの塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に強いことが実験的にも確認することができる。
なお、本実施形態におけるpH緩衝能が相対的に強いインクは、50mlのインクに対し1規定の塩酸水溶液を1ml添加した際のpHの値の変化が1.5以下である好ましく、1.0以下であることが更に好ましい。
なお、記録媒体に対する浸透性が低い、あるいは浸透性のないインクを用いる場合にインクの液相における表面張力が高いと、記録媒体の表面上に着弾したインクが濡れ広がらずに凝集して定着することにより画質の低下を引き起こしてしまう。特にインクの浸透性が低い記録媒体に対して表面張力が30mN/mよりも大きいインクを使用した場合、この画質の低下は顕著に発生する。そのため、それぞれのインクの表面張力は30mN/m以下にすることが好ましい。また、吐出量や吐出速度などの吐出特性や、記録媒体の表面上における浸透性を異なるインクの間でなるべく近づけるため、それぞれのインクは表面張力を可能な限り近い値にすることが好ましい。これらの理由から、本実施形態で使用するそれぞれのインクは、互いに同じ温度環境において表面張力が25mN/mから26mN/mまでの値になるように調整される。
なお、本実施形態におけるそれぞれのインクの液相における表面張力は、KRUSS社製のBubblePressureTesiometer(商品名)を使用して計測を行った。なお、インクの液相における表面張力を測定できるのであれば、上述の計測器だけではなく種々の計測器を用いることができる。
本実施形態で使用する記録媒体について以下に詳細に説明する。
前述したように、記録媒体に対するインクの浸透性が低いほど記録媒体の表面上にインクの層が形成され易くなるため、インクの浸透性が低い記録媒体を使用する際に後述する実施形態による効果が顕著なものとなる。
このようなインクの浸透性が低い記録媒体の例としては、普通紙の表面を白色の顔料などでコーティングした塗工紙がある。
本実施形態では上述の塗工紙の一つであるOKトップコート+(王子製紙製、坪量157.0g/m)を記録媒体3として使用する。
本実施形態において記録媒体のインク浸透性を評価するための方法は種々の方法が適用可能である。その手法の一例として、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.51の『紙及び板紙の液体吸収性試験方法』に記載されたブリストー法による記録媒体に対するインク浸透性の評価を以下に記載する。
所定量のインクを所定の大きさの開口スリットを有する保持容器に注入し、スリットを介して、短冊状に加工し円盤に巻きつけられた記録媒体と接触させ、保持容器の位置を固定したまま、円盤を回転させ記録媒体に転移するインク帯の面積(長さ)を測定する。
このインク帯の面積から単位面積辺りの1秒間での転移量(ml・m−2)を算出することができる。
一般的な印刷塗工紙についてブリストー法によりインクに対する転移量を測定したところ、1秒間での転移量は20ml・m−2以下であり、特に、OKトップコート+では10ml・m−2よりも若干小さい値が得られた。本実施形態では、この印刷塗工紙のようなインク浸透性の低い記録媒体に対しても記録を行うことができる。
一方、普通紙のブリストー法による1秒間での転移量は30ml・m−2以上を示すものが多く、一般的には高いインク浸透性を示す。しかしながら、普通紙であってもブリストー法による1秒間での転移量が20ml・m−2より低いものもある。このような記録媒体は普通紙ではあるもののインク浸透性の低い記録媒体であると言える。本実施形態では、印刷塗光紙でなくともこのようなインク浸透性の低い記録媒体にも適用することができる。また、布や革のような記録媒体であって、インク浸透性の低い記録媒体にも用いることができる。
また、インクの浸透性がないポリエチレンシートのような非浸透性の記録媒体も本実施形態において用いることができる。
本実施形態では、マルチパス記録方式に従って画像を形成する。以下にマルチパス記録方式について詳細に説明する。
図6は4回の記録走査により記録媒体上の単位領域内に記録を行う際に用いるマルチパス記録方式について示す図である。
また、図7は上述のマルチパス記録方式におけるそれぞれの記録走査において適用するマスクパターンについて説明するための図である。
インクを吐出する吐出口列22に設けられたそれぞれの吐出口30は、副走査方向に沿って4つの記録グループ201、202、203、204に分割される。
各マスクパターン221、222、223、224はそれぞれ複数のインクの吐出を定める記録許容画素とインクの非吐出を定める非記録許容画素が配置されることで構成されている。図7において、黒く塗りつぶされている箇所が記録許容画素を、白抜けで表されている箇所が非記録許容画素を表している。記録許容画素では入力された画像データがインクの吐出を表す画像データである場合に実際にインクを吐出する記録データに変換する。また、非記録許容画素では、インクの吐出を表す画像データが入力された場合であってもインクを吐出しない記録データに変換する。
なお、これらのマスクパターン221、222、223、224における記録許容画素は、それぞれ互いに異なる位置であり、且つ、それぞれの論理和が全画素となるような関係となる位置に配置されている。
以下は記録媒体上にデューティが100%の画像(以下、ベタ画像とも称する)を形成する例について説明する。
1回目の記録走査では、記録媒体3上の領域211に対して記録グループ201からマスクパターン221に従ってインクが吐出される。この結果、記録媒体上では図6のAに示す位置にインクが吐出される。
次に、記録媒体3を記録ヘッド7に対してY方向の上流側から下流側にL/4の距離だけ相対的に搬送する。
この後に2回目の記録走査を行う。2回目の記録走査では、記録媒体上の領域211に対しては記録グループ202からマスクパターン222に、領域212に対しては記録グループ203からマスクパターン221に従ってインクが吐出される。この2回目の記録走査の結果、記録媒体3には図6のBに示すような画像が形成される。
以下、記録ヘッド7の記録走査と記録媒体3の相対的な搬送を順次繰り返す。この結果、4回目の記録走査が行われた後には、記録媒体3のDの領域211ではすべての画素に相当する小領域に対してインクの吐出が完了し、ベタ画像が形成される。
なお以下の説明では、記録媒体における画素相当の領域を、単に「画素」として記載することがある。
図8は本実施形態における記録制御系の概略構成を示すブロック図である。
画像入力部であるホストコンピュータ301は、ハードディスク等の各種の記憶媒体に保存されているRGB形式の多値画像データを、画像記録装置300内の画像処理部に送信する。
画像処理部は、後述するMPU302、ASIC303等から構成されている。また、多値画像データは、ホストコンピュータ301に接続されたスキャナやデジタルカメラ等の外部の画像入力機器からも受け取ることができる。画像処理部は、入力された多値画像データに後述する画像処理を施して2値画像データに変換する。これにより、複数種類のインクを記録ヘッド7から吐出するための記録データである2値画像データが生成される。
画像出力部である画像記録装置300は、画像処理部で生成されたインクの2値画像データに基づいて、インクを記録媒体3に付与することで画像を記録する。画像記録装置300は、ROM304に記録されたプログラムに従ってMPU(Micro Processeor Unit)302により制御される。RAM305は、MPU302の作業領域や一時データ保存領域として機能する。MPU302は、ASIC303を介して、キャリッジ6の駆動系308、記録媒体3の搬送駆動系309、記録ヘッド7の回復駆動系310、および記録ヘッド7の駆動系311の制御を行う。
プリントバッファ306は、記録ヘッド7へ転送できる形式に変換された記録データを一時保管する。
マスクバッファ307には、記録データを記録ヘッド7に転送する際に適用するマスクパターンが一時的に保管されている。なお、マルチパス記録に用いる複数のマスクパターンはROM304内に用意され、実際の記録時に該当するマスクパターンがROM304から読み出されてマスクバッファ307に格納される。
なお、本実施形態では画像処理部は画像記録装置300に存在する形態について記載したが、ホストコンピュータ301に画像処理部が存在していても良い。
(特徴的構成)
本実施形態では、塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に弱いインク、塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に強いインクの順に記録媒体に付与されるようにインクの吐出順序を制御することで耐擦過性を向上させる。
以下にpH緩衝能が強いインクをpH緩衝能が弱いインクよりも先に付与することによる耐擦過性の向上に関する推定メカニズムについて詳細に記載する。
以下、簡単のためシアンインクを塩基性領域におけるpH緩衝能が弱い方のインク、ライトシアンインクを塩基性におけるpH緩衝能が強い方のインクであるとして記載する。
図9はシアンインク、ライトシアンインクの順に記録媒体上にインクを付与した際のインクの定着の過程を説明するための図である。
図9(a)はシアンインクを記録媒体上に付与した際のインクの様子を示す図である。本実施形態では記録媒体の紙面pHがシアンインクのpHよりも低いため、シアンインクを記録媒体に付与した際に酸析反応が発生し、シアンインクのインク滴52の表面上に分散樹脂からなるインク膜53が形成される。このインク膜53によりインク滴52に含まれる揮発成分の揮発が抑制され、乾燥が不十分な状態となっている。
図9(b)はシアンインクを先に付与した記録媒体上の領域に対し、ライトシアンインクを付与した直後のインクの様子を示す図である。ライトシアンインクを付与した直後において、シアンインクのインク膜53とライトシアンのインク滴54の接触部付近ではライトシアンインク内で最初から解離されているOH基が酸析反応により形成されたシアンインクのインク膜53に作用し、インク膜53の部分的な再溶解反応が発生する。更に、ライトシアンインクは塩基性領域におけるpH緩衝能が強いため、再溶解反応に使用されて減少したOH基を再び供給する性質が強い。このように、ライトシアンインクは供給できるOH基の量が多いため、インク膜53の再溶解反応を効果的に起こしていると考えられる。
図9(c)はライトシアンインクを付与し、インク膜の再溶解反応が進んだ際のインクの様子を示す図である。上述のインク膜53の再溶解反応がある程度進行すると、インク膜53に空隙が形成され、この空隙からシアンインクのインク滴52に含まれる揮発成分が揮発することが可能となる。したがって、インク層の内部に残存する揮発成分が少なくなり、十分に乾燥したインク滴から構成されたインク層により画像が形成されるため、耐擦過性が向上すると考えられる。
以下に吐出順序を制御したことによる耐擦過性向上の効果の検証方法を詳細に記載する。
図10は耐擦過性を評価するための試験方法を示す図である。
ここではISO12647−7 AppendixAに記載されている方法により耐擦過性の評価を行う。
2cm四方の正方形のベタ画像112を全8回の走査により記録した記録媒体3を凹凸のない平坦な場所に置き、画像表面にシルボン紙111(OZU CORPORATION TOKYO「クリーニングワイパー ダスパー」)を4枚重ねにして置く。その上から分銅110(160g/cm)を乗せ、分銅110が倒れないようにシルボン紙111を一定の速さ(15cm/秒程度)で図10中の矢印方向に滑らせる。ベタ画像112の記録が終了してから1分後と3分後に上記の手順を行い、記録媒体3上のベタ画像112の表面の乱れの程度とシルボン紙111への再転写の程度を評価した。画像形成後の定着性の評価点と評価基準を以下に示す。
(5点)
画像形成領域の変化はほとんどない。また、記録媒体上における画像が形成されていない領域(以下、紙白とよぶ)についても色材が引きずられたあとはほとんどなく、シルボン紙にも色材がほとんど転写していない。
(4点)
試験の前後で、画像形成領域に削れあとが若干見える。また、紙白については、画像形成領域と紙白の境界から紙白にシルボン紙を引きずった方向に沿って、色材が引きずられたことにより5mm以下の線が数本見える。また、シルボン紙への色材の転写は非常に少ないがよく観察すれば転写していることがわかる程度である。
(3点)
試験の前後で、画像形成領域に削れあとが見える。また、紙白については、画像形成領域と紙白の境界から紙白にシルボン紙を引きずった方向に沿って、色材が引きずられたことにより5mm以上の線が数本見える。また、シルボン紙への色材の転写については、画像形成部よりは薄いが色材が転写していることがわかる。
(2点)
試験の前後で、画像形成領域に削れあとがはっきりと見える。また、紙白については画像形成領域と紙白の境界から紙白にシルボン紙を引きずった方向に沿って、色材が引きずられたことにより5mm以上の線が多数見えるが、画像形成領域と紙白との境界は認識することができる。また、シルボン紙への色材の転写については、シルボン紙を引きずったあとの画像形成領域に残る色材量と同程度の色材がシルボン紙に転写している。
(1点)
試験の前後で、画像形成領域が削れ、記録媒体の下地(表面)が見える。また、紙白については画像形成領域と紙白の境界から紙白にシルボン紙を引きずった方向に沿って、その境界が不明瞭になるほど多くの5mm以上の線が見える。また、シルボン紙への色材の転写については、シルボン紙を引きずったあとの画像形成領域に残る色材量よりも、シルボン紙へ転写した色材の方が多い部分がある。
表2にシアンインク、ライトシアンインクの順に吐出して記録した画像と、ライトシアンインク、シアンインクの順に吐出して記録した画像のそれぞれに対して行った上述の耐擦過性の評価試験の結果を示す図である。
なお、いずれの画像においても評価するベタ画像としてシアンインクのデュ−ティが50%、ライトシアンインクのデュ−ティが50%の画像を使用した。
表2からわかるように、塩基性領域におけるpH緩衝能が強いライトシアンインク、塩基性領域におけるpH緩衝能が弱いシアンインクの順に記録した場合、記録された画像の耐擦過性は記録終了後1分で評価点3、3分後でも評価点3であった。
一方、塩基性領域におけるpH緩衝能が弱いシアンインク、塩基性領域におけるpH緩衝能が強いライトシアンインクの順に記録した場合、記録終了後1分で評価点5となり、記録された画像の耐擦過性が向上した。
この結果から、塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に弱いインク、塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に強いインクの順に吐出するように吐出順序を制御することの有効性を実験的に確認することができる。
以上の点を鑑み、本実施形態では複数のインクのうち少なくともシアンインクとライトシアンインクに関し、記録媒体上のすべての領域に対してシアンインク、ライトシアンインクの順に吐出されるように制御する。
図11は本実施形態におけるマルチパス記録方式について説明するための図である。
本実施形態では8回の記録走査によって記録媒体上の単位領域80に対して画像を完成させる方式を採用する。本実施形態において使用する記録ヘッド7のうち、シアンインクを吐出する吐出口列22Cとライトシアンインクを吐出する吐出口列22LCに配列されているそれぞれ1280個の吐出口は、記録グループA1から記録グループA8、および記録グループB1から記録グル―プB8の、それぞれ長さdを有する8つの記録グループに分割される。ここで、一つの記録グループに含まれる吐出口の個数は160個である。
ここで、記録媒体3上の単位領域80のY方向の長さは記録ヘッド7と記録媒体3とのY方向への1回の相対移動量に相当し、また、分割された吐出口列22C、22Yにおける一つの記録グループの長さdに相当する。また、単位領域80のX方向の長さは記録媒体3のX方向の長さに相当する。
まず、記録媒体3の単位領域80が位置80aにある際に、記録ヘッド7をX方向に走査しながら単位領域80に対し吐出口列22Cの記録グループA1および吐出口列22LCの記録グループB1に属する吐出口から後述するマスクパターンに従ってそれぞれのインクが吐出される。その後、記録媒体3はY方向に距離dに対応する距離だけ搬送されて、単位領域80は位置80bへと移動される。この搬送の後、先に記録グループA1および記録グループB1に属する吐出口からインクが吐出された記録媒体3上の単位領域80に対し、記録ヘッド7のX方向への走査を伴いながら吐出口列22Cの記録グループA2および吐出口列22LCの記録グループB2に属する吐出口からインクが吐出される。以降、このような距離dに対応する距離の記録媒体3の搬送を間に行いながら、記録媒体3上の単位領域80に対し記録ヘッド7を合計8回走査することにより画像を完成させる。
図12(a)は本実施形態のシアンインクを吐出する吐出口列22Cに適用するマスクパターンを示す図である。また、図12(b)は本実施形態のライトシアンインクを吐出する吐出口列22LCに適用するマスクパターンを示す図である。
シアンインクを吐出する吐出口列22Cの記録グループA1から記録グループA8までの記録グループには、それぞれマスクパターン61からマスクパターン68までのマスクパターンが適用される。
ここで、記録グループA1、A2、A3、A4の4つの記録グループに対応するマスクパターン61、62、63、64には、それぞれ全画素に対して25%の記録許容画素が配置される。なお、これらのマスクパターン61、62、63、64それぞれの記録許容画素は互いに異なる位置であり、且つ、それぞれの論理和が全画素となるような位置に配置されている。
一方、記録グループA5、A6、A7、A8の4つの記録グループに対応するマスクパターン65、66、67、68には記録許容画素は配置されていない。
このようなマスクパターンを適用することにより、シアンインクは1回目から4回目までの前半の記録走査ではそれぞれ単位領域内の全画素に対して25%の吐出量ずつ吐出され、5回目から8回目までの後半の記録走査では吐出されない。したがって4回目までの記録走査によって記録媒体上の単位領域内のすべての吐出可能な位置にシアンインクを付与することができる。
一方、ライトシアンインクを吐出する吐出口列22LCの記録グループB1からB8までの記録グループに対しては、それぞれマスクパターン71からマスクパターン78までのマスクパターンが適用される。
ここで、シアンインクを吐出する吐出口列22Cにおけるそれぞれの記録グループとは逆に、記録グループB1、B2、B3、B4の4つの記録グループに対応するマスクパターン71、72、73、74には記録許容画素は配置されていない。
更に、記録グループB5、B6、B7、B8の4つの記録グル―プに対応するマスクパターン75、76、77、78には、それぞれ単位領域内の全画素に対して25%の記録許容画素が配置される。マスクパターン75、76、77、78の記録許容画素は、それぞれ互いに異なる位置であり、且つ、それぞれの論理和が全画素となるような位置に配置されている。すなわち、マスクパターン75はマスクパターン61と、マスクパターン76はマスクパターン62と、マスクパターン77はマスクパターン63と、マスクパターン78はマスクパターン64とそれぞれ同じ模様となっている。
なお、ライトシアンインクを吐出する5回目から8回目までの記録走査のそれぞれでは、一つの走査に対応する記録グループに適用されるマスクパターンの記録許容画素は、その走査より前のシアンインクを吐出する走査に対応する記録グループに適用されるマスクパターンの記録許容画素の論理和により得られる記録許容画素と同じ位置に配置される。具体的には、記録グループA1、A2、A3、A4に適用されるマスクパターンの記録許容画素の論理和は全画素となるため、記録グループB5、B6、B7、B8のそれぞれに適用されるマスクパターンは必ず該論理和より得られる記録許容画素と同じ位置に配置されている。
したがって、ライトシアンインクは1回目から4回目までの前半の記録走査では吐出されず、5回目から8回目までの後半の記録走査ではそれぞれ単位領域内の全画素に対して25%の吐出量ずつ吐出が行われる。このような構成によって、ライトシアンインクは必ず以前の走査にてシアンインクが付与された位置に吐出され、8回目の記録走査の後には、すべての位置(100%)にライトシアンインクが吐出される。
図12(a)、(b)に記載した構成によれば、記録媒体の単位領域に対する8回の記録走査のうち、1回目から4回目までの記録走査ではライトシアンインクを吐出せずにシアンインクを吐出し、5回目から8回目までの記録走査ではシアンインクを吐出せずにライトシアンインクを吐出することが可能となる。
図13は本実施形態の画像処理部における画像処理の過程を説明するためのフローチャートである。
色変換処理ステップS31では、画像入力部であるホストコンピュータ301から取得されたRGB形式の多値データが、記録に用いるインクの色に対応する多値データに変換される。
次に、2値化処理ステップS32では、色変換処理ステップS31にて変換されたインクの色に対応する多値データのそれぞれが、記憶されていたパターンに従って2値の画像データに展開される。この2値化処理により、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ライトシアンインク、ライトマゼンタインクのそれぞれを吐出するための2値データが生成される。
第1選択処理ステップS33Cでは、2値化処理ステップS32により生成されたそれぞれのインクに対応する2値データからシアンインクを吐出するための2値データを選択する。選択されたシアンインクを吐出するための2値画像データは前半マスクパターン設定処理ステップS34へ伝送され、上述したマスクパターンが設定される。
第2選択処理ステップS33LCでは、第1選択処理ステップにて選択されなかった2値画像データの中からライトシアンインクを吐出するためのデータを選択し、後半マスクパターン設定処理ステップS35へと伝送する。伝送されたライトシアンインクを吐出するためのデータは後半マスクパターン設定処理ステップS35にて上述のマスクパターンが設定される。
第1選択処理ステップS33Cおよび第2選択処理ステップS33LCで選択されなかったブラックインク、マゼンタインク、イエローインク、ライトマゼンタインクを吐出するための2値画像データはフラットマスクパターン設定処理ステップS36へと伝送される。そしてこれに8回の走査のそれぞれで均等な割合で記録許容画素が配置されたフラットマスクパターンが設定される。
更に、記録データ生成処理ステップS37では、前半マスクパターン設定処理ステップS34、後半マスクパターン設定処理ステップS35およびフラットマスクパターン設定処理ステップS36においてそれぞれの2値画像データに設定されたマスクパターンを用いてマスクパターン処理を行う。以上により、それぞれのインクに関して複数回の記録走査に分配された記録データを生成する。
このように生成された記録データに基づき、画像記録装置300の記録ヘッド7からインクの吐出を実行し、画像を形成する。
以上の構成によれば、どの記録走査においても、記録媒体上に先に定着したシアンインクにより形成されたインク層の表面上にライトシアンインクが吐出される。したがって、酸析反応により形成されるシアンインクのインク膜を塩基性領域におけるpH緩衝能の強いライトシアンインクにより再溶解させながら記録することができるので、耐擦過性に優れた画像を記録することが可能となる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、複数の記録走査のうちの前半の記録走査のみでシアンインクを、後半の記録走査のみでライトシアンインクを吐出する形態について記載した。
これに対し、本実施形態では複数の記録走査のうちの一部の記録走査でシアンインクとライトシアンインクを同じ記録走査にて吐出する形態について記載する。
なお、前述した第1の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
図14(a)は本実施形態のシアンインクを吐出する吐出口列22Cに適用するマスクパターンを示す図である。また、図14(b)は本実施形態のライトシアンインクを吐出する吐出口列22LCに適用するマスクパターンを示す図である。
シアンインクを吐出する吐出口列22Cの、1回目の走査で用いられる記録グル―プA1から8回目の走査で用いられる記録グループA8までの記録ヘッドには、それぞれマスクパターン81からマスクパターン88までのマスクパターンが適用される。
ここで、マスクパターン81、82には記録許容比率が12.5%となるように、また、マスクパターン83、84、85には記録許容比率が25%となるように記録許容画素が配置されている。また、マスクパターン86、87、88には記録許容画素は配置されていない。
なお、マスクパターン81からマスクパターン85までのマスクパターンの記録許容画素は、それぞれ排他的な位置であり、且つ、それぞれの論理和が全画素となるような位置に配置されている。
また、ライトシアンインクを吐出する吐出口列22LCの記録グループB1から記録グループB8までの記録ヘッドには、マスクパターン91からマスクパターン98までのマスクパターンがそれぞれ適用される。
マスクパターン94、95、96には記録許容比率が25%となるように、また、マスクパターン97、98には記録許容比率が12.5%となるように記録許容画素が配置されている。また、マスクパターン91、92には記録許容比率が配置されていない。
また、マスクパターン83とマスクパターン95、マスクパターン84とマスクパターン96は、それぞれ同じ位置に記録許容画素が配置されている。更に、マスクパターン81とマスクパターン82に配置された記録許容画素の論理和は、マスクパターン94に配置された記録許容画素と一致する。同様に、マスクパターン97とマスクパターン98に配置された記録許容画素の論理和はマスクパターン85に配置された記録許容画素と一致する。
なお、本実施形態においても、ライトシアンインクを吐出する4回目から8回目までの記録走査のそれぞれでは、その走査に対応する記録グループに適用されるマスクパターンの記録許容画素は、その走査より前のシアンインクを吐出する走査に対応する記録グループに適用されるマスクパターンの記録許容画素の論理和により得られる記録許容画素と同じ位置に配置される。例えばライトシアンインクを吐出する4回目の記録走査に対応する記録グループB4に適用されるマスクパターン94内の記録許容画素は、シアンインクを吐出する1、2回目の記録走査に対応する記録グループA1、A2に適用されるマスクパターン81の記録許容画素の論理和から得られる記録許容画素と同じ位置に配置されている。すなわち、4回目のライトシアンインクを吐出する記録走査に対応するマスクパターン94におけるすべての記録許容画素は、シアンインクを吐出する3回目までの記録走査に対応するマスクパターン81、82、83における記録許容画素の論理和から得られる記録許容画素に含まれていることがわかる。
したがって、1、2、3回目の記録走査ではライトシアンインクは吐出されず、シアンインクのみが吐出される。4回目の記録走査では1、2回目の記録走査でシアンインクが付与された記録媒体上の位置に対してライトシアンインクが吐出される。5回目の記録走査では、3回目の走査でシアンインクが付与された領域に対してライトシアンインクが吐出される。また、5回目の記録走査までの記録走査によって、すべての画素に対するシアンインクの吐出は終わっている。更に6、7、8回目の記録走査ではシアンインクは吐出されず、既に記録媒体上にシアンインクが付与された位置に対してライトシアンインクが吐出される。
以上の構成によれば、ライトシアンインクとシアンインクをどちらも吐出する記録走査があっても、第1の実施形態と同様に、記録媒体上のすべての画素においてシアンインク、ライトシアンインクの順にインクを付与することができる。そのため、画質の低下を抑制することが可能となる。
更に、第1の実施形態と比較して、それぞれのインクを吐出する記録走査の回数が増えるため、マルチパス記録方式による効果を好適に得ることができる。
また、吐出口列の端に位置する記録グループA1、記録グループB8の吐出量を減らすことができるため、インクの吐出に伴って発生する気流の影響を受け易い端部の吐出口から吐出されるインク滴の着弾位置ずれを抑制することも併せて可能となる。
なお、以上に説明した第1、第2の実施形態では、記録媒体上のすべての単位領域において塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に強いインクが塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に弱いインクよりも後に吐出される形態を記載したが、必ずしもすべての領域で塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に強いインクが後に吐出される必要はない。少なくとも塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に強いインクが後に吐出される記録媒体上の領域が塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に弱いインクが後に吐出される記録媒体上の領域よりも多くなるように吐出すれば十分に効果を奏すると考えられる。
更に、記録媒体上で第2、第1のインクの順に吐出され形成されたドットの面積が記録媒体上で第1、第2のインクの順に吐出され形成されたドットの面積よりも広くなるように吐出しても良い。
また、第1、第2の実施形態では、互いにY方向に対応する位置に配置された第1、第2の吐出口列により構成された記録ヘッドを用い、第1の吐出口列の片方の端部(ここでは上流側)の所定数の吐出口と、第2の吐出口列の片方の端部(ここでは下流側)の所定数の吐出口とを使用しない形態を記載した。しかしながら、このような形態に限定されることなく、インクの吐出順序を制御できる他の構成でも実施可能である。例えば、第1の吐出口列と第2の吐出口列がY方向にずれて配置された記録ヘッドを用い、第1、第2の吐出口列のすべての吐出口を使用する形態であっても良い。
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態では複数のインクのうちシアンインク、ライトシアンインクのみに着目し、2つのインクの塩基性領域におけるpH緩衝能の強弱に応じてシアンインク、ライトシアンインクの吐出順序を決定する形態を記載した。
これに対し、本実施形態ではすべてのインクの塩基性領域におけるpH緩衝能の強さを考慮して、それぞれのインクの吐出順序を決定する形態について記載する。
なお、前述した第1、第2の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
図15は本実施形態の画像処理部における画像処理の過程を説明するためのブロック図である。本実施形態はS803にてすべてのインクを塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に強いインクと塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に弱いインクとに分類する。さらに、塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に弱いインクに対してはS805にて後半マスクパターンを、塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に強いインクに対してはS804にて前半マスクパターンを設定し、記録を行う。
ここで、pH緩衝能が相対的に強いインクとpH緩衝能が相対的に弱いインクとの分類は適宜決定することができる。例えば、それぞれのインクにおけるpHが7になるまでに滴下した塩酸水溶液の量と予めROM等に格納された所定の閾値とを比較して決定しても良い。また、それぞれのインクにおけるpHが7になるまでに滴下した塩酸水溶液の量が相対的に多いインクと相対的に少ないインクと所定の比率でもって分配することで決定しても良い。本実施形態では、表1からライトシアンインク、ライトマゼンタインクをpH緩衝能が相対的に強いインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクをpH緩衝能が相対的に弱いインクとして決定する。また、前半マスクパターン、後半マスクパターンとしては図12に記載したマスクパターンをそれぞれ適用する。
本実施形態によれば、複数のインクのうちの塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に弱いインクをすべて付与し終わった後に塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に強いインクを付与することができる。したがって、耐擦過性をより向上させることが可能となる。
なお、第3の実施形態には複数のインクをpH緩衝能の強さに応じて2つのグループに分け、前半マスクパターンと後半マスクパターンとをそれぞれ設定する形態について記載した。しかし、本実施形態は2つのグループに分割する形態のみに限定されるものではなく、分割するグループの数は適宜決定することができる。その場合でもグループ毎に順番に吐出すれば良い。
(第4の実施形態)
第1から第3の実施形態では、トリエタノールアミンが添加されることにより塩基性におけるpH緩衝能を有するインクを使用する形態について記載した。
本実施形態では、トリエタノールアミンではなく、炭酸ナトリウムが添加されることにより塩基性におけるpH緩衝能を有するインクを使用する形態について記載する。
なお、前述した第1、第2の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
(インクの組成)
本実施形態で用いるインクの組成について説明する。本実施形態はシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクの4色のインクを用いる。夫々のインクの分散液の作製、インクの作製方法は第1の実施形態のシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクと同様であるが、インクに添加する成分が異なっている。本実施形態に特徴的な添加剤として、それぞれのインクには弱塩基性を示す物質である炭酸ナトリウムが添加されている。表3に本実施形態のインクの組成について示す。
表5より、イエローインクはpH値が7になるまでの塩酸滴下量が2.1ml必要であるのに対し、他のインクはpH値が7になるまでの塩酸滴下量が0.2〜0.3mlとイエローインクと比べて少ないことが分かる。よって、炭酸ナトリウムを添加したイエローインクは塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に強く、炭酸ナトリウムを添加していないシアンインク、マゼンタインク、ブラックインクは塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に弱いと言える。したがって、本実施形態で使用するインクのうち、イエローインクはアルカリpH緩衝能が相対的に強いインクグループ、シアンインク、マゼンタインク、ブラックインクはアルカリpH緩衝能が相対的に弱いインクグループに分類する。
したがって、第3の実施形態と同様の処理を行い、イエローインクには後半マスクパターンを、シアンインク、マゼンタインク、ブラックインクには前半マスクパターンをそれぞれ設定し、記録を行う。
本実施形態によれば、炭酸ナトリウムの添加量の違いにより塩基性領域におけるpH緩衝能に差が生じている場合であっても、対擦過性の低下を抑制することができる。
(第5の実施形態)
第1から第4の実施形態では、記録媒体上の単位領域に対して複数回の記録走査によって記録を行う、いわゆるマルチパス記録方式の記録装置において、複数のインクの吐出順序を制御する方法について記載した。
これに対し、本実施形態では、記録媒体の幅方向の全域に対応した長さを有するそれぞれのインクに対応する記録ヘッドを複数用い、記録ヘッドと記録媒体との相対的な記録走査を1回行うことで記録を行う記録装置において、複数のインクの吐出順序を制御する。
なお、前述した第1の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
図16は、本実施形態に係る記録装置の内部の構成を部分的に示す側面図である。
6つの記録ヘッド220C、220M、220Y、220K、220LC、220LMには、それぞれシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、ライトシアンインク、ライトマゼンタインクを吐出する所定数の吐出口(不図示)がZ方向に配列されている。それぞれの吐出口列のZ方向の長さは、記録媒体3上のZ方向の全域に記録を行うことが可能なように、記録媒体3のZ方向の長さ以上である。
搬送ベルト400は、記録媒体3を搬送するベルトである。また、搬送ベルト400は給送部401と排送部402とによってZ方向と交差するW方向に回転される。
記録媒体3は、給送部401により給送され、搬送ベルト400によりW方向に搬送される。
本実施形態における記録ヘッドは、W方向の上流側から記録ヘッド220K、記録ヘッド220C、記録ヘッド220M、記録ヘッド220Y、記録ヘッド220LC、記録ヘッド220LMの順に並んで配置されている。
したがって、塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に弱いブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクが記録媒体の単位領域に対してインクが付与された後に、塩基性領域におけるpH緩衝能が相対的に強いライトシアンインク、ライトマゼンタインクを付与することができる。
以上の構成によれば、記録媒体上の単位領域に対して1回の記録走査にて記録を行う記録装置であっても、塩基性領域におけるpH緩衝能の強さに応じて好ましい吐出順序とすることができ、画像の耐擦過性を向上することが可能となる。
更に、1回の記録走査で画像を完成することができるため、記録時間の短縮化を達成することも可能となる。
なお、本実施形態で用いた吐出口列のZ方向の長さは記録媒体の幅に相当する長さであったが、短尺な吐出口列をZ方向に複数配列することで長尺化を行った、いわゆるつなぎヘッドを記録ヘッドとして使用することも可能である。
また、本実施形態では塩基性領域におけるpH緩衝能の強さに応じて複数のインクを2つのグループに分け、pH緩衝能が相対的に弱いグループに属するインクを吐出する記録ヘッドをW方向の上流側に、pH緩衝能が相対的に強いグループに属するインクを吐出する記録ヘッドをW方向の下流側に配置する形態について記載した。しかしながらこのような形態に限定されるものではなく、例えば、pH緩衝能が弱いインクを吐出する記録ヘッドから順番にW方向の上流側から配置するような形態であっても良い。
なお、以上で説明した各実施形態では、トリエタノールアミン又は炭酸ナトリウムを添加することによって生じた塩基性領域におけるpH緩衝能によって酸析反応により形成されるインク膜を再溶解する形態について記載した。しかしながら本発明はトリエタノール又は炭酸ナトリウムを含有するインクを使用する形態に限定されるものではなく、pH緩衝剤を含有し、塩基性領域におけるpH緩衝能を有するインクを使用する形態であれば適用することが可能である。その中でも特に好適に用いることができるpH緩衝剤としては、アンモニウム、有機アミン、アミノ酸のいずれかの塩があげられる。より具体的には、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、リシン等のアミノ酸、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の有機アミンの塩である。なかでも、アンモニウム塩は水に対する溶解性が高いためより好ましい。有機アミンの塩を構成する酸としては、ポリリン酸、ジカルボン酸、ポリアミノカルボン酸、アルドン酸、ヒドロキシカルボン酸のアンモニウム塩、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩酸アンモニウム等があげられる。なかでも、ピロリン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸等のポリリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸等のジカルボン酸、ジカルボン酸類、エチレンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、ニトリロトリ酢酸等のポリアミノカルボン酸、グリコール酸、グリセリン酸、グルコン酸、ガラクトン酸、グルコヘプトン酸等のアルドン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、グリセリン酸、マンデル酸、酒石酸等のヒドロキシカルボン酸のアンモニウム塩は、こげを防止する効果もあり好ましい。なかでも、クエン酸のアンモニウム塩、グルコン酸のアンモニウム塩が、コゲ防止効果およびその高い溶解性のため、特に好ましい。
また、以上に説明した各実施形態では、記録媒体の紙面pHがインクのpHよりも低いためにインク内の分散樹脂の酸析反応が発生する形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。たとえば、インクを付与する前に反応液を付与する形態であって、記録媒体上に定着した反応液の層の表面のpHがインクのpHよりも低い形態であっても、分散樹脂の酸析反応は発生し得、各実施形態によるインクの吐出順序によって抑制できる。 また、以上に説明した各実施形態では、塩基性領域におけるpH緩衝能の強さに応じてインクの吐出順序を制御する形態を記載したが、他の形態による実施も可能である。以下では他の要因によりインクの吐出順序を制御する形態について述べる。図1(b)にて示したような酸析反応によってインク膜が形成された場合、OH基がインク膜の再溶解を促すことは既に述べた。つまり、供給するOH基の量が多ければインク膜の再溶解反応は生じるため、強塩基性のインクを使用する場合でもインクの吐出順序の制御による酸析反応によるインク膜の再溶解は可能である。よって以下の形態では、塩基性が弱いインク、塩基性が強いインクの順にインクが吐出される記録媒体上の領域が、塩基性が強いインク、塩基性が弱いインクの順にインクが吐出される記録媒体上の領域よりも多くなるようにインクの吐出順序を制御する。これにより、塩基性が弱いインクにより構成される下層の表面上に付与される塩基性が強いインクが下層に形成されたインク膜の再溶解を促すので、各実施形態で説明した効果と同様の効果を得られる。
また、本発明では有色のインクを用いて説明したが、インクに色が付いている必要性はない。例えば、色材が添加されていない無色のインクにも適用することが可能である。
また、以上に説明した各実施形態では、記録媒体としてインク吸収性の低い塗光紙を使用した。しかし、低吸収性媒体に限定されず、例えば塩化ビニール媒体などの非吸収性媒体においても効果を得ることができる。
また、以上で説明した第1から第4の実施形態ではマスクパターンを使用してインクの吐出の順序の制御を行っているが、本発明はそれぞれの画素ごとに記録を行うことが可能な手段を有していれば十分に適用することができ、その手段はマスクパターンに限定されるものではない。例えば、X方向に並ぶ画素列ごとに振りまき回路により記録データをそれぞれ複数の記録走査に対応する複数のバッファにシーケンシャルに振りまくことにより、各画素の記録をいずれの記録走査で記録するかを決定することによってインクの吐出の順序の制御を行う形態でも本発明の効果を得ることができる。
3 記録媒体
7 記録ヘッド
52、54 インク滴
53 インク膜
304 ROM

Claims (24)

  1. それぞれ顔料を含有する第1のインクおよび第2のインクを少なくとも吐出する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドと記録媒体とを走査方向に相対的に走査させる走査手段と、
    前記走査手段による走査をさせながら、前記記録媒体上の単位領域内に複数含まれる画素相当の小領域に対して前記記録ヘッドから前記第1、第2のインクを吐出するように制御する制御手段と、を備える画像記録装置であって、
    前記第2のインクは、前記第1のインクよりも塩基性領域におけるpH緩衝能が強く、
    前記制御手段は、前記第1、第2のインクのいずれもが吐出される前記単位領域内の前記小領域のうち、前記第2のインクが前記第1のインクよりも後に吐出される前記単位領域内の前記小領域が、前記第1のインクが前記第2のインクよりも後に吐出される前記単位領域内の前記小領域よりも多くなるように前記第1、第2のインクの吐出を制御することを特徴とする画像記録装置。
  2. 前記走査手段は、前記記録ヘッドを前記単位領域に対して複数回、前記走査方向に走査させ、
    前記制御手段は、前記第1、第2のインクのいずれもが吐出される前記単位領域内の前記小領域のうち、前記第2のインクが前記第1のインクよりも後の走査にて吐出される前記単位領域内の前記小領域が、前記第1のインクが前記第2のインクよりも後の走査にて吐出される前記単位領域内の前記小領域よりも多くなるように前記第1、第2インクの吐出を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
  3. 前記制御手段は、前記第1、第2のインクのいずれもが吐出される前記単位領域内の前記小領域のうち、前記単位領域内のいずれの前記小領域に対しても前記第2のインクが前記第1のインクよりも後に吐出されるように前記第1、第2のインクの吐出を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像記録装置。
  4. 前記走査手段は、前記記録ヘッドを前記単位領域に対して複数回、前記走査方向に走査させ、
    前記制御手段は、前記第1、第2のインクのいずれもが吐出される前記単位領域内の前記小領域のうち、前記記録媒体上の単位領域内のいずれの前記小領域に対しても前記第2のインクが前記第1のインクよりも後の走査にて吐出されるように前記第1、第2のインクの吐出を制御することを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
  5. 前記第1、第2のインクは、それぞれpHが8.5以上9.5以下の値を示すことを特徴する請求項1から4のいずれか1項に記載の画像記録装置。
  6. 50mlの前記第2のインクに対し1規定の塩酸水溶液を1ml添加した際のpHの値の変化は、1.5以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像記録装置。
  7. 50mlの前記第2のインクに対し1規定の塩酸水溶液を1ml添加した際のpHの値の変化は、1.0以下であることを特徴とする請求項6に記載の画像記録装置。
  8. 前記第1、第2のインクは、それぞれ有機アミンを含有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の画像記録装置。
  9. 前記有機アミンはトリエタノールアミンであることを特徴とする請求項8に記載の画像記録装置。
  10. 前記第1、第2のインクは、それぞれアニオン性基によって分散又は溶解している色材を含有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の画像記録装置。
  11. 前記記録ヘッドは、顔料を含有し、塩基性領域におけるpH緩衝能が前記第2のインクよりも強い第3のインクを更に吐出可能であり、
    前記制御手段は、前記第2、第3のインクのいずれもが吐出される前記単位領域内の前記小領域のうち、前記第3のインクが前記第2のインクよりも後に吐出される前記単位領域内の前記小領域が、前記第2のインクが前記第3のインクよりも後に吐出される前記単位領域内の前記小領域よりも多くなるように前記第2、第3のインクの吐出を制御することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の画像記録装置。
  12. 前記記録媒体を、前記記録ヘッドの所定の前記走査と前記所定の走査の次の前記走査の間に前記走査方向と交差する搬送方向に上流側から下流側に搬送する搬送手段を更に備え、
    前記記録ヘッドは、前記第1のインクを吐出する複数の吐出口が配列された第1の吐出口列と、前記第2のインクを吐出する複数の吐出口が配列された第2の吐出口列とを有し、
    前記第2の吐出口列は、前記第1の吐出口列に対して前記走査方向に異なる位置であり、前記下流側にずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の画像記録装置。
  13. 前記記録媒体を、前記記録ヘッドの所定の前記走査と前記所定の走査の次の前記走査の間に前記走査方向と交差する搬送方向に上流側から下流側に搬送する搬送手段を更に備え、
    前記記録ヘッドは、前記第1のインクを吐出する複数の吐出口が配列された第1の吐出口列と、前記第2のインクを吐出する複数の吐出口が配列された第2の吐出口列とを有し、
    前記第1および第2の吐出口列は、前記走査方向に異なる位置であり、前記搬送方向に対応する位置に配置されており、
    前記第1の吐出口列の前記下流側の端部に配列された所定数の吐出口と前記第2の吐出口列の前記上流側の端部に配列された所定数の吐出口を記録に使用しないことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の画像記録装置。
  14. 前記制御手段は、画像のデータに記録許容画素と非記録許容画素が配置されたマスクパターンを適用することにより前記第1、第2のインクの吐出を制御し、
    前記第2の吐出口列の所定の前記走査において所定数の吐出口に適用されるマスクパターンに配置された前記記録許容画素の位置は、前記第1の吐出口列の前記所定の走査よりも後の前記走査において所定数の吐出口に適用されるマスクパターンに配置された前記記録許容画素の位置と同じであることを特徴とする請求項12または13に記載の画像記録装置。
  15. 前記記録媒体は、前記第1および第2のインクに対するブリストー法によるインクの1秒間における転移量が20ml・m−2以下の記録媒体であることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の画像記録装置。
  16. 前記記録媒体の紙面pHは、前記第1のインクのpHよりも低い値を示すことを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の画像記録装置。
  17. それぞれ顔料を含有する複数のインクを吐出する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドと記録媒体とを走査方向に相対的に走査させる走査手段と、
    前記走査手段による走査をさせながら、前記記録媒体上の単位領域内に複数含まれる画素相当の小領域に対して前記記録ヘッドから前記複数のインクを吐出するように制御する制御手段と、を備える画像記録装置であって、
    前記複数のインクは、第1のインクグループと、前記第1のインクグループに属するいずれのインクよりも塩基性領域におけるpH緩衝能が強い第2のインクグループと、に分類され、
    前記制御手段は、前記第1のインクグル―プに属するインク、前記第2のインクグループに属するインクのいずれもが吐出される前記単位領域内の前記小領域のうち、前記第2のインクグループに属するインクが前記第1のインクグループに属するインクよりも後に吐出される前記単位領域内の前記小領域が、前記第1のインクグループに属するインクが前記第2のインクグループに属するインクよりも後に吐出される前記単位領域内の前記小領域よりも多くなるように前記複数のインクの吐出を制御することを特徴とする画像記録装置。
  18. それぞれ顔料を含有する第1のインクおよび第2のインクを少なくとも吐出する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドと記録媒体とを走査方向に相対的に走査させる走査手段と、
    前記走査手段による走査をさせながら、前記記録媒体上の単位領域内に複数含まれる画素相当の小領域に対して前記記録ヘッドから前記第1、第2のインクを吐出するように制御する制御手段と、を備える画像記録装置であって、
    前記第2のインクの前記記録媒体上に吐出された前記第1のインクにおいて酸析反応により形成されたインクの膜を再溶解させる作用は、前記第1のインクの前記記録媒体上に吐出された前記第2のインクにおいて酸析反応により形成されたインクの膜を再溶解させる作用よりも強く、
    前記制御手段は、前記第1、第2のインクのいずれもが吐出される前記単位領域内の前記小領域のうち、前記第2のインクが前記第1のインクよりも後に吐出される前記単位領域内の前記小領域が、前記第1のインクが前記第2のインクよりも後に吐出される前記単位領域内の前記小領域よりも多くなるように前記第1、第2のインクの吐出を制御することを特徴とする画像記録装置。
  19. それぞれ顔料を含有する第1のインクおよび第2のインクを少なくとも吐出する記録ヘッドの記録媒体上の単位領域に対する走査方向への複数回の相対的な走査を行いながら、
    前記単位領域内に複数含まれる画素相当の小領域のそれぞれに設定された、インクの吐出を決定する記録データを生成するための画像処理装置であって、
    前記単位領域内の複数の前記小領域それぞれに対し前記第1のインクを吐出または非吐出を定め、前記複数回の走査において前記単位領域内に記録すべき前記第1のインクの画像に対応する第1の2値データと、前記単位領域内の複数の前記小領域それぞれに対し前記第2のインクを吐出または非吐出を定め、前記複数回の走査において前記単位領域内に記録すべき前記第2のインクの画像に対応する第2の2値データと、を取得する取得手段と、
    前記複数回の走査のそれぞれに対応し、記録許容画素と非記録許容画素とが配置された複数の第1、第2のマスクパターンを有し、前記第1、第2のマスクパターンに基づいて前記第1、第2の2値データから前記複数回の走査のそれぞれに対応する複数の前記記録データを生成する生成手段と、を備え、
    前記第2のインクは、前記第1のインクよりも塩基性領域におけるpH緩衝能が強く、
    前記第1、第2のマスクパターンは、前記複数回の走査のうちの少なくとも前記第2のインクを吐出する所定の走査より前の走査のそれぞれに対応する前記第1のマスクパターンに配置された前記記録許容画素の論理和により得られる記録許容画素と同じ位置に配置された前記所定の走査に対応する前記第2のマスクパターン内の前記記録許容画素の数が、前記所定の走査より前の走査のそれぞれに対応する前記第2のマスクパターンに配置された前記記録許容画素の論理和により得られる記録許容画素と同じ位置に配置された前記所定の走査に対応する前記第1のマスクパターン内の前記記録許容画素の数よりも多くなるように、前記記録許容画素が配置されていることを特徴とする画像処理装置。
  20. 前記第1、第2のインクは、それぞれpHが8.5以上9.5以下の値を示すことを特徴する請求項19に記載の画像処理装置。
  21. 50mlの前記第2のインクに対し1規定の塩酸水溶液を1ml添加した際のpHの値の変化は、1.5以下であることを特徴とする請求項19または20に記載の画像処理装置。
  22. 前記第1、第2のインクは、それぞれ有機アミンを含有することを特徴とする請求項19から21のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  23. コンピュータに読み取られることにより、当該コンピュータを請求項19から22のいずれかに記載の画像処理装置として機能させることを特徴とするプログラム。
  24. それぞれ顔料を含有する第1のインクおよび第2のインクを少なくとも吐出する記録ヘッドと記録媒体とを走査方向に相対的に走査させながら、前記記録媒体上の単位領域内に複数含まれる画素相当の小領域に対して前記記録ヘッドから前記第1、第2のインクを吐出する画像記録方法であって、
    前記第2のインクは、前記第1のインクよりも塩基性領域におけるpH緩衝能が強く、
    前記第1、第2のインクのいずれもが吐出される前記単位領域内の前記小領域のうち、前記第2のインクが前記第1のインクよりも後に吐出される前記単位領域内の前記小領域が、前記第1のインクが前記第2のインクよりも後に吐出される前記単位領域内の前記小領域よりも多くなるように前記第1、第2のインクを吐出することを特徴とする画像記録方法。
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