JP2010143134A - インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット記録装置において粒子径の大きな顔料インクを用いる場合にも、記録画像の発色性を高めることが可能なインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法の提供を目的とする。
【解決手段】粒子径の異なる複数種類の顔料インクの中の2種類以上の顔料インクにおいて、粒子径の大きい顔料インクを粒子径の小さい顔料インクより先に前記記録媒体に付与する。
【選択図】図3

Description

本発明は、複数種類の顔料インクを吐出する記録手段を記録媒体に対し相対的に移動させながら記録を行うインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方式は、記録信号に応じて記録ヘッドに配列された複数のノズルからインク滴を吐出させ、吐出されたンクが記録媒体に着弾することにより記録がなされるものであり、ランニングコストが低く、ノンインパクトで静かな記録方式である。このため、インクジェット記録方式を用いたインクジェット記録装置は、プリンタ、複写機、ファクシミリ、ワードプロセッサ等に広く実用化されている。
現在、一般的に使用されているインクジェット記録装置としては、記録手段である記録ヘッドを搭載可能なキャリッジと、記録媒体を搬送する搬送手段と、これらを制御するための制御手段とを備えた、所謂シリアル型のインクジェット記録装置が知られている。この種の記録装置は、記録ヘッドに配列された複数の吐出口からインク滴を吐出させつつキャリッジを主走査方向に移動させる記録走査と、主走査方向と直交する副走査方向に記録媒体を所定量ずつ搬送する搬送動作とを繰り返して1枚の記録媒体に画像を記録する。
この他、使用する記録媒体の幅以上の幅に亘ってノズルを配列した長尺な記録ヘッドを用い、この記録ヘッドのノズルの配列方向と直交する方向に記録媒体を搬送しつつ記録を行う、所謂フルライン型のインクジェット記録装置も知られている。
このように、インクジェット記録装置は、実施するにあたって特別に複雑な機構を必要としないため、装置の小型化、カラー化等が比較的容易で、特に近年では、複数色のインクを用いた、カラー記録装置に応用した製品も数多く実用化されている。
また、インクジェット記録装置では、インクを吐出するための方式も様々なものがある。例えばインクを吐出するための吐出口近傍のインク路に発熱素子を設け、この発熱素子が発生する熱エネルギによってインク中に膜沸騰を生じさせ、この膜沸騰による気泡の急激な生成圧力によって、インクを吐出する方法が挙げられる。
図10は、上記方式を採用した一般的な記録ヘッドを、インクが吐出される方向から示した概念図である。ここでは、異なる色相のインクが吐出可能な複数(ここでは6個)の記録ヘッドを、図示のように主走査方向(矢印の方向)に並設することにより、カラー画像の記録にも対応し得るものとなっている。各記録ヘッドには、約20μmのピッチで1280個のノズルが配列されており、1200dpi(dot/inch;参考値)の解像度の画像を、高速に記録することが可能となっている。
上記のような記録ヘッドにインクを供給する方法としては主に2つの方法がある。一つは、キャリッジにインクが貯留されたインクタンクを搭載し、このインクタンクから記録ヘッドに直接的にインクを供給するものである。もう一つは、供給チューブと呼ばれるチューブを用いてインクを貯留したタンクと記録ヘッドとの間を連結してインクを供給するものである。前者は本体装置を比較的簡易に構成することが可能なため、家庭用や、持ち運びが容易な比較的小型な記録装置において多く適用されている。これに対し後者は、キャリッジにインクタンクを搭載する必要がないため、大容量のインクタンクを用いることが可能となり、プリントボリュームが多いオフィスやプロフェッショナルユース向けの大型な記録装置に多く適用されている。
図11はこのようなチューブ供給による供給システムを含めた記録装置の一例を模式的に示す図である。図示の記録装置は、異なる6種類の液状のインクを貯留する6個のインクタンク201a〜201fを備えている。本実施形態では、イエロー、マゼンタ、淡マゼンタ、シアン、淡シアン、ブラックの6種類のインクが各インクタンク内にそれぞれ貯留されている。また、インクタンク201a〜201fには柔軟性を有する6本の供給チューブ202がそれぞれ連結されており、これらの供給チューブ202を介して、キャリッジ205に搭載された6個の記録ヘッド203a〜203fにインクが供給される。記録ヘッド203a〜203fは図1に示したように配列された複数のノズルを持ち、各ノズルからインクを吐出させることにより記録を行う。なお、以下の説明において、ノズル端部の開口部である吐出口が形成された面を吐出口面と呼ぶ。回復系204は吸引ポンプを持ち、記録ヘッド内にインクを充填する際に用いたり、記録ヘッドに付着したゴミや固着物を吸引除去したりする役割をもつ。
また、インクジェット記録装置において使用されるインクとしては、一般的に顔料インクと染料インクとがある。染料インクは発色性に優れるが画像堅牢性が低く、顔料インクは画像堅牢性が高く、印刷物の屋外での長期放置などにおいても褪色しにくい。このため、信頼性が要求される文書や野外展示用のポスターなど、画像堅牢性を要求される画像を記録する場合には、顔料インクが多く用いられている。
しかし、顔料インクにおいては、発色性がやや染料インクに劣る傾向がある。これは、染料インクに比べて大きな粒子をもった顔料インクは色がにごり易いためであると考えられている。またこの傾向は、顔料インクに含まれる顔料の粒子径が大きいほど顕著になる。そして顔料の種類によっては、製造方法の問題や、色材そのもののぬれ性の問題等から顔料粒子径を小さくすることが困難な場合が存在する。
このような課題に対して特許文献1には、2種類の粒子径の異なる顔料を1つのインクに含有させることにより高発色を実現する技術が開示されている。
特開2002−248798号公報
しかしながら、2種類の粒子径の顔料粒子を混合するためには、困難な製法を要求されると共に、工程及び品質管理などにも困難を伴う。また、上記特許文献1には、粒子径の大きな顔料インクを用いた場合の画像の発色性の低さを改善する方法については何ら開示されていない。
本発明は、インクジェット記録装置において粒子径の大きな顔料インクを用いる場合にも、記録画像の発色性を高めることが可能なインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を有する。
すなわち、本発明の第1の形態は、顔料を含有する第1の顔料インクと当該第1の顔料インクよりも粒子径の小さな顔料を含有する第2の顔料インクを少なくとも吐出可能な記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させつつ、前記記録ヘッドから前記記録媒体に顔料インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、前記第1および第2の顔料インクの両方が吐出される画素の全てにおいて、前記第1の顔料インクが記第2の顔料インクよりも先に吐出されることを特徴とする。
また、本発明の第2の形態は、顔料を含有する第1の顔料インクと当該第1の顔料インクよりも粒子径の小さな顔料を含有する第2の顔料インクを少なくとも吐出可能な記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させつつ、前記記録ヘッドから前記記録媒体に顔料インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、前記第1の顔料インクが前記第2の顔料インクより先に吐出される画素の割合が、前記第2の顔料インクが前記第1の顔料インクより先に吐出される画素の割合よりも高いことを特徴とする。
また、本発明の第3の形態は、顔料を含有する第1の顔料インクと当該第1の顔料インクよりも粒子径の小さな顔料を含有する第2の顔料インクを少なくとも吐出可能な記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させつつ、前記記録ヘッドから前記記録媒体に顔料インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、画像データあるいはユーザの指示に基づいて、記録媒体の特定の領域を指定する指定手段と、前記指定手段によって指定された前記特定の領域に含まれる画素のうち、前記第1および第2の顔料インクの両方が吐出される画素において、前記第1の顔料インクが記第2の顔料インクよりも先に吐出されるように、前記記録ヘッドより第1および第2の顔料インクを吐出させる手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、粒子径の大きな顔料インクを記録媒体に付与した後、粒子径の小さな顔料インクを付与することにより記録物の表面を平滑化するため、画像表面の光の散乱を抑えることが可能となり、発色性の高い画像を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本実施形態で使用するインクジェット記録装置の外観構成を示す斜視図である。 複数色分の記録ヘッドやインクタンクを搭載するキャリッジ11は、キャリッジモータ12を駆動源として、記録媒体の搬送方向(Y方向)と交差する方向である主走査方向(X方向)に往復移動する。なお、本実施形態では、Y方向に対するX方向の角度は、90度に定められているが、この角度は90度に近い角度であればその他の角度に定めることも可能である。
キャリッジ11の往復走査に追従するように取り付けられているフレキシブルケーブル13は、不図示の制御部とキャリッジ11に搭載された記録ヘッドとの間での電気信号の送受信を行う。キャリッジ11の移動位置は、主走査方向に延在して取り付けられているエンコーダ16を、キャリッジに備えられたエンコーダセンサが光学式に読みとることによって検出できるようになっている。
外部に接続されたホスト装置より記録動作コマンドが入力されると、給紙トレイ15に積層されている記録媒体の1枚がキャリッジ11に搭載された記録ヘッドによって記録可能な位置まで給紙される。その後、記録信号に伴ってインクを吐出しながらの記録ヘッドの複数回の記録主走査と、記録媒体の所定量の搬送動作とを繰り返すことにより、記録媒体に順次画像を形成していく。
キャリッジ11が移動する領域の端部には、記録ヘッドのメンテナンス処理を実行するための回復手段14が設けられている。回復手段14には、吸引及び放置時に記録ヘッドの吐出口面を保護するためのキャップ141と、吐出回復時のコート液を受容する吐出受け部142、吐出回復時の吐出したインクを受容する吐出受け部143等が備えられている。ワイパーブレード144は、矢印の方向に移動しながら記録ヘッドの吐出口面をワイピングする。
図2は、図1に示したインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。図2において、301は受信した画像データを処理したり装置全体を制御したりするシステムコントローラである。このシステムコントローラ301の内部には、マイクロプロセッサをはじめ、制御プログラムやマスクパターン、インデックスパターンなどを記憶したROMや、各種画像処理を実施する際のワークエリアとなるRAMが配置されている。12はキャリッジ11を主走査方向に記録ヘッドを駆動させるためのキャリッジモータ、305は記録媒体を副走査方向に搬送するための駆動源として機能する搬送モータである。302及び303はドライバであり、システムコントローラ301から記録ヘッドや記録媒体の移動速度や移動距離などの情報を受け取り、それぞれのモータ12及び305を駆動する。
306は外部に接続されたホストコンピュータであり、本実施形態のインクジェット記録装置に対して記録すべき画像情報を転送する。ホストコンピュータ306の形態としては情報処理装置としてのコンピュータとするほか、イメージリーダなどの形態とすることもできる。307はホストコンピュータ306からのデータを一時的に格納するための受信バッファであり、システムコントローラ301からデータの読み込みが行われるまで受信データを蓄積しておく。
308(308k、308c、308m、308y)は、記録すべきデータをイメージデータに展開するためのフレームメモリであり、記録に必要な容量のメモリサイズをインク色毎に有している。ここでは、記録媒体一枚分が記録可能なフレームメモリが用意されているが、このサイズに限定されないことは言うまでもない。309(309k、309c、309m、309y)は、記録すべきデータを各インク色用に、それぞれ一時的に記憶するためのバッファであり、記録ヘッドのノズル数に応じて記録容量は変化する。
310は記録制御部であり、システムコントローラ301からの指令により記録ヘッド17を適切にコントロールし、記録速度や記録データ数などを制御する。311は記録ヘッドドライバであり、記録制御部310からの信号によりコントロールされ、インクを吐出させるための記録ヘッド17を駆動する。
以上の構成において、ホストコンピュータ306から供給される画像データは、受信バッファ307に転送されて一時的に格納され、システムコントローラ301によって各色のフレームメモリ308に展開される。次に、当該展開された画像データは、システムコントローラ301によって読み出され所定の画像処理が施された後に、色毎にバッファ309に展開される。記録制御部310は、各バッファ内の画像データに基づいて記録ヘッド17の動作を制御する。
図3は、本実施形態で使用される記録ヘッド17を吐出口側から観察した状態を示す模式図である。本実施形態の記録ヘッド17は、各インク色において、1インチ当たり1200個の密度で320個のノズルの吐出口nが副走査方向(Y方向)に並ぶ吐出口列を有している。そして、ブラックインクを吐出するノズル列8k、シアンインクを吐出するノズル列8c、マゼンタインクを吐出するノズル列8m及びイエローインクを吐出するノズル列8yが記録ヘッドの主走査方向(X方向)と直交する方向に沿って配置されている。吐出口nから吐出されるインクの吐出量は約4.5plとする。但し、ブラックインクは高濃度を実現するために吐出量を他に比べて若干多く設定してもよい。
本実施形態の記録装置では、上記のように構成された記録ヘッド17の各吐出口列のノズルからインクを吐出させつつ、主走査方向(X方向)へと繰り返し走査させる一方、各主走査の間に記録媒体を所定距離だけ搬送することにより記録媒体上に画像を記録する。本実施形態では、主走査方向に2400dpi、副走査方向に1200dpiの記録密度でドットを記録することが可能になっている。また、記録媒体は、図8において矢印に示す方向に搬送される。このため、記録媒体の同一箇所に重ねて各インクを付与する場合、その同一箇所には、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順序でインクが重ねられる。
以下に、本実施形態で適用するインクセットの成分及び精製方法を説明する。
(イエローインク(第1のイエローインク))
(1)分散液の作製
イエロー顔料10部、アニオン系高分子P−1を30部、純水60部を混合した。ここで顔料は、C.I.ピグメントイエロー74(製品名:Hansa Brilliant Yellow 5GX(クラリアント社製))を用いた。またアニオン系高分子P−1は、スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合比(重量比)=30/40/30)、酸価202、重量平均分子量6500、固形分10%の水溶液、中和剤:水酸化カリウムを用いた。次に、以下に示す材料をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを150部充填し、水冷しつつ、12時間分散処理を行いた。更に、この分散液を遠心分離機にかけ粗大粒子を除去した。そして、最終調製物として、固形分が約12.5%、重量平均粒子径が120nmの顔料分散体1を得た。得られた顔料分散体を用いて、下記のようにしてインクを調製した。
(2)インクの作製
以下の成分を混合し、十分に攪拌して溶解・分散後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過して、インク1を調製した。
・上記で得た顔料分散体1:40部
・グリセリン:9部
・エチレングリコール:6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH):1部
・1,2−ヘキサンジオール:3部
・ポリエチレングリコール(分子量1000):4部
・水:37部
(マゼンタインク)
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、数平均分子量2500のAB型ブロックポリマーを作り、それを水酸化カリウム水溶液で中和し、さらにイオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成した。また、上記ポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100g及びイオン交換水を300gを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とした。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が5質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製には、上記マゼンタ分散液を使用した。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度4質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製した。
上記マゼンタ分散液 40部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
(川研ファインケミカル製)イオン交換水 39.5部
(シアンインク)
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成した。また、上記のポリマー溶液を180g、C.I.ピグメントブルー15:3を100g及びイオン交換水を220gを混合し、機械的に0.5時間撹拌する。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン分散液とした。得られたシアン分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が10質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製には、上記シアン分散液を使用した。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度2質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製した。
上記シアン分散液 20部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
(川研ファインケミカル製)イオン交換水 53.5部
(ブラックインク)
(1)分散液の作製
イエローインク1で使用したポリマー溶液を100g、カーボンブラックを100g及びイオン交換水を300gを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してブラック分散液とした。得られたブラック分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が6質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製には、上記ブラック分散液を使用した。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度5質量%、分散剤濃度3質量%の顔料インクを調製した。
上記ブラック分散液 50部
グリセリン 10部
トリエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
(川研ファインケミカル製)イオン交換水 25.5部
以上示したインクセットにおける、各単色インクでの平均粒子径の値を表1に示す。なお、平均粒子径の測定は、日機装株式会社製ナノトラック粒度分析計を用いた。
Figure 2010143134
表1から、本実施形態のインクセットの中では、イエローインクの粒子径が大きいことが分かる。
次に、本発明者等は、形成される2次色の一例としてシアンとイエローの2次色で形成されるグリーン画像の発色性を調べるために、シアンとイエローの両方のインクのインク付与順序を異ならせた2種類の画像について、検証を行った。本検証においては、シアンとイエロー各色100%、計200%の付与量で比較を行った。ここで付与量100%とは、1/1200インチ四方の正方形領域に、4.5plのインク滴を付与するインク付与量を意味する。インクの付与順序を管理するために、図3に示す記録ヘッド17を用いてシアン→イエローの順に重ねて画像を記録する位置と、マゼンタ→イエローの順に重ねて記録する画像の位置とを、異なる位置に記録した。
図4は、シアン→イエローの順に重ねて記録した場合と、イエロー→シアンの順に重ねて記録した場合それぞれの色度を示している。図4において、プロット9aはシアン→イエローのプロットであり、プロット9bはイエロー→シアンでのプロットである。図4から明らかなように、シアンインクを後から付与して形成した場合(プロット9b)の方が、シアンインクを先に付与して形成した場合(プロット9a)よりも彩度の高い画像を形成することが可能となる。
これは、イエローインク(第1の顔料インク)より粒子径が小さいシアンインク(第2の顔料インク)が後から付与されることにより、記録物の表面(外面)に、シアンインクの小さい粒子径の顔料がより多く表面に存在することによるものと考えられる。換言すれば、記録物に形成される画像の表面の粗さが画像で反射される光の散乱に影響を及ぼすためであると考えられている。つまり、画像の表面粗さが大きい場合には、画像における反射光の散乱が多くなって彩度が低下し、画像の表面粗さが小さい場合には、反射光の散乱が少なくなって比較的高い彩度が得られる、という現象が生じているものと考えられる。
前述のように図3に示す記録ヘッド17では、記録媒体の搬送方向(Y方向)において、顔料粒子径の大きいインクを吐出するノズル列ほど、記録媒体の搬送方向(Y方向)における上流側に配置されている。すなわち、記録媒体の搬送方向において、イエローノズル列8Y、シアンノズル列8C、マゼンタノズル列8M、ブラックノズル列8Kの順に配置されている。これにより、グリーンを含めた2次色及び3次色における発色を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態では、各ノズル列が、一つの記録領域に対して1回のみ走査を行う所謂1パス記録と、各ノズル列が同一の記録領域に対して複数回走査を行う所謂マルチパス記録のいずれも適用可能である。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、この第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、図1及び図2に示す構成を有し、記録ヘッドがキャリッジ11と共に主走査方向へと往復移動しつつ、インクを吐出して記録を行う。
この第2の実施形態では、ブラックインク、マゼンタインク、ライトマゼンタインク、シアンインク、ライトシアンインクの他、後述の2種類のイエローインク(第1のイエローインク、第2のイエローインク)の、計7種類のインクを用いる。図5は、この第2の実施形態において使用する記録ヘッドの構成を示している。図5において、5Mはマゼンタインクを吐出するノズルを配列したマゼンタノズル列、5LMはライトマゼンタインクを吐出するノズルを配列したライトシアンノズル列である。5Cはシアンインクを吐出するノズルを配列したシアンノズル列、5LCはライトシアンインクを吐出するノズルを配列したライトシアンノズル列である。5Y1は第1のイエローインクを吐出するノズルを配列した第1のイエローノズル列(第1ノズル列)、5Y2は第2のイエローインクを吐出するノズルを配列した第2イエローノズル列(第2ノズル列)である。また、5Kはブラックインクを吐出するノズルを配列したブラックノズル列である。各ノズル列は、キャリッジ11に本記録ヘッド27が搭載された状態で、記録媒体の搬送方向(Y方向)に沿って並ぶよう配列されている。また、同一色相を有するノズル列5Mと5LM、5Cと5CL、5Y1と5Y2は、それぞれ略同一直線上に並ぶよう配列されており、ブラックノズル列5Kは他のカラーのノズル列(例えば5Y1)の2倍の長さの範囲に亘って配列されている。
この第2の実施形態において、イエローインクとしては第1のイエローインクと第2のイエローインクの2種類のインクを使用する。第1のイエローインクは、第1の実施形態において使用したものと同一のイエローインクである。第2のイエローインクは、第1のイエローインクより顔料の粒子径が小さいが、第1のイエローインクよりやや発色性に劣る顔料を用いたインクとなっている。また本発明におけるインクの作成方法を以下に示す。なお、シアンインク、マゼンタインク、第1のイエローインク、ブラックインクは上記第1の実施形態と同様のものを用いるため、ライトシアン、ライトマゼンタ、イエローインクのみその作成方法を以下に示す。
(ライトシアンインク)
(1)分散液の作製
シアンインクで作成したポリマー溶液を180g、C.I.ピグメントブルー15:3を100g及びイオン交換水を220gを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。
次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。
更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン分散液とした。得られたシアン分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が10質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過した。粒子径を小さくするため、さらに0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧濾過をして、顔料濃度0.5質量%、分散剤濃度0.5質量%の顔料インクを調製した。
上記シアン分散液 5部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
(川研ファインケミカル製)イオン交換水 74.5部
(ライトマゼンタインク)
(1)分散液の作製
マゼンタインクで使用したポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100g及びイオン交換水を300g混合し、機械的に0.5時間撹拌した。
次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。
更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とした。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が5質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧濾過をした。次にライトシアン同様に、0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて再度加圧濾過をした。そして顔料濃度1質量%、分散剤濃度0.5質量%の顔料インクを調製した。
上記マゼンタ分散液 10部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物 0.5部
(川研ファインケミカル製)イオン交換水 69.5部
(第2のイエローインク)
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、数平均分子量2500のAB型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成した。
次に、上記のポリマー溶液を140g、C.I.ピグメントイエロー128を100g、イオン交換水を260gとを混合し、機械的に0.5時間撹拌した。また、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。
更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してイエロー分散液とした。得られたイエロー分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が7.5質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記イエロー分散液を使用し、これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧濾過した。そして、顔料濃度4.5質量%、分散剤濃度3.38質量%の顔料インクを調製した。
上記イエロー分散液 45部
グリセリン 10部
ジエチレングリコール 10部
アセチレングリコールEO付加物(商品名:アセチレノールEH、川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部
イオン交換水 34.5部
本実施形態におけるインクセットの顔料の粒子径を示したものが以下の表2である。表2に示すように、第2のイエローインク、ライトシアンインク、ライトマゼンタインクの顔料の粒子径が、それぞれ第1のイエローインク、シアンインク、マゼンタインクの顔料の粒子径よりも小さくなっている。ライトシアンインク、及びライトマゼンタインクは、上述のように、細かい濾紙による濾過を行うことによって顔料の粒子径を下げているが、この手法の限りではない。例えば分散時間を延ばす等の手法をとることも可能である。
Figure 2010143134
次に、この第2の実施形態において記録媒体に対して付与するインクの順序について説明する。
この第2の実施形態における記録ヘッド27は、図5に示すように、ほぼ同一色相のインクを吐出する異なる2種類のノズル列が、副走査方向(Y方向)に配列されている。そして、これら2種類のノズル列のうち、顔料の粒径の大きなインクを吐出するが、顔料の粒子径の小さなインクを吐出するノズル列5LM,5LC,5Y2より上流側に配置されている。そして、記録媒体上のある記録領域に対し、まず、ノズル列5M,5C,5Y1を用いて記録を行い、その後、同記録領域に対しノズル列5LM,5LC,5Y2を用いて記録を行う。すなわち、同一色相のインクの中で、顔料の粒子径の大きいインクを記録媒体に付与した後、その粒子径の大きなインクで記録された記録領域に、顔料の粒子径の小さいインクを付与する。これにより、マゼンタ、シアン、イエローの各インク色によって記録される画像の発色を高めることができる。
ここで、図6に、イエローインクにおける記録順と色度の関係を示す。図中、11aはこの第2の実施形態における上述の記録動作に従い、第1のイエローインクに続いて第2のイエローインクを付与した場合の画像の色度を示している。また、11bは逆に第2のインクに続いて第1のインクを記録した場合の画像の色度を示している。図示のように、第2のイエローインクを後から付与して形成された画像(11a)の方が、第1のイエローインクを後から付与して形成された画像(11b)よりも発色が良くなっていることが分かる。特に第1のイエローインクは、吸光性能は非常に高いものの、第1のイエローインクだけでは粒子径の点から発色が十分でない。それに対して、第2のイエローインク2を付与することにより、発色をさらに良化させることができる。またさらに、同色相同士での付与順序の変更であるため、発色が良くなりつつも、色相角の変化はほとんどない。この点は、シアン及びマゼンタに関しても同様の効果を得ることができ、以上のような方法によって色域を拡大することが可能となる。なお、この第2の実施形態では、同一色相を有する2種類のインクを使用した。しかし、完全に同一の色相を有するインクでなくとも、互いに色相角が近く且つ粒子径の異なる2種類以上の顔料インクを用い、それらを混色させて記録するようにしても、さほど色相の変化を生じさせることなく、発色性の高い記録を行うことが可能である。
なお、この第2の実施形態においては、ブラックインクに関しては付与順序の制御は行っていない。しかし、全てのインクに対して上記のような粒子径に応じた記録方法を適用しなくとも、必要なインクの組み合わせのみにおいて上記記録方法を適用すれば効果を得ることができることは言うまでもない。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図7ないし図9を参照しつつ説明する。なお、この第3の実施形態においても、図1及び図2に示した構成を備えるものとなっている。
この第3の実施形態は、必要に応じて複数種類のインクの付与順序を変化させることを特徴とする。この第3の実施形態おいては、上記第1の実施形態と同様のインクセットを用い、使用する記録ヘッドは図7に示すものを使用する。
図7に示した記録ヘッド37には、主走査方向(X方向)に沿ってブラックノズル列3K,シアンノズル列3C,マゼンタノズル列3M,イエローノズル列3Yが配列されている。各ノズル列3K,3C,3M,3Yは、図3に示すノズル列8K,8C,8M,8Yに対し、ノズルの配列密度を同一として(ノズルピッチ20μm)、4倍のノズル数(1280ノズル)を有している。このため、図7に示す記録ヘッド37の副走査方向(Y方向)における1つのノズル列の長さは、図3に示す記録ヘッドの4つのノズル列を合計した長さに等しい。従って、比較的装置を小さくしながらも高速記録を実現することが可能となる。
図8は実際に記録に使用するノズル位置を模式的に示した図である。この第3の実施形態では、図8の太線で示した一部のノズルのみを使用するような記録方法を採る。すなわち、各ノズル列の中の1/4の数のノズルからなるノズル群3Y1,3M3,3C2,3K4のみを使用して記録を行う。各ノズル群の副走査方向(Y方向)における配列位置は、副走査方向の上流側から、3Y1,3M3,3C2,3K4の順に定められている。
図9は上記記録ヘッド37を用いて行う記録方法を説明するための模式図である。記録ヘッド37が主走査方向に1回の走査を行った後、記録媒体Pは、各ノズル群の副走査方向における長さに相当する距離dだけ搬送される。この記録ヘッド37の副走査方向における走査と、記録媒体の副走査方向への搬送とを繰り返すことにより、記録媒体Pの全体に画像を記録することができる。この際、記録媒体P上の距離dに相当する幅の記録領域に対し、複数色のインクを重ねて2次色あるいは3次色の画像を記録する場合、顔料粒子の大きいインクが先に記録媒体に記録される。例えば、イエローとシアンの混色であるグリーンの画像を記録する場合、まずノズル群3Y1から粒子径の大きなイエローインクを付与する。次にイエローより小さい粒子径のシアンインクがノズル群3C2から吐出されて、これがイエローインクの顔料粒子に重ねられる。このため、記録されたグリーンの発色性は良好なものとなる。特に、上記記録方法によって光沢系の紙に記録を行った場合には、記録媒体の光沢性を損なうことなく記録することが可能となり、より大きな有効を得ることができる。
また、記録速度を優先した記録動作を行う場合には、上記の記録方法から各ノズル列の全てのノズルを使用する記録方法に切り替えて、高速に記録を行うようにすることも可能であり、ユーザの要求に応じた記録形態を選択することができる。また、この第3の実施形態における記録方法を採用する場合には、各ノズル列の主走査方向における配列は、任意の配列にすることが可能であり、特に図8に示した配列に限定されない。つまり、各ノズルの主走査方向における配列がいかなる順序に定められていようとも、使用するノズル群の主走査方向における位置を、各種インクの顔料の粒子径に応じて定めれば、常に粒子径の大きい粒子を先に付与するようにすることが可能になる。
また、形成すべき画像の色度に応じて、図8に示すようなノズルの使用方法を採用するか否かを決定してもよい。例えば、全色域の最外郭近傍における画像を形成する場合においてのみ、図8に示すようなノズルの使用方法を適用する。これによって、最外郭近傍の色域を拡大させることが可能となる。
なお、この第3の実施形態では、記録媒体の1回の搬送量を記録ヘッドの各ノズル群の長さに相当する距離dに定めた。しかし、記録媒体の1回の搬送量を各ノズル群の長さの整数分の一に定め、同一の記録領域を同一のノズル群で複数回走査するマルチパス記録を行うようにしてもよい。
(他の実施形態)
上記実施形態では、2次色または3次色を記録する全ての画素に対して、粒子径の大きな顔料インク(第1の顔料インク)を付与した後、粒子径の小さな顔料インク(第2の顔料インク)を付与している。しかし、本発明はこの形態に限られるものではない。例えば、粒子径の大きい顔料インクを粒子径の小さい顔料インクより先に付与した画素(画素A)の割合を、粒子径の小さい顔料インクを粒子径の大きい顔料インクより先に付与した画素(画素B)の割合よりも高くする形態も、本発明の範疇である。このような形態であっても、画素Aの割合が画素Bの割合よりも低い場合に比べて、発色性を高めることができ、画像品質の向上を期待できる。
また、上記実施形態では、記録媒体全域の画素を対象として、上述したような吐出順に従う記録を実行するようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。記録すべき画像によっては、特定の領域のみ発色性を高めたい場合もありうる。例えば、特定の領域のみ発色性を高めることで、他の領域とのコントラストを持たせることが可能となり、ユーザの意図した画像を得ることも可能になる。従って、他の領域より画像を鮮明にしたい領域あるいは強調したい領域などのように、特に高い発色性が要求される領域に含まれる画素にのみ、大きな粒子径の顔料インクに次いで小さな粒子径の顔料インクを付与するような記録形態を採用することも可能である。
そこで、ユーザの指示あるいは画像データに基づいて上記のような特定の領域を指定する指定手段と、指定された特定の領域についてのみ上記記録形態を適用する手段とを、記録装置に設け、特定の領域についてのみ高発色を得る形態も、本発明の範疇である。
このように特定の領域にのみ高発色性を持たせる記録形態としては、例えば、次の2通りがある。一つは、異なる色相のインクによって2次色や3次色の記録を行う場合であり、他の一つは、ほぼ同一色相のインクを用いて記録を行う場合である。前者は、例えば、図8に示した記録ヘッド37を用いることで実現することができる。すなわち、記録媒体の中の高発色性を求める領域への記録時には、図8に示すノズル群3Y1,3M3,3C2,3K4を用いて上記第3の実施形態と同様の記録を行う。そして、他の高発色性を必要としない領域に対しては、上記以外のノズル群を用い、粒子径の小さい顔料インクを、粒子径の大きな顔料インクに先行して付与するようにする。これは、各ノズル列において、記録データを供給するノズル群を記録制御部310で切換えることにより実現可能である。
また、後者は、ほぼ同一の色相であり且つ粒子径の異なる顔料インクを吐出する少なくとも3つのノズル列を記録媒体の搬送方向に沿って、交互に配列することで実現可能である。例えば図5に示す記録ヘッド27のカラーの顔料インクを吐出する各ノズル列に対し、さらに、記録媒体の搬送方向における上流側または下流側に同一色相のインクを吐出するノズル列をさらに追加した構成の記録ヘッドを用いる。そして、高発色を必要とする領域への記録時には、記録媒体の搬送方向において上流側に位置するノズル列から粒子径の大きな顔料インクを吐出して記録を行い、その後、下流側に位置するノズル列から粒子径の小さな顔料インクを吐出して記録を行う。また、高発色を必要としない他の領域への記録時には、上流側に位置するノズル列から小さな粒子径の顔料インクを吐出して記録を行い、その後下流側に位置する大きな粒子径の顔料インクを吐出して記録を行う。これにより、発色性を要する領域と発色性を必要としない領域との間に大きなコントラストを持たせることが可能となり、ユーザの求める画像を提供することができる。
なお、上記各実施形態においては、一つの記録ヘッド17,27,37の中に複数のノズル列を配置した場合を例に採り説明した。しかし、各ノズル列を個々の記録ヘッドに形成し、各記録ヘッドをキャリッジに対して独立に着脱し得るように配置することも可能である。
また、本発明は、粒子径の異なる複数種類のインクを用い、それらのインクのうち、少なくとも2種類のインクの粒子径が異なるものであれば適用可能であり、インクの種類は特に上記実施形態に限定されない。
さらに、上記実施形態では、記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と交差する方向へと移動させるシリアル型のインクジェット記録装置を例に採り説明した。しかし、本発明は、使用する記録媒体の幅以上の幅に亘ってノズルが配列されたノズル列を有し、そのノズル列と記録媒体とをその幅と交差する方向に相対移動させて記録を行う、所謂フルライン型の記録装置にも適用可能である。この場合、大きな粒子径の顔料インクを吐出可能とするノズル列を、小さな粒子径の顔料インクを吐出可能とするノズル列よりも、記録媒体の搬送方向の上流側に配置する。これによれば、記録媒体に対して大きな粒子径の顔料インクを、小さな粒子径を有する顔料インクよりも先に付与することができ、高い発色性の画像を記録することが可能になる。
本発明の各実施形態で使用するインクジェット記録装置の外観構成を示す斜視図である。 図1に示したインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態で使用される記録ヘッドを吐出口側から観察した状態を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る形成画像の色度を表したグラフである。 本発明の第2の実施形態で使用される記録ヘッドを吐出口側から観察した状態を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る形成画像の色度を表したグラフである。 本発明の第3の実施形態で使用される記録ヘッドを吐出口側から観察した状態を示す模式図である。 図7に示す記録ヘッドの各ノズル列におけるノズルの使用方法を示す模式図である。 本発明の第3の実施形態における記録動作を示す模式図である。 従来のインクジェット記録装置に用いられる記録ヘッドを吐出口側から観察した状態を示す模式図である。 インクジェット記録装置のインク供給系などを示す斜視図である。
符号の説明
3Y,4Y,5Y,8Y イエローノズル列
3M,4M,5M,8M マゼンタノズル列
3C,4C,5C,8M シアンノズル列
3K,4K,5C,5M ブラックノズル列
11 キャリッジ
17,27,37 記録ヘッド
301 システムコントローラ
302 ドライバ
303 ドライバ
310 記録制御部
311 記録ヘッドドライバ

Claims (8)

  1. 顔料を含有する第1の顔料インクと当該第1の顔料インクよりも粒子径の小さな顔料を含有する第2の顔料インクを少なくとも吐出可能な記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させつつ、前記記録ヘッドから前記記録媒体に顔料インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
    前記第1および第2の顔料インクの両方が吐出される画素の全てにおいて、前記第1の顔料インクが前記第2の顔料インクよりも先に吐出されることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 顔料を含有する第1の顔料インクと当該第1の顔料インクよりも粒子径の小さな顔料を含有する第2の顔料インクを少なくとも吐出可能な記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させつつ、前記記録ヘッドから前記記録媒体に顔料インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
    前記第1の顔料インクが前記第2の顔料インクより先に吐出される画素の割合が、前記第2の顔料インクが前記第1の顔料インクより先に吐出される画素の割合よりも高いことを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 顔料を含有する第1の顔料インクと当該第1の顔料インクよりも粒子径の小さな顔料を含有する第2の顔料インクを少なくとも吐出可能な記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させつつ、前記記録ヘッドから前記記録媒体に顔料インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、
    画像データあるいはユーザの指示に基づいて、記録媒体の特定の領域を指定する指定手段と、
    前記指定手段によって指定された前記特定の領域に含まれる画素のうち、前記第1および第2の顔料インクの両方が吐出される画素において、前記第1の顔料インクが記第2の顔料インクよりも先に吐出されるように、前記記録ヘッドより第1および第2の顔料インクを吐出させる手段と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  4. 前記相対移動の方向と交差する方向に記録媒体を搬送するための搬送手段を更に有し、
    前記記録ヘッドは、前記第1の顔料インクを吐出するための第1ノズル列と前記第2の顔料インクを吐出するための第2ノズル列を有し、
    前記第1のノズル列は、前記第2のノズル列よりも前記記録媒体の搬送方向における上流側に配置されていることを特徴とする請求項1または3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記第1および第2の顔料インクは、互いに色相が異なることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記第1および第2の顔料インクは、互いにほぼ同一の色相を示すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 顔料を含有する第1の顔料インクと当該第1の顔料インクよりも粒子径の小さな顔料を含有する第2の顔料インクを少なくとも吐出可能な記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させつつ、前記記録ヘッドから前記記録媒体に顔料インクを吐出して記録を行うインクジェット記録方法であって、
    前記第1および第2の顔料インクの両方が吐出される画素の全てにおいて、前記第1の顔料インクを記第2の顔料インクよりも先に吐出することを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 顔料を含有する第1の顔料インクと当該第1の顔料インクよりも粒子径の小さな顔料を含有する第2の顔料インクを少なくとも吐出可能な記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させつつ、前記記録ヘッドから前記記録媒体に顔料インクを吐出して記録を行うインクジェット記録方法であって、
    前記第1の顔料インクが前記第2の顔料インクより先に吐出される画素の割合が、前記第2の顔料インクが前記第1の顔料インクより先に吐出される画素の割合よりも高くなるように、前記第1および第2の顔料インクを吐出することを特徴とするインクジェット記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014208416A (ja) * 2013-04-16 2014-11-06 キヤノン株式会社 記録装置および記録方法
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