JP6292124B2 - カルバメート化合物の製造方法 - Google Patents
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脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状であり、不飽和結合を有していてもよい、炭化水素基であり、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数2〜20のアルキニル基が挙げられる。なお、脂肪族炭化水素基の価数は、アミノ基の個数等によって変動し得る。よって、特定の価数の基が例示されている場合、対応する他の価数の基も使用し得る。
脂肪族基で置換された脂環式アミンとは、上記で定義された脂環式アミンの脂環式基が、脂肪族炭化水素基で置換された化合物である。脂肪族炭化水素基としては、上記で定義された脂肪族炭化水素基が挙げられる。脂肪族基で置換された脂環式基としては、例えば、炭素原子数1〜20のアルキル基で置換された炭素原子数3〜20のシクロアルキル基が挙げられる。
本発明において、脂肪族基で置換された脂環式アミンであって、脂環式基の環上の炭素原子に直接結合する第1級アミノ基に加えて、脂肪族基の炭素原子に直接結合する第1級アミノ基を有する脂環式アミンは、脂環式アミンに包含されるものとする。
で示される分子中に1つのアミノ基を有するモノアミン化合物(以下、「モノアミン化合物」という)、又は一般式(4):
R3は、置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキレン−炭素原子数3〜20のシクロアルキレン−炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキレン基、炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキレン−炭素原子数6〜20のアリーレン−炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキレン基、炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基、又は炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキレン−炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基であり、
m及びpは、互いに独立して、0又は1である。)
で示される分子中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物(以下、「ジアミン化合物」という)が挙げられる。
本発明において、アミン化合物がジアミン化合物である場合は、本発明のカルバメート化合物の製造方法は、下記反応式〔II〕で示される。反応式〔II〕において、一般式(5)で示されるビスカルバメート化合物は、アルカリ金属アルコキシド及びアルカリ土類金属アルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基の存在下、一般式(4)で示されるジアミン化合物と一般式(2)で示されるカーボネート化合物とを反応させた後、次いで、アミン化合物のアミノ基1モルに対して0.01〜0.5モルの水を加えて更に反応させることにより得られる。
反応式〔II〕において、一般式(4)で示されるジアミン化合物1モルに対して、一般式(2)で示されるカーボネート化合物の量は、好ましくは2〜200モル、更に好ましくは2〜100モル、より好ましくは4〜40モル、特に好ましくは4〜20モルである。
これらの金属アルコキシドはアルコール溶液の状態で使用することができ、市販のアルコール溶液の状態でも、そのまま触媒として使用することができる。
塩基の使用量は、反応式〔I〕の場合、アミン化合物1モルに対して、好ましくは0.001〜0.1モル、更に好ましくは0.03〜0.1モルである。
反応式〔II〕の場合、アミン化合物1モルに対して、好ましくは0.01〜0.2モル、更に好ましくは0.03〜0.2モルである。
(1)アミン化合物とカーボネート化合物とを予め混合しておき、その混合液に当該塩基を加える方法、
(2)アミン化合物と塩基とを予め混合しておき、その混合液にカーボネート化合物を加える方法
のいずれかの態様で行われる。このような態様とすることで、混合した際の過剰な発熱を抑えることができる。
水;カールフィッシャー水分計(MKC−610型;京都電子工業社製)
ナトリウム;ICP−AES装置(SPS5100型;エスアイアイ・ナノテクノロジー製)
反応終了後、反応液を濾過した後、得られた濾液を濃縮し、N−ヘキシル−O−メチルカルバメート14.9gを得た(単離収率;93.9%)。また、得られたN−ヘキシル−O−メチルカルバメートのナトリウム量を測定したところ、ナトリウムは僅か180ppmしか含まれていなかった。
反応終了後、反応液を濾過した後、得られた濾液を濃縮し、1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン26.12gを得た(単離収率;93.5%)。また、得られた1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンのナトリウム量を測定したところ、ナトリウムは僅か17.9ppmしか含まれていなかった。
攪拌装置及び温度計を備えた内容積300mLのフラスコに、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン36.4g(255.9mmol)、炭酸ジメチル71.2g(790.1 mmol)及び28%ナトリウムメトキシド・メタノール溶液1.5g(7.9mmol)を加えた。このときの混合液の水分量を測定したところ約217ppmであった。この混合液を攪拌しながら50℃で5時間反応させた。次いで、アセトン28.4gと精製水を0.42g(23.1mmol;1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンのアミノ基1モルに対して0.045モル)を加えて更に50℃で30分間反応させた。
反応終了後、反応液を濾過した後、得られた濾液を濃縮し、1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン62.1gを得た(単離収率;94.0%)。また、得られた1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンのナトリウム量を測定したところ、ナトリウムは僅か320ppmしか含まれていなかった。
実施例3と同様の操作で、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、炭酸ジメチル及び28%ナトリウムメトキシド・メタノール溶液を反応させた後に、アセトン107.8gと精製水を0.45g(24.8mmol;1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンのアミノ基1モルに対して0.049モル)を加えて更に50℃で30分間反応させた。
反応終了後、反応液を濾過した後、得られた濾液を濃縮し、1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン62.6gを得た(単離収率;95.5%)。また、得られた1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンのナトリウム量を測定したところ、ナトリウムは僅か132ppmしか含まれていなかった。
実施例3と同様の操作で1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、炭酸ジメチル及び28%ナトリウムメトキシド・メタノール溶液を反応させた後、n−プロパノール26.0gと精製水を0.43g(23.7mmol;1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンのアミノ基1モルに対して0.049モル)を加えて更に50℃で30分間反応させた。
反応終了後、反応液を濾過した後、得られた濾液を濃縮し、1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン59.9gを得た(単離収率;89.0%)。また、得られた1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンのナトリウム量を測定したところ、ナトリウムは僅か190ppmしか含まれていなかった。
実施例3と同様の操作で1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、炭酸ジメチル及び28%ナトリウムメトキシド・メタノール溶液を反応させた後、メチルエチルケトン25.9gと精製水を0.47g(26.2mmol;1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンのアミノ基1モルに対して0.054モル)を加えて更に50℃で30分間反応させた。
反応終了後、反応液を濾過した後、得られた濾液を濃縮し、1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン61.2gを得た(単離収率;91.0%)。また、得られた1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンのナトリウム量を測定したところ、ナトリウムは僅か210ppmしか含まれていなかった。
実施例3と同様の操作で1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、炭酸ジメチル及び28%ナトリウムメトキシド・メタノール溶液を反応させた後、メチルイソブチルケトン26.0gと精製水を0.46g(25.7mmol;1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンのアミノ基1モルに対して0.052モル)を加えて更に50℃で30分間反応させた。
反応終了後、反応液を濾過した後、得られた濾液を濃縮し、1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン63.1gを得た(単離収率;93.7%)。また、得られた1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンのナトリウム量を測定したところ、ナトリウムは僅か310ppmしか含まれていなかった。
反応終了後、反応液を濾過した後、得られた濾液を濃縮し、1−アミノメトキシカルボニル−3−アミノメトキシカルボニルメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン14.8gを得た(単離収率;87.9%)。また、得られた1−アミノメトキシカルボニル−3−アミノメトキシカルボニルメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンのナトリウム量を測定したところ、ナトリウムは僅か156ppmしか含まれていなかった。
反応終了後、反応液を濾過した後、得られた濾液を濃縮し、1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)ベンゼン20.9gを得た(単離収率;97.0%)。また、得られた1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)ベンゼンのナトリウム量を測定したところ、ナトリウムは僅か80ppmしか含まれていなかった。
反応終了後、反応液を濾過した後、得られた濾液を濃縮し、1,6−ビス(アミノメトキシカルボニル)ヘキサン11.2gを得た(単離収率;98.1%)。また、得られた1,6−ビス(アミノメトキシカルボニル)ヘキサンのナトリウム量を測定したところ、ナトリウムは僅か23ppmしか含まれていなかった。
(カルバメート化合物からイソシアネート化合物を製造する装置)
図1に示すように、直径10mm、長さ42cmのガラス管(3)を反応器とし、触媒を充填した部分(以下、「触媒層」)が350℃になるように外部から電気炉(4)を設置し、反応管下部に二系列のラインに分岐させ、それぞれイソシアネート化合物の取得のための受器(室温)(7)及び(13)、メタノールの取得のための受器(冷エタノールで冷却)(9)及び(15)を経由し、両方のラインを真空ポンプに繋ぎ、真空ラインを連結した。二つのラインの切り替えは弁(5と10、及び11と16)片方のラインのみ開く(もう片方のラインは閉じる)ことで行った。
凝縮したイソシアネート化合物を含む生成物が受器(7)に回収され始めたのを確認して30分経過後、弁(5)、弁(10)を閉とし、弁(11)、弁(16)を開とし、凝縮したイソシアネート化合物を含む生成物を受器(13)、メタノールを受器(15)に30分間回収し、受器(13)に回収された、凝縮したイソシアネート化合物を含む生成物を液体クロマトグラフィーで、受器(15)に凝縮し回収されたメタノールをガスクロマトグラフィーで分析し、ジカルバメート転化率、ジイソシアネート、モノイソシアネートの選択率及び収率を算出した。
その結果、転化率100%、生成物として、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに対して収率86%(選択率86%)、中間体である1−イソシアナトメチル−3−メトキシカルボニルアミノメチルシクロヘキサンが収率3%で得られた。
(カルバメート化合物の標準品(高純度品)の合成)
攪拌装置及び温度計を備えた内容積2000mLのフラスコに、メタノール320.4g(10mol)を加えて液温を50℃とした後、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン194.2g(1.0mol)を1.5時間かけて滴下し、この混合液を攪拌しながら50℃で7時間反応させた。
反応終了後、得られた反応液を濃縮した後、トルエン600mlを加えて冷却しながら1.5時間攪拌させた。析出した固体を濾過し、濾物をヘキサンで洗浄した後、真空下で乾燥し、白色固体として1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン157.2gを得た。
なお、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの物性値は、以下の通りであった(Applied Catalysis A:General,289,174(2005))。
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));4.77ppm(2H)、3.42〜3.90ppm(6H)、3.01〜3.10ppm(4H)、1.72〜1.84ppm(4H)、1.47〜1.49ppm(2H)、1.17〜1.33ppm(1H)、0.77〜0.89ppm(2H)、0.52〜0.64ppm(1H)
MS(EI);258(m/z)
前記1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン(標準品)を使用し、触媒層の温度を375℃にした以外は、参考例1と同様の操作を行った。その結果、転化率100%、生成物として、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに対して収率84%(選択率84%)、中間体である1−イソシアナトメチル−3−メトキシカルボニルアミノメチルシクロヘキサンが収率11%で得られた。
n−ヘキシルアミン、炭酸ジメチル及び28%ナトリウムメトキシド・メタノール溶液の混合液を攪拌させた後、精製水を加えなかったこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。
反応終了後、反応液を濾過した後、得られた濾液を濃縮し、N−ヘキシル−O−メチルカルバメート15.7gを得た(単離収率;99.8%)。また、得られたN−ヘキシル−O−メチルカルバメートのナトリウム量を測定したところ、ナトリウムが2520ppm含まれていた。
1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、炭酸ジメチル及び28%ナトリウムメトキシド・メタノール溶液の混合液を撹拌させた後、精製水を加えなかったこと以外は、実施例2と同様にして反応を行った。
反応終了後、反応液を濾過した後、得られた濾液を濃縮し、1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン45.9gを得た(単離収率;97.8%)。また、得られた1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンのナトリウム量を測定したところ、ナトリウムが610ppm含まれていた。
カルバメート化合物として、比較例2で得られた1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンを使用した以外は、参考例1と同様の操作を行った。その結果、基質供給開始後暫くして、基質供給ポンプ(2)と触媒を充填した管状反応器(3)とを繋ぐラインが閉塞し、生成物は回収されなかった。
反応終了後、反応液を濾過した後、得られた濾液を濃縮し、1,3−ビス(エトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン29.6gを得た(単離収率;95.9%)。また、得られた1,3−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンのナトリウム量を測定したところ、ナトリウムは僅か320ppmしか含まれていなかった。
2 基質供給ポンプ
3 触媒を充填した管状反応器
3a 気化層 (石英充填)
3b 触媒層
4 反応器を加熱する熱源(管状電気炉)
5 弁
6 生成物熱交換器
7 凝縮した生成物のイソシアネート化合物を回収する受器
8 アルコール凝縮のための熱交換器
9 アルコール取得のための受器
10 弁
11 弁
12 生成物熱交換器
13 凝縮した生成物のイソシアネート化合物を回収する受器
14 アルコール凝縮のための熱交換器
15 アルコール取得のための受器
16 弁
17 真空ポンプ
Claims (5)
- リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシドからなる群より選択される少なくとも1種の塩基の存在下、アミン化合物とカーボネート化合物とを反応させた後、次いで、アミン化合物のアミノ基1モルに対して0.01〜0.5モルの水を加えて更に反応させることを特徴とする、カルバメート化合物の製造方法。
- アミン化合物が、1分子中に1つ以上のアミノ基を有する、脂環式基又は芳香族基で置換されていてもよいか、脂環式基又は芳香族基で中断されていても良い脂肪族アミン、及び1分子中に1つ以上のアミノ基を有する、脂肪族基で置換されていてもよい脂環式アミンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1記載のカルバメート化合物の製造方法。
- アミン化合物が、一般式(4)
(式中、R3は、置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜20の直鎖状又は分岐鎖のアルキレン基、炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキレン−炭素原子数3〜20のシクロアルキレン−炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキレン基、炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキレン−炭素原子数6〜20のアリーレン−炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキレン基、炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基、又は炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキレン−炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基であり、
m及びpは、互いに独立して、0又は1である。)
で示されるジアミン化合物である、請求項1又は2に記載のカルバメート化合物の製造方法。 - ジアミン化合物が、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビス(アミノメチルシクロヘキサン)、1,4−ビス(アミノメチルシクロヘキサン)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキサンアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、及び1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項4記載のカルバメート化合物の製造方法。
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