JP6291179B2 - 光学活性2級アルコールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学活性2級アルコールの製造方法に関し、特に医薬、農薬等に使用される光学活性な生理活性化合物、または液晶材料合成中間体として有用な、光学活性2級アルコールの製造方法に関する。
天然に存在する有機化合物には、光学活性体であるものが多く存在する。その中でも生理活性を有する化合物は、一方の光学異性体のみが望ましい活性を有することが多い。また、望ましい活性を有しない他方の光学異性体は、生体にとって有用な生理活性を有しないばかりでなく、むしろ生体に対して毒性を示す場合があることも知られている。そのため、安全な医薬品または農薬を合成する方法として、目的化合物またはその中間体として高い光学純度を有する光学活性化合物を合成する方法の開発が望まれている。
光学活性アルコールは、さまざまな光学活性化合物を合成するためのキラルビルディングブロックとして有用である。一般に光学活性アルコールはラセミ体の光学分割によって、または生物学的触媒あるいは不斉有機分子触媒、不斉金属錯体触媒を用いる不斉合成によって製造されている。特に、これら不斉合成による光学活性アルコールの合成は、多量の光学活性アルコールを製造するための不可欠の技術と考えられている。
芳香族化合物あるいはヘテロ原子を含む芳香族化合物のカルボニル基が置換した原子に隣接する二つの炭素上にそれぞれ置換基を有するケトンのカルボニル部位が還元された光学活性2級アルコール類は、医薬、農薬等に利用される光学活性な生理活性化合物の合成中間体であり、産業上有用な光学活性アルコールの一つである。例えば、光学活性1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エタノールはc−Met阻害薬あるいは未分化リンパ種キナーゼ(ALK)融合遺伝子陽性非小細胞肺癌に対するチロシンキナーゼ阻害剤の合成中間体として知られている(特許文献1、2、非特許文献1)。また、1−(2,6−ジクロロフェニル)エタノールはc−Met阻害薬合成中間体として知られている(特許文献3)。さらに1−(2,6−ジフルオロフェニル)エタノールはニコチン酸レセプターアゴニストなどに利用されている(特許文献4)。
そして、光学活性2級アルコール類の合成法としては、光学分割法、酵素(微生物)還元、化学的不斉合成法などが知られている。
酵素を用いる光学分割法としては、ラセミ体アルコールをアセチル化し、次いでPig Liver Esteraseを作用させて光学活性な1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エタノールを取得している例が知られている(特許文献5、非特許文献2)。このような方法は、得られるアルコール体の光学純度が高いものの、アセチル化体との分離が困難であるばかりか、収率が最大で50%程度であり、必要となる立体構造以外の成分が不要となることから、効率的な合成法とは言い難い。
また、化学的手法による光学分割の例としては、不斉な構造をもつ有機塩基を触媒としたラセミ体アルコールの不斉アシル化による光学分割の例が挙げられる(非特許文献3〜5)。このような方法は、触媒の構造を反対のエナンチオマーに変えることで、反対の立体構造をもつアルコール体を取得できる利点はあるが、アシル化体との分離が困難であるばかりか、収率は最大で50%であり、必要となる立体構造以外は不要となることから、効率的な合成法とは言い難い。
プロキラルなケトンを原料として、目的とするアルコール体の一方のエナンチオマーを優先的に合成する手法の一つとして、酵素(微生物)還元が挙げられる。酵素(微生物)還元による光学活性2級アルコール類の合成法の例としては、改変ケトレダクターゼ酵素あるいはこれを発現できる宿主細胞を用い、2’,6’−ジクロロ−3’−フルオロアセトフェノンを原料とした、高い光学純度をもつ(S)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エタノールの合成例がある(特許文献6)。また、光照射条件における、S.elongatus PPC7492株を用いた還元による、2’,3’,4’,5’,6’−ペンタフルオロアセトフェノンからの(S)−1−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エタノールの合成例が知られている(非特許文献6)。しかしながらこれらの方法では、一方のエナンチオマーのみしか取得することができず、他方のエナンチオマーを所望する場合においては、これらの方法を用いることができない。さらに非天然型の酵素を使用する場合、得られたエナンチオマーの医薬品への利用は安全性の観点から問題視される場合がある。
それぞれのエナンチオマーを選択的に合成可能な手法としては化学的不斉合成法がある。これは不斉源を化学量論量使用するものと、触媒量使用するものに大別できる。
不斉源を化学量論量使用する方法の例として、B−クロロジイソピノカンフェイルボラン(DIP−Chloride(TM))による2’,6’位に二つの置換基をもつアセトフェノン類の不斉還元が報告されている(非特許文献7)。しかしながら、この方法は、得られる化合物の光学純度が低く、かつ高価な不斉源を化学量論量使用するため、効率的な方法とは言えない。
一方、不斉源を触媒量使用する触媒的不斉合成の例としては、光学活性なジホスフィンを配位子とするコバルト触媒または銅触媒による不斉ヒドロシリル化(非特許文献8、9)やフェロセン骨核を有するPN配位子をもつロジウム触媒による置換アセトフェノンのヒドロシリル化(非特許文献10)、光学活性なジホスフィンを配位子にもつロジウム触媒によるスチレン誘導体のヒドロホウ素化(非特許文献11、12)等が挙げられる。しかしながら、これらの方法は、得られる化合物の光学純度が低い場合も多く、また基質触媒比が低いため触媒を大量に使用する必要があり、さらにアルコール体を取得するためには別途加水分解が必要であるため、効率的ではない。
一段階で光学活性アルコールを取得可能な触媒的不斉合成法としては、CBS還元法による(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エタノールの合成例(非特許文献13)や、(S)−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)エタノールおよび(S)−1−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エタノールの合成例(非特許文献14)が報告されている。しかしながら、これらの方法においては、触媒が10モル%程度も必要であり、基質によっては高い光学純度が得られない等の問題がある。
更に効率的な例としては、光学活性なアミノアルコールを配位子として有するルテニウムアレーン錯体による2−プロパノールを水素源としたケトンの水素移動型不斉還元による、芳香環にフッ素が置換した光学活性フェネチルアルコールの合成(非特許文献15)や、光学活性な(ホスフィノフェロセニル)オキサゾリンを配位子にもつルテニウム錯体触媒を使用し、2−プロパノールを水素源とする水素移動型不斉還元による(R)−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)エタノールの合成が報告されている(非特許文献16)。しかしながら、これらの反応も、基質/触媒比が200〜500程度と低く、かつ基質濃度も低いため、効率的な方法であるとは言い難い。
また、最近になってビス(オキサゾリニル)フェニル(Phebox)配位子をもつルテニウム錯体触媒による2’,6’−ジメトキシアセトフェノンおよび2’,4’,6’−トリメチルアセトフェノンの不斉水素化反応も報告されている(非特許文献17)。しかしながら、この反応も30気圧の高圧水素を必要であることや、基質/触媒比が100と低く、かつ、光学純度を向上させるために、10モル%もの光学活性1−(9−アントラセニル)エタノールの添加が必要であるなど問題点も多い。
ところで、光学活性アルコールを効率的に得る方法のひとつに、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)等の光学活性ジホスフィン化合物をもつルテニウム金属錯体とエチレンジアミン型光学活性ジアミン化合物、及びアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物などの塩基存在下で、カルボニル化合物を不斉水素化する方法(特許文献7)、あるいはBINAP等の光学活性ジホスフィン化合物とエチレンジアミン型光学活性ジアミン化合物を配位子にもつルテニウム金属錯体とアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物などの塩基存在下で、カルボニル化合物を不斉水素化する方法が開示されている(特許文献8)。また、2,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン(SKEWPHOS)等の光学活性ホスフィンと光学活性1,2−エチレンジアミン型配位子をもつルテニウム錯体を使用する方法も知られている(特許文献9)。しかしながら、これらの方法においては、基質は、無置換アセトフェノン類および芳香環の任意の位置に一つのみ置換基を有するもののみ用いられていた。
一方、光学活性ジホスフィンと2−ピコリルアミン(PICA)を配位子にもつルテニウム錯体は、2−プロパノールを水素源としてケトン類を不斉還元することが知られている(特許文献10)。無置換アセトフェノンの還元において、水素添加による反応速度の加速効果が述べられているものの、水素加圧による反応速度向上の効果はなく、生成したフェニルエタノールの光学純度が低下する問題がある。さらに例示されている基質としての芳香族ケトンは、無置換のアセトフェノン、ベンゾフェノン、あるいは芳香環上の置換基を一つのみもつアセトフェノン類のみ開示されている。
光学活性ジホスフィンと2−ピコリルアミン(PICA)を配位子にもつルテニウム錯体を水素化に用いる例としては、BINAP等の光学活性ジホスフィン化合物と2−ピコリルアミンを配位子にもつルテニウム触媒を用いるtert−アルキルケトンの水素化が報告されている(特許文献11)。しかし、例示されている基質構造はtert−アルキルケトンに限定されている。
SKEWPHOS骨格を有するジホスフィンと2−ピコリルアミンの組合せの配位子を有する触媒を水素化に使用した例としては、3−キヌクリジノンの水素化(特許文献12)またはベンゾイル基を有する複素環の水素化(特許文献13)が報告されている。
特表2008−510790号公報 特表2008−510788号公報 特表2011−500651号公報 特表2010−509397号公報 特表2008−510791号公報 特表2010−538657号公報 特開平8−225466号公報 特開平11−189600号公報 特開2003−252884号公報 特表2007−536338号公報 国際公開第2006/046508号 国際公開第2006/103756号 特開2011−51929号公報
Org. Process Res. Dev. 15, 1018-1026(2011) Tetrahedron Asymmetry, 21, 2408-2412(2010) J. Org. Chem.,65, 3154-3159(2000) Tetrahedron,60, 4513-4525(2004) J. Org. Chem., 77, 1722-1737(2012) Chem. Commun.,1782-1783(2002) Tetrahedron Lett., 45, 2603-2605(2004) Org. Biomol. Chem., 9, 5652-5654(2011) Adv. Synth. Catal., 353, 1457-1462(2011)
Angew. Chem. Int. Ed., 41, 3892-3894(2002) Chem. Commun., 464-465(2004) J. Fluorine Chem., 128, 827-831(2007) Tetrahedron Lett., 41, 10281-10283(2000) Tetrahedron, 58, 1069-1074(2002) J. Org. Chem., 69, 4885-4890(2004) J. Org. Chem., 62, 6104‐6105(1997) Chem. Commun., 48, 1105‐1107(2012)
以上のように、芳香族化合物あるいはヘテロ原子を含む芳香族化合物のカルボニル基が置換した原子に隣接する二つの炭素上にそれぞれ置換基を有するケトンから、対応する光学活性2級アルコールを、両エナンチオマーの作り分け可能に効率よく製造する、化学的触媒的方法は知られていなかった。したがって、本発明の課題は、芳香族化合物あるいはヘテロ原子を含む芳香族化合物のカルボニル基が置換した原子に隣接する二つの炭素上にそれぞれ置換基を有するケトンから、対応する光学活性2級アルコールを、目的とするエナンチオマーを優先的に、効率よく製造する、化学的触媒的方法を提供することにある。
本発明者らは、芳香族化合物あるいはヘテロ原子を含む芳香族化合物のカルボニル基が置換した原子に隣接する二つの炭素上にそれぞれ置換基を有するケトンから光学活性2級アルコールを効率よく製造する方法を検討したところ、芳香族化合物あるいはヘテロ原子を含む芳香族化合物のカルボニル基が置換した原子に隣接する二つの炭素上にそれぞれ置換基を有するケトンは、従来用いられている触媒では、置換基を有さない芳香族ケトンと比較してそのカルボニル部位が還元されにくいまたは生成する光学活性2級アルコールの光学純度が低いという問題に直面した。
本発明者らは、この問題を解決すべく鋭意検討した結果、芳香族化合物あるいはヘテロ原子を含む芳香族化合物のカルボニル基が置換した原子に隣接する二つの炭素上にそれぞれ置換基を有するケトンを還元して得られる光学活性2級アルコール類の効率的な合成法を鋭意検討する中で、特定の光学活性ジホスフィンと、2−ピコリルアミンもしくはピリジン環上任意の位置に置換基をもつ2−ピコリルアミン誘導体またはアミノメチル基を有する含窒素脂肪族環状化合物を配位子とするルテニウム錯体触媒が、上述した芳香族ケトンの不斉水素化触媒として優れた性能を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下に関する。
[1] 光学活性2級アルコールの製造方法であって、下記一般式(1)
RuXYAB (1)
[一般式(1)中、XおよびYは互いに同一または異なり、水素原子またはアニオン性基を示し、Aは下記一般式(2)
(一般式(2)中、
およびRは、互いに同一または異なり、置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状または環状炭化水素基を示し、
およびRは互いに同一または異なり、水素原子、または炭素数1〜3の炭化水素基を示し、
、R、RおよびRは、互いに同一または異なり、置換基を有してもよい炭化水素基を表し、
*は不斉炭素原子を表す。)で表される光学活性ジホスフィンを示し、Bは、下記一般式(3)または一般式(4)
(一般式(3)中、
、R10、R11およびR12は互いに同一または異なり、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状もしくは環状炭化水素基を示し、
10とR11は、互いに連結して置換基を有していてもよい飽和または不飽和の炭化水素環または複素環を形成してもよく、
12は、少なくともその一部がアニオン性基Xとしてルテニウムに結合してもよく、
nは、0または1の整数を示し、
一般式(4)中、
13、R14、R15、R16、R17およびR18は、それぞれの出現毎に互いに同一または異なり、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状もしくは環状炭化水素基を示し、ただし、R13、R14およびR15のうち少なくとも1つは、水素原子であり、
13とR14は、互いに連結して窒素原子を含む環を形成してもよく、
16とR17および/または隣接する2つのR18は、互いに連結して、置換基を有してもよい飽和または不飽和の炭化水素環または複素環を形成してもよく、
各R18は、独立して、少なくともその一部がアニオン性基Xとしてルテニウムに結合してもよく、
mは1〜3の整数を示し、
kは0〜10の整数を示す。)
で表されるアミン化合物を示す。]
で表される化合物から選択される1種または2種以上のルテニウム錯体の存在下において、下記一般式(5)〜(7)
[一般式(5)〜(7)中
〜Dは、炭素原子または窒素原子を示し、ここでD〜Dのいずれか一つは窒素原子であり、
19およびR20は、同一または異なり、ハロゲン基を有してもよい炭素数1〜9の直鎖もしくは分岐アルキル基、エステル基、アミド基、アミノ基もしくはアルコキシ基またはハロゲン基、ニトロ基を示し、
21は、ヘテロ原子で置換されてもよい炭素数1〜9の分岐もしくは直鎖状アルキル基もしくはアルコキシ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、アシル基、エステル基、または環状脂肪族炭化水素基を示し、
22〜R24は、同一または異なり、水素原子、またはハロゲン基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐アルキル基、エステル基、アミド基、アミノ基もしくはアルコキシ基、置換基を有してもよい環状炭化水素基、置換基を有してもよいヘテロ環基、ハロゲン基またはニトロ基を示し、ただし、D〜Dが、窒素原子である場合には、当該窒素原子上にある対応するR22、R23およびR24からなる群から選択される基は存在せず、
Eは酸素または硫黄原子を示す]
で表される化合物から選択されるケトンを水素と反応させる、前記方法。
[2] 反応系中に、下記一般式(8)
RuXYA (8)
[一般式(8)中、X、YおよびAは、互いに独立して一般式(1)中で定義されたとおりの意味を有する。]で表される化合物から選択される1種または2種以上の錯体と、前記一般式(3)または前記一般式(4)で表される化合物から選択される1種または2種以上のアミン化合物とを存在させることにより、一般式(1)で表されるルテニウム錯体がin situで調製される、[1]に記載の方法。
[3] Aが、2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−イソプロピルフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−ジイソプロピルフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−ジイソプロピルフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタン、1,3−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−ジイソプロピルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパン、1,3−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパン、1,3−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパンまたは1,3−ビス−(ジ−3,5−ジイソプロピルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパンである、[1]または[2]に記載の方法。
[4] Aが2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−イソプロピルフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)ペンタンまたは2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタンである、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] Bが、2−ピコリルアミン、(6−(p−トリル)−2−ピリジル)メタンアミン、1−(2−ピリジル)エチルアミン、2−(アミノメチル)−6−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−3−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−4−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−6−エチルピリジン、2−(アミノメチル)−3−エチルピリジン、2−(アミノメチル)−4−エチルピリジン、2−(アミノメチル)−5−エチルピリジン、2−(アミノメチル)−6−n−プロピルピリジン、2−(アミノメチル)−3−n−プロピルピリジン、2−(アミノメチル)−4−n−プロピルピリジン、2−(アミノメチル)−5−n−プロピルピリジン、2−(アミノメチル)−6−イソプロピルピリジン、2−(アミノメチル)−3−イソプロピルピリジン、2−(アミノメチル)−4−イソピロピルピリジン、2−(アミノメチル)−5−イソプロピルピリジン、2−(アミノメチル)−6−tert−ブチルピリジン、2−(アミノメチル)−3−tert−ブチルピリジン、2−(アミノメチル)−4−tert−ブチルピリジン、2−(アミノメチル)−5−tert−ブチルピリジン、2−(N−ベンジル−アミノメチル)ピリジン、2−(アミノメチル)ピロリジン、2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン、2−(ピロリジニルメチル)ピロリジン、2−(1−アミノ−1,1−ジフェニルメチル)ピロリジン、2−(アミノメチル)−6−フェニルピリジン、2−(アミノメチル)−3−フェニルピリジン、2−(アミノメチル)−4−フェニルピリジンまたは2−(アミノメチル)−5−フェニルピリジンである[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] Bが、2−ピコリルアミン、(6−(p−トリル)−2−ピリジル)メタンアミン、1−(2−ピリジル)エチルアミン、2−(アミノメチル)−6−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−3−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−4−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−4−イソピロピルピリジンまたは2−(アミノメチル)−4−tert−ブチルピリジンであることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7] 一般式(5)〜(7)中、
19およびR20が、同一または異なり、ハロゲン基を有してもよい炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐アルキル基もしくはアルコキシ基またはハロゲン基、ニトロ基を示し、
21が、芳香環またはヘテロ原子で置換されてもよい炭素数1〜6の分岐または直鎖状アルキル基、アシル基、エステル基または環状炭化水素基を示す、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 一般式(5)〜(7)中、
21が、炭素数1〜3のアルキル基である、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 一般式(5)〜(7)中、
21が、メチル基である、[8]に記載の方法。
[10] 一般式(5)〜(7)中、
19およびR20が、ハロゲン基を有しても良い炭素数1〜3の直鎖または分岐アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基であり、
21が炭素数1〜3のアルキル基であり、
22〜R24が水素、またはハロゲン基を有しても良い炭素数1〜3の直鎖または分岐アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基または置換基を有してもよい環状炭化水素基あるいは置換基を有しても良いヘテロ環である、
[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[11] 光学活性2級アルコールの製造方法であって、下記一般式(8)
RuXYA (8)
[一般式(8)中、XおよびYは互いに同一または異なり、水素原子またはアニオン性基を示し、Aは下記一般式(2)
(一般式(2)中、
およびRは、互いに同一または異なり、置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状または環状炭化水素基を示し、
およびRは互いに同一または異なり、水素原子、または炭素数1〜3の炭化水素基を示し、
、R、RおよびRは、互いに同一または異なり、置換基を有してもよい炭化水素基を表し、
*は不斉炭素原子を表す。)で表される光学活性ジホスフィンを示す]で表される化合物から選択される1種または2種以上の錯体と、下記一般式(3)または一般式(4)
[一般式(3)中、
、R10、R11およびR12は互いに同一または異なり、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状もしくは環状炭化水素基を示し、
10とR11は、互いに連結して置換基を有していてもよい飽和または不飽和の炭化水素環または複素環を形成してもよく、
12は、少なくともその一部がアニオン性基Xとしてルテニウムに結合してもよく、
nは、0または1の整数を示し、
一般式(4)中、
13、R14、R15、R16、R17およびR18は、それぞれの出現毎に互いに同一または異なり、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状もしくは環状炭化水素基を示し、ただし、R13、R14およびR15のうち少なくとも1つは、水素原子であり、
13とR14は、互いに連結して窒素原子を含む環を形成してもよく、
16とR17および/または隣接する2つのR18は、互いに連結して、置換基を有してもよい飽和または不飽和の炭化水素環または複素環を形成してもよく、
各R18は、独立して、少なくともその一部がアニオン性基Xとしてルテニウムに結合してもよく、
mは1〜3の整数を示し、
kは0〜10の整数を示す。)で表される化合物から選択される1種または2種以上のアミン化合物の存在下において、下記一般式(5)〜(7)
[一般式(5)〜(7)中
〜Dは、炭素原子または窒素原子を示し、ここでD〜Dのいずれか一つは窒素原子であり、
19およびR20は、同一または異なり、ハロゲン基を有してもよい炭素数1〜9の直鎖もしくは分岐アルキル基、エステル基、アミド基、アミノ基もしくはアルコキシ基またはハロゲン基、ニトロ基を示し、
21は、ヘテロ原子で置換されてもよい炭素数1〜9の分岐もしくは直鎖状アルキル基もしくはアルコキシ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、アシル基、エステル基、または環状脂肪族炭化水素基を示し、
22〜R24は、同一または異なり、水素原子、またはハロゲン基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐アルキル基、エステル基、アミド基、アミノ基もしくはアルコキシ基、置換基を有してもよい環状炭化水素基、置換基を有してもよいヘテロ環基、ハロゲン基またはニトロ基を示し、ただし、D〜Dが、窒素原子である場合には、当該窒素原子上にある対応するR22、R23およびR24からなる群から選択される基は存在せず、
Eは酸素または硫黄原子を示す]
で表される化合物から選択されるケトンを水素と反応させる、前記方法。
[12] 一般式(5)〜(7)で表される化合物から選択されるケトンと水素との反応が、塩基の存在下で行われる、[1]〜[11]のいずれか一項に記載の方法。
本発明によれば、芳香族化合物あるいはヘテロ原子を含む芳香族化合物のカルボニル基が置換した原子に隣接する二つの炭素上にそれぞれ置換基を有するケトン、特に一般式(5)〜(7)で表されるケトン類のカルボニル基を還元した光学活性2級アルコール類の任意のエナンチオマーを高い反応収率、高いエナンチオ選択性で得ることができる。この方法は、従来の方法に比べて、工業的かつ経済性に優れた手法であると言える。
以下、本発明を、好適な実施態様に基づいて詳細に説明する。
本発明は、後述する一般式(1)で表される化合物から選択される1種または2種以上のルテニウム錯体の存在下において、後述する一般式(5)〜(7)で表される化合物から選択されるケトンを水素と反応させることにより、光学活性2級アルコールを得る、光学活性2級アルコールの製造方法である。
以下、まず、本方法に用いられるルテニウム錯体およびケトンを詳細に説明し、その後本方法の好適な態様を詳細に説明する。
<ルテニウム錯体>
本発明で用いられるルテニウム錯体は、下記一般式(1)
RuXYAB (1)
(式中、Aは、下記一般式(2)
で表される光学活性ジホスフィン化合物Aであり、Bは、下記一般式(3)または一般式(4)
で表されるアミン化合物Bである。)
で表される。
上記一般式(1)中、置換基XおよびYは互いに同一または異なり、水素原子またはアニオン性基を示す。
アニオン性基としては、ハロゲン原子やカルボキシル基、テトラヒドロボラートアニオン、置換フェニルアニオン基が好適であるが、その他各種アニオン性基であってもよく、例えばアルコキシ基、ヒドロキシ基等も用いることができる。XおよびYは、好ましくは水素、ハロゲン原子、テトラヒドロボラートアニオン、トリルアニオン性基、アセトキシ基等であり、より好ましくはハロゲン原子またはトリルアニオン性基であり、特に好ましくは、塩素原子または臭素原子である。
また上述したように、一般式(1)で表される光学活性ルテニウム錯体中の光学活性ジホスフィン化合物Aは、下記一般式(2)で表される。
一般式(2)中、RおよびRは互いに同一または異なり、置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状または環状炭化水素基を示し、RおよびRは互いに同一または異なり、水素または炭素数1〜3の炭化水素基を示し、R、R、RおよびRは互いに同一または異なり、置換基を有しても良い炭化水素基を示し、*は不斉炭素原子を示す。
ここでRおよびRとしては、特に限定されないが、例えば、飽和または不飽和の鎖状脂肪族炭化水素基、飽和または不飽和の単環または多環の環状脂肪族炭化水素基、単環または多環の芳香族炭化水素基およびこれらの各種炭化水素基を組み合わせた基等が挙げられ、これらの炭化水素基はさらに置換基を有していてもよい。
およびRの例としては、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、例えばフェニルおよびナフチル、アラルキル、例えばフェニルアルキル等の炭化水素基、およびこれら炭化水素基に更にアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、エステル、アシルオキシ、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される置換基を有する炭化水素基が挙げられる。
これらのうち、RおよびRは、好ましくは飽和鎖状脂肪族炭化水素基または単環の芳香族炭化水素基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基または置換もしくは未置換のフェニル基であり、特に好ましくはメチル基およびフェニル基である。
およびRは、水素原子または炭素数1〜3の炭化水素基であり、好ましくは脂肪族の飽和炭化水素基である。具体的には水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が好ましい。
、R、RおよびRとしては、特に限定されないが、例えば、飽和または不飽和の鎖状脂肪族炭化水素基、飽和または不飽和の単環または多環の環状脂肪族炭化水素基、単環または多環の芳香族炭化水素基等が挙げられ、これらの炭化水素基はさらに置換基を有していてもよい。
、R、RおよびRの例としては、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、例えばフェニルおよびナフチル、アラルキル、例えばフェニルアルキル等の炭化水素基およびこれらの炭化水素基に更にアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、エステル、アシルオキシ、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基等の許容される置換基を有する炭化水素基等が挙げられる。
このうちR、R、RおよびRは、好ましくは置換または未置換の単環の芳香族炭化水素基であり、好ましくはフェニル基、および置換フェニル基であり、特に好ましくは、フェニル基、ならびにメチル基、エチル基、プロピル基およびtert−ブチル基から選ばれた置換基を少なくとも1つ有する置換フェニル基である。
なお、R、R、RおよびRの炭素数は、特に限定されないが、例えば、1〜20、好ましくは、5〜10とすることができる。
一般式(2)で表される光学活性ジホスフィンの例としては、2位および4位にジフェニルホスフィノ基を有するペンタン誘導体、2位および4位にジ−4−トリルホスフィノ基を有するペンタン誘導体、2位および4位にジ−4−t−ブチルフェニルホスフィノ基を有するペンタン誘導体、2位および4位にジ−3,5−キシリルホスフィノ基を有するペンタン誘導体、2位および4位にジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ基を有するペンタン誘導体、1位および3位にジフェニルホスフィノ基を有する1,3−ジフェニルプロパン誘導体、1位および3位にジ−4−トリルホスフィノ基を有する1,3−ジフェニルプロパン誘導体、1位および3位にジ−4−t−ブチルフェニルホスフィノ基を有する1,3−ジフェニルプロパン誘導体、1位および3位にジ−3,5−キシリルホスフィノ基を有する1,3−ジフェニルプロパン誘導体、1位および3位にジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ基を有する1,3−ジフェニルプロパン誘導体等が挙げられる。
より具体的には、光学活性ジホスフィン化合物Aは、好ましくは、SKEWPHOS:2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、TolSKEWPHOS:2,4−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)ペンタン、XylSKEWPHOS:2,4−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)ペンタン、4−t−BuSKEWPHOS:2,4−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)ペンタン、3,5−diEtSKEWPHOS:2,4−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−ジイソプロピルフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−ジイソプロピルフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタン、1,3−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−ジイソプロピルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパン、1,3−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパン、1,3−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパンあるいは1,3−ビス−(ジ−3,5−ジイソプロピルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパンである。
光学活性ジホスフィン化合物Aは、より好ましくは、SKEWPHOS:2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、TolSKEWPHOS:2,4−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)ペンタン、XylSKEWPHOS:2,4−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)ペンタン、4−i−PrSKEWPHOS:2,4−ビス−(ジ−4−イソプロピルフェニルホスフィノ)ペンタン、4−t−BuSKEWPHOS:2,4−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)ペンタン、3,5−diEtSKEWPHOS:2,4−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)ペンタン、または2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタンである。
これらのうち、特にSKEWPHOS、TolSKEWPHOS、3,5−EtSKEWPHOS、t−BuSKEWPHOS、およびXylSKEWPHOSが好適である。しかし、もちろん本発明に用いることのできる光学活性ジホスフィン化合物Aは、これらに何ら限定されるものではない。
また、一般式(1)で表される光学活性ルテニウム錯体中のアミン化合物Bとしては、下記式(3)で表される化合物を用いることができる。
式中、R、R10、R11およびR12は互いに同一または異なり、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状もしくは環状炭化水素基を示し、
10とR11は、互いに連結して置換基を有していてもよい飽和または不飽和の炭化水素環または複素環を形成してもよく、
12は、少なくともその一部がアニオン性基Xとしてルテニウムに結合してもよく、
nは、0または1の整数を示す。
ここで、R〜R12としては、特に限定されないが、例えば、水素原子、飽和または不飽和の鎖状脂肪族炭化水素基、飽和または不飽和の単環または多環の環状脂肪族炭化水素基、単環または多環の芳香族炭化水素基等が挙げられ、これらの炭化水素基はさらに置換基を有していてもよい。
〜R12の例としては、水素原子、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、例えばフェニル、ナフチル、アラルキル、例えばフェニルアルキル等の炭化水素基、およびこれら炭化水素基にさらにアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、エステル、アシルオキシ、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種の置換基を有する炭化水素基が挙げられる。
上記Rは、好ましくは水素原子、アルキル基、フェニル基およびフェニルアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、ベンジル基、特に好ましくは水素原子である。
上記のR10およびR11は、好ましくは水素原子、アルキル基、フェニル基、フェニルアルキル基等であり、特に好ましくはすべてが水素原子、あるいはR10およびR11のいずれか一つがメチル基である。
上記R12は、好ましくは水素原子またはアルキル基、アリール基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、置換または未置換のフェニル基、特に好ましくは、水素原子、メチル基、フェニル基またはo−、m−もしくはp−トリル基である。
また、R10とR11は、互いに連結して、置換基を有してもよい飽和または不飽和の炭化水素環または複素環を形成してもよい。このような環状炭化水素基としては、環員数が3〜10、好ましくは4〜8のシクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基が挙げられる。R10とR11とが形成する環としては、より具体的には、例えばシクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ピペリジリデンやこれらに置換基が置換されたものが挙げられる。上述した中でも、単環の炭化水素環、特にシクロペンチリデン、シクロヘキシリデンが好ましい。
また、一般式(1)で表される光学活性ルテニウム錯体中のアミン化合物Bとしては、下記式(4)で表される化合物も用いることができる。
13、R14、R15、R16、R17およびR18は、それぞれの出現毎に互いに同一または異なり、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状もしくは環状炭化水素基を示し、ただし、R13、R14およびR15のうち少なくとも1つは、水素原子であり、
13とR14は、互いに連結して窒素原子を含む環を形成してもよく、
16とR17および/または隣接する2つのR18は、互いに連結して、置換基を有してもよい飽和または不飽和の環状炭化水素基を形成してもよく、
各R18は、独立して、少なくともその一部がアニオン性基Xとしてルテニウムに結合してもよく、
kは1〜3の整数を示し、
mは0〜10の整数を示す。
13〜R18としては、特に限定されないが、例えば、飽和または不飽和の鎖状脂肪族炭化水素基、飽和または不飽和の単環または多環の環状脂肪族炭化水素基、単環または多環の芳香族炭化水素基等が挙げられ、これらの炭化水素基はさらに置換基を有していてもよい。
13〜R18の例としては、アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、例えばフェニルおよびナフチル、アラルキル、例えばフェニルアルキル等の炭化水素基およびこれらの炭化水素基に更にアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、エステル、アシルオキシ、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される置換基を有する炭化水素基等が挙げられる。
13、R14は、上述した中でも、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、より好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたは水素原子であり、より好ましくは、水素原子であり、特に好ましくは、R13、R14の両方が水素原子である。
また、上述したように、R13、R14は、互いに連結して窒素原子を含む環を形成してもよい。このような環としては、例えば、4〜8員環の飽和または不飽和の含窒素環が挙げられ、より具体的には、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ホモピペリジン環、ヘキサメチレンイミン環、ピロール環、アザトロピリデン環、イミダゾール環、イミダゾリン環、ピラゾール環、ピラジン環、モルホリン環等が挙げられる。
15は、上述した中でも、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基またはn−プロピル基であり、特に好ましくは水素原子である。
16、R17は、上述した中でも、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基またはフェニル基であり、特に好ましくは水素原子である。
また、上述したようにR16とR17は、互いに連結して、置換基を有してもよい飽和または不飽和の炭化水素環を形成してもよい。このような環状炭化水素基としては、環員数が3〜10、好ましくは4〜8のシクロアルカン環、シクロアルケン環、シクロアルキン環が挙げられ、より具体的には、例えばシクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデンやこれらに置換基が置換されたものが挙げられる。上述した中でも、単環の炭化水素環、特にシクロペンチリデン、シクロヘキシリデンが好ましい。
18は、上述した中でも、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基またはn−プロピル基、フェニル基であり、特に好ましくは水素原子である。
また、隣接するR18が形成することのできる環状炭化水素基としては、例えば、置換基を有してもよい環員数が3〜10、好ましくは4〜8のシクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基およびアリール基が挙げられ、より具体的には、置換基を有してもよいフェニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。上述した中でも、置換基を有してもよい環員数が4〜8のアリール基、特にフェニル基が好ましい。隣接するR18がフェニル基を形成する場合、R18が置換している環とともに、例えば、インドリン環、イソインドリン環等を形成することができる。
また、式中mは、好ましくは、1または2である。
また、式中kは、好ましくは、0〜5であり、より好ましくは、0〜3である。
より具体的には、アミン化合物Bは、好ましくは、2−ピコリルアミン、(6−(p−トリル)−2−ピリジル)メタンアミン、1−(2−ピリジル)エチルアミン、2−(アミノメチル)−6−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−3−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−4−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−6−エチルピリジン、2−(アミノメチル)−3−エチルピリジン、2−(アミノメチル)−4−エチルピリジン、2−(アミノメチル)−5−エチルピリジン、2−(アミノメチル)−6−n−プロピルピリジン、2−(アミノメチル)−3−n−プロピルピリジン、2−(アミノメチル)−4−n−プロピルピリジン、2−(アミノメチル)−5−n−プロピルピリジン、2−(アミノメチル)−6−イソプロピルピリジン、2−(アミノメチル)−3−イソプロピルピリジン、2−(アミノメチル)−4−イソピロピルピリジン、2−(アミノメチル)−5−イソプロピルピリジン、2−(アミノメチル)−6−tert−ブチルピリジン、2−(アミノメチル)−3−tert−ブチルピリジン、2−(アミノメチル)−4−tert−ブチルピリジン、2−(アミノメチル)−5−tert−ブチルピリジン、2−(N−ベンジル−アミノメチル)ピリジン、2−(アミノメチル)ピロリジン、2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン、2−(ピロリジニルメチル)ピロリジン、2−(1−アミノ−1,1−ジフェニルメチル)ピロリジン、2−(アミノメチル)−6−フェニルピリジン、2−(アミノメチル)−3−フェニルピリジン、2−(アミノメチル)−4−フェニルピリジンまたは2−(アミノメチル)−5−フェニルピリジンである。
より好ましくは、アミン化合物Bは、PICA:2−ピコリルアミン、TolPICA:(6−(p−トリル)−2−ピリジル)メタンアミン、AEP:1−(2−ピリジル)エチルアミン、6−MePICA:2−(アミノメチル)−6−メチルピリジン、3−MePICA:2−(アミノメチル)−3−メチルピリジン、4−MePICA:2−(アミノメチル)−4−メチルピリジン、5−MePICA:2−(アミノメチル)−5−メチルピリジン、4−iPr−PICA:2−(アミノメチル)−4−イソピロピルピリジンまたは2−(アミノメチル)−4−tert−ブチルピリジンであり、特に好ましくは、PICA、TolPICA、AEP、3−MePICA、4−MePICA、5−MePICA、6−MePICAまたは4−iPr−PICAである。
なお、一般式(1)中における好ましい光学活性ジホスフィン化合物Aとアミン化合物Bとは、適宜組み合わせて用いることがでる。
また、一般式(1)で表されるルテニウム錯体は、本方法における反応を行う前に予め調製したものを用いてもよいが、前記反応の際に、すなわち、後述する一般式(5)〜(7)で表される化合物を水素と反応させる際に、その反応系中(in situ)で調製してもよい。その方法の一例としては、例えば、前駆体である下記一般式(8)
Ru X Y A (8)
(一般式(8)中、X、YおよびAは、それぞれ、上述した一般式(1)におけるものと同一の意味を示す)で表される光学活性ジホスフィン化合物と、下記一般式(3)および/または下記一般式(4)
(一般式(3)および一般式(4)中、各記号は、前述したとおりである。)で表される化合物から選択される1種または2種以上のアミン化合物とを存在させることにより、一般式(1)で表されるルテニウム錯体をin situで調製することができる。
一般式(8)で表される錯体と、一般式(3)および/または一般式(4)で表されるアミン化合物とは、一般式(8)で表される錯体と、一般式(3)および/または一般式(4)で表されるアミン化合物が反応し、一般式(1)で表される触媒前駆体を生成することから、一般式(8)で表される錯体と、一般式(3)および/または一般式(4)で表されるアミン化合物のモル比は特に制限はないが、一般式(8)で表される錯体に比べ、一般式(3)および/または一般式(4)で表されるアミン化合物が少ない場合は、一般式(8)で表される錯体が一般式(1)で表される触媒前駆体に変化せずに残存するため、反応の経済性の観点から不利である。よって一般式(8)で表される錯体と、一般式(3)および/または一般式(4)で表されるアミン化合物(一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物の総量)とは、好ましくは1:1〜1:50のモル比で、さらに好ましくは1:1〜1:20のモル比で、基質カルボニル化合物を水素と反応させる容器に仕込むことができる。一般式(8)で表される錯体に比べ、一般式(3)および/または一般式(4)で表されるアミン化合物が少ない場合においても、反応性が低下する点を除けば、問題なく使用することができる。
また、一般式(1)で示されるルテニウム錯体は、その合成に用いられた反応試剤である有機化合物を1ないし複数個含む場合がある。ここで、有機化合物は配位性の有機溶媒を示し、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、塩化メチレンなどのハロゲン含有炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロへキシルケトンなどのケトン系溶媒、アセトニトリル、DMF、N−メチルピロリドン、DMSO、トリエチルアミンなどヘテロ原子を含む有機溶剤などが例示される。
一般式(1)で表されるルテニウム錯体の合成は、一例として一般式(8)で表される光学活性ルテニウム錯体と、アミン化合物、あるいは、光学活性アミン化合物と反応させることにより行うことができる。一般式(8)で表される光学活性ルテニウム錯体の合成は、光学活性ジホスフィン化合物と、原料であるルテニウム錯体と反応させることにより行うことができる。一般式(8)で表される錯体は、前述のように予め調製したものを用いてもよく、水素化反応の系中で調製したものを用いてもよい。一般式(8)で表されるルテニウム錯体の調製法としては、用いる原料の構造を含めて現在までに報告された何れの方法でも用いることができ、特に制限はないが、その実施態様の一つを以下に示す。
錯体合成のための出発物質であるルテニウム錯体には、0価、1価、2価、3価及びさらに高原子価のルテニウム錯体を用いることができる。0価、および1価のルテニウム錯体を用いた場合には、最終段階までにルテニウムの酸化が必要である。2価の錯体を用いた場合には、ルテニウム錯体と光学活性ジホスフィン化合物、及び、光学活性ジアミン化合物を順次もしくは逆の順で、または、同時に反応することで合成できる。3価、及び4価以上のルテニウム錯体を出発原料に用いた場合には、最終段階までに、ルテニウムの還元が必要である。
出発原料となるルテニウム錯体としては、塩化ルテニウム(III)水和物、臭化ルテニウム(III)水和物、沃化ルテニウム(III)水和物等の無機ルテニウム化合物、[2塩化ルテニウム(ノルボルナジエン)]多核体、[2塩化ルテニウム(シクロオクタ−1,5−ジエン)]多核体、ビス(メチルアリル)ルテニウム(シクロオクタ−1,5ジエン)等のジエンが配位したルテニウム化合物、[2塩化ルテニウム(ベンゼン)]多核体、[2塩化ルテニウム(p−シメン)]多核体、[2塩化ルテニウム(トリメチルベンゼン)]多核体、[2塩化ルテニウム(ヘキサメチルベンゼン)]多核体、等の芳香族化合物が配位したルテニウム錯体、また、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等のホスフィンが配位した錯体等が用いられる。その他、光学活性ジホスフィン化合物、光学活性ジアミン化合物と置換可能な配位子を有するルテニウム錯体であれば、特に、上記に限定されるものではない。例えば、COMPREHENSIVEORGANOMETALLIC CHEMISTRY II 7巻 p294−296(PERGAMON)に示された、種々のルテニウム錯体を出発原料として用いることができる。
3価のルテニウム錯体を出発原料として用いる場合には、例えば、ハロゲン化ルテニウム(III)を過剰のホスフィンと反応することにより、ホスフィン−ルテニウムハライド錯体を合成することができる。次いで得られたホスフィン−ルテニウムハライド錯体を、アミンと反応することにより、目的とする一般式(1)で表されるアミン−ホスフィン−ルテニウムハライド錯体を得ることができる。例えば、この合成については、文献[J.Mol.Cat.,15, 297(1982)]などに記述がある。
すなわち、Inorg,Synth., vol 12, 237(1970)などに記載の方法により合成されたRuCl(PPhをベンゼン中、エチレンジアミンと反応させて、RuCl(PPh(en)が得られている(ただし収率の記載がない)。ただ、この方法では、反応が不均一系であり、未反応の原料が残存する傾向が見られる。一方、反応溶媒を塩化メチレン、クロロホルム等の溶媒に変更する場合には、反応を均一状態で行うことができ、操作性が向上する。
ハロゲン化ルテニウムとホスフィン配位子との反応は、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、塩化メチレンなどのハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、DMF、N−メチルピロリドン、DMSOなどヘテロ原子を含む有機溶剤中、反応温度−100℃から200℃の間で行われ、一般式(8)で表されるホスフィン−ルテニウムハライド錯体を得ることができる。
得られた、一般式(8)で表されるホスフィン−ルテニウムハライド錯体と一般式(3)または(4)で表されるアミン配位子との反応は、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、塩化メチレンなどのハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、DMF、N−メチルピロリドン、DMSOなどヘテロ原子を含む有機溶剤中、反応温度−100℃から200℃の間で行われ、一般式(1)で表されるアミン−ホスフィン−ルテニウムハライド錯体を得ることができる。
一方、最初から二価のルテニウム錯体を用い、これと、ホスフィン化合物、アミン化合物を順次、もしくは逆の順で、または同時に、反応する方法も用いられる。一例として、[2塩化ルテニウム(ノルボルナジエン)]多核体、[2塩化ルテニウム(シクロオク−1,5−タジエン)]多核体、ビス(メチルアリル)ルテニウム(シクロオクタジエン)等のジエンが配位したルテニウム化合物、または、[2塩化ルテニウム(ベンゼン)]ニ核体、[2塩化ルテニウム(p−シメン)]二核体、[2塩化ルテニウム(トリメチルベンゼン)]二核体、[2塩化ルテニウム(ヘキサメチルベンゼン)]二核体等の芳香族化合物が配位したルテニウム錯体、また、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等のホスフィンが配位した錯体を、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、塩化メチレンなどのハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノール。ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、DMF、N−メチルピロリドン、DMSOなどヘテロ原子を含む有機溶剤中、反応温度−100℃から200℃の間で、ホスフィン化合物と反応し、一般式(8)で表されるホスフィン−ルテニウム−メチルアリル錯体を得ることができる。
得られた一般式(8)で表されるホスフィン−ルテニウムハライド錯体とアミン化合物の反応は、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、塩化メチレンなどのハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパンノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、DMF、N−メチルピロリドン、DMSOなどヘテロ原子を含む有機溶媒中、反応温度−100℃から200℃の間で、アミン配位子と反応し、アミン−ホスフィン−ルテニウム錯体を得ることができる。また、同様の条件で、[クロロルテニウム(BINAP)(ベンゼン)]クロライドなどのカチオン性ルテニウム錯体をアミン配位子と反応させて、一般式(1)で表されるアミン−ホスフィン−ルテニウムハライド錯体を得ることができる。
一般式(1)で表されるジアミン化合物に結合した環状炭化水素基がアニオン性基Xとしてルテニウムに結合した錯体の合成方法としては、文献[Organometallics, 29, 3563(2010)]などに記載の方法によって合成できる。すなわち上記アミン−ホスフィン−ルテニウムハライド錯体合成法と同様に、一般式(8)で表される、ホスフィン−ルテニウムハライド錯体に対してジアミンを添加してアミン−ホスフィン−ルテニウムハライド錯体を合成した後、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、塩化メチレンなどのハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパンノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、DMF、N−メチルピロリドン、DMSOなどヘテロ原子を含む有機溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基を温度−100℃から200℃の間で反応する。あるいは一般式(8)で表される、ホスフィン−ルテニウムハライド錯体とジアミン化合物を上記溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基を温度−100℃から200℃の間で反応することで合成できる。
また、合成した一般式(1)で表される、アミン−ホスフィン−ルテニウムハライド錯体は、いくつかの配位様式の異なる錯体の混合物となる場合があるが、精製して単一構造の錯体を取得することなく、直接水素化反応に使用することができる。
<ケトン>
本発明の方法において、ケトンは反応の基質として用いられるものである。
本方法において用いることのできるケトンは、下記一般式(5)〜(7)
[一般式(5)〜(7)中
〜Dは、炭素原子または窒素原子を示し、ここでD〜Dのいずれか一つは窒素原子であり、
19およびR20は、同一または異なり、ハロゲン基を有してもよい炭素数1〜9の直鎖もしくは分岐アルキル基、エステル基、アミド基、アミノ基もしくはアルコキシ基またはハロゲン基、ニトロ基を示し、
21は、置換されてもよい炭素数1〜9の分岐または直鎖状アルキル基もしくはアルコキシ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、アシル基、エステル基または環状脂肪族炭化水素基を示し、
22〜R24は、同一または異なり、水素、またはハロゲン基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐アルキル基もしくはアルコキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、置換基を有してもよい環状炭化水素基、置換基を有してもよいヘテロ環基、ハロゲン基またはニトロ基を示し、ただし、D〜Dが、窒素原子である場合には、当該窒素原子上にある対応するR22、R23およびR24からなる群から選択される基は存在せず、
Eは酸素または硫黄原子を示す。]
で表される化合物から選択される1種または2種以上の組み合わせである。
このような芳香族化合物あるいはヘテロ原子を含む芳香族化合物のカルボニル基が置換した原子に隣接する二つの炭素上にそれぞれ置換基を有するケトンは、従来用いられている触媒を用いた場合、そのカルボニル部位が比較的還元されにくいあるいはエナンチオ選択性が低いものであるが、上述した一般式(1)で表されるルテニウム錯体を用いた場合、エナンチオ選択的に効率よく当該カルボニル部位を還元することができる。
また、一般式(5)〜(7)中、R19およびR20としては、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、ニトロ基、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル等のエステル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキルエステル基)、N―メチルアミド基、N,N−ジメチルアミド基、N−エチルアミド基、N,N−ジエチルアミド基等のアミド基(好ましくは炭素数1〜5のモノまたはジアルキルアミド基)、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアミノ基(好ましくは炭素数1〜5のモノまたはジアルキルアミノ基)、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基等の炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基等の炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐アルコキシ基、フェノキシ基ならびにこれらのアルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基の1または2以上の水素原子が、上述のエステル基、アミド基、アミノ基、ニトロ基またはハロゲン原子、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子によって置換されたものが挙げられる。
また、R19およびR20は、好ましくは、ハロゲン基を有してもよい炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐アルキル基もしくはアルコキシ基またはハロゲン基であり、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、メチル基またはメトキシ基である。
また、R19およびR20は、同一であってもよいし異なっていてもよいが、反応の効率の観点から、溶解度の高い置換基の組合せであることが望ましい。
また、一般式(5)〜(7)中、R21としては、具体的には、ニトロ基あるいはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル等のエステル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキルエステル基)、N―メチルアミド基、N,N−ジメチルアミド基、N−エチルアミド基、N,N−ジエチルアミド基等のアミド基(好ましくは炭素数1〜5のモノまたはジアルキルアミド基)、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアミノ基(好ましくは炭素数1〜5のモノまたはジアルキルアミノ基)、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状脂肪族炭化水素基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基等の炭素数1〜9の直鎖もしくは分岐アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘプトキシ基、n−オクトキシ基、n−ノニノキシ基等の炭素数1〜9の直鎖もしくは分岐アルコキシ基、ならびにこれらの環状脂肪族炭化水素基、アルキル基、アルコキシ基の1または2以上の水素原子がハロゲン原子、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子によって置換されたもの、アリール基、例えばフェニル基によって置換されたもの、または上述のエステル基、アミノ基、アミド基、アミノ基もしくはニトロ基によって置換されたものが挙げられる。
また、R21は、好ましくは、アリール基またはヘテロ原子で置換されてもよい炭素数1〜9の分岐または直鎖状アルキル基であり、より好ましくは、アリール基またはヘテロ原子で置換されてもよい炭素数1〜6の分岐または直鎖状アルキル基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基である。
また、アルキル基、アルコキシ基の炭素数は、上述した範囲内であればよいが、好ましくは、1〜6であり、より好ましくは、1〜3である。
また、一般式(5)〜(7)中、R22〜R24としては、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、ニトロ基、フェニル基、o−、m−、p−トリル基、2,6−、2、3−、2、4−、3,4−キシリル基等の置換基を有してもよいアリール基、ピリジル基、3−メチル−2−ピリジル基、4−メチル−2−ピリジル基、5−メチル−2−ピリジル基、2−メチル−3−ピリジル基、4−メチル−3−ピリジル基、5−メチル−2−ピリジル基等の置換基を有してもよいヘテロ環基、ニトロ基あるいはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル等のエステル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキルエステル基)、N―メチルアミド基、N,N−ジメチルアミド基、N−エチルアミド基、N,N−ジエチルアミド基等のアミド基(好ましくは炭素数1〜5のモノまたはジアルキルアミド基)、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアミノ基(好ましくは炭素数1〜5のモノまたはジアルキルアミノ基)、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状脂肪族炭化水素基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘプトキシ基、n−オクトキシ基等の炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐アルコキシ基、フェノキシ基ならびにこれらのアルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基の1または2以上の水素原子がハロゲン原子、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子によって置換されたもの、アリール基、例えばフェニル基によって置換されたもの、または上述のエステル基、アミノ基、アミド基、アミノ基もしくはニトロ基によって置換されたものが挙げられる。
また、R22〜R24は、好ましくは、水素原子、またはハロゲン基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐アルキル基もしくはアルコキシ基、置換基を有してもよい環状炭化水素基、置換基を有してもよいヘテロ環、ハロゲン基またはニトロ基であり、より好ましくは、水素原子、またはハロゲン基を有してもよい炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐アルキル基もしくはアルコキシ基、ハロゲン基、置換基を有してもよい環状炭化水素基または置換基を有しても良いヘテロ環であり、さらに好ましくは、水素原子、またはハロゲン基を有してもよい炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐アルキル基もしくはアルコキシ基またはハロゲン基である。
好ましい一般式(5)〜(7)で表されるケトンの具体例としては、2’,6’−ジクロロ−3’−フルオロアセトフェノン、2’,6’−ジクロロアセトフェノン、2’,6’−ジフルオロアセトフェノン、2’,4’,6’−トリフルオロアセトフェノン、2’,3’,4’,5’,6’−トリフルオロアセトフェノン、2’,6’−ジメチルアセトフェノン、2’,4’,6’−トリメチルアセトフェノン、2’,6’−ジメトキシアセトフェノン、2’,4’,6’−トリメトキシアセトフェノン、2’,6’−ビス(トリフルオロメチル)アセトフェノン等が挙げられる。
<光学活性2級アルコールの製造方法>
次に、本実施態様の光学活性2級アルコールの製造方法について説明する。
本実施態様の光学活性2級アルコールの製造方法は、上記一般式(1)で表される1種または2種以上のルテニウム錯体の存在下において、上記一般式(5)〜(7)で表される化合物から選択されるケトンを水素と反応させるものである。
ルテニウム錯体は、本方法において触媒として機能するものである。ルテニウム錯体としては、上述した一般式(1)で表されるものであればよいが、一般式(1)で表されるルテニウム錯体中の一般式(2)で表される光学活性ジホスフィン化合物のうち、これらの(R,R)体または(S,S)体のいずれかを選択することにより、所望する絶対配置の光学活性2級アルコール類をつくり分けることができる。
また、一般式(1)で表されるルテニウム錯体中の一般式(3)または一般式(4)で表されるアミン化合物が光学活性体である場合、一般式(8)で表される光学活性ルテニウム錯体中のジホスフィン化合物の絶対構造と添加する光学活性アミン化合物の絶対構造の組合せが、高い光学純度を得るためには重要である。例えば、基質の構造により、ジホスフィン化合物の絶対構造とアミン化合物の絶対構造の適切な組合せが異なる。不適切な組合せをもつ錯体を用いた場合には、適切な組合せをもつ錯体を使用した場合と比較して、触媒活性の低下あるいは生成物の光学純度が低下する場合がある。
一般式(1)で表されるルテニウム錯体の使用量は、使用する反応容器、水素の純度、使用する溶媒の種類や純度、または基質の純度などの反応条件あるいは経済性によって異なるが、反応基質である一般式(5)〜(7)で示されるケトンに対してモル比で、1/100〜1/10,000,000の範囲で、好ましくは1/500〜1/1,000,000の範囲で用いることができる。
また、一般式(5)〜(7)で表される化合物から選択されるケトンと反応させるための水素は、水素ガスとして反応系中に供給される。
水素ガスの圧力(分圧)は、特に限定されないが、例えば、1〜200気圧の範囲、好ましくは1〜100気圧の範囲、さらに好ましくは1〜20気圧の範囲、さらに好ましくは、2〜15気圧の範囲が望ましい。
また、反応において、反応系中に塩基を存在させることが好ましい。
また、用いることのできる塩基としては、特に限定されないが、例えば、KOH、KOCH、KOCH(CH、KOC(CH3、KC10、LiOH、LiOCH、LiOCH(CH、LiOC(CH等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩あるいは4級アンモニウム塩等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、塩基は、好ましくはKOHまたはKOCH(CHであり、特に好ましくはKOCH(CHである。
添加する塩基の量は、特に限定されないが、例えば、塩基濃度が反応系中において0.001〜0.2モル/Lとなる量、好ましくは、0.005〜0.1モル/Lとなる量、さらに好ましくはである0.01〜0.05モル/Lとなる量である。
以上の通り、触媒として使用する一般式(1)に示したルテニウム錯体と塩基の2成分は、不斉水素化反応が円滑に進行し、高い不斉収率を達成するためには必要不可欠の成分であり、1成分たりとも不足すると十分な反応活性で高い光学純度の光学活性アルコールは得られない。
ただし、一般式(1)で表されるルテニウム錯体のX,Yが水素原子の場合、あるいはXが水素原子でありYがテトラヒドロボラートアニオンの場合は、塩基を添加することなしに、ルテニウム錯体の一般式(5)〜(7)で表されるケトンとの混合後、水素圧をかけて攪拌することで反応を行ってもよい。このような場合であっても、一般式(5)〜(7)で表されるケトンの水素化を行うことができる。
また、反応系中に溶媒が存在していてもよい。
用いることのできる溶媒としては、特に限定されず、基質および触媒系を可溶化するものが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどの低級アルコール、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒、塩化メチレン等のハロゲン含有炭化水素溶媒、エーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド(DMSO)等のヘテロ原子を含む有機溶媒等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶媒の量は反応基質の溶解度および経済性により判断される。例えば、基質濃度は、基質によっては反応系中0.1モル/L以下の低濃度から無溶媒に近い状態で反応を行うことができるが、好ましくは0.3〜5モル/Lの範囲で用いることが望ましい。
反応温度は、その上限は触媒として用いるルテニウム錯体の分解が生起しない範囲に、下限は活性を考慮して設定することが必要であり、例えば、0〜60℃、好ましくは、25〜40℃で反応を実施することが好ましく、かかる温度範囲は経済性の観点からも優れたものといえる。
反応時間は、反応溶媒、反応基質濃度、温度、圧力、基質/触媒比等の反応条件によって異なるが、反応操作の容易さと経済性の両面を考慮し、数分から数十時間、例えば、10分〜96時間、好ましくは、2時間〜48時間で反応が完結するよう任意に設定することができる。なお仮に、カルボニル基の還元反応が完結した後に、そのまま継続して反応操作を続行した場合においても、生成物である光学活性2級アルコール類の不斉炭素のラセミ化はなく、光学純度の低下は殆ど認められない。従って本方法の実施に際しては、反応の進行度を絶えずモニターする必要は無く、反応完結後に直ちに反応を打ち切る必要も無い。即ち、反応時間は実質的な反応完結時間よりも長めに設定することができ、工業的な実施に際しては有利な方法である。
上記記載の方法により、一般式(5)〜(7)で表されるケトンを水素化することにより、一般式(5)〜(7)で表されるケトンのカルボニル基が還元された光学活性2級アルコール類を、目的とするエナンチオマーを優先的に効率よく得ることができる。
しかしながら、本発明の方法によっても、水素化反応生成物中に原料ケトン、添加した塩基あるいは錯体と塩基が反応して生成した塩等を含むことがある。これらは蒸留、水洗、再結晶、クロマトグラフィー等の一般的に知られた精製操作によって精製することができる。
また、上記反応の反応形式は、特に限定されず、バッチ式、連続式あるいはマイクロフロー反応装置のいずれにおいても実施することができる。
また、本発明の他の実施態様に係る光学活性2級アルコール類の製造方法は、下記一般式(8)
RuXYA (8)
[一般式(8)中、XおよびYは互いに同一または異なり、互いに独立して一般式(1)中で定義されたとおりの意味を有する。]で表される化合物から選択される1種または2種以上の錯体と、上記一般式(3)および/または(4)で表される化合物から選択される1種または2種以上のアミン化合物の存在下で、上記一般式(5)〜(7)で表される化合物から選択されるケトンを水素と反応させるる化合物と反応させる、方法である。
一般式(8)で表される錯体と、一般式(3)および/または(4)で表されるアミン化合物とは、好ましくは1:1〜1:50のモル比で、さらに好ましくは1:1〜1:20のモル比で、般式(5)〜(7)で表される化合物を水素と反応させる容器に仕込むことができる。
また、本実施態様における他の条件としては、上述した条件を用いることができる。
このような態様の方法によっても、同様の効果を得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、下記の実施例においては、反応はすべてアルゴンガスあるいは窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行った。また、反応にもちいた溶媒は、特筆する場合を除き、乾燥、脱気したものを使用した。カルボニル化合物の水素化反応は、オートクレーブ中、水素(水素ガス)を加圧して行った。
実施例あるいは比較例に記載するケトン基質は、特筆する場合を除きアルドリッチ社製試薬を直接使用した。反応に用いる溶媒をはじめ、その他の薬品は、関東化学社製試薬を直接使用した。
以下に記載する実施例および比較例において、S/Cは、基質/触媒モル比を示す。
尚、以下の測定には次の機器を使用した。
NMR:JNM−ECX400P型(400MHz)(日本電子(株)製)
内部標準物質:H−NMR・・・テトラメチルシラン
外部標準物質:31P−NMR・・・85%リン酸
GCによる光学純度測定
測定装置:Agilent GC7890A(Agilent社製)
カラム:CP Chirasil−DEX CB(0.25mmI.D×25m、DF=0.25μm)(Agilent社製)
HPLCによる光学純度測定
測定装置:LC―20A(UV検出器、島津製作所製)
カラム:CHIRALPAK AD−RH(4.6mmφ×150mm)(ダイセル社製)
CHIRALCEL OD−H(4.6mmφ×250mm)7(ダイセル社製)
<1.ルテニウム錯体の合成>
[合成例1]
RuBr[(S,S)−xylskewphos](pica)錯体の合成
(1) RuBr[(S,S)−xylskewphos](メチルアリル)の合成
アルゴン置換した50mLシュレンク管に(S,S)−xylSKEWPHOS(110mg、0.2mol)、Ru(シクロオクタ−1,5−ジエン)(メチルアリル)(64mg、0.2mmol)を仕込んだ。その後ヘキサン5mLを加えて70℃で6時間攪拌した。不溶物をグラスフィルターで濾過して、濾液を濃縮して目的物を得た。これを特に精製することなく次の反応に用いた。
(2)RuBr[(S,S)−xylskewphos]の合成
RuBr[(S,S)−xylskewphos](メチルアリル)錯体(153mg、0.2mmol)をアセトン15mLに溶解し、47%HBrメタノール溶液(0.046mL、0.4mmol)を加え、脱気を行い、室温で30分攪拌した。溶媒留去後、精製せずに次の反応に用いた。
(3)RuBr[(S,S)−xylskewphos](pica)の合成
50mLシュレンク管にRuBr[(S,S)−xylskewphos]錯体(163mg、0.2mmol)に2−ピコリルアミン(21.6mg、0.2mmol)を仕込み、アルゴンガスで置換した。次いで、ジメチルホルムアミド(5mL)を加え、脱気を行い室温で一晩攪拌した。反応液をシリカゲルを詰めたグラスフィルターを通して濾過後、溶媒留去し、RuBr[(S,S)−xylskewphos](pica)177mg(96%収率)を得た。
31P−NMRスペクトル(161.7MHz、C):δ62.4(d,J=42Hz)、43.5(d,J=43Hz)
[合成例2]
RuBr[(R,R)−xylskewphos][(S)−aep]の合成
合成例1で用いた(S,S)−xylSKEWPHOSに代え(R,R)−xylSKEWPHOSをジホスフィン配位子に、2−ピコリルアミンに変えて(S)−1−(2−ピリジル)エチルアミンをアミン配位子に変更した以外は、実施例1と同様に合成し、RuBr[(R,R)−xylskewphos][(S)−aep]134mg(70%収率)で得た。
[合成例3]
RuBr[(R,R)−xylskewphos](tolpicaa)の合成((tolpicaa)における末尾の“a”はトリル基がアニオン性配位子としてRuに結合していることを示す。)
(1)配位子の合成
下記スキームに従って、(6−(p−トリル)−2−ピリジル)メタンアミン(tolPICA)を合成した。
はじめに、アルゴンガス雰囲気下、2−(p−トリル)ピリジン 5mL(31mmol)のTHF 80mL溶液を氷冷し、これにmCPBA 9.5g(36mmol)を少量ずつ添加した。室温下で一晩攪拌後、水加えてクエンチし、塩化メチレンで抽出して2−(p−トリル)ピリジン−N−オキシドを1.97g(34%収率)得た。
次いで、アルゴンガス雰囲気下、2−(p−トリル)ピリジン−N−オキシド8.79g(47.5mmol)を塩化メチレン120mLに溶解し、ジメチルカルバモイルクロリド 4.4mL(48mmol)を添加し、次いでトリメチルシリルシアニド 6.24mL(50mmol)を仕込み、室温下で一晩攪拌した。反応液を10%−KCO水溶液でクエンチ後、塩化メチレン層を分離して芒硝乾燥後濃縮して6−シアノ−2−(p−トリル)ピリジンを7.87g(85%収率)得た。
オートクレーブ中、6−シアノ−2−(p−トリル)ピリジン4.1g(21mmol)、Pd/C(50%含水品)0.3g、メタノール290mLおよび濃塩酸4.8mL仕込み、水素を5気圧加圧しながら室温下で3時間攪拌した。反応液をセライト濾過し、濾液を濃縮乾固した。これにエタノール/ヘキサンで再結晶し、(6−(p−トリル)−2−ピリジル)メタンアミン塩酸塩5.3g(93%収率)得た。この(6−(p−トリル)−2−ピリジル)メタンアミン塩酸塩を炭酸水素ナトリウム水溶液で処理し、(6−(p−トリル)−2−ピリジル)メタンアミン(tolPICA)を定量的に得た。
H−NMRスペクトル(399.78MHz、CDCl):δ7.93(m,2H)、7.68(t,J=7.6Hz,1H)、7.58(d,J=7.6Hz,1H)、7.27(d,J=7.6Hz,2H)、7.16(t,J=7.6Hz,1H)、7.68(t,J=7.6Hz,1H)、4.02(s,2H)、2.41(s,3H)、1.92(br,2H)
(2)RuBr[(R,R)−xylskewphos](tolpicaa)の合成
50mLシュレンク管にRuBr[(R,R)−xylskewphos]錯体(0.337g、0.4mmol)にtolPICA(0.09g、0.45mmol)を仕込み、アルゴンガスで置換した。次いで、ジメチルホルムアミド(10mL)を加え、脱気を行い室温で一晩攪拌した。反応液を減圧濃縮し、濃縮物にトルエン(15mL)およびトリエチルアミン(58μL)を加え、80℃で15時間攪拌した。反応液をグラスフィルターで濾過し、濾液にヘキサンを添加した。析出固体を濾集してRuBr[(R,R)−xylskewphos](tolpicaa)0.27g(70%収率)を得た。
31P−NMRスペクトル(161.7MHz、C):δ64.7(d,J=44Hz)、44.8(d,J=48Hz)
[合成例4〜7]
各種PICA型アミン配位子の合成
以下に2−アミノメチル−4−イソプロピルピリジン(4−i−PrPICA)を例として、以下に合成法を記載する。
はじめに、アルゴンガス雰囲気下、300ml四ツ口フラスコに4−イソプロピルピリジン 10.0mL(76,7mmol)を仕込み、これを塩化メチレン160mLで希釈した。この溶液を氷冷し、65%のm−クロロ過安息香酸(mCPBA) 23.0g(86.5mmol)を少量ずつ添加した。氷冷下で1時間攪拌後、室温で21時間攪拌した。反応液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を添加後、反応液を塩化メチレンで抽出した。抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、芒硝乾燥して濃縮して4−イソプロピルピリジン−N−オキシド3.22g(31%収率)で得た。
得られた4−イソプロピルピリジン−N−オキシド3.22g(23.4mmol)を、アルゴンガス雰囲気下、塩化メチレン60mLに溶解し、ジメチルカルバモイルクロリド 2.2mL(24.0mmol)を添加し、次いでトリメチルシリルシアニド 3.0mL(24.0mmol)を仕込み、室温下で一晩攪拌した。反応液を10%−KCO水溶液でクエンチ後、塩化メチレン層を分離して芒硝乾燥後濃縮して6−シアノ−4−イソプロピルピリジンを3.74g(109%収率)を得た。
オートクレーブ中、6−シアノ−4−イソプロピルピリジン3.74g(25.6mmol)、Pd/C(50%含水品)0.3g、メタノール220mLおよび濃塩酸5.3mL仕込み、水素を5気圧に加圧しながら室温下一晩攪拌した。反応液をセライト濾過し、濾液を濃縮乾固した。これをメタノール/ヘキサンで再結晶して、2−アミノメチル−4−イソプロピルピリジン(4―i―PrPICA)塩酸塩3.61g(63%収率)得た。この(2−アミノメチル−3,4−ジメチルピリジン塩酸塩を炭酸カリウム水溶液で処理し、2−アミノメチル−4−イソプロピルピリジン(4―i―PrPICA)を定量的に得た。
同様の方法で、2−アミノメチル−4−tert−ブチルピリジン(4−tBuPICA)を合成した。2−アミノメチル−3−メチルピリジン(3−MePICA)、2−アミノメチル−4−メチルピリジン(4−MePICA)は、対応する中間体であるN−オキシド体がアルドリッチ社より販売されているため、これを原料として使用した。合成した収率を以下の表1にまとめて記載する。
[合成例8〜11]
各種PICA配位子をもつルテニウムXylSKEWPHOS錯体の合成
2−ピコリルアミンに変え、合成例4〜7で合成したアミン配位子を用いた以外は合成例1の(3)と同様の方法で合成した。収率はほぼ定量的であった。合成結果を以下の表2にまとめて記載する。
2.光学活性2級アルコールの製造
[実施例1]
2’,6’−ジクロロ−3’−フルオロアセトフェノンの水素化反応
オートクレーブに、RuBr[(S,S)−xylskewphos](pica)3.12mg(3.38×10−3mmol、S/C=1000)およびカリウムtert−ブトキシド7.64mg(6.81×10−2mmol)を仕込み、アルゴンガスで置換した。アルゴンガス気流下、2’,6’−ジクロロ−3’−フルオロアセトフェノン0.5mL(3.39mmol)および2−プロパノール2.9mLをシリンジで計量して加え、水素で10気圧に加圧して、40℃で21時間攪拌したところ、水素圧の減少が確認され、(S)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エタノールが100%収率で得られた。また、HPLC(DAICEL CHRALPAK AD−RH、アセトニトリル/水=25/75、0.5mL/min、25℃、220nm、各エナンチオマーのレテンションタイムは(S)体:56.1min、(R)体:64.5min)により光学純度を測定した結果、94.0%eeであった。
[実施例2]
100mLオートクレーブに、RuBr[(R,R)−xylskewphos](tolpicaa)3.16mg(3.40×10−3mmol、S/C=1000)およびカリウムtert−ブトキシド13.48mg(0.120mmol)を仕込み、アルゴンガスで置換した。アルゴンガス気流下、2’,6’−ジクロロ−3’−フルオロアセトフェノン0.5mL(3.39mmol)および2−プロパノール1.1mLをシリンジで計量して加え、水素で10気圧に加圧して、40℃で21時間攪拌したところ、水素圧の減少が確認され、(R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エタノールが100%収率で得られた。実施例1に記載の条件により光学純度を測定した結果、95.3%eeであった。
[実施例3〜10、比較例1〜5]
触媒の種類を変更した以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。これまでに知られた光学活性ジホスフィン配位子と光学活性ジアミン配位子をもつ触媒を用いた場合に比べ、一般式(1)で表されるルテニウム錯体を用いた本発明の方法がより有効に作用することを確認した。
例えば、特許文献7〜9において提案されるRuCl[(S)−binap][(S,S)−dpen]、RuCl[(S)−xylbinap][(S)−daipen]あるいはRuCl[(S,S)−xylskewphos][(S,S)−dpen]等の触媒を用いた場合(比較例1、4、5)、収率が低く、光学純度も低いものであった。
また、例えば、特許文献11において提案されるRuCl[(S)−tolbinap](pica)を触媒として用いた場合(比較例3)、収率は高いものの、生成した1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エタノールは極めて光学純度が低かった。
[実施例11]
実施例1と同様の条件で、水素化反応における、光学純度の経時変化を確認した。これにより反応初期と反応終了後の光学純度に変化がなく、反応終了直後に反応を停止させる必要がないことがわかった。尚、生成したアルコール体は(S)体が主成分であった。
[実施例12〜15]
反応の効率向上を目的として、S/C、基質濃度、カリウムtert−ブトキシド(KOtBu)濃度を変えた以外は、実施例1と同様の条件でおこなった。これによりS/C=20000の条件でほぼ定量的に基質が水素化されることを確認した。
尚、生成したアルコール体はすべて(S)体が主成分であった。
[比較例6]
水素移動型還元反応の確認
実施例15の条件で水素を加圧しないで反応をおこなった。その結果、ケトンは全く還元されず、原料回収であった。この結果より、2−プロパノールを水素源とする還元は生じていないこと、すなわち、水素移動型還元反応が生じていないことがわかった。
[実施例16]
スケールアップ合成
3L−SUS316製オートクレーブに、RuBr[(S,S)−xylskewphos](pica)0.120g(1.30×10−1mmol、S/C=10000)およびカリウムtert−ブトキシド2.19g(19.5mmol)を仕込み、アルゴンガスで置換した。アルゴンガス気流下、2’,6’−ジクロロ−3’−フルオロアセトフェノン(Jiangxi Jixiang Pharmachemical社製)192mL(1.30mol)および2−プロパノール460mLをキャヌラで加え、水素で10気圧に加圧して、40℃、500rpmで攪拌した。水素圧の減少が確認され、水素圧が7気圧まで減少した際には10気圧まで再加圧した。8時間後に水素圧の減少が確認され、さらに13時間攪拌を継続した。反応液を分析した結果、(S)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エタノールが100%収率で得られた。反応液をエバポレータで濃縮後、減圧蒸留を行い、135℃/2000Paの留分を回収した。単離収率は98.6%であり、定量的に取得できることがわかった。また、実施例1に記載の条件により光学純度を測定した結果、94.5%eeであった。
[実施例17〜22]
2’,6’−ジクロロ−3’−フルオロアセトフェノン以外のオルト2置換フェニル基をもつケトンの水素化反応をおこなった。反応条件は、S/C=2000とした以外は、実施例15と同様に実施した。ただし実施例19および実施例22では、2−プロパノールへの基質の溶解性を考慮して、基質濃度を1.0mol/Lとした。
尚、表中に記載する分析条件(光学純度分析条件)は以下の通りである。
(分析条件A)
ガスクロマトクラフ分析による測定(Agilent社製 CP Chirasil−DEX CB(0.25mmφ×25m、DF=0.25μm)、140℃一定条件、圧力47KPa、スプリット比1/10、各エナンチオマーのレテンションタイムは(R)体:40.2min(S)体:48.0min)
(分析条件B)
ガスクロマトクラフ分析による測定(Agilent社製 CP Chirasil−DEX CB(0.25mmφ×25m、DF=0.25μm)、140℃一定条件、圧力57KPa、スプリット比1/10、各エナンチオマーのレテンションタイムは(R)体:28.8min(S)体:33.6min)
(分析条件C)
HPLC分析による測定(DAICEL CHRALCEL OD−H、ヘキサン/2−プロパノール=95/5、0.5mL/min、25℃、220nm、各エナンチオマーのレテンションタイムは一方が、32.1min(マイナー)、他方が67.7min(メジャー))絶対配置に関しては未決定である
(分析条件D)
ガスクロマトクラフ分析による測定(Agilent社製 CP Chirasil−DEX CB(0.25mmφ×25m、DF=0.25μm)、110℃一定条件、圧力47KPa、スプリット比1/10、各エナンチオマーのレテンションタイムは(R)体:21.5min(S)体:22.0min)
(分析条件E)
ガスクロマトクラフ分析による測定(Agilent社製 CP Chirasil−DEX CB(0.25mmφ×25m、DF=0.25μm)、110℃一定条件、圧力47KPa、スプリット比1/10、各エナンチオマーのレテンションタイムは一方が20.7min(マイナー)、他方が26.0min(メジャー))絶対配置に関しては未決定である。
(分析条件F)
HPLC分析による測定(DAICEL CHRALCEL OD−H、ヘキサン/2−プロパノール=95/5、0.5mL/min、25℃、220nm、各エナンチオマーのレテンションタイムは一方が、10.9min(メジャー)、他方が12.5min(マイナー))絶対配置に関しては未決定である。
[比較例7〜26]
2’,6’−ジクロロ−3’−フルオロアセトフェノン以外のオルト2置換フェニル基をもつケトン水素化反応で、RuBr[(S,S)−xylskewphos](pica)触媒の2−プロパノールを水素源とする水素移動型還元能の調査、およびこれまでに知られた光学活性ジホスフィン配位子と光学活性ジアミン配位子をもつルテニウム触媒の反応性およびエナンチオ選択性を比較した。反応条件は、RuBr[(S,S)−xylskewphos](pica)触媒の水素移動型還元能の調査に関しては実施例17〜22と同じ条件で水素を添加せずに実施した。その他の触媒評価に関しては、触媒の種類およびS/Cを表7に記載するように変更した以外は、実施例1と同様におこなった。
この結果により、RuBr[(S,S)−xylskewphos](pica)触媒の水素移動型還元は極めて軽微であること、また当該触媒は他の触媒に比べて反応性およびエナンチオ選択性に優れることが明らかとなった。

Claims (11)

  1. 光学活性2級アルコールの製造方法であって、下記一般式(1)
    RuXYAB (1)
    [一般式(1)中、XおよびYは互いに同一または異なり、水素原子またはアニオン性基を示し、Aは下記一般式(2)
    (一般式(2)中、
    およびRは、互いに同一または異なり、置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状または環状炭化水素基を示し、
    およびRは互いに同一または異なり、水素原子、または炭素数1〜3の炭化水素基を示し、
    、R、RおよびRは、互いに同一または異なり、置換基を有してもよい炭化水素基を表し、
    *は不斉炭素原子を表す。)で表される光学活性ジホスフィンを示し、Bは、下記一般式(3)または一般式(4)
    (一般式(3)中、
    、R10、R11およびR12は互いに同一または異なり、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状もしくは環状炭化水素基を示し、
    10とR11は、互いに連結して置換基を有していてもよい飽和または不飽和の炭化水素環または複素環を形成してもよく、
    12は、少なくともその一部がアニオン性基Xとしてルテニウムに結合してもよく、
    nは、0または1の整数を示し、
    一般式(4)中、
    13、R14、R15、R16、R17およびR18は、それぞれの出現毎に互いに同一または異なり、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状もしくは環状炭化水素基を示し、ただし、R13、R14およびR15のうち少なくとも1つは、水素原子であり、
    13とR14は、互いに連結して窒素原子を含む環を形成してもよく、
    16とR17および/または隣接する2つのR18は、互いに連結して、置換基を有してもよい飽和または不飽和の炭化水素環または複素環を形成してもよく、
    各R18は、独立して、少なくともその一部がアニオン性基Xとしてルテニウムに結合してもよく、
    mは1〜3の整数を示し、
    kは0〜10の整数を示す。)
    で表されるアミン化合物を示す。]
    で表される化合物から選択される1種または2種以上のルテニウム錯体の存在下において、下記一般式(5)〜(7)
    [一般式(5)〜(7)中
    〜Dは、炭素原子または窒素原子を示し、ここでD〜Dのいずれか一つは窒素原子であり、
    19およびR20は、同一または異なり、ハロゲン基を有してもよい炭素数1〜9の直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数1〜5のアルキルエステル基炭素数1〜5のモノまたはジアルキルアミド基炭素数1〜5のモノまたはジアルキルアミノ基、アルコキシ基ハロゲン基またはニトロ基を示し、
    21は、炭素数1〜5のアルキルエステル基水素原子が置換されてもよい炭素数1〜の分岐もしくは直鎖状アルキル基を示し、
    22〜R24は、同一または異なり、水素原子、またはハロゲン基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数1〜5のアルキルエステル基炭素数1〜5のモノまたはジアルキルアミド基炭素数1〜5のモノまたはジアルキルアミノ基、アルコキシ基、置換基を有してもよい環状炭化水素基、置換基を有してもよいヘテロ環基、ハロゲン基またはニトロ基を示し、ただし、D〜Dが、窒素原子である場合には、当該窒素原子上にある対応するR22、R23およびR24からなる群から選択される基は存在せず、
    Eは酸素または硫黄原子を示す]
    で表される化合物から選択されるケトンを、水素加圧下で水素と反応させる、前記方法。
  2. 反応系中に、下記一般式(8)
    RuXYA (8)
    [一般式(8)中、X、YおよびAは、互いに独立して一般式(1)中で定義されたとおりの意味を有する。]で表される化合物から選択される1種または2種以上の錯体と、前記一般式(3)および/または前記一般式(4)で表される化合物から選択される1種または2種以上のアミン化合物とを存在させることにより、一般式(1)で表されるルテニウム錯体がin situで調製される、請求項1に記載の方法。
  3. Aが、2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−イソプロピルフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−ジイソプロピルフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−ジイソプロピルフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタン、1,3−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−ジイソプロピルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパン、1,3−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパン、1,3−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパン、1,3−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパンまたは1,3−ビス−(ジ−3,5−ジイソプロピルフェニルホスフィノ)−1,3−ジフェニル−2−メチルプロパンである、請求項1または2に記載の方法。
  4. Aが2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−トリルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−イソプロピルフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−4−tert−ブチルフェニルホスフィノ)ペンタン、2,4−ビス−(ジ−3,5−ジエチルフェニルホスフィノ)ペンタンまたは2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−3−メチルペンタンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. Bが、2−ピコリルアミン、(6−(p−トリル)−2−ピリジル)メタンアミン、1−(2−ピリジル)エチルアミン、2−(アミノメチル)−6−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−3−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−4−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−6−エチルピリジン、2−(アミノメチル)−3−エチルピリジン、2−(アミノメチル)−4−エチルピリジン、2−(アミノメチル)−5−エチルピリジン、2−(アミノメチル)−6−n−プロピルピリジン、2−(アミノメチル)−3−n−プロピルピリジン、2−(アミノメチル)−4−n−プロピルピリジン、2−(アミノメチル)−5−n−プロピルピリジン、2−(アミノメチル)−6−イソプロピルピリジン、2−(アミノメチル)−3−イソプロピルピリジン、2−(アミノメチル)−4−イソピロピルピリジン、2−(アミノメチル)−5−イソプロピルピリジン、2−(アミノメチル)−6−tert−ブチルピリジン、2−(アミノメチル)−3−tert−ブチルピリジン、2−(アミノメチル)−4−tert−ブチルピリジン、2−(アミノメチル)−5−tert−ブチルピリジン、2−(N−ベンジル−アミノメチル)ピリジン、2−(アミノメチル)ピロリジン、2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン、2−(ピロリジニルメチル)ピロリジン、2−(1−アミノ−1,1−ジフェニルメチル)ピロリジン、2−(アミノメチル)−6−フェニルピリジン、2−(アミノメチル)−3−フェニルピリジン、2−(アミノメチル)−4−フェニルピリジンまたは2−(アミノメチル)−5−フェニルピリジンである請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. Bが、2−ピコリルアミン、(6−(p−トリル)−2−ピリジル)メタンアミン、1−(2−ピリジル)エチルアミン、2−(アミノメチル)−6−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−3−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−4−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピリジン、2−(アミノメチル)−4−イソピロピルピリジンまたは2−(アミノメチル)−4−tert−ブチルピリジンであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 一般式(5)〜(7)中、
    21が、炭素数1〜3のアルキル基である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. 一般式(5)〜(7)中、
    21が、メチル基である、請求項に記載の方法。
  9. 一般式(5)〜(7)中、
    19およびR20が、ハロゲン基を有しても良い炭素数1〜3の直鎖または分岐アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基であり、
    21が炭素数1〜3のアルキル基であり、
    22〜R24が水素、またはハロゲン基を有しても良い炭素数1〜3の直鎖または分岐アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基または置換基を有してもよい環状炭化水素基あるいは置換基を有しても良いヘテロ環である、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  10. 光学活性2級アルコールの製造方法であって、下記一般式(8)
    RuXYA (8)
    [一般式(8)中、XおよびYは互いに同一または異なり、水素原子またはアニオン性基を示し、Aは下記一般式(2)
    (一般式(2)中、
    およびRは、互いに同一または異なり、置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状または環状炭化水素基を示し、
    およびRは互いに同一または異なり、水素原子、または炭素数1〜3の炭化水素基を示し、
    、R、RおよびRは、互いに同一または異なり、置換基を有してもよい炭化水素基を表し、
    *は不斉炭素原子を表す。)で表される光学活性ジホスフィンを示す]で表される化合物から選択される1種または2種以上の錯体と、下記一般式(3)および/または一般式(4)
    [一般式(3)中、
    、R10、R11およびR12は互いに同一または異なり、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状もしくは環状炭化水素基を示し、
    10とR11は、互いに連結して置換基を有していてもよい飽和または不飽和の炭化水素環または複素環を形成してもよく、
    12は、少なくともその一部がアニオン性基Xとしてルテニウムに結合してもよく、
    nは、0または1の整数を示し、
    一般式(4)中、
    13、R14、R15、R16、R17およびR18は、それぞれの出現毎に互いに同一または異なり、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1〜20の鎖状もしくは環状炭化水素基を示し、ただし、R13、R14およびR15のうち少なくとも1つは、水素原子であり、
    13とR14は、互いに連結して窒素原子を含む環を形成してもよく、
    16とR17および/または隣接する2つのR18は、互いに連結して、置換基を有してもよい飽和または不飽和の炭化水素環または複素環を形成してもよく、
    各R18は、独立して、少なくともその一部がアニオン性基Xとしてルテニウムに結合してもよく、
    mは1〜3の整数を示し、
    kは0〜10の整数を示す。)で表される化合物から選択される1種または2種以上のアミン化合物の存在下において、下記一般式(5)〜(7)
    [一般式(5)〜(7)中
    〜Dは、炭素原子または窒素原子を示し、ここでD〜Dのいずれか一つは窒素原子であり、
    19およびR20は、同一または異なり、ハロゲン基を有してもよい炭素数1〜9の直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数1〜5のアルキルエステル基炭素数1〜5のモノまたはジアルキルアミド基炭素数1〜5のモノまたはジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン基またはニトロ基を示し、
    21は、炭素数1〜5のアルキルエステル基水素原子が置換されてもよい炭素数1〜の分岐もしくは直鎖状アルキル基を示し、
    22〜R24は、同一または異なり、水素原子、またはハロゲン基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数1〜5のアルキルエステル基炭素数1〜5のモノまたはジアルキルアミド基炭素数1〜5のモノまたはジアルキルアミノ基、アルコキシ基、置換基を有してもよい環状炭化水素基、置換基を有してもよいヘテロ環基、ハロゲン基またはニトロ基を示し、ただし、D〜Dが、窒素原子である場合には、当該窒素原子上にある対応するR22、R23およびR24からなる群から選択される基は存在せず、
    Eは酸素または硫黄原子を示す]
    で表される化合物から選択されるケトンを、水素加圧下で水素と反応させる、前記方法
  11. 一般式(5)〜(7)で表される化合物から選択されるケトンと水素との反応が、塩基の存在下で行われる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
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