JP6287898B2 - エンジンの可変バルブタイミング装置 - Google Patents

エンジンの可変バルブタイミング装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6287898B2
JP6287898B2 JP2015046657A JP2015046657A JP6287898B2 JP 6287898 B2 JP6287898 B2 JP 6287898B2 JP 2015046657 A JP2015046657 A JP 2015046657A JP 2015046657 A JP2015046657 A JP 2015046657A JP 6287898 B2 JP6287898 B2 JP 6287898B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
engine
oil
variable valve
valve timing
chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015046657A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016166570A (ja
Inventor
徹 弘田
徹 弘田
達也 ▲高▼▲旗▼
達也 ▲高▼▲旗▼
宮本 圭一
圭一 宮本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2015046657A priority Critical patent/JP6287898B2/ja
Publication of JP2016166570A publication Critical patent/JP2016166570A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6287898B2 publication Critical patent/JP6287898B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Description

本発明は、エンジンの可変バルブタイミング装置に関する。
特許文献1には、油圧式可変バルブタイミング(VVT)装置の最遅角位置と最進角位置とにおいて、カム軸に固定されたロータベーンをロックするロックピンのロック解除動作をスムーズにする空気抜き孔を作動室の径方向の内側に配置した技術が開示されている。
また、油圧式VVT装置では、クランク軸で駆動されるハウジングとカム軸に固定されたロータベーンとにより構成される複数の進角作動室及び遅角作動室と、ハウジングの外部にオイルを排出するオイルドレーン穴を有するドレーン室とを備え、該ドレーン室に流入したオイルを排出して油圧式VVT装置の作動応答性を高めるようにしている。
特開2009−215965号公報
しかしながら、油圧式VVT装置は、エンジンの低回転領域において、所定の回転位相角となるように制御された(以下、「制御回転位相」とも呼ぶ。)カム軸を保持する運転状態でカム軸に駆動負荷変動が生じた際に、その影響でロータベーンが揺動運動を繰り返し、隣接する作動室が一瞬間負圧になったときにドレーン室の空気が、隣接する作動室に流入する。この流入した空気に対して圧縮が繰り返される結果、所定の制御回転位相にカム軸を保持する保持性が悪化するという課題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、カム軸の駆動負荷変動時にロータベーンが揺動運動して、特に低回転領域における制御回転位相の保持性の低下を抑制できるエンジンの可変バルブタイミング装置を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明は、可変バルブタイミング装置のハウジング内に設けたオイルを抜くためのドレーン室におけるオイルドレーン穴をハウジングの径方向の内側部分に設けることを特徴とする。
具体的には、本発明は、エンジンの可変バルブタイミング装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
すなわち、第1の発明は、エンジンのクランク軸によって駆動されるハウジングとカム軸に固定されたロータベーンとにより構成される進角作動室及び遅角作動室のいずれかに制御油圧を供給して、カム軸の回転位相を制御するエンジンの可変バルブタイミング装置を対象とし、遅角作動室の反対側の部位には、ロータベーンを挟んでドレーン室が形成されており、ドレーン室には、外部と連通するオイルドレーン穴が、エンジンの作動時にハウジングの径方向の外側部分にオイル溜まりが生成されるように、径方向の内側部分に設けられ、ロータベーンにおけるハウジングと摺動する摺動面には、シール部材が設けられており、オイルドレーン穴が径方向の内側部分に設けられた位置は、エンジンの作動時に、ドレーン室が最小の容積となるロータベーンの最遅角状態から該ドレーン室が最大の容積となるロータベーンの最進角状態に変化した際に、最遅角状態のドレーン室のオイル溜まりの容積によって、少なくともシール部材におけるハウジングの径方向の高さ分のオイルを溜める位置に設けられているものである。
これによれば、カム駆動されるドレーン室には、エンジンの作動時に所定量のオイルが貯留されることになるため、カム軸の駆動負荷変動時にロータベーンが揺動して遅角作動室が負圧になったとしても、ドレーン室内の空気がロータベーンのシール部材の隙間から遅角作動室に流入することがない。これにより、低回転域の油圧式可変バルブタイミング装置に流入した空気の弾性に起因する制御回転位相の保持性が低下することを抑制することができる。その上、エンジンの作動時のオイル溜まりには、少なくともシール部材におけるハウジングの径方向の高さ分のオイルが溜まるため、ドレーン室を区画するロータベーンに設けられたシール部材の隙間から遅角作動室に空気が漏れ入ることがなくなるので、制御回転位相の保持性の低下をより確実に抑制することができる。
の発明は、上記第1の発明において、ハウジング及びロータベーンによって、1つのドレーン室と、複数の進角作動室と、複数の遅角作動室とが形成されているものである。
これによれば、1つのドレーン室と複数の進角作動室及び遅角作動室とによって、回転位相制御の作動応答性と制御回転位相の保持性とを両立することができる。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、カム軸における排気側のカム部により駆動される補機をさらに備えているものである。
これによれば、補機の駆動負荷によって排気側のカム軸の負荷変動が大きくなる際にも、制御回転位相の保持性の低下を抑制することができる。
の発明は、上記第の発明において、エンジンは、ターボ過給機を備えており、補機は、エンジンの燃焼室に燃料を噴射する燃料供給系の高圧燃料ポンプであるものである。
これによれば、高圧燃料ポンプの駆動負荷が大きい場合にも、油圧式可変バルブタイミング装置における制御回転位相の保持性の低下を抑制することができる。
本発明によれば、カム軸の駆動負荷変動時にロータベーンが揺動運動して、特に低回転領域における制御回転位相の保持性の低下を抑制することができる。
図1は本発明の一実施形態に係る油圧作動式の可変バルブタイミング装置が設けられるエンジンの概略構成を示す部分的な断面図である。 図2は本発明の一実施形態に係る可変バルブタイミング装置と共に駆動される補機の一例である高圧燃料ポンプ等を示すエンジンの概略的な側面図である。 図3は本発明の一実施形態に係る可変バルブタイミング装置におけるロータベーンの最進角位置でのカム軸に垂直な方向の断面図である。 図4は本発明の一実施形態に係る可変バルブタイミング装置におけるロータベーンの最遅角位置でのカム軸に垂直な方向の断面図である。 図5は図3のV−V線における模式的な断面図である。 図6は本発明の一実施形態に係る可変バルブタイミング装置におけるカム軸の軸線方向の断面図である。 図7は比較例に係る可変バルブタイミング装置におけるロータベーンの最進角位置でのカム軸に垂直な方向の断面図である。 図8は比較例に係る可変バルブタイミング装置におけるロータベーンの最遅角位置でのカム軸に垂直な方向の断面図である。 図9は本発明の一実施形態に係る可変バルブタイミング装置におけるカム軸の所定角度(15CA)の保持性を回転数を変えて比較例と共に測定した結果を示すグラフである。 図10は本発明の一実施形態に係る可変バルブタイミング装置におけるカム軸の所定角度(35CA)の保持性を回転数を変えて比較例と共に測定した結果を示すグラフである。 図11は一実施形態の変形例に係る可変バルブタイミング装置におけるロータベーンの最進角位置でのカム軸に垂直な方向の断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物又はその用途を制限することを意図しない。また、図面における各構成部材同士の寸法の比においても、理解の容易のために、部分的に拡大や縮小がなされており、実際の縮尺とは異なる。
(一実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る油圧作動式の可変バルブタイミング装置が設けられたエンジン2を示す。エンジン2は、例えば、直列4気筒ガソリンエンジンであって、自動車等の車両に搭載される。エンジン2は、カムキャップ3、シリンダヘッド4、シリンダブロック5、クランクケース(図示せず)及びオイルパン(図示せず)が上下に連結されて構成されている。さらに、シリンダブロック5に形成された4つのシリンダボア7内をそれぞれ摺動可能なピストン8と、クランクケースに回転自在に支持されたクランク軸9とが、コネクティングロッド10によって連結され、シリンダブロック5のシリンダボア7とピストン8とシリンダヘッド4とによって、燃焼室11が気筒ごとに形成されている。
シリンダヘッド4には、燃焼室11に開口する吸気ポート12及び排気ポート13が設けられ、該吸気ポート12及び排気ポート13をそれぞれ開閉する吸気弁14及び排気弁15が、各ポート12、13にそれぞれ装備されている。これら吸気弁14及び排気弁15は、それぞれリターンスプリング16、17により閉方向(図中の上方)に付勢されている。例えば、スイングアーム20、21のほぼ中央部に回転自在に設けられたカムフォロア20a、21aは、それぞれ回転するカム軸18、19の外周に設けられたカム部(カムノーズ)18a、19aによって下方に押され、スイングアーム20、21の一端側に設けられたピボット機構25aの頂部を支点にして該スイングアーム20,21が揺動する。これにより、吸気弁14及び排気弁15は、スイングアーム20、21の他端部で吸気弁14及び排気弁15がリターンスプリング16,17の付勢力に抗して下方に押されて開動するように構成されている。
また、図2に示すように、エンジン2には、例えば、排気側のカム軸19により駆動される、プランジャ式の往復動ポンプ等からなる高圧燃料ポンプ6が配設されており、該高圧燃料ポンプ6は、各燃焼室に燃料を噴射する燃料供給系のポンプである。高圧燃料ポンプ6の側部には、例えば、ベーン式のバキュームポンプ22が併設されている。
また、図示はしていないが、エンジン2には、その吸気を排気の運動エネルギーによって過給するターボ過給機が搭載されており、上記の高圧燃料ポンプ6を介した燃料は、図1に示す各燃焼室11に直接に噴射される。
次に、図3〜図6を参照しながら、本実施形態に係る油圧作動式の可変バルブタイミング装置30(以下、VVT装置30と呼ぶ。)について説明する。本実施形態において、VVT装置30は、例えば排気側のカム軸19と連結されており、図3はVVT装置30がカム部19aの回転位相の変位が最進角位置となるように制御された状態を示し、図4はVVT装置30がカム部19aの回転位相の変位が最遅角位置となるように制御された状態を示す。
図3及び図4に示すように、本実施形態に係るVVT装置30は、ほぼ円環状のハウジング301と、該ハウジング301の内部に収容されたロータベーン302とを有している。該ロータベーン302は、回転体の中央部分を構成するロータ本体302aと該ロータ本体302aからその外周面に突き出す4つのベーン体302bとから構成されている。各ベーン体302bにおけるハウジング301との摺動部として、ベーン体302bの幅方向に形成された溝部には、オイルシール用のシール部材324が設けられている(図5を参照)。
ハウジング301は、クランク軸9と同期して回転するスプロケット303と一体回転可能に連結され、該クランク軸9と連動して回転する。ロータベーン302は、排気弁15を開閉させるカム軸19とボルト205(図6を参照。)により一体回転可能に連結されている。
ハウジング301の内部には、該ハウジング301の内周面とロータベーン302とによって区画された進角作動室307及び遅角作動室309がそれぞれ複数個形成される。
カム軸19及びロータベーン302には、進角作動室307及び遅角作動室309にオイル(エンジンオイル)を供給する進角側油路311及び遅角側油路312がそれぞれ設けられている。カム軸19に設けられた各油路311、312には、図示しない電磁弁を介して制御されたオイルが供給される。
図3に示すように、進角側油路311は、ロータベーン302のロータ本体302aにおける中心部の近傍の2箇所の部位から放射状に延びて互いに対向する2つの進角作動室307と接続される。ここで、複数の進角作動室307における後述するロックピン331からスプロケット303の回転方向側の一の進角作動室307と、さらにその回転方向側に位置する他の進角作動室307とは、ハウジング301の内壁に設けられた凹状の油路311aによって連通されている。
一方、図3及び図4に示すように、遅角側油路312は、ロータ本体302aにおける中心部の近傍の他の2箇所の部位から放射状に延びて互いに対向する2つの遅角作動室309と接続される。ここで、オイルの供給口が設けられていない残りの2つの遅角側油路312は、図6に示すボルト205にネック部分に設けられた凹部を介して接続される。なお、4つの遅角側油路312のうちの1つは、最進角位置において、ロータ本体302aの外周面におけるベーン体302bが形成されていない部位に形成され、後述するロックピン331が嵌合する嵌合凹部302cの底面と接続されている。
本実施形態に係るVVT装置30には、該VVT装置30の動作をロックするロックピン331が設けられている。該ロックピン331は、カム軸19のクランク軸9に対する位相角を特定の位相角で固定する。本実施形態では、上記の特定の位相角は最進角であるが、これに限られず、いずれの位相角であってもよい。また、本実施形態においては、一例として、エンジン2の作動後には、油圧により、ロックピン331が嵌合凹部302cから外れる構成である。
例えば、図4に示すように、遅角作動室309に進角作動室307よりも多くの供給量(高い油圧)でもってオイルを供給すると、各ベーン体302bが油圧を受けることにより、カム軸19(ロータ本体302a)がハウジング301(クランク軸9)に対してその回転方向とは逆方向に回動する。このため、排気弁15の開時期が遅くなる。これに対し、図3に示すように、進角作動室307に遅角作動室309よりも多くの供給量(高い油圧)でもってオイルを供給すると、カム軸19がその回転方向に回動して、排気弁15の開時期が早くなる。
ところで、カム軸19の回転位相角を、例えば、図3の最進角位置から図4の最遅角位置まで、又はその逆の位相に変更しようとする場合に、オイルの粘性により、位相角の変更を迅速に行うことができない。例えば、ロータベーン302を最進角位置から最遅角位置まで一気に変更しようとした場合に、4つの遅角側油路312に所定の油圧でオイルを供給して、遅角作動室309をオイルで満たす一方、2つの進角側油路311からオイルを抜き取る必要がある。
そこで、本実施形態においては、図3に示すように、例えば、ロックピン331におけるスプロケット303の回転方向と逆側に位置し、且つ、ハウジング301の内周面とロータベーン302とによって区画され、回転位相角の変更に不要となるオイルを外部(オイルパン)に速やかに抜き取る1つのドレーン室308を設けている。なお、該ドレーン室308を設ける位置は上記に限られず、進角作動室307及び遅角作動室309のいずれか一方の反対側の部位で且つロータベーン302のベーン体302bを挟む位置に設けることができる。
また、図3及び図4に示すように、ドレーン室308には、1つのオイルドレーン穴320が、ハウジング301の径方向の内側の近傍部分に設けられている。さらに、図4に示すように、オイルドレーン穴320は、ベーン体302bが最遅角位置にある場合でも、該ベーン体302bに塞がれない位置に設けられる。
図7及び図8に、比較例に係るVVT装置34の断面構成を示す。図3及び図4に示す本実施形態に係るVVT装置30との相違点は、ドレーン室308に設けるオイルドレーン穴320の配置位置をハウジング301の径方向の外側部分に設けている点であり、オイルドレーン穴322としている。他の構成部材は両者とも同一であり、同一の符号を付している。
本願発明者らは、図9及び図10に示すように、比較例及び本実施形態におけるカム軸の所定の制御角度の保持性を測定した。
図9においては、比較例及び本実施形態のいずれの場合も、保持位相角を15CA(クランクアングル)とし、エンジン回転数を850rpm及び1250rpmの2通りとし、VVT装置30、34に供給する油圧を比較的に低い45kPaとしている。また、図10においては、比較例及び本実施形態のいずれの場合も、保持位相角を35CA(クランクアングル)とし、エンジン回転数を850rpm及び1250rpmとし、VVT装置30、34に供給する油圧を45kPaとしている。
図9に示す、所定の保持位相角が15CAの場合は、本実施形態に係るVVT装置30の方が、比較例に係るVVT装置34と比べて、エンジン回転数が850rpmの場合も1250rpmの場合も、明らかに位相変動が小さくなっており、制御による回転位相の保持性が良好となっていることが分かる。
一方、図10に示す、所定の保持位相角が35CAの場合は、位相変動の振幅は大きくは変わっていない。
以下、比較例に係るVVT装置34における回転位相角の保持性が良好でない理由、及び本実施形態に係るVVT装置30における回転位相角の保持性が良好な理由を説明する。
図7及び図8に示す、比較例に係るVVT装置34の場合は、ドレーン室308のオイルドレーン穴322が、ハウジング301の径方向の外側部分に設けられているため、ハウジング301の回転時(カム軸19の回転時)には、ドレーン室308内のオイルは、その遠心力によって該オイルドレーン穴322から流出する。これにより、例えば、図7に示す、ロータベーン302の最進角位置において、ドレーン室308を区画するベーン体302bがハウジング301の回転方向の逆側に揺動した場合に生じる遅角作動室309の負圧により、該ベーン体302bに付設されたシール部材324とハウジング301との隙間から、負圧となった遅角作動室309に空気が流入する。オイルよりも小さい体積弾性係数を持つ空気の流入により、ベーン体302bに生じる揺動の振幅が大きくなって、回転位相角の保持性が良好でなくなると考えられる。
これに対し、図3に示すように、本実施形態に係るVVT装置30においては、ドレーン室308のオイルドレーン穴320が、ハウジング301の径方向の外側部分にオイル溜まりVが生成されるように、ハウジング301の径方向の内側部分に設けられている。このオイル溜まりVは、ベーン体302bに付設されたシール部材324が、残存したオイルに浸かる程度の容積を持つ。これにより、ドレーン室308を構成するベーン体302bがハウジング301の回転方向の逆側に揺動した場合であっても、負圧となった遅角作動室309への空気の流入を防止することができる。また、負圧となった遅角作動室309へのオイルの流入は僅少であり、また、流入したとしても揺動の圧力による体積変化は無視できる。
ここで、図4に示すように、ロータベーン302の最遅角状態においては、ドレーン室308のオイルドレーン穴320をハウジング301の径方向の最も内側に設けた場合に、オイル溜まりVの容積が最大となる。このオイル溜まりVに溜まったオイルは、図3に示す最進角状態にあるオイル溜まりVにおいては、少なくともシール部材324が該オイルに浸かるだけの量が確保されている。
なお、保持位相角が35CAの場合に、本実施形態の効果が明瞭でないのは、回転位相角が相対的に大きくなると、各油路311、312が完全に開放し、進角作動室307又は遅角作動室309へのオイルの供給が多くなることによる。これにより、各作動室307、309からのドレーン室308へのオイルのリークが多くなるため、比較例においても、例えば、ドレーン室308から遅角作動室309へのオイルの流入が増え、例えば、ドレーン室308から遅角作動室309への空気の流入が抑制されるようになると考えられる。
また、本実施形態のように、オイルドレーン穴320をハウジング301の径方向の内側に設ける構成であっても、ロータベーン302の作動応答性(オイルの排出性能)は、比較例と同程度であることを確認している。
本実施形態においては、図2に示すように、エンジン2に、補機としてエンジン2の燃焼室11の燃料を噴射する高圧燃料ポンプ6が付設されている。該高圧燃料ポンプ6は、上述したように、排気側のカム軸19により駆動され、その駆動負荷が相対的に大きい場合であっても、制御された所定の回転位相角の保持性の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態においては、VVT装置30を排気側のカム軸19に設けたが、吸気側のカム軸18に設けてもよい。また、吸気側及び排気側の両方のカム軸18、19に設け、それぞれ独立して制御することもできる。
−効果−
以上より、本実施形態によれば、VVT装置30におけるロータベーン302の制御の応答性を向上するために、例えば、4つの進角作動室307のうちの1つを、オイルを排出するドレーン室308としている。さらに、ドレーン室308のオイルドレーン穴320をハウジング301の径方向の外側部分にオイル溜まりVが生成されるようにハウジング301の径方向の内側部分に設けている。このオイル溜まりVは、ベーン体302bに付設されたシール部材324がオイルに浸かるだけの容積を有する。その結果、ドレーン室308を区画するベーン体302bの揺動により、シール部材324の隙間から、該ドレーン室308とベーン体302bを挟んで隣接する遅角作動室309に空気が流入することがなくなるので、所定の回転位相角の保持性の低下を抑制することができる。
(一変形例)
図11に、本実施形態の一変形例に係る可変バルブタイミング(VVT)装置の断面構成を示す。
本変形例は、ドレーン室308を、ハウジング301の対向位置に2つ設けている点が上記の実施形態と異なっている。他の点については、実施形態と同様の構成であるので、該実施形態の構成部材と同様の構成部材については、同一の符号を付している。
図11に示すように、本変形例に係るVVT装置30Aは、一実施形態に係るVVT装置30とは、ロータベーン302、特にベーン体302bの側面の形状が異なっており、また、ロータ本体302aに設けられた進角側油路311及び遅角側油路312の構成も異なるものの、その動作は一実施形態に係るVVT装置30と同等である。ここでの図11に示すVVT装置30Aは、カム軸(ベーン体302b)が最進角位置にある状態を示している。
本変形例においては、作動室307、309のいずれか一方から不要なオイルを排出するドレーン室308を2つ設けているため、オイルの排出が速やかに実行されるので、制御の応答性が向上する。
なお、上記の実施形態と同様に、各ドレーン室308のオイルドレーン穴320をハウジング301の径方向の外側部分にオイル溜まりが生成されるようにハウジング301の径方向の内側部分に設けている。従って、本変形例においても、各ドレーン室308を区画するベーン体302bの揺動により、シール部材324の隙間から、各ドレーン室308とそれぞれベーン体302bを挟んで隣接する進角作動室307に空気が流入することがなくなるので、所定の回転位相角の保持性の低下を抑制することができる。
なお、本変形例においては、制御の応答性は向上するものの、オイル駆動による作動室309の数が減ることになり、カム軸に対する駆動力は減少する。従って、ドレーン室の設定数は、エンジン2の補機等の有無又は補機等の駆動負荷を勘案して適宜選択すればよい。
本発明に係るエンジンの可変バルブタイミング装置は、カム軸の駆動負荷変動時におけるロータベーンの揺動運動による制御回転位相の保持性の低下を抑制することが必要な用途等に適用することができる。
2 エンジン
6 高圧燃料ポンプ
9 クランク軸
18 カム軸(吸気側)
18a カム部
19 カム軸(排気側)
19a カム部
205 ボルト
30、30A 可変バルブタイミング装置
301 ハウジング
302 ロータベーン
303 スプロケット
307 進角作動室
308 ドレーン室
309 遅角作動室
311 進角側油路
312 遅角側油路
324 シール部材
331 ロックピン
、V オイル溜まり

Claims (4)

  1. エンジンのクランク軸によって駆動されるハウジングとカム軸に固定されたロータベーンとにより構成される進角作動室及び遅角作動室のいずれかに制御油圧を供給して、前記カム軸の回転位相を制御するエンジンの可変バルブタイミング装置であって、
    記遅角作動室の反対側の部位には、前記ロータベーンを挟んでドレーン室が形成されており、
    前記ドレーン室には、外部と連通するオイルドレーン穴が、エンジンの作動時に前記ハウジングの径方向の外側部分にオイル溜まりが生成されるように、前記径方向の内側部分に設けられ、
    前記ロータベーンにおける前記ハウジングと摺動する摺動面には、シール部材が設けられており、
    前記オイルドレーン穴が前記径方向の内側部分に設けられた位置は、
    エンジンの作動時に、前記ドレーン室が最小の容積となるロータベーンの最遅角状態から該ドレーン室が最大の容積となるロータベーンの最進角状態に変化した際に、前記最遅角状態のドレーン室のオイル溜まりの容積によって、少なくとも前記シール部材における前記ハウジングの径方向の高さ分のオイルを溜める位置に設けられていることを特徴とするエンジンの可変バルブタイミング装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの可変バルブタイミング装置において、
    前記ハウジング及びロータベーンによって、1つのドレーン室と、複数の進角作動室と、複数の遅角作動室とが形成されていることを特徴とするエンジンの可変バルブタイミング装置。
  3. 請求項1又は2に記載のエンジンの可変バルブタイミング装置において、
    前記カム軸における排気側のカム部により駆動される補機をさらに備えていることを特徴とするエンジンの可変バルブタイミング装置。
  4. 請求項3に記載のエンジンの可変バルブタイミング装置において、
    前記エンジンは、ターボ過給機を備えており、
    前記補機は、前記エンジンの燃焼室に燃料を噴射する燃料供給系の高圧燃料ポンプであることを特徴とするエンジンの可変バルブタイミング装置。
JP2015046657A 2015-03-10 2015-03-10 エンジンの可変バルブタイミング装置 Active JP6287898B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015046657A JP6287898B2 (ja) 2015-03-10 2015-03-10 エンジンの可変バルブタイミング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015046657A JP6287898B2 (ja) 2015-03-10 2015-03-10 エンジンの可変バルブタイミング装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016166570A JP2016166570A (ja) 2016-09-15
JP6287898B2 true JP6287898B2 (ja) 2018-03-07

Family

ID=56897491

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015046657A Active JP6287898B2 (ja) 2015-03-10 2015-03-10 エンジンの可変バルブタイミング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6287898B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6787405B2 (ja) * 2016-10-28 2020-11-18 マツダ株式会社 可変バルブタイミング機構付エンジン
WO2018127951A1 (ja) * 2017-01-05 2018-07-12 三菱電機株式会社 バルブタイミング調整装置
JP7042155B2 (ja) * 2018-05-01 2022-03-25 日立Astemo株式会社 内燃機関のバルブタイミング制御装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001227425A (ja) * 2000-02-18 2001-08-24 Honda Motor Co Ltd エンジンの燃料ポンプ駆動装置
JP2002206446A (ja) * 2001-01-10 2002-07-26 Hitachi Ltd 内燃機関及び内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2003262108A (ja) * 2002-03-07 2003-09-19 Mitsubishi Electric Corp バルブタイミング調整装置
JP2007023953A (ja) * 2005-07-20 2007-02-01 Denso Corp バルブタイミング調整装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016166570A (ja) 2016-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6163831B2 (ja) エンジンのオイル供給装置
KR101169856B1 (ko) 가변 밸브 기어를 구비한 내연 기관
KR101231541B1 (ko) 가변 밸브 장치를 구비한 내연 기관
JP6308251B2 (ja) エンジンのオイル供給装置
JP5966999B2 (ja) 多気筒エンジンの制御装置
JP6156297B2 (ja) エンジンのオイル供給装置
JP6052205B2 (ja) エンジンのバルブタイミング制御装置
JP6787405B2 (ja) 可変バルブタイミング機構付エンジン
JP2015194131A (ja) エンジンの制御装置
JP6287898B2 (ja) エンジンの可変バルブタイミング装置
JP6123726B2 (ja) エンジンの制御装置
JP2009264133A (ja) カム位相可変型内燃機関
JP6296119B2 (ja) エンジンの油圧制御システム
WO2018078815A1 (ja) 可変バルブタイミング機構付きエンジンの制御装置
JP2010196488A (ja) 可変動弁装置付エンジン
WO2008042622A1 (en) Variable event duration reduction (vedr) cam phaser
JP6020307B2 (ja) 多気筒エンジンの制御装置
JP5288050B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2004092567A (ja) エンジンの可変動弁装置
JP5772786B2 (ja) オイルコントロールバルブ
JP2009264153A (ja) カム位相可変型内燃機関
JP2009079475A (ja) 内燃機関の可変動弁機構
JP2010255575A (ja) 内燃機関のカム位相可変装置
JP6315062B1 (ja) 可変バルブタイミング機構付きエンジンの制御装置
JP6146341B2 (ja) エンジンのバルブタイミング制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170124

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170711

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170906

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6287898

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150