以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、図面においては、実施形態を説明するため、一部または全部を模式的に記載するとともに、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現した部分を含んでいる。なお、図7において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。紙面垂直方向をX方向とし、X方向と直交する紙面左右方向をY方向とする。XY平面に垂直な上下方向をZ方向とする。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向として説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る成形金型及びプレス機械について、図1を用いて説明する。図1に示すプレス機械10は、いわゆるユニプレスである。図1に示すように、プレス機械10は、ワークである板材Wを挟んで成形するための一対の上側金型(成形金型)20及び下側金型(成形金型)30を備えている。上側金型20は、プレス機械10の上部フレーム11に保持される。一方、下側金型30は、プレス機械10の下部フレーム12に保持される。
上部フレーム11には、上下方向に貫通しかつ断面が円形の貫通孔11aを備えている。この貫通孔11aに筒状部13が挿入され、例えばボルト等によって固定される。筒状部13の内側には上側ロッド14が挿入されて配置される。上側ロッド14は、筒状部13の内周面に対して摺動可能であり、上下方向に移動可能に配置される。筒状部13は、上側ロッド14の移動をガイドする。上側ロッド14の上端には鍔部15が取り付けられる。筒状部13の上端と鍔部15との間にはスプリング16が配置される。従って、上側ロッド14は、スプリング16の弾性力に抗して下方に移動可能となっている。スプリング16は、上側ロッド14が下方に移動した際の復帰用の弾性部材として用いられる。
上側金型20は、上側ロッド14の下端に不図示のボルト等によって固定される。このボルト等を外すことにより上側金型20を交換することができる。なお、上側ロッド14が上方に位置している場合、上側金型20は、筒状部13内に入り込んだ状態となり、上側ロッド14の下方への移動によって筒状部13から下方に突出する。上側金型20は、下端面に凹部20aを備えている。凹部20aは、後述する下側金型30のパンチ52を挿入可能な形状及び寸法に形成される。上側金型20は、板材Wに施す成形加工に対応して、下側金型30とともに選択される。
プレス機械10は、上側金型20を下方に移動させるための上側駆動部17を備える。上側駆動部17は、駆動源18と上側プッシャ19とを備える。駆動源18としては、例えば、サーボモータ等の電動駆動を利用したものや、空気や水やオイルを用いた流体駆動を利用したものなど、いずれが使用されてもよい。駆動源18を駆動することにより、スプリング16を縮めながら上側プッシャ19を下方に移動させることができる。上側プッシャ19は、鍔部15の上方に配置されており、駆動源18の駆動により下方に移動して上側ロッド14及び上側金型20を下方に移動させる。
駆動源18の駆動は、不図示の制御部等によって制御されてもよく、また作業者がボタンを押して駆動源18を駆動させるなど、作業者によるマニュアル操作によって行ってもよい。また、上側金型20の移動量は、上側プッシャ19の移動量によって制御されてもよく、不図示のストッパに鍔部15等が当接することで規制してもよい。下方に移動した上側ロッド14及び上側金型20は、駆動源18の駆動を解除することにより、スプリング16によって上昇し、元の位置に復帰する。なお、上側駆動部17の構成は任意であり、上側ロッド14(上側金型20)を移動させるものであれば各種公知の構成を適用することができる。また、上側ロッド14を上昇させるためにスプリング16が用いられることに限定されず、例えば、上側駆動部17によって上側ロッド14を上昇させてもよい。
下部フレーム12には、上下方向に貫通しかつ断面が円形の貫通孔12aを備えている。この貫通孔12aの内周面の上部には複数の受け溝12bが形成されている。下部フレーム12の上面には、不図示のボルト等によってホルダ21が固定される。ホルダ21は、ボルト等を外すことにより下部フレーム12から取り外し可能に設置される。ホルダ21は、下部フレーム12の貫通孔12aと連通する貫通孔21aを備えている。
下側金型30は、中間部40と、成形部50とで構成される。中間部40は、下部フレーム12の貫通孔12a内に保持される。一方、成形部50は、ホルダ21の貫通孔21a内に保持される。中間部40は、貫通孔12a内に挿入される固定部41と、固定部41に保持される中間ロッド42とを備える。固定部41は、上下方向に貫通する孔部41aを備えるとともに、孔部41aの上方側の一部に、内径を小さくした小径部41bが形成される。
固定部41は、外周面から突出した状態で複数の爪部43が形成される。爪部43は、弾性部材等を含んで支持されており、固定部41の外周面に対して没入した状態に移動可能に形成される。複数の爪部43は、固定部41の外周面の一周にわたって一定間隔で配置される。それぞれの爪部43が貫通孔12aの受け溝12bに入り込むことにより、固定部41は、貫通孔12a内の所定位置に保持される。受け溝12bは、下部フレーム12の上面側まで形成されている。従って、固定部41は、下部フレーム12の上方側から取り出すことができる。また、爪部43を固定部41の外周面に没入させることにより、固定部41は、貫通孔12aから取り外すことが可能となる。
中間ロッド42は、固定部41の小径部41bに摺動可能な状態で挿入される。中間ロッド42は、固定部41に対して上下方向に移動可能な状態(進退可能な状態)で設置される。中間ロッド42の上端には、他の部分より外径を拡大したフランジ部42aが形成される。フランジ部42aは、小径部41bの内径より大きな外径に形成される。中間ロッド42の下端には、不図示のボルト等によって突部44が取り付けられる。突部44は中間ロッド42より外径が大きなものが用いられる。
小径部41bの下面と突部44の上面との間には、コイルスプリング等の第2弾性部材45が設置される。中間ロッド42は、第2弾性部材45によって、下方へ引っ張られるとともに、フランジ部42aが小径部41bの上面に受け止められた状態で保持される。この状態では、図1に示すように、下部フレーム12の上面と、固定部41の上面と、中間ロッド42(フランジ部42a)の上面とは、ほぼ同一面となっている。
成形部50は、ホルダ21の貫通孔21a内に挿入されるパンチ支持部51と、パンチ支持部51に不図示のボルト等により固定されたパンチ52と、を備えている。パンチ支持部51は、貫通孔21a内に摺動可能に配置され、ホルダ21に対して上下方向に移動可能である。従って、この貫通孔21aは、ホルダ支持部51のガイドとして機能する。パンチ支持部51の下部は、上記した中間ロッド42のフランジ部42aより外径が大きくなるように形成される。このパンチ支持部51の下端面と、ホルダ21の下面とはほぼ同一面となっている。
パンチ52は、パンチ支持部51の上端に固定され、上記した上側金型20の凹部20aと対向するように配置される。パンチ52は、凹部20aに挿入可能な外径に形成される。また、パンチ支持部51は、ボルト53を挿通する孔部51aが形成されるとともに、コイルスプリング等の第1弾性部材54の下部を保持する凹部51bが形成される。ボルト53は、孔部51aに対して上下方向に移動可能に配置される。
パンチ支持部51の上方には、ストリッパ55が配置される。ストリッパ55は、上端中央の平面部から下方に向けて徐々に外径を拡げた傘状に形成される。ストリッパ55の平面部のほぼ中央には、パンチ52を貫通可能な孔部55aが形成される。ストリッパ55は、ボルト53の先端が固着されるとともに、第1弾性部材54の上部が接続される。ストリッパ55は、第1弾性部材54とボルト53とによって所定位置に保持される。この所定位置は、パンチ52が孔部55aから上方に突出しない位置である。ストリッパ55は、第1弾性部材54の弾性力に抗して降下可能となっている。ボルト53は、ストリッパ55の上下方向の移動をガイドするとともに移動ストロークを規定する。ストリッパ55が降下した際、パンチ52はストリッパ55の孔部55aから上方に突出した状態となる。
プレス機械10は、中間ロッド42を上昇(前進)させるための下側駆動部(駆動部)60を備える。下側駆動部60は、駆動源61と下側プッシャ62とを備える。駆動源61としては、例えば、サーボモータ等の電動駆動を利用したものや、空気や水やオイルを用いた流体駆動を利用したものなど、いずれが使用されてもよい。駆動源61を駆動することにより、第2弾性部材45を縮めながら中間ロッド42を上昇させることができる。下側プッシャ62は、突部44の下方に配置される。中間ロッド42が上昇した場合、パンチ支持部51は、中間ロッド42に押されて上昇する。パンチ支持部51とともに、パンチ52及びストリッパ55も同時に上昇する。
駆動源61の駆動は、不図示の制御部等によって制御されてもよく、また作業者がボタンを押して駆動源61を駆動させるなど、作業者によるマニュアル操作によって行ってもよい。また、中間ロッド42の移動量は、下側プッシャ62の移動量によって制御されてもよく、不図示のストッパに突部44等が当接することで規制してもよい。上方に移動した中間ロッド42は、駆動源61の駆動を解除することにより、第2弾性部材45によって降下(後退)し、元の位置に復帰する。この中間ロッド42の降下に伴い、パンチ支持部51も降下する。なお、図示しないがパンチ支持部51を降下させるための弾性部材が成形部50内に配置されている。
なお、下側駆動部60の構成は任意であり、中間ロッド42(パンチ支持部51)を上昇させるものであれば各種公知の構成を適用することができる。また、中間ロッド42を降下させるために第2弾性部材45が用いられることに限定されず、例えば、下側駆動部60によって中間ロッド42を降下させてもよい。
このプレス機械10では、図1に示すように、上側金型20と下側金型30との間に板材Wを配置するとともに、上側駆動部17及び下側駆動部60を駆動することにより、上側金型20及び下側金型30で板材Wを挟み込む。その際、ストリッパ55は上側金型20に押されて、第1弾性部材54の弾性力に抗して降下し、パンチ52を上方に突出させる。このパンチ52が凹部20aに入り込むことにより板材Wの成形を行う。なお、上側金型20が上昇すると、ストリッパ55が第1弾性部材54の弾性力により上昇して、板材Wをパンチ52から引き離す。このストリッパ55により、成形後の板材Wを容易にパンチ52から引き離すことができる。また、第1弾性部材54の弾性力を用いることによってストリッパ55を確実に上昇させることができる。
以上のような一連の動作によって板材Wの任意の箇所に対して成形を行う。なお、成形時の詳細は後述する他の実施形態において説明する。なお、上側金型20と下側金型30との間に配置される板材Wは、搬送手段によって搬送され、この搬送手段により板材Wを位置決めしてもよく、また、作業者が手作業によって板材Wを配置する場合のいずれであってもよい。なお、搬送手段を用いる場合は、不図示の制御部に制御されてもよい。
このプレス機械10において、下側金型30を交換する場合は、不図示のボルトを外してホルダ21を下部フレーム12から取り外し、異なる成形部50を備えた他のホルダ21を下部フレーム12に取り付けることにより行う。中間部40と成形部50とは、平面で当接しているので、ホルダ21を横に滑らすことにより中間部40と成形部50とを容易に分離できる。ホルダ21を滑らす方向は、中間ロッド42の進退方向と交差する方向である。なお、取り外したホルダ21から成形部50を抜き出すことにより、ホルダ21と成形部50とを分離することができる。
また、プレス機械10を打ち抜き(穴開け)加工として用いる場合は、上側金型20をパンチに交換するとともに、ホルダ21を取り外して、例えば穴開け用ダイを保持したダイホルダをホルダ21の代わりに下部フレーム12上に取り付ける。また、中間部40の爪部43を没入させ、下部フレーム12の貫通孔12aから中間部40を抜き取り、板材Wの打ち抜き加工時に生じるスラグの通路として貫通孔12aを用いることができる。
このように、本実施形態によれば、下側金型30の交換を、小さな成形部50の取り付け及び取り外しにより行うことができ、作業者の負担を軽減できる。また、複数の成形部50を用意すれば足りるので、保管スペースを小さくすることができ、省スペース化を図ることができる。また、第2弾性部材45の弾性力によって中間ロッド42を確実に降下させるので、中間ロッド42が突出したままとなることを防止できる。また、中間部40は側面から突出及び没入可能な爪部43を備えるので、爪部43を没入させることにより下部フレーム12から容易に取り外すことができる。
なお、上記したプレス機械10は、下側金型30について中間部40と成形部50とに分離可能に構成しているが、上側金型20についても同様の構成を適用可能である。また、上記したプレス機械10は、上下方向に板材Wを挟み込んで成形加工するが、上下方向以外、例えば水平方向に板材Wを挟み込んで成形加工するものでもよい。この場合、板材Wは垂直に立てた状態で上側金型20と下側金型30との間に配置される。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る成形金型について、図2〜図6を用いて説明する。図2〜図6において示される上側金型(成形金型)120及び下側金型(成形金型)130は、例えば、第1実施形態のプレス機械10や、後述するプレス機械200(図7参照)に適用される。なお、図2〜図4では、上側金型120は省略し、下側金型130について記載している。
図2に示すように、下側金型130は、中間部140と、成形部150と、を備える。中間部140は、保持部112の貫通孔112a内に挿入される固定部141と、中間ロッド142とを備える。保持部112は、図1に示す下部フレーム12や後述する下部タレット206(図7参照)のいずれであってもよい。保持部112の上面には、不図示のボルト等によってホルダ121が固定される。ホルダ121は、ボルト等を外すことにより保持部112から取り外し可能に設置される。ホルダ121は、保持部112の貫通孔112aと連通する貫通孔121aを備えている。
固定部141において、孔部141a及び小径部141bは、図1に示す固定部41の孔部41a及び小径部41bと同様である。中間ロッド142及びフランジ部142aは、図1に示す中間ロッド42及びフランジ部42aと同様である。中間ロッド142の下端には、ボルト146によって突部144が取り付けられる。爪部143及び突部144は、図1に示す爪部43及び突部44と同様である。
保持部112の貫通孔112aに形成された受け溝112bに爪部143が入り込むことにより、固定部141は、貫通孔112a内の所定位置に保持される。受け溝112bは、保持部112の上面側まで形成されている。従って、固定部141は、保持部112の上方側から取り出すことができる。また、爪部143を没入させることにより、固定部141は、貫通孔112aから取り外し可能となる。コイルスプリング等の第2弾性部材145は、図1に示す第2弾性部材45と同様である。図2に示すように、保持部112の上面と、固定部141の上面と、中間ロッド142(フランジ部142a)の上面とは、ほぼ同一面となっている。
成形部150は、ホルダ121の貫通孔121a内に挿入される筒状の固定部156を備える。固定部156の上部は、外径を大きくした状態に形成される。この外径が大きい部分の下方にはキー溝157が形成される。キー溝157は、ホルダ121の貫通孔121aに形成されたキー121bを挿入可能に形成される。キー溝157にキー121bが入り込むことにより、固定部156は、貫通孔121aの上下方向に位置決めされるとともに、ホルダ121に対する回転方向の角度が位置決めされる。キー溝157は、例えば固定部156外周の一周にわたって90°間隔で形成される。従って、キー溝157に挿入するキー121bを変えることにより、固定部156をホルダ121に対して0°、90°、180°、270°の角度に位置決め可能となる。ただし、キー溝157やキー121bの配置を変えることにより位置決め角度は任意に設定可能である。
成形部150は、パンチ支持部151と、パンチ152と、を備える。パンチ152は、ボルト159によりパンチ支持部151に固定される。また、ボルト159によって、パンチ支持部151の中央下部に押圧部158を固定する。押圧部158は、中間ロッド142のフランジ部142aと当接するように配置される。押圧部158の外径は、フランジ部142aの外径より大きく形成される。また、押圧部158の全長(上下方向の長さ)によりパンチ152の最終昇降ストロークを決定している。パンチ支持部151は、固定部156の内周面156aに摺動可能に配置され、固定部156(ホルダ121)に対して上下方向に移動可能である。従って、固定部156の内周面156aは、ホルダ支持部151のガイドとして機能する。
パンチ支持部151の孔部151a及び凹部151bは、図1に示す孔部51a及び凹部51bと同様である。パンチ152、ボルト153、及びコイルスプリング等の第1弾性部材154は、図1に示すパンチ52、ボルト53、及び第1弾性部材54と同様である。ストリッパ155及び孔部155aは、図1に示すストリッパ55及び孔部55aと同様である。ストリッパ155の下面には、第1弾性部材154の上部を差し込んで位置決めする凹部155bが形成される。なお、図2に示すように、ホルダ121の下面と、パンチ支持部151の下端面と、固定部156の下端面と、押圧部158の下端面とは、ほぼ同一面となっている。
下側駆動部160は、駆動源161とスライダ162とを備える。駆動源61としては、例えば、サーボモータ等の電動駆動を利用したものや、空気や水やオイルを用いた流体駆動を利用したものなど、いずれが使用されてもよい。スライダ162は、上面側に下方側の平面である第1面162aと、上方側の平面である第2面162bと、これらの間に形成された傾斜面162cと、を有する。第1面162a、第2面162b、及び傾斜面162cは、突部144の下端面と当接する。これら第1面162a、第2面162b、傾斜面162cの表面や突部144の下端面は両者間の摩擦抵抗を低減するための表面処理が施されてもよい。
第1面162aの高さは、中間ロッド142が下方に位置するときの突部144の下端面に対応する。第2面162bの高さは、中間ロッド142を上方へ移動させた時の突部144の下端面に対応する。第1面162aと第2面162bとの高さの差は、中間ロッド142の移動量に相当する。傾斜面162cの傾斜角度は、スライダ162が移動した際に、突部144の下端面に対して摺動可能な角度に設定される。
駆動源161を駆動することにより、スライダ162は、図2の矢印方向に移動する。スライダ162による中間ロッド142の昇降については後述する。駆動源161の駆動は、不図示の制御部等によって制御されてもよく、また作業者がボタンを押して駆動源161を駆動させるなど、作業者によるマニュアル操作によって行ってもよい。なお、下側駆動部160の構成が任意である点は、第1実施形態と同様である。例えば、下側駆動部160として、図1に示す下側プッシャ62が使用されてもよい。
図3は、下側金型130を分離した状態を示す断面図である。図3に示すように、不図示のボルト等を外すことにより、ホルダ121は保持部112から取り外すことができ、ホルダ121の取り外しとともに、成形部150を中間部140から分離させることができる。なお、保持部112の上面は中間部140の上面を含めて同一平面であり、またホルダ121の下面は成形部150の下面を含めて同一平面である。従って、ホルダ121は、成形部150を保持したまま、保持部112(中間部140)に対して水平方向にスライドさせて取り外すことができる。これにより、ホルダ121の上方の隙間が狭いときでも、容易に成形部150を取り外すことができる。なお、ホルダ121の取り付けは、上記と逆の手順で行われ、ホルダ121を保持部112の所定位置までスライドさせてボルト等により固定することで成形部150は中間部140に接続される。
成形部150は、ホルダ121の貫通孔121aから上方に抜き取ることができる。抜き取られた成形部150は不図示の保管スペースに保管される。なお、成形部150は、ホルダ121から抜き取らずに、ホルダ121とともに保管スペースに保管されてもよい。ホルダ121の貫通孔121aの大きさを規格化し、異なるタイプの成形部150を同一のホルダ121に保持させてもよく、また、成形部150ごとに専用のホルダ121が使用されてもよい。ホルダ121への成形部150の取り付けは、ホルダ121の貫通孔121aの上方から成形部150を挿入し、キー溝157にキー121bを挿入することにより行う。
中間部140は、成形部150を分離した後も保持部112に保持される。図4は、図3のA−A線に沿った断面図を示している。図4(a)に示すように、中間部140は、3つの爪部143がそれぞれ受け溝112bに入り込むことにより所定位置に保持されている。3つの爪部143は、中間部140の一周にわたって等間隔で配置される。なお、3つの爪部143が配置されることに限定されず、2つまたは4つ以上配置されてもよい。また、爪部143は、等間隔に配置されることに限定されず、異なる間隔で配置されてもよい。また、複数の爪部143は、上下方向の同一位置に配置されているが、これに限定されず、上下方向の異なる位置に配置されてもよい。また、爪部143は1つであってもよい。
爪部143は、固定部141に形成された軸部147に対して回転可能に支持される。軸部147は、上下方向に沿って配置される。従って、爪部143は、水平方向に回転可能に支持される。爪部143の先端側と固定部141との間には、それぞれコイルスプリング等の弾性部材148が設置される。これにより、各爪部143は、弾性部材148により固定部141に対して外側に突出した状態で保持されるとともに、弾性部材148の弾性力に抗して固定部141の内側に向けて移動可能となっている。
爪部143の先端は上下方向から見て円弧状に形成される。一方、受け溝112bも上下方向から見て円弧状に形成される。両者は異なる曲率で形成されるが、互いに同一の曲率で形成されてもよい。また、両者が円弧状に形成されることに限定されず、一方または双方は、傾斜面を含んで形成されてもよい。
図4(b)に示すように、固定部141を保持部112に対して回転させることにより、各爪部143は受け溝112bから外れて内側に引っ込んだ状態となる。この状態で、中間部140を保持部112の上方または下方から抜き取ることが可能となる。なお、中間部140を取り付ける際は、保持部112の貫通孔112aの上方または下方から中間部140を差し込み、固定部141を適宜回転させて爪部143を受け溝112bに入り込ませることにより行う。なお、各爪部143の上面側に傾斜面が形成されることにより、貫通孔112aの下方から中間部140を差し込むと、傾斜面によって爪部143は内側に引っ込んだ状態となる。
このように、中間部140を回転させるといった簡単な操作で容易に中間部140を保持部112から取り外すことができる。従って、このプレス機械が打ち抜き加工を行う場合は、成形部150の交換とともに、中間部140を取り外すことによって、打ち抜き加工により生じるスラグの通路を容易に確保することができる。また、保持部112からホルダ121を取り外した場合は、中間部140を保持部112の上方から取り出すことができる。その際、爪部143の没入は不要である。なお、爪部143を弾性部材148によって支持することに限定されず、爪部143の突出及び没入を行う機構が固定部141等に形成されてもよい。また、爪部143等の形状は図示のものに限定されず、受け溝112bに係止されて中間部140を所定位置に保持可能な任意の形状を用いることができる。
続いて、板材Wの成形方法について、図5及び図6を用いて説明する。先ず、所定のパスラインに沿って板材Wが搬送され、下側金型130の上方(上側金型120と下側金型130との間)に配置される(図2参照)。次いで、図5(a)に示すように、下側駆動部160の駆動源161を駆動してスライダ162を前進させる(紙面右方に移動させる)。これにより、突部144は、スライダ162の第1面162aから傾斜面162cを介して第2面162bと当接し、第2弾性部材145の弾性力に抗して中間ロッド142を上昇させる。突部144は固定部141の孔部141aに沿って移動し、中間ロッド142は小径部141bにガイドされて移動する。なお、固定部141は、上下方向に移動しない。
中間ロッド142のフランジ部142aが上昇することにより、押圧部158及びパンチ支持部151は上昇する。なお、固定部156は、上下方向に移動せず、パンチ支持部151は、固定部156の孔部156aに沿って移動する。これにより、パンチ152及びストリッパ155もホルダ121に対して上昇し、ストリッパ155の上面に板材Wを当接させた状態となる。
次いで、図5(b)に示すように、上側駆動部(図1の上側駆動部17参照)を駆動して、上側金型120を降下させる。上側金型120によってストリッパ155を降下させつつ、ストリッパ155から上方に突出するパンチ152が凹部120aに入り込むことにより、板材Wの成形加工が行われる。このとき、ストリッパ155は、上側金型120との間に板材Wを挟んだまま、第1弾性部材154の弾性力に抗して降下する。ボルト153は、ストリッパ155とともに移動し、孔部151a内においてボルトヘッドを降下させる。なお、パンチ152は、パンチ支持部151、押圧部158、中間ロッド142、及び突部144を介してスライダ162に支持されており、成形時の力をスライダ162で受け止めている。
次いで、図6(a)に示すように、上側金型120を上昇させることにより、ストリッパ155は、第1弾性部材154の弾性力によって上昇する。なお、ボルト153も同時に上昇し、ボルトヘッドが係止されることによりストリッパ155の上昇を停止させる。ストリッパ155の上昇により、板材Wも上昇してパンチ152から引き離される。この状態では、パンチ152はストリッパ155に没入した状態となる。
次いで、図6(b)に示すように、駆動源161を駆動してスライダ162を後退させる(紙面左方に移動させる)。これにより、突部144は、スライダ162の第2面162bから第1面162aに移動し、第2弾性部材145の弾性力により中間ロッド142を降下させる。中間ロッド142の降下により、押圧部158及びパンチ支持部151は降下し、パンチ152及びストリッパ155を降下させて板材Wをパスライン上に配置させる。上記した一連の動作により成形加工が終了する。この後、別の板材Wが搬送される場合の他に、同一の板材Wを移動させて他の箇所の成形を行うことができる。
また、上記した一連の動作に限定されない。例えば、先ず、上側金型120を降下させた後に下側金型130(パンチ152及びストリッパ155)を上昇させて板材Wを成形し、次いで上側金型120の上昇及び下側金型の降下を行うような成形手順が用いられてもよい。なお、図示した成形加工の形状は一例であって、他の上側金型120及び下側金型130(パンチ152)を用いることにより、他の異なる形状に成形加工を行うことができる。
このように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、下側金型130の交換を、小さな成形部150の取り付け及び取り外しにより行うことができ、作業者の負担を軽減できる。また、複数の成形部130を用意すれば足りるので、金型の保管スペースを小さくすることができ、省スペース化を図ることができる。また、打ち抜き(穴開け)加工を行う場合は、上記した第1実施形態と同様、ホルダ121を取り外して、例えば穴開け用ダイを保持したダイホルダをホルダ121の代わりに保持部121上に取り付けるとともに、中間部140を保持部112から取り外して打ち抜き(穴開け)加工を行う。
<第3実施形態>
第3実施形態に係るプレス機械200について、図7〜図9を用いて説明する。このプレス機械200は、上記した第2実施形態に係る下側金型130が使用されている。図7に示すプレス機械200は、タレットパンチプレスである。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。図7に示すように、プレス機械200は、上部フレーム201に、回転軸203を介して上部タレット204が保持され、下部フレーム202に回転軸205を介して下部タレット(タレット)206が保持される。
上部タレット204及び下部タレット206は、共に円盤状に形成され、モータ等の不図示の駆動装置を駆動することにより、回転軸203、205を軸として回転可能に形成される。上部タレット204及び下部タレット206は、互いに対向した状態で配置される。上部タレット204には、複数の上側金型120が回転軸203を中心とした周回方向に並べて搭載される。下部タレット206には、複数の下側金型130が回転軸205を中心とした周回方向に並べて搭載される。
上部タレット204及び下部タレット206は、不図示の駆動装置により回転して、対となる1組の上側金型120および下側金型130がパンチ位置Pに選択される。パンチ位置Pの上側金型120は、上側駆動部217によって降下する。一方、パンチ位置Pの下側金型130は、下側駆動部260によって上昇する。パンチ位置Pに板材Wを配置させ、上側金型120と下側金型130とで板材Wを挟み込むことにより成形加工を行う。上部タレット204及び下部タレット206の回転や、上側金型120及び下側金型130の駆動は、不図示の制御部によって制御されてもよく、また、作業者がボタンを押して上側駆動部217や下側駆動部260を駆動させるなど、作業者によるマニュアル操作によって行ってもよい。
下部フレーム202の上面にはY方向に沿ったレール207が形成され、このレール207に沿って不図示の駆動装置により移動可能な可動テーブル208が配置される。可動テーブル208には、X方向に沿ったキャリッジ209を備えている。キャリッジ209には、不図示のX方向ガイドが形成され、このX方向ガイドに沿って不図示の駆動装置により移動可能なクロススライド210が設置される。クロススライド210には、X方向に間隔を空けて2つ以上の板材ホルダ211を備えている。
板材Wは、板材ホルダ211に保持されるとともに、クロススライド210によるX方向への移動、及び可動テーブル208によるY方向への移動により搬送され、成形対象箇所がパンチ位置Pに位置決めされる。これらクロススライド210や可動テーブル208の移動は、不図示の制御部によって制御されてもよく、また、作業者がクロススライド210や可動テーブル208を適宜駆動させるなど、作業者によるマニュアル操作によって行ってもよい。
図8は、上記した下部タレット206の一例を示す斜視図である。図8に示すように、下部タレット206には、複数の貫通孔206aが回転軸205を中心とした周回上に形成される。複数の貫通孔206aは、図8に示すように異なる開口径に形成されてもよく、また、同一の開口径に形成されてもよい。下部タレット206の上面には、不図示の旋回軸に支持されたスイングプレート212が形成される。スイングプレート212は、旋回軸を中心として回転軸205から離れる方向に旋回可能に形成される。スイングプレート212は、下部タレット206の形状に対応する円弧部分を持つ板状部材が用いられる。スイングプレート212の長さは任意であり、例えば、下部タレット206の外周の1/4に設定されてもよい。
スイングプレート212上には、ホルダ221が保持される。このホルダ221には、上記した成形部150が保持される。また、下部タレット206の貫通孔206aには、上記した中間部140が保持される。スイングプレート212を下部タレット206の上面に沿って配置させた状態(使用時の状態)では、中間部140と成形部150とが接続された状態となる。また、スイングプレート212を旋回させて回転軸205から離すことにより、成形部150は中間部140から分離される。
図9は、図8に示す下部タレット206に保持される下側金型130を示す断面図である。図9に示すように、ホルダ221は、スイングプレート212上に中間プレート213を挟んでボルト214によって固定される。スイングプレート212には、ホルダ221の貫通孔221aと連通する貫通孔212aが形成され、中間プレート213には、貫通孔212aと連通する貫通孔213aが形成されている。
成形部150は、貫通孔221a、212a、213aにわたって配置される。なお、スイングプレート212の貫通孔212aは、ホルダ221の貫通孔221aより内径が小さく形成される。また、中間プレート213の貫通孔213aには、成形部150のキー溝157に入り込むキー213bが形成されている。このキー213bがキー溝157に入り込むことにより、成形部150は、ホルダ221に対する回転方向の角度が位置決めされる。
スイングプレート212の下面と、成形部150の下面とは同一面となっている。なお、ボルト214の頭部は、スイングプレート212の下面から突出しないように配置される。一方、下部タレット206の上面と、中間部140の上面とは同一面となっている。従って、スイングプレート212を外側に旋回させることにより、成形部150は中間部140に対して水平方向に移動し、両者を容易に分離することができる。スイングプレート212を旋回させた状態(図8に示す状態)で、成形部150は、ホルダ221の上方から抜き出すことができる(図3参照)。
このように、スイングプレート212を旋回させることにより成形部150と中間部140とを分離するので、上部タレット204と下部タレット206との間隔が狭い場合でも、成形部150を容易に交換できる。また、中間部140は、固定部141を回転させることにより、下部タレット206の下方から抜き出すことができ(図4参照)、また、下部タレット206の上方からも抜き出すことができる。
なお、スイングプレート212を旋回させる際の下部タレット206の位置は、パンチ位置Pから外れた位置に設定される。例えば、プレス機械200の+X側(プレス機械200の側面)まで下部タレット206を回転させた位置でスイングプレート212を旋回させてもよい。これにより作業者が下部タレット206へのアクセスが容易となり、さらにホルダ221の目視が良好となるため、成形部150の交換等や中間部140の抜き取りを容易に行うことができる。
なお、スイングプレート212は、下部タレット206上に複数形成されてもよい。複数のスイングプレート212は、同一形状であってもよく、また、異なる形状であってもよい。また、スイングプレート212が下部タレット206に形成されなくてもよい。この場合、例えば、図2に示すホルダ121が用いられる。成形部150を保持するホルダ121は、例えばボルトによって下部タレット206に固定され、このボルトを外すことにより、ホルダ121を下部タレット206から水平方向に抜き出すことができる。
また、プレス機械200を打ち抜き(穴開け)加工として用いる場合は、上側金型120をパンチに交換するとともに、ホルダ221を取り外して、例えば穴開け用ダイを保持したダイホルダをホルダ221の代わりにスイングプレート212に取り付ける。また、中間部140の爪部143を没入させ、下部タレット206の貫通孔206aから中間部140を抜き取り、板材Wの打ち抜き加工時に生じるスラグの通路として貫通孔206aを用いる。このとき、下側駆動部260は、パンチ位置Pから退避して、その位置にスラグ回収用の吸引機構が接続されてもよい。
このように、本実施形態によれば、第2実施形態と同様に、下側金型130の交換を、小さな成形部150の取り付け及び取り外しにより行うことができ、作業者の負担を軽減できる。また、複数の成形部150を用意すれば足りるので、金型の保管スペースを小さくすることができ、省スペース化を図ることができる。
以上、各実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記した各実施形態では、中間部40、140と成形部50、150とを当接させて接続しているが、これに限定されず、例えば、中間部40、140と成形部50、150とが接続した際、両者間に隙間を形成させてもよい。また、爪部43、143は、中間部40、140に備えることに限定されず、下部フレーム12(保持部112、下部タレット206)に形成されてもよい。この場合、中間部40、140の側面に、爪部が入り込む受け溝が形成される。