JP6286890B2 - ガスバリアフィルムの製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

ガスバリアフィルムの製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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本発明は、ガスバリアフィルムの製造方法、このガスバリアフィルムを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に係わる。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(electroluminescence:以下ELと記す)を利用した有機エレクトロルミネッセンス素子(いわゆる有機EL素子)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有する。このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体として、特に近年では薄型・軽量なバリア膜を有する樹脂基材上のOLEDが注目されている。
一方で、有機EL素子は、界面を有する多層構造のため、多重干渉による特有の現象として、視野角に依存した輝度の低下や色度の変化があり、視野角依存性を低減する課題がある。
これに対して、例えば、光路調整層を導入することにより、発光材料からの光の進行方向を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、プラスチック基材上のSiO/SiN/SiOバリア層の膜厚構成を調整することにより、視野角依存性を改良する技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
さらに、窒化ケイ素の堆積膜に波長が150nm以下の光照射を行うことにより、堆積膜を変性させ、バリア性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2011−60549号公報 特開2012−149278号公報
有機EL検討会(2012年)第14回例会予稿集 p11−12
しかしながら、光路調整層による視野角依存性の改良効果は十分ではなく、更なる改良が望まれている。また、バリア層の膜厚調整する方法では、膜厚調整によりバリア能力も変動するため、有機EL素子等の適用に適用した際に、保存性に課題がある。さらに、窒化ケイ素の変性膜は、バリア性に優れるものの、配光性を改良するには至らず、有機EL素子に適用した場合に視野角依存性に問題がある。
上述した問題の解決のため、本発明においては、配光性の改良が可能なガスバリアフィルムの製造方法、及び、視野角依存性の改良が可能な有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、並びに、有機EL素子を提供するものである。
本発明のガスバリアフィルムの製造方法は、基材上に、乾式法によりケイ素と窒素とを含む堆積層を形成する工程と、堆積層に、30N/m以上200N/m以下の基材張力のもとで、波長150nm以下の光照射を行い、変性領域を含むケイ素含有層を形成する工程とを有する。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、基材上に、乾式法によりケイ素と窒素とを含む堆積層を形成した後、堆積層に、30N/m以上200N/m以下の基材張力のもとで、波長150nm以下の光照射を行い、変性領域を含むケイ素含有層を形成して、ガスバリアフィルムを形成する工程と、ガスバリアフィルム上に、発光ユニットを形成する工程とを有する。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、乾式法により形成されたケイ素と窒素を含む堆積層に、30N/m以上200N/m以下の基材張力のもとで波長150nm以下の光が照射されたバリア層と、バリア層上に設けられた発光ユニットとを備える。
上述のガスバリアフィルムの製造方法によれば、堆積層に、30N/m以上200N/m以下の基材張力のもとで、波長150nm以下の光照射を行うことにより、形成するケイ素含有層の変性領域の均一性を高めることができる。このため、配光性に優れたガスバリアフィルムを製造することができる。
また、このガスバリアフィルムを用いて、視野角依存性を改良した有機エレクトロルミネッセンス素子を製造、構成することができる。
本発明によれば、配光性の改良が可能なガスバリアフィルムの製造方法、及び、視野角依存性の改良が可能な有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、並びに、有機EL素子を提供することができる。
第1実施形態のガスバリアフィルムの製造方法に係わるガスバリアフィルムの概略構成を示す図である。 第2実施形態の有機EL素子の製造方法に係わる有機EL素子の概略構成を示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.ガスバリアフィルムの製造方法
2.有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
〈1.ガスバリアフィルムの製造方法〉
以下本発明のガスバリアフィルムの製造方法の具体的な実施の形態について説明する。
図1に、本実施の形態のガスバリアフィルムの製造方法に係わるガスバリアフィルムの概略構成図を示す。図1に示すガスバリアフィルム10は、基材11上に、ケイ素含有層12が形成されている。
ケイ素含有層12は、乾式法により形成された、ケイ素と窒素とを含む堆積層に波長150nm以下の光を照射して形成された層である。また、この光照射は、30〜200N/mの基材張力のもとで行う。
ケイ素含有層12は、波長150nm以下の光照射(エネルギー照射)により変性した変性領域13が、表面側から所定の深さに渡って形成されている。ケイ素含有層12において、変性領域13の下方には、上記光照射によりエネルギー線の照射の影響を直接受けない、微変性領域14が形成されている。つまり、ケイ素含有層12は、基材11側から微変性領域14と変性領域13とが積層された構成である。
ケイ素含有層12の厚さ(SiO換算)は、20nm〜2μmとすることが好ましく、さらに100nm〜1μmとすることが好ましい。
変性領域13の厚さは、変性領域13の表面から深さ方向に200nmとすることが好ましく、さらに表面から深さ方向に100nmとすることが好ましい。
[堆積層]
ケイ素含有層12が形成されるケイ素と窒素とを含む堆積層は、乾式法により形成される。この乾式法により形成された堆積層は、少なくともケイ素原子と窒素原子とを含む。さらに、堆積層には、少なくともSi−H結合、又は、N−H結合に由来する、Hが含まれている。堆積層は、水素を含有する窒化シリコン、又は、水素を含有する酸窒化シリコンを主成分とすることが好ましい。
堆積層中の原子の結合状態は、赤外可視分光(FT−IR)装置(例えば、「FT/IR−300E」、日本分光(株)製)を用い、FT−IRスペクトルを測定することで評価できる。N−H結合は、1170及び3350cm−1付近にピークを有し、Si−H結合は、2150cm−1付近にピークを有する。
堆積層中のSi−H結合やN−H結合は、堆積層の可撓性の保持に有効であり、堆積層の物理的な破損を抑制する。しかし、堆積層中のSi−H結合やN−H結合は、水蒸気バリア性や耐湿熱性を低下させる要因となる。
このため、乾式法により形成されたケイ素と窒素とを含む堆積層に対し、波長150nm以下の光照射を行うことで、原子組成が徐々に変化する傾斜構造を持つ変性領域13を形成する。このように、光照射により、乾式法による堆積層から、変性領域13を有するケイ素含有層12を形成することにより、ガスバリアフィルム10としての高性能化を図ることができる。
[変性領域]
変性領域13は、少なくともケイ素原子と窒素原子とを含む。変性領域13は、Si、Si、SiO等から構成される。また、変性領域13は、波長150nm以下の光照射により、構成原子の化学結合が再構成された領域であり、ケイ素含有層12の表面から深さ方向(厚さ方向)において、傾斜状に徐々に原子組成が変化する特徴を有している。
変性領域13は、ケイ素含有層12において水蒸気バリア性や耐湿熱性の性能を担う領域である。
変性領域13は、ケイ素含有層12の上面の一部に形成されていてもよい。また、ケイ素含有層12の全面にわたって、変性領域13が形成されていてもよい。この場合、ケイ素含有層12の組成は、変性領域13と同様となる。
[基材]
ガスバリアフィルム10に適用される基材11としては、ガスバリアフィルム10にフレキシブル性を与えることが可能な可撓性の基材であれば特に限定されない。可撓性の基材としては、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル又はポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)、又は、アペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
これら樹脂フィルムのうち、コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等のフィルムが好ましく用いられる。また、光学的透明性、耐熱性、ケイ素含有層12の密着性の点においては、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムが好ましく用いられる。
この基材11の厚さは、5〜500μm程度が好ましく、さらに好ましくは25〜250μmである。
また、基材11が光透過性を有することが好ましい。基材11が光透過性を有することにより、光透過性を有するガスバリアフィルム10とすることが可能となる。そして、この光透過性のガスバリアフィルム10を、有機EL素子や太陽電池等の透明基板や封止フィルムとして好適に用いることができる。
[ケイ素含有層の製造方法]
ケイ素含有層12の製造方法は、基材11上にケイ素と窒素とを含む堆積層を形成する工程、及び、形成した堆積層に、所定の基板張力をかけた状態で波長150nm以下の光照射を行う工程を含む。
(堆積層の形成工程)
ケイ素と窒素とを含む堆積層の形成は、乾式法を用いる。乾式法としては、従来公知の乾式薄膜堆積法を用いることができる。例えば、蒸着法、反応性蒸着法、スパッタ法、反応性スパッタ法、化学気相堆積法等を用いることができる。
蒸着法は、真空容器内で蒸発源から蒸発させた原子・分子を、基材11に堆積させる方法である。
反応性蒸着法は、真空容器内に反応性ガスを導入し、蒸発源から蒸発した原子・分子を反応させて堆積させる方法である。反応性蒸着法では、反応を促進させるためにプラズマ等の励起源を導入することもできる。反応性蒸着法の代表的な原料として、蒸着源としては、珪素、窒化珪素、酸化珪素、及び、酸窒化珪素等を用いることができる。反応性ガスとしては、窒素、水素、アンモニア、及び、酸素等を用いることができる。
スパッタ法は、電界加速した高エネルギーイオンをターゲットに入射させ、ターゲットの構成原子をたたき出すスパッタリング現象を利用し、スパッタされたターゲットの構成原子を基材11に堆積させる方法である。
反応性スパッタ法は、真空容器内に反応性ガスを導入し、スパッタされたターゲットの構成原子と反応させて基材11に堆積させる方法である。代表的な原料として、ターゲット材には、珪素、窒化珪素、酸化珪素、及び、酸窒化珪素等を用いることができる。反応性ガスとしては、窒素、水素、アンモニア、及び、酸素等を用いることができる。
化学気相堆積法は、真空容器内に膜の構成元素を含む材料ガスを導入し、特定の励起源を用いて材料ガスを励起することで、化学反応により励起種を形成し、膜を基材11に堆積させる方法である。材料ガスの代表的な原料としては、モノシラン、ヘキサメチルジシラザン、アンモニア、窒素、水素、及び、酸素等が用いられる。
化学気相堆積法は、高速製膜が可能であり、スパッタ法等に比べ基材11に対する被覆性が良好である。特に、非常に高温の触媒体を励起源とした触媒化学気相堆積(Cat−CVD)法や、プラズマを励起源としたプラズマ化学気相堆積(PECVD)法が好ましい方法である。
(Cat−CVD法)
Cat−CVD法は、タングステン等のワイヤを内部に配した真空容器に材料ガスを流入し、電源により通電加熱されたワイヤを用いて真空容器の材料ガスを接触分解反応させ、生成された反応種を基材11に堆積させる方法である。
例えば、窒化シリコンを堆積させる場合、材料ガスとしてモノシラン、アンモニア、及び、水素を用いる。また、酸窒化シリコンを堆積させる場合は、上記の材料ガスに、酸素を添加する。
Cat−CVD法の条件例としては、触媒体であるタングステンワイヤ(例:Φ0.5長さ2.8m)の通電加熱温度を1800℃、材料ガスとしてモノシランを4sccm、アンモニアを200sccm、及び、水素を200sccm、真空容器の圧力を10Pa、並びに、基材温度を100℃とする。
触媒体上での分解反応により生成される反応種のうち、主な堆積種はSiH とNH であり、Hは膜表面での反応補助種である。特に、材料ガスとして水素を添加することで、多量のHを生成できる。多量のHを生成することにより、堆積速度は減少するものの、膜中のSi−H結合やN−H結合に由来するHを除去する反応が促進されると考えられている。
(PECVD法)
PECVD法は、プラズマ源を搭載した真空容器に材料ガスを流入し、電源からプラズマ源に電力供給することで真空容器内に放電プラズマを発生させ、プラズマで材料ガスを分解反応して生成された反応種を基材11に堆積させる方法である。
プラズマ源の方式としては、平行平板電極を用いた容量結合プラズマ、誘導結合プラズマ、表面波を利用したマイクロ波励起プラズマ等が用いられる。
窒化シリコンを堆積させる場合、材料ガスとしてモノシラン、アンモニア及び窒素を用い、反応を補助するガスとして希ガスや水素を用いる。酸窒化シリコンを堆積させる場合は、上記の材料ガスに、酸素を添加する。
例えば、誘導結合プラズマを利用する場合、真空容器に誘電体窓を介してアンテナコイル設置した外部アンテナ方式の低圧誘導結合プラズマCVD装置を使用する。
低圧誘導結合プラズマCVD装置を用いる条件例としては、ガス種としてモノシランを50sccm、アンモニアを150sccm、ヘリウムを300sccm、真空容器の圧力を5Paとする。また、アンテナコイルに2kWの高周波電力を印加してプラズマを形成し、基材温度を70℃とする。
(乾式法)
ケイ素と窒素とを含む堆積層を形成する工程に乾式法を用いることにより、湿式法を用いる場合に必要とされる、ケイ素原子及び窒素原子を含む塗工膜を形成する工程、及びそれを加熱・乾燥する工程が不要となり、工程の簡略化が可能となる。さらに、ロール状の基材11に堆積層を形成する場合に、湿式法に比べて設備の小型化が可能となる。
また、堆積層を形成した後の工程である光照射工程は、乾式法に属する手法である。このため、堆積層を形成する乾式法との相性がよい。堆積層の形成を乾式法で行うことにより、堆積層の形成工程と光照射工程とをインライン化することが容易となる。
[光照射工程]
次に、上記工程により乾式法で形成したケイ素及び窒素を含む堆積層に、波長150nm以下の光照射(高エネルギー線照射)を行い、ケイ素含有層12を形成する。エネルギー線照射処理は、酸素又は水蒸気を実質的に含まない雰囲気で実施することが好ましい。
また、この光照射は、基材に30N/m〜200N/mの張力をかけた状態で行う。
「酸素又は水蒸気を実質的に含まない雰囲気」とは、酸素と水蒸気の一方又は両方が全く存在しないか、或いは、酸素濃度、相対湿度又は水蒸気濃度が下記所定値以下の雰囲気である。
酸素濃度としては、0.5%(5000ppm)以下、好ましくは、0.05%(500ppm)以下、さらに好ましくは、0.005%(50ppm)以下、さらに好ましくは、0.002%(20ppm)以下、さらに好ましくは、0.0002%(2ppm)以下である。
また、相対湿度としては、0.5%以下、好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは、0.1%以下、さらに好ましくは、0.05%以下である雰囲気をいう。
また、水蒸気濃度(室温23℃における水蒸気分圧/大気圧)としては、140ppm以下、さらに好ましくは56ppm、さらに好ましくは28ppm、さらに好ましくは14ppm以下である。
(エネルギー線照射処理)
光照射工程では、エネルギー線照射処理として、150nm以下の光照射を行う。エネルギー線照射処理は、波長30〜150nmの範囲の光を用いることが好ましい。波長が150nm以下の光照射方法としては、プラズマで発生した真空紫外光を全て直接照射できるプラズマ処理が好ましい。
エネルギー線照射を行う堆積層は、少なくともケイ素原子、窒素原子を含み、エネルギー線照射処理によって形成される変性領域13は、Si、Si、SiO等から構成されている。
非晶質SiOや非晶質Siの光吸収係数は、波長30〜150nmの領域で非常に大きくなり、堆積層の光吸収係数も非常に大きくなるため、堆積層への光の侵入が非常に浅い領域に限定される。このため、形成される変性領域13も浅い領域に限定されると考えられる。この波長領域の光照射は、光の侵入深さが小さい分、変性に関係する原子数が少なくなるため、変性に必要なエネルギー線の照射量が少なくて済む。即ち、高速処理に適している。一方、波長30nm未満、及び、150nmを超える光の照射では、堆積層への光の侵入深さが大きくなると考えられる。このため、変性に関係する原子数が多くなり、変性に必要なるエネルギー線の照射量の増大を招くため好ましくない。
また、光の波長が短いほど光の量子であるフォトンのエネルギーは増加する。詳細な光反応過程は不明だが、高エネルギーのフォトンは、堆積層に吸収されて励起状態を作り、種々の化学結合を切断する。そして、変性領域13での化学結合の再構成が起こる過程で、堆積層中のSi−H結合やN−H結合に由来するHが効率よく除外され、Si構造の元になる緻密なSi−N−Si結合が、堆積層中により多く形成されると考えられる。
一方、波長が150nm以下の光照射方法としては、プラズマ処理以外に、ランプユニットを用いた光照射が挙げられる。ランプユニットを用いた手法では、窓材を介して中心波長が150nm以下の光を外部に取り出して堆積層に照射する。この波長の光では、窓材の光吸収や光劣化が顕著に起こるため、高強度の光を堆積層に照射することが難しい。このため、プラズマで発生した真空紫外光を全て直接照射できるプラズマ処理の方が、ランプユニットを用いた光照射よりも短波長の光を高強度に照射することができる。このため、ランプユニットを用いた光照射よりも、プラズマ処理を好ましく適用することができる。
(プラズマ処理)
波長150nm以下の光照射方法の好ましい例である、プラズマ処理ついて以下に説明する。
プラズマ処理は、上述のように、酸素又は水蒸気を実質的に含まない雰囲気で実施することが好ましい。酸素又は水蒸気を実質的に含まない雰囲気で実施する方法として、装置内を減圧にする方法やガスフローする方法が挙げられる。特に、減圧にする方法が好ましく、真空ポンプを用いて装置内の圧力を大気圧(101325Pa)から100Pa以下、好ましくは10Pa以下まで減圧した後、所定のガスを導入して所定の圧力にすることで、プラズマで励起する雰囲気にすることができる。
減圧下における酸素濃度及び水蒸気濃度は、一般的に、酸素分圧及び水蒸気分圧で評価される。具体的には、酸素分圧を10Pa(酸素濃度0.001%(10ppm))以下、好ましくは2Pa(酸素濃度0.0002%(2ppm))以下、さらに、水蒸気濃度を10ppm以下、好ましくは1ppm以下になるまで減圧した後、下記のガス種(処理気体)を導入することで、プラズマで励起する雰囲気を形成する。
プラズマによって励起された雰囲気ガスはエネルギーを放出して失活する。その際、気体の種類と圧力に依存して、種々の波長の真空紫外光を放出する。プラズマ処理を、真空紫外光を放出する励起種で大別すると、[1]低圧プラズマ処理と[2]大気圧近傍のプラズマ処理の2つの手法に分けられる。
尚、乾式法による堆積層の形成において、プラズマを利用した手法が使われる場合があるが、堆積層の形成と波長150nm以下の光照射とを実質的に兼ねることはできない。これは、プラズマが形成される空間、及び、プラズマと堆積層間との間の空間に堆積層の材料となるガスが存在するため、この材料ガスがプラズマから発生する真空紫外光を吸収するなど、波長150nm以下の光照射を効率よく行う条件から外れるためである。
[1]低圧プラズマ処理
低圧プラズマ処理は、減圧によって酸素又は水蒸気を実質的に含まない雰囲気にした後、下記のガス種(処理気体)を装置内に導入して行う。低圧プラズマ処理では、低圧下のプラズマにより励起された原子、分子が基底状態又は下の準位に落ちる際の真空紫外の発光を利用する。低圧プラズマで発生する真空紫外光の波長は、プラズマを発生させるガス種に依存する。波長は、短い方がよく、波長125nm以下の真空紫外の発光を利用することがより好ましい。しかしながら、波長が短過ぎると、高いエネルギー準位に励起される頻度が低くなるため、発光強度が著しく減少する。実質的に低圧プラズマ処理で利用できる比較的高強度の真空紫外光の波長は、50nm以上である。即ち、低圧プラズマ処理で利用する光の波長としては、50〜125nmの範囲がより好ましい。
低圧プラズマ処理の好ましい条件については、次の(1)〜(5)に示す通りである。
(1)圧力範囲
低圧プラズマ処理では、プラズマにより励起した原子の発する真空紫外光が、別の基底状態の原子に吸収され、その原子の励起に使われる自己吸収の影響がある。このため、あまり圧力が高いと、発生した真空紫外光が雰囲気ガスの原子や分子に吸収され、堆積層に効率よく照射されない。このため、低圧プラズマ処理は、概ね、100Pa以下の低圧で行うことが好ましい。一方、圧力あまり低過ぎると、プラズマの発生が困難になる。圧力の下限はプラズマの発生方式により異なるが、概ね0.1Pa以上が好ましい。
(2)ガス種
波長150nm以下の真空紫外光を発する低圧プラズマのガス種は、主としてHe、Ne、Arから選ばれる1種以上の希ガスが用いられる。これらの励起された希ガス原子の発する主要な真空紫外光の波長は、Heで58.4nm、Neで73.6nm及び74.4nm、Arで104.8nm及び106.7nmである。
また、これらの希ガス原子のプラズマは、プラズマ励起によって真空紫外光を発するだけでなく、発光しない準安定な励起状態の原子を多量に形成する。この準安定な励起状態の原子が持つエネルギーを有効利用するために、希ガスにH、Nから選ばれる1種以上のガス(添加ガス)を添加してもよい。希ガス中に特定の比率で添加ガスを加えると、準安定な励起状態の希ガス原子の持つ励起エネルギーが効率よく添加ガスの励起に使われる。このため、希ガス原子の真空紫外発光に、添加ガスの真空紫外発光が加わり、波長150nm以下の真空紫外光の照射強度を増加することができる。添加ガスは、解離・励起された原子が真空紫外光を発する場合と、励起された分子が真空紫外光を発する場合がある。分子の発光はバンド状になっているため、その中心波長は原子の発光波長より長い。堆積層の変性には、波長の短い原子の発光のほうが重要である。励起されたH原子の発する主要な真空紫外光の波長は121.5nm、N原子の場合は120nmである。添加ガス種としては、準安定な励起状態を持たないHが好ましい。
好ましいガス種としては、He、Ne、HeとHの混合ガス、NeとHの混合ガス、ArとHの混合ガスが挙げられる。添加ガスの比率は、0.1〜20%の範囲である。0.1%以下では、添加ガスの効果が現れにくい。また、20%以上では、添加ガスの影響でプラズマ密度の減少が顕著となり、添加ガスの励起に使われる準安定な励起状態の希ガス原子の密度も減少する。添加ガスの混合量としては、0.5〜10%の範囲とすることが好ましい。
さらに、効率よく波長150nm以下の真空紫外光を堆積層に照射するために、波長150nm以下の光を吸収して、自身が分解するような多原子分子のガス種(例えばCO、CO、CHSi−H等)は、実質的に含まれない方が好ましい。
(3)電源周波数
波長150nm以下の真空紫外光を発する低圧プラズマの生成に必要な電源の周波数は、1MHz〜100GHzが好ましい。1MHz未満の周波数では、プラズマ中の電子だけでなくイオンまで電界の変化に追従できてしまうため、プラズマ生成反応に直接寄与する電子に効率よくエネルギーを与えることができない。一方、1MHz以上の周波数では、電界の変化にイオンが追従できなくなるため、電子に効率よくエネルギーを与えることができ、電子密度、すなわちプラズマ密度が高くなる。これに伴い、プラズマで発生する真空紫外光の強度も強くなる。しかし、100GHzを超えると電子が電界の変化に追従しにくくなり、エネルギーの伝達効率が悪くなる。電源の周波数は、4MHz〜10GHzの範囲とすることが好ましい。
(4)プラズマ生成方式
波長150nm以下の真空紫外光を発するプラズマの生成方式は、従来公知の方法を用いることができる。好ましくは、幅広の基材11上に乾式法により形成した堆積層の処理に対応できる方式が好ましい。例えば、以下に示す(A)〜(E)の方法が好ましい。
(A)容量結合プラズマ(CCP)
容量結合プラズマ(CCP)は、高周波電力を印加した側の電極と接地側の電極との間に、プラズマを生成する方式である。
対向した平板電極が代表的な電極構造であるが、高周波電力を印加した側の電極は、平板状だけでなく、例えば凹凸形状を備えていてもよい。平板電極上に凹凸形状を備えることで、突起部での電界集中やホローカソードの効果により、プラズマ密度を増加させることができる。このため、プラズマで発生する150nm以下のVUVの強度も向上させることができる。
(B)誘導結合プラズマ(ICP)
誘導結合プラズマ(ICP)は、アンテナコイルに高周波電流を流し、コイルが作る磁場によって誘導電界でプラズマを生成する方式で、一般に容量結合プラズマに比べて高い電子密度(プラズマ密度)が得られる。誘電体窓を介してアンテナコイルをチャンバの外に置く外部アンテナ型、アンテナコイルをチャンバ内に設置する内部アンテナ型のどちらを採用してもよい。また、幅広の基材に対応するため、アンテナコイルをアレイ状に配置してもよい。
上記装置構成では、投入電力を上昇させていくと、コイルアンテナとの静電的な結合による放電(Eモードと呼ばれる)から、誘導結合による放電(Hモードと呼ばれる)に移行する。場合によっては、モードジャンプ現象としてプラズマ密度が急激に増加する現状が観測されることがある。堆積層を処理する際には、Hモードのプラズマになるように、十分な電力を投入する必要がある。
また、波長150nm以下の真空紫外光を発するプラズマの生成方式として以下の方法も、上述の容量結合プラズマや誘導結合プラズマと同様に好ましく用いることができる。
(C)表面波プラズマ
(D)電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ
(E)ヘリコン波プラズマ
(5)投入電力密度
プラズマへの投入電力の大きさの指標として、プラズマの大きさを、プラズマ源の占める面積で規格化した投入電力密度を定義する。これは、単位面積あたりの堆積層に照射される真空紫外光の照射強度に相関するパラメータとなる。特に、容量結合プラズマのような有電極プラズマの場合、高周波を印加する側の電極面積が、実質的にプラズマの大きさを規定しており、これをプラズマ源の占める面積とする。
投入電力密度は、0.1〜20W/cmが好ましく、0.3〜10W/cm以上であることがより好ましい。投入電力密度が0.1W/cm以下では十分な強度のVUV照射ができない。また、20W/cm以上では、基材11の温度上処理による熱変形、プラズマの不均一化、電極などのプラズマ源を構成する部材の損傷などの悪影響がある。
[2]大気圧近傍のプラズマ処理
大気圧近傍のプラズマ処理では、減圧又はガスフローによって酸素又は水蒸気を実質的に含まない雰囲気にした後、所定のガス種を導入し、装置内を所定の大気圧近傍の圧力にして処理を行う。圧力が高いため、プラズマで励起された原子や分子が基底状態又は下の準位に落ちる際の真空紫外の発光は、自己吸収の影響が非常に大きく、乾式堆積層の変性に有効に利用することができない。
大気圧近傍のプラズマ処理では、エキシマの発光を利用する。現実的に利用可能なエキシマの発光としては、Arガスを用いたプラズマによって形成されるArエキシマの発光が最も波長が短く、中心波長が126nmの光になる。より波長の短い真空紫外光が利用できるという点では、プラズマ処理方法としては低圧プラズマ処理の方が好ましい。
大気圧近傍のプラズマ処理の好ましい条件については、次の(1)〜(5)に示す通りである。
(1)ガス種
大気圧近傍のプラズマプロセスで現実的に利用できるガス種のうち、150nm以下のエキシマ光を出せるのは、Arガスである。尚、Arエキシマ(Ar )は、プラズマで形成された準安定状態のAr原子(Ar)をもとに、次式で表される3体衝突反応で生じるとされている。
Ar+Ar+Ar→Ar +Ar
このため、Ar以外の不純物ガスの比率は、プラズマ密度や上記の反応に影響しない程度に少ない方がよい。不純物濃度は1%以下がよく、より好ましくは0.5%以下である。さらに、効率よく波長150nm以下の真空紫外光を堆積層に照射するために、波長126nm近傍の光を吸収して、自身が分解するような多原子分子のガス種(例えば、CO、CO、CH等)が、実質的に含まれていない方がより好ましい。
(2)圧力範囲
大気圧近傍とは、1〜110kPaの圧力を指し、大気に開放して使用できるほか、密閉容器の中で使用し、大気圧に比べて僅かに減圧にする場合や、僅かに加圧状態にする場合にも含む。大気圧よりも僅かに減圧にした方が放電し易くなるため、プラズマによる準安定状態のAr原子の形成が容易になる。また、減圧にし過ぎるとAr密度が減少し、Arエキシマ(Ar )の形成反応である3体衝突反応が起こる頻度が減る。このため、ArエキシマによるVUV発光の強度を増すためには、密閉容器と簡便な減圧装置を利用し、容器内圧力を10〜90kPaの範囲とすることが好ましい。また、このような範囲の圧力下で処理することにより、処理に使用するガス量を削減でき、さらに、酸素や水などの阻害成分の量を低下させることができる。
(3)プラズマ形成方式
Arエキシマを発するプラズマの生成方式は、大気圧近傍でプラズマを生成できる従来公知の方法を用いることができる。好ましくは、プラズマで形成されたArとArから生じるArエキシマ(Ar )の真空紫外の発光を、直接乾式堆積層に照射することができる方式がよい。特に、幅広の基材11に形成した乾式堆積層の処理に適応可能な方法が好ましい。例えば、少なくとも一方の電極表面に誘電体を配した電極間に堆積層付き基材11を配置し、電極間にガスを流通した後、電極間に交流電力を印加して放電プラズマを形成する、誘電体バリア放電を使ったダイレクト処理方式を用いることができる。
(4)電源周波数
電源周波数は、50Hz〜1GHzの範囲が好ましい。低圧プラズマ処理とは動作させる圧力範囲が異なるため、使用する電源周波数帯も異なる。50Hz以下では、プラズマで形成される準安定状態のAr原子が少なく、高い照射高度のArエキシマ光が得られにくい。また、1GHz以上ではプラズマのガス温度が高くなるため、基材11に熱的な損傷が発生しやすい。好ましくは、1kHz〜100MHzの範囲である。
(5)投入電力密度
低圧プラズマ処理の場合と同様に、プラズマへの投入電力の大きさの指標として、プラズマの大きさを、プラズマ源の占める面積で規格化した投入電力密度を定義する。投入電力密度は、0.1〜20W/cmが好ましく、0.3〜10W/cm以上であることがより好ましい。投入電力密度が0.1W/cm以下では十分な強度のVUV照射ができず、20W/cm以上では、基材11の温度上昇による熱変形、プラズマの不均一化、電極等のプラズマ源を構成する部材の損傷などの悪影響がある。
(基材加熱)
また、光照射工程において、波長150nm以下の光照射と同時に、乾式堆積層が形成されている基材11の加熱処理を行うことで、より短時間での処理が可能となる。加熱処理温度としては、高ければ高いほどよいが、基材の耐熱性を考えると、好ましくは25℃〜1000℃、より好ましくは30℃〜500℃、更に好ましくは60℃〜300℃の範囲である。
[基材張力]
上述の光照射工程は、基材11に張力をかけた状態で行う。基材11に張力をかけた状態で光照射を行うことにより、形成するケイ素含有層12の特定波長領域での光の干渉を抑制することができ、配光性の向上、及び、発光デバイスに適用した際の視野角依存性を改良することができる。
好ましい張力としては、30N/m以上200N/m以下とすることが好ましく、50N/m以上150N/m以下とすることがさらに好ましい。
基材張力が上記範囲を下回ると、ケイ素含有層12が、視野角調整層としての機能を得られず、ケイ素含有層12の特定波長領域での光の干渉を抑制する効果が得られない。また、基材張力が上記範囲を超えると、張力により堆積層や、変性したケイ素含有層12の割れが発生しやすくなり、均一なケイ素含有層12の形成が難しくなる。
堆積層が形成されている基材11に上記張力を印加する方法としては、ロールツーロール法のように基材11を一方向から牽引して稼働する方法や、堆積層形成された面を外側にして基材11に曲率を与える方法等がある。また、これらを併用することも可能である。
上記範囲の基材張力下で光照射を行うことにより、視野角依存性を抑制することができる原理や、変性時の反応過程についての詳細は不明であるが、以下のように推測される。
一般的に、乾式法により形成された堆積層は、ケイ素原子や窒素原子が無作為に配置された構成を有している。この堆積層に波長150nm以下の光照射を行うこと、窒化ケイ素(SiN)の生成と、水素原子の放出とにより、ケイ素含有層12が形成される。
ケイ素含有層12の形成において、組成分布の均一性の高い緻密な層を得るためには、光照射で窒化ケイ素(SiN)発生させると同時に、堆積層を構成するケイ素原子や窒素原子の再配列が速やかに行われる必要がある。しかし、SiNは、共有結合性が高いため、自己拡散係数が低い。つまり、光照射により堆積層がSiNに変性することにより、堆積層内での原子の拡散(分子の移動)が妨げられる。このため、生成されたSiNにより、水素の放出により発生した欠損の修復や、堆積層を構成するケイ素原子や窒素原子の再配列を阻害し、組成分布の均一な層が得られにくい。
基材11上に形成された堆積層では、基材11に張力をかけることにより、堆積層の表面にも引張り応力が発生する。この引張り応力のもとで波長150nm以下の光照射を行うことにより、光の侵入と、光照射による堆積層内での反応とが効率的に行われ、視野角を調整する層として均一性の高い良好な構成になると推測される。
より具体的には、光照射により堆積層の表面に組成変化が起きる際、堆積層でのSiNの生成による組成変化と、SiNの生成に伴う水素原子の放出による欠損生成が発生する。
また、堆積層表面に引張り張力が加わることによる、堆積層表面における微小な亀裂の生成と、この亀裂部において堆積層の内部側の原子が表面に析出する現象、いわゆるブリードアウトが発生する。さらに、光照射により組成が変化する際、堆積層に張力(応力、圧力)がかかることにより、堆積層においてケイ素原子と窒素原子とは格子振動の状態密度が変化する。
堆積層に張力がかけられた状態では、この張力(応力、圧力)により、物質移動が促進される。ここに張力によるケイ素原子と窒素原子とは格子振動の状態密度の変化が加わり、堆積層中でのケイ素原子や窒素原子の再配列が促進される。さらに、ケイ素原子や窒素原子の再配列に伴う移動により、光照射により発生したSiNも堆積層内での物質移動が促進される。このように、原子レベルでの自己拡散が促進されることにより、水素の放出による欠損の修復や、ケイ素原子や窒素原子の再配列が促進され、組成分布の均一な層が得られやすくなる。
さらに、光照射による堆積層表面のSiNの生成、水素放出による欠損発生、及び、堆積層表面に張力が加わることにより、表面に微小な亀裂が大量に発生すると考えられる。そして、この亀裂を修復するために、堆積層の内部側の原子が表面側へと移動するブリードアウトの発生が考えられる。
このようなブリードアウトの発生により、堆積層の内側から表面側に向けての物質移動が促進される。上述の原子の自己拡散と異なる機構の拡散が発生する。また、ブリードアウトによる物質移動は、原子の自己拡散よりもより大きな拡散速度を有すると考えられる。また、ブリードアウトにより、堆積層内部に存在する潜在的な欠損を表面に移動する。この潜在的な欠損は、乾式法による形成時に発生した欠損も含まれる。
一方で、波長150nm以下の光照射では、SiNの生成の他に、堆積層を構成する原子の再配列させるアニール処理の効果も期待できる。つまり、光照射により、堆積層中の欠損の修復、及び、原子の再配列が行われる。
上述のブリードアウトでは、堆積層内部の原子が表面側に移動するため、波長150nm以下の光が届かない深さの領域の原子が、析出した表面側において光照射を受けることになる。このとき、ブリードアウトによる物質移動及び欠損の移動と、光照射によるアニール処理とにより、堆積層内部の潜在的な欠損の修復、堆積層表面での欠損の修復、及び、原子の再配列が促進され、組成分布が均一で緻密な層が得られやすくなる。
この結果、基板張力により原子の自己拡散が促進されること、及び、ブリードアウトによる拡散律速により、堆積層中の原子の拡散が促進された状態で光照射によるアニール効果が加わることにより、欠損の修復が速やかに行われ、均一性の高い原子の再配列が行われると推測される。
また、基材張力を30N/m以上200N/m以下とすることにより、上述の欠陥補正や再配列が効率的に行われると推測される。基材張力が30N/m未満では、上述の原子の自己拡散やブリードアウトによる物質移動が小さすぎるため、ケイ素含有層12の均一性の向上に有効ではない。特に、50N/m以上とすることにより、原子の自己拡散やブリードアウトによる物質移動が促進され、ケイ素含有層12の均一性の向上に有効となる。
また、基材張力が200N/mを超えると、基材11自体の損傷の可能性や、上述の欠陥補正の効果を超える張力による損傷の発生等が懸念されるため、好ましくない。特に、基材張力を150N/m以下とすることにより、上記損傷等の発生を抑制することができる。
従って、上述のように、30N/m以上200N/m以下の基材張力、特に、50N/m以上150N/m以下の基材張力のもとで波長150nm以下の光照射を行うことにより、光の侵入と、光照射による堆積層内での反応とが効率的に行われケイ素含有層12の均一性が高まると推測される。
ケイ素含有層12において、均一性を高めることにより、ケイ素含有層12と、このケイ素含有層12に接する他の層との界面における反射や干渉を抑制することができる。このため、ケイ素含有層12に入射される光が、全反射や干渉の影響を受けずに透過する。
基材11やケイ素含有層12のような多層構造では、入射する光が反射や干渉を受けると大きな視野角依存性の問題が発生しやすい。これは、多層膜の界面で特定の波長領域が反射して光スペクトルに干渉し、光スペクトルが変化して視野角依存性を示すと考えられている。
そこで、ケイ素含有層12の均一性を高くし、光の特定の波長に干渉しないように調整することにより、視野角依存性を抑制することができる。ケイ素含有層12の均一性を高くすることにより、光スペクトルへの干渉条件を分散させることができ、特定の波長で干渉しない構成とすることができる。従って、光スペクトルの視野角依存性を解消して、均一な配光性を実現することができる。
[下地層]
上述のガスバリアフィルム10において、基材11とケイ素含有層12との間には、下地層を設けてもよい。
下地層を構成する化合物としては、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物や、分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等を挙げることができる。これらは、活性エネルギー線硬化性材料であり、紫外線等の活性エネルギー線を照射し硬化させることにより、活性エネルギー線硬化性樹脂となる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記多価不飽和有機化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記単価不飽和有機化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
下地層は、密着性や耐摩耗性を向上させる観点から、無機粒子を含むことが好ましい。無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等が挙げられる。無機粒子の平均粒径は、大きくなると透明性が低下するので100nm以下が好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
さらに、下地層の強度、耐擦傷性や耐摩耗性をより高めるために、無機粒子の表面が、活性エネルギー線重合性基を有する化合物で修飾されていることが好ましい。このような無機粒子を下地層に添加しておくことにより、下地層の強度、耐擦傷性、耐摩耗性等をより高めることができる。活性エネルギー線重合性基を有する化合物で表面修飾されている無機粒子としては、例えば、特開平11−60235号公報、特開平9−100111号公報、及び、特開2001−187812号公報に記載されている反応性シリカ粒子がある。なお、特開平11−60235号公報に記載のシリカ粒子は、反応性基としてカチオン反応性のオキセタニル基を含むものであり、特開平9−100111号公報に記載のシリカ粒子は、反応性基としてラジカル反応性の(メタ)アクリロイル基を含んでいる。また、特開2001−187812号公報に記載のシリカ粒子は、(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性不飽和二重結合と、エポキシ基等のカチオン反応性基とを同時に含むものである。
無機粒子の含有量は、例えば、下地層に含まれる活性エネルギー線硬化性樹脂の質量に対して5〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。無機粒子の含有量が70質量%を超えると、下地層の膜強度が低下するおそれがある。
また、下地層は、上記活性エネルギー線硬化性材料や、無機粒子以外の他の成分として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、及び、光重合開始剤等を含有させてもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、光重合性プレポリマー若しくは光重合性モノマー等の1種又は2種以上を混合した電離放射線硬化塗料に、電離放射線(紫外線又は電子線)を照射して硬化した樹脂を使用することができる。ここで光重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが特に好ましく使用される。このアクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート等が使用できる。また光重合性モノマーとしては、上記に記載した多価不飽和有機化合物等が使用できる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノ−1−プロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられる。これらの光重合開始剤を1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
下地層の形成方法は、特に制限はない。例えば、活性エネルギー線硬化性材料及び必要に応じて他の成分を含む塗布液を塗布し塗膜を形成した後、この塗膜を硬化させて形成する方法が好ましい。塗布法としては、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法、グラビア印刷法等のウエットコーティング法、又は、蒸着法等のドライコーティング法等を用いることができる。また、硬化法としては、可視光線、赤外線、紫外線、X線、α線、β線、γ線、電子線等の活性エネルギー線の照射や、加熱等を用いることができる。活性エネルギー線を照射する方法としては、例えば超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等を用い好ましくは100〜400nm、より好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する方法が挙げられる。或いは、走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射する方法が挙げられる。
下地層を形成する際に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の1種又は2種以上を挙げることができる。
下地層の厚さとしては、ガスバリア性フィルムの密着性を向上させ、ガスバリア性フィルムの光学特性のバランス調整を容易にし、かつ、ガスバリア性フィルムのカールを調整する観点から、0.5〜15μmの範囲が好ましく、1〜10μmの範囲がより好ましく、2μm〜7μmの範囲がさらに好ましい。
[平滑層]
ケイ素含有層12上には、平滑層が形成されていてもよい。平滑層はケイ素含有層12上の粗面を平坦化し、或いは、ケイ素含有層12上に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。このような平滑層としては、例えば、ポリシラザンを含む層を活性エネルギー線照射により改質処理して形成されるポリシラザン改質層や、感光性樹脂を硬化させた樹脂層により形成される。
(ポリシラザン改質層)
ポリシラザン改質層は、好ましくはポリシラザンを含有する塗布液を塗布・乾燥して塗膜を形成した後、この塗膜を活性エネルギー線照射により改質処理して形成される。
ポリシラザン改質層は、その表面において、ポリシラザンの改質がより進行した領域が形成され、この領域の下部に改質量の小さい領域又は未改質の領域が形成される。本例では、この改質量の小さい領域や未改質の領域も含めて、ポリシラザン改質層とする。
ポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を有するポリマーであり、Si−N、Si−H、N−H等の結合を有するSiO、Si、及び、これらの中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
具体的には、ポリシラザンは、好ましくは下記の構造を有する。
Figure 0006286890
上記一般式(I)において、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R、R及びRは、それぞれ、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。ここで、アルキル基としては、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等がある。また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基;ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基等の縮合多環炭化水素基が挙げられる。(トリアルコキシシリル)アルキル基としては、炭素原子数1〜8のアルコキシ基で置換されたシリル基を有する炭素原子数1〜8のアルキル基が挙げられる。より具体的には、3−(トリエトキシシリル)プロピル基、3−(トリメトキシシリル)プロピル基などが挙げられる。上記R〜Rに場合によって存在する置換基は、特に制限はないが、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基(−OH)、メルカプト基(−SH)、シアノ基(−CN)、スルホ基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、ニトロ基(−NO)などがある。なお、場合によって存在する置換基は、置換するR〜Rと同じとなることはない。例えば、R〜Rがアルキル基の場合には、さらにアルキル基で置換されることはない。これらのうち、好ましくは、R、R及びRは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、ビニル基、3−(トリエトキシシリル)プロピル基又は3−(トリメトキシシリルプロピル)基である。
また、上記一般式(I)において、nは、整数であり、一般式(I)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定めることが好ましい。
上記一般式(I)で表される構造を有する化合物において、好ましい態様の一つは、R、R及びRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンである。
また、ポリシラザンとしては、下記一般式(II)で表される構造を有する。
Figure 0006286890
上記一般式(II)において、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’及びR6’は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’及びR6’は、それぞれ、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。上記置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。
また、上記一般式(II)において、n’及びpは、整数であり、一般式(II)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n’及びpは、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。
上記一般式(II)のポリシラザンのうち、R1’、R3’及びR6’が各々水素原子を表し、R2’、R4’及びR5’が各々メチル基を表す化合物;R1’、R3’及びR6’が各々水素原子を表し、R2’、R4’が各々メチル基を表し、R5’がビニル基を表す化合物;R1’、R3’、R4’及びR6’が各々水素原子を表し、R2’及びR5’が各々メチル基を表す化合物が好ましい。
また、ポリシラザンとしては、下記一般式(III)で表される構造を有する。
Figure 0006286890
上記一般式(III)において、R1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”及びR9”は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”及びR9”は、それぞれ、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。上記置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基は、上記一般式(I)の定義と同様であるため、説明を省略する。
また、上記一般式(III)において、n”、p”及びqは、整数であり、一般式(III)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n、p及びqは、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。
上記一般式(III)のポリシラザンのうち、R1”、R3”及びR6”が各々水素原子を表し、R2”、R4”、R5”及びR8”が各々メチル基を表し、R9”が(トリエトキシシリル)プロピル基を表し、R7”がアルキル基又は水素原子を表す化合物が好ましい。
一方、Siと結合する水素原子部分の一部がアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより、下地である基材との接着性が改善される。さらに、硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができる。このため、より(平均)厚さを厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。このため、用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)で、液体又は固体の物質があり、その状態は分子量により異なる。
ポリシラザンは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン改質層形成用塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のアクアミカ(登録商標)NN120−10、NN120−20、NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL120−20、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
使用できるポリシラザンの別の例としては、特に制限されないが、例えば、上記ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等の、低温でセラミック化するポリシラザンが挙げられる。
ポリシラザンを用いる場合、改質処理前のポリシラザン改質層中におけるポリシラザンの含有率は、ポリシラザン改質層の全質量を100質量%としたとき、100質量%とすることができる。また、ポリシラザン改質層がポリシラザン以外のものを含む場合には、層中におけるポリシラザンの含有率が、10質量%以上99質量%以下であることが好ましく、40質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、特に好ましくは70質量%以上95質量%以下である。
ポリシラザン改質層の塗布法による形成方法は、特に制限されず、公知の方法が適用できるが、有機溶剤中にポリシラザン及び必要に応じて触媒を含むポリシラザン改質層形成用塗布液を公知の湿式塗布方法により塗布し、この溶剤を蒸発させて除去した後、改質処理を行う方法が好ましい。
(ポリシラザン改質層形成用塗布液)
ポリシラザン改質層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ポリシラザンを溶解できるものであれば特に制限されない。ポリシラザンと容易に反応してしまう水及び反応性基(例えば、ヒドロキシル基、あるいはアミン基等)を含まず、ポリシラザンに対して不活性の有機溶剤が好ましい。特に、非プロトン性の有機溶剤がより好ましい。具体的には、溶剤としては、非プロトン性溶剤;例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類:例えば、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、モノ−及びポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)等を挙げることができる。上記溶剤は、ケイ素化合物の溶解度や溶剤の蒸発速度等の目的にあわせて選択され、単独で使用されてもよく、また、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
ポリシラザン改質層形成用塗布液におけるポリシラザンの濃度は、特に制限されず、層の厚さや塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。
ポリシラザン改質層形成用塗布液は、改質を促進するために、触媒を含有することが好ましい。適用可能な触媒としては、例えば、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等のアミン化合物、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒、N−複素環式化合物、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン、ルチジン、ピリミジン、ピリダジン等のピリジン化合物、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン)、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、マレイン酸、ステアリン酸、等の有機酸、塩酸、硝酸、硫酸、過酸化水素等の無機酸等が挙げられる。これらのうち、アミン化合物を用いることが好ましい。この際添加する触媒の濃度としては、ポリシラザンを基準としたとき、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%の範囲である。触媒添加量をこの範囲とすることで、反応の急激な進行よる過剰なシラノール形成、及び膜密度の低下、膜欠陥の増大などを避けることができる。
ポリシラザン改質層形成用塗布液には、必要に応じて下記に挙げる添加剤を用いることができる。例えば、セルロースエーテル類、セルロースエステル類;例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート等、天然樹脂;例えば、ゴム、ロジン樹脂等、合成樹脂;例えば、重合樹脂等、縮合樹脂;例えば、アミノプラスト、特に尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、ポリシロキサン等である。
(ポリシラザン改質層形成用塗布液を塗布する方法)
ポリシラザン改質層形成用塗布液を塗布する方法としては、従来公知の適切な湿式塗布方法を採用することができる。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布厚さは、目的に応じて適切に設定する。例えば、ポリシラザン改質層1層当たりの塗布厚さは、乾燥後の厚さが10nm〜10μm程度であることが好ましく、15nm〜1μmであることがより好ましく、20〜500nmであることがさらに好ましい。厚さが10nm以上であれば十分なバリア性を得ることができ、10μm以下であれば、層形成時に安定した塗布性を得ることができ、かつ高い光線透過性を実現できる。
塗布液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される有機溶媒を除去することができる。この際、塗膜に含有される有機溶媒は、すべてを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の有機溶媒を残存させる場合であっても、好適なポリシラザン改質層を形成することができる。なお、残存する溶媒は、後に除去することが可能である。
塗膜の乾燥温度は、適用する基材によっても異なるが、50〜200℃であることが好ましい。例えば、ガラス転位温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレート基材を用いる場合には、乾燥温度は、熱による基材の変形等を考慮して150℃以下に設定することが好ましい。上記温度は、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することによって設定される。乾燥時間は短時間に設定することが好ましく、例えば、乾燥温度が150℃である場合には30分以下に設定することが好ましい。また、乾燥雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件であってもよい。
ポリシラザン改質層形成用塗布液を塗布して得られた塗膜は、改質処理前又は改質処理中に水分を除去する工程を含んでいてもよい。水分を除去する方法としては、低湿度環境を維持して除湿する形態が好ましい。低湿度環境における湿度は温度により変化するため、温度と湿度の関係は露点温度の規定により好ましい形態が示される。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は−5℃(温度25℃/湿度10%)以下であり、維持される時間はポリシラザン改質層の厚さによって適宜設定することが好ましい。ポリシラザン改質層の厚さが1.0μm以下の条件においては、露点温度は−5℃以下で、維持される時間は1分以上であることが好ましい。なお、露点温度の下限は特に制限されないが、通常、−50℃以上であり、−40℃以上であることが好ましい。改質処理前、あるいは改質処理中に水分を除去することによって、シラノールに転化したポリシラザン改質層の脱水反応を促進する観点から好ましい形態である。
(塗布法により形成されたポリシラザン塗布膜の改質処理)
塗布法により形成されたポリシラザン塗布膜の改質処理とは、ポリシラザンの酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素等への転化反応を指す。具体的には、ポリシラザン塗布膜を、ガスバリア性を発現できる無機層に改質する処理である。
ポリシラザンの酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素等への転化反応は、公知の方法を適宜選択して適用することができる。改質処理としては、プラスチック基材への適応という観点から、より低温で、転化反応が可能なプラズマ処理又は紫外線照射処理による転化反応が好ましい。
(プラズマ処理)
改質処理として用いることのできるプラズマ処理は、公知の方法を用いることができるが、好ましくは大気圧プラズマ処理等を挙げることができる。大気圧近傍でのプラズマCVD処理を行う大気圧プラズマCVD法は、真空下のプラズマCVD法に比べ、減圧にする必要がなく生産性が高い。また、プラズマ密度が高密度であるために成膜速度が速い。さらに、通常のCVD法の条件に比較して、大気圧下という高圧力条件では、ガスの平均自由工程が非常に短いため、極めて均質の膜が得られる。
大気圧プラズマ処理の場合は、放電ガスとしては窒素ガス又は長周期型周期表の第18族原子を含むガス、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素はコストが安いため好ましい。
(紫外線照射処理)
改質処理の方法として、紫外線照射による処理が好ましい。紫外線(紫外光と同義)によって生成されるオゾンや活性酸素原子は高い酸化能力を有しているため、低温で高い緻密性と絶縁性を有する酸化ケイ素膜及び酸窒化ケイ素膜を形成することが可能である。
この紫外線照射により、基材が加熱され、セラミックス化(シリカ転化)に寄与するOとHOや、紫外線吸収剤、ポリシラザン自身が励起、活性化される。このため、ポリシラザンが励起し、ポリシラザンのセラミックス化が促進される。また。得られるポリシラザン改質層がさらに緻密になる。紫外線照射は、塗膜形成後であればいずれの時点で実施してもよい。
紫外線照射処理においては、常用されているいずれの紫外線発生装置を使用することも可能である。
なお、紫外線とは、一般には、10〜400nmの波長を有する電磁波であるが、本例では後述する真空紫外線(10〜200nm)処理以外の紫外線照射処理の場合は、210〜375nmの紫外線を用いることが好ましい。
紫外線の照射は、照射されるポリシラザン改質層を担持している基材がダメージを受けない範囲で、照射強度や照射時間を設定することが好ましい。
基材としてプラスチックフィルムを用いた場合では、例えば、2kW(80W/cm×25cm)のランプを用い、基材表面の強度が20〜300mW/cm、好ましくは50〜200mW/cmになるように基材−紫外線照射ランプ間の距離を設定し、0.1秒〜10分間の照射を行う。
一般に、紫外線照射処理時の基材温度が150℃以上になると、プラスチックフィルム等の場合には、基材が変形したり、その強度が劣化したりする等、基材の特性が損なわれることになる。ただし、ポリイミド等の耐熱性の高いフィルムの場合には、より高温での改質処理が可能である。従って、この紫外線照射時の基材温度としては、一般的な上限はなく、基材の種類によって当業者が適宜設定することができる。また、紫外線照射雰囲気に特に制限はなく、大気中で実施すればよい。
このような紫外線の発生手段としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、エキシマランプ(172nm、222nm、308nmの単一波長、例えば、ウシオ電機株式会社製、株式会社エム・ディ・コム製など)、UV光レーザー、等が挙げられるが、特に限定されない。また、発生させた紫外線をポリシラザン改質層に照射する際には、効率向上と均一な照射を達成する観点から、発生源からの紫外線を反射板で反射させてからポリシラザン改質層に当てることが好ましい。
紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する基材の形状によって適宜選定することができる。例えば、バッチ処理の場合には、ポリシラザン改質層を表面に有する積層体を上述の紫外線発生源を具備した紫外線焼成炉で処理することができる。紫外線焼成炉自体は一般に知られており、例えば、アイグラフィクス株式会社製の紫外線焼成炉を使用することができる。また、ポリシラザン改質層を表面に有する積層体が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら上記紫外線発生源を具備した乾燥ゾーンで連続的に紫外線を照射することによりセラミックス化することができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材やポリシラザン改質層の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒〜10分であり、好ましくは0.5秒〜3分である。
(真空紫外線照射処理:エキシマ照射処理)
ポリシラザン改質層において、最も好ましい改質処理方法は、真空紫外線照射による処理(エキシマ照射処理)である。真空紫外線照射による処理は、ポリシラザン化合物内の原子間結合力より大きい波長100〜200nmの光エネルギー、好ましくは波長100〜180nmの光エネルギーを用いる。この波長の光エネルギーを用いることにより、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用で直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることができる。このため、比較的低温(約200℃以下)で、酸化ケイ素膜の形成を行うことができる。なお、エキシマ照射処理を行う際は、上述したように熱処理を併用することが好ましく、その際の熱処理条件の詳細は上述のとおりである。
放射線源は、100〜180nmの波長の光を発生させるものであれば良いが、好適には約172nmに最大放射を有するエキシマラジエータ(例えば、Xeエキシマランプ)、約185nmに輝線を有する低圧水銀蒸気ランプ、並びに230nm以下の波長成分を有する中圧及び高圧水銀蒸気ランプ、及び約222nmに最大放射を有するエキシマランプである。
このうち、Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
また、波長の短い172nmの光のエネルギーは、有機物の結合を解離させる能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン塗膜の改質を実現できる。
エキシマランプは光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で、すなわち短い波長でエネルギーを照射するため、解射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を持っている。このため、熱の影響を受けやすいとされるPETなどのフレシキブルフィルム材料に適している。
紫外線照射時の反応には、酸素が必要であるが、真空紫外線は、酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は、可能な限り酸素濃度及び水蒸気濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜20,000体積ppmとすることが好ましく、より好ましくは50〜10,000体積ppmである。また、転化プロセスの間の水蒸気濃度は、好ましくは1000〜4000体積ppmの範囲である。
真空紫外線照射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
真空紫外線照射工程において、ポリシラザン塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は1mW/cm〜10W/cmであると好ましく、30mW/cm〜200mW/cmであることがより好ましく、50mW/cm〜160mW/cmであるとさらに好ましい。1mW/cm未満では、改質効率が大きく低下する懸念があり、10W/cmを超えると、塗膜にアブレーションを生じたり、基材にダメージを与えたりする懸念が出てくる。
塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量(照射量)は、10〜10000mJ/cmであることが好ましく、100〜8000mJ/cmであることがより好ましく、200〜6000mJ/cmであることがさらに好ましい。10mJ/cm未満では、改質が不十分となる懸念があり、10000mJ/cm超えると過剰改質によるクラック発生や、基材の熱変形の懸念が出てくる。
また、改質に用いられる真空紫外光は、CO、CO及びCHの少なくとも一種を含むガスで形成されたプラズマにより発生させてもよい。さらに、CO、CO及びCHの少なくとも一種を含むガス(以下、炭素含有ガスとも称する)は、炭素含有ガスを単独で使用してもよいが、希ガス又はHを主ガスとして、炭素含有ガスを少量添加することが好ましい。プラズマの生成方式としては容量結合プラズマなどが挙げられる。
ポリシラザン改質層の膜組成は、XPS表面分析装置を用いて、原子組成比を測定することで測定できる。また、ポリシラザン改質層を切断して切断面をXPS表面分析装置で原子組成比を測定することでも測定することができる。
また、ポリシラザン改質層の膜密度は、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、1.5〜2.6g/cmの範囲にあることが好ましい。この範囲を外れると、膜の緻密さが低下しバリア性の劣化や、湿度による膜の酸化劣化が起こる場合がある。
ポリシラザン改質層は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。
(感光性樹脂)
平滑層の形成に用いる感光性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトリキエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタンジオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、上記のアクリレートをメタクリレートに換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。上記の反応性モノマーは、1種又は2種以上の混合物として、或いは、その他の化合物との混合物として使用することができる。
感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノ−1−プロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられ、これらの光重合開始剤を1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
平滑層は、特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、或いは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
平滑層の形成では、上述の感光性樹脂に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、平滑層の積層位置に関係なく、いずれの平滑層においても、成膜性向上及び膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
感光性樹脂を溶媒に溶解又は分散させた塗布液を用いて平滑層を形成する際に、使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
平滑層の平滑性は、JIS B 0601で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。10nmよりも小さい場合には、ワイヤーバー、ワイヤレスバー等の塗布方式で後述のケイ素化合物を塗布する段階において、平滑層表面に塗工手段が接触する場合に塗布性が損なわれることがある。また、30nmよりも大きい場合には、ケイ素化合物を塗布した後の、凹凸を平滑化することが難しくなる場合がある。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて測定された、微細な凹凸の振幅に関する粗さである。この表面粗さは、AFMの極小の先端半径の触針を持つ検出器によって、数十μmの区間内を多数回測定し、この連続測定した凹凸の断面曲線から算出される。
(平滑層への添加剤)
平滑層には、添加剤が含まれていてもよい。平滑層に含まれる添加剤としては、感光性樹脂の表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカ粒子(以下、単に「反応性シリカ粒子」ともいう)が好ましい。
ここで、光重合性を有する感光性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基に代表される重合性不飽和基等を挙げることができる。感光性樹脂は、この反応性シリカ粒子の表面に導入された感光性基と光重合反応可能な化合物、例えば、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物を含むことが好ましい。また、感光性樹脂は、反応性シリカ粒子や、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物に汎用の希釈溶剤が混合されて、固形分が調整されていてもよい。
ここで、反応性シリカ粒子の平均粒子径としては、0.001〜0.1μmの平均粒子径であることが好ましい。平均粒子径を上記範囲にすることにより、後述する平均粒子径1〜10μmの無機粒子からなるマット剤と組合せて用いると、配光性等の光学特性と、ハードコート性とを兼ね備えた平滑層を形成し易くなる。
なお、上記効果をより得やすくするためには、平均粒子径を0.001〜0.01μmの範囲をすることが好ましい。平滑層中には、上述の様な無機粒子を質量比として20%以上60%以下含有することが好ましい。20%以上添加することで、基材11とケイ素含有層12との密着性が向上する。また、60%を超えると、フィルムを湾曲させたり、加熱処理を行った場合にクラックが生じたり、ケイ素含有層12の透明性や屈折率等の光学的物性に影響を及ぼすことがある。
なお、本例では、反応性シリカ粒子として、加水分解性シリル基の加水分解反応によってシリカ粒子との間にシリルオキシ基を生成し、化学的に結合している重合性不飽和基修飾加水分解性シランを用いることができる。
加水分解性シリル基としては、例えば、アルコキシリル基、アセトキシリル基等のカルボキシリレートシリル基、クロロシリル基等のハロゲン化シリル基、アミノシリル基、オキシムシリル基、ヒドリドシリル基等が挙げられる。
重合性不飽和基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニイル基、シンナモイル基、マレート基、アクリルアミド基等が挙げられる。
平滑層の厚さは、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜7μmである。1μm以上にすることにより、平滑層を有する基材11の平滑性が十分になる。また、10μm以下にすることにより、光学特性のバランスを調整し易くなると共に、平滑層を基材11の一方の面にのみ設けた場合のカールを抑え易くすることができる。
また、平滑層には、その他の添加剤として、マット剤を含有してもよい。マット剤としては、平均粒子径が0.1〜5μm程度の無機粒子が好ましい。
このような無機粒子としては、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等の1種又は2種以上を併せて使用することができる。
ここで、無機粒子からなるマット剤は、平滑層の固形分100質量部に対して2質量部以上、好ましくは4質量部以上、より好ましくは6質量部以上、20質量部以下、好ましくは18質量部以下、より好ましくは16質量部以下の割合で混合されていることが好ましい。
〈2.有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法〉
[有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法]
次に、上述のガスバリアフィルムを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の製造方法(第2実施形態)の実施形態について説明する。第2実施形態の有機EL素子の製造方法に係わる、有機EL素子の概略構成を図2に示す。
図2に示す有機EL素子は、ガスバリアフィルム10上において、アノードとなる第1電極21と、発光層を備える発光機能層22と、カソードとなる第2電極23とが積層された構成である。さらに、ガスバリアフィルム10と封止樹脂24及び封止部材25とにより、第1電極21、発光機能層22及び第2電極23が、固体封止された構成である。
まず、基材11上に、ケイ素含有層12を1nm〜100μm程度の厚さで形成する。このケイ素含有層12の形成方法は、上述の第1実施形態のガスバリアフィルムの製造方法と同様の方法を適用することができる。また、必要に応じて、基材11とケイ素含有層12との間に下地層を形成してもよく、ケイ素含有層12上に平滑層等を形成してもよい。下地層、平滑層についても、上述の第1実施形態のガスバリアフィルムの製造方法と同様の方法を適用することができる。
次に、上述の方法により形成したガスバリアフィルム10上に、発光ユニット20を形成する。発光ユニット20は、少なくとも第1電極21、第2電極23、及び、第1電極21と第2電極23との間に挟持された発光機能層22とを有する。
まず、ガスバリアフィルム10上に、第1電極21を形成する。第1電極21は、透明な導電性材料から形成する。例えば、銀を主成分とする3nm〜15nm程度の厚さの電極や、100nm程度のITO等の透明導電性物質を形成する。第1電極21の形成は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、スパッタ法、印刷法等があるが、均質な層が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法が特に好ましい。また、第1電極21の形成前後には、必要に応じて補助電極のパターン形成を行う。
次に、第1電極21上に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に形成し、発光機能層22を形成する。これらの各層の形成は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、スパッタ法、印刷法等があるが、均質な層が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる形成方法を適用してもよい。これらの各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般に化合物を収蔵したボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、厚さ0.1μm〜5μmの範囲で、各条件を適宜選択することが望ましい。
次に、カソードとなる第2電極23を、蒸着法やスパッタ法などの適宜の形成方法によって形成する。この際、発光機能層22によって第1電極21に対して絶縁状態を保ちつつ、発光機能層22の上方から基材11の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。
次に、ガスバリアフィルム10上に形成した発光ユニット20を、封止樹脂24及び封止部材25を用いて固体封止を行う。まず、封止部材25の片面に封止樹脂24を塗布する。そして、発光ユニット20の第1電極21と第2電極23の引き出し電極の端部が、封止樹脂24の外に出るように、封止部材25の封止樹脂24の塗布面を、発光ユニット20を介してガスバリアフィルム10上に重ね合わせる。基材11と封止部材25とを重ね合わせた後、基材11と封止部材25とを押圧する。さらに、封止樹脂24を硬化するために、封止樹脂24の硬化温度以上に加熱する。
以上の工程により、ケイ素含有層12を有するガスバリアフィルム10上に形成した発光ユニットを備え、固体封止された有機EL素子を製造することができる。
なお、上述の各実施形態では、ガスバリアフィルム10上に発光ユニット20を設け、さらに、この素子を固体封止したボトミエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス素子を説明している。このような有機エレクトロルミネッセンス素子は、ボトムエミッション型に限られず、例えば、両面から光を取り出す両面発光型の構成としてもよい。有機エレクトロルミネッセンス素子が両面発光型であれば、第2電極23に透明な材料を用い、発光光を両面から取り出す構成とする。
また、上述の各実施形態では、発光機能層22として、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層を形成する例について説明しているが、発光機能層22は、少なくとも発光性を有する発光層を備えていればよく、発光性以外の各層の構成は任意とすることができる。
[有機エレクトロルミネッセンス素子の構成]
上述の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の製造方法に係わる、有機EL素子の各構成について説明する。
図2に、本実施形態の有機EL素子の概略構成図(断面図)を示す。図2に示すように、有機EL素子は、基材11、変性領域13及び微変性領域14からなるケイ素含有層12、発光ユニット20、封止樹脂24、及び、封止部材25を備える。
図2に示す有機EL素子において、基材11、及び、ケイ素含有層12は、上述の第1実施形態のガスバリアフィルム10と同じ構成である。
また、有機EL素子は、アノードとして用いられている第1電極21が、透光性の電極として構成されている。このような構成において、第1電極21と第2電極23とで発光機能層22が挟持されている部分のみが、有機EL素子における発光領域となる。そして、有機EL素子は、発生させた光(以下、発光光hと記す)を、少なくとも基材11側から取り出すボトムエミッション型として構成されている。
また、有機EL素子は、基材11の一方面上に、第1電極21、発光機能層22、及び、第2電極23を覆う封止樹脂24を介して、封止部材25が貼り合わされることにより、固体封止されている。有機EL素子の固体封止では、封止部材25の貼合面、又は、基材11のケイ素含有層12及び第2電極23上のいずれか一方に、未硬化の樹脂材料を複数箇所に塗布し、この樹脂材料を挟んで基材11と封止部材25とを、加熱した状態で互いに押圧して一体化される。
以下に、本例の有機EL素子について、ガスバリアフィルム10、第1電極21及び第2電極23、発光機能層22、封止樹脂24、封止部材25の構成を説明する。なお、本例の有機EL素子において、透光性とは波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
[バリアフィルム]
有機EL素子において、ガスバリアフィルム10は上述の第1実施形態と同じ構成を適用することができる。
ガスバリアフィルム10を構成する基材11としては、可撓性の基材、特に透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
ガスバリアフィルム10は、少なくともケイ素含有層12を有している。また、ケイ素含有層12に加えて、下地層、平滑層等を備えていてもよい。
ケイ素含有層12は、上述の第1実施形態において説明した、ケイ素と窒素とを含む堆積層に、30〜200N/mの基材張力のもとで、波長150nm以下の光を照射して形成される。
[第1電極(アノード側)、第2電極(カソード)]
(第1電極)
有機EL素子は、第1電極21が実質的なアノードとなる。有機EL素子は、第1電極21を透過して基材11側から光を取り出す、ボトミエミッション型の素子である。このため、第1電極21は、透光性の導電層により形成される必要がある。
第1電極21は、例えば、銀を主成分として構成された層であって、銀又は銀を主成分とした合金を用いて構成された層である。このような第1電極21の形成方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法等)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。
第1電極21を構成する銀(Ag)を主成分とする合金は、一例として銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)等が挙げられる。
以上のような第1電極21は、銀又は銀を主成分とした合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であってもよい。
さらに、この第1電極21は、厚さが4〜12nmの範囲にあることが好ましい。厚さ12nm以下では、層の吸収成分及び反射成分が低く抑えられ、透明バリア膜の光透過率が維持されるため好ましい。また、厚さが4nm以上であることにより、層の導電性も確保される。
なお、以上のような、第1電極21は、上部が保護膜で覆われていてもよく、別の導電性層が積層されていてもよい。この場合、有機EL素子の光透過性を損なうことのないように、保護膜及び導電性層が光透過性を有することが好ましい。
また、第1電極21の下部、すなわち、ケイ素含有層12と第1電極21の間にも、必要に応じた層を設けた構成としてもよい。例えば、第1電極21の特性向上や、形成を容易にするための下地層等を形成してもよい。
また、第1電極21は、上記銀を主成分とする以外の構成としてもよい。例えば、他の金属や合金、ITO、酸化亜鉛、酸化スズ等の各種の透明導電性物質薄膜を用いてもよい。
(第2電極)
第2電極23は、発光機能層22に電子を供給するためのカソードとして機能する電極層であり、金属、合金、有機又は無機の導電性化合物、及びこれらの混合物が用いられる。具体的には、金、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体等が挙げられる。
第2電極23は、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により形成することができる。また、第2電極23としてのシート抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましく、厚さは通常5nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、この有機EL素子が、第2電極23側からも発光光hを取り出す両面発光型であれば、上述した導電性材料のうち光透過性の良好な導電性材料を選択して第2電極23を構成する。
[発光機能層]
発光機能層22は、アノードである第1電極21の上部に[正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層]をこの順に積層した構成を例示できるが、このうち少なくとも有機材料を用いて構成された発光層を有することが必要である。正孔注入層及び正孔輸送層は、正孔輸送性と正孔注入性とを有する正孔輸送/注入層として設けられてもよい。電子輸送層及び電子注入層は、電子輸送性と電子注入性とを有する単一層として設けられてもよい。また、これらの発光機能層22のうち、例えば電子注入層は無機材料で構成されている場合もある。
また、発光機能層22は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていてよい。さらに、発光層は、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の中間層を介して積層させて発光層ユニットとして形成されていてもよい。中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。
[発光層]
発光層は、発光材料として例えば燐光発光化合物が含有されている。
この発光層は、電極又は電子輸送層から注入された電子と、正孔輸送層から注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層における隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層としては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層間には非発光性の中間層(図示せず)を有していることが好ましい。
発光層の厚さの総和は1〜100nmの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは、より低い電圧で駆動することができることから1〜30nmである。尚、発光層の厚さの総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む厚さである。
複数層を積層した構成の発光層の場合、個々の発光層の厚さとしては、1〜50nmの範囲に調整することが好ましく、1〜20nmの範囲に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合、青、緑、赤の各発光層の厚さの関係については、特に制限はない。
以上のような発光層は、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜形成方法により形成することができる。
また発光層は、複数の発光材料を混合してもよく、また燐光発光材料と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)を同一発光層中に混合して用いてもよい。
発光層の構成として、ホスト化合物(発光ホストともいう)、発光材料(発光ドーパント化合物、ゲスト材料ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
(ホスト化合物)
発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに、燐光量子収率が0.01未満である化合物が好ましい。また、ホスト化合物は、発光層に含有される化合物の中で、層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は複数種用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、かつ高Tg(ガラス転移温度)化合物が好ましい。ここでいうガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
以下に、有機エレクトロルミネッセンス素子に適用可能なホスト化合物の具体例(H1〜H79)を示す。なお、有機エレクトロルミネッセンス素子に適用可能なホスト化合物は、これらに限定されない。
ホスト化合物H68において、x及びyはランダム共重合体の比率を表す。その比率は、例えば、x:y=1:10などとすることができる。
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公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物を用いることもできる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
(発光材料)
本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることのできる発光材料としては、燐光発光性化合物(燐光性化合物、燐光発光材料ともいう)が挙げられる。
燐光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましい燐光量子収率は0.1以上である。
上記燐光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本例において燐光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記燐光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
燐光発光性化合物の発光の原理としては2種挙げられる。一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光性化合物に移動させることで燐光発光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型であり、もう一つは、燐光発光性化合物がキャリアトラップとなり、燐光発光性化合物上でキャリアの再結合が起こり燐光発光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、燐光発光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
燐光発光性化合物は、一般的な有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物である。さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、少なくとも一つの発光層に2種以上の燐光発光性化合物を含有していてもよく、発光層における燐光発光性化合物の濃度比が発光層の厚さ方向で変化していてもよい。
燐光発光性化合物は好ましくは発光層の総量に対し0.1体積%以上30体積%未満である。
(一般式(1)で表される化合物)
発光層に含まれる化合物(燐光発光性化合物)は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
なお、一般式(1)で表される燐光発光性化合物(燐光発光性の金属錯体ともいう)は、有機EL素子の発光層に発光ドーパントとして含有されることが好ましい態様であるが、発光層以外の発光機能層に含有されていてもよい。
Figure 0006286890
上記一般式(1)中、P、Qは、各々炭素原子又は窒素原子を表し、A1はP−Cと共に芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成する原子群を表す。A2はQ−Nと共に芳香族複素環を形成する原子群を表す。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3である。M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。
そして、一般式(1)において、A1が、P−Cと共に形成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
これらの環はさらに、水素原子(H)又は置換基を有してもよい。
この置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えばジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
これらの置換基の一部は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(1)において、A1が、P−Cと共に形成する芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環等が挙げられる。
ここで、アザカルバゾール環とは、上記カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が1つ以上窒素原子で置き換わったものを示す。
これらの環はさらに、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(1)において、A2が、Q−Nと共に形成する芳香族複素環としては、オキサゾール環、オキサジアゾール環、オキサトリアゾール環、イソオキサゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、イソチアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
これらの環はさらに、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
P1−L1−P2で表される2座の配位子としては、フェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、アセチルアセトン、ピコリン酸等が挙げられる。
一般式(1)において、j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3を表し、中でも、j2は0である場合が好ましい。
一般式(1)において、M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)が用いられるが、中でも、イリジウム好ましい。
(一般式(2)で表される化合物)
一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(2)で表される化合物であることがさらに好ましい。
Figure 0006286890
上記一般式(2)中、Zは、炭化水素環基又は複素環基を表す。P、Qは、各々炭素原子又は窒素原子を表し、A1はP−Cと共に芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成する原子群を表す。A3は−C(R01)=C(R02)−、−N=C(R02)−、−C(R01)=N−又は−N=N−を表し、R01、R02は、各々水素原子又は置換基を表す。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子、又は酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3である。M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。
一般式(2)において、Zで表される炭化水素環基としては、非芳香族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基が挙げられ、非芳香族炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。好ましくは、Zで表される基は、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基である。
また、芳香族炭化水素環基(芳香族炭化水素基、アリール基等ともいう)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(2)において、Zで表される複素環基としては、非芳香族複素環基、芳香族複素環基等が挙げられ、非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等から導出される基が挙げられる。
これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(2)において、A1が、P−Cと共に形成する芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
これらの環はさらに、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(2)において、A1がP−Cと共に形成する芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、カルボリン環、アザカルバゾール環等が挙げられる。
ここで、アザカルバゾール環とは、上記カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が1つ以上窒素原子で置き換わったものを示す。
これらの環はさらに、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(2)のA3で表される、−C(R01)=C(R02)−、−N=C(R02)−、−C(R01)=N−において、R01、R02で各々表される置換基は、一般式(1)で例示した置換基と同義である。
一般式(2)において、P1−L1−P2で表される2座の配位子としては、フェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール、アセチルアセトン、ピコリン酸等が挙げられる。
また、j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3を表し、中でも、j2は0である場合が好ましい。
一般式(2)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)は、一般式(1)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素と同義である。
(一般式(3)で表される化合物)
上記一般式(2)で表される化合物の好ましい態様の一つとして、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006286890
上記一般式(3)中、R03は置換基を表し、R04は水素原子又は置換基を表し、複数のR04は互いに結合して環を形成してもよい。n01は1〜4の整数を表す。R05は水素原子又は置換基を表し、複数のR05は互いに結合して環を形成してもよい。n02は1〜2の整数を表す。R06は水素原子又は置換基を表し、互いに結合して環を形成してもよい。n03は1〜4の整数を表す。Z1はC−Cと共に6員の芳香族炭化水素環若しくは、5員又は6員の芳香族複素環を形成するのに必要な原子群を表す。Z2は炭化水素環基又は複素環基を形成するのに必要な原子群を表す。P1−L1−P2は2座の配位子を表し、P1、P2は各々独立に炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表す。L1はP1、P2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。j1は1〜3の整数を表し、j2は0〜2の整数を表すが、j1+j2は2又は3である。M1は元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素を表す。R03とR06、R04とR06及びR05とR06は互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(3)において、R03、R04、R05、R06で各々表される置換基は、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(3)において、Z1がC−Cと共に形成する6員の芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環等が挙げられる。
これらの環はさらに、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(3)において、Z1がC−Cと共に形成する5員又は6員の芳香族複素環としては、例えば、オキサゾール環、オキサジアゾール環、オキサトリアゾール環、イソオキサゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、イソチアゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
これらの環はさらに、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(3)において、Z2で表される炭化水素環基としては、非芳香族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基が挙げられ、非芳香族炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
また、芳香族炭化水素環基(芳香族炭化水素基、アリール基等ともいう)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(3)において、Z2で表される複素環基としては、非芳香族複素環基、芳香族複素環基等が挙げられ、非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等から導出される基を挙げることができる。これらの基は無置換でもよく、また、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの環は無置換でもよく、さらに一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(3)において、Z1及びZ2で形成される基としては、ベンゼン環が好ましい。
一般式(3)において、P1−L1−P2で表される2座の配位子は、一般式(1)において、P1−L1−P2で表される2座の配位子と同義である。
一般式(3)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素は、一般式(1)において、M1で表される元素周期表における8族〜10族の遷移金属元素と同義である。
また、燐光発光性化合物は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子に適用される燐光発光性化合物は、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下に燐光発光性化合物の具体例(Pt−1〜Pt−3、A−1、Ir−1〜Ir−50)を示す。なお、本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子に適用される燐光発光性化合物は、これらに限定されない。なお、これらの化合物において、m及びnは繰り返し数を表す。
Figure 0006286890
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上記の燐光発光性化合物(燐光発光性金属錯体等ともいう)は、例えば、Organic Letters誌 vol.3 No.16 2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻 第8号 1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻 4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻第7号 1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻 第12号 3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻 1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻 695〜709頁(2004年)、さらにこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を適用することにより合成できる。
(蛍光発光材料)
蛍光発光材料としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
[注入層:正孔注入層、電子注入層]
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と発光層の間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層と電子注入層とがある。
注入層は、必要に応じて設けることができる。正孔注入層であれば、アノードと発光層又は正孔輸送層の間、電子注入層であればカソードと発光層又は電子輸送層との間に配置される。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属層、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデンに代表される酸化物層等が挙げられる。電子注入層はごく薄い層であることが望ましく、素材にもよるがその厚さは1nm〜10μmの範囲が好ましい。
[正孔輸送層]
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料を用いることもできる。高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の厚さについては特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は、上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、正孔輸送層の材料に不純物をドープしてp性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このように、正孔輸送層のp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
[電子輸送層]
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層(図示せず)も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層、及び積層構造の電子輸送層において発光層に隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。このような材料としては従来公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層の材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層の材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されていても、電子輸送層の材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料としても例示されるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送層の材料として用いることができ、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層の材料として用いることができる。
電子輸送層は、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の厚さについては特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、電子輸送層に不純物をドープし、n性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。さらに電子輸送層には、カリウムやカリウム化合物などを含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層のn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
また電子輸送層の材料(電子輸送性化合物)として、好ましくは、下記一般式(4)で表される化合物を用いることができる。
(Ar1)n1−Y1 ・・・一般式(4)
一般式(4)の式中、n1は1以上の整数を表し、Y1はn1が1の場合は置換基を表し、n1が2以上の場合は単なる結合手又はn1価の連結基を表す。Ar1は後記する一般式(A)で表される基を表し、n1が2以上の場合、複数のAr1は同一でも異なっていてもよい。ただし、上記一般式(4)で表される化合物は分子内に3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環を少なくとも2つ有する。
一般式(4)において、Y1で表される置換基の例としては、一般式(1)で例示した置換基と同義である。
一般式(4)において、Y1で表されるn1価の連結基としては、具体的には、2価の連結基、3価の連結基、4価の連結基等が挙げられる。
一般式(4)において、Y1で表される2価の連結基としては、アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、シクロヘキシレン基(例えば、1,6−シクロヘキサンジイル基等)、シクロペンチレン基(例えば、1,5−シクロペンタンジイル基など)等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、1−メチルビニレン基、1−メチルプロペニレン基、2−メチルプロペニレン基、1−メチルペンテニレン基、3−メチルペンテニレン基、1−エチルビニレン基、1−エチルプロペニレン基、1−エチルブテニレン基、3−エチルブテニレン基等)、アルキニレン基(例えば、エチニレン基、1−プロピニレン基、1−ブチニレン基、1−ペンチニレン基、1−ヘキシニレン基、2−ブチニレン基、2−ペンチニレン基、1−メチルエチニレン基、3−メチル−1−プロピニレン基、3−メチル−1−ブチニレン基等)、アリーレン基(例えば、o−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等)、ヘテロアリーレン基(例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等)、酸素や硫黄などのカルコゲン原子、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基等(ここで、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環としては、好ましくはN、O及びSから選択されたヘテロ原子を、縮合環を構成する元素として含有する芳香族複素縮合環であることが好ましく、具体的には、アクリジン環、ベンゾキノリン環、カルバゾール環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の任意の一つが窒素原子で置き換わったものを表す)、フェナントロリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、チオファントレン環(ナフトチオフェン環)等)が挙げられる。
一般式(4)において、Y1で表される3価の連結基としては、例えば、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ウンデカントリイル基、ドデカントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロペンタントリイル基、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基、ピリジントリイル基、カルバゾールトリイル基等が挙げられる。
一般式(4)において、Y1で表される4価の連結基としては、上記の3価の基にさらにひとつ結合基がついたものであり、例えば、プロパンジイリデン基、1,3−プロパンジイル−2−イリデン基、ブタンジイリデン基、ペンタンジイリデン基、ヘキサンジイリデン基、ヘプタンジイリデン基、オクタンジイリデン基、ノナンジイリデン基、デカンジイリデン基、ウンデカンジイリデン基、ドデカンジイリデン基、シクロヘキサンジイリデン基、シクロペンタンジイリデン基、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基、ピリジンテトライル基、カルバゾールテトライル基等が挙げられる。
なお、上記の2価の連結基、3価の連結基、4価の連結基は、各々さらに一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(4)で表される化合物の好ましい態様としては、Y1が3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基を表すことが好ましく、当該3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環としては、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環が好ましい。また、n1が2以上であることが好ましい。
さらに、一般式(4)で表される化合物は、分子内に上記の3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環を少なくとも2つ有する。
また、Y1がn1価の連結基を表す場合、一般式(4)で表される化合物の三重項励起エネルギーを高く保つために、Y1は非共役であることが好ましく、さらに、Tg(ガラス転移点、ガラス転移温度ともいう)を向上させる点から、芳香環(芳香族炭化水素環+芳香族複素環)で構成されていることが好ましい。
ここで、非共役とは、連結基が単結合(一重結合ともいう)と二重結合の繰り返しによって表記できないか、又は連結基を構成する芳香環同士の共役が立体的に切断されている場合を意味する。
(一般式(A)で表される基)
一般式(4)中におけるAr1は、下記一般式(A)で表される基を表す。
Figure 0006286890
式中、Xは、−N(R)−、−O−、−S−又は−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は、−C(R1)=又は−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基又はY1との連結部位を表す。*はY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手又は2価の連結基を表す。Y3及びY4は、各々5員又は6員の芳香族環から導出される基を表し、少なくとも一方は環構成原子として窒素原子を含む芳香族複素環から導出される基を表す。n2は1〜4の整数を表す。
ここで、一般式(A)のXで表される−N(R)−又は−Si(R)(R′)−において、さらに、E1〜E8で表される−C(R1)=において、R、R′及びR1で各々表される置換基は、一般式(1)で例示した置換基と同義である。
また、一般式(A)において、Y2で表される2価の連結基としては、一般式(4)において、Y1で表される2価の連結基と同義である。
さらに、一般式(A)において、Y3及びY4で各々表される5員又は6員の芳香族環から導出される基の形成に用いられる5員又は6員の芳香族環としては、ベンゼン環、オキサゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ジアジン環、トリアジン環、イミダゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
さらに、Y3及びY4で各々表される5員又は6員の芳香族環から導出される基の少なくとも一方は、環構成原子として窒素原子を含む芳香族複素環から導出される基を表すが、当該環構成原子として窒素原子を含む芳香族複素環としては、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ジアジン環、トリアジン環、イミダゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環等が挙げられる。
(Y3で表される基の好ましい態様)
一般式(A)において、Y3で表される基としては、上記6員の芳香族環から導出される基であることが好ましく、さらに好ましくは、ベンゼン環から導出される基である。
(Y4で表される基の好ましい態様)
一般式(A)において、Y4で表される基としては、上記6員の芳香族環から導出される基であることが好ましく、さらに好ましくは、窒素原子を環構成原子として含む芳香族複素環から導出される基であり、特に好ましくは、Y4がピリジン環から導出される基である。
(一般式(A)で表される基の好ましい態様)
一般式(A)で表される基の好ましい態様としては、下記一般式(A−1)、(A−2)、(A−3)、又は(A−4)のいずれかで表される基が挙げられる。
Figure 0006286890
上記一般式(A−1)の式中、Xは−N(R)−、−O−、−S−又は−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は−C(R1)=又は−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基又はY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手又は2価の連結基を表す。E11〜E20は、−C(R2)=又は−N=を表し、少なくとも1つは−N=を表す。R2は、水素原子、置換基又は連結部位を表す。但し、E11、E12の少なくとも1つは−C(R2)=を表し、R2は連結部位を表す。n2は1〜4の整数を表す。*は、上記一般式(4)のY1との連結部位を表す。
Figure 0006286890
上記一般式(A−2)の式中、Xは−N(R)−、−O−、−S−又は−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は−C(R1)=又は−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基又はY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手又は2価の連結基を表す。E21〜E25は−C(R2)=又は−N=を表し、E26〜E30は−C(R2)=、−N=、−O−、−S−又は−Si(R3)(R4)−を表し、E21〜E30の少なくとも1つは−N=を表す。R2は、水素原子、置換基又は連結部位を表し、R3及びR4は水素原子又は置換基を表す。但し、E21又はE22の少なくとも1つは−C(R2)=を表し、R2は連結部位を表す。n2は1〜4の整数を表す。*は、上記一般式(4)のY1との連結部位を表す。
Figure 0006286890
上記一般式(A−3)の式中、Xは−N(R)−、−O−、−S−又は−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は−C(R1)=又は−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基又はY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手又は2価の連結基を表す。E31〜E35は−C(R2)=、−N=、−O−、−S−又は−Si(R3)(R4)−を表し、E36〜E40は−C(R2)=又は−N=を表し、E31〜E40の少なくとも1つは−N=を表す。R2は、水素原子、置換基又は連結部位を表し、R3及びR4は水素原子又は置換基を表す。但し、E32又はE33の少なくとも1つは−C(R2)=で表され、R2は連結部位を表す。n2は1〜4の整数を表す。*は、上記一般式(4)のY1との連結部位を表す。
Figure 0006286890
上記一般式(A−4)の式中、Xは−N(R)−、−O−、−S−又は−Si(R)(R′)−を表し、E1〜E8は−C(R1)=又は−N=を表し、R、R′及びR1は水素原子、置換基又はY1との連結部位を表す。Y2は単なる結合手又は2価の連結基を表す。E41〜E50は−C(R2)=、−N=、−O−、−S−又は−Si(R3)(R4)−を表し、少なくとも1つは−N=を表す。R2は、水素原子、置換基又は連結部位を表し、R3及びR4は水素原子又は置換基を表す。但し、E42又はE43の少なくとも1つは−C(R2)=で表され、R2は連結部位を表す。n2は1〜4の整数を表す。*は、上記一般式(4)のY1との連結部位を表す。
以下、一般式(A−1)〜(A−4)のいずれかで表される基について説明する。
一般式(A−1)〜(A−4)で表される基のいずれかのXで表される−N(R)−又は−Si(R)(R′)−において、さらにE1〜E8で表される−C(R1)=において、R、R′及びR1で各々表される置換基は、一般式(1)で例示した置換基と同義である。
一般式(A−1)〜(A−4)で表される基のいずれかにおいて、Y2で表される2価の連結基としては、一般式(4)において、Y1で表される2価の連結基と同義である。
一般式(A−1)のE11〜E20、一般式(A−2)のE21〜E30、一般式(A−3)のE31〜E40、一般式(A−4)のE41〜E50で、各々表される−C(R2)=のR2で表される置換基は、一般式(1)で例示した置換基と同義である。
次に、一般式(4)で表される化合物のさらに好ましい態様について説明する。
(一般式(5)で表される化合物)
上記一般式(4)で表される化合物の中でも、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。以下、一般式(5)で表される化合物について説明する。
Figure 0006286890
上記一般式(5)の式中、Y5は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。E51〜E66は、各々−C(R3)=又は−N=を表し、R3は水素原子又は置換基を表す。Y6〜Y9は、各々芳香族炭化水素環から導出される基又は芳香族複素環から導出される基を表し、Y6又はY7の少なくとも一方、及びY8又はY9の少なくとも一方は、N原子を含む芳香族複素環から導出される基を表す。n3及びn4は0〜4の整数を表すが、n3+n4は2以上の整数である。
一般式(5)におけるY5で表されるアリーレン基としては、例えば、o−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等が例示される。
また一般式(5)におけるY5で表されるヘテロアリーレン基としては、例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等が例示される。
Y5で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基の好ましい態様としては、ヘテロアリーレン基の中でも、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基を含むことが好ましく、また、当該3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基としては、ジベンゾフラン環から導出される基又はジベンゾチオフェン環から導出される基が好ましい。
一般式(5)においてE51〜E66で各々表される−C(R3)=のR3が置換基である場合、その置換基の例としては、一般式(1)で例示した置換基が適用される。
一般式(5)において、E51〜E66で各々表される基としては、E51〜E58のうちの6つ以上及びE59〜E66のうちの6つ以上が、各々−C(R3)=で表されることが好ましい。
一般式(5)において、Y6〜Y9は、各々芳香族炭化水素環から導出される基の形成に用いられる芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
さらに、上記芳香族炭化水素環は、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(5)において、Y6〜Y9は、各々芳香族複素環から導出される基の形成に用いられる芳香族複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の一つがさらに窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
さらに、上記芳香族炭化水素環は、一般式(1)で例示した置換基を有してもよい。
一般式(5)において、Y6又はY7の少なくとも一方、及びY8又はY9の少なくとも一方で表されるN原子を含む芳香族複素環から導出される基の形成に用いられるN原子を含む芳香族複素環としては、例えば、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の一つがさらに窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
一般式(5)において、Y7、Y9で表される基としては、各々ピリジン環から導出される基を表すことが好ましい。
また、一般式(5)において、Y6及びY8で表される基としては、各々ベンゼン環から導出される基を表すことが好ましい。
(一般式(6)で表される化合物)
上記一般式(5)で表される化合物の中でも、下記一般式(6)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006286890
上記一般式(6)の式中、Y21は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基又はそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。E201〜E216、E221〜E238は、各々−C(R21)=又はN=を表し、R21は水素原子又は置換基を表す。ただし、E221〜E229の少なくとも1つ及びE230〜E238の少なくとも1つは−N=を表す。k21及びk22は0〜4の整数を表すが、k21+k22は2以上の整数である。
一般式(6)におけるY21は、一般式(5)におけるY5と同義である。
一般式(6)において、E201〜E216、E221〜E238で各々表される−C(R21)=のR21が置換基である場合、その置換基の例としては、一般式(1)で例示した置換基が同様に適用される。
一般式(6)において、E201〜E208のうちの6つ以上、及びE209〜E216のうちの6つ以上が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。
一般式(6)において、E225〜E229の少なくとも1つ、及びE234〜E238の少なくとも1つが−N=を表すことが好ましい。
さらには、一般式(6)において、E225〜E229のいずれか1つ、及びE234〜E238のいずれか1つが−N=を表すことが好ましい。
また、一般式(6)において、E221〜E224及びE230〜E233が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい態様として挙げられる。
さらに、一般式(6)で表される化合物において、E203が−C(R21)=で表され、かつR21が連結部位を表すことが好ましく、さらに、E211も同時に−C(R21)=で表され、かつR21が連結部位を表すことが好ましい。
さらに、E225及びE234が−N=で表されることが好ましく、E221〜E224及びE230〜E233が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。
以上のような一般式(4)、(5)、又は(6)で表される化合物の具体例として、下記に示す化合物(1〜134)が例示される。
Figure 0006286890
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[阻止層:正孔阻止層、電子阻止層]
阻止層は、上述のように有機化合物薄膜の基本構成層の他に、必要に応じて設けられる。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。阻止層の厚さとしては、好ましくは3〜100nmであり、さらに好ましくは5〜30nmである。
[封止部材]
封止部材25は、有機EL素子を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材25が封止樹脂24によって基材11側に固定される。この封止部材25は、少なくとも発光機能層22を覆う状態で設けられ、第1電極21及び第2電極23の端子部分(図示省略)を露出させる状態で設けられている。また封止部材25に電極を設け、有機EL素子の第1電極21及び第2電極23の端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていてもよい。
板状(フィルム状)の封止部材25としては、具体的には、ガラス基板、ポリマー基板が挙げられ、これらの基板材料をさらに薄型のフィルム状にして用いてもよい。ガラス基板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。
なかでも、素子を薄型化できるということから、封止部材25として薄型のフィルム状にしたポリマー基板を好ましく使用することができる。
さらには、フィルム状としたポリマー基板は、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましい。
また、以上のような基板材料は、凹板状に加工して封止部材25として用いてもよい。この場合、上述した基板部材に対してサンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。
また、これに限らず、金属材料を用いてもよい。金属材料としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金が挙げられる。このような金属材料は、薄型のフィルム状にして封止部材25として用いることにより、有機EL素子が設けられた発光パネル全体を薄型化できる。
[封止樹脂]
封止部材25を基材11側に固定するための封止樹脂24は、封止部材25と基材11とで挟持された有機EL素子の封止に用いられる。封止樹脂24は、例えば、アクリル酸系オリゴマー若しくはメタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する、光硬化性又は熱硬化性の接着剤、或いは、エポキシ系等の熱硬化性又は化学硬化性(二液混合)の接着剤、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、カチオン硬化タイプの紫外線硬化性エポキシ樹脂による接着剤が挙げられる。
製造プロセスの簡易性の観点から、封止樹脂24を、熱硬化性接着剤で形成することが好ましい。また、封止樹脂24の形態としては、シート状に加工された熱硬化性接着剤を用いることが好ましい。シート状の熱硬化性接着剤を用いる場合には、常温(25℃程度)では非流動性を示し、かつ、加熱すると50〜130℃の範囲内の温度で流動性を発現するような接着剤(シール材)を用いる。
熱硬化性接着剤としては、任意の接着剤を使用することができる。封止樹脂24と隣接する封止部材25や、基材11等との密着性向上の観点から、好適な熱硬化性接着剤を適宜選択する。例えば、熱硬化性接着剤としては、分子の末端又は側鎖にエチレン性二重結合を有する化合物と熱重合開始剤とを主成分とする樹脂等を用いることができる。より具体的には、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等からなる熱硬化性接着剤を使用することができる。また、有機EL素子の製造工程で用いる貼合装置及び硬化処理装置に応じて、溶融タイプの熱硬化性接着剤を使用してもよい。
また、接着剤として、上記した接着剤を2種以上混合したものを用いてもよいし、熱硬化性及び紫外線硬化性をともに備えた接着剤を用いてもよい。
[有機エレクトロルミネッセンス素子の効果]
以上説明した有機EL素子は、発光ユニット20が、ケイ素と窒素とを含む堆積層に、30〜200N/mの基材張力のもとで、波長150nm以下の光を照射して形成したケイ素含有層12を備えるガスバリアフィルム10上に形成されている。このため、ガスバリアフィルム10の界面における、特定の波長領域の光スペクトルへの干渉を抑制し、光スペクトル変化による野角依存性を抑制することができる。従って、有機EL素子の干渉条件を分散させることができ、特定の波長で干渉しない構成とすることができる。
従って、発光ユニット20からの光の配光性をガスバリアフィルム10で制御し、発光スペクトルの視野角依存性を解消して、有機EL素子の均一な配光性を実現することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[ボトムエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製]
試料101〜113の各有機EL素子を、発光領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。下記表1には試料101〜113の各有機EL素子における各層の構成を示す。
[試料101の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
試料101の作製において、まず、透明な2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの基材上にケイ素含有層を形成してガスバリアフィルムを作製した。さらに、このガスバリアフィルム上に、発光ユニットを形成した後、封止樹脂層と封止部材により固体封止し、試料101の有機EL素子を作製した。
(ガスバリアフィルムの形成)
まず、基材上に、ケイ素と窒素とを含む堆積層を形成した。堆積層の形成には、アプライドマテリアルズ社製プラズマCVD装置(Precision5000)を用いて、下記条件(プラズマCVD条件)にて、基材上に堆積層を300nmの厚さで作製した。
モノシランガスの供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
アンモニアの供給量:150sccm
ヘリウムの供給量:300sccm
真空チャンバ内の圧力:5Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:2kW
基材温度:70℃
次に、形成した堆積層に、所定の基材張力を加えて波長150nm以下の光照射を行い、ケイ素含有層を形成した。この光照射は、堆積層を形成した基材を、基材張力が30N/mとなるようにロールツーロールの搬送装置に設置し、下記条件にて容量結合プラズマ装置を用いて低圧プラズマ処理を行った。
圧力:50Pa
ガス種:Arガス
添加ガス:Hガス
周波数:13.56MHz
電流密度:10W/cm
(発光ユニットの形成:第1電極)
次に、上述の方法で形成したガスバリアフィルムを、市販のスパッタリング装置の基材ホルダーに固定し、ITOをターゲットに用いて、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、0.1nm/秒〜0.2nm/秒で厚さ100nmのITOからなる第1電極を形成した
(発光ユニットの形成:発光機能層〜第2電極)
次に、市販の真空蒸着装置を用い、真空度1×10−4Paまで減圧した後、基材を移動させながら化合物HT−1を、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、20nmの正孔輸送層(HTL)を設けた。
次に、化合物A−3(青色発光ドーパント)、化合物A−1(緑色発光ドーパント)、化合物A−2(赤色発光ドーパント)及び化合物H−1(ホスト化合物)を、化合物A−3が膜厚に対し線形に35重量%から5重量%になるように場所により蒸着速度を変化させ、化合物A−1と化合物A−2は膜厚に依存することなく各々0.2重量%の濃度になるように、蒸着速度0.0002nm/秒で、化合物H−1は64.6重量%から94.6重量%になるように場所により蒸着速度を変化させて、厚さ70nmになるよう共蒸着し発光層を形成した。
その後、化合物ET−1を膜厚30nmに蒸着して電子輸送層を形成し、更にフッ化カリウム(KF)を厚さ2nmで形成した。更に、アルミニウム110nmを蒸着して第2電極を形成した。
なお、上記化合物HT−1、化合物A−1〜3、化合物H−1、及び、化合物ET−1は、以下に示す化合物である。
Figure 0006286890
(固体封止)
次に、封止部材として厚さ25μmのアルミ箔を使用し、このアルミ箔の片面に封止樹脂層として熱硬化型のシート状接着剤(エポキシ系樹脂)を厚さ20μmで貼合した封止部材を用いて、第2電極までを作製した試料に重ね合わせた。このとき、第1電極及び第2電極の引き出し電極の端部が外に出るように、封止部材の接着剤形成面と、素子の有機機能層面とを連続的に重ね合わせた。
次に、試料を減圧装置内に配置し、90℃で0.1MPaの減圧条件下で、重ね合わせた基材と封止部材とに押圧をかけて5分間保持した。続いて、試料を大気圧環境に戻し、さらに120℃で30分間加熱して接着剤を硬化させた。
上記封止工程は、大気圧下、含水率1ppm以下の窒素雰囲気下で、JIS B 9920に準拠し、測定した清浄度がクラス100で、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppm以下の大気圧で行った。なお、第1電極及び第2電極からの引き出し配線等の形成に関する記載は省略している。
以上の工程により、試料101の有機EL素子を作製した。
[試料102の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
光照射をする際の基材張力を200N/mとした以外は、試料101と同様の方法で試料102の有機EL素子を作製した。
[試料103の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
光照射をする際の基材張力を100N/mとした以外は、試料101と同様の方法で試料103の有機EL素子を作製した。
[試料104の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
光照射をする際の基材張力を70N/mとした以外は、試料101と同様の方法で試料104の有機EL素子を作製した。
[試料105の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
基材上にケイ素含有層を形成した後、このケイ素含有層上に、アクリル樹脂による平滑層を形成してガスバリアフィルムを作製した以外は、試料104と同様の方法で試料105の有機EL素子を作製した。
(平滑層)
試料101と同様の方法を用いて形成したケイ素含有層上に、光硬化性の透明なアクリル樹脂(東レ製)をスピンコートし、必要な場所に露光できるように作製された露光マスクを介してUV露光を行い、樹脂を硬化させ、必要のない部分を除去して、膜厚100nmの平滑層を形成した。
[試料106の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
基材上にケイ素含有層を形成した後、このケイ素含有層上に、ポリシラザン改質層による平滑層を形成してガスバリアフィルムを作製した以外は、試料104と同様の方法で試料106の有機EL素子を作製した。
(ポリシラザン改質層の形成)
ポリシラザン含有液として、パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液を作製した。
次に、ケイ素含有層上に、ポリシラザン含有液を、ワイヤレスバーにて、乾燥後の平均膜厚が300nmとなるように塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間処理して乾燥させた。更に、温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行って、ポリシラザン層を形成した。
ポリシラザン層を形成した後、エキシマ照射装置MECL−M−1−200(株式会社エム・ディ・コム製)の稼動ステージ上に固定し、下記の改質処理条件で改質処理を行い、ポリシラザン改質層を形成した。
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:0.5%
エキシマランプ照射時間:5秒
[試料107 の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
第1電極を8nmの銀で形成した以外は、試料106と同様の方法で試料107の有機EL素子を作製した。
(発光ユニットの形成:第1電極)
試料106と同様の方法で形成したガスバリアフィルムを、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、下記窒素含有化合物をタングステン製の抵抗加熱ボートに入れ、これら基材ホルダーと加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽内に取り付けた。
また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、真空蒸着装置の第2真空槽内に取り付けた。
次に、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、窒素含有化合物の入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で窒素含有層を厚さ10nmで設けた。
次に、窒素含有層を形成した基材を、真空蒸着装置の第2真空槽に搬送し、第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀(Ag)の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で厚さ8nmの銀(Ag)からなる第1電極を形成した。
なお、上記窒素含有化合物は、以下に示す化合物である。
Figure 0006286890
[試料108 の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
光照射をする際の基材張力を50N/mとした以外は、試料101と同様の方法で試料108の有機EL素子を作製した。
[試料109の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
光照射をする際の基材張力を150N/mとした以外は、試料101と同様の方法で試料109の有機EL素子を作製した。
[試料110の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
ガスバリアフィルムを形成する際の光照射工程を、以下の波長172nmの光照射に変えた以外は、試料103と同様の方法で試料110の有機EL素子を作製した。
(エキシマランプによる表面処理)
堆積層を形成した基材を、エキシマ照射装置MECL−M−1−200(株式会社エム・ディ・コム製)の稼動ステージ上に固定し、下記の条件で堆積層に波長172nmの光照射を行った。
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:1.0%
エキシマランプ照射時間:3秒
[試料111の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
光照射をする際の基材張力を0N/m(基材張力無し)とした以外は、試料101と同様の方法で試料111の有機EL素子を作製した。
[試料112の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
光照射をする際の基材張力を15N/mとした以外は、試料101と同様の方法で試料112の有機EL素子を作製した。
[試料113の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製手順]
光照射をする際の基材張力を220N/mとした以外は、試料101と同様の方法で試料113の有機EL素子を作製した。
表1に、試料101〜113の有機EL素子の構成を示す。
Figure 0006286890
[有機エレクトロルミネッセンス素子の評価]
(発光効率)
分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて、試料101〜113の有機EL素子の正面輝度及び輝度角度依存性を測定し、正面輝度1000cd/mにおける電力効率を評価した。なお、電極効率の評価は、試料101の電力効率を100とする相対値で比較し、下記の5段階に分類、評価した。
5:110以上
4:91〜109
3:80〜90
2:71〜79
1:70以下
(リーク特性)
試料101〜113の有機EL素子を室温下、500μA/cm流れる順電圧とその逆電圧による電流値を3回測定し、その平均値より整流比を算出した。整流比が高いほどリーク特性に優れていることを表す。評価結果(5段階評価)を表2に示す。
整流比のランク
5:整流比10000以上(非常に安定して駆動している水準)
4:整流比1000以上10000未満(安定に駆動している水準)
3:整流比500以上1000未満(わずかに劣位だが、実技上問題のない水準)
2:整流比100以上500未満(劣位、実技上問題のある水準)
1:整流比100未満(非常に劣位、実技上問題のある水準)
(保存性)
試料101〜113の有機EL素子を60℃、90%RHの環境下で通電を行い、ダークスポットの発生等の発光ムラの状況を、0日から120日までの変化を観察した。観測された各試料の発光ムラを下記の5段階に分類し、評価した。
5:0日目でダークスポット、輝度ムラは観察されず、120日経過後に非発光領域が全発光面積の0.1%以下で、発生したダークスポットは全て目視では容易に観察できない大きさ(0.1mm径以下)であった。
4:0日目で発生したダークスポットは、全て目視では容易に観察できない大きさ(0.1mm以下)であり、輝度ムラは観察されず、120日経過後に非発光領域が全発光面積の0.2%以下で、発生したダークスポットは目視では容易に観察できない大きさ(0.1mm以下)を維持した。
3:0日目で発生したダークスポットは、全て目視では容易に観察できない大きさ(0.1mm以下)であり、120日経過後に非発光領域が全発光面積の2%を超えた。
2:0日目に目視で判別可能なダークスポット、輝度ムラが観察され、120日経過後に非発光領域が全発光面積の2%を超えた。
1:0日目に目視で判別可能なダークスポット、輝度ムラの非発光領域が全発光面積の1%を超えて観察され、120日以内に非発光領域が全発光面積の10%を超えた。
以上の評価結果(5段階評価)を表2に示す。
(視野角依存性)
試料101〜113の有機EL素子を、非特許文献1に記載の視野角依存性評価法を用いて評価を行った。具体的には、試料101〜113の有機EL素子のCIE色度図上の色変化をシミュレーションソフトsetfosにより解析し、視野角依存性評価を行った。
評価結果は、非特許文献1に記載されている改良効果と比較して、同等の場合には3、改良されている場合には4、著しく改良されている場合には5、劣る場合には2、著しく劣る場合には1、と相対評価した。
上記試料101〜113の有機EL素子の各評価結果を表2に示す。
Figure 0006286890
[結果]
基材張力を30N/m〜200N/mとした試料101〜107の有機EL素子に比べ、基材張力を30N/m未満、又は、200N/m超とした試料111〜113の有機EL素子では、発光効率、保存性及び視野角依存性が、大きく低下している。さらに、波長172nmの光照射を行った試料110の有機EL素子では、発光効率、保存性及び視野角依存性が低下している。この結果から、波長150nm以下の光照射を、基材張力30N/m〜200N/mで行うことにより、配光性やバリア性に優れたバリアフィルムを作製することができ、発光効率、保存性及び視野角依存性に優れる有機EL素子を作製することができる。
また、試料101、試料102に比べて、基材張力を100N/mとした試料103、基材張力を70N/mとした試料104、基材張力を50N/mとした試料108、基材張力を150N/mとした試料109は、リーク特性に優れている。この結果から、基材張力を50N/m〜150N/mとすることにより、バリアフィルムの特性を向上させることができる。
また、試料105〜107のように平滑層を設けることにより、有機EL素子のリーク特性を向上させることができる。特に、平滑層としてポリシラザン改質層を形成した試料106、試料107では、保存性、視野角依存性が向上している。
さらに、第1電極として銀を用いた試料107では、第1電極としてITOと用いた他の試料よりも、発光効率が向上している。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10 ガスバリアフィルム、 11 基材、 12 ケイ素含有層、 13 変性領域、 14 微変性領域、 20 発光ユニット、 21 第1電極、 22 発光機能層、 23 第2電極、 24 封止樹脂、 25 封止部材

Claims (6)

  1. 基材上に、乾式法によりケイ素と窒素とを含む堆積層を形成する工程と、
    前記堆積層に、100N/mを超え200N/m以下の基材張力のもとで、波長150nm以下の光照射を行い、変性領域を含むケイ素含有層を形成する工程と、を有する
    ガスバリアフィルムの製造方法。
  2. 前記光照射を行う工程において、前記基材張力が100N/mを超え150N/m以下である請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  3. 前記ケイ素含有層に隣接する平滑層を形成する工程を有する請求項1又は2に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  4. 前記平滑層として、ポリシラザン改質層を形成する請求項3に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  5. 前記基材上に下地層を形成する工程を有し、前記下地層を形成する工程の後、前記下地層上に前記堆積層を形成する工程を行う請求項1から4のいずれかに記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  6. 基材上に、乾式法によりケイ素と窒素とを含む堆積層を形成した後、前記堆積層に、100N/mを超え200N/m以下の基材張力のもとで、波長150nm以下の光照射を行い、変性領域を含むケイ素含有層を形成して、ガスバリアフィルムを形成する工程と、
    前記ガスバリアフィルム上に、発光ユニットを形成する工程と、を有する
    有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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