JP6286835B2 - 濃度測定センサ用シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、物質の濃度を測定するための濃度測定センサ及び濃度測定センサ用シートに関する。
血液等の生体試料中の特定成分について迅速かつ簡便に濃度等を測定する方法として、電気化学的検出手段によるセンサ(濃度測定センサ)が実用化されている。このようなセンサの一例として、電気化学的に血液中のグルコース濃度を定量化するグルコースセンサがある。
グルコースセンサでは、基材と、基材上に設けられた作用電極と対電極を含む電極系と、酵素及び電子受容体とを基本構成として備えている。酵素は血液中のグルコースを選択的に酸化してグルコン酸を生成し、また同時に電子受容体を還元して還元体を生じる。この還元体に外部デバイスから電極系へ一定の電圧を印加することで還元体が再び酸化され、その際に電流が発生する。この電流値が血液中のグルコース濃度に依存することから、血液中のグルコースを定量化して測定することができる。
従来、グルコースセンサを製造する時、絶縁性基板に銀を含むペーストをスクリーン印刷してリード配線を形成し、リード配線の先端にカーボンを主成分とするペーストをスクリーン印刷して塗布して作用電極と対電極を含む電極系を形成している(特許文献1参照)。
特開2006−275819号
しかしながら、従来、グルコースセンサを製造する際、電極は厚手の絶縁性基板上に例えば銀を含むペーストをスクリーン印刷することにより形成されるのが一般的である。この場合、厚手の絶縁性基板を用いているため、絶縁性基板のハンドリングが行いにくく、タクトタイムが長くなり、かつ製造コストが上昇するなどといった課題が生じている。
一方、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式によりグルコースセンサを製造しようとすると、絶縁性基板の巻取り長を長くした際、巻取り径が大きくなり、ハンドリングがしにくいという問題がある。このような場合、絶縁性基材をできるだけ長く巻取って、絶縁性基材の巻取長さを長くすることができれば、生産性の向上を図ることができて都合が良い。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ロール・ツー・ロール方式により濃度測定センサを製造する際の生産性を向上させることが可能な濃度測定センサ及び濃度測定センサ用シートを提供することを目的とする。
本発明は、溶液中の物質の濃度を測定するための濃度測定センサを製造する濃度測定センサ用シートにおいて、少なくとも一方の面が絶縁性をもつ絶縁面となる絶縁性基材と、絶縁性基材の絶縁面に設けられた導電性パターンとを備え、導電性パターンはNi膜を含み、かつその厚みが10nm−40nmであり、絶縁性基材の厚みが12μm−100μmとなっていることを特徴とする濃度測定センサ用シートである。
本発明は、導電性パターンの線幅は、0.25mm以上、長さは30mm以下となっていることを特徴とする濃度測定センサ用シートである。
本発明は、導電性パターンはNiの蒸着膜またはNiのスパッタリング膜を含むことを特徴とする濃度測定センサ用シートである。
本発明は、絶縁性基材は透明材料からなることを特徴とする濃度測定センサ用シートである。
本発明は、絶縁性基材の他方の面に、絶縁性基材を支持するとともにその厚みが100−300μmの支持基材が設けられていることを特徴とする濃度測定センサ用シートである。
本発明は、絶縁性基材と支持基材との間に、透過防止層が介在されていることを特徴とする濃度測定センサ用シートである。
本発明は、導電性パターン上に導電性パターンの両端部を露出させてキャビティが設けられ、キャビティから露出する導電性パターンの一端部に試薬層が設けられ、更にキャビティ上に試薬層および導電性パターンの他端部を露出させてカバーが設けられていることを特徴とする濃度測定センサ用シートである。
本発明は、溶液中の物質の濃度を測定するための濃度測定センサにおいて、少なくとも一方の面が絶縁性をもつ絶縁面となる絶縁性基材と、絶縁性基材の絶縁面に設けられた導電性パターンとを備え、導電性パターンはNi膜を含み、かつその厚みが10nm−40nmであり、絶縁性基材の厚みが12μm−100μmとなっていることを特徴とする濃度測定センサである。
本発明は、導電性パターンの線幅は、0.25mm以上、長さは30mm以下となっていることを特徴とする濃度測定センサである。
本発明は、導電性パターン上に導電性パターンの両端部を露出させてキャビティが設けられ、キャビティから露出する導電性パターンの一端部に試薬層が設けられ、更にキャビティ上に試薬層および導電性パターンの他端部を露出させてカバーが設けられていることを特徴とする濃度測定センサである。
本発明は、導電性パターンの一端部および他端部に、カーボン膜からなる電極および接続端子が各々設けられていることを特徴とする濃度測定センサである。
本発明は、カーボン膜からなる電極および接続端子の線幅は、Ni膜の線幅より広いことを特徴とする濃度測定センサである。
本発明は、カーボン膜からなる電極および接続端子は、Ni膜に対して積層されていないことを特徴とする濃度測定センサである。
本発明によれば、ロール・ツー・ロール方式により濃度測定センサを製造する際の生産性を向上させることができる。
図1は本発明による濃度測定センサを示す分解斜視図。 図2は濃度測定センサと外部デバイスとを示す斜視図。 図3は本発明による濃度測定センサの製造方法を示すフロー図。 図4(a)(b)は濃度測定センサの製造装置を示す概略図。 図5(a)は絶縁性基材供給工程における絶縁性基材を示す平面図、図5(b)は図5(a)のV−V線断面図。 図6(a)は水溶性樹脂層形成工程における絶縁性基材を示す平面図、図6(b)は図6(a)のVI−VI線断面図。 図7(a)は導電層形成工程における絶縁性基材を示す平面図、図7(b)は図7(a)のVII−VII線断面図。 図8(a)は水溶性樹脂層除去工程における絶縁性基材を示す平面図、図8(b)は図8(a)のVIII−VIII線断面図。 図9(a)は支持基材配設工程における支持基材および絶縁性基材を示す平面図、図9(b)は図9(a)のIX−IX線断面図。 図10(a)は枚葉基材作製工程における枚葉基材を示す平面図、図10(b)は図10(a)のX−X線断面図。 図11は本発明の変形例を示す図。 図12(a)(b)(c)は本発明の変形例を示す図。 図13(a)(b)(c)は本発明の変形例を示す図。 図14(a)(b)(c)は本発明の変形例を示す図。
発明の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図面は例示であり、説明のために特徴部を誇張することがあり、実物とは異なる場合がある。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
図1乃至図11は本発明による濃度測定センサおよびその製造方法の実施の形態を示す図である。
まず図1により濃度測定センサの一実施の形態について説明する。図1に示すように、濃度測定センサ10は溶液中の物質の濃度を測定するものであり、例えば血液中のグルコースの濃度を測定することにより、血糖値を検出するものである。
このような濃度測定センサ10は、支持基材11と、支持基材11上に設けられた絶縁性基材12と、絶縁性基材12の表面(一方の面)12a上に設けられた一対の配線部13a、13bとを備えている。
このうち、絶縁性基材12により、表面12aが絶縁面となる基材が構成される。また絶縁性基材12は、その裏面(他方の面)12b側において、剛性をもつ支持基材11により保持されている。ここで、絶縁性基材12とは、電気的に絶縁された基材のことをいう。
また、一方の配線部13aの一端に作用電極14aが設けられ、他方の配線部13bの一端に対電極14bが設けられている。これら作用電極14aと対電極14bとにより、被測定溶液が接触する電極系14が構成されている。
さらに一対の配線部13a、13bの他端には、各々接続端子15a、15bが設けられている。
この接続端子15a、15bは、濃度測定センサ10を後述のように、外部デバイス25の挿入口26内に挿入した際、外部デバイス25側の接続部(図示せず)に接続される(図2)。
なお、一対の配線部13a、13bと、作用電極14aおよび対電極14bと、一対の接続端子15a、15bとにより、導電性パターン30が構成されている。
また導電性パターン30を覆ってキャビティ17が設けられている。このキャビティ17は絶縁性材料からなり、外部からの被測定対象となる血液を作用電極14aおよび対電極14bへ導く吸引口17aを有している。また、キャビティ17は、それぞれ作用電極14a、対電極14bの一部および一対の接続端子15a、15bの一部を外方へ露出するよう導電性パターン30を覆っている。
さらにキャビティ17上には絶縁性材料からなるカバー19が設けられ、キャビティ17とカバー19とによって、グリコース酸化酵素を含む試薬層18が保持されている。
次に各部の構成部材について説明する。
支持基材11
支持基材11は、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式に適用できるよう絶縁性樹脂を用いることが好ましい。支持基材11は、例えば、透明のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等の絶縁性樹脂からなり、なかでもより好適にはPET製となっている。
支持基材11は、絶縁性基材12を補強することができ、取扱い時に自重で折れたりしない程度の剛性があればよい。また支持基材11は、絶縁性基材12を補強するために、絶縁性基材12よりも厚いことが好ましい。具体的には、100μm−300μmの範囲であるとよい。なお、支持基材11は、複数の基材を貼合わせた構成からなっていても良い。
絶縁性基材12
絶縁性基材12は、導電性パターン30を支持する基材であり、少なくとも導電性パターン30が配置される表面12aは絶縁面となっている。絶縁性基材12は、ロール・ツー・ロール方式に適用できるよう絶縁性樹脂を用いることが好ましい。具体的には、例えば透明のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。
絶縁性基材12の厚さは、支持基材11より薄く、12μm−100μmとなっている。これにより、絶縁性基材12をロールに巻き取る際の巻取り径を小さくすることができ、また膜厚測定工程(後述)において光の透過性を高めることができる。この場合、絶縁性基材12の厚さが12μmのように薄くなると、PET製絶縁性基材12を30km−40kmだけロール状に巻取ることができ、絶縁性基材12の厚さが25μmになると、PET製絶縁性基材12を10kmだけロール状に巻取ることができる。また絶縁性基材12の厚さが100μmの場合、PET製絶縁性基材12を3kmだけロール状に巻取ることができる。なお、絶縁性基材12と支持基材11との熱膨張係数を合わせることが好ましく、とりわけ絶縁性基材12と支持基材11とを同一の材料から構成するとよい。
導電性パターン30
導電性パターン30は、その形状、本数について特に限定はなく、導電性パターン30は全体としてNi(ニッケル)製の金属材料膜を含む。導電性パターン30は、全体として形成方法に応じて、例えば10nm−40nmの厚みを有し、Niのスパッタリング膜またはNiの蒸着膜からなる。
また導電性パターン30のうち、一対の配線部13a、13aは各々その線幅が0.25mm以上、その長さが30mm以下となっている。
このように各配線部13a、13bの線幅および長さを定めることにより、配線部13a、13bを含む導電性パターン30の全体としての厚みが10nm−40nmとなっても、各配線部13a、13bは濃度測定センサ10として適切な抵抗値、例えば250Ω−1500Ωをもつことができる。
このように、導電性パターン30を全体として、厚みが10nm−40nmのNi膜から構成することにより、濃度測定センサ10としての適切な抵抗値を示すことができるとともに、後述のように絶縁性基材12を巻取って巻取基材ロール48を作製する場合でも、厚みが10nm−40nmのように薄いNi膜からなる導電性パターン30が巻取り作業に支障を生じさせることはない。
また、導電性パターン30は厚みが10nm−40nmのように薄いNi膜からなるため、導電性パターン30を例えば真空蒸着法又はスパッタリング法により形成する場合、絶縁性基材12に影響を与えることなくNi膜からなる導電性パターン30を容易かつ簡単に形成することができる。
すなわち、例えばPET等からなる絶縁性基材12上に導電性パターン30を形成する際、後述する導電層33を真空蒸着法またはスパッタリング法により設ける場合、絶縁性基材12を高温下に晒す必要がある。しかしながら、本実施の形態によれば、導電性パターン30は厚みが10nm−40nmのように薄いNi膜から形成されるため、絶縁性基材12を高温下に晒す時間は極めて短くなり、これにより絶縁性基材12が劣化することはない。
試薬層18
試薬層18は酵素と電子受容体を含み、本実施の形態では酵素としてグルコース酸化還元酵素を含んでおり、血液中のグルコースの濃度を測定することができる。しかしながら試薬層18はグルコース酸化酵素以外の酵素を含んでいてもよい。
試薬層18はグルコース酸化酵素以外の酵素、例えばコレステロールセンサ、アルコールセンサ、スクロールセンサ、乳酸センサ、フルクトースセンサとして機能する酵素を含んでいてもよい。この場合、各センサに用いる酵素としては、コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、キサンチンオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼ等の反応系に合ったものを適宜用いることができる。
キャビティ17およびカバー19
キャビティ17およびカバー19は、絶縁性基材12と同様の材料から形成することができ、キャビティ17およびカバー19の厚みは各々100μm以上300μm以下および50μm以上100μm以下となっている。
次に濃度測定センサの製造方法について、図3乃至図10を用いて説明する。図3は本実施の形態による濃度測定センサの製造方法を示すフロー図であり、図4は濃度測定センサの製造装置を示す概略図であり、図5乃至図10は、濃度測定センサの製造方法の各工程における絶縁性基材12を示す平面図及び断面図である。
まず絶縁性基材供給ロール41(図4(a))から帯状の絶縁性基材12が連続して供給される(絶縁性基材供給工程)(図5(a)(b))。
次に絶縁性基材12は、水溶性樹脂層形成部42(図4(a))に搬送される。この水溶性樹脂層形成部42において、絶縁性基材12の絶縁性をもつ表面(絶縁面)12a上にパターン状に水溶性樹脂が塗布されて、パターン状の水溶性樹脂層32が形成される(水溶性樹脂層形成工程)(図6(a)(b))。
この場合、水溶性樹脂層32は、各導電性パターン30以外の部分に対応する形状を有している。換言すれば、導電性パターン30に対応する部分には水溶性樹脂層32が設けられず、絶縁性基材12が露出している。
なお、水溶性樹脂層32は、例えば水溶性ビニル樹脂からなるリフトオフ材料からなり、その厚みは例えば1μm〜10μmとすることができる。
次に絶縁性基材12は、導電層形成部43(図4)に搬送される。この導電層形成部43において、水溶性樹脂層32上および水溶性樹脂層32から露出する絶縁性基材12上に、導電層33が形成される(導電層形成工程)(図7(a)(b))。
この導電層33は、水溶性樹脂層32上および水溶性樹脂層32から露出する絶縁性基材12上の略全面に渡って設けられることが好ましい。
導電層33は、導電性パターン30を構成する導電性材料からなり、具体的にはNi製金属材料からなる。また導電層33の厚みは10nm〜40nmとなっている。後述する透過率を利用した膜厚測定工程を行う場合には、導電層と絶縁性基材を透過する光の透過率が5%以上となるように、導電層33の厚みを設定することが好ましい。
なお、導電層33を設ける方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法等の真空成膜法を挙げることができる。このように真空成膜法を用いた場合、導電層33を薄膜で形成することができ、材料コストを低減することができる。また、絶縁性基材供給ロール41から繰り出される長尺の絶縁性基材12に対して導電層33を高速で形成することができる。
次いで、絶縁性基材12は、水溶性樹脂層除去部44(図4(a))に搬送される。この水溶性樹脂層除去部44において、水溶性樹脂層32が水によって除去され、水溶性樹脂層32上の導電層33が選択的に除去される。これにより、絶縁性基材12上に、導電層33の一部からなる複数の導電性パターン30が形成される(水溶性樹脂層除去工程)(図8(a)(b))。なお図8(a)において、6組の導電性パターン30が示されている。
この場合、図4(a)に示すように水溶性樹脂層除去部44のノズル44aから導電層33上にシャワー状の水を噴出することにより、導電層33中に水を浸透させ、水溶性樹脂層32を除去しても良い。あるいは、絶縁性基材12ごと水溶性樹脂層32を水中に浸漬させることにより、水溶性樹脂層32を除去しても良い。
このように水溶性樹脂層形成工程、導電層形成工程および水溶性樹脂層除去工程を順次経ることにより、絶縁性基材12の表面12aに、複数の導電性パターン30が形成される(導電性パターン形成工程)。
なお、導電性パターン形成工程としてはこれに限られるものではなく、例えば絶縁性基材供給工程の後、グラビア印刷などの印刷法により、絶縁性基材12の表面12aに複数の導電性パターン30を形成しても良い。
続いて、絶縁性基材12は、膜厚測定部45(図4(a))に搬送される。膜厚測定部45は、例えば透過型の光計測装置からなっている。この膜厚測定部45において、絶縁性基材12上に形成された少なくとも1つの導電性パターン30に対して光が照射され、その透過光を用いて導電性パターン30の厚さが測定される(膜厚測定工程)。これにより導電性パターン30の厚さが規定の範囲内にあるか否かを確認することができる。
上述したように、絶縁性基材12の厚さは例えば10μm以上かつ50μm以下の範囲とされている。このように絶縁性基材12の厚さが薄くなっていることにより、光の透過性を高めることができ、膜厚測定部45において膜厚測定を正確に行うことができる。
このようにして、絶縁性基材12と、絶縁性基材12の表面に設けられた複数の導電性パターン30とを有する濃度測定センサ用シート12Aが得られる。
図8(a)(b)において、絶縁性基材12の表面に、3列および多段に導電性パターン30が設けられている。
次に図4(a)に示すように、このようにして作製された濃度測定センサ用シート12Aは、巻取られて巻取り基材ロール48となる。
上述のように絶縁性基材12はその厚みが12μm−100μmのように薄板に構成され、かつ導電性パターン30も、厚みが10nm−40nmのNi膜からなるため、長尺の絶縁性基材12(例えば絶縁性基材12の厚みが12μmの場合、30km−40kmの長尺の絶縁性基材12)を含む巻取り基材ロール48を得ることができる。
続いて、図4(b)に示すように巻取り基材ロール48から濃度測定センサ用シート12Aが繰り出され、この濃度測定センサ用シート12Aは支持基材配設部46に搬送される。この支持基材配設部46において、絶縁性基材12の裏面12bに、絶縁性基材12を支持する支持基材11が配設される(支持基材配設工程)(図9(a)(b))。
この際、支持基材11が支持基材供給ロール47から支持基材配設部46に供給され、支持基材配設部46において、例えば接着剤によって支持基材11が絶縁性基材12の裏面12bに貼着される。なお接着剤としては、公知のものを使用することができる。
続いて、支持基材11および絶縁性基材12は、巻取りロール49(図4(b))に巻き取られる。
その後、支持基材11および絶縁性基材12を所定の大きさ毎に切断することにより、矩形状の枚葉基材50が作製される(枚葉基材作製工程)(図10(a)(b))。各枚葉基材50はそれぞれ1つまたは複数(この場合6組)の導電性パターン30を含んでいる。
なお、支持基材11および絶縁性基材12を巻取りロール49(図4(b))に巻き取ることなく、支持基材配設部46から供給された支持基材11および絶縁性基材12をそのまま切断することにより、枚葉基材50を作製しても良い。
その後、図1に示すように、枚葉基材50の導電性パターン30上にキャビティ17を設け、キャビティ17上に試薬層18を設ける。次いで、試薬層18上にカバー19を設けて試薬層18をキャビティ17とカバー19との間で挟持する。
その後、枚葉基材50を切断し、各導電性パターン30毎に個片化することにより、図1に示す濃度測定センサ10が得られる。
なお、巻取りロール49に巻取られた支持基材11および絶縁性基材12を切断する前に、まず導電パターン30上に、キャビティ17と試薬層18とカバー19を順次設け、その後に支持基材11と絶縁性基材12を切断して枚葉基材50を作製してもよい。
次に濃度測定センサ10を用いた濃度測定について説明する。
まず濃度測定センサ10が外部デバイス25の挿入口26内に挿入される。このとき外部デバイス25側の接続部が濃度測定センサ10の接続端子15a、15bにそれぞれ接触する。そして、外部デバイス25内のスイッチ(図示せず)が濃度測定センサ10により作動し、外部デバイス25は液体試料吸引待機状態となる。
その後、使用者が、濃度測定センサ10のキャビティ17の吸引口17aに液体試料を付着させる。このときキャビティ17の吸引口17aの毛細管現象によって、キャビティ17の吸引口17aから液体試料が引き込まれる。液体試料としては、例えば、血液、汗、尿等の生体由来の液体試料や、環境由来の液体試料、食品由来の液体試料等が用いられる。例えば、濃度測定センサ10を血糖値センサとして用いる場合、使用者は、自身の指、掌、又は腕等を穿刺して、少量の血液を搾り出し、この血液を液体試料として、キャビティ17の吸引口17aに付着させる。
キャビティ17の吸引口17aに付着された血液は、その後試薬層18に達し、血液が試薬層18に達した後、血液中のグリコース濃度が外部デバイス25により測定され、測定結果は外部デバイス25の表示部27に表示される。
次に外部デバイス25によるグリコース濃度の測定の原理について述べる。
まず試薬層18はグリコース酸化還元酵素と、電子受容体としてフェリシアン化カリウムを含み、血液中のブドウ糖と特異的に反応し、グルコン酸と電子を発する。この電子はフェリシアン化カリウムをフェロシアン化カリウムとし、これに外部デバイス25側から接続端子15a、15b、配線部13a、13b、および作用電極14aおよび対電極14bを介して一定の電圧を加えることで再びフェリシアン化カリウムとなり、そのとき電流が発生する。この場合の電流値は血液中のグリコース濃度に比例するため、この電流値を外部デバイス25により測定することによりグリコース濃度を測定することができる。
試薬層18内での反応を更に述べる。酸化還元酵素としてグルコースオキシダーゼ(GOD)、電子伝達体としてフェリシアン化カリウム(KFe(CN))を用いた場合、試薬層18内において、以下の反応がおこる。
グルコース + 2[Fe(CN)3− + HO → グルコン酸 +2H
+ 2[Fe(CN)4−
このとき、フェロシアン化イオンは、作用電極14aで酸化されて酸化電流を生じ、以下のようにしてフェリシアン化イオンに還元される。
2[Fe(CN)4− → 2[Fe(CN)3− + 2e
測定終了後、使用者は濃度測定センサ10を外部デバイス25の挿入口26から引き抜く。
以上のように本実施の形態によれば、導電性パターン30は厚みが10nm−40nmのNi膜を含み、かつ絶縁性基材12の厚みは12μm−100μmと薄板に構成されているので、可能な限り長尺の絶縁性基材12を巻取って巻取基材ロール48を作製することができ、また巻取基材ロール48の巻取り径を抑えることができる。したがって、絶縁性基材12のハンドリングの効率を高めることができるとともに、生産性を向上させることができる。また、濃度測定センサ10を製造する一連の工程をロール・ツー・ロール方式で行うことが容易になることにより、タクトタイムを短縮することができ、製造コストを低減することができる。さらにまた、導電性パターン30は、厚みが10nm−40nmのNi膜からなるので、厚みが小さくても濃度測定センサ10としての適度の抵抗値を示すことができる。
また本実施の形態によれば、上述したように絶縁性基材12が薄い(12μm−100μm)ので、膜厚測定部45において透過光を用いて導電性パターン30の膜厚を測定することが容易となる。これにより導電性パターン30の膜厚が正確に測定され、濃度測定センサ10の品質を向上させることができる。
変形例
次に本発明の変形例について図11を用いて説明する。図11に示す変形例において、絶縁性基材12と支持基材11との間に透過防止層23を設ける。なお、図11では説明の便宜上、各電極、配線部、キャビティ、カバーなどの構成の図示は省略している。濃度測定センサ10を使用する際、濃度測定センサ10内に引き込まれる液体の試料が外に透けず使用者が視認できない方が好ましい場合がある。特に試料が血液である場合には、使用者が血液を見て不快に感じる場合がある。一般に、絶縁性基材12及び支持基材11の材料として用いられる透明性の高い樹脂基材は、低コストで入手できるが、使用時に試料が透けてしまう虞がある。そこで、使用時に試料が透けないように透明性の低い樹脂基材を選択すると高コストとなってしまうことがあった。
図11に示す本発明の他の実施形態では、支持基材11(または絶縁性基材12)に透過防止層23を設け、この透過防止層23を適宜接着剤(接着層24)により絶縁性基材12(または支持基材11)に貼着することにより、濃度測定センサ10として一体化することができる。これにより、絶縁性基材12及び支持基材11として透明な樹脂基材、例えば、透明なPET基材を用いたとしても、濃度測定センサ10内に引き込まれる液体が外に透けることが防止される。さらにまた絶縁性基材12と支持基材11との間に、透過防止層23を設けることにより、透過防止層23を設けない場合に比べて、絶縁性基材12上の導電性パターン30を視認した場合、この導電性パターン30の位置および形状を明確に認識することができる。
透過防止層23は、光散乱、光反射、光吸収等により光の透過率を低下させる層である。光散乱による場合には、例えば、酸化チタン等の白色の塗料を用い、この塗料を絶縁性基材12、支持基材11の少なくとも一方に印刷法により塗工することで透過防止層23とすることができる。光反射による場合には、アルミ、クロムの薄膜、カーボンブラック、チタンブラック等の無機粒子等の遮光材料を含む薄膜を絶縁性基材12、支持基材11の少なくとも一方に形成することで透過防止層23とすることができる。光反射による場合には、アントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の可視光を吸収する材料を含む塗料を用い、この塗料を絶縁性基材12、支持基材11の少なくとも一方に印刷法により塗工することで透過防止層23とすることができる。
次に図12(a)(b)(c)により本発明の他の変形例について説明する。
図12(a)(b)(c)に示す変形例は、導電性パターン30を構成する構成部材のうち配線部13a、13bを10nm−40nm厚のNi膜により形成するとともに、作用電極14a、対電極14bおよび接続端子15a、15bをカーボンを含む導電ペーストにより形成したものである。
他の構成は図1乃至図10に示す実施の形態と略同一である。図12(a)(b)(c)において、図1乃至図10に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
ここで図12(a)は、絶縁性基材12上に設けられた導電性パターンを示す斜視図であり、図12(b)は図12(a)のB−B線断面図であり、図12(c)は図12(a)のC−C線断面図である。
図12(a)(b)(c)において、導電性パターン30のうち配線部13a、13bは、絶縁性基材12上に図6乃至図8に示す導電性パターン形成工程と同一の工程により形成される。
また、作用電極14a、対電極14b、および接続端子15a、15bは、カーボンを含む導電性ペーストを用いたスクリーン印刷により形成される。この場合、作用電極14a、対電極14b、および接続端子15a、15bは、Ni膜からなる配線部13a、13b上に積層されることなく、絶縁性基材12上に配線部13a、13bに連続して設けられている。また作用電極14aおよび対電極14bは、配線部13a、13bと同一幅をもつが、接続端子15a、15bは配線部13a、13bに比べて幅広に形成されている。
次に図13(a)(b)(c)により本発明の更に他の変形例について説明する。
図13(a)(b)(c)に示す変形例は、導電性パターン30を構成する構成部材のうち、配線部13a、13b、作用電極14a、対電極14bおよび接続端子15a、15bが、いずれも同一の幅をもって、10nm−40nm厚のNi膜により形成されている。
他の構成は図1乃至図10に示す実施の形態と略同一である。図13(a)(b)(c)において、図1乃至図10に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
ここで図13(a)は、絶縁性基材12上に設けられた導電性パターンを示す斜視図であり、図13(b)は図13(a)のB−B線断面図であり、図13(c)は図13(a)のC−C線断面図である。
図13(a)(b)(c)において、導電性パターン30は絶縁性基材12上に、図6乃至図8に示す導電性パターン形成工程と同一の工程により形成される。
次に図14(a)(b)(c)により本発明の更に他の変形例について説明する。
図1乃至図10に示す実施の形態において、濃度測定センサ10として血液中のグルコースの濃度を測定するセンサの例を示したが、これに限らず図14(a)(b)(c)に示すように、濃度測定センサ51は、エンドトキシン測定センサからなっていてもよい。
ここで図14(a)は、エンドトキシン測定センサとしての濃度測定センサ51を示す斜視図であり、図14(b)は図14(a)のB−B線断面図であり、図14(c)は図14(a)のC−C線断面図である。
このようなエンドトキシン測定センサとしての濃度測定センサ51は、絶縁性基材52と、絶縁性基材52の表面(一方の面)52a上に設けられた一対の配線部13a、13bとを備えている。
このうち、絶縁性基材52により、表面52aが絶縁面となる基材が構成される。また絶縁性基材52は、その裏面(他方の面)52b側において、剛性をもつ支持基材11により保持されていてもよい(図1参照)。
また、一方の配線部53aの一端に作用電極54aが設けられ、他方の配線部53bの一端に対電極54bが設けられている。これら作用電極54aと対電極54bとにより、被測定溶液が接触する電極系54が構成されている。
さらに一対の配線部53a、53bの他端には、各々接続端子55a、55bが設けられている。また、絶縁性基材52上であって、配線部53a、53b間に参照配線部53cが設けられ、参照配線部53cの一端に参照電極54cが設けられている。また参照配線部53cの他端に参照接続端子55cが設けられている。
接続端子55a、55bおよび参照接続端子55cは、濃度測定センサ51を外部デバイスの挿入口内に挿入した際、外部デバイス側の接続部に接続される。
なお、一対の配線部53a、53bと、作用電極54aおよび対電極54bと、一対の接続端子55a、55bと、参照配線部53cと、参照電極54cと、参照接続端子55cとにより、導電性パターン60が構成されている。
また導電性パターン60を覆ってキャビティ57が設けられている。このキャビティ57は絶縁性材料からなり、外部からの被測定対象となる検液を作用電極54a、対電極54bおよび参照電極54cへ導く吸引口57aを有している。また、キャビティ57は、それぞれ作用電極54a、対電極54b、および参照電極54cの一部および一対の接続端子55a、55bおよび参照接続端子55cの一部を外方へ露出するよう導電性パターン30を覆っている。
さらにキャビティ57上には絶縁性材料からなるカバー59が設けられ、キャビティ57とカバー59とによって、エンドトキシン測定用の試薬層58が保持されている。
次に各部の構成部材について説明する。
絶縁性基材52
絶縁性基材52は、導電性パターン60を支持する基材であり、少なくとも導電性パターン60が配置される表面52aは絶縁面となっている。絶縁性基材52は、ロール・ツー・ロール方式に適用できるよう絶縁性樹脂を用いることが好ましい。具体的には、例えば透明のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。
絶縁性基材52の厚さは、支持基材11より薄く、12μm−100μmとなっている。これにより、絶縁性基材52をロールに巻き取る際の巻取り径を小さくすることができ、また膜厚測定工程において光の透過性を高めることができる。この場合、絶縁性基材52の厚さが12μmのように薄くなると、PET製絶縁性基材52を30km−40kmだけロール状に巻取ることができ、絶縁性基材52の厚さが25μmになると、PET製絶縁性基材52を10kmだけロール状に巻取ることができる。また絶縁性基材52の厚さが100μmの場合、PET製絶縁性基材12を3kmだけロール状に巻取ることができる。なお、絶縁性基材52と支持基材11との熱膨張係数を合わせることが好ましく、とりわけ絶縁性基材52と支持基材11とを同一の材料から構成するとよい。
導電性パターン60
導電性パターン60は、その形状、本数について特に限定はなく、導電性パターン60のうち、参照電極54cを除いた部分は全体としてNi(ニッケル)製の金属材料膜を含む。導電性パターン60のうち参照電極54cを除いた部分は、全体として形成方法に応じて、例えば10nm−40nmの厚みを有し、Niのスパッタリング膜またはNiの蒸着膜からなる。
一方、導電性パターン60のうち参照電極54cは、銀または塩化銀からなる。
10 濃度測定センサ
11 支持基材
12 絶縁性基材
13a、13b 配線部
14a 作用電極
14b 対電極
15a、15b 接続端子
17 キャビティ
18 試薬層
19 カバー
30 導電性パターン
41 絶縁性基材供給ロール
42 水溶性樹脂層形成部
43 導電層形成部
44 水溶性樹脂層除去部
45 膜厚測定部
46 支持基材配設部
47 支持基材供給ロール
48 巻取り基材ロール
49 巻取りロール
50 枚葉基材
51 濃度測定センサ
52 絶縁性基材
53a、53b 配線部
53c 参照配線部
54a 作用電極
54b 対電極
55a、55b 接続端子
55c 参照接続端子
57 キャビティ
58 試薬層
59 カバー
60 導電性パターン

Claims (3)

  1. 溶液中の物質の濃度を測定するための濃度測定センサ用の濃度測定センサ用シートの製造方法において、
    少なくとも一方の面が絶縁性をもつ絶縁面となる絶縁性基材を巻取ってなる絶縁性基材供給ロールを準備する工程と、
    絶縁性基材供給ロールから絶縁性基材を供給するとともに、絶縁性基材の絶縁面にパターン状の水溶性樹脂層を設ける工程と、
    絶縁性基材の絶縁面のうちパターン状の水溶性樹脂層以外の部分にスパッタリング法により導電パターンを形成する工程と、
    絶縁面にスパッタリング法により導電パターンを形成した後、絶縁性基材の他方の面に絶縁性基材を支持するとともにその厚みが100〜300μmの支持基材を設ける工程とを備え、
    導電性パターンはNi膜を含み、かつその厚みが10nm−40nmであり、絶縁性基材の厚みが12μm−100μmとなっており、
    絶縁性基材と支持基材との間に、透過防止層が介在され、この透過防止層は絶縁性基材または支持基材の少なくとも一方に印刷法により塗料を塗工することにより形成される、
    ことを特徴とする濃度測定センサ用シートの製造方法。
  2. 導電性パターンの線幅は、0.25mm以上、長さは30mm以下となっていることを特徴とする請求項1記載の濃度測定センサ用シートの製造方法。
  3. 絶縁性基材は透明材料からなることを特徴とする請求項1または2記載の濃度測定センサ用シートの製造方法。
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