JP4180933B2 - Nadまたは還元型nad濃度測定用電極系と測定方法 - Google Patents

Nadまたは還元型nad濃度測定用電極系と測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酵素反応を利用して被検試料中のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、NAD、と略す)濃度を測定するバイオセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
バイオセンサは、一般に測定対象物質である化学物質や生体物質と選択的に反応する生体関連識別物質を膜等に固定化して分子識別素子とし、その反応による物理的、化学的変化を信号変換部位(トランスデューサ)を経て電気信号として検出するものである。生体関連識別物質としては、酵素、抗原、抗体、動植物細胞、微生物等が知られており、このうち酵素が最も広く用いられている。
【0003】
酵素は、測定対象物質である基質に対して極めて高い基質特異性を有しているので、多成分中の特定の分子のみを選択的に識別し、特定な反応のみを選択的に進めることができる。Clarkは、この酵素の特異性に着目し、これを電極と組み合わせて酵素の基質を計測する原理を初めて提案した(非特許文献1)。この電極に、UpdikeとHicksは固定化酵素を採用し、グルコースオキシダーゼ固定化膜と酸素電極とを組み合わせてバイオセンサなるものを初めて作製した(非特許文献2)。
【0004】
現在、電極に固定されたグルコースオキシダーゼと酸素検出用電極(酸素電極)または過酸化水素検出用電極とで構成されたグルコースセンサが、バイオセンサにおける酸化還元酵素センサの代表例となっている。すなわち、試料中のグルコースが、グルコースオキシダーゼと触媒反応してグルコノラクトンに変化するときに消費される酸素の減少量または発生する過酸化水素の濃度を電極で検出して、試料中のグルコース濃度を測定する(特許文献1)。
【0005】
生体関連識別物質の固定化は、被検試料の透過性や生体関連識別物質との接触性の観点等から、担体としての膜に対して行われるのが一般的である。固定化膜の目的は、測定妨害物質を遮断し、固定化されている酵素や微生物を活発に働かせることにある。固定化法としては、担体に酵素を吸着させる方法、担体中に酵素を包括する方法(特許文献2、3および5)、担体に酵素と反応性の高い官能基を導入し、酵素と共有結合させる方法(特許文献4)、担体と酵素とを架橋する方法(特許文献7)、担体と酵素とをイオン結合させる方法(特許文献6)等がある。固定化した酵素を、成型された金属、半導体、炭素、樹脂等に装着、またはポリエステル等の高分子フィルムに固定化した後に電極に装着する等、これらの方法を測定目的や電極の形等によって適宜選択し利用する。一方、電極と接触していない反対の面、すなわち、試料と接触する面を半透膜等で覆う(特許文献7)。試料中の分子はこの半透膜を通って酵素面に達し、拡散しながら反応を起こす。
【0006】
さらに、より大量生産や小型化に向けた技術開発が行われた結果、測定電極(作用電極)や対向電極等の電極が、セラミックスやプラスチックシートの表面に、平面上に作られるようになり、スクリーン印刷の技術を用いて大量生産が可能となった(特許文献8)。この方法によるち、絶縁性の基板に銀ペーストを印刷してリードを形成し、導電性カーボンペーストや絶縁性ペーストを印刷して電極や絶縁層等の電極パターンを印刷する。そして、このようにして作製した電極系上に酵素(グルコースオキシダーゼ)および電子伝達物質(フェリシアン化カリウム)を、親水性高分子(カルボキシメチルセルロース)の水溶液に溶解させた混合水溶液を滴下し、温風乾燥させて反応層を形成する。
【0007】
こうしたバイオセンサは、医療用途だけでなく、環境や食品分野への応用も進められており、より微量の測定対象物質を高感度に計測することが求められている。しかし、測定対象物質によっては基質が酵素等と容易に反応しなかったり、酸化還元反応を触媒する酵素分子と電極材料との間のスムーズな電子移動が困難な場合もある。そこで、電子伝達を効率よく行わせるために電子伝達物質や補酵素が用いられることも多い。酸化還元酵素と補酵素により構成された酵素電極センサは1970年代に開発されている。
【0008】
例えば、酸化還元酵素として乳酸脱水素酵素、補酵素としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、電極としてカーボンを使った乳酸センサがある(特許文献9)。これは、電子伝達酵素触媒反応によって、基質である乳酸が脱水素(酸化)され、水素原子がNADに移動し、生じた還元型NADを電極上で直接酸化する際の陽極(作用電極)電流を測定する方法である。基質である乳酸の濃度に応じて還元型NADの酸化電流値が変化するので、陽極(作用電極)電流の測定から基質濃度を求めることができる。このような補酵素を使った電極においては、補酵素を高分子担体に直接化学結合した状態で集電体と混合すると、定常電流値に達する時間が短く、また得られる電流値も大きくなる。
【0009】
基質と酵素との反応を電極で容易に検出できるようにするため、電子伝達物質を反応系に存在させる方法も多用される。電子伝達物質を電極表面に薄膜上に塗布し、さらにその上を半透膜で被膜する方法、電子伝達物質を酵素に共有結合させた導電性酵素の導電成分を電極に混ぜ込む方法(特許文献10)等が知られている。酵素と電子伝達物質にさらに有機電荷移動錯体を組み合わせると、酵素反応に伴う電子移動が効率的となり、より応答性が向上するとの報告もある(特許文献11)。
【0010】
一方、従来、酵素を用いた分析方法のほとんどは、酸化酵素反応により生成される過酸化水素による呈色反応か、測定対象物質の量または酵素活性を脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)によって補酵素の量的変化を光学的に測定する手法が用いられてきた。上記のNADは、多くの酸化還元酵素に関与する補酵素であり、その測定には、これら酵素の活性や基質濃度の定量に広く用いられている。
すでに述べたように、過酸化水素電極を応用するバイオセンサの研究開発は進んでいる。しかし、脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)によって補酵素の量的変化を電気化学的に簡便、かつ、高感度に計測することができるバイオセンサについては不十分である。
【0011】
還元型NADは、電子伝達による酸化還元反応が困難であり、電極上での直接酸化には高い印加電圧が必要である。そのため、還元型NADよりも酸化電位の低い夾雑物も酸化されてしまうため、高感度検出には好ましくない。そこで、還元型NADをジアフォラーゼという酸化還元酵素により酸化する際に電子伝達物質(メディエータ)を還元し、生成した還元型電子伝達物質が、電極上での電圧印加で容易に酸化されることを利用して陽極(作用電極)電流を測定する方法も報告されている(非特許文献3)。また、還元型NADを速やかに1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルサルフェート(1−メトキシPMS)により酸化し、同時にテトラゾリウム塩を還元して化学的に安定なホルマザンを生成し、続いて電極系に電圧を印加することによりホルマザンを電気化学的に変化させ、その際に生じる応答電流を検出する方法も特許出願されている(特許文献12)。
【0012】
本発明者らは、さらに高感度に検出する方法として、12αハイドロキシステロイド脱水素酵素およびジアフォラーゼを固定化することにより、酵素的サイクリングシグナル増幅法を応用した電極を特許出願した(特許文献13)。これは、被検試料に含まれるNADが、12αハイドロキシステロイド脱水素酵素の作用により還元型NADになり、生成した還元型NADから、ジアフォラーゼまたはPMS誘導体の作用によりNADが復元される。同時に酸化状態の電子伝達物質が還元され、還元型電子伝達物質となる。
【0013】
還元型の電子伝達物質は、適切な電圧が印加された作用電極(陽極)表面において電気化学的に酸化され、作用電極に電子を供給して酸化型の電子伝達物質に復元される。このように還元型NADの酸化/NADの還元と、電子伝達物質の還元/酸化が同期して繰り返される。この間、作用電極表面における還元型電子伝達物質の電気化学的酸化に伴う酸化電流が計測される。被検試料中に還元型NADが存在する場合でも同様の原理により反応が進行する。こうして、NADサイクリングシグナル増幅法により得られた電流は、被検試料に含まれるNADまたは還元型NADの濃度に比例するので、NADまたは還元型NADを区別せず高感度に検出する方法として優れている。しかしながら、NADのサイクリング反応を、小電力で駆動可能な小型な装置で簡便かつ迅速に行うためには、実用上まだ不十分であった。
【0014】
【非特許文献1】
L. C. Clark, C. Lyons, Ann. N. Y. Acad. Sci. 1962, 102, 29-45
【非特許文献2】
S. J. Updike, G. P. Hicks, Nature, 1967, 214, 986-988
【非特許文献3】
Analyst, August 1991, Vol.116, p793-796
【特許文献1】
特開平08−240555号公報
【特許文献2】
特開昭58−5193号公報、
【特許文献3】
特開平06−181763号公報
【特許文献4】
特開平03−19687号公報
【特許文献5】
特開昭59−220187号公報
【特許文献6】
特公昭53−12998号公報
【特許文献7】
特開昭56−73342号公報
【特許文献8】
特開平05−196596号公報
【特許文献9】
特公昭58−16693号公報
【特許文献10】
特開平06−90754号公報
【特許文献11】
特開平06−3317号公報
【特許文献12】
国際公開第00/57166号パンフレット
【特許文献13】
特開2000−189188号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、被検試料中のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)濃度または還元型NAD濃度をNADサイクリングシグナル増幅法を用いて測定するバイオセンサにおいて、その測定時に、攪拌や送液といった液流発生装置を使用することなく、小電力で駆動可能な小型な装置により、迅速、かつ、簡便に実用的な検出感度の測定を実施できるNADセンサを提供することにある。また、このNADセンサを用いて、試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定する方法を提供することにある。さらには、このNADセンサを含む、試料中のNADまたは還元型NAD濃度を測定するためのシステムを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
このような状況下において、本発明者らは、測定時に攪拌や送液といった液流発生装置を使用することなく、小電力で駆動可能な小型な装置により、迅速、かつ、簡便に実用的な検出感度の測定を実施できるNADセンサを開発すべく鋭意研究を行った。その結果、意外にも、絶縁性基板上に形成された電極系に酵素および電子伝達物質を固定化することなく、溶液中に酵素と電子伝達物質を溶解させて反応させながら電極表面に到達するように構成することにより、極めて高い検出感度が得られるようになった。これには、酸化状態で存在する電子伝達物質を使用することが重要であった。
【0017】
これまで、酵素等生体関連物質を使った物質の測定においては、検体溶液中に酵素を投入し、検体中の成分を酵素により特定成分に変換してセンサで測定する方法は、不安定で、操作が複雑で、高価である等の欠点があるとされてきた。そのため酵素を安定に繰り返し使用するための固定化技術が重要視されてきた。しかし、本発明者らは、絶縁性基板上に形成された電極系に酵素および電子伝達物質を固定することなく、溶液中に酵素と電子伝達物質を溶解させて反応させながら電極表面に到達するように構成したNADセンサを用いることにより、試料中のNADまたは還元型NAD濃度を極めて簡便な操作により、再現よく実施することができることを見いだした。これらの知見に基づき、本発明を完成した。
【0018】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、ジアフォラーゼおよび酸化状態の電子伝達物質を含む溶液が該電極系に接触しており、作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、ジアフォラーゼおよび電子伝達物質が固定化されていないことを特徴とするNADまたは還元型NAD濃度測定用電極系
【0019】
(2)絶縁性基板上の電極系に、参照電極がさらに設けられており、該溶液が、作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系に接触している(1)に記載のNADまたは還元型NAD濃度測定用電極系。。
(3)酸化状態である電子伝達物質がフェリシアン化物である(1)または(2)に記載のNADまたは還元型NAD濃度測定用電極系
(4)絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質およびフェナジンメトサルフェート(PMS)誘導体を含む溶液が該電極系に接触しており、作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼおよびPMS誘導体が固定化されていないことを特徴とするNADまたは還元型NAD濃度測定用電極系
【0020】
(5)絶縁性基板上の電極系に、参照電極がさらに設けられており、該溶液が、作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系に接触している(4)に記載のNADまたは還元型NAD濃度測定用電極系
(6)絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、PMS誘導体および酸化状態の電子伝達物質を含む溶液が該電極系に接触しており、作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、PMS誘導体および電子伝達物質が固定化されていないことを特徴とするNADまたは還元型NAD濃度測定用電極系
【0021】
(7)絶縁性基板上の電極系に、参照電極がさらに設けられており、該溶液が、作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系に接触している(6)に記載のNADまたは還元型NAD濃度測定用電極系
(8)少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、ジアフォラーゼおよび酸化状態の電子伝達物質を含む溶液を、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、ジアフォラーゼおよび電子伝達物質が固定化されていない電極系に接触した状態に配置することによって試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定する方法であって、該溶液に試料を混合した後、作用電極と対向電極の間に電圧を印加して、作用電極の表面で電子伝達物質の酸化反応を行わせながら、作用電極における電流を測定し、作用電極における酸化電流の測定値からNADまたは還元型NADの量を算出することを含むNADまたは還元型NAD濃度測定方法。
【0022】
(9)少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、ジアフォラーゼおよび酸化状態の電子伝達物質を含む溶液を、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、ジアフォラーゼおよび電子伝達物質が固定化されていない電極系に接触した状態に配置することによって試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定する方法であって、該溶液に試料を混合した後、作用電極と参照電極の間に電圧を印加して、作用電極の表面で電子伝達物質の酸化反応を行わせながら、作用電極における電流を測定し、作用電極における酸化電流の測定値からNADまたは還元型NADの量を算出することを含むNADまたは還元型NAD濃度測定方法。
(10)少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質およびPMS誘導体を含む溶液を、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、およびPMS誘導体が固定化されていない電極系に接触した状態に配置することによって試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定する方法であって、該溶液に試料を混合した後、作用電極と対向電極の間に電圧を印加して、作用電極の表面でPMS誘導体の酸化反応を行わせながら、作用電極における電流を測定し、作用電極における酸化電流の測定値からNADまたは還元型NADの量を算出することを含むNADまたは還元型NAD濃度測定方法。
【0023】
(11)少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質およびPMS誘導体を含む溶液を、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼおよびPMS誘導体が固定化されていない電極系に接触した状態に配置することによって試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定する方法であって、該溶液に試料を混合した後、作用電極と参照電極の間に電圧を印加して、作用電極の表面でPMS誘導体の酸化反応を行わせながら、作用電極における電流を測定し、作用電極における酸化電流の測定値からNADまたは還元型NADの量を算出することを含むNADまたは還元型NAD濃度測定方法。
(12)少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、PMS誘導体、および酸化状態の電子伝達物質を含む溶液を、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、PMS誘導体および電子伝達物質が固定化されていない電極系に接触した状態に配置することによって試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定する方法であって、該溶液に試料を混合した後、該作用電極と対向電極の間に電圧を印加して、作用電極の表面で電子伝達物質の酸化反応を行わせながら、作用電極における電流を測定し、作用電極における酸化電流の測定値からNADまたは還元型NADの量を算出することを含むNADまたは還元型NAD濃度測定方法。
(13)少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、PMS誘導体および酸化状態の電子伝達物質を含む溶液を、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、PMS誘導体および電子伝達物質が固定化されていない電極系に接触した状態に配置することによって試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定する方法であって、該溶液に試料を混合した後、該作用電極と参照電極の間に電圧を印加して、作用電極の表面で電子伝達物質の酸化反応を行わせながら、作用電極における電流を測定し、作用電極における酸化電流の測定値からNADまたは還元型NADの量を算出することを含むNADまたは還元型NAD濃度測定方法。
14)試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定するためのシステムであって、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、ジアフォラーゼおよび電子伝達物質が固定化されていない電極系;少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、ジアフォラーゼおよび酸化状態の電子伝達物質を含む溶液であって少なくとも測定時に該電極系に接触した状態に配置される溶液作用電極と対向電極の間に、電子伝達物質が作用電極の表面において酸化反応を起こすのに十分な電圧を印加する手段;および作用電極における電流を測定する手段よりなるNADまたは還元型NAD濃度測定システム。
【0024】
15)試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定するためのシステムであって、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系であって該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、ジアフォラーゼおよび電子伝達物質が固定化されていない電極系;少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、ジアフォラーゼおよび酸化状態の電子伝達物質を含む溶液であって少なくとも測定時に該電極系に接触した状態に配置される溶液作用電極と参照電極の間に、電子伝達物質が作用電極の表面において酸化反応を起こすのに十分な電圧を印加する手段;および作用電極における電流を測定する手段よりなるNADまたは還元型NAD濃度測定システム。
16)試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定するためのシステムであって、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼおよびPMS誘導体が固定化されていない電極系;少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質およびPMS誘導体を含む溶液であって少なくとも測定時に該電極系に接触した状態に配置される溶液作用電極と対向電極の間に、PMS誘導体が作用電極の表面において酸化反応を起こすのに十分な電圧を印加する手段;および作用電極における電流を測定する手段よりなるNADまたは還元型NAD濃度測定システム。
【0025】
17)試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定するためのシステムであって、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼおよびPMS誘導体が固定化されていない電極系;少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質およびPMS誘導体を含む溶液であって少なくとも測定時に該電極系に接触した状態に配置される溶液作用電極と参照電極の間に、PMS誘導体が作用電極の表面において酸化反応を起こすのに十分な電圧を印加する手段;および作用電極における電流を測定する手段よりなるNADまたは還元型NAD濃度測定システム。
(18)試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定するためのシステムであって、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、PMS誘導体および電子伝達物質が固定化されていない電極系;少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、PMS誘導体および酸化状態の電子伝達物質を含む溶液であって少なくとも測定時に該電極系に接触した状態に配置される溶液;該作用電極と対向電極の間に、電子伝達物質が作用電極の表面において酸化反応を起こすのに十分な電圧を印加する手段;および作用電極における電流を測定する手段よりなるNADまたは還元型NAD濃度測定システム。
(19)試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定するためのシステムであって、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、PMS誘導体および電子伝達物質が固定化されていない電極系;少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、PMS誘導体および酸化状態の電子伝達物質を含む溶液であって少なくとも測定時に該電極系に接触した状態に配置される溶液;該作用電極と参照電極の間に、電子伝達物質が作用電極の表面において酸化反応を起こすのに十分な電圧を印加する手段;および作用電極における電流を測定する手段よりなるNADまたは還元型NAD濃度測定システム。
20)作用電極における電流の測定値からNADまたは還元型NADの量を算出する手段をさらに含むことを特徴とする請求項1419のいずれか1項に記載のNADまたは還元型NAD濃度測定システム。
【0026】
本発明について、以下に詳細に説明する。
本発明のNADセンサは、(a)絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極、対向電極、および場合により参照電極よりなる電極系;および(b)少なくとも測定時に該電極系に接触した状態に配置される、少なくとも(イ)デヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、ジアフォラーゼおよび電子伝達物質よりなる反応溶液、または(ロ)デヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、PMS誘導体、および場合により電子伝達物質を含む反応溶液を包含し、該作用電極表面および内部に酵素、PMS誘導体および電子伝達物質のどれも固定化しておらず、該反応溶液において、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のサイクリング反応が進行し、該反応溶液中で発生した化合物が該作用電極の表面に到達し得るように構成されている。
【0027】
まず、電極系(a)について説明する。
電極系(a)を構成する絶縁性基板は、電気絶縁性材料を平板上に成形することによって得られる。絶縁性基板の形状に制限はなく、任意に選択することができる。
電気絶縁性材料は、耐水性、耐熱性および耐薬品性に優れていることが好ましい。更に、後述する電極やリードの原料である導電性材料との密着性に優れていることがより好ましい。
【0028】
電気絶縁性材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルファイド、ポリイミド、尿素樹脂等の絶縁性樹脂、ガラス、石英、セラミックス、紙等を挙げることができる。
絶縁性基板上に、作用電極、対向電極、および場合により参照電極を形成することにより、上記電極系(a)を得ることができる(以下、これらの電極を、しばしば、単に、「電極」、という)。
【0029】
本発明のNADセンサにおいては、作用電極と対向電極のみで十分な機能を発揮する。しかし、本発明のNADセンサが参照電極を有するものであると、より正確なNAD濃度測定が可能となる。
ここで、本発明の「NADセンサ」および「NAD濃度測定」は、NADまたは還元型NADを区別せず検出することを意味している。
本発明においては、通常、上記絶縁性基板上に形成した導電性材料の薄膜を電極として用いる。導電性材料の例としては、カーボン、金、白金、銀、塩化銀、鉄、亜鉛、ニッケル、パラジウム等を挙げることができ、これらは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
これらの電極を形成する方法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、フォトリソグラフィー、真空蒸着法、化学蒸着(CVD)法、電解法等を挙げることができる。
微粒子状の導電性材料を含むペースト等を、絶縁性基板の表面に塗布することによっても、これらの電極を形成することができる。特に、微粒子状の導電性材料を含むペーストインク(例えば、カーボンペーストインク又は銀ペーストインク等)を用いて、スクリーン印刷等の手法により絶縁性基板上に印刷を行う方法は、多数の電極系を迅速、かつ、安価に製造することができるので好ましい。このとき、カーボン等の安価な材料を導電性材料として使用すると、電極の製造コストを更に低減することができるので、特に使い捨て型の酵素電極の製造等においてより、好ましい。
【0031】
後述するように、本発明のNADセンサを用いて試料中のNAD濃度を測定する際、上記作用電極と対向電極(または作用電極と参照電極)の間に電圧を印加する。したがって、それらの電極の形状を、電圧を印加する手段と導線等により接続することができるよう適宜選択する。所望により、電極の形成に用いたものとは異なる導電性材料を用いて電極と接続されたリードを絶縁性基板上に形成し、このリードに導線等を介して電圧を印加する手段を接続するように構成することもできる。リードは、上記した電極の形成と同様の方法で形成することができる。 また所望により、電極の露出部分(後述する試料溶液と接触する部分)の面積を一定に保つことや、短絡を防ぐことを目的として、電極系(a)に絶縁層を形成することができる。絶縁層の原料としては、通常熱硬化性ポリエステル等の電気絶縁性樹脂を用いる。
【0032】
以上の操作により形成される電極系のイメージを図1、2、3および4に示す。図1は、絶縁性基板1の表面にリード2を形成したものを示すものである。図2は、図1中のリード2に重なるように、作用電極3と対向電極4を形成したものを示すものである。図3は、図2中のリード2の末端、作用電極3および対向電極4以外の部分に絶縁層5を形成したものを示すものである。図4は、絶縁性基板1、リード2、作用電極3、対向電極4および絶縁層5の厚み方向の相対的な位置関係を示すものである。
【0033】
これらの図1、2、3および4から明らかなように、この例ではリード2の末端部、作用電極3および対極4を除く電極系(a)のほぼ全体が絶縁層で覆われている。リード2の末端部が絶縁層で覆われておらず露出しているのは、この部分に電圧を印加する手段を接続するための導線等を接続するためである。
所望により、電極に対して洗浄、研磨、プラズマエッチング等の表面処理を行うことができる。
【0034】
電極の表面を洗浄方法としては、超音波洗浄器を用いる方法、適当な洗浄液を用いる方法等がある。これらの方法を併用することもできる。洗浄液としては、電極や絶縁性基板を損傷させないものが好ましく、通常、有機溶媒や酸等が用いられる。有機溶媒としては、極性溶媒が好ましく、アセトン等のケトン類、およびイソプロピルアルコール等のアルコール類がより好ましい。酸としては希硫酸等が好ましい。
【0035】
洗浄液として電解カソード水を用いることもできる。電解カソード水とは、純水等を電気分解した際に陰極側に生成される水性液体である。電解カソード水は、中性及至弱アルカリ性でありながら高い還元性を有しており、絶縁性基板や電極を損傷することなく、基板の表面およびそれに付着した粒子の表面をいずれも負に帯電させることにより、一度基板の表面から脱着した粒子が再度付着することを抑制することができるので、洗浄液として好ましく用いることができる。
【0036】
電極の表面を研磨する方法の例としては、アルミナ懸濁液を用いて研磨する方法、エタノール等の極性有機溶媒を含浸させた不織布により研磨する方法等を挙げることができる。
プラズマエッチングによる表面処理は、電極表面の浄化と共に、電極表面の濡れ性も向上させるので好ましい。
次に、反応溶液(b)について説明する。
【0037】
本発明において用いられる反応溶液(b)は、(イ)デヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、ジアフォラーゼおよび電子伝達物質よりなる反応溶液、または(ロ)デヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、PMS誘導体、および場合により電子伝達物質を含む反応溶液を包含する
NADの酵素的サイクリング反応は、NADを原料として還元型NADを生成する反応と、還元型NADを原料としてNADを生成する反応の2つの異なる化学反応が、同一の反応溶液中で進行する反応のことを指す。上記の還元型NAD生成反応とNAD生成反応は、酵素や化学物質等の触媒と、デヒドロゲナーゼ基質と、電子伝達物質存在下で速やかに進行する。それゆえ、本発明における反応溶液には酵素、デヒドロゲナーゼ基質、電子伝達物質が混在する。
【0038】
デヒドロゲナーゼは、少なくともNADを補酵素として消費するものであればよく、かつ、過剰量用いる特定の基質に作用して還元型NADを生成するデヒドロゲナーゼであれば、いかなる起源のデヒドロゲナーゼでもよい。これらのデヒドロゲナーゼおよびデヒドロゲナーゼ基質の例としては「酵素ハンドブック(丸尾文治、田宮信雄 監修;朝倉書店)」に記載されている。例えば、ラクテートデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.27)およびL−ラクテート、グリセロールデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.6)およびグリセロール、グリセロール−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.8)およびグリセロール−3−ホスフェート、グルコースデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.4.7)およびグルコース、マレートデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.37)およびL−マレート、グルタメートデヒドロゲナーゼ(E.C.1.4.1.2)およびL−グルタメート、3−α−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.50)および3−α−ヒドロキシステロイド、12−α−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.176)および12−α−ヒドロキシステロイドが挙げられる。
【0039】
還元型NADを原料としてNADを生成する反応を触媒する化学物質としては、フェナジンメトサルフェート(PMS)や1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルサルフェート(1−メトキシPMS)等が知られている。
還元型NADを原料としてNADを生成する反応を触媒する酵素としては、ジアフォラーゼ(E.C.1.6.99.2)(以下、「DI」、という)がよく知られている。DIは、還元型NADを補酵素として、種々の化合物を還元する(特に、リポ酸誘導体を対応するジヒドロリポ酸誘導体に還元する)活性を有する酵素である。DIは、ウシ、ラット等の哺乳類、酵母、Bacillus megaterium、Clostridium kluyveri、Bacillus stearothermophilus、Photobacterium fischeri等の細菌等、種々の生物に由来するものが知られているが、特に細菌Bacillus megateriumに由来するものを用いることが好ましい。
【0040】
本発明でいう電子伝達物質としては、還元型の状態で上記電極に800mVの電圧を印加したときに、作用電極上で電気化学的酸化反応が起こるもので、かつ、DI、またはPMS若しくは1−メトキシPMS等のPMS誘導体によって還元されるものである。
電子伝達物質として、例えば、1,4−ベンゾキノン、トルキノン、1,4−ナフトキノン、ビタミンK3、パラメチルアミノフェノール、2,5−ジクロロベンゾキノン、デュロキノン、2,5−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン等のキノン類、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド等のフラビン類、4−アミノフェノール、4−メチルアミノフェノール、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール等のフェノール類、ヒドロキシメチルフェロセン、1ーヒドロキシエチルフェロセン等のフェロセン類、N,N,N’,N’−テトラメチルフェニレンジアミンのフェニレンジアミン類、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム等のシアン化鉄類、ジビピリジルイミダゾイルオスミウムクロリド、ビピリジルフェナントロニリルN−メチルイミダゾイルオスミウムクロリドのオスミウム錯体類、ニトロテトラゾリウムブルー、イオドニトロテトラゾリウムバイオレット、トリフェニルテトラゾリウムクロリドのテトラゾリウム塩類等を挙げることができる。
【0041】
好ましくは、酸化型の状態である電子伝達物質であればいかなるものでもよい。これらは、DI、またはPMS若しくは1−メトキシPMS等のPMS誘導体によって、溶液状態で直ちに還元されるものである。鉄シアン化物のフェリシアン化物、オスミウム錯体のオスミウム(III)錯体類、テトラゾリウム塩類がこの例として挙げられる。
上記の反応溶液で用いる緩衝液としては、グリシン緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、燐酸緩衝液、各種グッド緩衝液、エタノールアミン緩衝液等の、中性からアルカリ性のものを使用できる。pH範囲としては6.0〜11.0、好ましくは8.0〜10.5、より好ましくは8.5〜10.0である。その濃度は10〜1000mM、好ましくは25〜400mMである。
【0042】
本発明のNADセンサにおいては、その性能に悪影響を及ぼさない範囲で、上記の酵素以外の蛋白質、例えば、ウシ血清アルブミンが反応溶液中に含まれていてもよい。
被検試料に含まれるNADが、上記デヒドロゲナーゼの作用により還元型NADになり、生成した還元型NADからDI、PMS等の作用によりNADが復元される。同時に酸化型の電子伝達物質が還元され、還元型の電子伝達物質となる。還元型の電子伝達物質は、適切な電圧を印加された作用電極(陽極)表面において電気化学的に酸化され、作用電極に電子を供給して酸化型の電子伝達物質に復元される。このように還元型NADの酸化/NADの還元と、電子伝達物質の還元/酸化が同期して繰り返される。
【0043】
上記のデヒドロゲナーゼのうち、NAD選択的に応答するデヒドロゲナーゼを用いると、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)やデアミドNADといったNAD類縁体が混在する状況でもNAD濃度を測定することが可能となるので好ましい。例えば、デアミドNADに対してNAD選択的に反応するデヒドロゲナーゼを用いると、デアミドNADを基質とするNAD合成酵素の活性が、本発明の酵素電極型NADセンサで測定できるようになり、NAD合成酵素反応に必要なアデノシン3リン酸(ATP)、アンモニアの濃度も測定可能となる。また、NADPに対して殆ど反応せずにNAD選択的に反応するデヒドロゲナーゼを用いると、NADPを基質とするフォスファターゼの活性が本発明のNADセンサで測定できるようになる。
【0044】
例えば、アルカリフォスファターゼは免疫検出の標識に多用される酵素である。上記のようなNAD選択的に反応するデヒドロゲナーゼを用いた酵素電極型NADセンサにより、免疫検出が可能な免疫センサとして利用することもできる。さらに、NAD合成酵素とピルベートオルトフォスフェートジキナーゼを組み合わせて溶液にアデノシン1リン酸とピルビン酸を添加するか、またはNAD合成酵素とATP-スルフリラーゼを組み合わせて溶液にアデノシン5'ホスホサルフェートを添加することによりピロリン酸を定量することができる。これにより、例えば、特定の遺伝子配列にハイブリダイズする合成DNAをプライマーとしたDNA合成反応の伸長を検出することにより、遺伝子センサとしても利用することができる。
【0045】
次に、「作用電極表面および内部に酵素および電子伝達物質を固定化していない」状態について説明する。
本発明で用いる作用電極は、絶縁性基板上に導電性材料を付着することにより形成される電極であり、必要に応じて電極面の洗浄、研磨をすることはあるものの、酵素、PMS誘導体および電子伝達物質の作用電極表面および内部への固定と該酵素や該電子伝達物質固定のための担体結合が一切なされていない。
【0046】
ここでいう酵素やPMS誘導体や電子伝達体の作用電極表面への固定とは、作用電極の表面に酵素を直接結合させる方法による固定のみではなく、作用電極表面と酵素との直接的な結合を伴わない固定も含む。固定化法としては、担体に酵素を吸着させる方法、担体中に酵素を包括する方法(後記の特許文献14、特許文献15)、担体に酵素と反応性の高い官能基を導入し、酵素と共有結合させる方法(後記の特許文献16)、担体と酵素とを架橋する方法(後記の特許文献17、特許文献18)、担体と酵素とをイオン結合させる方法(後記の特許文献19)等がある。
【0047】
本発明の酵素電極型NADセンサでは、上記のような酵素の固定操作を施されていない作用電極を用いることを特徴とする。但し、作用電極以外の部分で結合または接触するように酵素を固定している状態を排除するものではない。作用電極に結合または接触する形態で、酵素および電子伝達物質が固定されていないことが本発明の酵素電極型NADセンサの特徴である。
例えば、「固定化酵素」(後記の非特許文献4)によると、酵素を触媒として利用する場合、以下の(b)と(c)の状態の酵素を、固定化酵素と定義している。
【0048】
(a)水に溶けた状態
(b)水に溶けているが、固定化された状態
(c)水に不溶性で固定化された状態
反応溶液において、NADの酵素的サイクリング反応が進行し、該反応溶液中で発生した化合物が該作用電極の表面に到達し得るように構成されているとき、(a)の「水に溶けた」状態であることが本発明の特徴である。
【0049】
本発明においては、前記の反応溶液中でNADのサイクリング反応が進行し、またはNADサイクリング反応が完了した溶液を上記電極の作用電極と対向電極(または作用電極と参照電極)に接するように配置する。反応溶液または反応完了溶液に含まれている電子伝達物質が作用電極において酸化反応を起こすだけの十分な電位差を印加したとき、被検試料中に含まれるNAD濃度に応じて得られる電気量または電流の差異を測定することによりNAD濃度を容易に決定することができる。
本発明の測定システムにおけるデータ処理部は、酵素電極から得られた電気信号をもとに測定値を算出する機能を有しており、例えば、上記電気信号をアナログ信号および/またはデジタル信号に変換し、測定値を算出するという形態で動作する。
【0050】
以上のようにして、本発明のNADセンサは構成されるが、反応溶液中に、少なくとも(イ)デヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、ジアフォラーゼおよび電子伝達物質よりなる反応溶液、または(ロ)デヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、PMS誘導体、および場合により酸化状態にある電子伝達物質が存在していて、作用電極上に酵素および電子伝達物質を固定しない電極で構成されていれば他は特に限定されない。
本発明において、電気絶縁基板、保持材、電極の材料、形状、厚さ等も限定されるものではなく、酵素電極の用途、使用態様に応じ適宜、選択・設定すればよい。
【0051】
【特許文献14】
特開昭58−5193号公報
【特許文献15】
特開平06−181763号公報
【特許文献16】
特開平03−19687号公報
【特許文献17】
特開昭56−73342号公報
【特許文献18】
特開2000−189188号公報
【特許文献19】
特公昭53−12998号公報
【非特許文献4】
千畑一郎編、講談社、1975年3月20日、p6
【0052】
【発明の実施の形態】
次に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら制限されるものではない。
【0053】
実施例1
還元型NADの測定
カーボン製リングディスク電極(ビー・エー・エス株式会社製、カタログ番号002083)上に、20μlの被験溶液[50mM 2−N−シクロヘキシルアミノエタンスルホン酸(CHES) pH9.5, 50mM 塩化カリウム, 2mM デオキシコール酸, 10mM フェリシアン化カリウム, 80U/ml 12αHSD(旭化成株式会社製,カタログ番号T−06), 4U/ml DI(旭化成株式会社製,カタログ番号T−06)]を滴下し、この作用電極および対向電極をポテンシオスタット(ビー・エー・エス株式会社製、BAS−100B)に接続し、室温(22℃)において測定を行った。
【0054】
被検溶液に終濃度で0、3、10、30、100nMになるようそれぞれ還元型NADを加え、作用電極−対向電極(兼参照電極)間に300mVの電圧を印加した状態で流れる電流量を30秒間測定し、測定開始30秒後の電流値を測定値とした。
測定した結果、192、293、550、989、2805nAの電流が得られた(図5)。
【0055】
比較例1
還元型NADの測定(酵素固定電極を用いた場合)
カーボン製リングディスク電極(ビー・エー・エス株式会社製,カタログ番号002083)上に、0.2%CMCを3μl滴下して乾燥させた後、200U/mlの12αHSD(旭化成株式会社製,カタログ番号T−06)と10U/mlのDI(旭化成株式会社製,カタログ番号T−06)の酵素混合溶液を5μl滴下して風乾させたものをNADまたは還元型NAD測定用酵素電極として作製した。
【0056】
このNADまたは還元型NAD測定用酵素電極上に、20μlの被験溶液[50mM CHES pH9.5, 50mM 塩化カリウム, 2mM デオキシコール酸, 10mM フェリシアン化カリウム]を滴下し、この作用極および対向電極をポテンシオスタット(ビー・エー・エス株式会社製,BAS−100B)に接続し、室温(22℃)において測定を行った。
被検溶液に終濃度で0、3、10、30、100nMになるようそれぞれ還元型NADを加え、作用電極−対向電極(兼参照電極)間に300mVの電圧を印加した状態で流れる電流量を30秒間測定し、測定開始30秒後の電流値を測定値とした。
測定した結果、269、304、533、802、2037nAの電流が得られた(図6)。
実施例1と比較すると、検出電流値が低下してS/N比が悪化していることがわかる。
【0057】
比較例2
還元型NADの測定(電子伝達体がフェロセンの場合)
カーボン製リングディスク電極(ビー・エー・エス株式会社製,カタログ番号002083)上に、20μlの被験溶液[50mM CHES pH9.5, 50mM 塩化カリウム, 2mM デオキシコール酸, 100μM フェロセン, 80U/ml 12αHSD, 4U/ml DI(旭化成株式会社製、カタログ番号T−06)]を滴下し、この作用極および対向電極をポテンシオスタット(ビー・エー・エス株式会社製、BAS−100B)に接続し、室温(22℃)において測定を行った。
【0058】
被験溶液に終濃度で0、3、10、30、100nMになるようそれぞれ還元型NADを加え、作用電極−対向電極(兼参照電極)間に300mVの印加電圧を掛けた状態で流れる電流量を30秒間測定し、測定開始30秒後の電流値を測定値とした。
測定した結果、121、122、121、124、120nAの電流が得られた(図7)。
実施例1と比較すると、還元型NADに由来する電流値が検出できていないことがわかる。
【0059】
実施例2
アルカリフォスファターゼ活性の測定
20μlの測定溶液[50mM CHES pH9.5, 25μM NADP,1mM 塩化マグネシウム,50mM 塩化カリウム, 2mM デオキシコール酸, 10mM フェリシアン化カリウム]に、既知量のアルカリフォスファターゼ溶液1μlを滴下し、室温で5分間反応させた。その後、5μlの酵素溶液[200U/ml 12αHSD, 10U/ml DI(旭化成株式会社製、カタログ番号T−06)]を該溶液に添加し、カーボン製リングディスク電極(ビー・エー・エス株式会社製、カタログ番号002083)上に滴下した。
【0060】
このリングディスク電極の作用電極および対向電極をポテンシオスタット(ビー・エー・エス株式会社製、BAS−100B)に接続し、室温(22℃)において測定を行った。測定溶液に0、10、30、100、300amolになるようそれぞれアルカリフォスファターゼを加え、作用電極−対向電極(兼参照電極)間に300mVの印加電圧を掛けた状態で流れる電流量を30秒間測定し、測定開始30秒後の電流値を測定値とした。
測定した結果、192、293、507、989、2989nAの電流が得られた(図8)。
【0061】
【発明の効果】
電極上に酵素固定をしないで電気化学的に酵素反応を検出することにより、極めて高い感度の酵素電極が得られた。特に、スターラーやポンプ等の水流発生装置を使わない酵素電極を利用した検出システムで大きな効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】絶縁基板上にリード線を設けた状態を示す図。
【図2】図1に作用電極と対向電極を設けた図。
【図3】図2に絶縁基板を設けた図。
【図4】絶縁基板、リード線、作用電極、対向電極および絶縁層の相対関係を示す図。
【図5】実施例1の還元型NADに対する検量線を示すグラフ。
【図6】比較例1の還元型NADに対する検量線を示すグラフ。
【図7】比較例2の還元型NADに対する検量線を示すグラフ。
【図8】実施例2のアルカリフォスファターゼに対する検量線を示すグラフ。

Claims (20)

  1. 絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、ジアフォラーゼおよび酸化状態の電子伝達物質を含む溶液が該電極系に接触しており、作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、ジアフォラーゼおよび電子伝達物質が固定化されていないことを特徴とするNADまたは還元型NAD濃度測定用電極系
  2. 絶縁性基板上の電極系に、参照電極がさらに設けられており、該溶液が、作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系に接触している請求項1記載のNADまたは還元型NAD濃度測定用電極系
  3. 酸化状態である電子伝達物質がフェリシアン化物である請求項1または2記載のNADまたは還元型NAD濃度測定用電極系
  4. 絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質およびフェナジンメトサルフェート(PMS)誘導体を含む溶液が該電極系に接触しており、作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼおよびPMS誘導体が固定化されていないことを特徴とするNADまたは還元型NAD濃度測定用電極系
  5. 絶縁性基板上の電極系に、参照電極がさらに設けられており、該溶液が、作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系に接触している請求項4記載のNADまたは還元型NAD濃度測定用電極系
  6. 絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、PMS誘導体および酸化状態の電子伝達物質を含む溶液が該電極系に接触しており、作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、PMS誘導体および電子伝達物質が固定化されていないことを特徴とするNADまたは還元型NAD濃度測定用電極系
  7. 絶縁性基板上の電極系に、参照電極がさらに設けられており、該溶液が、作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系に接触している請求項6記載のNADまたは還元型NAD濃度測定用電極系
  8. 少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、ジアフォラーゼおよび酸化状態の電子伝達物質を含む溶液を、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、ジアフォラーゼおよび電子伝達物質が固定化されていない電極系に接触した状態に配置することによって試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定する方法であって、該溶液に試料を混合した後、作用電極と対向電極の間に電圧を印加して、作用電極の表面で電子伝達物質の酸化反応を行わせながら、作用電極における電流を測定し、作用電極における酸化電流の測定値からNADまたは還元型NADの量を算出することを含むNADまたは還元型NAD濃度測定方法。
  9. 少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、ジアフォラーゼおよび酸化状態の電子伝達物質を含む溶液を、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、ジアフォラーゼおよび電子伝達物質が固定化されていない電極系に接触した状態に配置することによって試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定する方法であって、該溶液に試料を混合した後、作用電極と参照電極の間に電圧を印加して、作用電極の表面で電子伝達物質の酸化反応を行わせながら、作用電極における電流を測定し、作用電極における酸化電流の測定値からNADまたは還元型NADの量を算出することを含むNADまたは還元型NAD濃度測定方法。
  10. 少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質およびPMS誘導体を含む溶液を、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、およびPMS誘導体が固定化されていない電極系に接触した状態に配置することによって試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定する方法であって、該溶液に試料を混合した後、作用電極と対向電極の間に電圧を印加して、作用電極の表面でPMS誘導体の酸化反応を行わせながら、作用電極における電流を測定し、作用電極における酸化電流の測定値からNADまたは還元型NADの量を算出することを含むNADまたは還元型NAD濃度測定方法。
  11. 少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質およびPMS誘導体を含む溶液を、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼおよびPMS誘導体が固定化されていない電極系に接触した状態に配置することによって試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定する方法であって、該溶液に試料を混合した後、作用電極と参照電極の間に電圧を印加して、作用電極の表面でPMS誘導体の酸化反応を行わせながら、作用電極における電流を測定し、作用電極における酸化電流の測定値からNADまたは還元型NADの量を算出することを含むNADまたは還元型NAD濃度測定方法。
  12. 少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、PMS誘導体、および酸化状態の電子伝達物質を含む溶液を、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、PMS誘導体および電子伝達物質が固定化されていない電極系に接触した状態に配置することによって試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定する方法であって、該溶液に試料を混合した後、該作用電極と対向電極の間に電圧を印加して、作用電極の表面で電子伝達物質の酸化反応を行わせながら、作用電極における電流を測定し、作用電極における酸化電流の測定値からNADまたは還元型NADの量を算出することを含むNADまたは還元型NAD濃度測定方法。
  13. 少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、PMS誘導体および酸化状態の電子伝達物質を含む溶液を、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、PMS誘導体および電子伝達物質が固定化されていない電極系に接触した状態に配置することによって試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定する方法であって、該溶液に試料を混合した後、該作用電極と参照電極の間に電圧を印加して、作用電極の表面で電子伝達物質の酸化反応を行わせながら、作用電極における電流を測定し、作用電極における酸化電流の測定値からNADまたは還元型NADの量を算出することを含むNADまたは還元型NAD濃度測定方法。
  14. 試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定するためのシステムであって、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、ジアフォラーゼおよび電子伝達物質が固定化されていない電極系;少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、ジアフォラーゼおよび酸化状態の電子伝達物質を含む溶液であって少なくとも測定時に該電極系に接触した状態に配置される溶液作用電極と対向電極の間に、電子伝達物質が作用電極の表面において酸化反応を起こすのに十分な電圧を印加する手段;および作用電極における電流を測定する手段よりなるNADまたは還元型NAD濃度測定システム。
  15. 試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定するためのシステムであって、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系であって該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、ジアフォラーゼおよび電子伝達物質が固定化されていない電極系;少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、ジアフォラーゼおよび酸化状態の電子伝達物質を含む溶液であって少なくとも測定時に該電極系に接触した状態に配置される溶液作用電極と参照電極の間に、電子伝達物質が作用電極の表面において酸化反応を起こすのに十分な電圧を印加する手段;および作用電極における電流を測定する手段よりなるNADまたは還元型NAD濃度測定システム。
  16. 試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定するためのシステムであって、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼおよびPMS誘導体が固定化されていない電極系;少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質およびPMS誘導体を含む溶液であって少なくとも測定時に該電極系に接触した状態に配置される溶液作用電極と対向電極の間に、PMS誘導体が作用電極の表面において酸化反応を起こすのに十分な電圧を印加する手段;および作用電極における電流を測定する手段よりなるNADまたは還元型NAD濃度測定システム。
  17. 試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定するためのシステムであって、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼおよびPMS誘導体が固定化されていない電極系;少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質およびPMS誘導体を含む溶液であって少なくとも測定時に該電極系に接触した状態に配置される溶液作用電極と参照電極の間に、PMS誘導体が作用電極の表面において酸化反応を起こすのに十分な電圧を印加する手段;および作用電極における電流を測定する手段よりなるNADまたは還元型NAD濃度測定システム。
  18. 試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定するためのシステムであって、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極および対向電極よりなる電極系であって、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、PMS誘導体および電子伝達物質が固定化されていない電極系;少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、PMS誘導体および酸化状態の電子伝達物質を含む溶液であって少なくとも測定時に該電極系に接触した状態に配置される溶液;該作用電極と対向電極の間に、電子伝達物質が作用電極の表面において酸化反応を起こすのに十分な電圧を印加する手段;および作用電極における電流を測定する手段よりなるNADまたは還元型NAD濃度測定システム。
  19. 試料中のNADまたは還元型NADの濃度を測定するためのシステムであって、絶縁性基板、並びにその上に形成された作用電極、対向電極および参照電極よりなる電極系、該作用電極表面および内部に、デヒドロゲナーゼ、PMS誘導体および電子伝達物質が固定化されていない電極系;少なくともデヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ基質、PMS誘導体および酸化状態の電子伝達物質を含む溶液であって少なくとも測定時に該電極系に接触した状態に配置される溶液;該作用電極と参照電極の間に、電子伝達物質が作用電極の表面において酸化反応を起こすのに十分な電圧を印加する手段;および作用電極における電流を測定する手段よりなるNADまたは還元型NAD濃度測定システム。
  20. 作用電極における電流の測定値からNADまたは還元型NADの量を算出する手段をさらに含むことを特徴とする請求項1419のいずれか1項に記載のNADまたは還元型NAD濃度測定システム。
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