JP6286664B2 - 加湿装置 - Google Patents

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Description

本発明は、室内の空気を加湿するために使用され、加湿手段としてのフィルタを有する加湿装置に関するものである。
従来、この種の加湿装置には、気化フィルタの上流に放電ユニットを設け、放電ユニットを加湿機の運転と連動して間欠運転するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図8に示すように、吸込口101から吹出口102に送風する送風機103と、本体の内部に水を貯留する水槽部104と、前記水槽部104の水を吸水し前記送風機103の空気により水を気化する気化フィルタ105と、加湿運転を制御する制御部を備えた気化式加湿装置において、前記気化フィルタ105の上流に放電ユニット106を設け、制御部が放電ユニット106を加湿運転と連動して間欠運転するものである。放電ユニットから発生するオゾンや過酸化水素等の活性種を利用して、気化フィルタの表面や水槽部内での雑菌の発生・増殖を抑えることができ、吹出口からの悪臭や雑菌の放出を防止するものであった。
特開2006−153316号公報
従来の加湿装置では、ホコリ等の空気中の汚れが吸込口から本体内に入ると、放電ユニットにホコリが付着して異常放電を起こし、安定的に活性種を発生させることが困難であるという課題があった。また、気化式の加湿装置において、加湿性能は加湿フィルタの吸水性能によって決まるため、空気中に浮遊し吸水性能を低下させる油やカーボン等の疎水性汚れが加湿フィルタに付着すると、フィルタ表面が疎水化して加湿性能が低下するという課題があった。しかしながら、従来の方法では、放電ユニットから発生した活性種は、加湿フィルタ上流部に付着したホコリや雑菌と接触して消費されてしまうため、加湿性能を長期間持続させることは困難であった。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、活性種放出部へのホコリの付着を抑制し、安定的に活性種を発生させて加湿フィルタの表面に付着する疎水性汚れを分解し、フィルタ表面を親水性に保つことによって加湿性能を長期間持続させることができる加湿装置を提供することを目的とする。
そして、この目的を達成するために、本発明は、吸込口と吹出口を有する本体と、前記吸込口と吹出口を連通する通風路内に、ファンと、前記ファンの上流に配置され空気を加湿する加湿フィルタと、前記加湿フィルタに水を供給する貯水部とをえ、前記加湿フィルタは、筒状であり、下部を前記貯水部の水に接しさせて配置し、前記ファンの運転時において、前記加湿フィルタの外周部から該加湿フィルタを通過した空気を該加湿フィルタの内周部から加湿した空気として上方に向けて排出する加湿装置であって、前記通風路内の加湿フィルタとファンの間で加湿フィルタ上端部よりも上方に放電によって活性種を発生させる活性種放出部を備え、ファンの運転停止時において、コロナ放電によって発生させた活性種を前記加湿フィルタの上端部から、前記加湿フィルタと前記水に囲まれた空間に貯留させることができることを特徴とするものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
本発明によれば、活性種放出部へのホコリの付着を抑制し、安定的に活性種を発生させることができる。また、活性種を使って加湿フィルタの表面に付着する疎水性汚れを分解し、フィルタ表面を親水性に保つことによって加湿性能を長期間持続させることができるものである。
本発明の前提例1および2の加湿装置を示す斜視図 本発明の前提例1の加湿装置を示す側面断面図 本発明の前提例1の加湿装置を示す正面断面図 本発明の前提例2の加湿フィルタを示す概略斜視図 本発明の前提例2の加湿フィルタを示す概略断面図 本発明の実施の形態の加湿装置を示す正面断面図 本発明の実施の形態の加湿フィルタの概略斜視図 従来の加湿装置を示す概略断面図
本発明の請求項1記載の加湿装置は、吸込口と吹出口を有する本体と、前記吸込口と吹出口を連通する通風路内に、ファンと、前記ファンの上流に配置され空気を加湿する加湿フィルタと、前記加湿フィルタに水を供給する貯水部とをえ、前記加湿フィルタは、筒状であり、下部を前記貯水部の水に接しさせて配置し、前記ファンの運転時において、前記加湿フィルタの外周部から該加湿フィルタを通過した空気を該加湿フィルタの内周部から加湿した空気として上方に向けて排出する加湿装置であって、前記通風路内の加湿フィルタとファンの間で加湿フィルタ上端部よりも上方に放電によって活性種を発生させる活性種放出部を備え、ファンの運転停止時において、コロナ放電によって発生させた活性種を前記加湿フィルタの上端部から、前記加湿フィルタと前記水に囲まれた空間に貯留させることができることを特徴とする。これにより、ファンの運転停止時に、加湿フィルタの表面に付着した疎水性汚れを分解し、さらにフィルタ表面を親水化することにより、加湿性能が低下しにくい加湿装置を得ることができる。また、活性種放出部にほこりが付着しにくく、ほこり付着による異常放電を抑制することができる。
また、請求項2記載の加湿装置は、加湿フィルタが、複数の通気孔を有し、上流側と下流側に配置した2枚の編地と、間隔をあけて2枚の編地を連結する複数の連結繊維とを備え、編地および連結繊維間に水を保持する立体編物により構成されることを特徴とする。これにより、優先的に親水化された一方の編地を伝って、水が加湿フィルタ上方まで吸上げられ、編地から連結繊維に水が供給され続けるため、長期間加湿性能が低下しにくい加湿装置を得ることができる。
また、請求項3記載の加湿装置は、ファンの運転停止時に貯留した活性種を前記ファンの運転時において、前記ファン、および活性種発生手段から吹出口までの通風路、に接触させることができることを特徴とする。これにより、ファンを停止から運転に切り替えると、高濃度に貯留された活性種が活性種放出部から吹出口の間の空間である通風路を通過していくことにより、ファンや前記通風路を形成する本体ケース内部の隅まで活性種に接触して、通風路をより清潔に保つ効果を得ることができる。
また、請求項4記載の加湿装置は、加湿フィルタに親水化処理を施したことを特徴とする。これにより、編地および連結繊維の表面が親水化され、より水を吸上げやすくなるという効果を得ることができる。
また、請求項5記載の加湿装置は、水に抗菌・防カビ成分を溶出させる抗菌成分溶出部材を備えたことを特徴とする。これにより、これにより、抗菌・防カビ成分が水と一緒に加湿フィルタ上に広く拡散し、加湿フィルタを清潔に保つことができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
前提例1)
図1に示すように、本発明の加湿装置1は、本体ケース2の側面に吸込口3、上部に吹出口4を備えている。本体ケース2の上部には、操作部5と表示部6を備え、水タンク7は上方から引き抜いて給水することができる。装置の概略断面図を図2および図3に示す。吸込口3と吹出口4を連通する通風路8内に、送風手段としてのファン9と、ファン9の上流に配置された加湿フィルタ10と、加湿フィルタの形状を安定化させる加湿フィルタケース11と、活性種放出部12を設けている。貯水部13は、水タンク7から供給される水をためるトレー形状であり、上部が開放になって通風路を形成している。貯水部13には、水タンク7と一体となった調整弁の働きによって、常に一定量の水が保持されるようになっている。貯水部13には、抗菌成分溶出部材14が設置されており、抗菌成分や防カビ成分を水に溶出させることができる。加湿フィルタ10および加湿フィルタケース11の下部は水と接しており、毛細管現象によって加湿フィルタ10は湿潤状態になっている。吸込口3から導入された乾燥した空気は、ファン9によって湿潤した加湿フィルタ10に送り込まれ、加湿フィルタ10で水が気化して吹出口4から加湿空気が放出される。通風路8の構成を理解し易くするため、加湿フィルタ10の上流部を通風路8a、加湿フィルタ10と活性種放出部12の設置位置までを通風路8b、活性種放出部12からファン9を含み吹出口4までを通風路8cと呼ぶ。図中の矢印は、ファン9を運転したときの風の流れを示す。
加湿フィルタ10は、一般的に加湿用に用いられているものを使用できる。セルロース等の紙や木質素材をコルゲート形状に加工したもの、絹・毛・綿・麻等の天然繊維、レーヨン・アセテート・トリアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維をコルゲート状にしたもの、吸水性のあるセラミックスハニカムなどを用いることができる。
加湿フィルタ10は、下端部から毛細管現象により吸水が可能である。図2および図3の加湿フィルタ10は、繊維シートをプリーツ形状に折りたたんで適度な通風性を確保したものであり、繊維シート面を通過するように空気が流れるようになっている。加湿フィルタ10の下端部から吸上げられた水は、繊維シート面の全体に広がっていき、加湿フィルタ10が湿潤する。加湿フィルタ10の繊維シートの隙間を乾燥空気が通過することによって水の蒸発が起こり、加湿空気が排出される。
ここで、加湿フィルタ10には、素早く吸水して、より多くの水を保持する機能が求められる。新品の加湿フィルタ10では、上流側と下流側の状態は同じである。加湿装置の使用時間が長くなると、ホコリ等の空気中の汚れが吸込口3から通風路8に入り込む。汚れの量は上流側から8a、8b、8cの順に少なくなる。これは加湿フィルタ10や通風路の樹脂表面や貯水部13等に付着して、徐々に空気中の汚れが減少するためである。加湿フィルタ10に着目すると、通風路8a側の上流表面の汚れは多く、通風路8b側の下流表面の汚れ少なくなる。従来の加湿装置では、上流側に放電ユニット106を設置しているため、放電ユニット106から発生した活性種は、汚れの多い上流表面に接触し、加湿フィルタを通過した後、下流表面に達することになる。この結果、放電ユニットから発生した活性種は、加湿フィルタ10の上流側に付着したホコリや雑菌と接触して消費されてしまうため、下流側に達する量は大幅に減少してしまうことになる。
活性種放出部12は、放電針と間隔を開けて対向したアース板を備え、前記放電針とアース板に高電圧を印加してコロナ放電させるものである。このとき、放電によって空気中の水分と酸素が反応して、過酸化水素やオゾン等の活性種が発生する。活性種は放電針の軸方向に向かって発生しているイオン風に沿って放電針の先端から拡散していく。放電針にほこりが付着すると、放電針とアース板との短絡の発生や、異常放電などが発生し活性種を安定して発生させることができなくなる。そのため、活性種放出部は、できるだけ汚れの付着しにくい位置に設置することが望ましい。
本発明は、活性種放出部12が、通風路8bの加湿フィルタ10の下流側かつ加湿フィルタ10の上端部よりも上方に位置し、ファン9の運転停止時にコロナ放電によって活性種をイオン風に沿って発生させて、加湿フィルタ10の下流側の活性種濃度を上流側よりも高くすることを特徴とするものである。ファン9の運転停止時に、活性種を加湿フィルタの下流側に充満させて加湿フィルタ10の表面に付着した疎水性汚れを分解し、さらに活性種の酸化力によって加湿フィルタ10の表面を親水化することにより、ファン9の運転再開時に加湿フィルタに十分な吸水が行われ加湿性能が低下しにくい加湿装置を得ることができる。これは、汚れが多く付着する加湿フィルタの上流側ではなく、汚れの少ない下流側から多くの活性種を接触させることによって、油やカーボン等の疎水性の汚れを効率的に分解し、より多くの活性種によって加湿フィルタ10を親水化し続けることができるためである。親水化された加湿フィルタの下流側では毛細管現象によって水が吸上げられるため、吸水力を長期間持続させることができる。これにより、加湿性能が低下しにくいものである。
また、吸込口3から吸い込まれたホコリや油を含む空気は、加湿フィルタ10の上流側でホコリ等が除去され、さらに活性種放出部12は加湿フィルタ10よりも上方に位置するため、活性種放出部12にほこりが付着しにくく、ほこり付着による異常放電を抑制することができる。
また、活性種放出部12を加湿フィルタ10の下流側かつ加湿フィルタ10の上端部よりも上方に備え、加湿フィルタ10と貯水部13と囲われた通風路8bの空間に、空気よりも重い活性種をイオン風に沿って放出させることによって、通風路8bの空間に活性種を充満させて高濃度化し、加湿フィルタ10を効率的に親水化することができる。これは、ファンによる送風を停止した状態で、活性種が空気よりも重い性質を利用したものである。
時間経過とともに高濃度になった活性種を含む空気は、疎水性汚れの分解と加湿フィルタ表面の親水化を行うことができる。ここで、放電による活性種として、オゾンや過酸化水素などが挙げられる。これらの活性種は、空気の平均分子量よりも重いため、活性種放出部12よりも下の空間に流れ易くなる。さらに、活性種発生部は、図2および図3の一点破線で示すように、イオン風の向きを下方に向けることで、さらに効果的に活性種による汚れ分解と親水化を行うことができる。また、活性種放出部12を、加湿フィルタ10よりも上方に設置することで、加湿フィルタ全体を親水化することができる。
以上の構成により、活性種放出部へのホコリの付着を抑制し、活性種を使って加湿フィルタの表面に付着する疎水性汚れを分解し、フィルタ表面を親水性に保つことによって加湿性能を長期間持続させることができる加湿装置を得ることができる。
前提例2)
本発明の前提例1における別の加湿フィルタの一例として、立体編物からなる加湿フィルタの斜視図を図4、断面図を図5に示す。加湿フィルタ10は、複数の通気孔を有し、上流側と下流側に配置した2枚の編地と、間隔をあけて2枚の編地を連結する複数の連結繊維とを備え、編地および連結繊維間に水を保持する立体編物により構成されるものである。加湿フィルタ10を表面から見た場合、編地を構成する繊維によって平面視六角形状が形成され、通気孔として中央が空間となっている。加湿フィルタ10は、通気孔を備えた上流側の編地15と下流側の編地16を、3本以上の繊維を束ねた連結繊維17が連結してなる立体編物により構成している。加湿される乾燥空気は、立体編物の上流側の編地15から入り、連結繊維17の周囲を流れて下流側の編地16から抜け、加湿空気となる。なお、加湿フィルタ10としては、立体編物以外の編物、織物を用いてもよい。加湿フィルタの材質として、セルロース等の紙や木質素材をメッシュ形状に加工したもの、絹・毛・綿・麻等の天然繊維、レーヨン・アセテート・トリアセテート等の合成繊維を目の粗い状態で板状にしたものを用いてもよい。なお、立体編物の通気孔の形状や厚さは、特に限定されるものではない。
空気中の汚れが加湿フィルタ10に付着する場合、図5の断面模式図の矢印で示すように、上流側の編地15に大きな汚れや雑菌が付着していく。下流側の編地16には相対的に汚れ付着量が少なく、一点破線矢印で示す活性種の作用によって表面が親水化されているため、破線矢印のように水の吸上げが行われ、連結繊維17に向かって水が導水されていく。
加湿フィルタ10として吸水力を保持するためには、繊維表面の一部を親水化しただけでは不十分であり、加湿フィルタの導水経路となる編地の面全体が親水性を保つ必要がある。片方の編地に相対的に高濃度の活性種を接触させることによって、活性種と編地を構成する表面繊維との接触確率が高くなり、活性種によって親水化される繊維の面積を増やすことができる。優先的に親水化された下流側の編地16を伝って、水が加湿フィルタの上部方向に吸上げられ、親水化された一方の編地から連結繊維17に水が供給され続ける。乾燥した空気は、水を十分に保持した連結繊維17に沿って流れることにより加湿される。上流側の編地15が汚れの影響で毛細管力が低下して吸水できなくなったとしても、下流側の編地16から連結繊維17に向かって水が供給されるため、加湿性能が長期間低下しにくい加湿装置を得ることができる。
また、加湿フィルタに親水化処理を施してもよい。これにより、編地および連結繊維の表面が親水化され、より水を吸上げやすくなるという効果を得ることができる。例えば、糸を構成する繊維の少なくとも一部に、親水化材としてのシリカゲルを担持することにより、繊維間の毛管現象が起きやすくなり、加湿フィルタの吸水速度を向上することができ、より高い加湿性能の加湿装置を得ることができる。ここで、編地の親水性とは、編地の表面が水になじむ性質を指し、表面の接触角の低いものは親水性が高いことを表す。
親水化材は、編地、糸または繊維に担持させることで編地、糸または繊維に親水性を与えるものであり、吸水速度を高めるものを指す。親水化材としては、シリカゲルやゼオライトなどの無機化合物、コットンリンタなどの糸片などが挙げられる。また、ポリエチレングリコールなどの高分子が挙げられる。親水化材を担持する方法としては、これらの粒子を、バインダを用いて基材表面に接着すれば良い。バインダの種類はとくに指定するものではなく、担持する粒子、基材表面性質、および使用環境などを考慮して適したものを選択すれば良い。また、親水性塗料を塗布したり、繊維に親水性素材を練りこんだりするなどしても良い。
また、親水化処理がアクリルコロイダルシリカの被覆であってもよい。これにより、繊維の柔軟性を保ちながら表面を親水化し、容易に洗浄可能な加湿フィルタとすることができる。アクリルコロイダルシリカを用いることにより、繊維の柔軟性を維持しながら、繊維表面を親水化することができる。また、繊維表面がコロイダルシリカで被覆された状態になるため、活性種と繊維の過剰な反応によって繊維が硬化して柔軟性が低下する確率を下げることができる。繊維の柔軟性を適度に保つことにより、容易に洗浄可能な加湿フィルタとすることができる。アクリルコロイダルシリカの一例として、日本合成化学のモビニール8020などが挙げられる。
また、水に抗菌・防カビ成分を溶出させる抗菌成分溶出部材を備えていてもよい。これにより、抗菌・防カビ成分が水と一緒に、親水化されてより広範囲に吸水されるようになった加湿フィルタ上に広く・早く拡散し、加湿フィルタを清潔に保つことができる。抗菌剤としては、銀・銅・亜鉛・ニッケルなどの金属イオンを溶出する無機化合物、銀・銅・亜鉛・ニッケルの金属微粒子、銀ゼオライト、銀含有リン酸ジルコニウム、ヨウ素化合物類、第4級アンモニウム塩類、イミダゾール化合物類などが挙げられる。防カビ剤としては、有機窒素化合物・硫黄系化合物、有機酸エステル類、有機ヨウ素系イミダゾール化合物、ベンザゾール化合物などが挙げられる。これらの成分を、樹脂に練りこみ、粘土やセラミックに含有させて固体状に成型し、水槽内に設置することで、抗菌成分や防カビ成分を水に溶出させることができる。
(実施の形態
前提例1および2と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図6に示すように、加湿装置は、本体ケース2の側面に吸込口3、上部に吹出口4を備えている。吸込口3と吹出口4を連通する通風路8内に、送風手段としてのファン9と、ファン9の上流に配置された立体編物からなる加湿フィルタ10と、加湿フィルタの形状を安定化させる加湿フィルタケース11と、活性種放出部12を設けている。加湿フィルタ10は筒状であり、加湿フィルタケース11には通気可能な開口が設けられており、乾燥した空気は外周部から加湿フィルタを通過し、筒状の内部から上方に向かって加湿された空気が排出される。貯水部13には、活性種放出部12と対向する位置に、抗菌成分溶出部材14が設置されており、抗菌成分や防カビ成分を水に溶出させることができる。筒状の加湿フィルタ10および加湿フィルタケース11の下部は水と接しており、毛細管現象によって加湿フィルタ10は湿潤状態になっている。吸込口3から導入された乾燥した空気は、ファン9によって湿潤した加湿フィルタ10に送り込まれ、加湿フィルタ10で水が気化して吹出口4から加湿空気が放出される。図中の矢印は、ファン9を運転したときの風の流れを示す。
図7は、加湿フィルタ10のみを取り出したものであり、立体編物の端面をつなぎ合わせて筒状にしたものである。(図7では加湿フィルタ10の表面の一部のみを六角形状で表記している)。加湿フィルタ10の筒状の内周側に、形状を安定させるための加湿フィルタケース11が接するように加湿装置に配置する。筒状の加湿フィルタ10の内周部が通風路8bの一部を形成する。活性種放出部12から放出された空気よりも重い活性種は、筒状の加湿フィルタ10の上端部と貯水部に貯留された水に囲まれた空間に向かって放出される。ファン9を停止して、活性種放出部12を作動させ続けることにより、通風路8bの加湿フィルタと10と水に囲まれた空間には活性種が貯留され、徐々に濃度が高くなっていく。高濃度の活性種は、筒状の加湿フィルタ10の内周側表面を親水化し、油やカーボン等の疎水性汚れを分解することによって、加湿フィルタ10の吸水性能が長期間維持される。
加湿フィルタ10は着脱自在であり、立体編物の柔軟性を利用して加湿フィルタケース11に押し広げて挿入する。加湿フィルタ10を長期間使用して汚れの付着量が増えた場合には、加湿フィルタ10を加湿装置1から取り出し、水や洗剤等の中につけて押し洗いをすることにより、汚れを洗浄して再生させることができる。
ファン9を停止から運転に切り替えると、高濃度に貯留された活性種は、ファン9を通過して吹出口4から排出される。このとき、通風路8bは加湿フィルタ10と活性種放出部12の間の中空空間である。一方、通風路8cは活性種放出部12から吹出口4の間の空間であり、ファンやモーターが収納されているため、その空間容積は通風路8b>通風路8cとなる。高濃度に貯留された活性種が通風路8cを通過していくことにより、ファン9や通風路8cを形成する本体ケース内部の隅まで活性種に接触して、通風路8cをより清潔に保つ効果を得ることができる。
本発明にかかる加湿装置は、活性種放出部へのホコリの付着を抑制し、活性種を使って加湿フィルタの表面に付着する疎水性汚れを分解し、フィルタ表面を親水性に保つことによって加湿性能を長期間持続させることを可能とするものであるので、家庭用、あるいは業務用として使用される加湿装置として有用である。
1 加湿装置
2 本体ケース
3 吸込口
4 吹出口
5 操作部
6 表示部
7 水タンク
8 通風路
8a 通風路
8b 通風路
8c 通風路
9 ファン
10 加湿フィルタ
11 加湿フィルタケース
12 活性種放出部
13 貯水部
14 抗菌成分溶出部材
15 上流側の編地
16 下流側の編地
17 連結繊維
101 吸込口
102 吹出口
103 送風機
104 水槽部
105 気化フィルタ
106 放電ユニット

Claims (5)

  1. 吸込口と吹出口を有する本体と、前記吸込口と吹出口を連通する通風路内に、ファンと、前記ファンの上流に配置され空気を加湿する加湿フィルタと、前記加湿フィルタに水を供給する貯水部とをえ、前記加湿フィルタは、筒状であり、下部を前記貯水部の水に接しさせて配置し、前記ファンの運転時において、前記加湿フィルタの外周部から該加湿フィルタを通過した空気を該加湿フィルタの内周部から加湿した空気として上方に向けて排出する加湿装置であって、前記通風路内の加湿フィルタとファンの間で加湿フィルタ上端部よりも上方に放電によって活性種を発生させる活性種放出部を備え、ファンの運転停止時において、コロナ放電によって発生させた活性種を前記加湿フィルタの上端部から、前記加湿フィルタと前記水に囲まれた空間に貯留させることができることを特徴とする加湿装置。
  2. 加湿フィルタが、複数の通気孔を有し、上流側と下流側に配置した2枚の編地と、間隔をあけて2枚の編地を連結する複数の連結繊維とを備え、編地および連結繊維間に水を保持する立体編物により構成されることを特徴とする請求項1記載の加湿装置。
  3. ファンの運転停止時に貯留した活性種を前記ファンの運転時において、前記ファン、および活性種発生手段から吹出口までの通風路、に接触させることができる請求項1または2に記載の加湿装置。
  4. 加湿フィルタに親水化処理を施したことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の加湿装置。
  5. 水に抗菌・防カビ成分を溶出させる抗菌成分溶出部材を備えたことを特徴とする請求項1から4いずれか一つに記載の加湿装置。
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