図1は、通信システムの一例を示す構成図である。通信システムは、ネットワーク管理システム9、及びネットワーク管理システム9の管理対象のネットワークNWを含む。
ネットワーク管理システム9は、例えばSDNの技術により、ネットワークNWを監視制御する。ネットワーク管理システム9は、ネットワーク管理サーバ1と、ノード制御サーバ2と、警報監視サーバ3と、端末装置4とを含む。
ネットワーク(NW)管理サーバ1は、ネットワークNWに障害が発生した場合に、ネットワーク内のトラフィック、つまりフローの通信経路の切り替えの全体的な制御を行う。このとき、ネットワーク管理サーバ1は、障害が発生したフローの迂回経路を検索する。また、ネットワーク管理サーバ1は、障害が復旧した場合に、フローの通信経路の復旧の全体的な制御を行う。
ノード制御サーバ2は、ネットワーク管理サーバ1の指示に従って、フローの通信経路を切り替えるために、ネットワークNW内の各ノードを制御する。警報監視サーバ3は、ネットワークNWの障害を監視し、障害が発生した場合、障害内容を示す障害発生情報を、ネットワーク管理サーバ1に通知する。
端末装置4は、例えばパーソナルコンピュータであり、警報監視サーバ3から障害の復旧の通知を受信する。この場合、端末装置4は、使用者の操作に応じて、ネットワーク管理サーバ1に、通信経路の復旧を指示する。
図2は、ネットワークNWの一例を示す構成図である。ネットワークNWは、ネットワーク管理システム9により監視制御される。ネットワークNWは、複数のノードN1〜N16と、ノード間を結ぶ複数のリンクa〜vを含む。例えば、リンクaは、ノードN1,N2の間を結び、リンクbは、ノードN2,N3の間を結ぶ。
また、ネットワークNW内には、複数のフロー(トラフィック)#1〜#9が流れている(矢印参照)。各フロー#1〜#9は、ユーザごとに設けられ、例えば、送信元及び宛先が共通のIP(Internet Protocol)パケットを含む。
例えば、フロー#1,#2は、リンクa,b,c,dを経由し、フロー#3は、リンクa,e,f,dを経由する。各フロー#1〜#9は、3つの種類に区別される。
図3には、フローの種類が示されている。「I種」は、帯域遅延保証型(「タイプ」欄参照)であり、一定帯域及び遅延時間の両方が保証されている(「帯域保証」欄及び「遅延保証」欄の丸印参照)。つまり、「I種」のフローは、帯域及び遅延時間が要求されたトラフィックである。
「II種」は、遅延保証型(「タイプ」欄参照)であり、最低帯域及び遅延時間が保証されている(「帯域保証」欄の三角印及び「遅延保証」欄の丸印参照)。つまり、「II種」のフローは、帯域及び遅延時間が要求されたトラフィックである。
「III種」は、ベストエフォート(BE: Best Effort)型(「タイプ」欄参照)であり、最低帯域だけが保証されている(「帯域保証」欄の三角印及び「遅延保証」欄の×印参照)。つまり、「III種」のフローは、帯域は要求されるが、遅延時間が要求されないトラフィックである。
「I種」のフローの帯域は一定であるのに対し、「II種」及び「III種」の各フローの帯域の最小値は、「I種」の帯域より小さい。このため、「サービスレベル」は、「I種」が最も高く(「高」参照)、次に「II種」が高く(「中」参照)、「III種」が最も低い(「低」参照)。
ノード制御サーバ2は、各フロー#1〜#9が、当該種類に応じた帯域及び遅延時間の各条件を満たす通信経路を流れるように、各ノードN1〜N13に設けられた通信装置の設定処理を行う。各ノードN1〜N13の通信装置は、ノード制御サーバ2の制御に従ってフローの通信経路を切り替える。なお、本実施例では、ノードN3の通信装置に障害が発生した場合を挙げて(図2内の「障害」参照)、ノードN3を経由するフロー#1,#2の経路切り替えについて説明を行う。
図4は、通信装置の一例を示す構成図である。通信装置は、複数のポート(#1〜#n)50と、スイッチ部51と、制御部52と、メモリなどの記憶部53と、通信処理部54とを有する。
複数のポート(#1〜#n)50は、それぞれ、リンクa〜v、つまり伝送路を介し、他ノードN1〜N16の通信装置との間で、IPパケットなどの通信データの送受信を行う。スイッチ部51は、複数のポート(#1〜#n)50の間で通信データの交換を行う。より具体的には、スイッチ部51は、通信データの宛先に応じた出力先のポート番号(#1〜#n)を、記憶部53に記憶された宛先テーブルから検索し、検索されたポート番号のポート50に通信データを出力する。
通信処理部54は、例えば制御用のLAN(Local Area Network)ポートであり、ノード制御サーバ2との通信を行う。制御部52は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算処理手段であり、通信処理部54を介してノード制御サーバ2と通信する。
制御部52は、ノード制御サーバ2からの指示に基づいて、上記の宛先テーブルの生成及び更新を行う。これにより、各フロー#1〜#9の通信経路は、ノード制御サーバ2の制御により切り替えられる。
また、制御部52は、例えば、各ポート50からスイッチ部51に入力される通信データを監視することにより障害を検出し、警報として警報監視サーバ3に通知する。例えば、ポート(#1)50から通信データが入力されない場合、または、ポート(#1)50から入力された通信データのエラーレートが所定の閾値を超えた場合、ポート(#1)50に関する警報が出力される。
次に、本実施例のNW管理サーバ1の構成を説明する。図5は、NW管理サーバ1の一例を示す構成図である。NW管理サーバ1は、CPU10、ROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、HDD(Hard Disk Drive)13、通信処理部14、ユーザインターフェース部16、可搬型記憶媒体用ドライブ15などを備えている。
CPU10は、演算処理手段であり、通信経路制御プログラムに従って動作する。CPU10は、各部11〜16とバス18を介して接続されている。なお、NW管理サーバ1は、ソフトウェアにより動作するものに限定されず、CPU10に代えて、特定用途向け集積回路などのハードウェアが用いられてもよい。
RAM12は、CPU10のワーキングメモリとして用いられる。また、ROM11及びHDD13は、CPU10を動作させる通信経路制御プログラムなどを記憶する記憶手段として用いられる。
通信処理部14は、例えばネットワークカードであり、LANなどのネットワークを介して、ノード制御サーバ2及び警報監視サーバ3と通信を行う通信手段である。ユーザインターフェース部16は、例えば端末用通信ポート(RS(Recommended Standard)−232Cなど)であり、端末装置4と通信を行う通信手段である。
可搬型記憶媒体用ドライブ15は、可搬型記憶媒体150に対して、情報の書き込みや情報の読み出しを行う装置である。可搬型記憶媒体150の例としては、USBメモリ(USB: Universal Serial Bus)、CD−R(Compact Disc Recordable)、及びメモリカードなどが挙げられる。なお、通信経路制御プログラムは、可搬型記憶媒体150に格納されてもよい。
CPU10は、ROM11、またはHDD13などに格納されているプログラム、または可搬型記憶媒体用ドライブ15が可搬型記憶媒体150から読み取ったプログラムを実行する。このプログラムには、OS(Operating System)だけでなく、上記の通信経路制御プログラムも含まれる。なお、プログラムは、通信処理部14を介してダウンロードされたものであってもよい。
このように、NW管理サーバ1は、CPU10を含んだ構成を備えているが、ノード制御サーバ2、警報監視サーバ3、及び端末装置4も同様の構成を備える。
CPU10は、通信経路制御プログラムを実行すると、複数の機能が形成される。図6は、NW管理サーバ1の機能構成例を示す構成図である。図6には、CPU10に形成される機能及びHDD13及びRAM12の格納情報の一例が示されている。
CPU10は、ネットワーク(NW)構成管理部100と、経路切替制御部101と、迂回経路検索部102とを有する。HDD13には、ノードデータベース(DB)131と、リンクデータベース(DB)132と、フローデータベース(DB)133と、迂回経路データベース(DB)134とが格納されている。RAM12には、障害リンクリスト121と、障害フローリスト122と、迂回経路候補リスト123と、退避フロー候補リスト124と、退避フローリスト125とが格納されている。
NW構成管理部100は、ネットワークNWの構成を管理する。NW構成管理部100は、フローの通信経路の切り替えに伴い、ノードDB131、リンクDB132、及びフローDB133を更新する。
図7(a)には、ノードDB131の一例が示されている。「ノード」は、ネットワークNW内の各ノードN1〜N16を示す。「スイッチング容量」は、当該ノードN1〜N16のスイッチ部51が転送できる通信データ量(能力値)を示す。
「スイッチング容量(使用)」は、「スイッチング容量」のうち、フロー#1〜#9により使用されている容量を示し、「スイッチング容量(空き)」は、未使用、つまり余剰分の容量を示す。例えば、ノードN1は、「スイッチング容量」が10(Gbps)であり、「スイッチング容量(使用)」が5(Gbps)であるため、ノードN1の「スイッチング容量(空き)」は、残りの5(Gbps)(=10(Gbps)−5(Gbps))となる。
また、図7(b)には、リンクDB132の一例が示されている。「リンク」は、ネットワークNW内の各リンクa〜vを示す。「両端ノード」は、当該リンクの両端のノードN1〜N16及びポート50の番号(#1〜#n)を示す。例えば、リンクaの両端のノードは、ノードN1(ポート#1)とノードN2(ポート#3)である。
「帯域」は、当該リンクa〜vに対応する伝送路の帯域を示す。つまり、「帯域」は、「両端ノード」が示すポート50の通信速度である。
「帯域(使用)」は、「帯域」のうち、フロー#1〜#9により使用されている帯域を示し、「帯域(空き)」は、未使用、つまり余剰分の帯域を示す。例えば、リンクaは、「帯域」が1(Gbps)であり、「帯域(使用)」が500(Mbps)であるため、リンクaの「帯域(空き)」は、残りの500(Mbps)(=1(Gbps)−500(Mbps))となる。
「遅延時間」は、当該リンクa〜vに通信データを伝送したときの遅延時間を示す。「遅延時間」は、例えば、当該リンクa〜vに対応する伝送路の距離に基づいて決定される。
「フロー番号」は、当該リンクa〜vを流れるフローの番号(#1〜#9)を示す。例えば、リンクaには、フロー#1〜#5が流れるので(図2参照)、リンクaの「フロー番号」は、「1」〜「5」を示す。
また、図8には、フローDB133の一例が示されている。「フロー番号」は、ネットワークNW内の各フローの番号(#1〜#9)を示す。「始点ノード」及び「終点ノード」は、当該フロー#1〜#9の両端部のノードの番号(N1〜N13)を示す。例えば、フロー#1〜#3は、ノードN1とノードN5の間を流れるので、フロー#1〜#5の「始点ノード」及び「終点ノード」は、それぞれ、「N1」及び「N5」を示す。
「タイプ」は、当該フロー#1〜#9のタイプ(図3参照)、すなわち「帯域遅延保証」(I種)、「遅延保証」(II種)、及び「BE」(III種)の何れかを示す。「保証帯域」は、当該フロー#1〜#9に保証される帯域、つまりフローに要求される帯域を示す。「許容遅延」は、当該フロー#1〜#9の「タイプ」が「帯域遅延保証」または「遅延保証」である場合、保証される遅延時間、つまりフローに要求される遅延時間を示し、当該フロー#1〜#9の「タイプ」が「BE」である場合、「−」(対象外)を示す。
「デフォルト経路」は、ネットワークNW内の当該フロー#1〜#9の初期の通信経路を、リンクの識別子(a〜v)の組み合わせにより示す。例えば、フロー#1は、リンクa〜dを経由するので、フロー#1の「デフォルト経路」は、「a−b−c−d」を示す。
「現用経路」は、ネットワークNW内の当該フロー#1〜#9の現在の通信経路を、リンクの識別子(a〜v)の組み合わせにより示す。したがって、フロー#1〜#9の通信経路が、障害発生により切り替えられた場合、当該フロー#1〜#9の「現用経路」は、障害箇所を迂回する迂回経路を示す。
NW構成管理部100は、通信処理部14を介して、ノード制御サーバ2からネットワークNW内のフロー#1〜#9に関するフロー情報を、一定の周期で収集し、収集したフロー情報に基づいてフローDB133を更新する。また、NW構成管理部100は、経路切替制御部101の要求に応じて、HDD13内のノードDB131、リンクDB132、及びフローDB133から情報を読み出し、経路切替制御部101に出力する。
経路切替制御部101は、通信経路に障害が発生したフロー#1〜#9を検出し、当該フローの通信経路の切り替えを制御する。経路切替制御部101は、迂回経路検索部102を用いて、障害が発生したフロー#1〜#9の迂回経路を検索し、得られた迂回経路を示す迂回経路情報を迂回経路DB134に登録する。NW構成管理部100は、迂回経路DB134から迂回経路情報を読み出し、迂回経路情報に基づいた通信経路の切替指示をノード制御サーバ2に送信する。
迂回経路検索部102は、NW構成管理部100から取得したノードDB131、リンクDB132、及びフローDB133の情報を用いて、障害が発生したフロー#1〜#9ごとに迂回経路を検索する。迂回経路検索部102は、検索した迂回経路の候補を、RAM12内の迂回経路候補リスト123に登録する。経路切替制御部101は、障害が発生したフロー#1〜#9の種類に応じ、当該フローに要求された帯域及び遅延時間の少なくとも一方の条件に基づいて、迂回経路候補リスト123から迂回経路を選択する。選択された迂回経路の迂回経路情報は、迂回経路DB134に登録される。
より具体的には、経路切替制御部101は、警報監視サーバ3から通信処理部14を介して、障害内容を示す障害発生情報を取得する。図9(a)には、障害発生情報の一例が示されている。「ノード」は、障害が検出されたノードN1〜N16を示し、「発生箇所」は、当該ノードN1〜N16のポート50を示す。図9(a)の例は、障害が発生したノードN3の通信装置が、警報監視サーバ3との通信が不可能であると仮定し、ノードN3に対向するノードN2,N4の各ポート(#1)50で通信障害を検出した場合を示す。
経路切替制御部101は、障害発生情報から、障害が発生したフロー#1〜#9をNW構成管理部100に確認し、確認結果に基づいて、障害リンクリスト121及び障害フローリスト122を生成する。障害フローリスト122は、障害が発生したフロー#1〜#9を示す。
図9(b)には、障害フローリスト122の一例が示されている。障害フローリスト122は、フローDB133に登録されたフロー#1〜#9のうち、障害が発生したフローの情報が登録されている。このため、「フロー番号」、「始点ノード」、「終点ノード」、「保証帯域」、「許容遅延」、及び「タイプ」の内容は、図8を参照して述べたとおりである。
また、「切替順」は、通信経路が迂回経路に切り替えられるフロー#1〜#9の順序であり、後述するように、フロー#1〜#9のタイプに基づく優先度に従って決定される。本例では、障害が発生したノードN3を経由するフロー#1、#2のうち、最初にフロー#2の通信経路の切り替えが行われ、次にフロー#1の通信経路の切り替えが行われる。NW構成管理部100は、「切替順」が示す順序に従って、ノード制御サーバ2に切り替えの指示を送信する。
障害リンクリスト121は、障害が発生したリンクa〜vを示す。図9(c)には、障害リンクリスト121の一例が示されている。図9(c)の例では、障害が発生したノードN3に接続されたリンクb,cが、障害リンクリスト121に登録されている。
経路切替制御部101は、障害が発生したフロー#1〜#9の迂回経路を検索するとき、障害リンクリスト121及び障害フローリスト122を迂回経路検索部102に出力する。迂回経路検索部102は、障害リンクリスト121に登録されたリンクa〜vを検索対象から除外して、障害フローリスト122に登録されたフロー#1〜#9の迂回経路の候補を検索する。検索された迂回経路の候補は、迂回経路候補リスト123に登録される。
図9(d)には、迂回経路候補リスト123の一例が示されている。「迂回経路候補」は、迂回経路の候補を、リンクの識別子(a〜v)の組み合わせにより示す。本例では、フロー#1,#2の「迂回経路候補」として、リンクa,e,f,dを通る通信経路(「a−e−f−d」参照)と、リンクa,e,j,k,dを通る通信経路(「a−e−j−k−d」参照)とが登録されている。
「空き帯域」は、迂回経路の候補の空き帯域を示す。「空き帯域」は、例えば、ノードDB131の「スイッチング容量(空き)」(図7(a)参照)及びリンクDB132の「帯域(空き)」(図7(b)参照)に基づいて決定される。
「遅延時間」は、迂回経路の候補に通信データを伝送した場合に生ずる遅延時間を示す。「遅延時間」は、例えば、リンクDB132の「遅延時間」(図7(b)参照)に基づいて決定される。
「帯域不足のリンク」は、「空き帯域」が0(Mbps)である場合、迂回経路の候補に含まれるリンクa〜vのうち、当該フロー#1〜#9に保証された帯域に満たないリンクを示す。経路切替制御部101は、「空き帯域」が0(Mbps)である迂回経路の候補を、迂回経路として選択する場合、「帯域不足のリンク」を経由する他のフロー#1〜#9を退避フロー候補リスト124に登録する。
退避フローは、後述するように、選択した迂回経路の帯域が不足する場合、障害が発生したフロー#1〜#9に保証された帯域を確保するために、他の通信経路に退避させられるフローである。経路切替制御部101は、退避フロー候補リスト124に登録されたフロー#1〜#9から、該フローのタイプに基づいた優先度に従って、退避フローを決定し、退避フローリスト125に登録する。経路切替制御部101は、障害が発生したフロー#1〜#9と同様に、退避フローリスト125の迂回経路を、迂回経路検索部102により検索する。
経路切替制御部101は、選択した迂回経路を示す迂回経路情報を、迂回経路DB134に登録する。迂回経路情報は、障害が発生したフロー#1〜#9ごとに登録される。
図9(e)には、迂回経路情報の一例が示されている。「フロー番号」は、障害が発生したフローの番号(#1〜#9)を示す。「タイプ」は、当該フロー#1〜#9のタイプ(図3参照)を示す。「デフォルト経路」は、ネットワークNW内の当該フロー#1〜#9の初期の通信経路を、リンクの識別子(a〜v)の組み合わせにより示す。
「迂回経路」は、当該フロー#1〜#9の迂回経路を、リンクの識別子(a〜v)の組み合わせにより示す。本例では、フロー#2の「迂回経路」として、リンクa,e,j,k,dを経由する通信経路が登録されている。
「切替理由」は、当該フロー#1〜#9の通信経路を切り替える理由を示す。障害が発生したフロー#1〜#9の通信経路を切り替える場合、「切替理由」は、「障害」を示す。帯域を確保するための退避フローの通信経路を切り替える場合、「切替理由」は、「退避」を示す。
「切替順」は、迂回経路情報に、障害が発生したフロー#1〜#9だけでなく、退避フローも含まれている場合、通信経路を切り替えるフローの順序を示す。複数の退避フローが迂回経路情報に含まれる場合、退避フローの切り替えの順序は、後述するように、フロー#1〜#9のタイプに基づく優先度に従って決定される。NW構成管理部100は、「切替順」が示す順序に従って、ノード制御サーバ2に切り替えの指示を送信する。
「切替状態」は、通信経路を切り替えが完了したか否かを示す。「切替状態」は、切り替えが完了した場合、「迂回済み」を示す。
また、経路切替制御部101は、障害の復旧時、端末装置4からユーザインターフェース部16を介して、通信経路の復旧の指示を受けると、障害が発生したフロー#1〜#9の通信経路を、迂回経路からデフォルト経路に戻す。このとき、デフォルト経路への切り替えは、上記の「切替順」(図9(b)及び図9(e))が示す順序とは逆の順序に従って行われる。
図10は、フローの通信経路の切り替え処理の一例を示すラダーチャートである。NW構成管理部100は、一定の周期でフロー情報の要求メッセージ(「フロー情報要求」参照)を、ノード制御サーバ2を介して各ノードN1〜N16の通信装置に送信し、ノード情報を収集する。
ノードN3の通信装置で障害が発生すると、隣接するノードN2,N4の通信装置から警報監視サーバ3に、警報の発生を示す警報情報が通知される。警報監視サーバ3は、警報情報に基づく障害発生情報(図9(a)参照)を、経路切替制御部101に送信する。
次に、経路切替制御部101は、警報発生情報に基づいて、障害が発生したフローを、NW構成管理部100に確認する(「フロー確認」参照)。NW構成管理部100は、障害が発生したフロー#1,#2を示す障害フロー情報を、経路切替制御部101に送信する。経路切替制御部101は、障害フロー情報に基づいて障害リンクリスト121及び障害フローリスト122を生成する。
次に、経路切替制御部101は、迂回経路検索部102に、フロー#2の迂回経路の検索を要求する(「迂回経路検索要求(フロー#2)」参照)。経路切替制御部101は、迂回経路検索部102から検索結果として、迂回経路候補リスト123を取得すると、迂回経路を選択して迂回経路DB134に登録する。
次に、経路切替制御部101は、選択した迂回経路を示す迂回経路情報を、NW構成管理部100に出力する。NW構成管理部100は、フロー#2の通信経路の切り替え指示をノード制御サーバ2に送信する(「切替指示(フロー#2)」参照)。ノード制御サーバ2は、各ノードN1〜N16の通信装置に対して、切り替え指示に従った切り替え制御を行う。これにより、フロー#2の通信経路が、迂回経路に切り替えられる。
通信経路の切り替え後、ノード制御サーバ2は、各ノードN1〜N16の通信装置から応答メッセージ(「応答」参照)を受信し、NW構成管理部100に転送する。
次に、経路切替制御部101は、迂回経路検索部102に、フロー#1の迂回経路の検索を要求する(「迂回経路検索要求(フロー#1)」参照)。経路切替制御部101は、迂回経路検索部102から検索結果として、迂回経路候補リスト123を取得すると、迂回経路を選択して迂回経路DB134に登録する。このとき、迂回経路DB134には、障害が発生したフロー#1の迂回経路だけでなく、退避フローとして選択されたフロー#3,#4の迂回経路も登録される。
次に、経路切替制御部101は、選択した迂回経路を示す迂回経路情報を、NW構成管理部100に出力する。NW構成管理部100は、フロー#1,#3,#4の通信経路の切り替え指示をノード制御サーバ2に送信する(「切替指示(フロー#1,#3,#4)」参照)。ノード制御サーバ2は、各ノードN1〜N16の通信装置に対して、切り替え指示に従った切り替え制御を行う。これにより、フロー#1,#3,#4の各通信経路が、迂回経路に切り替えられる。
通信経路の切り替え後、ノード制御サーバ2は、各ノードN1〜N16の通信装置から応答メッセージ(「応答」参照)を受信し、NW構成管理部100に転送する。このようにして、フローの通信経路の切り替え処理は行われる。
次に、NW管理サーバ1の動作(通信経路制御方法)を説明する。図11は、NW管理サーバ1の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、経路切替制御部101は、警報監視サーバ3から障害発生情報を受信したか否かを判定する(ステップSt1)。障害発生情報が受信されていない場合(ステップSt1のNo)、経路切替制御部101は、処理を終了する。障害発生情報が受信された場合(ステップSt1のYes)、経路切替制御部101は、障害が発生したフロー#1〜#9の1つの迂回経路を決定する(ステップSt2)。なお、迂回経路の決定処理については後述する。
次に、NW構成管理部100は、障害が発生したフロー#1〜#9の通信経路を、決定された迂回経路に切り替える処理を行う(ステップSt3)。なお、通信経路の切り替え処理については後述する。
次に、NW構成管理部100は、切り替え後のネットワークNWの構成に従って、ノードDB131、リンクDB132、及びフローDB133を更新する(ステップSt4)。次に、経路切替制御部101は、障害が発生したフロー#1〜#9のうち、迂回経路が決定されていないフローの有無を判定する(ステップSt5)。
迂回経路が決定されていないフローが有る場合(ステップSt5のYes)、経路切替制御部101は、他のフローの迂回経路を決定するため、再びステップSt2の処理を行う。また、迂回経路が決定されていないフローがない場合(ステップSt5のNo)、経路切替制御部101は、処理を終了する。このようにして、NW管理サーバ1は動作する。
次に、迂回経路の決定処理(ステップSt2)について説明する。図12は、迂回経路の決定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、経路切替制御部101は、受信した障害発生情報から、障害フローリスト122及び障害リンクリスト121を生成する(ステップSt31)。このとき、経路切替制御部101は、障害発生情報に基づいて、リンクDB132及びフローDB133を参照することにより、障害が発生したフロー#1〜#9及びリンクa〜vを特定する。
次に、経路切替制御部101は、障害が発生したフロー#1〜#9の1つを選択して、迂回経路検索部102により該フローの迂回経路の候補を検索する(ステップSt32)。このとき、迂回経路の検索対象のフローの選択は、フローのタイプに基づく優先度の順に従って行われる。
経路切替制御部101は、例えば、図3に示された「サービスレベル」が高いフローを優先的に選択してもよい。この場合、優先度は、「I種」のフロー(「帯域遅延保証」タイプ)が最も高く、「III種」のフロー(「BE」タイプ)が最も低い。
これにより決定された選択の順番は、障害フローリスト122の「切替順」に登録される。図9(b)の例の場合、障害が発生したフロー#1,#2のうち、フロー#2は、「帯域遅延保証」タイプであるため、「遅延保証」タイプのフロー#1より優先度が高い。したがって、フロー#2の「切替順」は「1」であり、フロー#1の「切替順」は「2」である。なお、障害が発生したフローのタイプが同一である場合、フローの優先度は、保証する帯域の大きさ順、または保証する遅延時間の小さい順としてもよい。
また、迂回経路検索部102は、ノードDB131、リンクDB132、フローDB133、障害フローリスト122、及び障害リンクリスト121を用いて、迂回経路の候補を検索する。迂回経路検索部102は、障害が発生したフロー#1,#2の始点ノード及び終点ノード(N1〜N16)を両端とし、障害が発生したノードN3を迂回する通信経路を検索する。これにより、「切替順」が「1」であるフロー#2の迂回経路の候補として、図9(d)に示された2つの通信経路が検索される。
次に、迂回経路検索部102は、検索した迂回経路の候補を示す迂回経路候補リスト123を生成する(ステップSt33)。次に、経路切替制御部101は、迂回経路候補リスト123に、障害が発生したフロー#1〜#9に要求された遅延時間(保証される遅延時間)の条件を満たす迂回経路の候補が有るか否かを判定する(ステップSt34)。つまり、経路切替制御部101は、迂回経路候補リスト123において、「遅延時間」が、障害フローリスト122の「許容遅延」以下である候補の有無を判定する。
遅延時間の条件を満たす迂回経路の候補がない場合(ステップSt34のNo)、経路切替制御部101は、迂回経路が無いことを示す迂回経路情報を生成し(ステップSt48)、処理を終了する。この場合、通信経路の切り替えは行われない。
遅延時間の条件を満たす迂回経路の候補がある場合(ステップSt34のYes)、経路切替制御部101は、迂回経路候補リスト123に、障害が発生したフロー#1〜#9に要求された帯域(保証される帯域)の条件を満たす迂回経路の候補が有るか否かを判定する(ステップSt35)。つまり、経路切替制御部101は、迂回経路候補リスト123において、「空き帯域」が、障害フローリスト122の「保証帯域」以上である候補の有無を判定する。
例えばフロー#2の場合、「許容遅延」は100(msec)であるので(図9(b)参照)、迂回経路候補リスト123内の「迂回経路候補」のうち、「遅延時間」が100(msec)である通信経路「a−e−j−k−d」は、遅延時間の条件を満たす。さらに、この通信経路は、「空き帯域」が700(Mbps)であるため、フロー#2に要求された帯域の条件も満たす。なお、タイプがBEであるフローは、遅延時間が要求されないため、ステップSt34の判定処理では、遅延時間の条件を満たす迂回経路の候補があると判定される。
帯域の条件を満たす迂回経路の候補がある場合(ステップSt35のYes)、経路切替制御部101は、帯域及び遅延時間の各条件を満たす迂回経路の候補を、迂回経路として選択し、迂回経路情報を生成する(ステップSt36)。生成された迂回経路情報は、迂回経路DB134に登録される。ここで、帯域及び遅延時間の各条件を満たす迂回経路の候補が複数存在する場合、経路切替制御部101は、複数の迂回経路の候補のうち、空き帯域が最も大きいもの、または遅延時間が最も小さいものを、迂回経路として選択してもよい。
図13には、フロー#2の通信経路の切り替え処理の一例が示されている。また、図14には、フロー#2の通信経路の切り替え後のフローDBの一例が示されている。
フロー#2の通信経路は、フロー#2に要求された帯域及び遅延時間の各条件を満たす迂回経路(「a−e−j−k−d」)に切り替えられる。このため、フローDB133内のフロー#2の「現用経路」は、「a−e−j−k−d」に更新される。
本例のように、フローに要求された帯域及び遅延時間の両方の条件を満たす迂回経路は、ネットワーク資源が十分でない場合、存在しない。以下に、障害が発生したフロー#1を例に挙げて、フロー#1に要求された帯域の条件を満たす迂回経路の候補が存在しない場合(ステップSt35のNo)の処理を説明する。
図15(a)には、ステップSt33の処理において生成されたフロー#1の迂回経路候補リスト123が示されている。迂回経路候補リスト123内の「迂回経路候補」のうち、通信経路「a−e−f−d」は、フロー#1に要求された遅延時間の条件(10(msec))を満たす。
しかし、通信経路「a−e−f−d」は、リンクeの帯域が不足し(「帯域不足のリンク」参照)、「空き帯域」が0(Mbps)であるので、フロー#1に要求された帯域の条件(200(Mbps))を満たさない。このため、フロー#1の迂回経路の決定処理において、経路切替制御部101は、帯域の条件を満たす迂回経路の候補がない(ステップSt35のNo)と判定する。
帯域の条件を満たす迂回経路の候補がない場合(ステップSt35のNo)、経路切替制御部101は、フローDB133から、帯域が不足しているリンクを経由するフローを検索する(ステップSt40)。本例では、帯域不足のリンクeを経由するフロー#2〜#5が検索される。
次に、経路切替制御部101は、検索したフローが、退避フローの候補として登録された退避フロー候補リスト124を生成する(ステップSt41)。図15(b)には、退避フロー候補リスト124の一例が示されている。退避フロー候補リスト124には、フローDB133に登録されたフロー#1〜#9のうち、帯域不足のリンクを経由するフローの情報が登録されている。このため、「フロー番号」、「始点ノード」、「終点ノード」、「保証帯域」、「許容遅延」、「タイプ」、及び「現用経路」の内容は、図8を参照して述べたとおりである。
次に、経路切替制御部101は、退避フロー候補リスト124に、障害が発生したフローに要求された帯域を確保可能な「III種」の退避フローの候補が有るか否かを判定する(ステップSt42)。つまり、経路切替制御部101は、退避フロー候補リスト124に登録された退避フローの候補のうち、タイプが「BE」である退避フローを、他の通信経路に退避させることにより、障害が発生したフローに要求された帯域が確保できるか否かを判定する。
このとき、経路切替制御部101は、タイプが「BE」である全退避フローの「保証帯域」が、障害フローリスト122内のフローの「保証帯域」以上である場合、要求された帯域が確保可能であると判定する。本例では、障害が発生したフロー#1の「保証帯域」は200(Mbps)であるのに対し、タイプが「BE」である全退避フロー#3,#4の「保証帯域」の合計は、200(Mbps)(=100(Mbps)+100(Mbps))である。したがって、経路切替制御部101は、退避フロー#3,#4を退避させることにより、フロー#1の帯域が確保可能であると判定する。
障害が発生したフローに要求された帯域を確保可能な「III種」の退避フローの候補が有る場合(ステップSt42のYes)、経路切替制御部101は、迂回経路候補リスト123から、帯域不足のリンクを含む迂回経路の候補を、迂回経路として選択し、迂回経路情報を生成する(ステップSt43)。生成された迂回経路情報は、迂回経路DB134に登録される。ここで、遅延時間の条件を満たす迂回経路の候補が複数存在する場合、経路切替制御部101は、複数の迂回経路の候補のうち、空き帯域が最も大きいもの、または遅延時間が最も小さいものを、迂回経路として選択してもよい。
次に、経路切替制御部101は、退避フロー候補リスト124から、障害が発生したフローの帯域の確保が可能な退避フローを選択し、選択した退避フローを示す退避フローリスト125を生成する(ステップSt44)。このとき、選択される退避フローは、ステップSt42の判定処理において、障害が発生したフローの「保証帯域」以上の「保証帯域」を有する退避フローである。
本例では、フロー#1に対応する退避フローとして、フロー#3,#4が選択される。このため、退避フローリスト125には、図15(c)に示されるように、フロー#3,#4が登録される。
次に、経路切替制御部101は、退避フローの退避先となる迂回経路の決定処理を行い(ステップSt45)、処理を終了する。これにより、フロー#3,#4の迂回経路が決定される。なお、退避フローの迂回経路の決定処理については後述する。
また、障害が発生したフローに要求された帯域を確保可能な「III種」の退避フローの候補がない場合(ステップSt42のNo)、経路切替制御部101は、該帯域を確保可能な「II種」及び「III種」の退避フローの候補が有るか否かを判定する(ステップSt46)。障害が発生したフローに要求された帯域を確保可能な「II種」及び「III種」の退避フローの候補がある場合(ステップSt46のYes)、経路切替制御部101は、タイプが「BE」または「遅延保証」である退避フローについてステップSt43〜St44の処理を行う。この場合、ステップSt43の処理では、タイプが「遅延保証」である退避フローが、タイプが「BE」である退避フローより少なくなるように、迂回経路を選択してもよい。
また、障害が発生したフローに要求された帯域を確保可能な「II種」及び「III種」の退避フローの候補がない場合(ステップSt46のNo)、経路切替制御部101は、該帯域を確保可能な「I種」〜「III種」の退避フローの候補が有るか否かを判定する(ステップSt47)。障害が発生したフローに要求された帯域を確保可能な「I種」〜「III種」の退避フローの候補がある場合(ステップSt47のYes)、経路切替制御部101は、タイプが「BE」、「遅延保証」及び「帯域遅延保証」である退避フローについてステップSt43〜St44の処理を行う。この場合、ステップSt43の処理では、タイプが「遅延保証」または「帯域遅延保証」である退避フローが、タイプが「BE」である退避フローより少なくなるように、迂回経路を選択してもよい。さらに、ステップSt43の処理では、タイプが「帯域遅延保証」である退避フローが、タイプが「遅延保証」である退避フローより少なくなるように、迂回経路を選択してもよい。
また、障害が発生したフローに要求された帯域を確保可能な「I種」〜「III種」の退避フローの候補がない場合(ステップSt47のNo)、経路切替制御部101は、迂回経路がないことを示す迂回経路情報を生成し(ステップSt48)、処理を終了する。
このように、経路切替制御部101は、タイプが「BE」であるフロー、つまり、遅延時間が要求されないフローを、障害が発生したフローに要求された帯域を確保するための退避フローとして選択する。したがって、ネットワーク資源が不足する場合であっても、障害が発生したフローの通信経路を、迂回経路に切り替えることができる。
また、経路切替制御部101は、タイプが「BE」であるフローの帯域だけでは、障害が発生したフローに要求された帯域に満たない場合、不足分の帯域を補うように、タイプが「遅延保証」または「帯域遅延保証」であるフローも、退避フローとして選択する。このようにして、迂回経路の決定処理は行われる。
次に、退避フローの迂回経路の決定処理(ステップSt45)を説明する。図16は、退避フローの迂回経路の決定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、経路切替制御部101は、決定した迂回経路に含まれるリンクa〜vのうち、障害が発生したフローに要求された帯域が不足するリンクを、障害リンクリスト121に追加する(ステップSt51)。本例では、図15(d)に示されるように、帯域不足のリンクeが障害リンクリスト121に追加される。これにより、退避フローの迂回経路の検索対象から、帯域不足のリンクeを含む通信経路が除外される。
次に、経路切替制御部101は、退避フローを選択して、選択した退避フローの迂回経路(退避先の通信経路)を、迂回経路検索部102により検索する(ステップSt52)。次に、迂回経路検索部102は、検索した迂回経路の候補を示す迂回経路候補リスト123を生成する(ステップSt53)。
以降のステップSt54〜St56の処理では、経路切替制御部101は、上記のステップSt34〜St36と同様の処理を行う。すなわち、経路切替制御部101は、迂回経路候補リスト123を参照して、退避フローに要求された遅延時間(保証された遅延時間)の条件を満たす迂回経路の候補の有無を判定する(ステップSt54)。本例では、退避フロー#3,#4は、タイプがBEであるため、遅延時間が要求されない。したがって、経路切替制御部101は、遅延時間の条件を満たす迂回経路の候補が有ると判定する。
遅延時間の条件を満たす迂回経路の候補がない場合(ステップSt54のNo)、経路切替制御部101は、迂回経路が無いことを示す迂回経路情報を生成し(ステップSt68)、処理を終了する。また、遅延時間の条件を満たす迂回経路の候補が有る場合(ステップSt54のYes)、経路切替制御部101は、迂回経路候補リスト123を参照して、退避フローに要求された帯域(保証された帯域)の条件を満たす迂回経路の候補の有無を判定する(ステップSt55)。つまり、経路切替制御部101は、迂回経路候補リスト123において、「空き帯域」が、退避フローリスト125の「保証帯域」以上である候補の有無を判定する。
帯域の条件を満たす迂回経路の候補がない場合(ステップSt55のNo)、後述するステップSt60以降の処理が行われる。また、帯域の条件を満たす迂回経路の候補がある場合(ステップSt55のYes)、経路切替制御部101は、帯域及び遅延時間の各条件を満たす迂回経路の候補を、迂回経路として選択し、迂回経路情報を生成する(ステップSt56)。生成された迂回経路情報は、迂回経路DB134に登録される。ここで、帯域及び遅延時間の各条件を満たす迂回経路の候補が複数存在する場合、経路切替制御部101は、複数の迂回経路の候補のうち、空き帯域が最も大きいもの、または遅延時間が最も小さいものを、迂回経路として選択してもよい。
図15(e)には、障害が発生したフロー#1の迂回経路情報が示されている。迂回経路情報は、フロー#1の迂回経路だけでなく、フロー#1に対応する退避フロー#3,#4の迂回経路も示す。本例では、退避フロー#3,#4の迂回経路として、「空き帯域」が最も大きい通信経路「a−g−m−n−k−d」,「a−g−o−u−v−s−l」がそれぞれ選択される。
また、障害が発生したフローの通信経路の切り替えに先立って、該フローの帯域の確保が行われるため、退避フロー#3,#4の「切替順」は、フロー#1の「切替順」より早い。より具体的には、フロー#1,#3,#4の「切替順」は、それぞれ、「3」,「1」,「2」である。なお、フロー#3,#4の「切替順」は、これとは異なり、それぞれ、「2」,「1」であってもよい。
図17には、フロー#1の通信経路の切り替え処理の例が示されている。また、図18には、フロー#1の通信経路の切り替え後のフローDB133の例が示されている。
フロー#1の通信経路は、フロー#1に要求された遅延時間の条件を満たす迂回経路(「a−e−f−d」)に切り替えられる。このとき、フロー#1に要求された帯域を、迂回経路(「a−e−f−d」)に確保するため、退避フロー#3,#4は、通信経路「a−e−f−d」から、要求された帯域の条件を満たす他の通信経路に退避させられる。つまり、退避フロー#3,#4の通信経路は、迂回経路「a−g−m−n−k−d」,「a−g−o−u−v−s−l」にそれぞれ切り替えられる。
したがって、フローDB133内のフロー#1の「現用経路」は、「a−e−f−d」に更新される。また、フロー#3の「現用経路」は、「a−g−m−n−k−d」に更新され、フロー#4の「現用経路」は、「a−g−o−u−v−s−l」に更新される。
このように、NW管理サーバ1は、通信経路に障害が発生したフローに要求された遅延時間の条件を満たす迂回経路を検索する。そして、NW管理サーバ1は、該フローに要求された帯域が確保されるように、検索した迂回経路から、遅延時間が要求されない他の退避フローを他の通信経路に退避させ、障害が発生したフローを迂回経路に迂回させる。
これにより、ネットワーク資源が十分ではない場合であっても、障害が発生したフローの通信経路を切り替えることができるため、ネットワーク資源が節約される。
また、NW管理サーバ1は、障害が発生したフローに要求された遅延時間の条件を満たす迂回経路を検索した結果、複数の通信経路が検索された場合、複数の通信経路のうち、空き帯域が最も大きい通信経路を、迂回経路として選択してもよい。これにより、余剰分の帯域が最も大きい通信経路を、障害が発生したフローの迂回経路として利用することができる。
また、NW管理サーバ1は、障害が発生したフローに要求された遅延時間の条件を満たす迂回経路を検索した結果、複数の通信経路が検索された場合、複数の通信経路のうち、遅延時間が最も小さい通信経路を、迂回経路として選択してもよい。これにより、通信品質がよい通信経路を、障害が発生したフローの迂回経路として利用することができる。
再び図16を参照すると、経路切替制御部101は、迂回経路候補リスト123に、退避フローに要求された帯域の条件を満たす迂回経路の候補がない場合(ステップSt55のNo)、ステップSt60〜St64,St66〜St68の処理を行う。ステップt60〜St64,St66〜St68の処理では、上記のステップSt40〜St44,St46〜St48の処理と同様の処理によって、帯域不足のリンクを含む迂回経路から他の退避フローを退避させることで、退避フローに要求された帯域を確保する。
すなわち、経路切替制御部101は、フローDB133から、帯域が不足しているリンクを経由するフローを検索し(ステップSt60)、さらなる退避フロー候補リスト124を生成する(ステップSt61)。次に、経路切替制御部101は、退避フロー候補リスト124に、退避フローに要求された帯域を確保可能な「III種」の退避フローの候補が有るか否かを判定する(ステップSt62)。
退避フローに要求された帯域を確保可能な「III種」の他の退避フローの候補が有る場合(ステップSt62のYes)、経路切替制御部101は、迂回経路候補リスト123から、帯域不足のリンクを含む迂回経路の候補を、迂回経路として選択し、迂回経路情報を生成する(ステップSt63)。次に、経路切替制御部101は、退避フロー候補リスト124から、退避フローの帯域の確保が可能な他の退避フローを選択し、選択した他の退避フローを示す退避フローリスト125を生成する(ステップSt64)。その後、他の退避フローに関して、ステップSt51以降の処理が再度行われる。
また、帯域を確保可能な「II種」及び「III種」の他の退避フローの候補が有る場合(ステップSt66のYes)、及び帯域を確保可能な「I種」〜「III種」の他の退避フローの候補が有る場合(ステップSt67のYes)も、他の退避フローに関して、ステップSt51以降の処理が再度行われる。つまり、さらなる退避フローの退避フローリスト125を生成した後(ステップSt64)、再びステップSt51以降の処理を行うことにより、さらなる退避フローの迂回経路の決定処理を行う。
このように、退避フローの迂回経路の決定処理は、各退避フローについて、要求された帯域または遅延時間の条件を満たす迂回経路が検索されるまで繰り返される。なお、帯域を確保可能な「I種」〜「III種」の他の退避フローの候補がない場合(ステップSt66,St67のNo)、経路切替制御部101は、迂回経路が無いことを示す迂回経路情報を生成し(ステップSt68)、処理を終了する。このようにして、退避フローの迂回経路の決定処理は行われる。
次に、通信経路の切り替え処理(ステップSt3)を説明する。図19は、通信経路の切り替え処理の一例を示すフローチャートである。
まず、経路切替制御部101は、迂回経路DB134から、障害が発生したフローの迂回経路情報を読み出して、NW構成管理部100に通知する(ステップSt11)。次に、NW構成管理部100は、迂回経路情報に従って、ノード制御サーバ2に通信経路の切り替えを指示する(ステップSt12)。
次に、ノード制御サーバ2は、迂回経路情報に従って、各ノードN1〜N16の通信装置に対して切り替え制御を実行する(ステップSt13)。次に、ノード制御サーバ2は、各ノードN1〜N16の通信装置から応答を受信する(ステップSt14)。
次に、経路切替制御部101は、障害フローリスト122の「切替順」及び迂回経路情報の「切替状態」(=「迂回済み」)を更新する(ステップSt15)。このようにして、通信経路の切り替え処理は行われる。
通信経路の切り替え処理は、上述したように、障害が発生したフローのタイプの優先度に従った順序で行われる。上記の例では、フロー#1,#2のタイプは、それぞれ、「遅延保証」及び「帯域遅延保証」であるので、最初にフロー#2の切り替え処理が行われ、次にフロー#1の切り替え処理が行われる。
また、フロー#1の切り替え処理では、フロー#1だけでなく、退避フロー#3,#4の切り替え処理も行われる。このとき、フロー#1に要求された帯域を迂回経路に確保するため、最初に退避フロー#3,#4の切り替え処理が行われ、次にフロー#1の切り替え処理が行われる。
一方、通信経路の復旧処理では、上述した順序とは逆の順序で切り替えが行われる。図20は、通信経路の復旧処理の一例を示すラダーチャートである。
ノードN3の障害が復旧すると、隣接するノードN2,N4の通信装置から警報監視サーバ3に、警報の解除を示す警報情報が通知される。警報監視サーバ3は、警報情報に基づいて、端末装置4に障害復旧情報を通知する。
端末装置4は、ユーザの操作に応じて、通信経路復旧指示を経路切替制御部101に送信する。経路切替制御部101は、通信経路復旧指示に対する応答メッセージ(「応答」参照)を端末装置4に送信する。
次に、経路切替制御部101は、障害が発生したフロー#1〜#9を、NW構成管理部100に確認する(「フロー確認」参照)。NW構成管理部100は、障害が発生したフロー#1,#2を示す障害フロー情報を、経路切替制御部101に送信する。経路切替制御部101は、障害フロー情報に基づいて、障害が発生したフロー#1及び退避フロー#3,#4の「デフォルト経路」(図8参照)を示す通信経路情報をNW構成管理部100に通知する。
NW構成管理部100は、障害が発生したフロー#1及び退避フロー#3,#4の通信経路の「デフォルト経路」への切り替え指示を、ノード制御サーバ2に送信する。ノード制御サーバ2は、各ノードN1〜N16の通信装置に対して、切り替え指示に従った切り替え制御を行う。これにより、フロー#1,#3,#4の通信経路が、迂回経路に切り替えられる。
通信経路の切り替え後、ノード制御サーバ2は、各ノードN1〜N16の通信装置から応答メッセージ(「応答」参照)を受信し、NW構成管理部100に転送する。次に、経路切替制御部101は、障害フロー情報に基づいて、障害が発生したフロー#2の「デフォルト経路」を示す通信経路情報をNW構成管理部100に通知する。
NW構成管理部100は、障害が発生したフロー#1の通信経路の「デフォルト経路」への切り替え指示を、ノード制御サーバ2に送信する。ノード制御サーバ2は、各ノードN1〜N16の通信装置に対して、切り替え指示に従った切り替え制御を行う。これにより、フロー#2の通信経路が、迂回経路に切り替えられる。
通信経路の切り替え後、ノード制御サーバ2は、各ノードN1〜N16の通信装置から応答メッセージ(「応答」参照)を受信し、NW構成管理部100に転送する。このようにして、通信経路の復旧処理は行われる。
図21は、通信経路の復旧処理の一例を示すフローチャートである。まず、経路切替制御部101は、端末装置4から通信経路復旧指示を受信したか否かを判定する(ステップSt21)。通信経路復旧指示を受信していない場合(ステップSt21のNo)、経路切替制御部101は、処理を終了する。
通信経路復旧指示を受信した場合(ステップSt21のYes)、経路切替制御部101は、障害が発生したフロー#1,#2の通信経路を、迂回経路から「デフォルト経路」に切り替えるように、NW構成管理部100に指示する(ステップSt22)。次に、NW構成管理部100は、障害フローリスト122及び迂回経路情報の「切替順」に従って、フローを選択し、ノード制御サーバ2に対して切り替えを指示する(ステップSt23)。上述したように、NW構成管理部100は、フロー#1、#4,#3,#2の順で通信経路の切り替えを行う。
次に、NW構成管理部100は、ノード制御サーバ2から応答(切り替え制御の結果)を受信する(ステップSt24)。次に、経路切替制御部101は、迂回経路DB134から、「デフォルト経路」への切り替えが完了したフローの迂回経路情報を削除する(ステップSt25)。次に、経路切替制御部101は、障害フローリスト122から、「デフォルト経路」への切り替えが完了したフローの迂回経路情報を削除する(ステップSt26)。
次に、NW構成管理部100は、通信経路の復旧後の構成に従って、ノードDB131、リンクDB132、及びフローDB133を更新する(ステップSt27)。次に、経路切替制御部101は、障害が発生したフローのうち、通信経路が「デフォルト経路」に復旧されていないフローの有無を判定する(ステップSt28)。
通信経路が未復旧のフローが有る場合(ステップSt28のYes)、経路切替制御部101は、再びステップSt22以降の処理を行う。また、通信経路が未復旧のフローがない場合(ステップSt28のNo)、経路切替制御部101は、処理を終了する。このようにして、通信経路の復旧処理は行われる。
これまで述べたように、実施例に係る通信経路制御方法は、以下の工程を含む。
工程(1):通信経路に障害が発生したトラフィック(フロー#1)を検出する。
工程(2):検出したトラフィックに要求された遅延時間の条件を満たす迂回経路を検索する。
工程(3):トラフィックに要求された帯域が確保されるように、検索した迂回経路から、遅延時間が要求されない他のトラフィック(退避フロー#3,#4)を他の通信経路に退避させる。
工程(4):トラフィックを迂回経路に迂回させる。
したがって、実施例に係る通信経路制御方法によると、ネットワーク資源が十分ではない場合であっても、障害が発生したフローの通信経路を切り替えることができるため、ネットワーク資源が節約される。
また、実施例に係る通信システムは、複数の通信装置(N1〜N16)と、複数の通信装置間において、複数のトラフィック(フロー#1〜#9)がそれぞれ流れる複数の通信経路を制御する通信経路制御装置(NW管理サーバ)1とを有する。
通信経路制御装置1は、複数のトラフィックのうち、通信経路に障害が発生したトラフィック(フロー#1)を検出し、複数の通信経路から、検出したトラフィックに要求された遅延時間の条件を満たす迂回経路を検索する。通信経路制御装置1は、トラフィックに要求された帯域が確保されるように、検索した迂回経路から、複数のトラフィックのうち、遅延時間が要求されない他のトラフィック(退避フロー#3,#4)を他の通信経路に退避させ、トラフィックを迂回経路に迂回させる。
実施例に係る通信システムは、実施例に係る通信経路制御方法と同様の構成を含むので、上述した内容と同様の作用効果を奏する。
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 通信経路に障害が発生したトラフィックを検出し、
検出した前記トラフィックに要求された遅延時間の条件を満たす迂回経路を検索し、
前記トラフィックに要求された帯域が確保されるように、検索した前記迂回経路から、遅延時間が要求されない他のトラフィックを他の通信経路に退避させ、
前記トラフィックを前記迂回経路に迂回させることを特徴とする通信経路制御方法。
(付記2) 前記トラフィックに要求された遅延時間の条件を満たす前記迂回経路を検索した結果、複数の通信経路が検索された場合、前記複数の通信経路のうち、空き帯域が最も大きい通信経路を、前記迂回経路として選択することを特徴とする付記1に記載の通信経路制御方法。
(付記3) 前記トラフィックに要求された遅延時間の条件を満たす前記迂回経路を検索した結果、複数の通信経路が検索された場合、前記複数の通信経路のうち、遅延時間が最も小さい通信経路を、前記迂回経路として選択することを特徴とする付記1に記載の通信経路制御方法。
(付記4) 複数の通信装置と、
前記複数の通信装置間において、複数のトラフィックがそれぞれ流れる複数の通信経路を制御する通信経路制御装置とを有し、
前記通信経路制御装置は、
前記複数のトラフィックのうち、通信経路に障害が発生したトラフィックを検出し、
前記複数の通信経路から、検出した前記トラフィックに要求された遅延時間の条件を満たす迂回経路を検索し、
前記トラフィックに要求された帯域が確保されるように、検索した前記迂回経路から、前記複数のトラフィックのうち、遅延時間が要求されない他のトラフィックを他の通信経路に退避させ、
前記トラフィックを前記迂回経路に迂回させることを特徴とする通信システム。
(付記5) 前記トラフィックに要求された遅延時間の条件を満たす前記迂回経路を検索した結果、複数の通信経路が検索された場合、前記複数の通信経路のうち、空き帯域が最も大きい通信経路を、前記迂回経路として選択することを特徴とする付記4に記載の通信システム。
(付記6) 前記トラフィックに要求された遅延時間の条件を満たす前記迂回経路を検索した結果、複数の通信経路が検索された場合、前記複数の通信経路のうち、遅延時間が最も小さい通信経路を、前記迂回経路として選択することを特徴とする付記4に記載の通信システム。