図1aは、本発明の実施形態に係る装置10の断面図である。この装置は、例えばフレームなどのような支持構造16に、2つの橋渡し部材14aおよび14bを介して取り付けられたレンズ12を備え、このレンズ12は、図1にその概略が示される参照平面18に対して、距離22を以て配されている。レンズ12と橋渡し部材14aおよび14bとは、共通位置平面26に配されている。参照平面18は、例えば、装置10の有する画像センサが配される結像面であってもよい。距離22は、レンズ12の焦点距離に応じて選択される。橋渡し部材14は、熱膨張係数が支持構造16よりも大きい材料から単層に形成された構造を有する。温度が上昇した場合、橋渡し部材は、その結果として、特に支持構造16の方向に沿って、支持構造16からレンズ12に向かって、支持構造よりも膨張し、それによって、レンズの元来の位置からの偏位に影響を与えることができる。移動方向は、材料とは独立に規定され、例えば図3に説明される曲面によって規定される。
図1bは、例えば環境温度などの温度が上昇した場合における図1aのレンズ12を示す。温度が上昇すると、レンズ12が変形し、これによってレンズ曲率が変化し、さらにレンズ12の屈折率と焦点距離とが変化する。図1bにおいて、破線24は、レンズ12の元来の形状を示す。図示のように、温度の上昇によって、レンズの厚みが影響を受け、屈折率が低減する。屈折率の低減により、レンズ12と参照平面18との間の距離22が減少する一方、表面曲率の変化および屈折率の同時変化の結果として、レンズ12の焦点距離が変化する。そして、破線22aの示すように、レンズの焦点が参考平面18の外側になってしまうという結果が生じる。
本願明細書の導入部に記載されたような環境温度の上昇に伴うレンズ12の光学特性の変化は、橋渡し部材を実装し、温度上昇が橋渡し部材14aおよび14b、ひいてはレンズ12の移動を引き起こし、その移動が光学特性の変化と対抗するようにすることで、相殺される。図1aおよび図1bに示す実施形態において、橋渡し部材14aおよび14bは、レンズ12が参照平面18から離間するようレンズ12を移動させ、それによって、レンズ12の元来の焦点位置が、温度変動と独立に維持される。橋渡し部材14aおよび14bは、例えば温度上昇などの温度変動によって橋渡し部材14aおよび14bが変形し、これによってレンズ12の位置が移動しまたは熱影響を受けるよう構成される。橋渡し部材14aおよび14bの長さが熱影響を受けて変化すると、レンズ12は、元来の位置平面26の外側の方向で、レンズ12の光軸28に沿って移動する。橋渡し部材14aおよび14bが適切な寸法を有すると、レンズ12の焦点距離が不適切な場合には、レンズ12が再度参照平面18において焦点を有するよう、レンズ12が移動させられるという効果を有する。したがって、装置10の熱非感受性化が達成される。
以下において、レンズ12の光学特性を補償できるようにする橋渡し部材14aおよび14bの実施形態を詳述する。ここで、上記および下記の説明は、温度上昇の文脈においてなされるものであるが、記載されるアプローチは、温度が低下する場合にも同じように適用される。
図2は、橋渡し部材14aおよび14bを単層構造に構成した第1実施形態を示す。レンズ12は、橋渡し部材14aおよび14bを介して支持構造16に取り付けられる。橋渡し部材14aおよび14bの単層実装により、橋渡し部材14aおよび14bとレンズ12とを一体形成することができる。図2aは平凸レンズ12を示し、図2bは凹凸レンズ12を示す。レンズは、凹レンズ、凸レンズ、両凹レンズ、両凸レンズ、凹凸レンズ、凸凹レンズまたは片面平面構成など、考えられるどのようなものでもよい。
図3は、図1の装置を斜視図で示す。単層の橋渡し部材14aおよび14bは、その表面形状に沿った湾曲を、レンズ12の光軸28が含まれる平面内に有する。温度が上昇してレンズ12と橋渡し部材14aおよび14bとが加熱されると、本実施形態に係る橋渡し部材14aおよび14bの曲面は、レンズが参照平面18に対する向きを保ったまま、参照平面18から光軸28に沿って離間するようレンズの動きを規定する。橋渡し部材14aおよび14bが直線状に構成されていたなら、レンズ12の移動方向は、温度変動があった場合でも規定されることはない。温度上昇が生じた場合におけるレンズ12の参照平面18に向かう移動方向は、橋渡し部材14aおよび14bの湾曲の実装を変更することにより、得ることができる。この実施形態の利点としては、レンズ12と橋渡し部材14aおよび14bとを1つの材料から一体形成することができることが挙げられる。一体形成すると、異なる部品同士を接着させる過程を省略できるため、レンズ12と橋渡し部材14aおよび14bとの生産工程を大いに簡略化することができる。このような構成は、ウェハレベルにおいて簡易な多重反復で生産できるため、大きくコストを低減することができる。
図4は、橋渡し部材14aおよび14bを3層構造として実装する実施形態を示す。橋渡し部材14aは、第1層34aと第2層36aとから構成される。橋渡し部材14bは、第1層34bと第2層36bとから構成される。第2材料層36aおよび36bは、第1材料層34aおよび34b上に不連続に形成され、いずれもレンズ12と支持構造16とから離間して形成される。ただし、このような構成は、第1材料層34aおよび34bの全体についてなされてもよいし、レンズ12または支持構造16に設けられてもよい。不連続に形成された層構造によって、第2材料層36aおよび36bの機械的特性が、温度変動中における橋渡し部材の偏位に対して順応するようになる。また、移動の振幅および方向性は、材料層34および36の熱膨張係数が異なることにより規定されるとともに、材料層34および36は、温度上昇時に別様に膨張するため、橋渡し部材14を形成する材料の熱膨張係数を、支持構造16の熱膨張係数と独立に設定することができる。さらに、橋渡し部材14の動作形態を拡張する付加的材料層37aおよび37bを、橋渡し部材に設けてもよい。
図5a〜図5dは、橋渡し部材14aおよび14bとレンズ12との双方が2つの材料層を有するか、または2つの材料層が橋渡し部材とレンズとの双方を形成する装置20を示す。図5aは、図4に類する第1材料層34aおよび34b上の第2材料層36aおよび36bの構成を示し、ここで、材料層34a、34bおよび34cがこの構成の第1層を形成し、材料層36aおよび36bが、この構成の第2層を形成する。橋渡し部材14aおよび14bにおけるレンズ12とは反対方向の端部に至るまで、材料層34aおよび34bが、第2材料層36aおよび36bにより覆われている。レンズ12もまた、第1材料層34cとこの第1材料層34cに対して不連続に付着している第2材料層36cとにより形成され、この第2材料層36cが橋渡し部材14aおよび14bの領域まで延びている。材料層36cは、材料層34a、34bおよび34cの、層36aおよび36bから離れる方向を向く側に設けられ、それによって全体構造における第3層を形成する。追加橋渡し部材層36aおよび36bと追加レンズ材料36cとの不連続配置ならびに3層構により、レンズ12の光学特性を、橋渡し部材14aおよび14bの機械的特性とは切り離して規定することができる。
図5bにおいて、橋渡し部材14aおよび14bの層34aおよび34bは、層の厚さが不連続に増加する。このようにして増加した層34aおよび34bの領域に第2材料層36aおよび36bが配置され、機械的機能を呈する。図5aとは反対に、この構造の第3層を形成する層36cは、レンズ12の領域内にのみ実装され、それによって、橋渡し部材の変形が、橋渡し部材材料34a、34b、36aおよび36bによってのみ規定される。
図5cにおいて、材料層36a、36bおよび36cは一体に材料層34a、34bおよび34cに形成され、全体として、2層構造を形成する。層34a、34b、36aおよび36bは、例えば機械的な理由で、層厚が不連続に変化している。
図5dは、図5cによる装置であって、層34a、34b、36aおよび36bの層厚は橋渡し部材14aおよび14bの領域を通じて連続的に変化し、他の、レンズ12から離れる方向を向く領域では、一定の層厚となっている。
図6は、2層橋渡し部材14aおよび14bならびに2層レンズ12の異なる実施形態を示し、このうち図6a〜図6cは、集光レンズ12を示し、図6dおよび図6fは、拡散レンズを示す。第1層34a〜34cの第2層36a〜36cに対する層厚比は、任意に決定してよい。したがって、2つの層34a〜34cおよび36a〜36cの1つは、図6cにおける層34a〜34cのように一定の層厚を有してもよく、また図6fにおける層36a〜36cのように異なる層厚を有してもよい。また、層34a〜34cおよび36a〜36cはそれぞれ、図6bに示す比率1:1のように、互いに一定の層厚比をもよい。
図7は、レンズ12が4つの橋渡し部材14a〜14dを介して支持構造16に接続された実施形態の装置30を示す平面図である。橋渡し部材14a〜14dは、それぞれの長手方向の中心線38a〜38dがレンズ12の光軸28と交差するとともに、橋渡し部材14a〜14dがそれぞれ対をなして対向し、2つの隣り合う長手方向の中心線38a〜38dの間の角度42a〜42cが直角をなすよう構成される。本実施形態において、橋渡し部材14a〜14dは、平面に形成された支持構造16に直角につながり、これにより、橋渡し部材14a〜14dの外側端と支持構造16との間、ならびに長手方向の中心線46a〜46dと支持構造16との間の角度44a〜44dが、それぞれ直角となる
図8は、図7の実施形態において、2つだけの橋渡し部材14aおよび14bが、対向するように配置され、レンズ12を支持構造16に接続する構成を示す。この場合、長手方向の中心線は、互いに180度の角度42を形成する。
図9は、図8の実施形態において、橋渡し部材14aおよび14bが支持構造16に対して対角線に配置されて支持構造の2つの領域にそれぞれつなぎ、角度46a、46a、48aおよび48bが90度以外の角度を形成する構成を示す。
図10は、図7および図8に対する代替的実施形態を示す。この実施形態において、橋渡し部材14a〜14dは、支持構造16に斜めにつながるように配置され、これにより、角度44a〜44dおよび46a〜46dが90度以外の角度を形成し、その長手方向の中心線38a〜38dがレンズ12の光軸28を通り過ぎるよう配置される。レンズ12に面する端部において、橋渡し部材14a〜14dは、橋渡し部材14a〜14dをレンズ12に接続する構造48a〜48dを有する。
図7〜図9に比べて、このような実施形態は、橋渡し部材14を長手方向により大きく拡張することができる。橋渡し部材14に取り付けられるレンズ12が光軸28に沿って偏位する振幅は橋渡し部材14の長さに依存するため、長手方向に拡張すればするほど、橋渡し部材14の移動可能範囲をより大きく確保することができる。
図11は、図10に対する代替的実施形態を示す。この実施形態において、互いにオフセットし平行である2つだけの橋渡し部材14aおよび14bが、構造48aおよび48bを介して、レンズ12を支持構造に接続する。
図12は、図10および図11によるさらなる実施形態を示す。この実施形態においては、レンズ12の周囲に対称的に配された3つの橋渡し部材14a〜14cが、構造48a〜48cを介して、レンズ12を支持構造に接続する。
橋渡し部材およびその構成の数は、原則として橋渡し部材14の使用に応じて任意に決定してよい。上記および下記の実施形態は、支持構造16からレンズ12への長さ方向に、橋渡し部材14が真っ直ぐに構成されたものを記載するが、別の実装、例えば横方向に湾曲したもの、すなわち層の厚さ方向または光軸に沿って突き出たもの可能である。この場合、角度44および46は、異なる値としてもよい。さらに、全ての実施形態において、支持構造16を参照平面18に対して直角または正方形に配したものが示されるが、支持構造の形状は、一般に任意に決定してよい。
図13は、図7に示す装置において、加熱装置52a〜52jが橋渡し部材14a〜14dの側部に配された構成を示す。加熱装置52a〜52jは、例えば電熱線のように電気的に実装され、橋渡し部材14a〜14dを局所的にかつ環境温度とは独立に加熱するよう構成される。これによって、橋渡し部材14a〜14dの偏位およびレンズ12の移動が実行される。加熱装置の形状は、加熱装置52cおよび52fのように真っ直ぐであってもよいし、または加熱装置52aのように方形状に曲がっていてもよい。その他、1つまたは複数の加熱装置52a〜52jを蛇行形状に構成してもよい。各橋渡し部材14a〜14dにおいて、導電性の集合橋渡し部材54a〜54dが設けられ、橋渡し部材14a〜14dに設けた加熱装置52a〜52jは、この集合橋渡し部材54a〜54dに接続される。本実施形態において、加熱装置52a〜52jとの接触は、橋渡し部材14a〜14dの固定端部側でかつ支持構造16に隣接して実施されるが、電極のいかなる位置において実施されてもよい。加熱装置52a〜52jは、個別の加熱性能が加熱装置52a〜52jのそれぞれに応じて調整されるよう、異なる構成とされてもよいし、あるいは異なる電位または電流が供給されてもよい。
図14〜図18は、図7〜図12に類する装置を示す。図14〜図18において、上述の加熱装置52および集合橋渡し部材54は、橋渡し部材14の一方側に配されている。加熱装置52は、テンプレートを用いた印刷または蒸着により、橋渡し部材14上に堆積またはスパッタリング形成される。
図19は、4つのレンズ12a〜12dを有し、それぞれが、橋渡し部材14a〜14d、14e〜14h、14i〜14lおよび14m〜14pを介して、支持構造16に接続される装置30を示す。支持構造16に囲まれたセル56a〜56dのそれぞれは、図7に類する装置を示す。レンズ12a〜12d、橋渡し部材14a〜14p、または支持構造16による影響を受けない光の領域に、通過路58a〜58pが形成される。支持構造16は、光吸収部材から形成され、各セル56a〜56dについて、その隣接セル56a〜56dにおいて同セル内に配置されるレンズにより処理された光に対する障壁となる。
図20は、各セル内に配置された橋渡し部材14a〜14d、14e〜14h、14i〜14lおよび14m〜14pが、周辺フレーム62a〜62dとして実装され橋渡し部材14a〜14pが形成される少なくとも1つの材料からなる支持構造16の一部に接続される装置30を示す。フレーム62a〜62dは、支持構造16の光吸収材料に取り付けられる。この実施形態によると、橋渡し部材14aおよび14bと支持構造16との間に直接の材料遷移が存在せず、材料遷移がフレーム62と光吸収材料との間で実装されるため、橋渡し部材14a〜14pを支持構造により簡便に接触させることができる。この実施形態においては、フレーム62a〜62dは、隙間なく残りの支持構造16に当接するとともに、セルは互いに隣接して配置される。
図21は、図20に類する装置を示す。図21において、支持構造16は、凹部64a〜64eを備え、セル56a〜56dのみが、橋渡し部材66a〜66dとして構成される支持構造16の領域を介して、互いに接続されている。これによって、装置製造過程における材料およびコストの節約が可能となる。また、セル間の安定性について、よりよい性質が得られ、特に熱変動によって誘起された支持構造16の材料張力を低減することができる。さらに、切り分ける必要のある材料がほとんどないため、付加的処理工程において必要となるかもしれないセル56a〜56dの区分けが、時間をかけずに行うことができる。
図22は、図19に類する装置を示し、支持構造16が完全にフレーム62a〜62dから形成されている。支持構造16のフレーム62a〜62dからの完全な実装により、生産工程における装置の製造をより簡便にし、そのコストを低減することができる。また、光学全体構造を、より高い自由度を以て形成することができる。したがって、例えば、特に下記において図38および図39に示すように、レンズの光軸に沿って、支持構造16の付加部分を配置することができる。全ての上述または後述の実施形態でも同様に、橋渡し部材14は、単層すなわちモノモルフに実装されてもよく、2層すなわちバイモルフに実装されてもよい。
図23は、図21に類する装置を示す。図23において、支持構造16は、フレーム62a〜dから完全に形成される。また、凹部64a〜64eは、支持構造16の領域または橋渡し部材66a〜66dとして実装されるフレーム62a〜62dによって、セル56a〜56dのみが互いに接続するよう実装される。
図24は、装置40の概略平面図を示す。この装置40においては、レンズアレイ68が支持構造16に対して8つの橋渡し部材14a〜14hにより接続され、このレンズアレイが支持平面72とこの支持平面72の3列および3行に配された9つのレンズ12a〜12iとを有する。この実施形態において、装置の光学構造は、同一のレンズ12a〜12iとして実装される複数の光学要素の組合せとして実装されている。基本的には、レンズの代替として、非球面、自由形状領域、回折構造、鏡、プリズム、または、ここで掲げた光学要素のうち、幾つか同じものまたは異なるものを、行および列が幾つでも、任意に組み合わせたレンズアレイを用いてもよい。複数のレンズ12がアレイ68に配置される場合、そこに位置するレンズ12の全てを、橋渡し部材14を介して一緒に移動させてもよく、これによって、各レンズ12の移動のばらつきを抑えることができる。
例えば図19〜図23に示すような複数の光学構造12を含む構成においては、上述のレンズの代わりに、図24に類するレンズアレイ68を用いてもよい。レンズアレイ68と、支持構造16と、少なくとも1つのレンズ材料から構成され、各個別セル56間に橋渡し部材66を有する周辺フレーム62とを有する実施形態によると、生産工程の終了時において、セルを簡単に切り離すことができる。
図25は、図6に類する装置の断面図である。図25によると、橋渡し部材14aおよび14bに、これらに対して直交する構造74aおよび74bが設けられる。この構造によって、橋渡し部材14aおよび14bの変形中に連動レンズ75が連動し、かつレンズ12および75の光軸28aおよび28bが実質的に一致するよう、連動レンズ75がレンズ12に対して位置決めされる。レンズ12および75は、構造74aおよび74bとともに、レンズ積み重ね構造76を構成する。この実施形態において、構造74aおよび74bは、連動レンズ75ならびに橋渡し部材14aおよび14bの第2材料層36aおよび36bと同一の部材から一体形成される。連動レンズ75を橋渡し部材14aおよび14bに配置することにより、温度変動時においてレンズ12および75の焦点距離が熱誘起により変化したとしても、対応する別のレンズについて補償されることができ、さらに支持構造16を橋渡し部材14に追加的に設けるという構成を省略することができる。
図25に示すように、構造74aおよび74bを橋渡し部材とすることもできる。代替として、または追加的に、構造74aおよび74bは、可動レンズ12から距離をおいて、またはレンズ12に直接的に隣接して、橋渡し部材14aおよび14bに配置された、周辺形状および/または外形として実装されてもよい。周辺外形は、連動レンズ75の可動レンズ12に対するより正確な位置決めを可能にする。
図26は、図25の装置を示す。図26において、連動レンズ75は、2層構造として構成され、参照平面18についてレンズ12からさらに離間するよう配置される。
図27は、図26の装置を示す。図27において、連動レンズ75は、レンズ12と比べて、参照平面18に隣接するよう配置される。追加構造74aおよび74bは、いずれの材料によって構成されてもよく、特に第2層36の材料から構成される。そして、追加構造74aおよび74bは、橋渡し部材14aまたは14bの第1材料層34aまたは34bと、追加レンズ75の第1材料層34dとの間に配される。また、追加構造74aおよび74bは、レンズ12および75との複数ピースで形成される。
図28は、図25〜27の装置を示す。図28において、追加構造74aおよび74bは、部分77aおよび77bまたは77cおよび77dをそれぞれ接着させる接着層78を有する。構造74aおよび74bを接着層78を介して接着させると、異なる別個の生産工程により装置を生産することができる。
基本的に、レンズ12および連動レンズ75は、どのような層数の材料層を含んでもよい。レンズ積み重ね構造76もまた、追加構造74を介して互いに接続されるどのような数のレンズで構成されてもよい。追加構造74は、橋渡し部材14のどの層に設けられてもよい。
図29は、2つの異なるレンズ積み重ね構造76aおよび76bが橋渡し部材14a〜dを介して支持構造16に接続され、レンズ12a、12b、75aおよび75bの光軸28a〜28dが実質的に一致する装置50を示す。温度変動中におけるレンズ積み重ね構造76aまたは76bの移動方向および移動範囲は、橋渡し部材14aおよび14bまたは14cおよび14dの実装にそれぞれ依存し、他の積み重ね構造76aまたは76bの移動とは独立である。
図30aは、図6cの装置を示し、固定レンズ79が支持構造16に配置された構成を示す。支持構造16は、レンズ12が橋渡し部材14aおよび14bを介して配置された第1部分16aと、この第1部分16aの上方の第2部分16bとを有する。第1部分16aの直径X1は、第2部分16bの直径X2よりも小さく設定され、レンズ12と橋渡し部材14aおよび14bとが配置される第1部分16aによって規定される隙間D1が、固定レンズ79と橋渡し部材として構成される層81aおよび81bとが配置される第2部分16bによって規定される隙間D2よりも大きい。固定レンズ79もまた、支持構造16に多層橋渡し部材81aおよび81bを介して取り付けられ、レンズ12と実質的に同形状を有している。小さい隙間によって、固定レンズ79の層81aおよび81bは、レンズ12の橋渡し部材14aおよび14bよりも小さく、これによって、温度変動時においても、固定レンズ79の橋渡し部材が、参照面18に対して、固定レンズ79を全くまたはほとんど移動させないよう構成されている。代替構成としては、固定レンズ79は、層81aおよび81bを介することなく、支持構造16に直接取り付けられてもよい。また、レンズは、レンズ12とは異なる形状を有してもよい。直径X1およびX2と隙間D1およびD2とは、基本的にいかなる形状であってもよく、つまり円形ではなく、楕円形や直方体であってもよい。固定レンズ79は、可動レンズ12よりも参照平面18から離れた位置に配置される。
図30bは、図30aと同様の装置を示す。図30bにおいて、固定レンズ79は、レンズ12の下方であって、レンズ12よりも参照平面18に隣接した位置に配置される。
図31aおよび図31bは、図30aおよび図30bに類する装置を示す。図31aおよび図31bにおいて、レンズ材料のセグメント82が、支持構造16上において、レンズ12と固定レンズ79との間に周辺フレームが形成されるように配置される。セグメント82は、レンズの層の1つが形成される材料から形成される。
図32は、図30および図31に類する装置60を示す。支持構造16において固定的に配された固定レンズ79は、2層構造であり、2つの材料層34および36以外に、材料層34および36の間に配され支持構造16内に突出するガラスウェハ86を有する。ガラスウェハ86によって、固定レンズ79は、さらなる光学特性(例えば、ガラスウェハ86に導入された屈折グリッドという形状の光学特性)および例えば追加的スティフナなどのさらなる機械的特性によって、延長される。
図33は、橋渡し部材14aおよび14bを有する可動レンズ12の設けられた装置70の側面図を示す。固定レンズ79は、2層構造として形成され、レンズ79に配された連続層81a〜81dにも拘わらず、レンズ79を固定的に構成するよう固定レンズ79の2つの材料層34および36の間に設けられたガラスウェハ86を有する。支持構造16は、層81aおよび81bと一体的に構成される。
図34は、装置70を示す。図34において、固定レンズ79に配される層81a〜81dは、ガラスウェハ86において部分的にのみ配され、支持構造16から離間している。支持構造における固定レンズ79の配置は、ガラスウェハ86によって実行される。
図35は、図33の装置70に類する装置80を示す。図35において、支持構造16bおよび16cの追加部分は、装置70に配置され、これにはガラスウェハ86bおよび層81e〜81hを有する固定レンズ79bが含まれる。支持構造16bおよび16cの要素は、支持構造16aとは異なる材料により形成される。異なる支持構造16a〜16cを接着させ、レンズ12および固定レンズ79aおよび79bを組み合わせると、いかなる方法によっても実行可能な光学システムを形成することができる。可動レンズ12、連動レンズ75および固定レンズ79の順番および数は、任意に決定してよい。
図36は、装置80を示す。図36において、固定レンズ79aおよび79bに配される層81a〜81hは、ガラスウェハ86aおよび86bにおいて部分的にのみ配される。
層81のないレンズ79aおよび79bのみをガラスウェハ86aおよび86bに配してもよい。
図37は、図36に類する装置を示す。図37において、可動レンズ12とこれに配された橋渡し部材14aおよび14bとは、1つの材料から一体形成され、残りの装置については専らその他の材料から構成される。
図38は、装置70を示す。装置70において、支持構造16の個別部分16aおよび16bは、接着層92により互いに接着される。
図39は、図37に類する装置を示す。図39において、支持構造16の個別部分16aおよび16bは、接着層92により互いに接着される。
支持構造16の部分を接着層92により接着することによって、異なる部分工程において実行される部品を有する構造および装置を形成することができる。また、支持構造16内における材料遷移は、異なるよう接着された部分が異なる材料または層シーケンスを有するときに形成される。
図40は、図30に類する装置90を示し、レンズの代わりに、レンズ積み重ね構造76が支持構造16に配された構成を示す。
図41は、装置90を示す。装置90において、固定的に配されたレンズ79は、支持構造16内に突出するガラスウェハ86を有する。
図42は、図40に類する装置90を示す。図42において、支持構造16の個別部分16bおよび16cは、接着層92により互いに接着される。
図43は、図42に類する装置90を示す。図43において、固定レンズ79は、図41と同様に、支持構造16内に突出するガラスウェハを有し、支持構造16の個別部分16bおよび16cは、接着層92により互いに接着される。
図44は、図42に類する装置90を示す。図44において、構造74aおよび74bは、接着層78を有する。
図45は、図44に類する装置90を示す。図45において、固定レンズ79は、図43と同様に、支持構造16内に突出するガラスウェハ86を有する。
図46は、図44に類する装置90を示す。この装置90において、レンズ材料の追加セグメント82a〜82dは、可動レンズ12および固定レンズ79の間に配置され、周辺フレーム84を形成する。ここで、セグメント82aおよび82bは、接着層92を介して接着され、接着層92は同時に、支持構造16の個別部分16bおよび16cを接着させる。
上述の実施形態および下記の実施形態は、1つのレンズのみならず、例えば回折格子などの別の光学構造を有する構成に簡単に置き換えることができる。
上述の実施形態は、レンズまたは光学構造がぶら下がる橋渡し部材をモノモルフ偏位またはバイモルフ偏位させることによって、光学構造の光学特性による温度依存性(例えば、レンズ焦点距離の温度依存など)を補償する選択肢を提供することを強調する。これによって、例えば、レンズの貢献する光学結像面または光学像の中間結像面が、温度の変動によってその位置がずれにくくなる。上記実施形態においては、橋渡し部材を形成する層の層面からの偏位が常に示され、これによって光学構造が例えば層厚方向に移動させたが、その原則を層面内における偏位へと変更することもできる。これによって、光軸に沿った並進作または傾き以外の動作も得ることができる。光学構造特性を非熱感受性にすることができるという事実上の受動的補償効果に加えて、上述の装置は、光学部品の動作を環境温度とは独立に活発にするために、加熱装置を備えてもよい。
上述の実施形態は、後述の実施形態の態様と組み合わせてもよく、それによると、硬化処理可能な接着剤を用いて、橋渡し部材を介して調整可能な光学構造の位置調整が確定される。以下の実施形態は、上述の実施形態の温度補償効果とは独立に用いることができるものである。
図47aは、光学構造12の新たな初期位置を参照平面18に対して調整し固定するための概略ブロック図を示す。工程1には、光学構造を含む調整対象の装置を準備することが含まれる。この準備には、光学構造12および橋渡し部材14を備える装置を生産することも含まれる。装置の生産においては、後に硬化処理可能な接着剤102を装置に導入してもよい。もし装置準備工程において、接着剤102が装置に配されない場合には、第2工程において接着剤を装置に配してもよく、この場合橋渡し部材14と支持構造16との間に配される。第3工程においては、光学構造を参照平面18に対して調整して、レンズ12の参照平面18に対する好ましい距離または好ましい向きが得られるよう調整する。好ましい向きには、例えば参照平面18に対するレンズ12の最適焦点位置も含まれる。この調整は、調整影響104により、レンズ12を元来の位置P1から調整後位置P2へと移動されることで実施される。これは、例えば橋渡し部材14の変形を開始させる橋渡し部材に配された加熱装置を駆動させることにより実施される。その他の影響としては、例えば、橋渡し部材に対して静電力を印加することが可能であり、この静電力は、例えば図64および図81に示すように、静電駆動器により生成される。構造に対して外部の力学を作用させ、橋渡し部材14およびそこに取り付けられたレンズ12を偏位させることも可能である。調整の際には、好ましい向きが達成されたか否かについて中間チェックを1回または複数回実施してもよい。環境温度の変化が調整に用いられる場合(つまり、そのように構成された橋渡し部材の温度依存偏位の上述の効果が用いられる場合)、温度と光学構造の光学特性との間の以前に決定されたまたは以前に既知となった関係性を調整中に用いて、光学構造の意図する所定の用途または動作温度について最適な調整となるよう決定される。調整中において橋渡し部材が別の方法により偏位される場合には、この調整は、例えば動作温度において、または許容される動作温度の範囲内において実行される。
調整後位置P2を保持しつつ、接着剤102の硬化処理が第4工程において実施され、これによってレンズ12および橋渡し部材14が固定される。硬化処理される接着剤102の位置には、橋渡し部材14の新たな固定点が形成され、これによって橋渡し部材14の新たな移動形態が規定される。上述の温度依存度に従って固定した後も、レンズ12は、新たな固定点とレンズ12との間の領域内で、橋渡し部材の変形により移動可能である。前回の調整工程において、この残存的な移動可能性も考慮して調整を行う必要がある。例えば、もし橋渡し部材が上述の実施形態に従って局所的に加熱されることにより偏位し、最適の調整または向きを得るための温度が高温の場合、残存的な移動可能性次第では、固定前に、最適偏位点より少し超えて橋渡し部材を偏位させて、稼働中のレンズを精密に調整するために不必要な温度調整が避けられるようする方が好適な場合もある。
図47bは、支持構造16が2つの部分16aおよび16bから構成される装置を示す。レンズ12は、橋渡し部材14aおよび14bを介して部分16aに設けられる。部分16aは、第1部分16aに向かって下向きに指向する支持構造の部分16bが有する幅R2よりも小さい幅R1を有する。支持構造の第1部分16aにより規定される隙間FF1は、したがって第2部分16bによって規定される隙間FF2よりも大きい。調整作用104、接着剤102の硬化処理106、および調整作用104の除去により、レンズ12の元来の位置P1とは異なる新たな位置P2を参照平面18に対して調整すると、レンズ12は、調整後位置P2を新規初期位置として有する。硬化処理された接着剤102aおよび102bの位置により、橋渡し部材14の新たな固定アンカリング点が規定される。熱誘起またはその他、例えば静電力によって生じた橋渡し部材14の変形は、この場合においてはレンズ12と硬化処理された接着剤により規定される固定点との間の領域L2においてのみ影響を受ける。
橋渡し部材14の残存膨張L1は、例えば、空間内におけるレンズ12の位置決めに対して限定的な影響しか与えない。旧来のぶら下がり点103a/103bは、レンズ12の新たなぶら下がり点105a/105bにより置換される。
図47cは、図47bのための準備工程において、接着剤102aおよび102bが橋渡し部材14aおよび14bの間に配されるとともに、支持構造が部分16bに配される装置を示す。ここで、支持構造の部分16bは、橋渡し部材14aおよび14bに対して固定的に構成され、これによって、橋渡し部材14aおよび14b、さらにはレンズ12を参照平面18に対して調整することができる。
図47において接着剤102は紫外線硬化性のものとして構成され、硬化処理106は紫外線照射によって実施されるが、その他の形状の接着剤(例えば、熱性工程などの対応する硬化処理工程により硬化処理される熱活性化接着剤)を用いてもよい。調整104は、例えば、加熱装置52を駆動することにより、またはその他外力を付与することにより実施されてもよい。もしこの調整が、環境温度または加熱装置の駆動により温度の手段によって実施される場合、全体構造の製造交差と、調整温度が回復し橋渡し部材が通常の環境温度に冷却されることにより生じ得る橋渡し部材の再変形との両方が補償されるよう、接着剤による固定を実行してもよい。この再変形によって、意図する目標位置からレンズが新たにずれてしまう可能性がある。
別の構成としては、レンズの目標位置が接着剤により得られ固定されるよう、橋渡し部材に対して外力を付与する静電駆動器により調整を実施してもよい。あるいは、グリップまたは別の外部装置などによる外力を、レンズを偏位させ調整するために用いてもよい。
上述の通り、橋渡し部材の長さは、稼働中の後のタイミングにおいて、新規固定点105によって生じる長さL2まで短縮されるが、この短縮については、橋渡し部材の生産過程および橋渡し部材材料の寸法取り工程の両方において考慮するようにしてもよい。そして、例えば橋渡し部材の長さを長くして、湾曲線がより大きな振幅となるよう、またはより強いストロークを生成する材料が選択されるようにし、光学構造のシフトとレンズの光学特性のシフトとの間に定義された特性曲線が維持される。
図48は、装置30を示し、紫外線照射によって硬化処理可能な接着剤102a〜dが橋渡し部材14a〜dに配される。
図49は、凹凸断面を有する橋渡し部材14aおよび14bが曲面形状を有する装置10を示す。これによって、レンズ12の固定位置、および単層橋渡し部材を介して支持構造16に配されたレンズ12の移動規定の両方が安定化する。
図50は、図1および図2に類する装置を示す。図50において、支持構造16は、幅R1を有する部分16aと、幅R2を有する追加部分16bとを有し、橋渡し部材14aおよび14bが支持構造16の部分16aに配される。橋渡し部材14aおよび14bの間の空間、および支持構造16の部分16bは、硬化処理可能な接着剤102の構成が新たな初期位置を固定できるよう構成される。
図51aは、図26に類する装置を示す。図51aにおいて、支持構造16の部分16bは、橋渡し部材14aおよび14b間の空間および支持構造16を、参照平面18の方向に制限し、これによって硬化処理可能な接着剤102の構成が新たな初期位置を固定できるよう構成される。
図51bは、図27に類する装置を示す。図51bにおいて、支持構造16の部分16bは、橋渡し部材14aおよび14b間の空間および支持構造16を、参照平面18の方向に制限し、これによって硬化処理可能な接着剤102の構成が新たな初期位置を固定できるよう構成される。
図52aは、図26に類する装置を示す。図52aにおいて、支持構造16の部分16bは、橋渡し部材14aおよび14b間の空間および支持構造16を、連動レンズ75の方向に制限し、これによって硬化処理可能な接着剤102の構成が新たな初期位置を固定できるよう構成される。
図52bは、図27に類する装置を示す。図52bにおいて、支持構造16の部分16bは、橋渡し部材14aおよび14b間の空間および支持構造16を、連動レンズ75の方向に制限し、これによって硬化処理可能な接着剤102の構成が新たな初期位置を固定できるよう構成される。
図53は、図29に類する装置を示す。図53において、支持構造16は、2つのレンズ積み重ね構造76aおよび76bの間の領域において、支持構造16の部分16aおよび16cの幅R1よりも大きな幅R2を有する部分16bを備える。接着剤102は、幅R2を有する部分16bにおいて、2つのレンズ積み重ね構造76aおよび76bの方向に配されてもよく、それによってレンズ積み重ね構造76aおよび76bの両方が支持構造16の部分16bによって調整されることができる。
図54aは、支持構造16が幅R1を有する部分16aと幅R2を有する部分16bとを有し、幅R2が幅R1よりも大きい装置を示す。幅R1を有する支持構造16の上面または底面に、可動レンズ12が橋渡し部材14aおよび14bを介して配される。構造16の反対の上面または底面においては、固定レンズ79aが、部分16bの隙間F2により、追加層81aおよび81bを介して配される。ここで、固定レンズ79aおよび追加層81aおよび81bは、支持構造16と一体的に構成される。
図54bは、2つのセル56aおよび56bから構成され、セル56aおよび56bのそれぞれが図54aの装置と一致して設けられる装置を示す。2つのセルは、それぞれ直接的に隣接するよう配置され、可動レンズ12aおよび12b、支持構造16、ガラスウェハ86および固定レンズ79aおよび79bを有するセルの隣接材料層はそれぞれ、全体的に一体構成される。
図54cは、図54bに類する装置を示す。図54cにおいて、セル56aおよび56bはそれぞれ、連続的に構成されたガラスウェハ86上において、互いに離間するよう配置される。したがって、ガラスウェハ86のみが一体的に構成される。
図55aは、図54aの装置に類する装置を示す。図55aにおいては、固定レンズの半分79bに設けられた層81cおよび81d上において、支持構造の追加部分16cが配され、これの端部において、第2ガラスウェハ86bが配されている。
図55bは、図55aの装置を示し、ここではレンズ12が2層構造に構成されている。
可動レンズおよび固定レンズを有する装置においては、単層または複数層の可動レンズまたは固定レンズを使用することできる。また、任意の特性を光軸に沿って実施するために、複数のガラスウェハ86を用いてもよい。
図56aは、支持構造16の部分16aおよび16bが異なる材料から形成される装置を示す。部分16aは、ガラスウェハ86aに配され、橋渡し部材14aおよび14bは、ガラスウェハ86aに対抗する部分16aの端部に配される。レンズ12とは反対方向のガラスウェハ86の主面には、層81aおよび81bを有する固定レンズ79が設けられ、この固定レンズ79と層81aおよび81bが一体形成されている。支持構造の部分16bは、部分16aとは異なる材料より形成され、層81aおよび81bに配される。第2ガラスウェハ86bは、固定レンズ79の反対方向にある部分16bの端部に配される。
図56bは、図56aの装置を示す。図56bにおいて、橋渡し部材14aおよび14bと支持構造16の部分16aとは、レンズ12と一体形成される。
求められる機能、例えば熱特性の機構などに応じて、光学全体構造の各部分は、異なる材料から形成されてもよい。安定化特性を有するかまたは光学構造(例えばレンズなど)のキャリアとして構成されるガラスウェハは、材料の同じ部分間または異なる部分間において一体化されてもよい。
橋渡し部材または光学構造の偏位に対して大きな動力を付与するために、橋渡し部材に対して外力を付与し橋渡し部材をその位置から動かすことによって、上述の橋渡し部材の熱影響の利用性(これは図示した加熱装置によっても利用される)を拡張することができる。以下の実施形態に示すように、この外力は、例えば静電駆動器の静電領域によって生成することができる。機械的な保持器またはグリップの他、上述の偏位熱依存性の利用または存在がなければ、静電的偏位しかできない。ここで、静電駆動器は、異なる構成としてもよい。後述の実施形態の一部は、電極を設けることのできる部分曲面成形部または支持構造の成形部と両立する電極キャリアにより、支持構造の延長部を設ける。また、後述するさらなる実施形態において採用されているように、橋渡し部材をカンチレバー電極により特別に構成することにより、静電駆動器を構成してもよい。
したがって、前述の実施形態は、稼働中の光学構造および橋渡し部材の位置決めをするのに静電駆動器を用いる後述の実施形態の一態様と組み合わせることができる。しかしながら、以下の実施形態は、前述の実施形態の温度補償効果とは独立して用いてもよい。
図57aは、成形部が配された図1に類する装置120を示す。装置120において、第2電極126aおよび126bと第1電極122aおよび122bとは、それぞれ少なくとも部分的に重なり、かつ少なくとも絶縁層128によって互いに離間するよう配される。第1電極122aおよび122bと第2電極126aおよび126bとは、静電駆動器132aおよび132bを構成する。
成形部124は、直径D3を有し、その略中心において、成形部124の材料、電極126および絶縁層128が窪みを形成している。そして、この成形部124は、レンズ12の光軸28の略中心に配されている。さらに、成形部124は、支持構造16に面する2つの面であって、成形部124の幅XF1全体にかかる面FF1と、幅XF2を有する連続的な曲面FF2とを有する。面FF1は、面FT1とは反対に配置され、幅XF1は、実質的に幅XT1に対応する。面FF1は平面形状に構成される一方、面FF2は連続的な曲面として構成される。本実施形態において、成形部124の面FF3は、幅XF3の延長線上に渡って平面上に構成されている。2つの第2電極126aおよび126bは、平面FF1および曲面FF2に配置され、少なくとも部分的に絶縁層128によって覆われている。
静電駆動器によって、電極間において電界を印加することができ、よって電極122および126に対して外力を付与することができる。これによって、初期調整段階および稼働段階の両方において、光学構造の偏位または傾きが達成される。稼働中において、レンズの動的集束が可能となる。これによって、橋渡し部材14によるレンズ12の熱誘起変化を、熱的に補償することなく、補完しまたは補償する。橋渡し部材およびレンズの材料は、例えば、変動する環境温度において、規定された物体距離に対して一定の焦点を達成することができる。変動する物体距離に対しては、静電駆動器によって焦点を合わせることができる。特に、光学構造の光学特性の熱誘起変化効果を補正するために、例えば温度センサにより取得される温度とは独立に静電駆動器を制御する制御器(図示省略)や、あるいは、例えば、橋渡し部材にぶら下がるレンズを含むレンズシステムなどの光学構造により少なくとも部分的に規定される結像面に撮像された画像の鮮明さなどの、光学構造の光学特性に応じた信号の評価次第で、静電駆動器を制限する制御器(図示省略)を設けてもよくまたは少なくとも接続してもよい。
図57aの装置は、例えば以下に説明するように生産されてもよい。
図57bは、支持構造16、これに配された構成部、成形部124およびこれに配された構成部が接着されていない状態の装置120を示す。電極122aおよび126aと電極122bおよび126bとは、支持構造16および成形部124に接着した後に、それぞれ橋渡し部材14aおよび14bに対して静電駆動器132aおよび132bとして機能するよう構成される。
図57cは、面FT1と面FF1との間の硬化処理可能な接着剤134aおよび134bの構成を示し、これらの接着剤によって成形部124が支持構造16に対して接着される。
もし第1電極122が橋渡し部材に配され、静電駆動器132が橋渡し部材14、さらにはレンズ12を偏位するよう用いられた場合、レンズ12の焦点を参照平面に対して迅速に合わせ、物体距離の焦点が合うよう大きな動力を以て実行されてもよく、これによって、レンズ12の使用される光学全体構造がより迅速に画像シーケンスを得てもよい。
図58は、図57bの代替装置を示し、この装置においては、絶縁層128は、第1電極122aおよび122bに配される。基本的に、絶縁層128は、第1電極122a/122bまたは第2電極126a/bに固定的に設けられないよう、かつ接着状態における支持構造16と成形部124との間において、例えば分離層として導入されるよう、第1電極122と第2電極126との間に位置決めしてもよい。支持構造16の面FT1と成形部124の平面FF1との間の領域においては、単に第1および第2電極122a/122b、第2電極126a/126b、絶縁層128および接着剤134a/134bが設けられる。この領域においては、第1電極122aおよび122b間の距離は最小限であり、支持構造16からレンズ12に向かう方向に従って、連続的に増加する。
図59は、電圧Uが第1電極122および第2電極126の間に付与される装置120の一部を示す。電圧Uによって、2つの電極間において電界136が発生し、よって2つの電極間に引力が派生する。成形部124を支持構造16に対して配置することにより、第2電極126は、支持構造16に対して固定的に配置される。電界136の引力により、レンズ12と橋渡し部材14とが、元来の位置から、破線の示す通り、第2電極126の方向に移動するという効果が得られる。
電界の極性次第では、2つの電極間に反発力が発生する場合もあり、この場合は、橋渡し部材14およびレンズ12が第2電極126から離間するよう移動する。
図60aは、図20の装置30におけるセル56の平面図である。ここで、第1電極122a〜22dは橋渡し部材上に配置され、支持構造16の面FT1上にて延出する。光軸28は、レンズ12の中心にある。図60bは、成形部124の平面図である。ここで、第2電極126a〜126dは、破線の示すように配置され、平面上に配置された絶縁層128によって覆われる。成形部は、その中心において、直径D3を有する円状凹部を有する。この凹部によって、成形部124が支持構造16に接着した後でも、レンズ12の光軸28に沿った妨害のない光の通路が形成される。
図61aは、図58に類する装置を示す。図61aにおいて、光学構造は、レンズ12の代わりに、複数の隣接レンズ142、144および146を有する光学アレイ138を有する。隣接レンズ142、144および146は、互いに直接的に接続し、共通の直径D4を有する。そして、橋渡し部材14を介して支持構造16に取り付けられる。レンズ142、144および146は、図24におけるレンズアレイ68と同様の光学構造である。ここで、レンズ142、144および146は、透明で反射領域または吸収領域を有してもよい。
図61bは、図61aの別の実施形態を示し、光学アレイ138のレンズ142および146にはレンズの部分が含まれる。
図61cは、その面FF1およびFF2において第2電極126aおよび126bが設けられた成形部124を示す。この直径D3は、図61aおよび図61bの光学アレイ138の直径D4よりも小さい。直径D3およびD4は、それぞれ独立してその大きさを決めてもよく、特に互いに異なってもよい。
別の実施形態によると、光学アレイにはいくつものレンズまたはその部分が含まれることができ、個別の部材は個別に形成されることができる。
図62aは、2つの隣接セル56aおよび56bの断面を示す。これらのセルはそれぞれ、可動レンズ12aおよび12bを有し、その橋渡し部材14a〜14dは、図58の装置120と同様に、第1電極122a〜122dおよび絶縁層128によって覆われている。また、支持構造16は、溝部148aおよび148bを有する。
図62bは、非接着状態の成形部124の断面を示す。この成形部124は、図62aのセル56aおよび56bの両方に対して接着されるよう構成され、直径D3を有する2つの凹部を有する。これらの凹部はそれぞれ、接着状態において、レンズ12aおよび12bの光軸28aおよび28bに対しておおよそ同心円状に位置決めされる。成形部124は、図62aの溝部148aおよび148bに配置されるよう構成された舌状部152aおよび152bを有する。
図62cは、図62bの成形部124と図62aの支持構造16とを接着させた状態における装置130を示す。この装置130において、舌状部152aおよび152bは、溝部148aおよび148bと、舌状部152aおよび152bの間に導入されるとともに、接着剤134a〜134dが溝部148aおよび148bに導入される。そして、舌状部152aおよび152bと溝部148aおよび148b、ならびに舌状部152aおよび152bと接着剤134a〜134dは、接着領域154a〜154dを形成する。
図63aは、両側156において湾曲し、対称軸158に対して対称に構成された成形部の断面を示す。成形部156のそれぞれの半分は、図58の成形部124とすることができ、成形部156のそれぞれの半分における面FF3aおよびFF3bは、互いに合致して配置される。両側156において湾曲する成形部は、さらなる2つの電極126cおよび126dが配置される第2平面FF1bと第2曲面FF2bとを有し、成形部156が2つの静電駆動器132aおよび132bと132cおよび132dとの一部となるよう構成される。
別の実施形態においては、両側において湾曲する成形部であって、その両面が互いに非対称になっているものが設けられる。特に、支持構造の部分が光軸に沿って互いに異なる場合、両側において湾曲した成形部の寸法および構成は、互いに独立に構成されてもよい。
図63bは、図58bに類する2つの装置が、両側156において湾曲した成形部により接着された装置を示す。この装置において、レンズ12aおよび12bの光軸が互いに実質的に一致するとともに、支持構造16aおよび16bの領域FT1aおよびFT1bが互いに対向するよう配置される。そして、成形部156が4つの静電駆動器132a、132b、132cおよび132dの一部を構成する。
図64は、成形部124が支持構造16と一体形成された装置を示す。
図65は、図7の装置30を示す。図65においては、方形状に形成された第1電極122a〜122dが橋渡し部材14a〜14dの一部および支持構造16の一部に配置される。
図66は、装置30を示す。図66においては、支持構造16からレンズ12に向かってテーパ形状となるよう三角形状に形成された第1電極122a〜122dが、橋渡し部材14a〜14dの一部および支持構造16の一部に配置される。
図67は、装置30を示す。図67においては、自由形状の第1電極122a〜122dが、橋渡し部材14a〜14dの一部および支持構造16の一部に配置される。
図68は、図11に類する装置を示す。図68においては、その外縁が橋渡し部材14a〜14dに対して平行に形成される第1電極122a〜122dが、橋渡し部材14a〜14dの一部および支持構造16の一部に配置される。
図69は、図8の実施形態を示す。図69においては、支持構造16からレンズ12に向かってテーパ形状となるよう三角形状に形成された第1電極122aおよび122bが、橋渡し部材14aおよび14bの一部および支持構造16の一部に配置される。
図70は、図9の実施形態を示す。図70においては、支持構造16からレンズ12に向かってテーパ形状となるよう三角形状に形成された第1電極122aおよび122bが、橋渡し部材14aおよび14bの一部および支持構造16の一部に配置される。
図71は、図11の実施形態を示す。図71においては、支持構造16からレンズ12に向かってテーパ形状となる自由形状の第1電極122aおよび122bが、橋渡し部材14aおよび14bの一部および支持構造16の一部に配置される。
図72は、図12の実施形態を示す。図72においては、支持構造からレンズ12に向かってテーパ形状となる自由形状の第1電極122a〜122cが、橋渡し部材14a〜14cの一部および支持構造16の一部に配置される。
図73は、図57cの装置120による装置140を示す。図73においては、図25と同様に、連動レンズ75が追加構造74aおよび74bを介して橋渡し部材14aおよび14bに対して配置され、レンズ12および連動レンズ75がレンズ積み重ね構造76を構成する。
図74は、図34の装置70による装置150を示す。図74においては、静電駆動器132aおよび132bが橋渡し部材14aおよび14bに隣接して配置される。
図75は、装置140を示す。図75において、参照平面18の方向に指向する支持構造16aの面において、装置150が接着層162を介して接着し、レンズ12a、12b、75および79の光軸28a〜28dが実質的に一致している。基本的に、レンズ12、75および79および/または上述および後述の装置を、どのように組み合わせおよび配列してもよい。
図76は、装置150に類する装置160を示す。図76においては、ガラスウェハ86の参照平面18に指向する面においてのみ、固定レンズ79およびそこに配された層81aおよび81bが形成される。固定レンズ79およびそこに配された層81aおよび81bは一体形成され、ガラスウェハ86の全幅に渡って広がる。支持構造16は、ポリマー材料を有する。
図77は、溝部148および舌状部152を有しない装置130による装置を示す。図77においては、セル56aおよび56bはそれぞれ、装置160と両立して構成され、固定レンズ79aおよびこれに配された層81aおよび81bと、固定レンズ79bおよびこれに配された層81cおよび81dとは、それぞれ一体形成される。
図78は、装置160を拡張する装置170を示す。装置170によると、追加支持構造16bが、固定レンズ79に配された層81aおよび81bにおいて、参照平面18の方向に配される。参照平面18は、追加支持構造16bの固定レンズ79から離間する側において、光軸28に沿ってレンズ12に対向するよう配置された撮像素子164の面である。
装置170は、事前に積極的な調整をすることなく、撮像素子に光学素子を配置できるという選択肢を提供する。最適の焦点位置の適合、および誤差および/または製造交差の補償は、静電駆動器132aおよび132bを制御することにより実行される。さらに、この実施形態によると、レンズ12の軸位置を静電駆動器132aおよび132bを制御することのより変更させ、オートフォーカスの場合と同様に、専ら物体距離に応じて焦点位置を適合させるという選択肢が提供される。このため、撮像素子において実施される撮像の評価を、オートフォーカスで一般的なように、特別構成されたアルゴリズムにより実行してもよい。
図79は、2つの隣接セル56aおよび56bが設けられた装置180を示す。各セルは装置170として構成され、そのセル56aおよび56bは、例えば、ウェハレベルでの装置製造工程の結果として、図77の装置130と両立するようそれぞれ隣接して配置される。
これによって、事前に積極的に調整することなく、複数の光学構造および光学素子を組み合わせて、複数の撮像装置とともにウェハに対して配置することができ、ウェハレベルのアセンブリが可能となる。ウェハレベルのアセンブリがなされた後、個別の光学モジュールが互いに分離されてもよい。これは、例えば切断することにより実施されてもよい。また、複数の光学モジュールにより、互いに接続したままの状態の個別モジュール群を構成してもよい。このように、光学モジュールの領域は、例えば1×2、2×2、3×3などという具合に、どのような拡張もできるように生産されてもよい。
図80は、橋渡し部材14内における第1電極122の構成を示す。図80において、第1電極122は、第2電極126に対向する側において、橋渡し部材14の材料により覆われている。この実施形態においては、第1電極122と第2電極126との間に配された橋渡し部材14の材料が、絶縁層128としても同時に機能する。
基本的に、第1電極122と第2電極126と間に印加される電圧Uの直線化率、結果として生じる橋渡し部材14の偏位、および/または光学構造の結果のために、第1電極122および第2電極126の構成および配列を一致させることが好適な場合がある。このような適合は、例えば、軸延長線に亘って異なる幅を有する第1または第2電極の適合化形状により実現することができ、そうすることによって、電圧Uは、電極の軸曲線に渡る可変電界により、電極間に可変な外力を生成する。
直径D3は、直径D4よりも小さいとされたが、2つの直径D3およびD4は、互いにいかなる比率であってもよい。また、凹部および直径として示された距離は、異なる形状を有してもよく、例えば楕円形や方形状であってもよい。
成形部124および156は、支持構造16と一体形成されてもよい。これらの部材は一般に、上記実施形態による第1電極(つまり電極キャリア)に対して、第2電極126を配することのできる部分を示す。
実現する静電駆動器はまた、電極の異なる構成によっても得ることができ、静電駆動器を構成する橋渡し部材の一部について内部構成部を形成することによって構成されてもよい。以降の実施形態は、光学構造の橋渡し部材用の静電駆動器の別の形態を示す。以下に説明する静電駆動器は、個別に実現されてもよいが、上述のものと組み合されてもよい。基本的に、下記の実施形態は、静電機能原則を実行するための異なる構造を単に示すのみである。制御および制御目的は、上述の実施形態について説明したものと同一かまたは同様である。以下に記述される実施形態によると、橋渡し部材を機械的に偏位させると同時に湾曲成形部を省略するよう駆動器を制御するのに必要な電圧を低減するために、静電駆動器のいずれかの電極においてカンチレバーを形成して2つの電極間の局所的距離を互いに最小限化するよう、静電駆動器の電極が構成される。
図81は、2つの橋渡し部材14aおよび14bを介して支持構造16に取り付けられたレンズ12を有する装置200の平面図である。橋渡し部材14aおよび14bは、それぞれ橋渡し部材14aおよび14bの部分166aおよび166bを部分的に露出させる凹部を有する。かかる部分は、橋渡し部材14aまたは14bの平面から突出し、橋渡し部材14に接続する端部を備えるよう構成される。
図82aは、装置200の側面図である。装置200において、平面状に形成された透明の成形部168がレンズ12の光軸28に沿って配される。第1電極172aおよび172bは、橋渡し部材14aおよび14bの成形部168に対向する側に形成され、橋渡し部材14aおよび14bの部分166aおよび166bがそれぞれカンチレバー電極174aおよび174bを形成する。成形部168のレンズ12に対向する側において、2つの静電電極176aおよび176bが少なくとも部分的にカンチレバー電極174aおよび174bに対向するよう、静電電極176aおよび176bが配置される。また、静電電極176aおよび176bのカンチレバー電極174aおよび174bに指向する側の面は、絶縁層128によって覆われている。カンチレバー電極174aおよび174bは、橋渡し部材14aおよび14bの平面から突出し、レンズ12から離れた、絶縁層128に隣接する端部に当接する。カンチレバー電極174aおよび174bが絶縁層128に接触する地点は、カンチレバー電極174aまたは174bと静電電極176aまたは176bとの間の距離が最小である地点である。ここから、レンズ12の方向に、距離が連続的に増加する。橋渡し部材14a、カンチレバー電極174a、静電電極176aおよび絶縁層128は、橋渡し部材14b、カンチレバー電極174b、静電電極176bおよび絶縁層と同様に、それぞれ1つの静電駆動器182aまたは182bを構成する。
図82bは、カンチレバー電極174aと静電電極176aの間、またはカンチレバー電極174bおよび静電電極176bの間に電圧を印加したときの装置200の動作を示す。電気駆動器182aまたは182b内において、電界184aまたは184bが形成され、これによってカンチレバー電極と静電電極との間に引力が発生する。静電電力176aおよび176bを成形部168上に配することにより、これらはカンチレバー電極174aおよび174bに対して固定される。図82bは、電界184aおよび184bに固有の外力による、橋渡し部材14aおよび14bとカンチレバー電極174aおよび174bとの変形を示す。この外力により、レンズ12の成形部168方向のシフト186が発生し、カンチレバー電極174aまたは174bと静電電極176aまたは176bとの距離が、少なくとも電極が重なっている領域において変化する。
電界の極性次第では、2つの電極間に反発力が発生する場合もあり、この場合は、レンズ12のシフト186は、成形部168から離間するよう方向になされる。静電駆動装置182の構成によると、静電電極の構成が簡略化でき、生産技術に関して有利である。同時に、平面状の成形部168を、曲面成形部124の代わりに用いることができる。
基本的に、電極間に印加される電圧Uの直線化率、結果として生じる橋渡し部材14の偏位、および/または光学構造の結果のために、カンチレバー電極および静電電極174a/bおよび176a/bの構成および配列を一致させることが好適な場合がある。このような適合は、例えば、軸延長線に亘って異なる幅を有するカンチレバー電極または静電電極の適合化形状により実現することができ、そうすることによって、電圧Uは、電極の軸曲線に渡る可変電界により、電極間に可変な外力を生成する。
静電駆動装置によって、製造交差を補償するための初期調整、ならびに稼働時における動的焦点調整の実施が可能となる。静電駆動装置の動作により、レンズに対して変動する物体距離に焦点を当てるという点で、レンズの光学特性における温度関連の変化を自動的に補償するよう橋渡し部材の特性を構成してもよい。
図83aおよび図83bは、装置200を示す。装置200において、成形部168は、不透明に実装され、実質的にレンズ12の直径D4に対応する直径D5を有する材料窪みを含む。
図84aは、支持構造16に取り付けた橋渡し部材14を示し、この支持構造16は、橋渡し部材14に接続する端部がレンズ12に隣接して配置される方形部分166を有する。図84bは、支持構造16に取り付けた橋渡し部材14を示し、この支持構造16は、橋渡し部材14に接続する端部がレンズ12に隣接して配置され、支持構造16に向かってテーパ状となる三角部分166を有する。図84cは、支持構造16に取り付けた橋渡し部材14を示し、この支持構造16は、橋渡し部材14に接続する端部がレンズ12に隣接して配置され、レンズ12に向かってテーパ状となる二等辺台形の形状をした部分166を有する。
基本的に、橋渡し部材14の面の部分166の実装は、いかなるものであってもよい。
図85aは、図84aと同一の橋渡し部材14の部分166の形状を示す。図85bは、図85aに比べて小さくなった部分166を示し、この部分166は、橋渡し部材14における支持構造16に隣接して位置している。図85bは、図85aに比べて小さくなった部分166を示し、この部分166は、橋渡し部材14におけるレンズ12に隣接して位置している。図85dは、2つの部分166aおよび166bを有する橋渡し部材14を示す。部分166aは、支持構造16に隣接して配置され、部分166bは、橋渡し部材15においてレンズ12に隣接して配置される、図85eは、橋渡し部材14に接続した端部が橋渡し部材14の外縁に対して平行に、支持部材16からレンズ12に向かう方向に沿って延びる部分166を示す。
橋渡し部材14における部分166の延長線、数、配置および向きは、装置の稼働態様に応じて任意に決定される。
図86aは、装置120に類する装置210を示す。この装置210において、橋渡し部材14aおよび14bは、図82および図83と同様に、カンチレバー電極174aおよび174bを実装するよう構成される。また、この装置には、電極126aおよび126bが配された成形部124の代わりに、静電電極176aおよび175bと絶縁層128とを有する成形部168が設けられる。
図86bは、面FT1に隣接する硬化処理可能な接着剤134aおよび134bの構成を示し、これらの接着剤によって成形部168が支持構造16に対して接着される。図86cは、装置が接着した状態を示す。ここで、静電駆動器182aおよび182bは、第1電極172a/172b、静電電極176a/176b、絶縁層128および接着剤134a/134bのみが、面FT1および成形部168の間の領域に設けられるよう構成される。
図87aは、モード部分168がガラスプレートとして構成された装置210を示す。
図87bは、図80aの装置210を示す。装置210においては、成形部は、レンズ12から離れる側の面において単層の固定レンズ86aを有し、レンズ12から離れる反対側の面において二層の固定レンズ86bを有する。そして、光軸28a、28bおよび28cが実質的に一致する。これによって、固定レンズ79aおよび79bは、成形部168においてレンズ積み重ね構造を構成する。
図88aは、装置210を示す。装置210において、成形部168は、直径D5を有する不透明体として構成され、材料窪みがレンズ12の光軸28の周りに、実質的に同心円状に形成される。
図88bは、図88aの装置210を示す。図88bにおいては、光学実効領域188が、直径D5の領域に設けられ、光学実効領域188の光軸28bが実質的にレンズ12の光軸28aと一致する。本実施形態においては、光学実効領域としてレンズを用いたが、これは上述の説明によるいかなる光学構造であってもよい。
図89は、図87の装置210が、レンズ12aおよび12b、固定レンズ79aおよび79bと光学実効領域188との光軸が実質的に一致するよう接着層162を介して、図88bの装置に対して配された構成を示す。
図90aは、2つの隣接セル56aおよび56bの断面を示す。各セルは、図86aの装置210と両立するよう構成され、セル56aおよび56bは、互いに距離X3を有し、支持構造16が図62aと同様の溝部148aおよび148bを有する。
図90bは、成形部192の非接着状態の断面を示す。図90bにおいて、2つの部分196aおよび196bのそれぞれは、静電電極176の配された成形部168、絶縁層128、装置88bの光学実効領域188に対応する。成形部168の2つの部分196aおよび196bは一体形成される。さらに、成形部は、溝部148aおよび148bに配置されるよう構成された舌状部152aおよび152bを有する。
図90cは、図83aのセル56aおよび56bおよび図90bの成形部192から構成された装置220を示す。この装置220において、舌状部152aおよび152bは、溝部148aおよび148bに配置され、接着剤134により接着されている。この装置は、4つの静電駆動装置182a〜182dを有し、周辺構造溝148aおよび148bおよび舌状部152a〜152dが成形部168と支持構造16との接着領域を規定している。
図90の実施形態によると、複数のセル56を平行に設定して、各隣接ペアについて同一のまたは個別の距離X3を設定することができる。
図91は、図61に類する装置を示す。図91において、静電駆動器は、静電駆動器182aおよび182bの形状として構成される。
図92aは、図7の装置30を示す。図92aにおいては、方形状に形成された第1電極172a〜172dが橋渡し部材14a〜14dの一部および支持構造16の一部に配置される。各第1電極172a〜172dは、図84aによる部分166a〜166dを有する。図92bは、同じ装置を示し、ここでは橋渡し部材14が支持構造16の一部を構成する内部フレーム62に接続している。
図93は、図7の装置30を示す。図93においては、方形状に形成された第1電極172a〜172dが橋渡し部材14a〜14dの一部および支持構造16の一部に配置される。各第1電極172a〜172dは、支持構造16に向かってテーパ状となる、橋渡し部材14a〜14dに接続するその端部がレンズ12に隣接して配置される台形部分166a〜166dを有する。
図94は、図93の実施形態を示し、ここでは2つの対向する橋渡し部材14aおよび14bのみが形成されている。
図95は、図11に類する装置を示す。図95においては、その外縁が橋渡し部材14a〜14dの外縁に対して平行に形成される第1電極172a〜172dが、橋渡し部材14a〜14dの一部および支持構造16の一部に配置される。また、第1電極172a〜172dのそれぞれは、図84aによる部分166a〜166dを備え、橋渡し部材14a〜14dに接続されるこの部分の端部は、レンズ12に隣接して配置される。
図96は、図70の実施形態を示す。図96においては、各第1電極172aおよび172bは、支持構造に向かってテーパ状となる、橋渡し部材14aおよび14bに接続するその端部がレンズ12に隣接して配置される台形部分166aおよび166bを有する。
図97は、図11の実施形態を示す。図97においては、各第1電極172aおよび172bは、支持構造に向かってテーパ状となる、橋渡し部材14a〜14dに接続するその端部がレンズ12に隣接して配置される台形部分166aおよび166bを有する。
図98は、図12の実施形態を示す。図98においては、各第1電極172a〜172cは、支持構造に向かってテーパ状となる、橋渡し部材14a〜14cに接続するその端部がレンズ12に隣接して配置される台形部分166a〜166cを有する。
図99は、図88bの装置210による装置230を示す。図99において、成形部168は、図90cと同様、溝部148、舌状部152および接着剤134を介して支持構造16に対して接着する。そして、図25と同様、連動レンズ75は、橋渡し部材14aおよび14bにおいて追加構造74aおよび74bを介して配置され、レンズ12と連動レンズ75がレンズ積み重ね構造76を構成する。
図100は、図88aの装置210による装置240を示す。図100において、成形部168は、図90cと同様、溝部148、舌状部152および接着剤134を介して支持構造16に対して接着する。そして、支持構造16の成形部168から離れる側の端部においては、装置70によるところのガラスウェハ86が配されている。ガラスウェハ86においては、層81aおよび81bおよび81cおよび81dの配された固定レンズ79aおよび79bが、レンズ12に対向する側およびレンズ12から離れる側のそれぞれにおいて設けられ、これらの層が支持構造16から離間するよう配置される。
図101は、装置230を示す。図101において、参照平面18の方向での支持構造16aの面において、装置240が接着層162を介して接着し、レンズ12a、12b、75、79aおよび79bの光軸28a〜28eが実質的に一致している。一般に、レンズ12、連動レンズ75、固定レンズ79および光学実効領域188および/または上述の装置の組合せおよび順番は、いかなるものであってもよい。
図102は、図88aに類する装置250を示す。装置250において、支持構造16は、ポリマー材料から形成され、支持構造16のレンズ12から離間する側の端部には、ガラスウェハ86が設けられている。ガラスウェハ86のレンズ12から離間する側の面には、配置層81aおよび81bを有する固定レンズ79が設けられている。これらの配置層81aおよび81bは、固定レンズ79からガラスウェハ86の遠心端に向かって延出する。レンズ12の光軸28aおよび固定レンズ79の光軸28bは、実質的に一致する。
図103は、装置220と同様に、2つのセル56aおよび56bが距離X4を以て互いに隣接して設けられた装置を示す。2つのセル56aおよび56bは、装置250と同様に構成される。層81aおよび81bが配された固定レンズ79a、層81cおよび81dが配された固定レンズ79b、および支持構造16の部分16aおよび16bは、それぞれ一体形成される。
図104は、装置150を拡張する装置260を示す。装置260によると、追加支持構造16bが、固定レンズ79に配された層81aおよび81bと、参照平面18との間に配される。参照平面18は、追加支持構造16bの固定レンズ79から離間する側において、光軸28に沿ってレンズ12に対向するよう配置された撮像素子164の面である。
図105は、2つの隣接装置260から構成された装置270を示し、図97の装置220と両立してそのセルが接着される。装置270は例えば、ウェハレベルにおいて簡易な多重反復で生産された後の2つの隣接セル56の状態を示している。生産が実行された後においては、セルを互いに分離する選択肢と、光学全体システムの複数チャンネルと両立するよう互いに隣接させる選択肢とが存在する。
上記実施形態において説明される部材、特に熱影響を受ける橋渡し部材、橋渡し部材加熱用の加熱装置、新規初期位置を固定する接着剤、および曲面成形部またはカンチレバー電極により橋渡し部材を偏位させる静電駆動器は、装置内において互いに組み合わされてもよい。
上述の実施形態において、接着剤層79および92は、追加構造74および支持構造16の異なる部分を接着させるものとして説明したが、層78および92は、部分同士が熱融合することにより生じる境界層など、基本的にその他の接着成分または材料を含んでもよい。
ガラスウェハ86の他に、レンズ積み重ね構造78は、装置における2つの隣接要素間の規定距離を規定するスペーサウェハを含んでもよい。
上述の実施形態において、レンズまたはレンズ領域は、常に橋渡し部材および/または支持構造に設けるものとして説明したが、これらは基本的にいかなる光学構造および/要素であってもよく、例えば非球面体や自由形状領域、回折構造、鏡、プリズムまたはレンズアレイであってもよい。レンズアレイは、上記に掲げた任意に組合せ可能な光学要素のうち、複数の同様のものまたは異なるものから構成されてもよい。各光学要素は、スペクトル領域または極性化効果においてもさらに異なる、透明で反射領域または吸収領域を含んでもよい。
上述の実施形態において、第1電極122と第2電極126は、常に絶縁層128によって離間されていたが、基本的にいかなるスペーサを用いてもよく、例えば空気であってもよい。
上述の実施形態において、カンチレバー電極174と静電電極176は、常に絶縁層128によって離間されていたが、基本的にいかなるスペーサを用いてもよく、例えば空気であってもよい。
上述の実施形態においては、光学構造と光学構造に接続される少なくとも2つの橋渡し部材とを備え、橋渡し部材によって光学構造が参照平面に対して移動可能に構成される装置を説明したものもある。
また、橋渡し部材およびそれに伴う光学構造の移動によって、光学構造の光学特性による熱誘起性変化が補正されることを示す実施形態もある。
ここで、橋渡し部材は、光学構造の位置において熱誘起軸変化を許容する、統合機械構造を有するポリマー光学部品であることが好ましい。よって、橋渡し部材は、単層すなわちモノモルフ、または2層すなわちバイモルフに構成された湾曲構成であり、バイメタルストリップに類して有効である。また、橋渡し部材の熱誘起に伴う移動は、光学構造の光学特性(例えばレンズの焦点)における熱誘起変化を補正するよう構成されてもよく、これによって非熱感受性が少なくとも部分的に実現できる。橋渡し部材の寸法を決定することによって、橋渡し部材の移動範囲を任意に決定することが実現できる。
さらに、橋渡し部材に設けて橋渡し部材の局所温度を変動させる加熱装置は、電気抵抗器またはオーム抵抗器として構成されてもよい。加熱装置は、印字法、スパッタリング法、蒸着法により形成された導電性加熱構造から構成されてもよく、また直線形状、曲線形状または蛇行形状にて構成されてもよい。レンズの場合には、電気加熱装置を加熱することにより、レンズと固定基礎領域(例えばカメラの撮像素子が存在する平面)との距離を変更させて、とりわけ焦点の調整を行ってもよい(つまり、オートフォーカス駆動器が実現できる。)。同時に、個別の橋渡し部材の加熱力およびそれに伴う偏位は、互いに切り離して調整してもよく、そうすることによって、光軸および光学構造の傾きに沿った空間における光学構造の平行移動が可能となる。
橋渡し部材は、直接に収容材料に接続されてもよい。この場合、橋渡し部材は、不透明構成であることが好ましい。一方、ハウジングにおいて、橋渡し部材は全体構造を取り囲むフレームに接続してもよく、このフレームは、隙間を介在することなくハウジングに取り付けられる。
光学構造については、図面に示した通り、多くの同一または非同一の構成が可能である。各構成は、光学構造、橋渡し部材、可能な場合にはフレームおよび/またはハウジングから構成され、互いに隣接して配置される。可能であれば、平行して(つまり同じ処理工程において)生産される。
単層橋渡し部材の場合、光学構造の光軸に沿った移動は、温度変動中における橋渡し部材と周辺のハウジングの膨張率を異ならしめることにより達成される。単層構造においては、光学構造および保持橋渡し部材は、同じ材料から構成され、かかる材料は、周辺ハウジングの材料よりも熱膨張係数が大きい。温度の上昇により、橋渡し部材材料が周辺ハウジングよりも膨張する。光学構造の少なくとも両側ぶら下がりと強制位置決めの結果として、光学構造は、光軸に沿って移動する。
2層橋渡し部材の場合、光軸に沿った移動は、2層橋渡し部材のそれぞれの材料の膨張率を異ならしめることにより達成される。ここで、ハウジングに対する膨張率の違いは重要でなくなる。層材料の異なる熱膨張係数(CTE)によって、湾曲が生じる。層シーケンスにおいて、より小さいCTEが底面に含まれ、より大きいCTEが上面に含まれる場合には、温度変化時には、底面に向かう動きが発生する。反対に、層シーケンスにおいて、より大きいCTEが上面に含まれ、より小さいCTEが底面に含まれる場合には、温度変動時には、上面に向かう動きが発生する。ここで、層構造は、連続構成であってもよいし断続構成であってもよい。層構造が連続的である場合、光学構造は、橋渡し部材と同じ材料により同じ順序で構成されればよい。この場合、材料の選択によって、同時に機械的特性および光学的特性が規定される。例えば、もし2層構成の色収差補正を実装する場合、材料の組み合わせは、アッベ数に従って実施され、これによって温度上昇時の動きの方向性を決定する材料のCTEが決まる。
あるいは、不連続層構造に構成してもよい。この場合、光学構造および橋渡し部材は、異なる材料から構成されてもよいし、例えば異なるシーケンスにより2つ以上の層を有して構成されてよい。この場合、材料の選択は、光学特性の考慮とは切り離して、機械的特性に従って実施される。上述の色収差補正の例でいうと、材料の組み合わせは、アッベ数に従って実施される。材料のCTEはそこから決まる。橋渡し部材および光学構造の領域において異なる層シーケンスおよび膨張率を採用すると、決定されたCTEに拘わらず、温度上昇時の動きの方向性を自由に選択することができる。
さらに、どれだけの数量の追加光学構造の積み重ねも可能である。垂直方向において、光軸に沿って、カンチレバー層の橋渡し部材に対して、その上またはその下に保持素子を機械的に結合させ、同動作を実行する。別の実施形態としては、保持素子をハウジングに結合させ、積み重ねにおけるさらなる層シーケンスとは独立に移動させてもよい。レンズ積み重ね構造における固定レンズは、連続するガラスウェハを備えてもよい。
上述の構成において、一般的に熱影響を受けた位置の光学部品がポリマー材料製であると有利である。ここで結像面の通常の方向に沿って移動するレンズが特に関係する。正しい構成によると結像面に対するレンズ/対物レンズの主要面の距離における熱誘起変化は、これが熱誘起変化した焦点距離に対応するよう選択することができる。その結果として、レンズ/対物レンズの像平面は、常に同じ軸位置にある。よって、温度が変動する状況下であっても鮮明な像形成が実現できる。これは実質的にポリマー光学部品の使用領域を拡張している。このような構成は、ウェハレベルにおいて簡易な多重反復で生産できるため、さらにコストを低減することができる。
電気加熱装置を用いることにより、保持構造の温度および湾曲および究極的にはレンズの軸位置を、環境温度に関係なく制御できる。これは、とりわけ例えばオートフォーカス形式の積極的焦点合わせに用いることができる。
また、特にレンズの保持構造を異なる方法で偏位させることにより、傾きも達成できる。
上述の実施形態においては、橋渡し部材構造を湾曲させて、紫外線硬化処理可能な接着剤による調整を完了させた後に位置を固定することにより、光学構造の特定位置および傾きを調整する選択肢を提供するものもある。したがって、特に光学ウェハおよび撮像素子ウェハを接着させた後に、ポリマー光学部品の製造交差を補償し、特に対物レンズの像位置を調整することが可能となる。熱または静電気の影響を受けやすい橋渡し部材など、既知の追加手段によって、さらにポリマー材料により形成される光学部品の位置を熱誘起により決定することができる。実施形態によると、静電駆動器は、橋渡し部材を加熱する加熱構造とともに配置される。さらに、加熱装置および/または静電駆動器により偏位可能な熱影響を受けやすい橋渡し部材は、接着剤の位置を元来の初期位置から異ならせることにより調整することができる。
また、上述の実施形態によると、静電駆動器の電極間に印加される電圧を用いて、光学構造を空間内で偏位させることができると説明される。この駆動は、静電駆動器の電極間に電圧を印加することにより生じる電界を用いて実施される。静電駆動器を支持構造において構成するために、可能であれば曲面連続形状を有する追加的な電極キャリアを用いてもよい。静電駆動器の電極間における距離または隙間を最小限にすることで、作動に必要な電圧を削減することができる。
光軸上に沿った移動は、橋渡し部材と成形電極との間に印加される電圧を変更することにより達成される。ここで、各橋渡し部材は異なる電圧を付与されてもよく、これによって橋渡し部材毎に移動範囲が異なることとなる。光学構造の光軸に沿った動きに加え、光学構造を傾斜させることも可能となる。
さらに、可能な限り最高の撮像品質を確保しオートフォーカスを実行するために、物体距離次第では、アクチュエータを使って、光学構造の撮像装置に対する軸位置を調整してもよい。
上記の光学構造をハウジング部材も含めて製造した後に、レンズ側において曲面連続形状を有する成形部を、ウェハレベルで個別にまたはまとめて接着させる。成形部は、電極キャリアとして機能し、静電駆動器の第2電極を備える。電極、橋渡し部材または成形電極の少なくとも1つが絶縁層を有し、この絶縁層は、電極と同様に、蒸着またはスパッタリングにより形成してもよいし、またはポリマーを追加的に成形して形成してもよい。
提供される装置は、ウェハレベルの製造工程において多くの構成部およびシステムと並行生産して、構成の如何を問わず、高精密に生産することができ、また複数の部材を接続させることができる。特に、光学ウェハを撮像ウェハに対して接続することができ、また各チャンネルにおいて最適の焦点位置を、アクチュエータを用いて後で調整することができる。
光学装置の最適機能は、個別のレンズ位置をアクチュエータ(特に熱アクチュエータまたは静電アクチュエータ)によって結合させた後に、光学構造(好ましくはレンズとして構成されるもの)の軸位置を適合させることにより確保することができる。こうして、光学構造の参照平面に対する最適な向きが達成され、製造および接着公差により結果として生じる目標パラメータからの逸脱を補償することができる。
一般に、上述の構成によると、ポリマー光学部品の製造公差を補償し、対物レンズの像形成位置をオートフォーカスと両立して特に動的に調整することができる。これによって、ポリマー光学の使用範囲が大きく広がる。この構成は、ウェハレベルにおいて簡易な多重反復で生産できるため、さらなるコスト低減を行うことができる。特に、全ての光学ウェハを撮像ウェハと接着させることができ、制御電圧を単数または複数選択することにより、各個別のモジュールが最適な焦点位置となるようにすることができる。橋渡し部材の偏位を異なるものとし、これによって橋渡し部材に接続される光学構造の偏位も異なるものとすることで、光学構造の傾斜が実現可能となる。
上述の説明によると、静電駆動器が設けられる場合には、静電駆動器の効率を高めるために、光学構造を支持構造に対して接続させる橋渡し部材について、少なくとも橋渡し部材の一部がそれぞれの橋渡し部材面から対応する第2電極の方向に偏位する構成を採用してもよい、ということが述べられた。
アクチュエータは、ウェハレベル技術により小型化し製造してもよい。同時に、アクチュエータは、製造公差を補償するとともに、光学全体システムの駆動中における可変焦点を可能とするものであってもよい。