JP6279167B1 - エラストマー難燃剤及び当該難燃剤を含む熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかるに、エラストマーの多くは、スチレンーブタジエンースチレン共重合体やその水素添加物、エチレン―αオレフィンエラストマー酸無水物変性、オレフィン系ターポリマーエラストマー酸無水物変性、エチレン―αオレフィン共重合体のエポキシ基導入変性体、コアシェルエラストマー等であり、熱可塑性樹脂への配合により衝撃強度が改良される。
さらに、熱硬化樹脂を含浸したCFRPにおいて、例えば冷熱サイクルによるクラックの防止や減衰率の調整のために、エラストマーやスーパーエンプラをエポキシ樹脂に分散せしめ改良し、応力緩和させる試みがなされている。しかし、難燃性が要求される部品では解決できず、フェノール樹脂系のCFRPとなっている。
エラストマー難燃剤に関する該当文献や特許文献は存在しない。エラストマー配合の複合樹脂へ難燃剤を付与する技術は広く出願されているが、エラストマー自身が難燃剤として作用する先行技術はない。
2層押出成形については、芯鞘繊維や2層パイプ押出などの公知技術がある。これらの応用として、2層ペレットの製造があるが、公知技術との差異化として材料を特定し、ダイス構造に関して出願されている。
実用化が可能である既存技術を利用して、本発明の粘着性エラストマー難燃剤に非粘着性を付与し、かつ難燃性を付与できるか否かの原理原則を、モデル実験により確認した。
このことは、実用化において、混練機2台を利用し、両混練機からの溶融樹脂を多層ダイスから押し出されたストランドは、冷却カット後の粘着性が改善されることを示している。多層ダイスは、二重円筒形でも、シート形状でもよい。シートの場合は、溶断シールにすることで、次の樹脂へのコンパウンドが容易になる。多層シート成形、多層フィルム成形の装置は、それぞれの業界で稼働しており、各業界にとって新規ビジネスを創出する良い意味でも大きい。また、当然のことながら、溶断シールをせずに、表皮層に機械的及び耐熱性に優れた熱可塑性樹脂をインライン多層化することで、難燃性及び衝撃強度に優れた押し出し製品が得られる。
式A−1及び式A−2のうちの少なくとも1つ(化合物(A))と、リン酸エステル難燃剤(化合物(B))とが溶融混合された難燃剤組成物であって、前記難燃剤組成物は、少なくともコア層(C)と表皮層(D)とを含むペレット又はシートから裁断された成形体であり、前記コア層(C)は、前記化合物(A)と前記化合物(B)の重量比(A)/(B)が25/75〜40/60であり、前記表皮層(D)は、熱可塑性樹脂、又は、前記化合物(A)と前記化合物(B)の重量比(A)/(B)が95/5〜50/50であり、前記成形体が熱可塑性樹脂に混合されている。
一方、表皮層(D)12、22では、化合物(A)が化合物(B)と同じか、化合物(B)より多く含まれていることが望ましく、例えば、化合物(A)と化合物(B)の重量比(A)/(B)が95/5〜50/50であることが望ましい。又は、表皮層(D)12、22は、熱可塑性樹脂であってもよい。
化合物(A)は、式A−1及び式A−2のうちの少なくとも1つからなる。つまり、化合物(A)は、式A−1からなる化合物、式A−2からなる化合物、式A−1及び式A−2を含む化合物のいずれかである。
化合物(B)は、リン酸エステル系化合物である。
リン酸エステルとしては、特に限定はないが、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することが好ましい。
常温固形の化合物(B)の場合は、化合物(A)といずれの組成で混合しても固形であることは自明の通りである。液状の化合物(B)を固形化するためには、化合物(A)との組成及び化合物(A)の粘度に依存する。化合物(B)が5%未満であれば、分子量に依存せず、多くの化合物(A)と混合することで固形化はするものの、化合物(A)と併用して両方の長所を有する難燃剤組み合わせとは言えない。一方、液状の化合物(B)が80%を超えた組成物は、固形化しても、高温長時間の保管、製造作業現場の環境下では表面粘着を帯び、長時間の保管状態では複数個が凝集した形となる。このとき、機械的に剪断をかければ、凝集体は分離することが多いが、作業工程の増加もあり、好ましくない。
液状化合物(B)が化合物(A)に対してどの範囲にあれば固形化できるか綿密に実験をした。実験サンプルの燐濃度が3〜20%との範囲で実験をした結果であり、範囲外の濃度を有するサンプル間でも蓋然性は成立するものと推定はされるが、実験結果は極めてシンプルな関係があることを見出した。それは、化合物(A)の溶融粘度と非常に強い相関があり、高い分子量=溶融粘度を有する化合物(A)と化合物(B)の割合は30/70重量%まで包含する固形化が達成することが分かった。
ここで、ηは、式A−1、式A−2、又は、式A−1及びA−2からなる混合物のブルックフィールド社製B型粘度計(270℃)で測定された粘度(cps)である。
一般的に、液状縮合リン酸エステルが固形のポリカーボネート樹脂と溶融混練された組成物で大凡20重量%までは包含できるが、20重量%超の配合では製品表面にブリードアウトしてくることが観測される。このことから、化合物(A)に化合物(B)が相当の高濃度まで混合し固形化するとは予想すらできないことであった。これにより、液状化合物(B)が固形化されることは工業上極めて有意義である。
本発明の対象となる熱可塑性樹脂は、エンジニアリング樹脂に好適であり、例えば下記の樹脂である。但し、下記に例示される樹脂に限定されることはない。
例えば、ポリカーボネート系樹脂は、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族−脂肪族ポリカーボネートである。芳香族ポリカーボネートは、芳香族ヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られるが、芳香族ヒドロキシ化合物を植物由来のイソソルバイドに変えたものも含まれる。それぞれ分岐化剤導入、難燃アシスト目的のシロキサン構造を有する両末端フェノール性OH基含有のポリマー又はオリゴマーを使用することもできる。
(b)ポリエステル系樹脂
例えば、ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート、LCP、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸と、エチレングリコール及び/又はシクロヘキサンジメタノール(CHDM)及び/又は2、2−4、4−テトラメチル1、3シクロブタンジオール(TMCD)共重合体(例えば、イーストマンケミカルから販売されているPETG、PCTG、PCTA、TRITAN等)である。
(c)ポリアミド系樹脂
例えば、ポリアミド系樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド6−6、共重合ポリアミド6/6−6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4、ポリアミド4−6、ポリアミド6−10、及び非晶ポリアミドである。
(d)ポリアクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂
(e)ポリスチレン系樹脂
例えば、ポリスチレン系樹脂は、高衝撃ポリスチレン、シンディオタクチックポリスチレ、ポリアクリルニトリルブタジエン共重合体である。
(f)ポリフェニレンエーテル系樹脂
(g)ポリフェニレンサルファイド系樹脂
(h)ポリアリレート
(i)ウレタン系
例えば、ウレタン系は、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタンエラストマーである。
(j)ポリスルホン
(k)ポリエーテルエーテルケトン
(l)熱可塑性エポキシ樹脂
このようなポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4メチルペンテン−1、エチレンーアルファオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン系アイオノマー樹脂、エチレン−プロピレン共重合エラストマー、エチレン−ブテン共重合エラストマー、エチレン−ヘキセン共重合エラストマー、エチレン−オクテン共重合エラストマー、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体などがあり、同じく50重量%を超えない範囲であればABAタイプのエラストマーも対象となる。
コアシェルエラストマーとしては、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン系コア・シェルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル−スチレン系コア・シェルグラフト共重合体、タクリル酸エステル−シリコン−スチレン系コア・シェルグラフト共重合体アクリル酸エステル系コア・シェルグラフト共重合体等が挙げられる。
難燃剤補助として、モンモリロナイト、クレーなどの層状無機化合物、カーボンナノチューブなどが好ましい。
難燃剤A、熱可塑性樹脂、難燃剤Bを同時に溶融混練として得る方法においては、通常の熱可塑性樹脂組成物との製造においては、各種混練機、例えば、1軸および多軸混練機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラム等で、上記成分を溶融混練した後、冷却固化する方法が適用されるが限定されるものではない。
しかしながら、混練機が2軸押出機のような連続式混練機において、さらに有利である。2軸押出機等の押出機においては、スクリュー、ニーディングディスク、ローター等の各種エレメント及びシリンダーの長さや形状、原材料の供給口の位置や数を自由に組み替えることができるため、熱可塑性樹脂種類、難燃剤Aのグレード、難燃剤B(リン酸エステル)の種類の配合に応じて、適宜組み替えて使用することができる。例えば、2軸押出機を用いて、原材料供給口を最初のシリンダー上部(No.1供給口)と最初のシリンダーとダイヘッドとの中間のシリンダー上部(No.2供給口)の2箇所に設定し、No.1供給口とNo.2供給口の間(上流部)及びNo.2供給口とダイヘッドの間(下流部)にニーディングディスクを適宜配置し、所定の温度にした後、No.1供給口から熱可塑性樹脂及び難燃剤Aを供給し、No.2、No.3供給口から化合物B(リン酸エステル難燃剤)を供給する方法などを挙げることができる。但し、化合物(B)が液状難燃剤であるときは、液体供給装置が必要である。
例えば、一般的に、加熱ジャケット及び攪拌装置付きのタンクであれば可能である。このことは、工業的には、液状難燃剤製造工程に織り込み、取り出し冷却により容易に常温で固形の難燃剤組成物(化合物C)を得ることができる。
化合物Aが高分子量であることを利用して、混練装置を利用することが可能であるが、この場合でも2軸混練押出機が有用である。すなわち、No.1供給口から化合物Aを供給し、溶融可塑化した後、No.2供給口から液状化合物Bを供給し、混練しダイスからストランドを押出し、水冷、空冷後ストランドカッターにて所望のサイズに裁断されたペレットを得ることができる。
得られた難燃剤ペレットを更に熱可塑性樹脂と混合する場合は、同様の溶融混練押出機にて組成物を得ることが好ましいが、成形時に直接原料と配合して成形する場合もあり得る。
以下に、本発明を実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでは無い。以下の表2は本発明の実施例に用いた実験装置の詳細を示しており、本発明の実施例においては難燃剤A、B、熱可塑性樹脂の混練に2軸混練押出機、2軸混練機を用いて原材料供給口をNo.1供給口とNo.2供給口を設けて実験を行った。難燃性はUL94に準拠して評価し、衝撃強度はテスター産業(株)製のシャルピー衝撃装置を用いて測定した。
<難燃剤アロイの製造の実施例・比較例>
[実施例−1]
第1の工程は、表皮層の成形である。
まず、日本製鋼所(株)製2軸混練機TEX30αの第1フィード部からFRX-Polymer社製Nofia-100Lの80部と、第2フィードから株式会社ADEKA製難燃剤FP600の20部とが配合される。そして、スクリュー回転230rpm、シリンダー温度を第1フィード下では230℃、第2フィード下では190℃に設定し、5kg/hr.の設定押し出し条件でコンパウンドし、水槽により冷却し、ペレタイザーで裁断してペレットが作成される。
次に、このペレットが一旦加熱プレスされる。これにより、シートが作成される。この加熱条件は、温度210℃、圧力3MPaである。シートサイズは、幅200mm、長さ200mm、厚み0.25mmである。
コア層のコンパウンド組成は、第1工程使用時の材料系の比率を変更し、Nofia-100Lを30部、FP600を70部として、第1フィード下の温度は220℃、第2フィード下の温度を190℃とした他は、その他と同じ条件で押し出しをする。但し、ダイスは、幅150mm、ダイスギャップ2mmのハンガーコートダイを混練機先端に装填する。第1工程で使用したフィルムを金属製プレスシートの上に敷き、吐出されるコア層に相当するTダイ溶融物の厚み2mmシートを流出に合わせて積層する。表皮層とコア層の比を0.8とする。次に、その上から同種フィルムを積層させ、表皮層/コア層/表皮層の3層シートを冷却プレスにて1MPaの加圧で弱くプレスしながら冷却して得る。その後、冷却後シートをハサミで約5〜7mm程度に切断する。
表皮層の押し出し時においても、コア層の押し出し時においても、サージングはなく、安定したコンパウンドである。3層シートは、粘着がなく、ハサミでの裁断時も粘着によるトラブルは観察されなかった。
次に、得られたペレットを東洋精機(株)ミニテストプレス−10にて熱プレスを行い、UL評価試験片及びシャルピー衝撃試験片を作成する。その結果、UL94難燃性V0 Vノッチ付きシャルピー衝撃強度は16kJ/m2と非常に高い物性を与えた。難燃性と衝撃強度の両方が満足することが確認された。
実施例−1の第1工程(表皮層)成形における難燃剤配合において、Nofia-100Lを60部、FP600を40部にし、その他は実施例−1と同様の実験をする。表皮層とコア層の比を0.8とする。これにより、略同様の良好な結果が得られた。
実施例−1において、第1工程(表皮層)のNofia-100Lを90部、FP600を10部とし、第2工程(コア層)のFRXグレードをPCとの共重合体であるA−2タイプのNofia-CO60に変更し、その他は実施例−1と同様の実験をする。表皮層とコア層の比を0.8とする。
その結果、シャルピー衝撃強度が18J/m2と非常に高く、難燃性もV0を維持していることが判明した。
実施例−1において、第1工程(表皮層)成形における難燃剤のNofia-100LをNofia-9000に切り替え、第2工程に実施例−3で適用のNofia-CO60とし、その他の条件は実施例−1と同一にして、ポリカーボネート組成物を得た。表皮層とコア層の比を0.8とする。
この場合においても、第1工程で得られる溶融組成物は容易に固化し、フィルムを成形することができ、粘着性はなかった。さらに、コア層にPCとの共重合体であるA−2タイプを採用することにより、よりエラストマー性が高く、その結果、ガラス繊維強化ポリカーボネートの衝撃が高く、かつ難燃性は確保できた。
表皮層に難燃剤を含有しないポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス販売ユーピロンS2000)のフィルムを用意し、コア層に実施例−1の組成物を多層化する。但し、コア層の比率を0.8とする。
その結果、多層化難燃剤の粘着性はなく、最終ガラス繊維強化ポリカーボネートの衝撃が高く、かつ難燃性は確保できた。
第1工程における材料を、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ポリブチレンフタテート(略PBT)(ノバデュラン5010)単体を押し出しフィルムとし、第2工程のNofiaをA−2タイプのNofia-CO60の30部とFP600の70部とし、表皮層とコア層の比を0.8とする。
実施例−6では、この多層化された難燃剤の粘着性はなく、次工程のPBT樹脂とのコンパウンドにおいて支障はなかった。ガラス繊維PBTコンパウンドにおいて3層の難燃剤部数は18部に増量した。その結果、PBT系における衝撃強度は12J/m2と高く、かつ難燃性もV0が確認された。この実施例を、比較例−4と比較すると、実用価値が高いことが分かる。
第1工程において、実施例−1で使用した難燃剤Nofia-100Lを、実施例と同じく、一旦2軸混練機でペレットを作成する。その後、このサンプル16部、ポリカーボネート樹脂37部、ガラス繊維45部からなる組成物を、2軸混練機でコンパウンドし、実施例同様の試験片作成後の品質を評価した。vノッチ付きシャルピー衝撃強度は5.5J/m2、難燃性はドリップがありV2レベルであった。この比較例は、特許第5913756号でも、化合物(B)成分の難燃剤アロイが形成することで、難燃性が向上することを再現している。ここでは、vノッチ付き衝撃強度を比較対象として挙げている。
第1工程において、Nofia-100Lを30部、FP600を70部とし、溶融混練押し出しをする。しかし、溶融ストランドは粘着性が激しく、水冷後のペレタイズはペレタイザーへの巻き込みなど作業がストップするような生産安定性に問題があると確認された。但し、ストランドそのものはエラストマーのように柔軟であり、比較例−1のNofia単体のストランドが脆いことに対して特徴があることが判明した。しかしながら、vノッチ付きシャルピー衝撃及び難燃性評価には到らなかった
実施例−2におけるコア層を含まない表皮層のみの難燃組成16部とポリカーボネート樹脂39部及びガラス繊維45部を2軸混練機でコンパウンドする。
その難燃性は、V0で特許第5913756号の再現性が得られ、かつ一方シャルピー衝撃強度は8.8J/m2と比較的高い値ではあるが、実施例−2の衝撃値は遙かに高いことが判明した。
実施例−6で使用したPBT5010にリン系難燃剤FP600を18wt%、ガラス繊維45wt%を配合し、コンパウンドを実施する。押出ストランドを水槽に通す段階で、水槽の表面に難燃剤FP600が浮いていることが分かり、かつ得られたペレットはやや粘着性を帯びていた。この組成物のvノッチ付きシャルピー衝撃強度は8J/m2であった。難燃性評価ではドリップがありV2であった。
実施例−1において、コア層比を0.95とする。この場合、シート裁断時に粘着性が強いことが判明し、熱可塑性樹脂とのコンパウンドには不適とした。
実施例−1において、コア層比を0.25とする。この場合、シート裁断時、熱可塑性樹脂とのコンパウンドにおいて問題はないが、衝撃強度は実施例−1に比較すると低いことが判明した。
従来の難燃剤系に比較すると、このレベルでも高い評価が与えられるが、本発明においては請求の範囲のコア層比が適していると判断した。
代表的な難燃剤として、ハロゲン系難燃剤、赤リン、ホスフィン系難燃剤、縮合リン酸エステル及びインツメッセント難燃剤などが例示される。
しかし、これらの難燃剤を熱可塑性樹脂に配合し、難燃性を付与する時には、機械的物性や熱的性質を低下させる。
そこで、エラストマーを配合し、衝撃強度の回復を図る。しかし、エラストマーは、フッ素系、シリコーン系を除いて、汎用のエラストマーは却って難燃効果を低下せしめる。また、シリコーン系、フッ素系のエラストマーは、樹脂との相溶性に劣ることもあり、それほど衝撃強度は向上しない。
かかる矛盾を解決するには、エラストマーでありながら、難燃剤でもあり、かつ、熱可塑性樹脂への相溶性も良好な化合物が希求されている。しかしながら、このような技術に関する先行文献及び特許等は皆無である。
そこで、本発明者は、特許文献1において、化合物(A)と化合物(B)が特定の条件で溶融混練されて特定の分散形態を有する組成物は、化合物(A)及び化合物(B)それぞれ単独で熱可塑性樹脂に配合する場合より、難燃性が優れることを見出した。
一方、かかる材料の製造拠点はグローバル化しており、樹脂との難燃コンパウンド化工場も最終顧客での現地生産に伴ってシフトしている。かかる状態では従来の粘稠液体難燃剤取り扱い工程能力と同等レベルは期待できない。かつ保管状況も過酷条件も容易に想定される。このとき粘稠液体難燃剤が固形化できることの工業的意味は極めて高い。
発明者の特許文献1では、ガラス繊維などとの複合化において優れた難燃性を付与することを明示した。従来では、ガラス繊維は燃焼時の燃焼ガス通路として作用することから、ガラス繊維複合材料の難燃化は困難であったが、本発明はガラス繊維複合材料系の衝撃強度を向上させ、かつ難燃性が付与されることの工業的意味は非常に大きい。
以上のように、本発明のエラストマー難燃剤は、衝撃改良剤及び難燃剤として作用することが可能である。
Claims (4)
-
式A−1及び式A−2のうちの少なくとも1つ(化合物(A))と、
リン酸エステル難燃剤(化合物(B))と
が溶融混合された難燃剤組成物であって、
前記難燃剤組成物は、少なくともコア層(C)と表皮層(D)とを含むペレット又はシートから裁断された成形体であり、
前記コア層(C)は、前記化合物(A)と前記化合物(B)の重量比(A)/(B)が25/75〜40/60であり、
前記表皮層(D)は、熱可塑性樹脂、又は、前記化合物(A)と前記化合物(B)の重量比(A)/(B)が95/5〜50/50であり、
前記成形体が熱可塑性樹脂に混合されたエラストマー難燃剤。 - 前記コア層(C)と前記表皮層(D)の重量比(C)/(D)は、90/10〜50/50である、請求項1に記載のエラストマー難燃剤。
- 前記表皮層(D)の前記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、スチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリオレフィン、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、及びこれらの中から選択された少なくとも1つを含有するポリマーアロイである、請求項1又は2に記載のエラストマー難燃剤。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の前記エラストマー難燃剤を含む熱可塑性樹脂組成物。
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