JP6279167B1 - エラストマー難燃剤及び当該難燃剤を含む熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

難燃性を有し、かつ、衝撃度をさらに向上することが可能なエラストマー難燃剤であって、前記エラストマー難燃剤は、以下の式A−1または式A−2で表され、
式A−1及び式A−2のうちの少なくとも1つ(化合物(A))と、リン酸エステル難燃剤(化合物(B))とが溶融混合された難燃剤組成物であって、この難燃剤組成物は、少なくともコア層(C)と表皮層(D)とを含むペレット又はシートから裁断された成形体であり、コア層(C)は、化合物(A)と化合物(B)の重量比(A)/(B)が15/75〜40/60であり、表皮層(D)は、熱可塑性樹脂、又は、化合物(A)と化合物(B)の重量比(A)/(B)が95/5〜50/50であり、前記成形体が熱可塑性樹脂に混合されているエラストマー難燃剤。

Description

本発明は、熱可塑性樹脂の衝撃改良と難燃性を同時に解決することができるエラストマー難燃剤及び当該難燃剤を含む熱可塑性樹脂組成物に関する。
従来の技術体系は、衝撃強度を向上するものである。多くは、エラストマーの配合により衝撃強度を改良し、難燃剤を配合することで、組成物の難燃性を確保すべく材料及び製品の開発がなされてきた。
しかるに、エラストマーの多くは、スチレンーブタジエンースチレン共重合体やその水素添加物、エチレン―αオレフィンエラストマー酸無水物変性、オレフィン系ターポリマーエラストマー酸無水物変性、エチレン―αオレフィン共重合体のエポキシ基導入変性体、コアシェルエラストマー等であり、熱可塑性樹脂への配合により衝撃強度が改良される。
しかしながら、当該分子構造は、酸素指数が低い。従って、全組成物の難燃性を担保するために、難燃剤の増量を必要とするが、そもそも、当該エラストマーには、難燃改良の効果が極めて小さいことから、エラストマーの配合量には限界がある。さらに、リン系難燃剤の多くは、熱可塑性樹脂の熱変形を大きく低下させることが知られており、熱変形温度、衝撃強度、難燃性の3者間のトレードオフを断ち切ることが困難であった。
さらに、熱硬化樹脂を含浸したCFRPにおいて、例えば冷熱サイクルによるクラックの防止や減衰率の調整のために、エラストマーやスーパーエンプラをエポキシ樹脂に分散せしめ改良し、応力緩和させる試みがなされている。しかし、難燃性が要求される部品では解決できず、フェノール樹脂系のCFRPとなっている。
エラストマー難燃剤に関する先行技術及び熱可塑性樹脂の多層化に関する先行技術は、以下の通りである。尚、特許文献1では、本発明者が難燃性を確保すべく材料を見出した。
エラストマー難燃剤に関する該当文献や特許文献は存在しない。エラストマー配合の複合樹脂へ難燃剤を付与する技術は広く出願されているが、エラストマー自身が難燃剤として作用する先行技術はない。
2層押出成形については、芯鞘繊維や2層パイプ押出などの公知技術がある。これらの応用として、2層ペレットの製造があるが、公知技術との差異化として材料を特定し、ダイス構造に関して出願されている。
2層ペレット製造に関して、次のような文献がある。2層構造オレフィン系樹脂ペレット及びその製造方法(特許文献2)、EVOH特定材料を組み合わせた多層ペレット及び樹脂成形品(特許文献3)、樹脂ペレット(特許文献4)、ダイ装置及びそれを用いた複層押出成形品の製造方法(特許文献5)、複層押出成形品の押出装置及びそれを用いた複層押出成形品の製造方法(特許文献6)、防虫樹脂組成物用2層構造オレフィン系樹脂ペレット(特許文献7)、多層ペレット及びその製造方法(特許文献8)、複層ペレットの製造方法及び装置(特許文献9)などがある。特許文献9では、複数の押出成形部が円周に沿って配置されたダイ装置に、芯材料及び鞘材料を供給し、それぞれの押出成形部から、芯材料の外周に鞘材料を同心円状に被覆させて複層ストランドしている。
特許第5913756号公報 特開2015-105369号公報 特開2009-242591号公報(特許第5373306号) 特開2008-255277号公報 特開2006-272629号公報(特許第4642520号) 特開2006-272628号公報(特許第4571531号) 特開2005-139329号公報(特許第4649104号) 特開2003-048991号公報 特開2001-198918号公報(特許第4542252号)
本発明は、難燃性を有し、かつ、衝撃度をさらに向上することが可能なエラストマー難燃剤及び当該難燃剤を含む熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
本発明の化合物(A)と化合物(B)の溶融混合物がエラストマー性を帯びるのは、化合物(A)/化合物(B)の割合において、化合物(B)がリッチ系である。例えば、化合物(A)及び化合物(B)中の化合物(B)の割合が、60〜80%であり、40%でも、そのエラストマー性の結果として、ガラス繊維複合材料系では衝撃改良効果が確認されている。一方、エラストマー性が高い60%を超えると、溶融混練後の溶融ストランドを水槽により冷却されたストランドの粘着性が高い。このため、冷却水槽中にシリコーンなどの粘着防止剤を配合するか、ペレット表面に炭酸カルシウム、エアロジル、炭酸カルシウムなどを混合する必要があった。シリコーン残留物については、電子部品への難燃剤付与材料には不具合があり、また大量のエアロジル混合は、作業環境を制約され、炭酸カルシウムやタルクの無機フィラーの混合も、移送中の振動により分離することも懸念されることから、広範囲の温度環境での使用に耐え得るように非粘着性が求められ、本発明に到った。
粘着性を帯びる材料や吸湿性の材料を保護する目的で、表皮層に非粘着性材料、低吸水材料で被覆することは、工業的に実施されている。ペレット化の実用例もある。
実用化が可能である既存技術を利用して、本発明の粘着性エラストマー難燃剤に非粘着性を付与し、かつ難燃性を付与できるか否かの原理原則を、モデル実験により確認した。
表皮層に非粘着性組成の化合物(A)/化合物(B)の溶融混練物を、コア層に化合物(B)成分が高濃度割合の混練物を、表皮層/コア層/表皮層と3積層する。これにより、粘着性がなく取り扱いが容易であり、衝撃強度と難燃性が付与することが確認された。
このことは、実用化において、混練機2台を利用し、両混練機からの溶融樹脂を多層ダイスから押し出されたストランドは、冷却カット後の粘着性が改善されることを示している。多層ダイスは、二重円筒形でも、シート形状でもよい。シートの場合は、溶断シールにすることで、次の樹脂へのコンパウンドが容易になる。多層シート成形、多層フィルム成形の装置は、それぞれの業界で稼働しており、各業界にとって新規ビジネスを創出する良い意味でも大きい。また、当然のことながら、溶断シールをせずに、表皮層に機械的及び耐熱性に優れた熱可塑性樹脂をインライン多層化することで、難燃性及び衝撃強度に優れた押し出し製品が得られる。
多層における層構成及び層割合については、層構成比、それぞれの化合物(B)の成分濃度により、最終的な化合物(B)濃度が決定される。表皮層の材料が最終的に配合される熱可塑性樹脂に分散が良好であれば、表皮層は熱可塑性樹脂単体でも適用可能である。
本発明の一実施形態に係るエラストマー難燃剤は、

式A−1及び式A−2のうちの少なくとも1つ(化合物(A))と、リン酸エステル難燃剤(化合物(B))とが溶融混合された難燃剤組成物であって、前記難燃剤組成物は、少なくともコア層(C)と表皮層(D)とを含むペレット又はシートから裁断された成形体であり、前記コア層(C)は、前記化合物(A)と前記化合物(B)の重量比(A)/(B)が25/75〜40/60であり、前記表皮層(D)は、熱可塑性樹脂、又は、前記化合物(A)と前記化合物(B)の重量比(A)/(B)が95/5〜50/50であり、前記成形体が熱可塑性樹脂に混合されている。
前記エラストマー難燃剤において、前記コア層(C)と前記表皮層(D)の重量比(C)/(D)は、90/10〜50/50であってもよい。
前記エラストマー難燃剤において、前記表皮層(D)の前記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、スチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリオレフィン、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、及びこれらの中から選択された少なくとも1つを含有するポリマーアロイであってもよい。
本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物は、上述するエラストマー難燃剤を含でいてもよい。
本発明は、難燃性を有し、かつ、衝撃度をさらに向上することが可能なエラストマー難燃剤及び当該難燃剤を含む熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るエラストマー難燃剤を構成する成形体を示す模式図。 本発明の一実施形態に係るエラストマー難燃剤を構成する他の成形体を示す模式図。 本発明の一実施形態に係るエラストマー難燃剤を構成する成形体の形成工程を示す概略図。
以下、本発明の実施形態について実施例を交えて説明するが、本発明の難燃剤及びこの難燃剤を含有する熱可塑性樹脂組成物は、下記の実施形態または実施例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは勿論である。
図1は、本発明の一実施形態に係るエラストマー難燃剤を構成する成形体の模式図を示す。図2は、本発明の一実施形態に係るエラストマー難燃剤を構成する他の成形体の模式図を示す。図3は、本発明の一実施形態に係るエラストマー難燃剤を構成する成形体の形成工程を示す。
本発明のエラストマー難燃剤を構成する難燃剤組成物は、化合物(A)と化合物(B)とが溶融混合された化合物(C)を有する。この難燃剤組成物は、少なくともコア層(C)と表皮層(D)とを含むペレット又はシートから裁断された成形体である。そして、この成形体が熱可塑性樹脂に混合され、本発明のエラストマー難燃剤が形成される。尚、化合物(A)、(B)、(C)の詳細については、後述する。
図1に示すように、本発明のエラストマー難燃剤を構成する成形体10は、コア層11と、このコア層11の全体を覆う表皮層12とを含んでいる。また、図2(a)に示すように、成形体10は、コア層11と、表皮層12と、コア層11及び表皮層12の間に設けられた中間層20とを含んでいてもよい。この場合、中間層20は、多層でもよく、例えば、コア層21と表皮層22とで構成されてもよい(図2(b)参照)。
上記において、コア層(C)11、21では、化合物(B)が化合物(A)より多く含まれていることが望ましく、例えば、化合物(A)と化合物(B)の重量比(A)/(B)が25/75〜40/60であることが望ましい。
一方、表皮層(D)12、22では、化合物(A)が化合物(B)と同じか、化合物(B)より多く含まれていることが望ましく、例えば、化合物(A)と化合物(B)の重量比(A)/(B)が95/5〜50/50であることが望ましい。又は、表皮層(D)12、22は、熱可塑性樹脂であってもよい。
コア層(C)11、21と表皮層(D)12、22の重量比(C)/(D)は、90/10〜50/50であることが望ましい。この重量比(C)/(D)は、60/40、70/30がさらに望ましい。コア層(C)が10重量比未満の場合は、シートからの裁断面が薄くなり、裁断片同士の融着し易くなる。一方、コア層(C)が50重量比を超えると、衝撃強度向上剤としての性能が低下する。
また、図2(b)に示すように、成形体10が中間層20を有する場合、コア層11は、コア層21と同じか、より好ましくは、コア層21に対して化合物Bがより高濃度の方が望ましい。表皮層12は、表皮層22と同じか、より好ましくは、表皮層22に対して化合物Aがより高濃度の方が望ましい。
本発明のエラストマー難燃剤を構成する難燃剤組成物は、例えば、ペレット又はシートから裁断された成形体である。例えば、図3(a)に示すコア層11と表皮層12とを含むシート1が裁断され、図3(b)に示すような分断された成形体10や、図3(c)に示すような分断された成形体10が形成される。
尚、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述する本発明のエラストマー難燃剤を含んで構成されてもよい。
<化合物(A)>
化合物(A)は、式A−1及び式A−2のうちの少なくとも1つからなる。つまり、化合物(A)は、式A−1からなる化合物、式A−2からなる化合物、式A−1及び式A−2を含む化合物のいずれかである。
例えば、化合物(A)は、以下の表1のように示される。表1の左側に記載のFRX OL 1001、FRX OL 3001、FRX OL 5000、FRX 100、FRX CO 35、FRX CO 60は、FRX-Polymer社の製品である
<化合物(B)>
化合物(B)は、リン酸エステル系化合物である。
リン酸エステルとしては、特に限定はないが、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することが好ましい。
モノリン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスファフェナンスレン、トリス(β―クロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
前記縮合リン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート(大八化学工業社製、商品名PX−200)、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物等の縮合リン酸エステルを挙げられる。レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR−733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR−741、FP−600、FP−700)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(ADEKA社製、商品名アデカスタブPFR)等を挙げることができる。
<化合物(C)の組成>
常温固形の化合物(B)の場合は、化合物(A)といずれの組成で混合しても固形であることは自明の通りである。液状の化合物(B)を固形化するためには、化合物(A)との組成及び化合物(A)の粘度に依存する。化合物(B)が5%未満であれば、分子量に依存せず、多くの化合物(A)と混合することで固形化はするものの、化合物(A)と併用して両方の長所を有する難燃剤組み合わせとは言えない。一方、液状の化合物(B)が80%を超えた組成物は、固形化しても、高温長時間の保管、製造作業現場の環境下では表面粘着を帯び、長時間の保管状態では複数個が凝集した形となる。このとき、機械的に剪断をかければ、凝集体は分離することが多いが、作業工程の増加もあり、好ましくない。
液状化合物(B)が化合物(A)に対してどの範囲にあれば固形化できるか綿密に実験をした。実験サンプルの燐濃度が3〜20%との範囲で実験をした結果であり、範囲外の濃度を有するサンプル間でも蓋然性は成立するものと推定はされるが、実験結果は極めてシンプルな関係があることを見出した。それは、化合物(A)の溶融粘度と非常に強い相関があり、高い分子量=溶融粘度を有する化合物(A)と化合物(B)の割合は30/70重量%まで包含する固形化が達成することが分かった。
化合物(B)組成% ≦ 14.7ln(η)- 85 (式1)
ここで、ηは、式A−1、式A−2、又は、式A−1及びA−2からなる混合物のブルックフィールド社製B型粘度計(270℃)で測定された粘度(cps)である。
一般的に、液状縮合リン酸エステルが固形のポリカーボネート樹脂と溶融混練された組成物で大凡20重量%までは包含できるが、20重量%超の配合では製品表面にブリードアウトしてくることが観測される。このことから、化合物(A)に化合物(B)が相当の高濃度まで混合し固形化するとは予想すらできないことであった。これにより、液状化合物(B)が固形化されることは工業上極めて有意義である。
<熱可塑性樹脂>
本発明の対象となる熱可塑性樹脂は、エンジニアリング樹脂に好適であり、例えば下記の樹脂である。但し、下記に例示される樹脂に限定されることはない。
(a)ポリカーボネート系樹脂
例えば、ポリカーボネート系樹脂は、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族−脂肪族ポリカーボネートである。芳香族ポリカーボネートは、芳香族ヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られるが、芳香族ヒドロキシ化合物を植物由来のイソソルバイドに変えたものも含まれる。それぞれ分岐化剤導入、難燃アシスト目的のシロキサン構造を有する両末端フェノール性OH基含有のポリマー又はオリゴマーを使用することもできる。
(b)ポリエステル系樹脂
例えば、ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート、LCP、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸と、エチレングリコール及び/又はシクロヘキサンジメタノール(CHDM)及び/又は2、2−4、4−テトラメチル1、3シクロブタンジオール(TMCD)共重合体(例えば、イーストマンケミカルから販売されているPETG、PCTG、PCTA、TRITAN等)である。
(c)ポリアミド系樹脂
例えば、ポリアミド系樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド6−6、共重合ポリアミド6/6−6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4、ポリアミド4−6、ポリアミド6−10、及び非晶ポリアミドである。
(d)ポリアクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂
(e)ポリスチレン系樹脂
例えば、ポリスチレン系樹脂は、高衝撃ポリスチレン、シンディオタクチックポリスチレ、ポリアクリルニトリルブタジエン共重合体である。
(f)ポリフェニレンエーテル系樹脂
(g)ポリフェニレンサルファイド系樹脂
(h)ポリアリレート
(i)ウレタン系
例えば、ウレタン系は、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタンエラストマーである。
(j)ポリスルホン
(k)ポリエーテルエーテルケトン
(l)熱可塑性エポキシ樹脂
尚、熱可塑性樹脂としては、上記(a)〜(k)のいずれか1つからなる単独系、2成分以上のブレンド、2成分以上のポリマーアロイが適用される。ポリマーアロイとしては、ポリカーボネート/ポリアクリルニトリルブタジエンスチレン共重合体アロイ、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル/高衝撃ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル/ポリアミド、ポリフェニレンエーテル/ポリプロピレンなどが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂単独への当該発明は適用が困難であるが、上記エンジニアリングプラスチックスの耐薬品性、成形性、外観、衝撃強度、柔軟性など改善の為にブレンドもしくはアロイ化を行うことが多いが、この場合はポリオレフィンがエンジニアリングプラスチックスに比較して50重量%を超えない範囲であれば、本発明を利用することができる。
このようなポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4メチルペンテン−1、エチレンーアルファオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン系アイオノマー樹脂、エチレン−プロピレン共重合エラストマー、エチレン−ブテン共重合エラストマー、エチレン−ヘキセン共重合エラストマー、エチレン−オクテン共重合エラストマー、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体などがあり、同じく50重量%を超えない範囲であればABAタイプのエラストマーも対象となる。
エラストマーとしては、エチレン−プロピレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。
コアシェルエラストマーとしては、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン系コア・シェルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル−スチレン系コア・シェルグラフト共重合体、タクリル酸エステル−シリコン−スチレン系コア・シェルグラフト共重合体アクリル酸エステル系コア・シェルグラフト共重合体等が挙げられる。
但し、熱可塑性樹脂を表皮層(D)として利用する場合には、D層の割合が全体の20%以下であれば、オレフィン系樹脂を単独で利用することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、所望に応じ、その特性を大きく損なわない範囲において、原材料の混合時又は混練時に、もしくは成形時に、従来公知の各種成分、例えば、無機充填剤や他の有機充填剤、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、導電性カーボン、滑剤、造核剤、発泡剤、架橋剤、ラジカル発生剤、離型剤、界面活性剤、抗菌・抗カビ剤、染料、顔料などを配合してもよい。
難燃剤補助として、モンモリロナイト、クレーなどの層状無機化合物、カーボンナノチューブなどが好ましい。
<組成物の製造>
難燃剤A、熱可塑性樹脂、難燃剤Bを同時に溶融混練として得る方法においては、通常の熱可塑性樹脂組成物との製造においては、各種混練機、例えば、1軸および多軸混練機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラム等で、上記成分を溶融混練した後、冷却固化する方法が適用されるが限定されるものではない。
しかしながら、混練機が2軸押出機のような連続式混練機において、さらに有利である。2軸押出機等の押出機においては、スクリュー、ニーディングディスク、ローター等の各種エレメント及びシリンダーの長さや形状、原材料の供給口の位置や数を自由に組み替えることができるため、熱可塑性樹脂種類、難燃剤Aのグレード、難燃剤B(リン酸エステル)の種類の配合に応じて、適宜組み替えて使用することができる。例えば、2軸押出機を用いて、原材料供給口を最初のシリンダー上部(No.1供給口)と最初のシリンダーとダイヘッドとの中間のシリンダー上部(No.2供給口)の2箇所に設定し、No.1供給口とNo.2供給口の間(上流部)及びNo.2供給口とダイヘッドの間(下流部)にニーディングディスクを適宜配置し、所定の温度にした後、No.1供給口から熱可塑性樹脂及び難燃剤Aを供給し、No.2、No.3供給口から化合物B(リン酸エステル難燃剤)を供給する方法などを挙げることができる。但し、化合物(B)が液状難燃剤であるときは、液体供給装置が必要である。
化合物Aと化合物Bの難燃剤同士の製造は、以下の2方法があるが、化合物Aの融点以上で化合物Bを混合できる装置であれば特に限定することはない。
例えば、一般的に、加熱ジャケット及び攪拌装置付きのタンクであれば可能である。このことは、工業的には、液状難燃剤製造工程に織り込み、取り出し冷却により容易に常温で固形の難燃剤組成物(化合物C)を得ることができる。
化合物Aが高分子量であることを利用して、混練装置を利用することが可能であるが、この場合でも2軸混練押出機が有用である。すなわち、No.1供給口から化合物Aを供給し、溶融可塑化した後、No.2供給口から液状化合物Bを供給し、混練しダイスからストランドを押出し、水冷、空冷後ストランドカッターにて所望のサイズに裁断されたペレットを得ることができる。
得られた難燃剤ペレットを更に熱可塑性樹脂と混合する場合は、同様の溶融混練押出機にて組成物を得ることが好ましいが、成形時に直接原料と配合して成形する場合もあり得る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形する方法に特に限定はなく、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形方法、すなわち射出成形、射出圧縮成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、真空成形、プラグアシスト圧空成形、フィルム成形、シート成形、回転成形、積層成形、発泡成形等の各種成形方法の中から、該熱可塑性樹脂組成物の配合処方や包装容器の用途などに応じて、適宜選択することができる。
尚、本発明のエラストマー難燃剤は、難燃剤組成物で構成される成形体を熱可塑性樹脂に混合して形成しているが、これに限定されない。例えば、成形体を、熱可塑性樹脂の代わりに、熱硬化性樹脂に混合してもよい。この場合、硬化時の応力を緩和し、結果として、衝撃強度の向上を図ることができる。
[実施例]
以下に、本発明を実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでは無い。以下の表2は本発明の実施例に用いた実験装置の詳細を示しており、本発明の実施例においては難燃剤A、B、熱可塑性樹脂の混練に2軸混練押出機、2軸混練機を用いて原材料供給口をNo.1供給口とNo.2供給口を設けて実験を行った。難燃性はUL94に準拠して評価し、衝撃強度はテスター産業(株)製のシャルピー衝撃装置を用いて測定した
以下の表3は、本発明の実施例及び比較例における実験に使用した材料及び実験結果を示しており、表皮層配合割合、コア層配合割合、多層化難燃剤、樹脂組成物、難燃性、シャルピー衝撃強度の実験データを示している
表3、表4を参照して本発明に係る実施例及び比較例を以下に説明する
<難燃剤アロイの製造の実施例・比較例>
[実施例−1]
第1の工程は、表皮層の成形である。
まず、日本製鋼所(株)製2軸混練機TEX30αの第1フィード部からFRX-Polymer社製Nofia-100Lの80部と、第2フィードから株式会社ADEKA製難燃剤FP600の20部とが配合される。そして、スクリュー回転230rpm、シリンダー温度を第1フィード下では230℃、第2フィード下では190℃に設定し、5kg/hr.の設定押し出し条件でコンパウンドし、水槽により冷却し、ペレタイザーで裁断してペレットが作成される。
次に、このペレットが一旦加熱プレスされる。これにより、シートが作成される。この加熱条件は、温度210℃、圧力3MPaである。シートサイズは、幅200mm、長さ200mm、厚み0.25mmである。
第2の工程は、コア層のコンパウンドと、第1工程で得られたシートとの多層化である。
コア層のコンパウンド組成は、第1工程使用時の材料系の比率を変更し、Nofia-100Lを30部、FP600を70部として、第1フィード下の温度は220℃、第2フィード下の温度を190℃とした他は、その他と同じ条件で押し出しをする。但し、ダイスは、幅150mm、ダイスギャップ2mmのハンガーコートダイを混練機先端に装填する。第1工程で使用したフィルムを金属製プレスシートの上に敷き、吐出されるコア層に相当するTダイ溶融物の厚み2mmシートを流出に合わせて積層する。表皮層とコア層の比を0.8とする。次に、その上から同種フィルムを積層させ、表皮層/コア層/表皮層の3層シートを冷却プレスにて1MPaの加圧で弱くプレスしながら冷却して得る。その後、冷却後シートをハサミで約5〜7mm程度に切断する。
表皮層の押し出し時においても、コア層の押し出し時においても、サージングはなく、安定したコンパウンドである。3層シートは、粘着がなく、ハサミでの裁断時も粘着によるトラブルは観察されなかった。
裁断された3層ペレット16部と三菱エンジニアリングプラスチックス(株)販売ポリカーボネート(ユーピロンS2000)39部をドライブレンドし、日本製鋼所製TEX30α(条件II)にてガラス繊維とコンパウンドを実施し、ペレットを得る。シリンダー温度260℃のガラス繊維45部を混練機シリンダーの途中からフィードする(日東紡(株)ガラス繊維(CF3PE937))。
次に、得られたペレットを東洋精機(株)ミニテストプレス−10にて熱プレスを行い、UL評価試験片及びシャルピー衝撃試験片を作成する。その結果、UL94難燃性V0 Vノッチ付きシャルピー衝撃強度は16kJ/m2と非常に高い物性を与えた。難燃性と衝撃強度の両方が満足することが確認された。
[実施例−2]
実施例−1の第1工程(表皮層)成形における難燃剤配合において、Nofia-100Lを60部、FP600を40部にし、その他は実施例−1と同様の実験をする。表皮層とコア層の比を0.8とする。これにより、略同様の良好な結果が得られた。
[実施例−3]
実施例−1において、第1工程(表皮層)のNofia-100Lを90部、FP600を10部とし、第2工程(コア層)のFRXグレードをPCとの共重合体であるA−2タイプのNofia-CO60に変更し、その他は実施例−1と同様の実験をする。表皮層とコア層の比を0.8とする
その結果、シャルピー衝撃強度が18J/m2と非常に高く、難燃性もV0を維持していることが判明した。
[実施例―4]
実施例−1において、第1工程(表皮層)成形における難燃剤のNofia-100LをNofia-9000に切り替え、第2工程に実施例−3で適用のNofia-CO60とし、その他の条件は実施例−1と同一にして、ポリカーボネート組成物を得た。表皮層とコア層の比を0.8とする
この場合においても、第1工程で得られる溶融組成物は容易に固化し、フィルムを成形することができ、粘着性はなかった。さらに、コア層にPCとの共重合体であるA−2タイプを採用することにより、よりエラストマー性が高く、その結果、ガラス繊維強化ポリカーボネートの衝撃が高く、かつ難燃性は確保できた。
[実施例−5]
表皮層に難燃剤を含有しないポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス販売ユーピロンS2000)のフィルムを用意し、コア層に実施例−1の組成物を多層化する。但し、コア層の比率を0.8とする。
その結果、多層化難燃剤の粘着性はなく、最終ガラス繊維強化ポリカーボネートの衝撃が高く、かつ難燃性は確保できた。
[実施例−6]
第1工程における材料を、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ポリブチレンフタテート(略PBT)(ノバデュラン5010)単体を押し出しフィルムとし、第2工程のNofiaをA−2タイプのNofia-CO60の30部とFP600の70部とし、表皮層とコア層の比を0.8とする。
実施例−6では、この多層化された難燃剤の粘着性はなく、次工程のPBT樹脂とのコンパウンドにおいて支障はなかった。ガラス繊維PBTコンパウンドにおいて3層の難燃剤部数は18部に増量した。その結果、PBT系における衝撃強度は12J/m2と高く、かつ難燃性もV0が確認された。この実施例を、比較例−4と比較すると、実用価値が高いことが分かる。
[比較例−1]
第1工程において、実施例−1で使用した難燃剤Nofia-100Lを、実施例と同じく、一旦2軸混練機でペレットを作成する。その後、このサンプル16部、ポリカーボネート樹脂37部、ガラス繊維45部からなる組成物を、2軸混練機でコンパウンドし、実施例同様の試験片作成後の品質を評価した。vノッチ付きシャルピー衝撃強度は5.5J/m2、難燃性はドリップがありV2レベルであった。この比較例は、特許第5913756号でも、化合物(B)成分の難燃剤アロイが形成することで、難燃性が向上することを再現している。ここでは、vノッチ付き衝撃強度を比較対象として挙げている。
[比較例−2]
第1工程において、Nofia-100Lを30部、FP600を70部とし、溶融混練押し出しをする。しかし、溶融ストランドは粘着性が激しく、水冷後のペレタイズはペレタイザーへの巻き込みなど作業がストップするような生産安定性に問題があると確認された。但し、ストランドそのものはエラストマーのように柔軟であり、比較例−1のNofia単体のストランドが脆いことに対して特徴があることが判明した。しかしながら、vノッチ付きシャルピー衝撃及び難燃性評価には到らなかった
[比較例−3]
実施例−2におけるコア層を含まない表皮層のみの難燃組成16部とポリカーボネート樹脂39部及びガラス繊維45部を2軸混練機でコンパウンドする。
その難燃性は、V0で特許第5913756号の再現性が得られ、かつ一方シャルピー衝撃強度は8.8J/m2と比較的高い値ではあるが、実施例−2の衝撃値は遙かに高いことが判明した。
[比較例−4]
実施例−6で使用したPBT5010にリン系難燃剤FP600を18wt%、ガラス繊維45wt%を配合し、コンパウンドを実施する。押出ストランドを水槽に通す段階で、水槽の表面に難燃剤FP600が浮いていることが分かり、かつ得られたペレットはやや粘着性を帯びていた。この組成物のvノッチ付きシャルピー衝撃強度は8J/m2であった。難燃性評価ではドリップがありV2であった。
[比較例−5]
実施例−1において、コア層比を0.95とする。この場合、シート裁断時に粘着性が強いことが判明し、熱可塑性樹脂とのコンパウンドには不適とした。
[比較例−6]
実施例−1において、コア層比を0.25とする。この場合、シート裁断時、熱可塑性樹脂とのコンパウンドにおいて問題はないが、衝撃強度は実施例−1に比較すると低いことが判明した。
従来の難燃剤系に比較すると、このレベルでも高い評価が与えられるが、本発明においては請求の範囲のコア層比が適していると判断した。
<効果>
代表的な難燃剤として、ハロゲン系難燃剤、赤リン、ホスフィン系難燃剤、縮合リン酸エステル及びインツメッセント難燃剤などが例示される。
しかし、これらの難燃剤を熱可塑性樹脂に配合し、難燃性を付与する時には、機械的物性や熱的性質を低下させる。
そこで、エラストマーを配合し、衝撃強度の回復を図る。しかし、エラストマーは、フッ素系、シリコーン系を除いて、汎用のエラストマーは却って難燃効果を低下せしめる。また、シリコーン系、フッ素系のエラストマーは、樹脂との相溶性に劣ることもあり、それほど衝撃強度は向上しない。
かかる矛盾を解決するには、エラストマーでありながら、難燃剤でもあり、かつ、熱可塑性樹脂への相溶性も良好な化合物が希求されている。しかしながら、このような技術に関する先行文献及び特許等は皆無である。
そこで、本発明者は、特許文献1において、化合物(A)と化合物(B)が特定の条件で溶融混練されて特定の分散形態を有する組成物は、化合物(A)及び化合物(B)それぞれ単独で熱可塑性樹脂に配合する場合より、難燃性が優れることを見出した。
本発明は、化合物(A)と化合物(B)の組成物において、化合物(B)を高濃度にすることで、特定範囲において、組成物はエラストマー性を有することが判明した。しかしながら、この組成範囲では、溶融混練後のストランドは粘着性がある。そこで、本発明は、非粘着性の(A)/(B)組成物又は熱可塑性樹脂を表皮層とし、エラストマー性が特に高い(A)/(B)組成物をコア層とし、熱可塑性樹脂に配合することで、衝撃強度及び難燃性の何れも満足することが判明した。
以上のように、我々生命の安全安心を火災から守る商品の難燃性付与に関して、一方で環境問題から薄肉・軽量化商品、高機能要請から各種高強度・高耐熱材料が要求されている。この難燃性とかかる要望をマッチングすることは困難で、従来の難燃剤ではトレードオフの関係にあった。本発明は、単一難燃剤では満足することができないが、全くその長所短所と反対の難燃剤との組み合わせは「難燃剤アロイ」ともいうべき新規な発想と確固たる品質を与えることを証明した。
一方、かかる材料の製造拠点はグローバル化しており、樹脂との難燃コンパウンド化工場も最終顧客での現地生産に伴ってシフトしている。かかる状態では従来の粘稠液体難燃剤取り扱い工程能力と同等レベルは期待できない。かつ保管状況も過酷条件も容易に想定される。このとき粘稠液体難燃剤が固形化できることの工業的意味は極めて高い。
さらには、本発明の最大の特徴は、エラストマー難燃剤である。従来、衝撃強度として各種のエラストマーが利用されてきた。しかし、上記のように難燃性はそもそも具備していないこともあり、外部から難燃剤を追加配合する必要があった。そのような場合においては、難燃性が不足し、それをカバーするために、製品肉厚を厚くすることなどで対処してきたが、昨今の軽量及び薄肉化の中では、適用範囲が限定されている。
発明者の特許文献1では、ガラス繊維などとの複合化において優れた難燃性を付与することを明示した。従来では、ガラス繊維は燃焼時の燃焼ガス通路として作用することから、ガラス繊維複合材料の難燃化は困難であったが、本発明はガラス繊維複合材料系の衝撃強度を向上させ、かつ難燃性が付与されることの工業的意味は非常に大きい。
以上のように、本発明のエラストマー難燃剤は、衝撃改良剤及び難燃剤として作用することが可能である。

Claims (4)


  1. 式A−1及び式A−2のうちの少なくとも1つ(化合物(A))と、
    リン酸エステル難燃剤(化合物(B))と
    が溶融混合された難燃剤組成物であって、
    前記難燃剤組成物は、少なくともコア層(C)と表皮層(D)とを含むペレット又はシートから裁断された成形体であり、
    前記コア層(C)は、前記化合物(A)と前記化合物(B)の重量比(A)/(B)が25/75〜40/60であり、
    前記表皮層(D)は、熱可塑性樹脂、又は、前記化合物(A)と前記化合物(B)の重量比(A)/(B)が95/5〜50/50であり、
    前記成形体が熱可塑性樹脂に混合されたエラストマー難燃剤。
  2. 前記コア層(C)と前記表皮層(D)の重量比(C)/(D)は、90/10〜50/50である、請求項1に記載のエラストマー難燃剤。
  3. 前記表皮層(D)の前記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、スチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリオレフィン、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、及びこれらの中から選択された少なくとも1つを含有するポリマーアロイである、請求項1又は2に記載のエラストマー難燃剤。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の前記エラストマー難燃剤を含む熱可塑性樹脂組成物。
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