JP6278172B1 - フェライト系ステンレス鋼材、セパレーター、セルおよび燃料電池 - Google Patents
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Abstract
Description
粒径 割合
5μm以上100μm未満 :10〜80%
100μm以上300μm未満 :10〜40%
300μm以上500μm未満 : 残部
C:0.03%を超えて0.15%以下、
Si:0.05〜1.5%、
Al:0.001〜1.0%、
Mn:0.01〜1.0%、
P:0.045%以下、
S:0.01%以下、
N:0.05%以下、
V:0.5%以下、
Cr:13.0〜28.5%、
Nb:0.05〜(6.5×C)%、
Mo:0〜4.0%、
Ni:0〜5.5%、
Cu:0〜0.8%、
Sn:0〜2.5%、
In:0〜0.1%、
REM:0〜0.1%、
B:0〜0.0030%、
Ti:0〜(3×N)%、
残部:Feおよび不純物であり、
フェライト相からなる母材中に、結晶粒内に析出したNb系炭化物を析出核として、その表面にM23C6型Cr系炭化物が析出した複合析出物を有し、
前記複合析出物は、その一部が母材表面から突出している、
フェライト系ステンレス鋼材。
上記(1)に記載のフェライト系ステンレス鋼材。
15≦γ980≦60 ・・・(i)
ただし、上記(i)式中のγ980は、下記(ii)式で定義される値である。また、(ii)式中の[AC]および[BN]は、それぞれ下記(iii)式および(iv)式で算出される値であり、当該値が0未満と算出される場合には0を代入する。さらに、(ii)〜(iv)式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。
γ980=420×[AC]+470×[BN]+23×Ni+7×Mn+9×Cu−11.5×(Cr+Si)−52×Al−69×Sn+189 ・・・(ii)
[AC]=C−0.13×Nb ・・・(iii)
[BN]=N−0.29×Ti ・・・(iv)
Mo:0.2〜4.0%、
Ni:0.3〜5.5%、
Cu:0.3〜0.8%、
Sn:0.05〜2.5%、
In:0.002〜0.1%、
REM:0.002〜0.1%、
B:0.0002〜0.0030%、および
Ti:0.03〜(3×N)%、
から選択される1種以上を含有する、
上記(1)または(2)に記載のフェライト系ステンレス鋼材。
上記(1)から(3)までのいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼材を備える、
固体高分子形燃料電池用セパレーター。
コア材の表面に、導電性接着層を介してカーボン層を有し、
前記コア材として、上記(1)から(3)までのいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼材を備える、
固体高分子形燃料電池用セパレーター。
固体高分子形燃料電池用セル。
固体高分子形燃料電池。
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、M23C6型Cr系炭化物を析出させ、鋼材表面での接触電気抵抗性を向上させるのに必要な元素である。C含有量が0.03%以下であると、M23C6型Cr系炭化物の析出量が十分に確保できず、所望の電気的接触抵抗性能が得られない。しかし、Cを過度に含有させると製造性が著しく悪化する。そのため、C含有量は0.03%を超えて0.15%以下とする。上記効果を得るためには、C含有量は0.04%以上であるのが好ましく、0.05%以上であるのがより好ましい。
Siは、溶鋼段階で脱酸を行うために添加する元素である。Si含有量が0.05%未満では、鋼の脱酸制御が困難となり、可能であったとしても量産性が低下し、かつ製造コストが増大する。しかし、Si含有量が1.5%を超えると、脱酸元素としての効果が飽和するだけでなく、素材としての加工性が低下する。そのため、Si含有量は0.05〜1.5%とする。Si含有量は、0.25%以上であるのが好ましい。また、Si含有量は、1.0%以下であるのが好ましく、0.6%以下であるのがより好ましい。
AlもSiと同様に、溶鋼段階で脱酸を行うために添加する元素である。Al含有量が0.001%未満では脱酸元素としての効果が安定しない。しかし、Al含有量が1.0%を超えても脱酸元素としての効果が飽和するだけでなく、溶鋼中での脱酸能力がかえって低下する。そのため、Al含有量は、0.001〜1.0%とする。Al含有量は、0.005%以上であるのが好ましい。また、Al含有量は、0.10%以下であるのが好ましく、0.05%以下であるのがより好ましく、0.02%以下であるのがさらに好ましい。
Mnは、鋼中のSをMn系硫化物として固定する作用があり、熱間加工性を改善する効果がある。Mn含有量が0.01%未満では上記効果は得られない。しかし、1.0%を超える量のMnを含有させても、上記の効果は飽和する。そのため、Mn含有量は0.01〜1.0%とする。Mn含有量は、0.20%以上であるのが好ましく、0.25%以上であるのがより好ましく、0.35%以上であるのがさらに好ましい。また、Mn含有量は、0.80%以下であるのが好ましく、0.60%以下であるのがより好ましい。
Pは、Sと並んで有害な不純物元素であり、その含有量が0.045%を超えると、製造性が低下する。そのため、P含有量は0.045%以下とする。P含有量は、0.035%以下であるのが好ましく、0.030%以下であるのがより好ましい。
Sは、耐食性にとって極めて有害な不純物元素である。このため、S含有量は0.01%以下とする。Sは、鋼中共存元素および鋼中のS含有量に応じて、Mn系硫化物、Cr系硫化物、Fe系硫化物、Ti系硫化物、もしくは、これらの複合硫化物および酸化物または窒化物との複合非金属析出物としてそのほとんどが鋼中に析出している。また、Sは、必要に応じて含有させるREM(希土類元素)系の硫化物を形成することもある。
Nは、オーステナイト相(以下の説明において、「γ相」ともいう)の安定化元素であり、高温に加熱された状態での鋼材の組織制御に活用し、最終製品における結晶粒度調整に用いる。しかし、N含有量が0.05%を超えると、製造性が低下し、素材としての加工性が低下する。そのため、N含有量は0.05%以下とする。N含有量は0.035%以下であるのが好ましく、0.030%以下であるのがより好ましい。
Vは、意図的に含有させる必要はないが、量産時に用いる溶解原料として使用するCr源中に不純物として含有されている。V含有量は0.5%以下とする。V含有量は0.30%以下であるのが好ましく、0.20%以下であるのがより好ましい。
Crは、母材の耐食性を向上させる作用を有する合金元素である。また、本発明で用いる鋼材は、高温域で析出し、結晶粒内に微細析出するNb系炭化物を析出核として、M23C6型Cr系炭化物をマクロ的に均一に析出分散させて、所望の電気的な表面接触抵抗性能を確保することを前提としている。そのため、所定量以上のCrを含有させる必要がある。
Nbは、鋼中のCを部分的に安定化する効果を発揮する元素である。NbはNb系炭化物として鋼中に微細に分散析出し、M23C6型Cr系炭化物の析出核として機能する。Nb含有量が0.05%未満では、M23C6型Cr系炭化物の析出核としてのNb系炭化物としての析出量(分散)が不十分である。しかし、C含有量との関係において、6.5×C%を超えて含有させると、Nbにより安定化されていない残りの固溶C量が少なくなり、M23C6型Cr系炭化物の析出量が不十分となる。そのため、Nb含有量は0.05〜(6.5×C)%とする。
Moは、Crと比較して、少量で耐食性を改善する効果があるので、必要に応じて含有させてもよい。また、Moは溶出したとしても、アノードおよびカソード部に担持されている触媒の性能に対する影響が比較的軽微である。このことは、溶出したMoが、陰イオンであるモリブデン酸イオンとして存在するため、水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系イオン交換樹脂膜のプロトン伝導性を阻害する影響が小さいためと考えられる。しかし、4.0%を超えてMoを含有させても上記効果は飽和する。そのため、Mo含有量は4.0%以下とする。Moは高価な添加元素である。Mo含有量は、3.5%以下であるのが好ましく、3.0%以下であるのがより好ましく、2.5%以下であるのがさらに好ましい。上記効果を得るためには、Mo含有量は、0.2%以上であるのが好ましく、0.4%以上であるのがより好ましく、0.5%以上であるのがさらに好ましい。
Niは、凝固時および900℃以上の高温域でのα、γ相変態挙動および相バランス調整に有効であり、耐食性および靭性を改善する効果も有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、5.5%を超えてNiを含有させると、その他元素ならびに焼鈍条件を工夫してもフェライト単相組織とすることが難しくなる。そのため、Ni含有量は5.5%以下とする。Ni含有量は、4.5%以下であるのが好ましく、3.5%以下であるのがより好ましく、2.5%以下であるのがさらに好ましい。上記効果を得るためには、Ni含有量は、0.3%以上であるのが好ましく、0.5%以上であるのがより好ましい。
Cuは、耐食性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、0.8%を超えてCuを含有させても上記効果は飽和する。そのため、Cu含有量は、0.8%以下とする。Cu含有量は、0.7%以下であるのが好ましく、0.65%以下であるのがより好ましい。上記効果を得るためには、Cu含有量は、0.03%以上であるのが好ましく、0.3%以上であるのがより好ましい。
鋼中にSnを含有させると、マトリクス中に固溶しているSnが燃料電池内で表面に金属スズまたは酸化スズとして濃化することにより、マトリクスの表面接触抵抗を低減する効果を発揮する。また、マトリクスからの金属イオンの溶出を顕著に抑制し耐食性を改善する効果を有する。よって、Snを必要に応じて含有させてもよい。
Inは希少金属のひとつであり、非常に高価な元素であるが、Snと並んで表面接触抵抗を低下させる効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、0.1%を超えてInを含有させると鋼材の製造性を著しく損ねる。そのため、In含有量は0.1%以下とする。In含有量は、0.05%以下であるのが好ましい。上記効果を得るためには、In含有量は、0.002%以上であるのが好ましい。
REMは、熱間製造性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、過度の含有は、製造コストの増加につながるため、REM含有量は0.1%以下とする。REM含有量は、0.02%以下であるのが好ましく、0.01%以下であるのがより好ましい。上記効果を得るためには、REM含有量は、0.001%以上であるのが好ましく、0.002%以上であるのがより好ましく、0.005%以上であるのがさらに好ましい。
Bは、発明鋼の熱間加工性を改善する効果を有するとともに、結晶粒微細化に有効なため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、B含有量が0.0030%を超えると、M2B析出に伴う製造性の低下が顕在化しやすくなる。そのため、B含有量は0.0030%以下とする。B含有量は、0.0020%以下であるのが好ましく、0.0010%以下であるのがより好ましく、0.0006%以下であるのがさらに好ましい。上記効果を得るためには、B含有量は、0.0002%以上であるのが好ましい。
Tiは、溶鋼中または凝固末期の液相側でTi系窒化物として析出し、常温靭性を向上させる効果を発揮する。また、鋼中のSをTi系硫化物として固定して耐食性の低下を低減する働きもある。よって、Tiを必要に応じて含有させてもよい。TiはNとの化学的な結合力が強く、ほとんどのTiは溶鋼中でTiNとして析出する。3×N%を超えて含有させると、TiNとしての析出が完了後も、TiN生成に消費されない固溶Ti量が多くなる。その結果、冷却過程で固溶Cと反応して、Ti系炭窒化物またはTi系炭化物を生成する。固溶C量が低減すると、M23C6型Cr系炭化物の析出量が不十分となるおそれがある。そのため、Ti含有量は3×N%以下とする。上記効果を得るためには、Ti含有量は、0.03%以上であるのが好ましい。
15≦γ980≦60 ・・・(i)
γ980=420×[AC]+470×[BN]+23×Ni+7×Mn+9×Cu−11.5×(Cr+Si)−52×Al−69×Sn+189 ・・・(ii)
[AC]=C−0.13×Nb ・・・(iii)
[BN]=N−0.29×Ti ・・・(iv)
本発明に係る鋼材は、フェライト相(以下の説明において、「α相」ともいう)からなる母材中に、複合析出物を有する。本発明において、複合析出物とは、結晶粒内に細かく分散して析出したNb系炭化物を析出核として、その表面にM23C6型Cr系炭化物が析出したものを指す。その結果として内部にNb系炭化物を内包するようになったM23C6型Cr系炭化物も指す。なお、Nb系炭化物とは、主にNbCからなる炭化物をいう。また、M23C6型Cr系炭化物中のMは、Cr、またはCrおよびFeであり、Cの一部は、Bに置換されていてもよい。
本発明に係るフェライト系ステンレス鋼材の製造条件について特に制限はなく、例えば、上記の化学組成を有する鋼に対して、熱延工程、焼鈍工程、冷延工程および最終焼鈍工程を順に行い、それに続いて粗面化処理工程を行うことによって製造することができる。各工程について以下に説明する。
圧延前の加熱温度:1180〜1250℃
圧延前の加熱温度が1180℃未満では、熱間圧延機への負荷が大きくなり、また、本発明において所望とする複合析出物を好適に分散させることが困難になる。一方、1250℃を超えると、スラブ加熱時のスラブ表面での高温酸化スケール生成が顕著となり、素材製造コストの上昇およびコイル表面疵の発生を招く。そのため、圧延前の加熱温度は1180〜1250℃とするのが好ましい。
均熱時間が1時間未満では、スラブ温度が不均一となる。一方、12時間を超えると、スラブ加熱時のスラブ表面での高温酸化スケール生成が顕著となり、コイル表面での疵の発生を招きやすい。そのため、圧延前の均熱時間は1〜12時間とするのが好ましい。
圧延開始温度が1120℃未満では、熱間圧延機への負荷が大きくなり、また、本発明において所望とする複合析出物を好適に分散させることが困難になる。一方、圧延開始前の加熱温度を1250℃以下とするため、必然的に、圧延開始温度は1250℃以下となる。そのため、圧延開始温度は1120〜1250℃とするのが好ましい。
最終パス開始温度が860℃未満では、熱間圧延機への負荷が大きくなり、また、本発明において所望とする複合析出物を好適に分散させることが困難になる。一方、940℃を超えても同様に、所望とする複合析出物を好適に分散させることが困難になる。そのため、最終パス開始温度は940〜860℃とするのが好ましい。
圧延終了温度が600℃未満では、コイル巻き取り機への負荷が大きくなるとともに、コイル巻き取り形状およびコイル端面形状が悪くなる。一方、920℃を超えると、本発明において所望とする複合析出物を好適に分散させることが困難になる。そのため、圧延終了温度(巻取温度)は920〜600℃とするのが好ましい。
焼鈍温度:600〜920℃
焼鈍温度が600℃未満では、鋼材の組織調整処理時間が長くなり過ぎて生産性を著しく害する。一方、920℃を超えると、鋼材の耐食性を低下させる。そのため、焼鈍温度は600〜920℃とするのが好ましい。
焼鈍時間が60秒未満では、鋼材の機械的特性が安定しない。一方、12時間を超えると、処理時間が長くなり過ぎて生産性を害する。そのため、焼鈍時間(焼鈍温度での加熱保持時間)は60秒〜12時間とするのが好ましい。
加熱保持後の冷却は、空冷から徐冷の条件で行うことが好ましい。水冷により冷却すると、鋭敏化が生じる。これは、M23C6型Cr系炭化物の析出に伴い低下した析出物周囲のCr濃度の、熱拡散による上昇が、水冷による冷却では不十分となるためである。
冷延工程においては、特に制限はなく、公知の方法により冷間圧延を行えばよい。
焼鈍温度:600〜900℃
焼鈍温度が600℃未満では、焼鈍保持時間が長くなり生産性が著しく低下する。一方、900℃を超えると、析出しているM23C6型Cr系炭化物が熱的に不安定となり一部が再固溶することとなる。再固溶したM23C6型Cr系炭化物は焼鈍後の冷却過程で再析出するが、耐食性低下を起す場合がある。そのため、最終焼鈍工程における焼鈍温度は600〜900℃とするのが好ましい。
焼鈍時間が2秒未満では、性能が安定しない。一方、5分を超えると、製造性が著しく低下して製造コストが高くなる。そのため、最終焼鈍工程における焼鈍時間は2秒〜5分とするのが好ましい。焼鈍雰囲気については特に制限はなく、例えば、板厚が0.3mm以下の場合には光輝焼鈍で行うことができ、0.3mmを超える場合には、通常の連続焼鈍炉で行うことができる。
最終焼鈍工程における加熱保持後の冷却は、強制空冷から空冷の条件で行うことが好ましい。
続いて、複合析出物が母材表面から突出するよう、表面を粗面化する処理を施すことが望ましい。粗面化処理方法について特に限定は設けないが、酸洗(エッチング)処理が最も量産性に優れている。特に、塩化第二鉄水溶液をスプレー処理するエッチング処理が本発明での用途には好ましい。高濃度の塩化第二鉄水溶液を用いるスプレーエッチング処理は国内でもステンレス鋼のエッチング処理法として広く用いられており、使用後の処理液の再利用も可能となっている。濃厚な塩化第二鉄水溶液を用いるスプレーエッチング処理は、マスキング処理を行なった後の局所的な減肉処理または貫通穴開け処理として行なわれることが多いが、本発明においては表面粗化のための溶削処理に用いる。
前述したフェライト系ステンレス鋼材は、金属系セパレーターの素材として用いてもよいが、カーボン系セパレーターのコア材の素材として用いてもよい。本発明に係る鋼材をコア材として備えるカーボン系セパレーターの構造について特に制限はない。
本方式は、炭素含有導電性接着剤10をコア材11表面に塗布した後に(図2(a)参照)、成形し形状を固定したカーボン層12を貼り合わせる方式である(図2(b),(c)参照)。コア材11端面部分にも接着剤10が塗布されていてもよい。また、カーボン層12がコア材11よりも幅広に設計されていて、貼り合わせた際に、コア材11端面部がカーボン層12内部に完全に内挿されるように設計されていてもよい。
本方式は、成形し形状を固定したカーボン層12の接着しようとする面に接着剤10を塗布した後に(図3(a)参照)、コア材11を貼り合わせる方式である(図3(b),(c)参照)。接着面ではないカーボン層12表面にも接着剤10が塗布されていてもよい。
本方式は、炭素含有導電性接着剤10をコア材11表面に塗布した後に(図4(a)参照)、射出成型用金型13a,13b内部にコア材11を所望の位置に支持した状態で(図4(b)参照)、流動性を有するカーボン層12を金型13a,13b内部に導入して一体成型する方式である(図4(c)参照)。離型後に、乾燥と必要に応じて焼成を行えばよい。焼成は、トンネル型焼成炉を用いて搬送しながら焼き固めてもよいし、複数枚を、バッチ型焼成炉を用いて焼き固めてもよい。最も量産性に優れており、大量生産時には、コスト低減が期待できる。
本方式は、形状保持が可能な未固化のカーボン層12を成型型14a,14b内部に型込めした後に(図5(a)参照)、炭素含有導電性接着剤10を塗布したコア材11表面に加圧圧着する方式である(図5(b)参照)。離型後に、乾燥と必要に応じて焼成を行えばよい。焼成は、トンネル型焼成炉を用いて搬送しながら焼き固めてもよいし、複数枚を、バッチ型焼成炉を用いて焼き固めてもよい。
2.固体高分子電解質膜
3.燃料電極膜(アノード)
4.酸化剤電極膜(カソード)
5a,5b.セパレーター
6a,6b.流路
10 接着剤
11 コア材
12 カーボン層
13a,13b 金型
14a,14b 成型型
Claims (7)
- 母材の化学組成が、質量%で、
C:0.03%を超えて0.15%以下、
Si:0.05〜1.5%、
Al:0.001〜1.0%、
Mn:0.01〜1.0%、
P:0.045%以下、
S:0.01%以下、
N:0.05%以下、
V:0.5%以下、
Cr:13.0〜28.5%、
Nb:0.05〜(6.5×C)%、
Mo:0〜4.0%、
Ni:0〜5.5%、
Cu:0〜0.8%、
Sn:0〜2.5%、
In:0〜0.1%、
REM:0〜0.1%、
B:0〜0.0030%、
Ti:0〜(3×N)%、
残部:Feおよび不純物であり、
フェライト相からなる母材中に、結晶粒内に析出したNb系炭化物を析出核として、その表面にM23C6型Cr系炭化物が析出した複合析出物を有し、
前記複合析出物は、その一部が母材表面から突出している、
フェライト系ステンレス鋼材。 - 前記化学組成が、下記(i)式を満足する、
請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼材。
15≦γ980≦60 ・・・(i)
ただし、上記(i)式中のγ980は、下記(ii)式で定義される値である。また、(ii)式中の[AC]および[BN]は、それぞれ下記(iii)式および(iv)式で算出される値であり、当該値が0未満と算出される場合には0を代入する。さらに、(ii)〜(iv)式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。
γ980=420×[AC]+470×[BN]+23×Ni+7×Mn+9×Cu−11.5×(Cr+Si)−52×Al−69×Sn+189 ・・・(ii)
[AC]=C−0.13×Nb ・・・(iii)
[BN]=N−0.29×Ti ・・・(iv) - 前記化学組成が、質量%で、
Mo:0.2〜4.0%、
Ni:0.3〜5.5%、
Cu:0.3〜0.8%、
Sn:0.05〜2.5%、
In:0.002〜0.1%、
REM:0.002〜0.1%、
B:0.0002〜0.0030%、および
Ti:0.03〜(3×N)%、
から選ばれる1種以上を含有する、
請求項1または請求項2に記載のフェライト系ステンレス鋼材。 - 固体高分子形燃料電池用の金属系セパレーターであって、
請求項1から請求項3までのいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼材を備える、
固体高分子形燃料電池用セパレーター。 - 固体高分子形燃料電池用のカーボン系セパレーターであって、
コア材の表面に、導電性接着層を介してカーボン層を有し、
前記コア材として、請求項1から請求項3までのいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼材を備える、
固体高分子形燃料電池用セパレーター。 - 請求項4または請求項5に記載のセパレーターを備える、
固体高分子形燃料電池用セル。 - 請求項6に記載のセルを備える、
固体高分子形燃料電池。
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