JP6278092B1 - 自動変速機の摩擦締結装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複雑な油圧制御を行うことなく締結ショックの抑制を果たしつつ、締結油圧室と対向油圧室との間を適宜連通させることで締結および解放に要する時間の短縮を図るとともに、締結用ピストンの摺動抵抗を抑制することで締結時及び解放時の応答性を向上させる。【解決手段】摩擦締結装置10に、第1受圧面部、及び、該第1受圧面部に比べて受圧面積が小さい第2受圧面部を有する締結用ピストン30と、複数の摩擦板21,22と、第1受圧面部に面して設けられた締結油圧室51と、第2受圧面部に面して設けられた対向油圧室52と、締結油圧室と対向油圧室とを連通させるように締結用ピストンに設けられた連通孔36と、第1受圧面部に設けられた凹部34と、凹部に摺動可能に支持されるように締結油圧室に配置され、連通孔を開閉する開閉用ピストン40と、連通孔を開放させる方向に開閉用ピストンを付勢する連通用付勢手段44と、を設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載される自動変速機の摩擦締結装置に関し、車両用変速機の技術分野に属する。
一般に、自動車等の車両に搭載される有段式の自動変速機は、複数のプラネタリギヤ機構とクラッチやブレーキなどの複数の摩擦締結装置とを有する変速機構を備え、これらの摩擦締結装置を選択的に締結することにより、各プラネタリギヤ機構を経由する動力伝達経路を切り換えて、車両の運転状態に応じた所定の変速段を形成するように構成されている。
自動変速機のクラッチは、通例、クラッチハブやクラッチドラムなどの2つの回転要素に交互に係合された複数の摩擦板と、これらの摩擦板を押圧して締結させる締結用ピストンと、締結用ピストンを締結方向に押圧する油圧が供給される締結油圧室とを備え、締結油圧室への油圧の給排が制御されることで、クラッチが締結ないし解放される。
クラッチの締結油圧室は、クラッチハブやクラッチドラムなどの回転要素によって構成されるため、締結状態のクラッチを解放させるとき、締結油圧室に残された作動油に遠心力が作用することで、締結用ピストンが締結方向に押圧され、これにより、締結用ピストンに引き摺り抵抗が生じることがある
そこで、締結用ピストンの引き摺り抵抗を抑制するために、締結油圧室側から締結用ピストンに作用する押圧力を締結用ピストンの反対側から相殺させるために、締結用ピストンを介して締結油圧室に対向する遠心バランス室を設けることがある。
この場合、クラッチ解放状態では、遠心バランス室と締結油圧室の油圧の均衡を図るために、両室が連通されることが好ましい。一方、クラッチ締結状態では、締結油圧室の高油圧状態を維持するために、締結油圧室から遠心バランス室への作動油の流れを遮断することが好ましい。
このような要求に対応した技術として、例えば特許文献1の図6等には、締結用ピストンに、遠心バランス室と締結油圧室とを連通させる連通孔が設けられるとともに、該連通孔を締結油圧室側から開閉するボール弁が設けられた自動変速機のクラッチが開示されている。
特許文献1の構成によれば、クラッチ締結状態において、締結油圧室に供給された油圧によってボール弁が遠心バランス室側に向かって押圧されることで、連通孔がボール弁によって閉じられ、これによって、締結油圧室から遠心バランス室への作動油の流れが遮断されるため、高いクラッチ締結圧を保持しやすい。また、クラッチ解放状態には、ボール弁に強い押圧力が作用せず、連通孔が開放されるため、締結油圧室と遠心バランス室との間での作動油の移動が許容され、これにより、両室の油圧の均衡が図られる。
また、特許文献1の構成によれば、クラッチ解放状態からクラッチの締結動作が開始されるとき、締結用ピストンが締結方向にストロークするのに伴って、遠心バランス室の容積が減少するとき、遠心バランス室内の作動油が開放状態の連通孔を経由して締結油圧室に流入することで、締結油圧室への作動油の供給が促進される。これにより、クラッチの締結に要する時間が短縮され、締結応答性が向上する。
特開平10−139184号公報
ところで、上記の特許文献1の構成では、クラッチ締結状態からクラッチの解放動作が開始されるとき、この時点では締結油圧室の油圧が高いため、連通孔を塞ぐ方向の押圧力がボール弁に作用している。そのため、締結油圧室の容積を減少させる方向にストロークする締結用ピストンに対してボール弁が押し付けられることになり、これにより、連通孔がボール弁によって閉じられて、締結油圧室から遠心バランス室への作動油の流れが遮断される。したがって、クラッチ解放時に、締結油圧室から遠心バランス室を経由した作動油の排出を行えないため、クラッチの解放に要する時間を短縮できず、変速時のクラッチの掛け替えに要する時間の短縮を図る上で課題が残されている。
この課題は、上記のような遠心バランス室を備えたクラッチに限られず、解放用の油圧が供給される解放油圧室が、締結用ピストンを挟んで締結油圧室に対向するように設けられたブレーキにおいて、解放油圧室と締結油圧室とを連通させる連通孔が締結用ピストンに設けられ、該連通孔がボール弁によって締結油圧室側から開閉可能とされた構成にも同様に存在する。
また、遠心バランス室や解放油圧室等の対向油圧室が締結用ピストンを挟んで締結油圧室に対向して設けられたクラッチやブレーキなどの摩擦締結装置では、迅速な締結と締結ショックの抑制を両立させるために、締結時において、締結油圧室の油圧が所定のプリチャージ油圧に上昇するまでは大流量の作動油を供給し、締結用ピストンの締結ストロークが完了する直前に供給流量を低下させるなどといった緻密な流量制御が行われることがあるが、このような流量制御を実現するためには、油圧制御が複雑化する課題がある。
締結油圧室と対向油圧室を備えた摩擦締結装置において、以上の2つの課題(摩擦締結装置の解放に要する時間を短縮させるという課題、及び、油圧制御の簡素化を図りつつ迅速な締結と締結ショックの抑制を両立させるという課題)を解決するべく、本願の出願人は、先の特許出願(特願2015−125943)において、本願の図5に示すような摩擦締結装置200を提案している。
図5に示す摩擦締結装置200は、複数の摩擦板201、締結用ピストン210、並びに、締結用ピストン210を挟んで対向する締結油圧室202及び対向油圧室204を備えている。締結用ピストン210は、複数の摩擦板201を押圧して締結させる第1ピストン部材211と、第1ピストン部材211とは別体の第2ピストン部材212とで構成されている。第1ピストン部材211には、締結油圧室202と対向油圧室204との間を連通させる連通孔216が設けられ、第2ピストン部材212には、連通孔216を締結油圧室202側から開閉する弁部226が設けられている。
第1ピストン部材211と第2ピストン部材212は、いずれも、締結油圧室202側の受圧面積が対向油圧室204側の受圧面積に比べて大きく構成されており、これにより、両室202,204に同等の油圧が供給された状態で、第1及び第2ピストン部材211,212を締結方向にストロークさせることができる。そのため、このストロークの途中で作動油の流量を変化させるなどの複雑な油圧制御を行うことなく、締結ショックを抑制できる。
また、摩擦締結装置200は、第1ピストン部材211を解放方向に付勢する第1付勢手段218と、第1付勢手段218よりも大きな付勢力で第2ピストン部材212を解放方向に付勢する第2付勢手段228とを更に備えている。
そのため、締結用ピストン210の締結ストロークの際、第1ピストン部材211に比べて第2ピストン部材212が遅れてストロークすることで、第2ピストン部材212の弁部226から第1ピストン部材211の連通孔216が開放されていることにより、第1及び第2ピストン部材211,212の締結ストロークに伴って容積が減少する対向油圧室204から連通孔216を経由して締結油圧室202に作動油が供給され、これにより、上記の特許文献1の構成と同様、第1及び第2ピストン部材211,212の締結ストローク完了に要する時間が短縮される。
第1及び第2ピストン部材211,212のストロークが完了した状態では、連通孔216が弁部226によって塞がれることで、締結油圧室202から連通孔216を経由した対向油圧室204への作動油の流れが遮断されるため、高い締結油圧が保持される。この締結状態から締結用ピストン210が解放方向にストロークする際、第1ピストン部材211に比べて第2ピストン部材212が速くストロークすることで、弁部226から連通孔216が開放され、これにより、第1及び第2ピストン部材211,212の解放ストロークに伴って容積が減少する締結油圧室202から連通孔216を経由して対向油圧室204に作動油が排出される。そのため、第1及び第2ピストン部材211,212の解放ストローク完了に要する時間も短縮され、この点で、上記の特許文献1の構成では得られない効果が得られる。
しかしながら、図5に示す摩擦締結装置200では、締結時及び解放時に、締結油圧室202と対向油圧室204との間で、第1ピストン部材211と第2ピストン部材212を個別にストロークさせる必要がある。そのため、締結油圧室202及び遠心バランス室204の油密性を確保するために、第1ピストン部材211と周辺部品との間をシールするシール部材231,232、及び、第2ピストン部材212と周辺部品との間をシールするシール部材233,234,235に加えて、第1及び第2ピストン部材211,212間をシールするシール部材236,237が必要になる。したがって、第1及び第2ピストン部材211,212間で生じる摺動抵抗によって、各ピストン部材211,212のストローク時の応答性に影響し得る課題が新たに生じる。
そこで、本発明は、締結油圧室と対向油圧室を備えた自動変速機の摩擦締結装置において、複雑な油圧制御を行うことなく締結ショックの抑制を果たしつつ、締結油圧室と対向油圧室との間を適宜連通させることで締結および解放に要する時間の短縮を図るとともに、締結用ピストンの摺動抵抗を抑制することで締結時及び解放時の応答性を更に向上させることを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る自動変速機の摩擦締結装置は、次のように構成したことを特徴とする。
本願の請求項1に記載の発明に係る自動変速機の摩擦締結装置は、
第1受圧面部、及び、該第1受圧面部に比べて受圧面積が小さい第2受圧面部を有する締結用ピストンと、
前記締結用ピストンの第2受圧面部側に配置され、前記締結用ピストンによって押圧されることで締結される複数の摩擦板と、
前記締結用ピストンの第1受圧面部に面して設けられた締結油圧室と、
前記締結用ピストンの第2受圧面部に面して設けられた対向油圧室と、
前記締結油圧室と前記対向油圧室とを連通させるように前記締結用ピストンに設けられた連通孔と、
前記締結用ピストンの第1受圧面部に設けられた凹部と、
前記凹部に摺動可能に支持されるように前記締結油圧室に配置され、前記連通孔を前記締結油圧室側から開閉する開閉用ピストンと、
前記連通孔を開放させる方向に前記開閉用ピストンを付勢する連通用付勢手段と、を備えていることを特徴とする。
本願の請求項2に記載の発明に係る自動変速機の摩擦締結装置は、前記請求項1に記載の発明において、
前記複数の摩擦板を解放させる方向に前記締結用ピストンを付勢する解放用付勢手段を更に備え、
前記連通用付勢手段の付勢力は、前記解放用付勢手段の付勢力よりも小さいことを特徴とする。
本願の請求項3に記載の発明に係る自動変速機の摩擦締結装置は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、
前記凹部内に、大気に連通した大気連通室が設けられ、
前記締結油圧室と前記大気連通室との間を油密状態に遮断するシール部材が、前記凹部と前記開閉用ピストンとの間に介在されていることを特徴とする。
本願の請求項4に記載の発明に係る自動変速機の摩擦締結装置は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、
前記締結油圧室に接続された第1油路と、前記対向油圧室に接続された第2油路とは、共通の油圧制御弁の出力部に接続されていることを特徴とする。
本願の請求項5に記載の発明に係る自動変速機の摩擦締結装置は、前記請求項4に記載の発明において、
前記第2油路上に、前記対向油圧室の油圧を所定圧以下に調整する調圧弁が設けられていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、締結用ピストンの第1受圧面部は第2受圧面部よりも受圧面積が大きいため、締結油圧室と対向油圧室に同等の油圧が供給された状態で、締結用ピストンを締結方向にストロークさせることができる。そのため、このストロークの途中で作動油の流量を変化させるなどの複雑な油圧制御を行うことなく、締結ショックを抑制できる。
また、締結用ピストンが締結方向にストロークするとき、締結用ピストンに支持された開閉用ピストンは、締結用ピストンと共に締結方向にストロークする。このとき、開閉用ピストンは、締結用ピストンの連通孔を開放させる方向に付勢されていることにより、連通孔を開放状態とすることができる。これにより、対向油圧室から連通孔を経由した締結油圧室への作動油の流れが促進されることで、対向油圧室側から締結用ピストンの第2受圧面部に作用する抵抗が軽減されるとともに、締結油圧室への油圧供給が促進される。そのため、締結用ピストンの締結ストローク完了に要する時間が短縮されて、締結応答性が向上する。
さらに、締結用ピストンの締結ストローク完了後の締結状態では、締結油圧室の油圧を受けた開閉用ピストンが連通用付勢手段の付勢力に抗して連通孔を閉じることにより、締結油圧室から連通孔を経由した対向油圧室への作動油の流れが遮断されるため、締結油圧室の高油圧状態が維持された締結状態を実現できる。
また、締結状態において締結油圧室から作動油が排出されることで、締結用ピストンとこれに支持された開閉用ピストンが解放方向にストロークするとき、連通用付勢手段の付勢力を受けた開閉用ピストンが連通孔を開放することにより、締結油圧室から連通孔を経由した対向油圧室への作動油の流れが促進される。そのため、締結油圧室側から締結用ピストンの第1受圧面部に作用する抵抗が軽減されるとともに、締結油圧室から連通孔及び対向油圧室を経由した作動油の排出が可能になるため、締結用ピストンの解放ストローク完了に要する時間が短縮されて、解放応答性が向上する。
そして、締結時及び解放時のいずれにおいても、締結用ピストンの凹部に支持された開閉用ピストンは、締結用ピストンと共にストロークするため、締結用ピストンの凹部と開閉用ピストンとの間にシール部材が設けられる場合であっても、これによって締結用ピストンの摺動抵抗が増大することはない。したがって、締結用ピストンの摺動抵抗が抑制されることで、摩擦締結装置の締結時及び解放時の応答性が更に向上する。
請求項2に記載の発明によれば、摩擦締結装置の解放時において、解放用付勢手段の付勢力を利用して、締結用ピストンを解放方向にスムーズにストロークさせることができる。また、摩擦締結装置の締結時において連通孔を閉じるとき、解放用付勢手段による連通孔を開放させる方向の付勢力が比較的小さいことにより、この付勢力に抗した開閉用ピストンの摺動をスムーズ且つ確実に果たすことができ、これにより、開閉用ピストンによって連通孔を閉じるときの応答性を向上させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、締結油圧室と大気連通室との間の圧力差を利用して、開閉用ピストンを確実に作動させて連通孔を閉じることができる。
請求項4に記載の発明によれば、共通の油圧制御弁から締結油圧室と対向油圧室に作動油が供給されるように油圧制御回路が構成されることで、油圧制御の簡素化を図ることができる。
請求項5に記載の発明を請求項4に記載の発明に適用すれば、油圧制御の簡素化を図りつつ、摩擦締結装置の締結状態において、対向油圧室よりも締結油圧室の油圧が高い状態を形成することができ、これにより、所要の締結力を得ることができる。
本発明の実施形態に係る自動変速機の摩擦締結装置を概略的に示す断面図である。 同摩擦締結装置の状態の経時的変化を示すタイムチャートである。 同摩擦締結装置が解放状態から締結状態に変化する動作を説明するための図である。 同摩擦締結装置が締結状態から解放状態に変化する動作を説明するための図である。 先の特許出願に係る自動変速機の摩擦締結装置を概略的に示す断面図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る自動変速機の摩擦締結装置としてのクラッチ10の主要部を周方向から見た概略的な断面図である。該クラッチ10を有する自動変速機は、同一軸心上に複数のプラネタリギヤ機構と前記クラッチ10を含む複数の摩擦締結装置とを有する有段式の変速機構を備え、該変速機構は、前記複数の摩擦締結装置を選択的に締結することにより、各プラネタリギヤ機構を経由する動力伝達経路を切り換えて、車両の運転状態に応じた所定の変速段を形成するように構成されている。
図1に示すように、クラッチ10は、内側回転要素としてのクラッチハブ11に係合された内側摩擦板21と、外側回転要素としてのクラッチドラム12に係合された外側摩擦板22と、これらの摩擦板21,22を押圧して締結させる締結用ピストン30とを備えている。
クラッチハブ11は、変速機構を構成するいずれか1つのプラネタリギヤ機構の回転要素に、該回転要素と共に回転するように連結されており、クラッチドラム12は、変速機構を構成する別のプラネタリギヤ機構の回転要素に、該回転要素と共に連結されている。
クラッチドラム12は、軸方向に延びる内側筒状部13、内側筒状部13の軸方向一方側の端部から径方向外側に延びる第1縦壁部14、第1縦壁部14の径方向外側端部から軸方向他方側に延びる第1外側筒状部15、第1外側筒状部15の軸方向他方側の端部から径方向外側に延びる第2縦壁部16、及び、第2縦壁部16の径方向外側端部から軸方向他方側に延びる第2外側筒状部17を備えている。
内側摩擦板21は、クラッチハブ11の外周に係合されており、外側摩擦板22は、クラッチドラム12の第2外側筒状部17の内周に係合されている。内側摩擦板21と外側摩擦板22は、軸方向に交互に配置されている。内側摩擦板21と外側摩擦板22は、これらの摩擦板21,22よりも軸方向一方側に配置された締結用ピストン30と、摩擦板21,22よりも軸方向他方側においてクラッチドラム12に固定されたリテーナ23との間に挟み込まれて相対回転不能となることで締結される。
締結用ピストン30は、クラッチドラム12の内側筒状部13、第1縦壁部14、第1外側筒状部15、第2縦壁部16及び第2外側筒状部17で形成されたシリンダ内に、軸方向に移動可能に嵌合されており、該シリンダ内における締結用ピストン30の背部に、締結油圧室51が形成されている。
締結用ピストン30は、クラッチドラム12の内側筒状部13の外周面に沿って配置される内側筒状部31、内側筒状部31から径方向外側に延びる縦壁部32、及び、縦壁部32の径方向外側端部から摩擦板21,22に向かって軸方向に延びる外側筒状部33を備えている。
締結用ピストン30の外側筒状部33における軸方向摩擦板21,22側の端部は、摩擦板21,22を押圧する押圧部33aとされている。締結用ピストン30の縦壁部32は、全周に亘って周方向に連続して設けられた環状部である。縦壁部32の軸方向摩擦板21,22側には、クラッチドラム12の内側筒状部13の外周面に取り付けられた環状部材24が対向配置されている。
締結用ピストン30の縦壁部32と環状部材24との間には、軸方向に伸縮可能なリターンスプリング39が介装されている。リターンスプリング39は、収縮された状態において、締結用ピストン30を軸方向の反摩擦板21,22側に付勢する。これにより、リターンスプリング39は、摩擦板21,22を解放させる方向に締結用ピストン30を付勢する解放用付勢手段として機能する。
締結用ピストン30の摩擦板21,22側には、締結用ピストン30の内側筒状部31、縦壁部32及び外側筒状部33、並びに、環状部材24によって囲まれた遠心バランス室52が形成されている。遠心バランス室52は、締結用ピストン30を挟んで締結油圧室51に対向する対向油圧室である。
締結用ピストン30の縦壁部32には、軸方向の反摩擦板21,22側に突出した突出部32aが設けられている。突出部32aは、縦壁部32の全周に亘って環状に設けられている。締結用ピストン30における突出部32aと内側筒状部31との間には、締結油圧室51側に開放した凹部34が形成されている。凹部34は、全周に亘って周方向に連続する周溝である。
締結用ピストン30の縦壁部32には、締結油圧室51と遠心バランス室52とを連通させる連通孔36が設けられている。連通孔36は、突出部32aが形成された部分において縦壁部32を軸方向に貫通している。連通孔36は、周方向の複数箇所に設けられている。
締結用ピストン30の突出部32aには、上記の凹部34の内部空間と締結用ピストン30の径方向外側の空間と連通させる連通部46が設けられている。連通部46は、突出部32aを径方向に貫通する貫通穴で構成されている。連通部46は、周方向において連通孔36とは異なる1箇所又は複数箇所に設けられている。締結用ピストン30の径方向外側の空間は大気に連通していることから、凹部34内には、連通部46を介して大気に連通した大気連通室53が形成されている。
締結油圧室51には、締結用ピストン30の連通孔36を締結油圧室51側から開閉する開閉用ピストン40が配置されている。開閉用ピストン40は、軸方向に延びる筒状部41と、筒状部41から径方向外側に延びる弁部42とを備えている。
開閉用ピストン40の筒状部41は、締結用ピストン30の凹部34に、軸方向に摺動可能に支持されている。締結用ピストン30の内側筒状部31の外周面と開閉用ピストン40の筒状部41の内周面との間、及び、開閉用ピストン40の筒状部41の外周面と締結用ピストン30の突出部32aの内周面との間には、それぞれシール部材66,67が介装されている。
このようにして、締結用ピストン30の凹部34の内面と開閉用ピストン40の筒状部41との間に介在するシール部材66,67によって、凹部34内の大気連通室53と締結油圧室51との間が油密状態に遮断されている。
開閉用ピストン40の弁部42は、締結用ピストン30の突出部32aの軸方向反摩擦板21,22側に対向配置されている。弁部42の径方向外側端部は、締結用ピストン30の連通孔36よりも径方向の外側に位置しており、これにより、連通孔36を締結油圧室51側から閉塞可能となっている。弁部42は、全周に亘って連続してフランジ状に設けられている。ただし、弁部42は、締結用ピストン30の連通孔36に対応する周方向位置のみにおいて、連通孔36を閉塞可能なように設けられてもよい。
開閉用ピストン40の弁部42と締結用ピストン30の突出部32aとの間には、軸方向に伸縮可能なリターンスプリング44が介装されている。リターンスプリング44は、収縮された状態において、開閉用ピストン40を軸方向の反摩擦板21,22側に付勢する。これにより、リターンスプリング44は、連通孔36を開放させる方向に開閉用ピストン40を付勢する連通用付勢手段として機能する。該連通用のリターンスプリング44は、上述した解放用のリターンスプリング39よりも付勢力が小さくなるように構成されている。
締結用ピストン30の内側筒状部31の外周面には、開閉用ピストン40よりも軸方向反摩擦板21,22側に位置するスナップリング43が装着されている。これにより、開閉用ピストン40は、連通孔36を開放した状態において、スナップリング43によって反摩擦板21,22側から軸方向に位置決めされる。
締結油圧室51及び遠心バランス室52の油密性を確保するために、クラッチドラム12の内側筒状部13の外周面と締結用ピストン30の内側筒状部31の内周面との間、締結用ピストン30の突出部32aの外周面とクラッチドラム12の第1外側筒状部15の内周面との間、締結用ピストン30の内側筒状部31の外周面と環状部材24との間、及び、締結用ピストン30の外側筒状部33の内周面と環状部材24との間には、それぞれシール部材62,63が介装されている。
締結油圧室51における作動油の給排は、クラッチドラム12の第1縦壁部14に設けられた油穴19を通じて行われる。該油穴19は、開閉用ピストン40の弁部42の軸方向反摩擦板21,22側に対向配置されている。
遠心バランス室52における作動油の給排は、クラッチドラム12の内側筒状部13に設けられた油穴18、及び、締結用ピストン30の内側筒状部31に設けられた油穴35を通じて行われる。これらの油穴18,35は、軸方向において上記の2つのシール部材61,62の間に配置されている。
締結用ピストン30における締結油圧室51に面する第1受圧面部37は、径方向における内側筒状部31の内側端部から突出部32aの外側端部に亘る領域で構成されている。締結用ピストン30における遠心バランス室52に面する第2受圧面部38は、径方向における内側筒状部31の外側端部から外側筒状部33の内側端部に亘る領域で構成されている。第1受圧面部37は、第2受圧面部38に比べて径方向に広い領域を有する。これにより、第1受圧面部37の受圧面積は、第2受圧面部38の受圧面積よりも大きい。
続いて、上記のクラッチ10の締結油圧室51及び遠心バランス室52に油圧を供給する油圧回路70の構成について説明する。
油圧回路70は、油圧源としてのオイルポンプ71、締結油圧室51の油圧を制御する油圧制御弁72、及び、遠心バランス室52の油圧を所定圧以下に調整する調圧弁80を備えている。
オイルポンプ71は、例えば、エンジンに駆動されて油圧を生成する機械式のものであるが、モータによって駆動されて油圧を生成する電動ポンプであってもよい。また、電動ポンプと機械式のオイルポンプ71との間で油圧源を切り換え可能なように油圧回路70が構成されてもよい。
油圧制御弁72は、開閉だけでなく出力圧を制御可能な電磁弁である。油圧制御弁72には、オイルポンプ71で生成された油圧が所定の回路部分(図示せず)を経由して入力される。油圧制御弁72の出力部は、第1油路としての締結ライン92を介して締結油圧室51に接続されている。
調圧弁80は、油圧制御弁72の出力圧を所定圧に減圧して遠心バランス室52に出力する機能を有する。調圧弁80は、入力ポート84、出力ポート85、制御ポート86及びドレンポート87を備えている。入力ポート84には、締結ライン92から分岐した入力ライン93が接続され、出力ポート85には、第2油路としての供給ライン94が接続され、制御ポート86には、供給ライン94から分岐したフィードバックライン95が接続され、ドレンポート87には、オイルパンへオイルを導くドレンライン96が接続されている。
調圧弁80の入力ポート84に入力された油圧は、出力ポート85から一旦出力されて、制御ポート86に再入力され得る。制御ポート86に入力される油圧が所定圧未満であるときは入力ポート84が開き且つドレンポート87が閉じられるようにスプール82が図中の比較的右側に位置し、制御ポート86に所定圧以上の油圧が入力されるときは入力ポート84が閉じられ且つドレンポート87が開くようにスプール82が図中の比較的左側に位置するように構成されている。
このような調圧弁80の構成により、油圧制御弁72の出力圧が所定圧未満であるときは、調圧弁80の入力ポート84及び制御ポート86に入力される油圧が所定圧未満に維持されることにより、入力ポート84が出力ポート85に連通した状態が維持され、これにより、遠心バランス室52には、油圧制御弁72の出力圧がそのまま供給される。
一方、油圧制御弁72の出力圧が所定圧以上に上昇すると、制御ポート86に所定圧以上の油圧が入力されることにより、スプール82が図中左側に移動することで入力ポート84と出力ポート85との間が遮断される。これによって、入力ポート84及び出力ポート85を経由した制御ポート86への油圧の供給が遮断されることで、制御ポート86の入力圧が低下する。制御ポート86の入力圧が所定圧よりも僅かに低くなると、スプール82が図中右側に移動することで入力ポート84が出力ポート85に連通する。これにより、再び、所定圧以上の油圧が入力ポート84及び制御ポート86に入力されることにより、スプール82が図中左側に移動して入力ポート84を閉じる。
このようなスプール82の動作が繰り返されている間、常に所定圧に略等しい油圧が出力ポート85から出力されることになる。よって、油圧制御弁72の出力圧が所定圧以上であるときは、常に所定圧の油圧が遠心バランス室52に供給される。
図2及び図3を参照しながら、クラッチ10の締結動作の一例について説明する。
図2の時刻t0において、クラッチ10は、図1に示す解放状態となっている。このとき、油圧制御弁72からの出力は停止されており、締結油圧室51及び遠心バランス室52のいずれにも油圧は供給されていない。また、このとき、調圧弁80のスプール82のストローク位置は、入力ポート84を開き且つドレンポート87を閉じる位置とされ、開閉用ピストン40のストローク位置は締結用ピストン30の連通孔36を開放する位置とされている。
図2の時刻t1において、油圧制御弁72からの出力が開始されると、締結油圧室51及び遠心バランス室52に油圧が供給される(図2(a)の符号P,Q参照)。図2の時刻t2において、締結油圧室51及び遠心バランス室52の油圧がある程度上昇すると、図2(e)の符号Rに示すように、締結用ピストン30は、締結方向へのストロークを開始する。
このとき、締結油圧室51と遠心バランス室52にはほぼ同じ油圧が供給されているが、締結用ピストン30の第1受圧面部37の受圧面積が第2受圧面部38の受圧面積よりも大きいことにより(図1参照)、締結用ピストン30を締結方向(軸方向の摩擦板21,22側)にストロークさせることができる。また、このとき、図2(e)の符号Sに示すように、開閉用ピストン40は、これを支持する締結用ピストン30と共に締結方向にストロークする。
このように締結用ピストン30が締結方向にストロークしているとき、開閉用ピストン40は、連通用のリターンスプリング44によって締結用ピストン30の連通孔36を開放させる方向に付勢されていることにより、連通孔36は開放状態となっている。これにより、図3(a)に示すように、遠心バランス室52から連通孔36を経由した締結油圧室51への作動油の流れが促進されることで、遠心バランス室52側から締結用ピストン30の第2受圧面部38に作用する抵抗が軽減されるとともに、締結油圧室51への油圧供給が促進される。そのため、締結用ピストン30を締結方向へスムーズ且つ迅速にストロークさせることができる。
図2の時刻t3には、締結用ピストン30の締結方向のストロークが概ね完了し、クラッチクリアランスが微小量に詰められた締結準備状態(小クリアランス状態)となる。なお、ここでいう「クラッチクリアランス」とは、クラッチ10の非締結状態において、締結用ピストン30と摩擦板21,22との隙間、摩擦板21,22間の各隙間、及び、摩擦板21,22とリテーナ23との隙間の軸方向寸法を合計した寸法を意味する。
締結準備状態において、締結油圧室51の油圧が更に上昇すると、該油圧を受けた開閉用ピストン40は、連通用のリターンスプリング44の付勢力に抗して、軸方向の摩擦板21,22側に向かって締結用ピストン30に対して相対移動する。これにより、図2の時刻t4に、図3(b)に示すように、開閉用ピストン40によって締結用ピストン30の連通孔36が閉じられて、締結油圧室51と遠心バランス室52との間が締結用ピストン30及び開閉用ピストン40によって遮断される。
このとき、締結油圧室51と大気連通室53(図1参照)との間の圧力を利用して、開閉用ピストン40を確実に作動させて連通孔36を閉じることができる。また、連通用のリターンスプリング44の付勢力は、解放用のリターンスプリング39の付勢力よりも小さいため、連通孔36の閉塞動作時において、リターンスプリング44の付勢力に抗した開閉用ピストン40の摺動をスムーズ且つ確実に果たすことができ、これにより、開閉用ピストン40によって連通孔36を閉じるときの応答性を向上させることができる。
その後、時刻t5から時刻t6にかけて、締結油圧室51及び遠心バランス室52に供給される油圧は一定圧に保持され、これにより、クラッチ10が締結準備状態に保持される。
調圧弁80のスプール82は、入力ポート84に入力される油圧の上昇に応じて、次第に図の左側に移動するが、クラッチ10の締結準備状態では、調圧弁80のドレンポート87は閉じられた状態となっている(図3(b)参照)。
その後、図2の時刻t6に、締結油圧室51及び遠心バランス室52に供給される油圧が再び上昇されると、調圧弁80の入力ポート84に入力される油圧も上昇することになる。この入力圧の上昇によって、図2の時刻t7において、調圧弁80は、上述したようにドレンポート87を適宜開放して、遠心バランス室52に供給される油圧を一定圧に保持させる動作を行う(図3(c)参照)。これにより、図2の時刻t7から時刻t9にかけて、図2(a)の符号Qに示す遠心バランス室52の油圧は一定圧に保持される。
この間、締結油圧室51の油圧は上昇を続け、これに応じて、締結用ピストン30による摩擦板21,22の締結力が上昇し、図2の時刻t8において、クラッチ10は、完全に締結された状態となる。このとき、締結油圧室51と遠心バランス室52には略同じ油圧が供給されているため、締結油圧室51に供給される作動油の流量を締結完了直前に低下させるなどの複雑な油圧制御を行うことなく、締結ショックを抑制できる。
クラッチ10の締結状態において、上記のように開閉用ピストン40によって連通孔36が閉じられていることにより、締結油圧室51から連通孔36を経由した遠心バランス室52への作動油の流れが遮断されるため、締結油圧室51の高油圧状態を確実に保持できる。
続いて、図2及び図4を参照しながら、クラッチ10の解放動作の一例について説明する。
図2の時刻t9において、油圧制御弁72からの出力が停止されると、締結油圧室51及び遠心バランス室52の油圧が低下し、図4(a)に示すように、締結油圧室51及び遠心バランス室52から作動油が排出される。この間、遠心バランス室52の油圧は、締結油圧室51の油圧よりも低い状態となっている。
図2(e)の符号Rに示すように、締結油圧室51及び遠心バランス室52の油圧低下に応じて、解放用のリターンスプリング39の付勢力を受けている締結用ピストン30は、解放方向へストロークする。このとき、締結用ピストン30に支持された開閉用ピストン40も、締結用ピストン30と共に解放方向にストロークする。
図2の時刻t10において、クラッチ10が完全に解放されると、締結油圧室51から排出された作動油の一部が遠心バランス室52に流入し(図4(a)参照)、これにより、時刻t11において、締結油圧室51と遠心バランス室52の油圧はほぼ等しくなる。このとき、解放用のリターンスプリング44の付勢力を受けている開閉用ピストン40は、締結用ピストン30に対して軸方向反摩擦板21,22側に相対移動し、これにより、締結用ピストン30の連通孔36が開放される。
この結果、図4(b)に示すように、締結油圧室51から連通孔36を経由した遠心バランス室52への作動油の流れが促進される。そのため、締結油圧室51側から締結用ピストン30の第1受圧面部37(図1参照)に作用する抵抗が軽減されるとともに、締結油圧室51から連通孔36及び遠心バランス室52を経由した作動油の排出が可能になるため、締結用ピストン30の解放ストローク完了に要する時間が短縮される。
上記のように、本実施形態によれば、連通孔36を適宜開放させることで、クラッチ10の締結時及び解放時の応答性を向上させることができる。
そして、締結時及び解放時のいずれにおいても、開閉用ピストン40は、締結用ピストン30に支持されてこれと共にストロークするため、開閉用ピストン40と締結用ピストン30との間に設けられたシール部材66,67(図1参照)が締結用ピストン30の摺動の抵抗になることはない。そのため、開閉用ピストン40が設けられることによって締結用ピストン30の摺動抵抗が増大することを回避できる。したがって、締結用ピストン30の摺動抵抗が抑制されることで、クラッチ10の締結時及び解放時の応答性が更に向上する。
また、本実施形態によれば、締結油圧室51に接続された締結ライン92と、遠心バランス室52に接続された供給ライン94とが、共通の油圧制御弁72の出力部に接続されていることから、クラッチ10の締結動作及び開放動作に関する油圧制御の簡素化を図ることができる。
さらに、このような油圧制御の簡素化を図りつつ、クラッチ10の締結状態では、上述した調圧弁80の機能により、遠心バランス室52よりも締結油圧室51の油圧が高い状態を形成することができ、これにより、所要の締結力を得ることができる。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、自動変速機のクラッチの構成を説明したが、本発明は、締結油圧室と解放油圧室などの対向油圧室を備えた自動変速機のブレーキにも適用可能である。また、本発明は、有段式の自動変速機の摩擦締結装置に限らず、無段変速機(CVT)やデュアルクラッチトランスミッション(DCT)などの種々の自動変速機の摩擦締結装置に適用可能である。
以上のように、本発明によれば、締結油圧室と対向油圧室を備えた自動変速機の摩擦締結装置において、複雑な油圧制御を行うことなく締結ショックの抑制を果たしつつ、締結油圧室と対向油圧室との間を適宜連通させることで締結および解放に要する時間の短縮を図るとともに、締結用ピストンの摺動抵抗を抑制することで締結時及び解放時の応答性を更に向上させることが可能となるから、この種の自動変速機、及びこれを搭載した自動車の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
10 クラッチ
11 クラッチハブ
12 クラッチドラム
21,22 摩擦板
30 締結用ピストン
34 凹部
36 連通孔
37 第1受圧面部
38 第2受圧面部
39 解放用のリターンスプリング(解放用付勢手段)
40 開閉用ピストン
44 連通用リターンスプリング(連通用付勢手段)
51 締結油圧室
52 遠心バランス室(対向油圧室)
53 大気連通室
66,67 シール部材
72 油圧制御弁
80 調圧弁
92 締結ライン(第1油路)
94 供給ライン(第2油路)

Claims (5)

  1. 第1受圧面部、及び、該第1受圧面部に比べて受圧面積が小さい第2受圧面部を有する締結用ピストンと、
    前記締結用ピストンの第2受圧面部側に配置され、前記締結用ピストンによって押圧されることで締結される複数の摩擦板と、
    前記締結用ピストンの第1受圧面部に面して設けられた締結油圧室と、
    前記締結用ピストンの第2受圧面部に面して設けられた対向油圧室と、
    前記締結油圧室と前記対向油圧室とを連通させるように前記締結用ピストンに設けられた連通孔と、
    前記締結用ピストンの第1受圧面部に設けられた凹部と、
    前記凹部に摺動可能に支持されるように前記締結油圧室に配置され、前記連通孔を前記締結油圧室側から開閉する開閉用ピストンと、
    前記連通孔を開放させる方向に前記開閉用ピストンを付勢する連通用付勢手段と、を備えていることを特徴とする自動変速機の摩擦締結装置。
  2. 前記複数の摩擦板を解放させる方向に前記締結用ピストンを付勢する解放用付勢手段を更に備え、
    前記連通用付勢手段の付勢力は、前記解放用付勢手段の付勢力よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の摩擦締結装置。
  3. 前記凹部内に、大気に連通した大気連通室が設けられ、
    前記締結油圧室と前記大気連通室との間を油密状態に遮断するシール部材が、前記凹部と前記開閉用ピストンとの間に介在されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動変速機の摩擦締結装置。
  4. 前記締結油圧室に接続された第1油路と、前記対向油圧室に接続された第2油路とは、共通の油圧制御弁の出力部に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の自動変速機の摩擦締結装置。
  5. 前記第2油路上に、前記対向油圧室の油圧を所定圧以下に調整する調圧弁が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の自動変速機の摩擦締結装置。
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