JP2014101907A - チェックバルブ機構におけるスプリングの支持構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ピストン40を軸方向に貫通する貫通孔44を開閉するボールBが、板ばね50から作用する付勢力F1で、貫通孔44を閉止する方向に付勢されたチェックバルブ機構における板ばね50の支持構造であって、板ばね50をピストン40に固定する固定部材60を、板ばね50の長手方向における基端50a側をピストン40との間で把持するヘッド部62と、ヘッド部62から軸方向に延びると共に、板ばね50を軸方向に貫通した先端側がピストン40にかしめ止めされる軸部61とから構成し、軸方向から見て、ヘッド部62における板ばねの先端50b側に位置する側縁部621を、長手方向に直交する直線Lm1方向に沿って直線状に形成すると共に、軸部61における板ばね50の最も先端50b側に位置する側縁S2と一致させた。
【選択図】図3
Description
特許文献1には、車両用自動変速機の摩擦締結要素101を軸方向に押圧するピストン102に、チェックバルブ機構100を設けたものが開示されている。
そのため、遠心力F2が大きくなって、ボールBに作用する押圧力F3がスプリング105の付勢力F1よりも大きくなると、ボールBが、拡径部104aの内周面を摺動しながら貫通孔103から離れる方向(図中右方向)に移動して、ピストン102の摩擦締結要素101側と油室107側とが貫通孔103を介して連通するようになっている(図5の(c)参照)
この状態において、スプリング105の基端105a側は、ピストン102の油室107側の面102aとリベット106の円形のヘッド部106aとの間で把持されており、自由端となる先端105b側は、油室107側からボールBに当接して、ボールBに付勢力F1(荷重)を作用させている。
例えば、図5の(d)に示すように、ヘッド部106aが軸部106bに対して傾いて、ヘッド部106aにおけるスプリング105との当接点S2側(図中上側)が、ピストン102から離れる方向に変位すると、スプリング105の基端105a側の支持点の位置が、ピストン102との当接点S2’になって、作用点(当接点S1)から支持点(当接点S2’)までの長さL’が長くなってしまう。
そのため、従来のチェックバルブ機構100では、スプリング105の支持点の位置が、予め設定された位置から外れてしまうと、ピストン102の摩擦締結要素101側から油室107側への潤滑油の排出が、予定されていたタイミングで行えなくなってしまう。
前記スプリングは、長手方向における基端側が固定部材で前記ピストンに固定されて、前記軸方向に変位可能とされた先端側を、前記軸方向から前記ボールに当接させて設けられており、
前記固定部材は、
前記軸方向から見て、前記スプリングの幅方向の全長に亘って当接する当接部と、
前記当接部から前記軸方向に延びると共に、前記スプリングを前記軸方向に貫通した先端側が、前記ピストンにかしめ止めされる軸部と、を有しており、
前記軸方向から見て、前記当接部における前記スプリングの前記先端側に位置する側縁を、前記長手方向に直交する方向に沿って直線状に形成すると共に、前記軸部における前記スプリングの前記先端側に位置する側縁と一致させた構成とした。
これにより、当接部におけるスプリングの先端側に位置する側縁とスプリングとの当接点が、そのままスプリングの基端側の支持点となり、スプリングの基端側の支持点の位置が変位して、スプリングの先端側のボールとの当接点(作用点)から、スプリングの基端側の支持点までの距離が変位することがない。よって、スプリングの基端側を固定部材で固定するに当たり、スプリングの基端側の支持点の位置を、正確に位置決めできる。
図1は、実施の形態にかかるチェックバルブ機構を説明する図であり、(a)は、変速機ケース内におけるチェックバルブ機構まわりの構成を説明する図であり、(b)は、チェックバルブ機構の部分の拡大図である。
スプライン12の内径側では、クラッチドラム10に対して相対回転可能に設けられた回転体20の筒状部21が、周壁部11に対向して設けられている。
筒状部21における、周壁部11のスプライン12に対向する部分には、軸方向に延びるスプライン22が設けられており、このスプライン22もまた、軸線X周りの周方向に所定間隔で複数設けられている。
筒状部42の径方向外側には、ピストン40を摩擦締結要素30から離れる方向(図中右方向)に付勢するスプリングSpの収容部43が設けられている。収容部43は、軸線X周りの周方向に所定間隔で複数設けられており、軸方向から見てこれら収容部43は、コイル状に巻かれたスプリングSpの外径に整合する円形を成している(図2の(a)参照)。
スプリングSpは、軸線X周りの周方向で、間隔を空けて複数設けられており、各スプリングSpの一端側は、それぞれ対応する収容部43内に挿入されて、スプリングSpの長手方向の一端側が位置決めされている。
スプリングリテーナ35の内周縁35aは、軸線Xの軸方向におけるピストン40とは反対側の面が、内筒部16の外周の溝17に嵌め込んだスナップリング36に係止されており、スプリングリテーナ35は、スナップリング36により軸方向が位置決めされている。
この貫通孔44は、軸線X周りの周方向で一箇所に設けられており、前記したスプリングSpの収容部43の中心とピストン40の回転中心軸(軸線X)を通る直線Ln上に、貫通孔44の中心が位置している。
また、大径部46の内径D2は、ボールBの外径Dよりも大径に形成されており、ボールBの径方向の移動を可能とするための隙間が、ボールBの外周との間に確保されている。
そのため、ボールBに作用する遠心力F2が大きくなると、ボールBに作用する押圧力F3が強くなって、ボールBが、板ばね50の付勢力F1に抗して、拡径部45を摺動しながら貫通孔44から離れる方向(図中右方向)に移動する。これにより、ピストン40の摩擦締結要素30側と油室15とが貫通孔44を介して連通して、ピストン40の摩擦締結要素30側から油室15側への潤滑油の排出が行われるようになっている。
軸方向から見て、この収容溝48は、ボール収容部47(大径部46)と整合する位置から、スプリングSpの収容部43の反対側の位置までの範囲に、前記した直線Lnに沿って直線状に形成されている。
この収容溝48は、長手方向の略全長に亘って、大径部46の内径D2と同じ幅Waを有しており、軸方向から見て、この収容溝48の内径側の端部48aと外径側の端部48bの形状は、収容溝48内に収容される板ばね50の基端50a側と先端50b側の外径に沿わせた円弧状となっている(図2の(b)、(d)参照)。
連通孔49は、軸線Xに平行な軸線X1に沿って、ピストン40を厚み方向に貫通して形成されており(図2の(c)参照)、この連通孔49には、板ばね50をピストン40の収容溝48内に固定する際に、後記する固定部材60の軸部61が収容溝48側から挿入されるようになっている。
ヘッド部62は、軸線X1方向から見て長方形形状(矩形形状)を有しており、軸部61は、ヘッド部62の長手方向(図3の(a)における左右方向)における中央部から、当該ヘッド部62に対して直交する方向(軸線X1方向)に延びている。
またヘッド部62において板ばね50の基端50a側に位置している側縁部622は、軸部61において最も板ばね50の基端50a側に位置している部分(図3の(a):符号Sx参照)から接線(直線Lm2)方向に延びている。
ここで、側縁部621、622は、これら側縁部621、622に直交する側縁部623、624が、板ばね50の幅方向において板ばね50の側縁502よりも外側に位置する長さWa(長手方向の幅)を有している。
そのため、固定部材60の軸部61の先端をかしめる際に、固定部材60に軸線X1周りのモーメントが作用しても、ヘッド部62(側縁部623、624)が収容溝48の内周に接触するので、ヘッド部62が軸線X1周りに回動しないようにされている。
そのため、板ばね50の基端50a側の支持点が、側縁部621に沿って位置することになる。
そうすると、板ばね50の先端50b側のボールBとの当接点S1(作用点)から、基端50a側の支持点(S2、S3、S4)までの距離(L2、L3、L4)が、板ばね50の幅方向で異なってしまい、板ばね50からボールBに作用する付勢力F1(図1参照)が、予め設定された付勢力と異なってしまう。
これにより、板ばね50のボールBとの当接点(作用点)から、側縁部621の板ばね50との当接点(支持点)までの距離が、板ばね50の幅方向で異ならないので、板ばね50からボールBに作用する付勢力F1(図1参照)が、予め設定された付勢力となるようになっている。
そのため、側縁部621と板ばね50との当接点の位置が、そのまま板ばね50の基端側の支持点となるので、板ばね50の基端50a側の支持点の位置が軸部61側に変位して、作用点から支持点までの距離が変位することがない。
よって、板ばね50の基端50a側の支持点の位置を、正確に位置決めできる。
板ばね50は、長手方向における基端50a側(一端側)が固定部材60でピストン40に固定されて、軸方向に変位可能とされた先端50b側(他端側)を、軸方向からボールBに当接させて設けられており、
固定部材60は、
板ばね50の幅方向の全長に亘って当接して、板ばね50の基端50a側をピストン40との間に把持するヘッド部62と、
ヘッド部62から軸方向に延びると共に、板ばね50の挿通孔501を軸方向に貫通した先端側をかしめてピストン40に固定される軸部61と、を有しており、
軸方向から見て、ヘッド部62における板ばね50の先端50b側に位置する側縁部621を、長手方向に直交する直線Lm1方向に沿って直線状に形成すると共に、軸部61における板ばね50の最も先端50b側に位置する側縁S2と一致させた構成とした。
そのため、側縁部621と板ばね50との当接点の位置が、そのまま板ばね50の基端側の支持点となるので、板ばね50の基端50a側の支持点の位置が軸部61側に変位して、作用点から支持点までの距離が変位することがない。
よって、板ばね50の基端50a側の支持点の位置を、正確に位置決めできる。
これにより、板ばね50からボールBに作用する付勢力F1が、予め設定された付勢力から大きくずれることがないので、ボールBによる貫通孔44の開閉精度を満足することでき、チェックバルブ機構の動作性能に、固定部材60をかしめ止めする際の影響が及ぶことがない。
また、かしめるときの荷重や、軸部61のつぶし量の精度を厳しく管理することなく、板ばね50(プリロードスプリング)の維持、管理が可能となる。
ヘッド部62は、板ばね50の幅Wsよりも大きく、かつ収容溝48の幅Wcよりも僅かに狭い幅Waを有しており、
ヘッド部62(側縁部621)の幅方向における両側には、板ばね50の長手方向に沿って板ばね50の先端50b側から離れる方向に延びる側縁部623、624が設けられている構成とした。
よって、板ばね50の先端50b側のボールBとの当接点(作用点S1)から、基端50a側の支持点(S2)までの距離Lを、板ばね50の幅方向で同じにできるので、板ばね50からボールBに作用する付勢力F1(図1参照)を、予め設定された付勢力にできる。これにより、ボールBが、予め設定された付勢力で貫通44孔を閉止する方向に付勢されるので、ピストン102の摩擦締結要素101側から油室107側への潤滑油の排出を、予定されていたタイミングで確実に行うことができる。
図4は、変形例にかかる固定部材60A、60B、60Cを説明する図である。
変形例にかかる固定部材60A、60B、60Cは、ヘッド部62A、62B、62Cの形状が、前記した固定部材60のヘッド部62の形状と異なっている。
よって、板ばね50の基端50a側のヘッド部62Aによる支持点の位置が軸線Xの軸方向に変化して、板ばね50からボールBに作用する付勢力F1が、予め予定されていた付勢力と異なる付勢力となることを、好適に防止できる。
このような切欠き625、626を有する固定部材60B、60Cの何れの場合においても、板ばね50の長手方向に延びる側縁部623、624を有することになるので、前記した固定部材60Aの場合と同様に、固定部材60B、60Cの軸線X1周りの回動をより確実に阻止できることになる。
11 周壁部
12 スプライン
13 底壁部
14 シリンダ
15 油室
16 内筒部
17 溝
20 回転体
21 筒状部
22 スプライン
30 摩擦締結要素
31 外側摩擦板
32 内側摩擦板
35 スプリングリテーナ
35a 内周縁
36 スナップリング
40 ピストン
41 押圧部
42 筒状部
43 収容部
44 貫通孔
45 拡径部
46 大径部
47 ボール収容部
48 収容溝
49 連通孔
49a 拡径部
50 スプリング
50a 基端
50b 先端
60、60A、60B 固定部材
61 軸部
62、62A、62B、62C ヘッド部
100 チェックバルブ機構
101 摩擦締結要素
102 ピストン
103 貫通孔
104 収容部
104a 拡径部
104b 大径部
105 スプリング
106 リベット
107 油室
621〜624 側縁部
B ボール
Sp スプリング
X 軸線
X1 軸線
Claims (4)
- 自動変速機の摩擦締結要素を軸方向に押圧するピストンに、当該ピストンを前記軸方向に貫通する貫通孔が設けられており、前記貫通孔を開閉するボールが、板状のスプリングから作用する付勢力で、前記貫通孔を閉止する方向に付勢されたチェックバルブ機構におけるスプリングの支持構造であって、
前記スプリングは、長手方向における基端側が固定部材で前記ピストンに固定されて、前記軸方向に変位可能とされた先端側を、前記軸方向から前記ボールに当接させて設けられており、
前記固定部材は、
前記軸方向から見て、前記スプリングの幅方向の全長に亘って当接する当接部と、
前記当接部から前記軸方向に延びると共に、前記スプリングを前記軸方向に貫通した先端側が、前記ピストンにかしめ止めされる軸部と、を有しており、
前記軸方向から見て、前記当接部における前記スプリングの前記先端側に位置する側縁を、前記長手方向に直交する方向に沿って直線状に形成すると共に、前記軸部における前記スプリングの前記先端側に位置する側縁と一致させたことを特徴とするチェックバルブ機構におけるスプリングの支持構造。 - 前記ピストンには、前記スプリングを収容する溝が、前記スプリングと共に前記当接部を収容可能な深さで形成されており、
前記当接部は、前記スプリングの幅よりも大きく、かつ前記溝の幅よりも僅かに狭い幅を有しており、
前記当接部の前記幅方向における両側には、前記長手方向に沿って前記スプリングの前記先端側から離れる方向に延びる側縁部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のチェックバルブ機構におけるスプリングの支持構造。 - 前記軸方向から見て、前記当接部は、前記長手方向の長さが前記軸部の直径よりも大きい矩形形状を成していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチェックバルブ機構におけるスプリングの支持構造。
- 前記軸方向から見て、前記当接部における前記スプリングの前記基端側に位置する側縁には、前記当接部の両側に前記側縁部を残す範囲に、切欠きが設けられていることを特徴とする請求項3に記載のチェックバルブ機構におけるスプリングの支持構造。
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