WO2017145916A1 - 自動変速機 - Google Patents

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忠志 齊藤
昌宏 鍜冶
学 笹原
智宏 久保
真也 鎌田
典生 岩下
香 佐古
友隆 石坂
龍彦 岩▲崎▼
恒士郎 佐治
龍利 溝部
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Abstract

自動変速機は、軸方向に移動可能なピストンと、前記ピストンの第1面側に配置された複数の摩擦板と、前記ピストンの第2面に油圧を与え、前記摩擦板同士が締結状態となるよう前記摩擦板を押圧する締結位置に前記ピストンを向かわせるための締結油圧室と、前記ピストンの前記第1面に油圧を与え、前記摩擦板同士を解放状態とする解放位置に前記ピストンを向かわせるための解放油圧室と、前記締結油圧室及び前記解放油圧室の各々に対し、油圧の供給及びその排出を行う油圧制御弁と、を含む。前記ピストンの前記第2面における前記油圧の受圧面積が、前記第1面における前記油圧の受圧面積よりも大きく設定されている。

Description

自動変速機
 本発明は、複数の摩擦板とピストンとを含む摩擦締結要素を備えた自動変速機に関する。
 自動車等の車両に搭載される自動変速機は、プラネタリギヤセットと、多板クラッチや多板ブレーキ等の複数の摩擦締結要素とを備える。エンジンの運転状態に応じて複数の摩擦締結要素が選択的に締結されることにより、所定の変速段に自動的に変速される。摩擦締結要素は、クリアランスを置いて配置された複数の摩擦板と、この摩擦板を押圧するピストンとを含む。ピストンは、摩擦板を押圧して摩擦板同士を締結状態とする締結位置と、前記押圧を解除して摩擦板同士を解放状態とする解放位置との間を移動する。
 特許文献1には、ピストンの軸方向の一方側に締結油圧室を、他方側に遠心油圧室(解放油圧室)を配置し、前記ピストンに前記締結油圧室と前記遠心油圧室とを連通させる連通孔を設けた自動変速機が開示されている。前記締結油圧室及び前記遠心油圧室には、それぞれ別個の油路から所定の油圧が供給される。前記遠心油圧室に対する油路には、調圧弁が組み込まれている。
 自動変速機においては、摩擦締結要素を解放状態から締結状態へ切り換える際の締結ショックを低減しつつ、締結制御時間を短くすることが求められる。締結制御時間の短縮と締結ショックの低減とを両立するには、締結制御時間短縮のためにプリチャージ油圧等で大流量の油を流しつつ、締結ショック低減のためにストローク完了直前に油の流量を抑える(油圧を下げる)必要がある。この場合、緻密な流量制御を行わねばならず、油圧制御が複雑化する傾向がある。このため、摩擦締結要素を締結状態とするための締結制御に時間を要し、摩擦締結要素の応答性が低下するという問題があった。
特開平10-131984号公報
本発明の目的は、複雑な油圧制御を要さずに締結ショックの低減が可能であり、締結制御時間を短縮することができる摩擦締結要素を備えた自動変速機を提供することにある。
 本発明の一局面に係る自動変速機は、軸方向において互いに対向する第1面及び第2面を有し、前記軸方向に移動可能なピストンと、前記ピストンの前記第1面側に配置された複数の摩擦板と、前記ピストンの前記第2面に油圧を与え、前記摩擦板同士が締結状態となるよう前記摩擦板を押圧する締結位置に前記ピストンを向かわせるための締結油圧室と、前記ピストンの前記第1面に油圧を与え、前記摩擦板同士を解放状態とする解放位置に前記ピストンを向かわせるための解放油圧室と、油圧の出力ポートを有し、前記締結油圧室及び前記解放油圧室の各々に対し、油圧の供給と、その排出とを行う油圧制御弁と、前記油圧制御弁の前記出力ポートと前記締結油圧室とを連通させる第1油路、及び、前記出力ポートと前記解放油圧室とを連通させる第2油路と、を備える。前記ピストンの前記第2面における前記油圧の受圧面積が、前記第1面における前記油圧の受圧面積よりも大きく設定されている。
図1は、本発明の実施形態に係る自動変速機の骨子図である。 図2は、上記自動変速機が備える摩擦締結要素の締結表である。 図3は、前記摩擦締結要素の一つであって、本発明の実施形態に係るブレーキの構成の概略的な断面及びその油圧機構のブロック構成を示す図である。 図4は、前記ブレーキの動作を説明するための概略的な断面図である。 図5は、前記ブレーキの動作を説明するための概略的な断面図である。 図6は、前記ブレーキの動作を説明するための概略的な断面図である。 図7は、前記ブレーキの動作を説明するための概略的な断面図である。 図8は、前記ブレーキの動作を説明するための概略的な断面図である。 図9は、印加油圧とブレーキ締結圧の変化との関係を示すグラフである。 図10は、前記摩擦締結要素の一つであって、本発明の第1変形実施形態に係るクラッチの構成の概略的な断面及びその油圧機構のブロック構成を示す図である。 図11は、本発明の第2変形実施形態に係るブレーキの構成の概略的な断面及びその油圧機構のブロック構成を示す図である。
 [自動変速機の全体構成]
 図1は、本発明の実施形態に係る自動車(車両)用の自動変速機1の構成を示す骨子図である。自動変速機1は、変速機ケース2と、この変速機ケース2内に配置された、エンジン側から延びる入力軸3と、出力ギヤ4と、変速機構としての4つのプラネタリギヤセット(第1、第2、第3、第4プラネタリギヤセット11、12、13、14)、2つのブレーキ(第1、第2ブレーキ21、22)、及び、3つのクラッチ(第1、第2、第3クラッチ31、32、33)と、を備えている。
 入力軸3は、エンジンで生成された動力が入力される軸である。出力ギヤ4は、変速機構によって所定の変速比とされた駆動力を出力するギヤである。本実施形態では、入力部にはエンジンの動力がトルクコンバータ(流体伝動装置)を介さずに入力される、いわゆるトルコンレス型の自動変速機を例示している。
 変速機ケース2は、外周壁2aと、外周壁2aのエンジン側端部に設けられた第1中間壁2bと、第1中間壁2bの反エンジン側に設けられた第2中間壁2cと、外周壁2aの軸方向中間部に設けられた第3中間壁2dと、外周壁2aの反エンジン側端部に設けられた側壁2eと、側壁2eの中央部からエンジン側に延設されたボス部2fと、第2中間壁2cの内周側端部から反エンジン側に延設された円筒部2gとを有する。
 4つのプラネタリギヤセット11~14は、エンジン側から、第1プラネタリギヤセット11、相互に径方向に重ねて配置された内周側の第2プラネタリギヤセット12及び外周側の第3プラネタリギヤセット13、第4プラネタリギヤセット14の順に配置されている。第1プラネタリギヤセット11は、キャリヤ11c、キャリヤ11cに支持されたピニオン(図示せず)、サンギヤ11s及びリングギヤ11rを含む。第1プラネタリギヤセット11は、前記ピニオンが、サンギヤ11sとリングギヤ11rとに直接噛合するシングルピニオン型である。第2、第3、第4プラネタリギヤセット12、13、14もシングルピニオン型であり、キャリヤ12c、13c、14cと、図略のピニオンと、サンギヤ12s、13s、14sと、リングギヤ12r、13r、14rとを含む。
 径方向に2段に重ねて配置されている第2プラネタリギヤセット12のリングギヤ12rと第3プラネタリギヤセット13のサンギヤ13sとは、溶接や焼嵌め等により一体化されている。すなわち、リングギヤ12rとサンギヤ13sとは常時連結されており、一体回転要素15を形成している。第1プラネタリギヤセット11のサンギヤ11sと第2プラネタリギヤセット12のサンギヤ12s、第1プラネタリギヤセット11のリングギヤ11rと第4プラネタリギヤセット14のキャリヤ14c、第1プラネタリギヤセット11のキャリヤ11cと第3プラネタリギヤセット13のキャリヤ13cとが、それぞれ常時連結されている。入力軸3は、第2プラネタリギヤセット12のキャリヤ12cに常時連結されている。出力ギヤ4は、第1プラネタリギヤセット11のキャリヤ11cと、第3プラネタリギヤセット13のキャリヤ13cとに、それぞれ常時連結されている。出力ギヤ4は、ベアリング41を介して変速機ケース2の円筒部2gに回転自在に支持されている。
 第4プラネタリギヤセット14のサンギヤ14sには、第1回転部材34が連結されている。第1回転部材34は、反エンジン側に延在している。同様に、第3プラネタリギヤセット13のリングギヤ13rには第2回転部材35が、一体回転要素15には第3回転部材36が各々連結されている。これら回転部材34、35も、反エンジン側に延在している。第2プラネタリギヤセット12のキャリヤ12cには、入力軸3を介して第4回転部材37が連結されている。
 第1ブレーキ21は、変速機ケース2の第1中間壁2bに配設されている。第1ブレーキ21は、シリンダ211と、シリンダ211に嵌合されたピストン212と、シリンダ211及びピストン212で区画される作動油圧室213とを含む。第1ブレーキ21は、作動油圧室213に所定の締結油圧が供給されることによって摩擦板が締結され、第1プラネタリギヤセット11のサンギヤ11sと、第2プラネタリギヤセット12のサンギヤ12sとを変速機ケース2に固定する。
 第2ブレーキ22は、第3中間壁2dに配設されている。第2ブレーキ22は、シリンダ23と、シリンダ23に嵌合されたピストン24と、シリンダ23及びピストン24で区画される締結油圧室26とを含む。第2ブレーキ22は、締結油圧室26に所定の締結油圧が供給されることによって摩擦板が締結され、第4プラネタリギヤセット14のリングギヤ14rを変速機ケース2に固定する。本実施形態では、この第2ブレーキ22に本発明の特徴を備えた摩擦締結要素が適用される例を示す。第2ブレーキ22については、図3以下に基づいて後記で詳細に説明する。
 第1~第3クラッチ31~33は、変速機ケース2内の反エンジン側端部に配設されている。第1~第3クラッチ31~33は、軸方向の同じ位置で、第1クラッチ31の内周側に第2クラッチ32が位置し、第2クラッチ32の内周側に第3クラッチ33が位置するように、相互に径方向に重ねて配置されている。
 第1クラッチ31は、第4プラネタリギヤセット14のサンギヤ14sと、第3プラネタリギヤセット13のリングギヤ13rとを断接する。換言すると、サンギヤ14sに連結された第1回転部材34と、リングギヤ13rに連結された第2回転部材35との接続状態を切り換える。
 第2クラッチ32は、第4プラネタリギヤセット14のサンギヤ14sと、一体回転要素15(すなわち第2プラネタリギヤセット12のリングギヤ12r及び第3プラネタリギヤセット13のサンギヤ13s)とを断接する。換言すると、サンギヤ14sに連結された第1回転部材34と、一体回転要素15に連結された第3回転部材36との接続状態を切り換える。
 第3クラッチ33は、第4プラネタリギヤセット14のサンギヤ14sと、入力軸3及び第2プラネタリギヤセット12のキャリヤ12cとを断接する。換言すると、サンギヤ14sに連結された第1回転部材34と、入力軸3を介してキャリヤ12cに連結された第4回転部材37との接続状態を切り換える。
 第1回転部材34は、第1クラッチ31によって第2回転部材35との接続状態が切り換えられ、第2クラッチ32によって第3回転部材36との接続状態が切り換えられ、第3クラッチ33によって第4回転部材37との接続状態が切り換えられる。つまり、第1回転部材34は、各クラッチ31~33が接続状態を切り換える2つの回転部材のうちの、共通する一方の回転部材である。そのため、第1~第3クラッチ31~33の反エンジン側に、変速機ケース2の側壁2eに近接して、軸心と直交する壁部を有する共用回転部材30が配置されている。そして、共用回転部材30に第1回転部材34が連結されている。
 共用回転部材30は、第1~第3つのクラッチ31~33で共用されるものであり、各クラッチ31~33が備えるシリンダ、ピストン、作動油圧室、作動油圧通路、遠心バランス油圧室、遠心バランス室構成部材等が共用回転部材30によって支持されている。図1では、第1、第2、第3クラッチ31、32、33のピストン31p、32p、33pを簡略的に図示している。なお、第2クラッチ32及び第3クラッチ33に対して、これらクラッチの摩擦板を保持する共通部材38が組み付けられている。
 以上のように、本実施形態の自動変速機1は、第1~第4プラネタリギヤセット11~14と、5つの摩擦締結要素としての第1、第2ブレーキ21、22及び第1~第3クラッチ31~33とを含む、入力軸3と出力ギヤ4との変速比を変更する変速機構を備える。図2は、自動変速機1が備える5つの摩擦締結要素の締結表である。図2の締結表の通り、5つの摩擦締結要素から3つの摩擦締結要素を選択的に締結(○印)することにより、前進1~8速と後退速とが達成される。図2において、CL1、CL2、CL3は第1、第2、第3クラッチ31~33を示し、BR1、BR2は第1、第2ブレーキ21、22を示す。
 [摩擦締結要素の詳細]
 図3は、本発明の実施形態に係る自動変速機1の摩擦締結要素の構成を示す概略的な断面及びその油圧機構のブロック構成図である。ここでは、当該摩擦締結要素が第2ブレーキ22に適用される例を示す。図3(及び以下の図4~図8)において、入力軸3の軸方向をX方向、自動変速機1の径方向をY方向で示す。また、X方向については、便宜上、図面の左方を-X、右方を+Xとする。
 第2ブレーキ22は、上述の通り第3中間壁2dによって形成されるシリンダ23に配設される摩擦締結要素であって、ピストン24、シールリング25、締結油圧室26、解放油圧室27、リターンスプリング28、摩擦板ユニット5(複数の摩擦板)を備えている。このような第2ブレーキ22に対し、油圧機構80が付設されている。油圧機構80は、オイルポンプ81と、減圧弁6及びリニアソレノイド弁7(油圧制御弁)を含む油圧回路82と、オイルポンプ81及び油圧回路82を制御する油圧制御部83とを含む。
 第3中間壁2dは、変速機ケース2の外周壁2aから径方向内側に延びる第1壁部201と、第1壁部201の径方向内側端縁から軸方向(-X方向)に延びる第2壁部202とによって形成されている。外周壁2aと第2壁部202とは、所定間隔をおいて径方向に対向している。外周壁2a、第1壁部201及び第2壁部202が作る空間は、第2ブレーキ22における前述のシリンダ23の空間を構成している。第1壁部201には、締結油圧室26に油圧を供給するための第1供給口203が設けられている。また、第2壁部202には、解放油圧室27に油圧を供給するための第2供給口204が設けられている。
 ピストン24は、軸方向において互いに対向する第1面24A及び第2面24Bを有し、外周壁2aと第2壁部202との間(シリンダ23内)において軸方向に移動可能な部材である。第1面24Aは解放油圧室27に面し、第2面24Bは締結油圧室26に面している。ピストン24は、摩擦板ユニット5を解放状態とする解放位置(例えば図4に示す位置)と、摩擦板ユニット5に押圧力を与えて締結状態とする締結位置(図8に示す位置)との間を移動する。
 ピストン24は、外周壁2aに隣接する押圧片241と、外周壁2a及び第2壁部202の内周面に摺接する受圧片242とを備える。受圧片242には、軸方向に受圧片242を貫通する連通孔243が穿孔されている。また、受圧片242の内周面及び外周面には、シール部材245が嵌め込まれている。
 押圧片241は、受圧片242から-X側に突出した部分であり、移動方向の先端側(-X側)に、摩擦板ユニット5に押圧力を与える先端面24Cを備える。受圧片242は、締結油圧室26と解放油圧室27とを区画する隔壁である。但し、本実施形態では、連通孔243によって締結油圧室26と解放油圧室27とが連通され得る。シール部材245は、ピストン24の軸方向への移動を許容しつつ、受圧片242の内周面と第2壁部202の内周面との間のシール、並びに受圧片242の外周面と外周壁2aの内周面との間のシールを図る部材である。
 連通孔243は、軸方向に径の異なる円筒孔であり、比較的径が大きい大径部wと、比較的径が小さい小径部nと、両者の間の中間部mとを備える。大径部wは、受圧片242の第2面24B寄り、すなわち締結油圧室26側に配置されている。小径部nは、第1面24A寄り、すなわち解放油圧室27側に配置されている。中間部mは、大径部wから小径部nに向けて内径が徐々に小さくなるテーパ部分である。
 連通孔243には、締結油圧室26から解放油圧室27へ向かう油流を規制するために、圧力ボール244(規制部)が配置されている。圧力ボール244は、大径部wの内径よりも小さく、小径部nの内径よりも大きい外径を有している。解放油圧室27の油圧が締結油圧室26の油圧よりも高圧であると、圧力ボール244は大径部w内で浮遊し、締結油圧室26から解放油圧室27へ向かう油流を規制しない。一方、締結油圧室26の油圧が解放油圧室27の油圧よりも高圧になると、圧力ボール244は中間部mに係止され、これにより連通孔243を塞ぐ。
 シールリング25は、ピストン24の第1面24A側に、受圧片242と対向するように配置された円環状の平板部材である。シールリング25は、ピストン24の押圧片241と第2壁部202との間に配置され、これらと共に解放油圧室27を区画している。シールリング25の内周面及び外周面には、シール部材251が装着されている。シール部材251は、シールリング25の外周縁と押圧片241の内周面との間のシール、並びにシールリング25の内周面と第2壁部202の内周面との間のシールを図る部材である。
 締結油圧室26は、ピストン24を前記締結位置に向かう方向(-X方向)に移動させる油圧が供給される空間である。締結油圧室26は、第1壁部201、第2壁部202、外周壁2a及びピストン24の第2面24Bによって区画される空間である。すなわち、締結油圧室26は、第2面24Bに油圧を与え、摩擦板ユニット5(摩擦板同士)が締結状態となるよう摩擦板ユニット5を押圧する締結位置にピストン24を向かわせるための油圧室である。
 解放油圧室27は、ピストン24を前記解放位置に向かう方向(+X)に移動させる油圧が供給される空間である。解放油圧室27は、第2壁部202と、ピストン24の押圧片241と、シールリング25の+X側の面と、ピストン24の第1面24Aとによって区画される空間である。すなわち、解放油圧室27は、第1面24Aに油圧を与え、摩擦板ユニット5を解放状態とする解放位置にピストン24を向かわせるための油圧室である。この解放油圧室27には、ピストン24を+X方向に付勢するリターンスプリング28が配置されている。締結油圧室26に油圧が印加されていないとき、リターンスプリング28はピストン24を+X方向に移動(復帰)させる。
 ここで、ピストン24の第2面24Bにおける油圧の受圧面積が、第1面24Aにおける油圧の受圧面積よりも大きく設定されている。図3では、第1面24Aが解放油圧室27から油圧を与えられる領域、つまり第1面24Aの受圧面積を「領域A」、第2面24Bが締結油圧室26から油圧を与えられる領域、つまり第2面24Bの受圧面積を「領域B」と模式的に示している。本実施形態では、これらの受圧面積の関係は、領域B>領域Aとされる。
 領域Aと領域Bとに上記のような受圧面積差を設けることで、ピストン24を当該受圧面積差に基づいて移動させることが可能となる。すなわち、締結油圧室26及び解放油圧室27に対して同時に同じ圧力の油圧が供給されると、第1面24A及び第2面24Bは前記油圧を受圧する。この場合、第2面24Bの受圧面積が第1面24Aの受圧面積より大きいので、ピストン24には、その受圧面積差に応じた大きさの、-X方向へ向かう方向の押圧力が作用する。そして、ピストン24には連通孔243が穿孔されているので、前記-X方向の押圧力が作用すると、解放油圧室27の油が連通孔243を通して締結油圧室26側へ流入する。これにより、ピストン24は-X方向へ移動する。つまり、第1面24Aが受圧する+X方向への押圧力と、第2面24Bが受圧する-X方向への押圧力とが相殺され、両者の受圧面積差分の押圧力によって、ピストン24は-X方向へ移動することとなる。
 摩擦板ユニット5は、クリアランスを置いて配置された複数の摩擦板を備え、ピストン24の第1面24A側に配置されている。具体的には、摩擦板ユニット5は、複数枚のドライブプレート51と、複数枚のドリブンプレート52とが、所定のクリアランスCを空けて交互に配列されてなる。ドライブプレート51の両面には、フェーシングが貼着されている。ドライブプレート51は第1スプライン部53にスプライン結合され、ドリブンプレート52は第2スプライン部54にスプライン結合されている。第1スプライン部53は、図1に示した第4プラネタリギヤセット14のリングギヤ14rの外周部分に相当する部材である。また、第2スプライン部54は、変速機ケース2の外周壁2aの一部に設けられている。
 ピストン24の先端面24Cは、最も+X側に位置するドリブンプレート52に当接し、摩擦板ユニット5に押圧力を加える。最も-X側に位置するドライブプレート51に隣接して、リテーニングプレート55が配置されている。リテーニングプレート55は、ドライブプレート51及びドリブンプレート52の-X方向への移動を規制する。
 油圧機構80は、自動変速機1が有する摩擦締結要素に対して所定圧の油圧の供給及びその排出を行う。油圧機構80のオイルポンプ81は、エンジンに駆動されてオイルを所要部位に流通させると共に、所定の油圧を生成するポンプである。油圧回路82は、摩擦締結要素としての第1、第2ブレーキ21、22及び第1~第3クラッチ31~33に油圧を選択的に供給して、図2に示す各変速段を達成するための油圧回路である。図3では、第2ブレーキ22に対して油圧を供給及びその排出を行うための、減圧弁6及びリニアソレノイド弁7だけを示している。
 リニアソレノイド弁7は、締結油圧室26及び解放油圧室27の各々に対し、油圧の供給と、その排出とを行う油圧制御弁である。リニアソレノイド弁7は、オイルポンプ81から油が導入される入力ポート71と、油(油圧)を出力する出力ポート72と、油を排出するドレンポート73と、コイルへの通電によって動作するスプール(図略)とを備える。スプールの動作によって、締結油圧室26及び解放油圧室27への油圧供給時には入力ポート71と出力ポート72とが連通される。油圧の排出時には、出力ポート72とドレンポート73とが連通される。また、リニアソレノイド弁7は、前記コイルへの通電量が制御されることによって、出力ポート72から吐出する油量が制御される。
 油圧回路82は、リニアソレノイド弁7と締結油圧室26とを連通させる第1油路74、及び、リニアソレノイド弁7と解放油圧室27とを連通させる第2油路75を備えている。具体的には、第1油路74の上流端は出力ポート72に接続され、下流端は締結油圧室26に連通する第1供給口203に接続されている。また、第2油路75の上流端は出力ポート72に接続され、下流端は解放油圧室27に連通する第2供給口204に接続されている。すなわち、第1油路74及び第2油路75は別々の油圧供給経路から油の供給を受けるのではなく、両者に共通のリニアソレノイド弁7の出力ポート72から油の供給を受ける。
 第2油路75は、次述の減圧弁6を挟んで、上流油路751と下流油路752とに分かれている。摩擦板ユニット5を前記解放状態から前記締結状態へ移行させる際、これら第1油路74及び第2油路75を通して、リニアソレノイド弁7の出力ポート72から締結油圧室26と解放油圧室27とに同時に油圧が供給される。
 減圧弁6は、第2油路75に組み入れられ、解放油圧室27の油圧が所定圧以上に上昇しないように調圧する弁である。減圧弁6は、複数のポートa、b、c、d、e、fと、ポート間の切り換えを行うスプール61とを含む。ポートa、bは、スプール61を+X方向に付勢するリターンスプリング62が収容されたスプリング室に連通するポートである。ポートcは入力ポートc、ポートdは出力ポートdである。入力ポートcには、第2油路75の上流油路751の下流端が接続されている。また、出力ポートdには、下流油路752の上流端が接続され、これにより出力ポートdと第2供給口204とが接続されている。
 ポートeはドレンポートe、ポートfはフィードバックポートfである。フィードバックポートfに入力される油圧よりリターンスプリング62の付勢力が優勢である場合、入力ポートcと出力ポートdとが連通する。これにより、上流油路751と下流油路752とは連通し、解放油圧室27への油圧供給が可能となる。一方、フィードバックポートfにリターンスプリング62の付勢力を上回る油圧が入ると、その油圧によってスプール61が-X方向に移動し、出力ポートdとドレンポートeとが連通する。これにより、解放油圧室27からの油圧の排出可能となる。つまり、解放油圧室27の油圧が高くなると、フィードバックポートfから減圧弁6に供給される油圧も高くなり、スプール61が動作して出力ポートdとドレンポートeとを連通させ、解放油圧室27を減圧する。減圧され、リターンスプリング62の付勢力が優勢となると、スプール61が復帰して入力ポートcと出力ポートdとを連通させ、解放油圧室27への油圧供給を可能とする。
 油圧制御部83は、リニアソレノイド弁7のソレノイドの動作を制御することによって、締結油圧室26及び解放油圧室27に供給する油圧を制御する。この他、油圧制御部83は、他の摩擦締結要素の各ソレノイドバルブ等を制御するものであって、第1ブレーキ21及び第1~第3クラッチ31~33に供給する油圧も制御する。
 [摩擦締結要素の動作]
 続いて、図3に示した第2ブレーキ22の動作を、図4~図8に示す概略断面図に基づいて説明する。図4は、まだリニアソレノイド弁7を通して締結油圧室26及び解放油圧室27に油圧が供給されていない、待機状態を示している。ピストン24は、油圧の影響を受けることなく、リターンスプリング28の付勢力によって+X方向に押圧され、解放位置に存在している。ピストン24の先端面24Cが摩擦板ユニット5から所定距離だけ離間し、摩擦板ユニット5のドライブプレート51とドリブンプレート52とが解放状態にある。ピストン24の+X方向への移動によって、締結油圧室26の容積は極小となり、逆に解放油圧室27の容積は極大となっている。
 図5は、図4の待機状態から、締結油圧室26及び解放油圧室27に対して油の流入が開始された状態を示している。油圧制御部83は、リニアソレノイド弁7の入力ポート71と出力ポート72とを連通させ、オイルポンプ81から吐出される油が第1油路74及び第2油路75に流通する状態に制御する。減圧弁6は、リターンスプリング62の付勢力によって、入力ポートcと出力ポートdとが連通した状態である。油は、共通のリニアソレノイド弁7の出力ポート72から、第1油路74を経由して締結油圧室26と、第2油路75の上流油路751、減圧弁6及び下流油路752を経由して解放油圧室27とに同時に流入を開始する。勿論、この状態ではピストン24には未だ油圧の押圧力は作用せず、ピストン24はリターンスプリング28の付勢力によって+X方向にフルに移動された状態である。
 図6は、図5の油の流入開始後、締結油圧室26及び解放油圧室27が油で満たされ、ピストン24が-X方向に移動している状態を示している。締結油圧室26及び解放油圧室27に同じ油圧が印加されると、ピストン24は、第1面24Aと第2面24Bとの受圧面積差に基づき移動するようになる。既述の通り、第2面24Bの受圧面積が第1面24Aの受圧面積より大きいので、ピストン24には当該受圧面積差に応じて-X方向へ向かう方向の押圧力D1が作用する。すなわち、押圧力D1=油圧×(領域Bの面積-領域Aの面積)となる。該押圧力D1によって、ピストン24は-X方向へ移動する。なお押圧力D1は、リターンスプリング28の+X方向の付勢力に打ち勝つ必要がある。このため、前記受圧面積差は、リターンスプリング28の付勢力を考慮して設定される。
 ピストン24が-X方向へ移動すると、解放油圧室27内の油圧が上昇する。また、ピストン24が+X方向に移動しているので、解放油圧室27の容積は広くなっており、当該解放油圧室27には豊富に油が存在する。このため、図6に矢印D11にて示すように、解放油圧室27の油が連通孔243を通して締結油圧室26側へ流入する。なお、解放油圧室27内の油圧にもよるが、矢印D12にて示すように、第2油路75を逆流する油も発生し得る。
 このように、締結油圧室26が解放油圧室27から油を受領できることから、第1油路74を通して締結油圧室26に供給すべき油量は少量で済む。つまり、前記受圧面積差に基づく押圧力D1を発生させるための流量の油を、リニアソレノイド弁7を通して供給すれば良いことになる。従って、ピストン24を-X方向へ移動させる際の油圧応答性が良好となる。ピストン24の移動に伴って、先端面24Cは摩擦板ユニット5に接近してゆき、また、リターンスプリング28は徐々に圧縮される。
 図7は、ピストン24のストローク完了状態を示している。この状態では、ピストン24が-X方向に移動して先端面24Cが摩擦板ユニット5(ドリブンプレート52)に当接する位置(締結位置)に至っている。この状態に至っても、前記受圧面積差に基づく押圧力D1だけが第2面24Bに作用していること、並びに、矢印D11及び矢印D12の油の流れが生じていることについては、図6で説明した状態と同じである。
 先端面24Cが摩擦板ユニット5に当接し、ピストン24が摩擦板ユニット5を押圧するようになると、ドライブプレート51とドリブンプレート52との間のクリアランスは詰められ、やがて両者間に摩擦締結力が発生する。このときの押圧に貢献するのは、いまだに上述の押圧力D1だけである。従って、ドライブプレート51とドリブンプレート52とは、締結初期は微小な締結圧で締結されることになる。このことは、摩擦板ユニット5の締結ショックの低減に寄与する。
 図8は、摩擦板ユニット5が所定の締結圧で締結されている状態を示している。この状態おいて油圧制御部83は、リニアソレノイド弁7を制御して、出力ポート72から所定の締結油圧(ライン圧)を供給する。これにより、締結油圧が第1油路74及び第2油路75を通して締結油圧室26及び解放油圧室27へ印加され得る状態となる。しかし、減圧弁6の動作によって、解放油圧室27の油圧が所定圧(前記締結油圧よりも低い所定の油圧)以上にならないように調圧される。すなわち、解放油圧室27の油圧が上昇し、減圧弁6のフィードバックポートfにリターンスプリング62の付勢力を上回る油圧が入ると、その油圧によってスプール61が-X方向に移動し、出力ポートdとドレンポートeとが連通する。従って、解放油圧室27の油圧は一定圧に維持される。以上により、締結油圧室26だけが増圧されることになる。
 締結油圧室26の増圧によって、圧力ボール244は-X方向に移動し、連通孔243を塞ぐ。このため、締結油圧室26から解放油圧室27への油の移動は規制される。これにより、ピストン24には締結油圧に応じて-X方向へ向かう方向の大きな押圧力D2が作用する。押圧力D2=締結油圧×領域Bの面積である。つまり、第2面24Bの全領域に対して、締結油圧に相当する押圧力D2が加わり、ピストン24は-X方向へ押圧される。そして、この押圧力D2は先端面24Cを介して摩擦板ユニット5に加えられる。従って、摩擦板ユニット5は所定のブレーキ締結圧で締結されることになる。
 [調圧前後の締結圧の変化]
 図9は、締結油圧室26及び解放油圧室27への印加油圧と、第2ブレーキ22のブレーキ締結圧の変化との関係を示すグラフである。縦軸のブレーキ締結圧において、レベルL1は、減圧弁6が動作を開始する締結圧レベル、レベルL2は、所定の締結油圧が印加されたときの締結圧レベルである。また、図9の実線C1は本実施形態における締結圧変化特性、点線C2は比較例に係る締結圧変化特性である。
 時点T1は、締結油圧室26及び解放油圧室27に、未だ油が充填されていない状態である。時点T1は、先に図4に基づき説明した待機状態、乃至は、締結油圧室26及び解放油圧室27に対して油の流入が開始された図5の状態に相当する。ピストン24は、図4及び図5に示す通り、リターンスプリング28の付勢力によって+X方向に押圧され、解放位置にある。
 時点T2は、締結油圧室26及び解放油圧室27に油が充填され、ピストン24が第1面24Aと第2面24Bとの受圧面積差に基づき、-X方向へ移動を開始するタイミングである。また、時点T3は、ピストン24の-X方向への移動が完了して先端面24Cが摩擦板ユニット5に当接し、プレート51、52間のクリアランスCが詰められたタイミング(所謂ゼロタッチ状態)である。図6は、時点T2~時点T3の間のピストン24の状態を示している。時点T2~時点T3の間では、ピストン24は摩擦板ユニット5に当接していない。このため、ブレーキ締結圧は発生しない。
 時点T3以降は、ブレーキ締結圧が発生する。しかし、本実施形態では、時点T3以降の初期締結時において急激にはブレーキ締結圧が上昇しない。これは、図7に示したように、ピストン24のストロークが完了した後も、しばらくはピストン24が、第1面24Aと第2面24Bとの受圧面積差に基づいて移動し、小さい押圧力D1しか摩擦板ユニット5に与えないからである。
 時点T4は、締結油圧室26及び解放油圧室27の油圧が所定圧よりも高くなり、減圧弁6が動作を開始するタイミング(ブレーキ締結圧=L1)である。図8に基づいて説明した通り、減圧弁6が動作すると解放油圧室27の油圧は一定圧に調圧されるので、ピストン24には-X方向へ向かう方向の大きな押圧力D2が作用する。従って、摩擦板ユニット5も大きな押圧力を受けるようになり、ブレーキ締結圧は大きく上昇する。
 以上の通り、摩擦板ユニット5が締結状態となる時点T3から減圧弁6が作動する時点T4までは、第1面24Aと第2面24Bとの受圧面積差でピストン24が移動され、時点T4以降は締結油圧室26の増圧によってピストン24が移動される。このため、ブレーキ締結圧は、実線C1で示す通り、時点T3~時点T4までは緩く、時点T4以降は急峻に上昇する。従って、摩擦板ユニット5の初期締結時における締結ショックが低減される。これに対し、初期締結時から締結油圧室26の増圧だけに依存した場合、点線C2で示す通り、時点T3からブレーキ締結圧が急峻に上昇してしまう。このため、比較的大きな締結ショックが発生してしまうことがある。
 [作用効果]
 以上説明した本実施形態に係る摩擦締結要素乃至は自動変速機1によれば、次のような作用効果を奏する。自動変速機1は、締結油圧室26と解放油圧室27とで共用されるリニアソレノイド弁7を備える。具体的には、リニアソレノイド弁7の出力ポート72と締結油圧室26とを連通させる第1油路74と、出力ポート72と解放油圧室27とを連通させる第2油路75とを含む。摩擦板ユニット5を解放状態から締結状態へ移行させる際、出力ポート72から、第1油路74、第2油路75を通して各々締結油圧室26と解放油圧室27とに同時に油圧が供給される。
 かかる構成において、ピストン24の第2面24Bの油圧受圧面積が、第1面24Aの油圧受圧面積よりも大きく設定されている。このため、第1面24Aに解放油圧室27側から加わる油圧と、第2面24Bに締結油圧室26側から加わる油圧とが相殺され、第2面24Bの受圧面積が第1面24Aの受圧面積よりも大きい受圧面積差分が受ける押圧力D1によって、ピストン24が締結方向に移動される。このように、前記解放状態から前記締結状態への移行時に、前記受圧面積差分に相当する弱い押圧力D1でピストン24が移動されるので、摩擦板ユニット5の締結ショックを低減することができる。また、締結ショック低減のために複雑な油圧制御も不要である。すなわち、ピストンのストローク完了直前に油の流量を抑えるという制御を回避でき、これにより締結制御時間の短縮も実現することができる。
 ピストン24は、締結油圧室26と解放油圧室27とを連通させる連通孔243を備えているので、解放油圧室27の圧力が上昇すると、油は連通孔243を通して締結油圧室26側に流れ込む。このため、ピストン24を締結方向に移動させる際、締結油圧室26は解放油圧室27から油の供給を受けることができるので、第1油路74を通して締結油圧室26に供給すべき油量は少なくて済む。すなわち、前記受圧面積差に基づく押圧力D1を発生させるための量の油を、リニアソレノイド弁7を通して締結油圧室26に供給すれば良い。
 従って、少ない油量でピストン24を移動させ得るので、摩擦板ユニット5を締結状態とする際の応答性を高めることができる。このことは、摩擦板ユニット5の所謂引き摺り抵抗を低減させるため、ドライブプレート51とドリブンプレート52との間のクリアランスCを広くした場合においても有意に作用する。すなわち、クリアランスCを広くすることによって、摩擦締結のために要するピストン24の移動量を大きくした場合でも、第1油路74から締結油圧室26へ流入させるべき油量は比較的少量で済む。このため、摩擦締結の応答性を損なわない。従って、引き摺り抵抗の低減と摩擦締結の応答性の向上とを両立させることができる。
 連通孔243には、締結油圧室26から解放油圧室27へ向かう油流を規制する圧力ボール244が配置されている。圧力ボール244は、所要時に連通孔243を塞ぎ油の逆流を防止する、これにより、締結油圧室26と解放油圧室27とを圧力的に分離し、ピストン24に締結方向に向かう大きな押圧力D2を作用させることができる。
 第2油路75には、解放油圧室27の油圧が所定圧以上に上昇することを防止する減圧弁6が備えられている。減圧弁6によって解放油圧室27の油圧を調整することで、ピストン24の締結方向へのスムーズな移動を実現することができる。具体的には、ピストン24が摩擦板ユニット5に当接し、プレート51、52間のクリアランスCが詰められた状態となった後に、第1油路74を通して締結油圧室26に所定の締結油圧を供給する一方で、解放油圧室27の油圧を減圧弁6によって調圧することで、速やかにピストン24を締結位置へ移動させることができる。
 また、自動変速機1は、締結油圧室26及び解放油圧室27のための油圧制御弁として、リニアソレノイド弁7を備える。従って、リニアソレノイド弁7が具備するソレノイドコイルへの通電量に応じて供給する油量を調整でき、精度の高い油圧制御を行い得る。
 [第1変形実施形態]
 上記実施形態では、本発明の特徴を備えた摩擦締結要素が第2ブレーキ22に適用される例を示した。本発明は自動変速機のブレーキだけでなく、クラッチに対しても適用可能である。図10は、自動変速機1が備える摩擦締結要素の一つである第1クラッチ31へ本発明が適用された例を概略的に示す図である。
 第1クラッチ31は、ドラム91、ピストン92、シールリング93、締結油圧室94及び解放油圧室95を含む。第1クラッチ31が摩擦板ユニット5を締結及び解放するものであり、当該第1クラッチ31に対する油圧機構として減圧弁6及びリニアソレノイド弁7が適用される点は、上記実施形態と同じである。
 ドラム91は、自動変速機1の中心軸の軸回りに回転可能に変速機ケース2で支持されている。ドラム91は、Y方向に延在する円板部910と、円板部910の径方向外側端縁から-X方向に延び該円板部910よりも大径の外筒部911と、外筒部911の内側に同軸に配置された内筒部912とを備える。内筒部912には、油圧供給用の第1供給口913及び第2供給口914が設けられている。
 ピストン92は、図1に示したピストン31pに相当する部材であり、受圧部921、小筒部922及び大筒部923を備える。受圧部921は、いずれも油圧を受圧する面であって、摩擦板ユニット5側の第1面92Aと、第1面92Aとは反対側の第2面92Bとを有する。また、受圧部921は、軸方向に貫通する連通孔924を備え、該連通孔924には圧力ボール925が配置されている。受圧部921の径方向内側端縁からは、-X方向に延びる内筒部926が突設されている。内筒部926には第2供給口914と連通する第3供給口927が穿孔されている。大筒部923の-X側端縁が、摩擦板ユニット5を押圧する。シールリング93は、ピストン92と摩擦板ユニット5との間に配置され、大筒部923と内筒部926との間の開口を塞いでいる。
 締結油圧室94(前述の作動油圧室)は、ピストン92の受圧部921(第2面92B側)とドラム91の円板部910との間の空間であり、第1供給口913を通して第1油路74から油圧の供給を受ける。解放油圧室95(前述の遠心バランス油圧室)は、ピストン92の受圧部921(第1面92A側)、小筒部922及び大筒部923と、シールリング93とによって区画される空間であって、第2供給口914及び第3供給口927を通して、第2油路75から油圧の供給を受ける。解放油圧室95内には、ピストン92を+X方向に付勢するリターンスプリング96が配置されている。摩擦板ユニット5を解放状態から締結状態へ移行させる際、リニアソレノイド弁7の出力ポート72から、第1油路74、第2油路75を通して各々締結油圧室94と解放油圧室95とに同時に油圧が供給される。
 ピストン92の第1面92Aは、解放油圧室95から油圧を受ける面、第2面92Bは締結油圧室94から油圧を受ける面である。ここで、第2面92Bにおける油圧の受圧面積が、第1面92Aにおける油圧の受圧面積よりも大きく設定されている。ピストン92は、受圧部921に-X方向に順次連なる小筒部922及び大筒部923を有し、これに伴い解放油圧室95も+X側(小筒部922の内部)の小容積部95Aと、-X側(大筒部923の内部)の大容積部95Bとを含む。クラッチにおいては、締結油圧室94の遠心油圧を打ち消す機能が、解放油圧室95に求められる。
 上記の通り構成された第1クラッチ31の動作は、上記実施形態において説明した第2ブレーキ22の動作と同じである。締結油圧室94及び解放油圧室95に油圧が供給されると、第1面92Aと第2面92Bとの受圧面積差に基づく比較的小さな押圧力によって、ピストン92が-X方向(締結方向)へ移動する。初期締結時においても、ピストン92の前記受圧面積差に基づく移動がある期間継続される。そして、減圧弁6が動作を開始すると、第2面92Bが大きな押圧力を受けるようになる。
 第1クラッチ31の場合、図9の縦軸は、当該クラッチの伝達トルクと読み替えられる。ゼロタッチ状態の時点T3から減圧弁6が動作を開始する時点T4までは、摩擦板ユニット5は微小トルクで締結される。このため、締結ショックを小さくすることができる。時点T4は、締結油圧室94の増圧によってピストン92に大きな押圧力が与えられるので、伝達トルクが大きくなるものである。
 [第2変形実施形態]
 上記実施形態では、油圧回路82が、解放油圧室27の油圧が所定圧以上に上昇することを防止する減圧弁6を備える例を示した。第2変形実施形態では、さらに減圧弁6の前記所定圧を変更することが可能な所定圧変更部が具備される例を示す。図11は、第2変形実施形態に係る第2ブレーキ22の構成の概略的な断面及びその油圧機構のブロック構成を示す図である。図3に示した第2ブレーキ22と相違する点は、油圧回路82Aが、減圧弁6による解放油圧室27の調圧条件を変更する所定圧制御弁76(所定圧変更部)を備えている点である。その他の部分については上述の実施形態と同じであるので、適宜説明を割愛する。
 既述の通り減圧弁6は、複数のポートa、b、c、d、e、fと、これらポート間の切り換えを行うスプール61(弁体)とを含む。入力ポートc(第1ポート)は、リニアソレノイド弁7の出力ポート72に連通するポートであり、出力ポートd(第2ポート)は、解放油圧室27に連通するポートである。ドレンポートe(第3ポート)は、出力ポートdを通して、解放油圧室27の油圧を排出するためのポートである。フィードバックポートf(第4ポート)は、出力ポートdから解放油圧室27へ与えられる出力油圧が印加されると共に、前記出力油圧を減圧させるようにスプール61を-X方向(第1方向)へ移動させるためのポートである。
 ポートa及びポートb(第5ポート)は、リターンスプリング62が収容されたスプリング室に連通するポートである。フィードバックポートfがスプール61の+X側端部に配置され、これに対向してポートa、bはスプール61の-X側端部に配置されている。本変形実施形態では、ポートaを閉鎖し、ポートbに、減圧弁6の動作油圧を変更するための調整油圧を印加させるようにする。つまり、減圧弁6が調圧動作を開始する前記所定圧を変更可能とするため、所定圧制御弁76を通してポートbに調整油圧を印加可能とする。ポートbを通してスプリング室に調整油圧が印加されると、スプール61には、フィードバックポートfに印加される出力油圧に対抗して、+X方向(第2方向)へ移動させる力が作用する。
 所定圧制御弁76は、リニアソレノイド弁であって、オイルポンプ81から油が導入される入力ポート761と、油圧を出力する出力ポート762(変更出力ポート)と、油を排出するドレンポート763と、コイルへの通電によって動作するスプール(図略)とを備える。油路764により、出力ポート762と減圧弁6のポートbとは連通されている。所定圧制御弁76は、出力ポート762が常時閉、つまり前記コイルへの非通電時に前記スプールが出力ポート762を閉じる、ノーマルクローズ型のソレノイド弁である。
 所定圧制御弁76から減圧弁6の前記スプリング室に調整油圧を印加する際、前記コイルへの通電によるスプールの動作によって、入力ポート761と出力ポート762とが連通される。なお、前記コイルへの通電量が制御されることによって、出力ポート762から出力される調整油圧の制御が可能である。一方、前記調整油圧の排出時には、出力ポート762とドレンポート763とが連通される。
 減圧弁6においては、出力ポートdからフィードバックポートfに入力される出力油圧よりもリターンスプリング62の付勢力が優勢である場合、入力ポートcと出力ポートdとが連通し、解放油圧室27へ出力油圧が供給される。一方、フィードバックポートfにリターンスプリング62の付勢力を上回る出力油圧が入ると、その油圧によってスプール61が-X方向に移動し、出力ポートdとドレンポートeとが連通する。これが、所定圧制御弁76から調整油圧がポートbに供給されていないときの動作であり、上記実施形態と同じ動作である。
 一方、ポートbに調整油圧が供給されると、スプール61を+X方向へ移動させる力が増強されることになる。つまり、減圧弁6の動作油圧が変更される。この場合、前記調整油圧が供給される前の出力油圧よりも強い出力油圧がフィードバックポートfに入力されないと、スプール61は-X方向に移動しなくなる。この調整油圧供給動作を、例えばプレート51、52間のクリアランスCが詰められた状態となった後(図7)に実行すれば、ピストン24をゼロクリアランス位置から締結位置へ移動させる速度を低下させることが可能となる。
 なお、減圧弁6においてリターンスプリング62を使用せず、スプリング室に相当する油圧室にポートbから供給する調整油圧だけに依存して、減圧弁6の動作油圧を変更するようにしても良い。この場合、ピストン24の移動速度を加速乃至は減速するレンジを拡げることが可能となる。
 第2変形実施形態によれば、ポートbから調整油圧を供給することで、減圧弁6による解放油圧室27の調圧条件を変更することができる。これにより、ピストン24の前記締結位置への移動動作を制御することが可能となる。また、減圧弁6は、スプール61を-X方向へ移動させるフィードバックポートfに対抗して、調整油圧が印加され、スプール61を+X方向へ移動させるためのポートbを備える。従って、ポートbから供給する調整油圧を変更することで、容易に減圧弁6による解放油圧室27の調圧条件を変更することができる。
 さらに、所定圧制御弁76は、ノーマルクローズ型のリニアソレノイド弁である。このため、常時はポートbに調整油圧が印加されず、必要時にのみ前記調整油圧が印加される。従って、仮に所定圧制御弁76に故障が生じたとしても、減圧弁6の通常動作は確保されるフェイルセーフ機能が担保され、摩擦締結動作を行わせることが可能となる。
 以上説明した通り、本実施形態の自動変速機1によれば、ピストン24、92における第1面24A、92Aと第2面24B、92Bとの受圧面積差に基づきピストン24、92を移動させる。従って、複雑な油圧制御を要さずに締結ショックの低減が可能であり、また、締結制御時間を短縮することができる。
 なお、上記実施形態では、遊星歯車式の自動変速機を例示した。本発明は、無段変速機(CVT)や、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)等の他の自動変速機にも適用可能である。
 最後に、上記実施形態の中で開示された特徴的な構成およびそれに基づく作用効果についてまとめて説明する。
 本発明の一局面に係る自動変速機は、軸方向において互いに対向する第1面及び第2面を有し、前記軸方向に移動可能なピストンと、前記ピストンの前記第1面側に配置された複数の摩擦板と、前記ピストンの前記第2面に油圧を与え、前記摩擦板同士が締結状態となるよう前記摩擦板を押圧する締結位置に前記ピストンを向かわせるための締結油圧室と、前記ピストンの前記第1面に油圧を与え、前記摩擦板同士を解放状態とする解放位置に前記ピストンを向かわせるための解放油圧室と、油圧の出力ポートを有し、前記締結油圧室及び前記解放油圧室の各々に対し、油圧の供給と、その排出とを行う油圧制御弁と、前記油圧制御弁の前記出力ポートと前記締結油圧室とを連通させる第1油路、及び、前記出力ポートと前記解放油圧室とを連通させる第2油路と、を備え、前記ピストンの前記第2面における前記油圧の受圧面積が、前記第1面における前記油圧の受圧面積よりも大きく設定されていることを特徴とする。
 この自動変速機によれば、油圧制御弁の出力ポートから、第1油路、第2油路を通して締結油圧室、解放油圧室に油圧が供給される。また、ピストンの第1面と第2面とには受圧面積差が存在する。このため、前記第1面に解放油圧室側から加わる油圧と、前記第2面に締結油圧室側から加わる油圧とが相殺され、前記第2面の受圧面積が前記第1面よりも大きい受圧面積差分が受ける押圧力によって、ピストンが締結方向に移動可能となる。このように、前記解放状態から前記締結状態への移行時に、前記受圧面積差分に相当する押圧力ピストンを移動させることで、複雑な油圧制御を回避しつつ、締結ショックを低減することができる。さらに、締結ショック低減のために、ピストンのストローク完了直前に油の流量を抑えるという制御を回避できるので、締結制御時間を短縮することができる。
 上記の自動変速機において、前記ピストンは、前記締結油圧室と前記解放油圧室とを連通させる連通孔を備えていることが望ましい。
 この自動変速機によれば、ピストンに連通孔が備えられているので、解放油圧室の圧力が上昇すると、油は前記連通孔を通して締結油圧室側に流れ込む。このため、ピストンを締結方向に移動させる際、締結油圧室は解放油圧室から油の供給を受けることができるので、前記第1油路を通して締結油圧室に供給すべき油の量は少なくて済む。従って、摩擦板同士を締結状態とする際の応答性を高めることができる。このことは、所謂引き摺り抵抗を低減させるため、摩擦板間のクリアランスを広くした場合、すなわち摩擦締結のために要するピストンの移動量を大きくした場合でも、前記第1油路から締結油圧室へ流入させる油量を比較的少なくできることに繋がる。従って、引き摺り抵抗の低減と摩擦締結の応答性の向上とを両立させることができる。
 上記の自動変速機において、前記連通孔には、前記締結油圧室から前記解放油圧室へ向かう油流を規制する規制部が設けられていることが望ましい。
 この自動変速機によれば、所要時に前記連通孔を塞ぎ、油の逆流が防止できると共に、前記第2面において効果的に油圧を受圧させることができる。
 上記の自動変速機において、前記第2油路には、前記解放油圧室の油圧が所定圧以上に上昇することを防止する減圧弁が備えられていることが望ましい。
 この自動変速機によれば、減圧弁によって解放油圧室の油圧を調整することで、ピストンの締結方向へのスムーズな移動を実現することができる。例えば、ピストンが摩擦板に当接し、摩擦板間のクリアランスが詰められた状態となった後に、前記第1油路を通して締結油圧室に所定の締結油圧を供給する一方で、解放油圧室の油圧を減圧弁によって調圧することで、速やかにピストンを前記締結位置へ移動させることができる。さらに、解放油圧室の油圧を締結油圧室よりも低くすることで、摩擦締結の締結力(ピストンの締結方向の力)を確保することができる。
 上記の自動変速機において、前記所定圧を変更する所定圧変更部をさらに備えることが望ましい。
 前記所定圧を変更することで、減圧弁による解放油圧室の調圧条件を変更することが可能になる。解放油圧室の調圧条件を制御することにより、例えばピストンの前記締結位置への移動動作を制御することが可能となる。
 上記の自動変速機において、前記減圧弁は、複数のポートと、これらポート間の切り換えを行う弁体とを備え、前記複数のポートは、前記油圧制御弁の前記出力ポートに連通する第1ポートと、前記解放油圧室に連通する第2ポートと、前記第2ポートを通して、前記解放油圧室の油圧を排出するための第3ポートと、前記第2ポートからの出力油圧が印加されると共に、前記出力油圧を減圧させるように前記弁体を第1方向へ移動させるための第4ポートと、前記弁体を、前記第1方向とは反対の第2方向へ移動させるための第5ポートと、を備え、前記第5ポートには調整油圧が印加され、前記所定圧変更部は、前記所定圧を変更するために前記調整油圧を変更することが望ましい。
 この自動変速機によれば、減圧弁が、出力油圧のフィードバックポートとして機能する第5ポートを備える。前記第5ポートは、弁体を第1方向へ移動させるための第4ポートに対向して、調整油圧が印加され、前記弁体を反対の第2方向へ移動させるためのポートである。従って、前記調整油圧を変更することで、容易に減圧弁による解放油圧室の調圧条件を変更することができる。
 この場合、前記所定圧変更部は、前記第5ポートに連通する変更出力ポートを備え、前記調整油圧を制御する所定圧制御弁であって、前記所定圧制御弁は、前記変更出力ポートが常時閉とされるノーマルクローズ型のソレノイド弁であることが望ましい。
 この自動変速機によれば、常時は前記第5ポートに調整油圧が印加されず、必要時にのみ前記調整油圧が印加されるようにすることができる。従って、仮に前記所定圧制御弁に故障が生じたとしても、前記減圧弁の通常動作は確保され、摩擦締結動作を行わせることが可能となる。
 上記の自動変速機において、前記油圧制御弁がリニアソレノイド弁からなることが望ましい。これにより、ソレノイドコイルへの通電量に応じて供給する油量を調整でき、精度の高い油圧制御を行い得る。
 以上説明した本発明によれば、ピストンにおける前記第1面と前記第2面との受圧面積差に基づきピストンを移動させる。従って、複雑な油圧制御を要さずに締結ショックの低減が可能であり、締結制御時間を短縮することができる摩擦締結要素を備えた自動変速機を提供することができる。
 

Claims (8)

  1.  軸方向において互いに対向する第1面及び第2面を有し、前記軸方向に移動可能なピストンと、
     前記ピストンの前記第1面側に配置された複数の摩擦板と、
     前記ピストンの前記第2面に油圧を与え、前記摩擦板同士が締結状態となるよう前記摩擦板を押圧する締結位置に前記ピストンを向かわせるための締結油圧室と、
     前記ピストンの前記第1面に油圧を与え、前記摩擦板同士を解放状態とする解放位置に前記ピストンを向かわせるための解放油圧室と、
     油圧の出力ポートを有し、前記締結油圧室及び前記解放油圧室の各々に対し、油圧の供給と、その排出とを行う油圧制御弁と、
     前記油圧制御弁の前記出力ポートと前記締結油圧室とを連通させる第1油路、及び、前記出力ポートと前記解放油圧室とを連通させる第2油路と、を備え、
     前記ピストンの前記第2面における前記油圧の受圧面積が、前記第1面における前記油圧の受圧面積よりも大きく設定されていることを特徴とする自動変速機。
  2.  請求項1に記載の自動変速機において、
     前記ピストンは、前記締結油圧室と前記解放油圧室とを連通させる連通孔を備えている、自動変速機。
  3.  請求項2に記載の自動変速機において、
     前記連通孔には、前記締結油圧室から前記解放油圧室へ向かう油流を規制する規制部が設けられている、自動変速機。
  4.  請求項1~3のいずれか1項に記載の自動変速機において、
     前記第2油路には、前記解放油圧室の油圧が所定圧以上に上昇することを防止する減圧弁が備えられている、自動変速機。
  5.  請求項4に記載の自動変速機において、
     前記所定圧を変更する所定圧変更部をさらに備える、自動変速機。
  6.  請求項5に記載の自動変速機において、
     前記減圧弁は、複数のポートと、これらポート間の切り換えを行う弁体とを備え、前記複数のポートは、
      前記油圧制御弁の前記出力ポートに連通する第1ポートと、
      前記解放油圧室に連通する第2ポートと、
      前記第2ポートを通して、前記解放油圧室の油圧を排出するための第3ポートと、
      前記第2ポートからの出力油圧が印加されると共に、前記出力油圧を減圧させるように前記弁体を第1方向へ移動させるための第4ポートと、
      前記弁体を、前記第1方向とは反対の第2方向へ移動させるための第5ポートと、を含み、
     前記第5ポートには調整油圧が印加され、
     前記所定圧変更部は、前記所定圧を変更するために前記調整油圧を変更する、自動変速機。
  7.  請求項6に記載の自動変速機において、
     前記所定圧変更部は、前記第5ポートに連通する変更出力ポートを備え、前記調整油圧を制御する所定圧制御弁であって、
     前記所定圧制御弁は、前記変更出力ポートが常時閉とされるノーマルクローズ型のソレノイド弁である、自動変速機。
  8.  請求項1~7のいずれか1項に記載の自動変速機において、
     前記油圧制御弁がリニアソレノイド弁からなる、自動変速機。
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