JP2007247709A - 油圧式摩擦係合要素及び自動変速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】設置スペースを抑制できる伝達トルク容量を要求に応じて変える油圧式摩擦係合要素及び自動変速機を提供する。
【解決手段】プラネタリギヤユニット51のサンギヤ52とキャリヤ54とを異なる要求伝達トルク容量で締結するダイレクトクラッチ60を備え、動力がリングギヤ53に入力され、キャリヤ54から出力する自動変速機であって、キャリヤ54に結合されたクラッチドラム61に制御油圧室70を形成するピストン71と、ピストン71を介して制御油圧室70と対向するキャンセルチャンバ78を有する。要求伝達トルク容量に応じて制御油圧室70に制御油圧を供給し、或いは制御油圧室70に制御油圧を供給すると共にキャンセルチャンバ78に制御油圧室70の制御油圧に対向するキャンセル油圧を供給する。
【選択図】図4
【解決手段】プラネタリギヤユニット51のサンギヤ52とキャリヤ54とを異なる要求伝達トルク容量で締結するダイレクトクラッチ60を備え、動力がリングギヤ53に入力され、キャリヤ54から出力する自動変速機であって、キャリヤ54に結合されたクラッチドラム61に制御油圧室70を形成するピストン71と、ピストン71を介して制御油圧室70と対向するキャンセルチャンバ78を有する。要求伝達トルク容量に応じて制御油圧室70に制御油圧を供給し、或いは制御油圧室70に制御油圧を供給すると共にキャンセルチャンバ78に制御油圧室70の制御油圧に対向するキャンセル油圧を供給する。
【選択図】図4
Description
本発明は、異なる要求伝達トルク容量に応じて伝達トルク容量を変える油圧式摩擦係合要素及び自動変速機に関する。
従来、プラネタリギヤユニットを有する自動車用自動変速機は、変速時にそのプラネタリギヤユニットにおける動力伝達系路を変えるための複数の多板クラッチや多板ブレーキ等の油圧式摩擦係合要素が設けられている。
この自動変速機によっては油圧式摩擦係合要素、例えば多板クラッチを要求伝達トルク容量の異なる複数の変速段で締結させる必要が生じることがある。
このように要求伝達トルク容量が異なる場合、従来の伝達トルク容量が固定された多板クラッチにおいては、伝達トルク容量不足による滑りで焼損する事態を回避するために高い要求伝達トルク容量に合わせて設計されている。従って、要求伝達トルク容量の低い変速段においては変速時に伝達トルク容量が過大になって、その締結ショック、いわゆる変速ショックが生じる要因になる。
この対策として、要求伝達トルク容量が異なる場合でも伝達トルク容量を要求値に合致させ得るように、油圧式摩擦係合要素に制御油圧室を複数個設け、これらの制御油圧室のうち要求伝達トルク容量が達成できる制御油圧室に制御油圧を供給するように構成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、油圧式摩擦係合要素の制御油圧室内を区画ピストンで2室に区画し、要求伝達トルク容量に応じて1室或いは2室に制御油圧を供給するように構成するものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
上記特許文献1の油圧式摩擦係合要素によると、複数の制御油圧室うち要求伝達トルク容量が達成できる制御油圧室に適宜制御油圧を供給することによって、要求伝達トルク容量が異なる場合でも伝達トルク容量を要求値に合致させることができる。同様に特許文献2の油圧式摩擦形容要素においても、要求伝達トルク容量に応じて制御油圧室内を区画ピストンで区画した2室の内の1室或いは2室に制御油圧を供給することによって伝達トルク容量を要求値に合致させることができる。
しかし、特許文献1の油圧式摩擦係合要素によると、要求伝達トルク容量に応じて複数の制御油圧室を設けることから、その機構が複雑でかつ大型化して設置スペースの増大を招き、製造コストの増大や、重量の増大が懸念される。また、特許文献2の油圧式摩擦係合要素においても、要求伝達トルク容量に応じて制御油圧室内を区画ピストンで2室に区画することから、機構が複雑でかつ多くの設置スペースの増大を招き、製造コストの増大や重量の増大が懸念される。
更に、油圧式摩擦係合要素の設置スペースの増大に伴って、油圧式摩擦係合要素を備えた自動変速機の大型化や重量の増大を招くと共に、自動変速機の車載性に影響を及ぼすことが懸念される。
従って、かかる点に鑑みなされた本発明の第1の目的は、簡単な機構で小型化されて設置スペースが抑制でき、かつ伝達トルク容量を要求に応じて変える油圧式摩擦係合要素を提供することにある。
また、第2の目的は、簡単な機構で設置スペースを抑制でき、かつ伝達トルク容量を要求に応じて変える油圧式多板クラッチを備えた自動変速機を提供することにある。
上記第1の目的を達成する請求項1に記載の油圧式多板摩擦係合要素の発明は、動力伝動状態によって要求伝達トルク容量が異なる油圧式摩擦係合要素において、ドラムに装着された複数の摩擦板とハブに装着された複数の摩擦板とが交互に配置され、上記ドラムに形成された油圧室形成部に軸方向に移動自在に設けられて該油圧室形成部と協働して制御油圧室を形成すると共に該制御油圧室に供給される制御油圧により上記摩擦板に押圧力を付与するピストンと、該ピストンを介して上記制御油圧室と反対側に対向配置され該ピストンと協働してキャンセルチャンバを形成するリテーナと、上記制御油圧室に制御油圧を供給する制御油圧供給手段と、上記キャンセルチャンバに上記制御油圧より低い油圧のキャンセル油圧を供給するキャンセル油圧供給手段とを備え、要求伝達トルク容量に応じて上記制御油供給手段により上記制御油圧室に制御油圧を供給し、或いは上記制御油供給手段により上記制御油圧室に制御油圧を供給すると共に上記キャンセル油圧供給手段によりキャンセルチャンバにキャンセル油圧を供給することを特徴とする。
上記第2の目的を達成する請求項2に記載の自動変速機の発明は、異なる伝達トルク容量が要求される油圧式多板クラッチを備えた自動変速機において、上記油圧式多板クラッチは、クラッチドラムに装着された複数のクラッチプレートとクラッチハブに装着された複数のクラッチプレートとが交互に配置され、上記クラッチドラムに形成された油圧室形成部に軸方向に移動自在に設けられて該油圧室形成部と協働して制御油圧室を形成すると共に該制御油圧室に供給される制御油圧により上記交互に配置されたクラッチプレートに押圧力を付与するピストンと、該ピストンを介して上記制御油圧室と反対側に対向配置され該ピストンと協働してキャンセルチャンバを形成するリテーナと、上記制御油圧室に制御油圧を供給する制御油圧供給手段と、上記キャンセルチャンバに上記制御油圧より低い油圧のキャンセル油圧を供給するキャンセル油圧供給手段とを備え、要求伝達トルク容量に応じて上記制御油供給手段により上記制御油圧室に制御油圧を供給し、或いは上記制御油供給手段により上記制御油圧室に制御油圧を供給すると共に上記キャンセル油圧供給手段によりキャンセルチャンバにキャンセル油圧を供給することを特徴とする。
また、上記第2の目的を達成する請求項3に記載の自動変速機の発明は、動力がリングギヤに入力されキャリヤから出力するプラネタリギヤユニット及び該プラネタリギヤユニットのサンギヤとキャリヤとを異なる要求伝達トルク容量で締結する油圧式多板クラッチを備えた自動変速機において、上記油圧式多板クラッチは、上記キャリヤに結合されたクラッチドラムに装着された複数のクラッチプレートとサンギヤに結合されたクラッチハブに装着された複数のクラッチプレートとが交互に配置され、上記クラッチドラムに形成された油圧室形成部に軸方向に移動自在に設けられて該油圧室形成部と協働して制御油圧室を形成すると共に該制御油圧室に供給される制御油圧により上記交互に配置されたクラッチプレートに押圧力を付与するピストンと、該ピストンを介して上記制御油圧室と反対側に対向配置され該ピストンと協働してキャンセルチャンバを形成するリテーナと、上記制御油圧室に制御油圧を供給する制御油圧供給手段と、上記キャンセルチャンバに上記制御油圧より低い油圧のキャンセル油圧を供給するキャンセル油圧供給手段とを備え、要求伝達トルク容量に応じて上記制御油供給手段により上記制御油圧室に制御油圧を供給し、或いは上記制御油供給手段により上記制御油圧室に制御油圧を供給すると共に上記キャンセル油圧供給手段によりキャンセルチャンバにキャンセル油圧を供給することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3の自動変速機において、上記要求伝達トルク容量が高い要求伝達トルク容量と低い要求伝達トルク容量とに異なり、高い要求伝達トルク容量のときには該要求伝達トルク容量が達成できる制御油圧を上記制御油圧室に供給し、低い要求伝達トルク容量のときには上記制御油圧供給手段により上記高い要求伝達トルク容量が達成できる制御油圧を制御油圧室に供給すると共に上記キャンセル油圧供給手段により該高い要求伝達トルク容量から上記低い要求伝達トルク容量を減じた伝達トルク容量が得られるキャンセル油圧を供給することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4の自動変速機において、上記リテーナは、上記ピストンを介して制御油圧室と反対側に上記ピストンとクラッチドラムとの間に掛け渡されて配置され、キャンセルチャンバ内のキャンセル油圧が設定された微小圧以下ではキャンセルキャンバ内と外部を連通し該微小圧を越えると閉じるキャンセル油圧制御機構を備え、高い要求伝達トルク容量のときにキャンセル油圧供給手段によりキャンセルチャンバ内に上記微小圧以下のキャンセル油圧を供給保持することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5の自動変速機において、低い要求伝達トルク容量におけるキャンセル油圧室へのキャンセル油圧の供給に先立って予めキャンセル油圧室に微小圧のキャンセル油圧を供給保持することを特徴とする。
請求項1の発明によると、ピストンを介して制御油圧室と対向配置したキャンセルキャンバを備え、要求伝達トルク容量に応じて制御油圧室に制御油圧を供給し、或いは制御油圧室に制御油圧を供給すると共にキャンセルチャンバに制御油圧に対抗するキャンセル油圧を供給することにより、異なる要求伝達トルク容量が得られる。ピストンを介して制御油圧室と対向するリテーナによりピストンと協働してキャンセルチャンバを形成する簡単な構造で油圧式摩擦係合要素の小型化が得られ、油圧式摩擦係合要素の設置スペースの抑制ができる。
請求項2の発明によると、自動変速機に備えられた油圧式多板クラッチが、ピストンを介して制御油圧室と対向配置したキャンセルキャンバを備え、要求伝達トルク容量に応じて制御油圧室に制御油圧を供給し、或いは制御油圧室に制御油圧を供給すると共にキャンセルチャンバに制御油圧に対抗するキャンセル油圧を供給することにより異なった要求伝達トルク容量が得られる。ピストンを介して制御油圧室と対向するリテーナによりピストンとの間にキャンセルチャンバを形成する簡単な構造で油圧式多板クラッチの小型化が得られ、油圧式多板クラッチを備えた自動変速機の軽量小型化が得られる。更に、軽量小型化に伴って燃費の向上が得られると共に自動変速機の車載性が向上する。
請求項3の発明よると、プラネタリギヤユニットのリングギヤに入力し、サンギヤとキャリヤを油圧式多板クラッチによる締結によって減速してキャリヤから出力する自動変速機において、油圧式多板クラッチがキャリヤに結合されたクラッチドラムとサンギヤに結合されたクラッチハブを有し、ピストンを介して制御油圧室と対向配置したキャンセルキャンバを備え、要求伝達トルク容量に応じて制御油圧室に制御油圧を供給し、或いは制御油圧室に制御油圧を供給すると共にキャンセルチャンバに制御油圧に対抗するキャンセル油圧を供給することにより、サンギヤとキャリヤとの要求伝達トルク容量を変えることができる。ピストンを介して制御油圧室と対向するリテーナによりピストンとの間にキャンセルチャンバを形成する簡単な構造で油圧式多板クラッチの小型化が得られ、油圧式多板クラッチの設置スペースの抑制ができる。油圧式多板クラッチの設置スペースの抑制に伴って自動変速機の軽量小型化が得られ、燃費の向上が得られると共に自動変速機の車載性が向上する。
請求項4の発明によると、高い要求伝達トルク容量のときにはその要求伝達トルク容量が達成できる制御油圧を制御油圧室に供給し、低い要求伝達トルク容量のときには制御油圧供給手段により高い要求伝達トルク容量が達成できる制御油圧を制御油圧室に供給すると共にキャンセル油圧供給手段によりその高い要求伝達トルク容量から低い要求伝達トルク容量を減じた伝達トルク容量のキャンセル油圧を供給することにより、所期の高い要求伝達トルク容量と低い要求伝達トルク容量を得ることができる。
請求項5の発明によると、ピストンとクラッチドラムとの間にリテーナを配置することによってクラッチドラム内にキャンセルチャンバが形成され、油圧式多板クラッチの小型化が得られその油圧式多板クラッチの設置スペースをより抑制することができる。また、キャンセルチャンバ内のキャンセル油圧が設定された微小圧以下ではキャンセルキャンバ内と外部を連通し微小圧を越えると閉じるキャンセル油圧制御機構を備え、高い要求伝達トルク容量のときにキャンセル油圧供給手段によりキャンセルチャンバ内に微小圧以下のキャンセル油圧を供給保持することによりキャンセルチャンバを遠心油圧キャンセルチャンバとして機能させることができる。
請求項6の発明によると、低い要求伝達トルク容量におけるキャンセル油圧室へのキャンセル油圧の供給に先立って予めキャンセル油圧室に微小圧のキャンセル油圧を供給保持することによって、低い要求伝達トルク容量に変速した際の応答性を確保することができる。
以下、本発明に係る摩擦係合要素が自動変速機に備えられたダイレクトクラッチを例に実施の形態について図1乃至図7を参照して説明する。
図1は自動変速機Aの駆動系を概略的に示すスケルトン図である。図1において符号1は、エンジンのクランク軸であり、このクランク軸1と同軸上に入力軸2及び出力軸3が延在して配置され、トルクコンバータ5、主変速機部20、副変速機部50がエンジン側から順次配置されてトランスミッションケース4内に収容されている。
トルクコンバータ5はトランスミッションケース4に軸支される入力軸2に嵌合している。入力軸2の外周はトランスミッションケース4に結合されたステータ軸6によって回転自在に囲まれ、ステータ軸6にはインペラ7と一体的に結合されたオイルポンプドライブ軸7aが回転自在の嵌合している。
インペラ7はその外周がドライブプレート8を介してクランク軸1に結合することによってクランク軸1と一体的に回転駆動される。インペラ7と対向して入力軸2にスプライン嵌合するタービン9が配置され、インペラ7とタービン9の間においてステータ軸6にワンウエイクラッチを介してステータ10が支持されている。
更に、ドライブプレート8と入力軸2との間にはロックアップクラッチ11が介装されステータ軸6の基端にはオイルポンプドライブ軸7aによって常時駆動されるオイルポンプ12が設けられている。
そして、エンジンのクランク軸1が回転すると、クランク軸1に結合されたドライブプレート8を介してインペラ7が一体的に回転駆動され、インペラ7の回転により流動するオイルを介してタービン9にインペラ7と同方向のトルクを伝達することによってタービン9とスプライン嵌合する入力軸2を回転駆動する。更に、ステータ10によってタービン9から流出するオイルの流出方向をインペラ7の回転力を助長する方向に反転させてインペラ7のトルク増大を図っている。
一方、所定の車速或いは回転数に達したときロックアップクラッチ11によりドライブプレート8と入力軸2を直結状態、いわゆるトルクコンバータの滑りをなくし、その分エンジンの回転数を低下することによって燃費の節約及び静粛性の向上を図っている。
入力軸2と同軸上にフロントプラネタリギヤユニット21及びリヤプラネタリギヤユニット31を有する主変速機部20が配設されている。
フロントプラネタリギヤユニット21は、入力軸2に回転自在に嵌合するサンギヤ22と、リングギヤ23と、キャリヤ24に軸支されてサンギヤ22とリングギヤ23に各々噛み合う複数のピニオンギヤ25とを具備し、サンギヤ22は複数のピニオンギヤ25によって自己調芯がなされている。
リヤプラネタリギヤユニット31は、入力軸2にスプライン嵌合するサンギヤ32と、リングギヤ33と、フロントプラネタリギヤユニット21のリングギヤ23と一体的に結合するキャリヤ34と、このキャリヤ34に軸支されてサンギヤ32とリングギヤ33に各々噛み合う複数のピニオンギヤ35とを具備すると共に、キャリヤ34からの出力は中間軸36を介して副変速機50に設けられた出力側プラネタリギヤユニット51のリングギヤ53に入力される。
入力軸2とフロントプラネタリギヤユニット21との間には、入力軸2の動力を選択的にキャリヤ24に伝達するハイクラッチ41及び入力軸2の動力を選択的にサンギヤ22に伝達するリバースクラッチ42が介装され、トランスミッションケース4とサンギヤ22との間にこのサンギヤ22を選択的に回転係止してトランスミッションケース4にサンギヤ22を固定する3・5&6ブレーキ43が配置されている。
更に、キャリヤ24は、キャリヤ24と一体的に回転するロークラッチドラム26を有し、ロークラッチドラム26とリヤプラネタリギヤユニット31のリングギヤ33との間にキャリヤ24とリングギヤ33との間を選択的に動力伝達するロークラッチ44が設けられ、かつロークラッチドラム26とトランスミッションケース4との間にはローワンウエイクラッチ45及びロー&リバースブレーキ46が並列に設けられている。
副変速機部50は、主変速機部20の入力軸2と同軸上に延在する出力軸3と同軸上に配置された出力側プラネタリギヤユニット51を有し、出力側プラネタリギヤユニット51は、出力軸3に回転自在に嵌合するサンギヤ52と、中間軸36を介してリヤプラネタリギヤユニット31のキャリヤ34に動力伝達可能に連結するリングギヤ53と、キャリヤ54に軸支されてサンギヤ52とリングギヤ53に各々噛み合う複数のピニオンギヤ55とを具備し、キャリヤ54は出力軸3と動力伝達可能に連結されている。
サンギヤ52とトランスミッションケース4との間にはダイレクトワンウエイクラッチ56及びリダクションブレーキ90が並列に設けられている。更に、サンギヤ52とキャリヤ54との間にこれらサンギヤ52とキャリヤ54を選択的に締結するダイレクトクラッチ60が設けられている。
この主変速機部20及び副変速機部50に配置されたハイクラッチ41、リバースクラッチ42、3・5&6ブレーキ43、ロークラッチ44、ロー&リバースブレーキ46、ダイレクトクラッチ60、リダクションブレーキ90は油圧式多板クラッチや油圧式多板ブレーキ等の油圧式摩擦係合要素によって形成され、スロットル開度や車速に応じて予め設定されたトランスミッションコントロールユニット(TCU)からの変速指令により選択的に締結或いは締結解除することにより、走行状態に応じた前進段6速及び後進段1速の変速操作が行われる。
このように構成された自動変速機Aにあっては、副変速機50のダイレクトクラッチ60は、低段位となる2速時及び高段位となる6速時において締結して出力側プラネタリギヤユニット51のサンギヤ52とキャリヤ54を動力伝達可能に締結するが、主変速機20から中間軸36を介してリングギヤ53に入力され伝達トルクが6速時に対し2速時が極めて大きく、ダイレクトクラッチ60には、例えば6速時の伝達トルク容量に対し2速時においては約4倍の高い伝達トルク容量が要求される。ここで、ダイレクトクラッチ60の伝達トルク容量を2速時の低い伝達トルク容量に設定すると6速変速時には伝達トルク容量が過大になり締結ショック、即ち変速ショックが生じて円滑な変速の妨げとなる。一方、6速時の低い要求伝達トルク容量に設定すると2速時には伝達トルク容量が不足して滑りが発生して円滑な変速が達成できない事態が生じるおそれがある。
次に、出力側プラネタリギヤユニット51、2速及び6速時のそれぞれ異なる要求伝達トルク容量に応じた伝達トルク容量が確保できるダイレクトクラッチ60、ダイレクトワンウエイクラッチ56、リダクションブレーキ90等を備えた副変速機50の具体的構成について図2乃至図6を参照して説明する。
図2は、副変速機50の概要を示す断面図、図3及び図4は図2の要部拡大図であり図3は2速時におけるダイレクトクラッチ60の締結状態を、図4は6速時におけるダイレクトクラッチ60の締結状態を示している。図5は油圧制御回路図である。
副変速機50は、入力軸2と同軸上で延在する出力軸3がトランスミッションケース4に設けられた中空状の固定軸49及びニードルベアリングを介してトランスミッションケース4に回転自在に軸支され、出力軸3の前端部に出力側プラネタリギヤユニット51のキャリヤ54を動力伝達可能に支持するフランジ状のプラネタリギヤ取付部3aが一体に形成され、出力軸3のプラネタリギヤ取付部3aと固定軸49の先端部との間に出力側プラネタリギヤユニット51が配置されている。
出力側プラネタリギヤユニット51は、サンギヤ52が出力軸3に回転自在に嵌合すると共に、プラネタリギヤ取付部3aと固定軸49の先端部と間にスラストベアリングを介して支持されて軸方向の移動が規制されている。リングギヤ53が入力軸2及び出力軸3と同軸上に配置された中空状の中間軸36を介してリヤプラネタリギヤユニット31のキャリヤ35に動力伝達可能に連結されている。サンギヤ52とリングギヤ53に共に噛み合う複数のピニオンギヤ54がプラネタリギヤ取付部3aに支持されたキャリヤ55のピニオン軸55aにニードルベアリング54aを介して回転自在に軸支されている。
ダイレクトクラッチ60は、出力側プラネタリギヤユニット51のサンギヤ52に結合されたクラッチドラム61とキャリヤ55に結合されたクラッチハブ65を有し、サンギヤ52とキャリヤ55との間にバイパスして動力伝達可能に介設される。
クラッチドラム61は、固定軸49に嵌合して回転自在に軸支されて先端がサンギヤ52に結合される中空軸部62と、中空軸部62の基端から略円板状に拡径して外周に沿って円筒状のシリンダ部63aが形成された油圧室形成部63と、油圧室形成部63の外周から円筒状に連続形成された外筒部64を有し、外筒部64の内周面に軸方向に延在する複数のスプライン溝64aが形成されている。
一方、クラッチハブ65は、基端部がキャリヤ55に結合された円筒状で外周面に軸方向に延在する複数のスプライン溝66aが形成された内筒部66を有している。
このスプライン溝66aに内周が嵌合して装着された複数の摩擦板であるクラッチプレート67aとスプライン溝64aに外周が嵌合して装着された複数のクラッチプレート67bが、クラッチハブ65の内筒部66とクラッチドラム61の外筒部64の間に交互に複数配置され、クラッチドラム61の外筒部64の内周面先端にスナップリング67dによって固定されたリテーニングプレート67cによって抜け止めされている。
クラッチドラム61の油圧室形成部63に嵌合して油圧室形成部63と協働して制御油圧室70を形成し、該制御油圧室70内に供給された制御油圧でクラッチプレート67a、67bに押圧力を付与するピストン71が軸方向に移動自在に設けられている。ピストン71は、中空軸部62の外周面に液密的に摺動可能に嵌合する内周縁72aから中空軸部62との間に間隙を有して軸方向に延在する中空状の基部72と、基部72の基端からクラッチドラム61の油圧室形成部63に沿って拡径されて外周にシリンダ部63aに摺接可能な嵌合部73aを有して油圧形成部63との間に制御油圧室70を形成するピストン本体73と、ピストン本体73の嵌合部73aから円筒状に延設された押圧部74を有している。
ピストン71を介して制御油圧室70と反対側に、スナップリング75によって内周縁76aが中空軸部62に係止され、かつ外周縁76bがピストン71の押圧部74の内周面に摺接可能なリテーナ76がピストン71のピストン本体73と対向して中空軸部62と押圧部74との間に掛け渡されて配置されている。このリテーナ76とピストン71との協働によって制御油圧室70と対向してキャンセルチャンバ78が形成されている。リテーナ76とピストン71のピストン本体73との間に軸方向に延在して弾装されたリターンスプリング79によってピストン71に常時押圧力が付与されている。このようにキャンセルチャンバ78をクラッチドラム61内に収容して配置することによってダイレクトクラッチ60の小型化を図っている。なお、リテーナ76の内周縁76aには、この内周縁76aと中空軸部62との間をシールするシール部材77aが配設され、リテーナ76の外周縁76bに外周縁76bとピストン71の押圧部73の内周面との間を摺動可能にシールするシール部材77bが配設されている。
リテーナ76に、キャンセルチャンバ78内のキャンセル油圧を調圧するキャンセル油圧制御機構80が設けられている。キャンセル油圧制御機構80は、筒状のホルダ81とホルダ81内に移動可能に収容されたボール82によって構成されている。ホルダ81は、その基端部がリテーナ76に開口する取付孔に嵌合して固定され、かつキャンセルチャンバ78と反対側に突出する先端部側が縮径されてエア導入孔81aが開口して、キャンセルチャンバ78内と外部とを連通している。キャンセルチャンバ78に開口するホルダ81の基端部にはホルダ81内に移動自在に収容されたボール82の移動を規制するストッパが形成されている。
ホルダ81内に移動自在に収容されたボール82は、キャンセルチャンバ78内に供給されるキャンセル油圧によりホルダ81の先端部側に押圧付与され、予め設定されたキャンセル油圧によってエア導入孔81aを塞閉する一方、キャンセルチャンバ78内のキャンセル油圧解除により減圧されるとボール82の押圧付与がなくなりエア導入孔81aが開放されて図3に矢印で示すようにエア導入孔81aからホルダ82を介してエアがキャンセルチャンバ78内に進入する。より詳細には、キャンセルチャンバ78内のキャンセル油圧が予め設定された微小圧以下ではエア導入孔81aはボール82により塞閉されることなく開放状態が維持され、キャンセルチャンバ78内のキャンセル油圧が所定値を越えると、そのキャンセル油圧によりボール82が押動されてエア導入孔81aが閉じられる。
更に、クラッチドラム61の中空軸部62には、固定軸49に穿設された制御油圧供給路49aからの制御油圧を制御油圧室70に導入すると共に制御油圧室70内の制御油圧をドレンする制御油圧供給孔62aが開口すると共に、固定軸49に穿設されたキャンセル油圧供給路49bからのキャンセル油圧をキャンセルチャンバ78内に導入すると共にキャンセルチャンバ78内のキャンセル油圧をドレンするキャンセル油圧供給孔62bが開口している。なお、固定軸49の制御油圧供給孔49a及びキャンセル油圧供給路49bは、それぞれ後述する油圧制御回路100から予め設定された制御油圧及びキャンセル油圧が供給される。
固定軸49とダイレクトクラッチ60のクラッチドラム61との間にクラッチドラム61の逆回転を防止するダイレクトワンウエイクラッチ57が設けられている。
トランスミッションケース4とダイレクトクラッチ60のクラッチドラム61との間にリダクションブレーキ90が設けられている。リダクションブレーキ90は、トランスミッションケース4の内周に形成されたブレーキドラム91と、ダイレクトクラッチ60のクラッチドラム61に形成されたブレーキハブ92を有し、ブレーキドラム91の内周面に軸方向に延在する複数のスプライン溝91aが形成され、ブレーキハブ92の外周面に軸方向に延在する複数のスプライン溝92aが形成されている。
このスプライン溝91aに外周が嵌合するブレーキプレート93aとスプライン溝92aに内が嵌合するブレーキプレート93bが、ブレーキドラム91とブレーキハブ92の間に交互に複数配置され、ブレーキドラム91の内周面先端にスナップリング93dによって固定されたリテーニングプレート93cによって抜け止めされている。
トランスミッションケース4に制御油圧室94を形成し、該制御油圧94の制御油圧でブレーキプレート93a、93bに押圧力を付与するピストン95が設けられている。
ピストン95の制御油圧室94と反対側に、内周縁が固定軸49に係止された、リテーナ96が配置されている。このリテーナ96とピストン95との間に弾装されたリターンスプリング97によってピストン95に常時押圧力が付与されている。更に、トランスミッションケース4には制御油圧を制御油圧室94に導入すると共に制御油圧室94内の制御油圧をドレンする制御油圧供給路4aが形成され、油圧制御回路100から予め設定された制御油圧が制御油圧供給路4aから制御油圧室94に供給される。
図5は、主変速機部20に配置されたハイクラッチ41、リバースクラッチ42、3・5&6ブレーキ43、ロークラッチ44、ロー&リバースブレーキ46及び副変速機部50のダイレクトクラッチ60、リダクションブレーキ90等の各油圧式摩擦係合要素に予め設定された制御油圧を供給及びドレンする油圧制御回路100である。なお、図の簡素化のため主変速機部20のハイクラッチ41、リバースクラッチ42、3・5&6ブレーキ43、ロークラッチ44、ロー&リバースブレーキ46への制御油圧の供給及びドレンする回路は省略してある。
油圧制御回路100は、ダイレクトクラッチコントロールバルブ101、キャンセルチャンバコントロールバルブ103、リダクションブレーキコントロールバルブ105、及びこれらの各バルブに対応して配置されたダイレクトクラッチソレノイド102、キャンセルチャンバソレノイド104、リダクションブレーキソレノイド106を有し、制御油圧供給手段となるダイレクトクラッチコントロールバルブ101の出口側は固定軸49に形成された制御油圧供給路49a及び中空軸部62の制御油圧供給孔62aを介してダイレクトクラッチ61の制御油圧室70に、キャンセル油圧供給手段となるキャンセルチャンバコントロールバルブ103は固定軸49のキャンセル油圧供給路49b及び中空軸部62のキャンセル油圧供給孔62bを介してキャンセルチャンバ78にそれぞれ接続され、リダクションブレークコントロールバルブ105はトランスミッションケース4に形成された制御油圧供給路4aを介してダイレクトブレーキ90の制御油圧室94に連通している。
オイルポンプ110からのライン圧PLが、油路L1、L3、L5を介してそれぞれダイレクトクラッチコントロールバルブ101、キャンセルチャンバコントロールバルブ103、リダクションブレーキコントロールバルブ105の各バルブに供給される。またパイロットバルブ108によって調圧されたパイロット油圧がダイレクトクラッチソレノイド102、キャンセルチャンバソレノイド104リダクションブレーキソレノイド106によって切り替え制御されてそれぞれ油路L2、L4、L6を介してダイレクトクラッチコントロールバルブ101、キャンセルチャンバコントロールバルブ103、リダクションブレーキコントロールバルブ105のサーボアプライ圧として供給される。
このように構成され油圧制御回路100により、ダイレクトクラッチソレノイド102の開によりダイレクトクラッチコントロールバルブ101からダイレクトクラッチ60の制御油圧室70に制御油圧油が供給される。一方、ダイレクトクラッチソレノイド102の閉によりダイレクトクラッチコントロールバルブ101が閉じられて制御油圧室70への制御油圧の供給が停止し、制御油圧室70内の制御油圧がドレンする。
同様に、キャンセルチャンバソレノイド104の開により油路L3からキャンセルチャンババルブ103に供給された制御油圧が予め設定されたほぼ一定の減圧比、例えば75〜80%減圧されたキャンセル油圧がキャンセルチャンバ78に供給される。一方、ダイレクトクラッチソレノイド102の閉によりダイレクトクラッチコントロールバルブ101が閉じられて制御油圧室70への制御油圧が供給され停止し、制御油圧室70内の制御油圧がドレンする。
リダクションブレーキソレノイド106の開によりリダクションブレーキコントロールバルブ105からリダクションブレーキ90の制御油圧室94に制御油圧が供給される。一方、ダイレクトクラッチソレノイド106の閉によりダイレクトクラッチコントロールバルブ105が閉じられて制御油圧室94への制御油圧が供給され停止し、制御油圧室94内の制御油圧がドレンする。
次に、このように構成された自動変速機の作用を図6に示す係合要素作動説明図に従って副変速機部50を主に説明する。この作動説明図において○印は対応する油圧式摩擦係合要素が締結及びローワンウエイクラッチ45、ダイレクトワンウエイクラッチ56が動力伝達状態であることを示している。また。●印はエンジンブレーキ時に締結することを示している。
先ずエンジンの動力は、クランク軸1からトルクコンバータ5を介して入力軸2に入力する。ここで、パーキング(P)レンジ、ニュートラル(N)レンジでは、多板摩擦係合要素が解放されて、リヤプラネタリギヤユニット31のサンギヤ32が回転するものの空転して動力伝達遮断状態となり、これ以降の動力伝達はしなくなる。
次に前進段となるドライブ(D)レンジに設定された場合について説明する。
1速時では、予め設定されたスロットル開度や車速に応じてTCUからの変速指令によりロークラッチ44が締結し、ローワンウエイクラッチ45及びダイレクトワンウエイクラッチ56が動力伝達状態であり、その他のクラッチ及びブレーキは解放状態に制御する。
従って、入力軸2からの動力はリヤプラネタリギヤユニット31のサンギヤ32に入力される一方、ロークラッチとローワンウエイクラッチ45の作用によりロークラッチドラム26の逆転が防止されてリングギヤ33が固定されることからキャリヤ34の回転が減速されて、中間軸36を介して出力側プラネタリギヤ51のリングギヤ53に動力伝達される。ここで、ダイレクトワンウエイクラッチ56によって出力側プラネタリギヤユニット51のサンギヤ52の逆転が防止されることから、キャリヤ54の回転が減速されて1速ギヤ比となり、キャリヤ54から出力軸3に伝達される。また、この1速時においてエンジンブレーキ時には、ロー&リバースブレーキ46が締結してリヤプラネタリギヤユニット31のリングギヤ33をトランスミッションケース4に固定すると共に、油圧制御回路100のリダクションブレーキソレノイド106の開制御によりリダクションブレーキ90の制御油圧室94に制御油圧が供給され、この制御油圧によりピストン95を介してブレーキプレート93a、93bに押圧力が付与されてリダクションブレーキ90が締結する。このリダクションブレーキ90の締結により出力側プラネタリギヤ51のサンギヤ52をトランスミッションケース4に固定してエンジンブレーキの作動を確保する。
2速時には、TCUからの変速指令によりロークラッチ44が締結すると共に、副変速機部50において油圧制御回路100のダイレクトクラッチソレノイド102の開制御によりダイレクトクラッチコントロールバルブ101からダイレクトクラッチ60の制御油圧室70に制御油圧が供給して必要圧まで上昇させる。この制御油圧によりピストン71を介してクラッチプレート67a、67bに押圧力が付与されてダイレクトクラッチ60が締結し、ローワンウエイクラッチ45が動力伝達状態であり、その他のクラッチ及びブレーキは解放状態に制御する。
従って、1速と同様に入力軸2からの動力は、リヤプラネタリギヤユニット31のサンギヤ32に入力に入力される一方、ロークラッチ44とローワンウエイクラッチ45の作用によりロークラッチドラム26の逆転が防止されてリングギヤ33が固定されることからキャリヤ34の回転が減速されて、中間軸36を介して出力側プラネタリギヤ51のリングギヤ53に動力伝達される。
ここで、ダイレクトクラッチ60の締結によって出力側プラネタリギヤユニット51のサンギヤ52とキャリヤ54が締結されてリングギヤ52とキャリヤ54が一体的に回転し、出力側プラネタリユニット51において変速されることなく2速ギヤ比となり、キャリヤ54から出力軸3に伝達される。このダイレクトクラッチ60のピストン71には制御油圧室70に供給された制御油圧によりピストン71を押圧するダイレクトクラッチ制御圧P1が作用し、このダイレクトクラッチ制御圧P1の押圧力によりクラッチプレート67a、67bに押圧力を付与してダイレクトクラッチ60が締結し、サンギヤ52とキャリヤ54を動力伝達可能に締結する。このときのダイレクトクラッチ60の伝達トルク、即ちクラッチトルクが、図7に示す「供給圧−クラッチトルク特性」に実線で示すように供給圧に比例して増加する2速時の要求伝達トルク容量に相応する伝達トルクが確保できる。
また、このダイレクトクラッチ60の締結時において制御油圧室70に供給された制御油圧がダイレクトクラッチ60の回転に伴う遠心力を受け、いわゆる遠心油圧が制御油圧室70に発生し、この遠心油圧によりピストン71を締結方向に押圧付勢する不具合を解消するために、油圧制御回路100のキャンセルチャンバソレノイド104の開閉制御によりキャンセルチャンババルブコントロールバルブ103からキャンセルチャンバ78に微小圧のキャンセル油圧を供給してキャンセルチャンバ78内に保持する。キャンセルチャンバ78内に保持されたキャンセル油圧によって制御油圧室70に発生する遠心油圧によるピストン71の押動を抑制する。即ちキャンセルチャンバ78が遠心油圧キャンセルチャンバとして機能する。
この微小圧のキャンセル油圧付与状態にあっては、キャンセル油圧制御機構80のホルダ81に収容されたボール82がエア導入孔81cを塞閉することなくエア導入孔81cが連通状態に保持され、過剰のキャンセル油圧はエア導入孔81cから流出してキャンセルチャンバ78内のキャンセル油圧は微小圧以下に保持され、ダイレクトクラッチ制御圧P1による2速時のクラッチトルク特性に影響することはない。
この2速時においてエンジンブレーキ時には、ロー&リバースブレーキ46が締結してリヤプラネタリギヤユニット31のリングギヤ33をトランスミッションケース4に固定してエンジンブレーキの作動を確保する。
3速時には、TCUからの変速指令により3・5&6ブレーキ43、ロークラッチ44を締結し、ダイレクトワンウエイクラッチ56が動力伝達状態であり、その他のクラッチ及びブレーキは解放状態に制御する。即ち、3・5&6ブレーキ43によりフロントプラネタリギヤユニット21のサンギヤ22をトランスミッションケース4に固定し、ロークラッチ44の締結によってフロントプラネタリギヤユニット21のキャリヤ24とリヤプラネタリギヤユニット31のリングギヤ33がロークラッチドラム26を介して一体的に結合すると共に、ダイレクトワンウエイクラッチ56により出力側プラネタリギヤユニット51のサンギヤ52の逆回転を防止する。
従って、入力軸2からの動力がリヤプラネタリギヤユニット31のサンギヤ32に入力され、サンギヤ32の回転によりキャリヤ34の回転を受けたフロントプラネタリギヤユニット31のリングギヤ23がキャリヤ24を減速させ、この減速回転をロークラッチドラム26及びロークラッチ44経由でリヤプラネタリギヤユニット31のリングギヤ33に入力する。ここで、リヤプラネタリギヤユニット31のキャリヤ34をフロントプラネタリギヤユニット31のキャリヤ24で減速した回転がリングギヤ33に入り、リングギヤ33はキャリヤ34の回転より遅い回転で回転駆動され、しかもキャリヤ34と同方向に回転することによりこの回転をキャリヤ34の回転に付加してキャリヤ34の回転を速める。そのためキャリヤ34は1速及び2速時よりもリングギヤ33の回転分だけ速くなる。
このキャリヤ34の回転が、中間軸36を介して出力側プラネタリギヤ51のリングギヤ53に動力伝達される。ここで、ダイレクトワンウエイクラッチ56によって出力側プラネタリギヤユニット51のサンギヤ52の逆転が防止されることから、更にキャリヤ54の回転が減速されて3速ギヤ比となり、キャリヤ54から出力軸3に伝達される。
また、この3速時においてエンジンブレーキ時には、油圧制御回路100のリダクションブレーキソレノイド106の開制御によりリダクションブレーキ90の制御油圧室94に制御油圧が供給され、この制御油圧によりピストン95を介してブレーキプレート93a、93bに押圧力が付与されてリダクションブレーキ90が締結して出力側プラネタリギヤ51のサンギヤ52をトランスミッションケース4に固定してエンジンブレーキの作動を確保する。
4速時には、ハイクラッチ41、ロークラッチ44を締結し、ダイレクトワンウエイクラッチ56が動力伝達状態であり、その他のクラッチ及びブレーキは解放状態に制御する。
従って、ハイクラッチ41及びロークラッチ44の締結によって、出力軸2からの動力はリヤプラネタリギヤユニット31のサンギヤ32と、ハイクラッチ41からフロントプラネタリギヤユニット21のキャリヤ24、ロークラッチドラム26及びロークラッチ44を介してリングギヤ33に同時に入力され、キャリヤ34も一体回転して入力軸2に対して1対1の直結回転してキャリヤ34から中間軸36を介して出力側プラネタリギヤユニット51のリングギヤ53に動力伝達する。ここで、ダイレクトワンウエイクラッチ56によって出力側プラネタリギヤユニット51のサンギヤ52の逆転が防止されることから、キャリヤ54の回転が減速されて4速ギヤ比となり、キャリヤ54から出力軸3に伝達される。
また、この4速時においてエンジンブレーキ時には油圧制御回路100のリダクションブレーキソレノイド106の開によりリダクションブレーキ90の制御油圧室94に制御油圧が供給されてリダクションブレーキ90が締結し、出力側プラネタリギヤ51のサンギヤ52をトランスミッションケース4に固定してエンジンブレーキの作動を確保する。
5速時には、TCUからの変速指令によりハイクラッチ41、3・5&6ブレーキ43を締結し、ダイレクトワンウエイクラッチ56が動力伝達状態であり、その他のクラッチ及びブレーキは解放状態に制御する。
従って、3・5&6ブレーキ43が結合によりフロントプラネタリギヤユニット21のサンギヤ22を固定し、ハイクラッチ41の締結によって入力軸2からの出力はフロントプラネタリギヤユニット21のキャリヤ24に入力し、リングギヤ23を増速させてリングギヤ23からリヤプラネタリギヤユニット31のキャリヤ34を介して増速されたオーバードライブ回転を中間軸36を介して出力側リヤプラネタリギヤユニット51のリングギヤ53に動力伝達する。ここで、ダイレクトワンウエイクラッチ56によって出力側プラネタリギヤユニット51のサンギヤ52の逆転が防止されることから、キャリヤ54の回転が減速されて5速ギヤ比となり、キャリヤ54から出力軸3に伝達される。
また、この5速時においてエンジンブレーキ時には油圧制御回路100のリダクションブレーキソレノイド106の開制御によりリダクションブレーキ90の制御油圧室94に制御油圧が供給されてリダクションブレーキ90が締結し、出力側プラネタリギヤ51のサンギヤ52をトランスミッションケース4に固定してエンジンブレーキの作動を確保する。
6速時には、TCUからの変速指令によりハイクラッチ41、3・5&6ブレーキ43を締結すると共に、副変速機部50において油圧制御回路100のダイレクトクラッチソレノイド102の開制御によりダイレクトクラッチコントロールバルブ101からダイレクトクラッチ60の制御油圧室70に制御油圧を供給し、かつキャンセルチャンバソレノイド104の開によりキャンセルチャンバコントロールバルブ103からキャンセルチャンバ78に制御油圧室70の制御油圧に対抗するキャンセル油圧を供給してダイレクトクラッチ60を締結し、その他のクラッチ及びブレーキは解放状態に制御する。
従って、3・5&6ブレーキ43の結合によりフロントプラネタリギヤユニット21のサンギヤ22を固定し、ハイクラッチ41の締結によって入力軸2からの出力はフロントプラネタリギヤユニット21のキャリヤ24に入力し、リングギヤ23を増速させてリングギヤ23からリヤプラネタリギヤユニット31のキャリヤ34を介して増速されたオーバードライブ回転が中間軸36を介して出力側リヤプラネタリギヤユニット51のリングギヤ53に動力伝達される。
ダイレクトブレーキ60によって出力側プラネタリギヤユニット51のサンギヤ52とキャリヤ54が締結されてリングギヤ52とキャリヤ54が一体的に回転し、出力側プラネタリユニット51において変速されることなく6速ギヤ比となり、キャリヤ54から出力軸3に伝達される。
ここで、この6速時のダイレクトクラッチ60の締結にあたり、予め5速状態において油圧制御回路100のキャンセルチャンバソレノイド104の開閉制御によりキャンセルチャンババルブコントロールバルブ103の開によりキャンセルチャンバ78内に微小圧のキャンセル油圧を供給して保持しておく。このキャンセルチャンバ78が微小圧のキャンセル油圧で満たされた状態において、TCUからの変速指令によりキャンセルチャンバコントロールバルブ104の開により油路L3からのライン圧PLをキャンセルコントロールバルブ103によって予め設定された減圧比で減圧したキャンセル油圧をキャンセルチャンバ78に供給する。これにより上昇するキャンセル油圧により応動するキャンセル油圧制御機構80のボール82によりエア導入孔81cを塞閉してキャンセルチャンバ78内を必要圧まで上昇させると共に、油圧制御回路100のダイレクトクラッチソレノイド102の開により油路L1からのライン圧PLをダイレクトクラッチコントロールバルブ101からダイレクトクラッチ60の制御油圧室70に必要圧まで制御油圧を供給する。
これによりピストン71には制御油圧室70に供給された制御油圧によりピストン71に押圧力を付与するダイレクトクラッチ制御圧P1と、このダイレクトクラッチ制御圧P1に対抗するキャンセルチャンバ78に供給されたチャンバ油圧によりピストン71を押圧付与するキャンセルチャンバ制御圧P2が作用し、ピストン71はダイレクトクラッチ制御圧P1からキャンセルチャンバ制御圧P2を減じた押圧力P(P=P1−P2)によりクラッチプレート67a、67bを押圧してダイレクトクラッチ60が締結し、サンギヤ52とキャリヤ54を動力伝達可能に締結する。このときのダイレクトクラッチ60の伝達トルク、即ちクラッチトルクが、図7に示す「供給圧−クラッチトルク特性」に破線で示すように供給圧に比例して増加する6速時の要求伝達トルク容量に相応する伝達トルクが確保できる。
また、ダイレクトクラッチ60が解放された5速時において変速指令に先立って予めキャンセルチャンバ78内を微小圧のチャンバ油圧を保持することによって、変速指令に基づくキャンセルチャンバ78にキャンセル油圧を供給開始後、キャンセル油圧の上昇に伴って瞬時にキャンセル油圧制御機構80のエア導入孔81aがボール82によって閉じられ、ダイレクトクラッチ60の応答遅れが回避できて適切のダイレクトクラッチ60の作動が確保できる。
一方、後進段となるリバース(R)レンジでは、リバースクラッチ42、ロー&リバースブレーキ46、リダクションブレーキ90が締結し、その他のクラッチ及びブレーキは解放状態に制御する。
従って、ロー&リバースブレーキ46の締結によってロークラッチドラム26を介してフロントプラネタリギヤユニット21のキャリヤ24がトランスミッションケース4に固定され、入力軸2からの動力はリバースクラッチ42を介してフロントプラネタリギヤユニット21のサンギヤ22を回転駆動する。サンギヤ22の回転によりリングギヤ23をサンギヤ22の回転に対して減速して逆方向に回転せしめ、いわゆる後退回転をリングギヤ23と結合するリヤプラネタリギヤユニット31のキャリヤ35から中間軸36を介して出力側プラネタリギヤユニット51のリングギヤ53に動力伝達する。ここで、リダクションブレーキ90によって出力側プラネタリギヤユニット51のサンギヤ52がトランスミッションケース4に固定されることから、キャリヤ54の回転が減速されて後進速ギヤ比となり、キャリヤ54から出力軸3に伝達される。
従って、本実施の形態によると、副変速機部50に配設された出力側プラネタリギヤユニット51のサンギヤ52とキャリヤ54を締結する要求伝達トルク容量が比較的大きき2速時と要求伝達トルク容量が比較的小さい6速時において、要求伝達トルク容量が高い2速時には制御油圧室70に供給される制御油圧による2速時の要求伝達トルク容量に設定されたダイレクトクラッチ制御圧P1によって締結する一方、要求クラッチトルクが低い6速時には制御油圧室70に制御油圧を供給すると共にキャンセルチャンバ78にキャンセル油圧を供給してダイレクトクラッチ制御圧P1をこのダイレクトクラッチ制御圧P1に対向するキャンセルチャンバ制御圧P2により低減させて6速時の要求クラッチトルクに設定された押圧力P(=P1−P2)によって締結することから、要求伝達トルク容量に対応する適切な伝達トルクが確保できる。
換言すると、2速時には、2速時における高い要求伝達トルク容量が達成できる制御油圧を制御油圧室70に供給し、6速時には、2速における高い要求伝達トルク容量が達成できる制御油圧を制御油圧室70に供給すると共に6速における高い要求伝達トルク容量から2速時における低い要求伝達トルク容量を減じた伝達トルク容量分のキャンセル油圧をキャンセルチャンバ78に供給することにより6速時における要求伝達トルク容量が確保できる。
更にキャンセルチャンバ78がクラッチドラム61内に形成され、かつ遠心油キャンセルチャンバを兼備することからダイレクトクラッチ60の小型化が得られ、その設置スペースを抑制できる。また、別途遠心油圧キャンセルチャンバを配置する必要がなく簡単な機構で構成できる。このダイレクトクラッチ60の小型化により設置スペースの抑制が得られ、設置スペースの抑制に伴って自動変速機の小型及び軽量化が得られ、自動変速機の車載性及び燃費の向上が得られる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では要求伝動トルク容量が比較的高い2速時には制御油圧室70に供給される制御油圧により締結し、要求伝動トルク容量が低い6速時には制御油圧室70に制御油圧を供給すると共にキャンセルチャンバ78にキャンセル油圧を供給して6速時の要求伝動トルク容量に設定された押圧力によって締結したが、例えばターボ過給機等を備えエンジンにおいては比較的エンジントルクが大きいターボ過給機作動時に制御油圧室70に供給される制御油圧により締結し、比較的エンジントルクが小さいターボ過給機の停止時に制御油圧室70に制御油圧を供給すると共にキャンセルチャンバ78にキャンセル油圧を供給して低減させた押圧力により締結することもできる。制御油圧室70に制御油圧を供給すると共にキャンセルチャンバ78にキャンセル油圧を供給した状態で、キャンセル油圧を調整することによって、ダイレクトクラッチ60をスリップ状態に制御することができる。
また、上記実施の形態ではエア導入孔81が開口する筒状のホルダ81及びホルダ81内に移動可能に保持されたボール82により構成したが、キャンセルチャンバ78内のチャンバ油圧が微小圧以下で連通すると共に微小圧を越えると閉じるワンウエイバルブ等によって、或いはオリフィスによって構成することができる。また、ダイレクトクラッチに限定されることなく、締結容量を要求に応じて可変する他の油圧式多板クラッチや油圧式多板ブレーキ等の油圧式摩擦係合要素に適用することができる。
A 自動変速機
2 入力軸
3 出力軸
4 トランスミッションケース
20 主変速部
21 フロントプラネタリギヤユニット
31 リヤプラネタリギヤユニット
41 ハイクラッチ
42 リバースクラッチ
43 3・5&6ブレーキ
44 ロークラッチ
45 ローワンウエイクラッチ
46 ロー&リバースブレーキ
50 副変速機部
51 出力側プラネタリギヤユニット(プラネタリギヤユニット)
52 サンギヤ
53 リングギヤ
54 キャリヤ
55 ピニオンギヤ
56 ダイレクトワンウエイクラッチ
60 ダイレクトクラッチ(油圧式多板摩擦係合要素、油圧式多板クラッチ)
61 クラッチドラム
62 中空軸部
63 油圧室形成部
65 クラッチハブ
67a、67b クラッチプレート(摩擦板)
70 制御油圧室
71 ピストン
76 リテーナ
78 キャンセルチャンバ
80 キャンセル油圧制御機構
81 ホルダ
81a エア導入孔
82 ボール
90 リダクションブレーキ
100 油圧制御回路
101 ダイレクトクラッチコントロールバルブ(制御油圧供給手段)
103 キャンセルチャンバコントロールバルブ(キャンセル油圧供給手段)
105 リダクションブレークコントロールバルブ
2 入力軸
3 出力軸
4 トランスミッションケース
20 主変速部
21 フロントプラネタリギヤユニット
31 リヤプラネタリギヤユニット
41 ハイクラッチ
42 リバースクラッチ
43 3・5&6ブレーキ
44 ロークラッチ
45 ローワンウエイクラッチ
46 ロー&リバースブレーキ
50 副変速機部
51 出力側プラネタリギヤユニット(プラネタリギヤユニット)
52 サンギヤ
53 リングギヤ
54 キャリヤ
55 ピニオンギヤ
56 ダイレクトワンウエイクラッチ
60 ダイレクトクラッチ(油圧式多板摩擦係合要素、油圧式多板クラッチ)
61 クラッチドラム
62 中空軸部
63 油圧室形成部
65 クラッチハブ
67a、67b クラッチプレート(摩擦板)
70 制御油圧室
71 ピストン
76 リテーナ
78 キャンセルチャンバ
80 キャンセル油圧制御機構
81 ホルダ
81a エア導入孔
82 ボール
90 リダクションブレーキ
100 油圧制御回路
101 ダイレクトクラッチコントロールバルブ(制御油圧供給手段)
103 キャンセルチャンバコントロールバルブ(キャンセル油圧供給手段)
105 リダクションブレークコントロールバルブ
Claims (6)
- 動力伝動状態によって要求伝達トルク容量が異なる油圧式摩擦係合要素において、
ドラムに装着された複数の摩擦板とハブに装着された複数の摩擦板とが交互に配置され、
上記ドラムに形成された油圧室形成部に軸方向に移動自在に設けられて該油圧室形成部と協働して制御油圧室を形成すると共に該制御油圧室に供給される制御油圧により上記摩擦板に押圧力を付与するピストンと、
該ピストンを介して上記制御油圧室と反対側に対向配置され該ピストンと協働してキャンセルチャンバを形成するリテーナと、
上記制御油圧室に制御油圧を供給する制御油圧供給手段と、
上記キャンセルチャンバに上記制御油圧より低い油圧のキャンセル油圧を供給するキャンセル油圧供給手段とを備え、
要求伝達トルク容量に応じて上記制御油供給手段により上記制御油圧室に制御油圧を供給し、或いは上記制御油供給手段により上記制御油圧室に制御油圧を供給すると共に上記キャンセル油圧供給手段によりキャンセルチャンバにキャンセル油圧を供給することを特徴とする油圧式摩擦係合要素。 - 異なる伝達トルク容量が要求される油圧式多板クラッチを備えた自動変速機において、
上記油圧式多板クラッチは、
クラッチドラムに装着された複数のクラッチプレートとクラッチハブに装着された複数のクラッチプレートとが交互に配置され、
上記クラッチドラムに形成された油圧室形成部に軸方向に移動自在に設けられて該油圧室形成部と協働して制御油圧室を形成すると共に該制御油圧室に供給される制御油圧により上記交互に配置されたクラッチプレートに押圧力を付与するピストンと、
該ピストンを介して上記制御油圧室と反対側に対向配置され該ピストンと協働してキャンセルチャンバを形成するリテーナと、
上記制御油圧室に制御油圧を供給する制御油圧供給手段と、
上記キャンセルチャンバに上記制御油圧より低い油圧のキャンセル油圧を供給するキャンセル油圧供給手段とを備え、
要求伝達トルク容量に応じて上記制御油供給手段により上記制御油圧室に制御油圧を供給し、或いは上記制御油供給手段により上記制御油圧室に制御油圧を供給すると共に上記キャンセル油圧供給手段によりキャンセルチャンバにキャンセル油圧を供給することを特徴とする自動変速機。 - 動力がリングギヤに入力されキャリヤから出力するプラネタリギヤユニット及び該プラネタリギヤユニットのサンギヤとキャリヤとを異なる要求伝達トルク容量で締結する油圧式多板クラッチを備えた自動変速機において、
上記油圧式多板クラッチは、
上記キャリヤに結合されたクラッチドラムに装着された複数のクラッチプレートとサンギヤに結合されたクラッチハブに装着された複数のクラッチプレートとが交互に配置され、
上記クラッチドラムに形成された油圧室形成部に軸方向に移動自在に設けられて該油圧室形成部と協働して制御油圧室を形成すると共に該制御油圧室に供給される制御油圧により上記交互に配置されたクラッチプレートに押圧力を付与するピストンと、
該ピストンを介して上記制御油圧室と反対側に対向配置され該ピストンと協働してキャンセルチャンバを形成するリテーナと、
上記制御油圧室に制御油圧を供給する制御油圧供給手段と、
上記キャンセルチャンバに上記制御油圧より低い油圧のキャンセル油圧を供給するキャンセル油圧供給手段とを備え、
要求伝達トルク容量に応じて上記制御油供給手段により上記制御油圧室に制御油圧を供給し、或いは上記制御油供給手段により上記制御油圧室に制御油圧を供給すると共に上記キャンセル油圧供給手段によりキャンセルチャンバにキャンセル油圧を供給することを特徴とする自動変速機。 - 上記要求伝達トルク容量が高い要求伝達トルク容量と低い要求伝達トルク容量とに異なり、
高い要求伝達トルク容量のときには該要求伝達トルク容量が達成できる制御油圧を上記制御油圧室に供給し、低い要求伝達トルク容量のときには上記制御油圧供給手段により上記高い要求伝達トルク容量が達成できる制御油圧を制御油圧室に供給すると共に上記キャンセル油圧供給手段により該高い要求伝達トルク容量から上記低い要求伝達トルク容量を減じた伝達トルク容量が得られるキャンセル油圧を供給することを特徴とする請求項2または3に記載の自動変速機。 - 上記リテーナは、
上記ピストンを介して制御油圧室と反対側に上記ピストンとクラッチドラムとの間に掛け渡されて配置され、
キャンセルチャンバ内のキャンセル油圧が設定された微小圧以下ではキャンセルキャンバ内と外部を連通し該微小圧を越えると閉じるキャンセル油圧制御機構を備え、
高い要求伝達トルク容量のときにキャンセル油圧供給手段によりキャンセルチャンバ内に上記微小圧以下のキャンセル油圧を供給保持することを特徴とする請求項4に記載の自動変速機。 - 低い要求伝達トルク容量におけるキャンセル油圧室へのキャンセル油圧の供給に先立って予めキャンセル油圧室に微小圧のキャンセル油圧を供給保持することを特徴とする請求項5に記載の自動変速機。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2006069248A JP2007247709A (ja) | 2006-03-14 | 2006-03-14 | 油圧式摩擦係合要素及び自動変速装置 |
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JP2006069248A JP2007247709A (ja) | 2006-03-14 | 2006-03-14 | 油圧式摩擦係合要素及び自動変速装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014050727A1 (ja) * | 2012-09-26 | 2014-04-03 | ジヤトコ株式会社 | 自動変速機及びその制御方法 |
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2006
- 2006-03-14 JP JP2006069248A patent/JP2007247709A/ja active Pending
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WO2014050727A1 (ja) * | 2012-09-26 | 2014-04-03 | ジヤトコ株式会社 | 自動変速機及びその制御方法 |
JP5844914B2 (ja) * | 2012-09-26 | 2016-01-20 | ジヤトコ株式会社 | 自動変速機及びその制御方法 |
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