JP6276951B2 - 耐蒸気性に優れた無端状シール部材及びバルブ - Google Patents

耐蒸気性に優れた無端状シール部材及びバルブ Download PDF

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Description

本発明は、耐蒸気性に優れた無端状シール部材及びバルブに関する。
従来、ボールバルブは、流体抵抗が小さく、バルブ形状が球状でコンパクトであり、構造が比較的単純で部品点数が少なくメンテナンスも容易であるため、一般家庭の上下水道から電力業界及び天然ガスパイプラインに至るまで幅広く採用されている(例えば、非特許文献1参照)。
フローティング型ボールバルブやトラニオン型ボールバルブにおいては、シートリテーナなどに複数のOリングを備えている。特に、使用温度が170℃を超える場合、例えば、流路を流れる水の温度が170℃を超えている場合には、Oリングの材質として高価なテトラフルオロエチレン−パープルオロビニルエーテル(以下、FFKM)が用いられる場合がある。FFKM製のOリングは、耐熱性と耐薬品性に大変優れた性能を有する。
しかしながら、FFKMは高価な高分子材料であり、その製品であるFFKM製のOリングも高価である。そこで、価格がFFKM製のOリングの数十分の一のフッ化ビニリデン系のOリングで代替してコストダウンすることが望まれている。フッ化ビニリデン系のOリングは、一般に補強材としてカーボンブラックを配合するが、そのままではFFKMに比べて耐熱性、耐久性及び高温時のシール性に劣るため、FFKMのOリングを代替することができない。
また、フッ化ビニリデン系の3元系の含フッ素エラストマー(以下、FKM)を用いたOリングとして、カーボンナノファイバーを配合した炭素繊維複合材料製のOリングが開発されている(例えば、特許文献1,2参照)。カーボンナノファイバーを配合した炭素繊維複合材料製のOリングは、カーボンブラックを配合した従来のOリングでは得られない高い耐熱性を得ることができる。しかしながら、これらの3元系FKM製のOリングでは、170℃を超える水蒸気暴露試験における体積変化が比較的大きく、耐蒸気性がFFKM製のOリングに及ばないため、これまで採用されていない。
特開2012−149761号公報 国際公開WO2009/125503号公報
株式会社キッツのホームページに掲載の「ボールバルブ総合カタログ」、[2012年8月18日検索]、インターネット<http://www.kitz.co.jp/product/pdf/ben/J−201−50.pdf>
そこで、本発明の目的は、3元系の含フッ素エラストマーを用いた耐蒸気性に優れた無端状シール部材及びその無端状シール部材を備えたバルブを提供することにある。
本発明に係る耐蒸気性に優れた無端状シール部材は、
3元系の含フッ素エラストマー100質量部に対し、カーボンナノファイバーを5質量部〜12質量部と、瀝青炭粉砕物を5質量部〜40質量部と、を含み、
200℃の水蒸気中での144時間暴露による水蒸気暴露試験の前後における体積変化率が0%を超え20%未満であり、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が9nm〜20nmであり、かつ、下記式(1)で定義される剛直度が2.5以上、4.0以下であり、
前記瀝青炭粉砕物は、平均粒径が1μm〜100μmであることを特徴とする。
本発明に係る耐蒸気性に優れた無端状シール部材は、
3元系の含フッ素エラストマー100質量部に対し、カーボンナノファイバーを5質量部〜12質量部と、瀝青炭粉砕物を5質量部〜40質量部と、を含み、
0.2MPa〜0.3MPaの圧力で80℃のブタジエンガスが100体積%の雰囲気中における720時間暴露による耐ブタジエン性評価試験の前後における引張強さの変化率が−10%以下であり、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が9nm〜20nmであり、かつ、下記式(1)で定義される剛直度が2.5以上、4.0以下であり、
前記瀝青炭粉砕物は、平均粒径が1μm〜100μmであることを特徴とする。
剛直度=Lx÷D (1)
Lx:カーボンナノファイバーの屈曲していない直線部分の長さ
D:カーボンナノファイバーの平均直径
本発明に係る耐蒸気性に優れた無端状シール部材によれば、高温の水蒸気暴露試験における体積変化が小さく、耐蒸気性に優れることができる。また、本発明に係る耐蒸気性に優れた無端状シール部材によれば、これまでFFKMしか採用されなかった耐蒸気性が要求される用途に適用することができ、しかも、3元系の含フッ素エラストマーを用いることでコストダウンすることができる。
本発明に係る耐蒸気性に優れた無端状シール部材において、
前記無端状シール部材中の3元系の含フッ素エラストマーは、パーオキサイド架橋されてなることができる。
本発明に係る耐蒸気性に優れた無端状シール部材において、
3元系の含フッ素エラストマーは、フッ素含有量が69質量%以上、72質量%以下であることができる。
本発明に係るバルブは、
流路の一部を形成する貫通孔を有するボールと、
前記ボールを回転自在に収容するキャビティと流体が流入する流入口と該流体が排出される流出口とを有するボデーと、
前記ボールを前記キャビティ内で回転させて前記流入口と前記流出口との連通状態を切り替えるステムと、
前記ボールの一方の外周面と接触して前記流路と前記キャビティとを液密にシールする無端状のシートと、
前記シートを前記キャビティ内の所定位置に保持する無端状のシートリテーナと、
を有し、
前記シートリテーナと前記キャビティとの間に、耐蒸気性に優れた前記無端状シール部材を備えることを特徴とする。
本発明に係るバルブによれば、シートリテーナとキャビティとの間に配置された無端状シール部材が耐蒸気性に優れているので、高温の水蒸気にさらされてもシール部材の体積変化が小さく、シートリテーナとキャビティとの間の液密状態を維持することができる。また、高温の蒸気にさらされてもシール部材の体積変化が小さいことによって、シートリテーナがキャビティに対して流路方向に移動することを許容することができる。さらに、
無端状シール部材にFFKMではなく3元系の含フッ素エラストマーを用いることによって、バルブのコストダウンを図ることができる。
本発明に係るバルブにおいて、
前記ステムと前記ボデーとの間に、耐蒸気性に優れた前記無端状シール部材をさらに備えることができる。
本実施の形態で用いたオープンロール法による含フッ素エラストマー30とカーボンナノファイバー40と瀝青炭粉砕物42との混練法を模式的に示す図である。 第1の実施の形態に係るバルブの縦断面図である。 第2の実施の形態に係るバルブの一部を切り欠いた斜視図である。 耐蒸気性試験に用いるねじ込み形内ねじ式仕切弁の縦断面図である。 図4におけるカラーを拡大して示す部分拡大縦断面図である。 無端状シール部材の耐モノマー性を評価する評価装置の概略構成図である。 実施例2及び参考例14のサンプルの電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の一実施の形態にかかる耐蒸気性に優れた無端状シール部材は、3元系の含フッ素エラストマー100質量部に対し、カーボンナノファイバーを5質量部〜12質量部と、瀝青炭粉砕物を5質量部〜40質量部と、を含み、200℃の水蒸気中での144時間暴露による水蒸気暴露試験の前後における体積変化率が0%を超え20%未満であり、前記カーボンナノファイバーは、平均直径が9nm〜20nmであり、かつ、剛直度が2.5以上、4.0以下であり、前記瀝青炭粉砕物は、平均粒径が1μm〜100μmであることを特徴とする。
本発明に係る耐蒸気性に優れた無端状シール部材は、3元系の含フッ素エラストマー100質量部に対し、カーボンナノファイバーを5質量部〜12質量部と、瀝青炭粉砕物を5質量部〜40質量部と、を含み、0.2MPa〜0.3MPaの圧力で80℃のブタジエンガスが100体積%の雰囲気中における720時間暴露による耐ブタジエン性評価試験の前後における引張強さの変化率が−10%以下であり、前記カーボンナノファイバーは、平均直径が9nm〜20nmであり、かつ、剛直度が2.5以上、4.0以下であり、前記瀝青炭粉砕物は、平均粒径が1μm〜100μmであり、ことを特徴とする。
本発明の一実施の形態にかかるバルブは、流路の一部を形成する貫通孔を有するボールと、前記ボールを回転自在に収容するキャビティと流体が流入する流入口と該流体が排出される流出口とを有するボデーと、前記ボールを前記キャビティ内で回転させて前記流入口と前記流出口との連通状態を切り替えるステムと、前記ボールの外周面と接触して前記流路と前記キャビティとを液密にシールする無端状のシートと、前記シートを前記キャビティ内の所定位置に保持する無端状のシートリテーナと、を有し、前記シートリテーナと前記キャビティとの間に、耐蒸気性に優れた前記無端状シール部材を備えることを特徴とする。
(I)3元系の含フッ素エラストマー
本実施の形態に用いられる3元系の含フッ素エラストマーは、分子中にフッ素原子を含むフッ化ビニリデン系の合成ゴムであり、3元系フッ素ゴムとも呼ばれ、例えば、フッ化ビニリデン(VDF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)−テトラフルオロエチレン(TFE)3元共重合体(VDF−HFP−TFE)、フッ化ビニリデン(VDF)−パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(FMVE)−テトラフルオロエチレン(TFE)3元共重合体(VDF−HFP−TFE)などが挙げられる。
3元系の含フッ素エラストマーとしては、例えば、デュポン社製の商品名バイトン、ダイキン工業社製の商品名ダイエルGなどをあげることができる。以下の説明では、3元系の含フッ素エラストマーをFKMと省略することがある。FKMは、重量平均分子量が好ましくは50,000〜300,000であることができる。FKMの分子量がこの範囲であると、FKM分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、FKMはカーボンナノファイバーを分散させるために良好な弾性を有することができる。FKMは、粘性を有しているので凝集したカーボンナノファイバーの相互に侵入しやすく、さらに弾性を有
することによってカーボンナノファイバー同士を分離することができる。FKMの重量平均分子量が50,000より小さいと、FKM分子が相互に充分に絡み合うことができず、後の工程で剪断力をかけても弾性が小さいためカーボンナノファイバーを分散させる効果が小さくなる傾向がある。また、FKMの重量平均分子量が300,000より大きいと、FKMが固くなりすぎて加工が困難となる傾向がある。
FKMは、パーオキサイド架橋することができる。FKMをパーオキサイド架橋することによって、圧縮永久ひずみが比較的小さく、耐薬品性に優れ、そして耐蒸気性にも優れた無端状シール部材を製造することができる。また、パーオキサイド架橋したFKMは、ポリオール架橋したFKMに比べて耐熱老化性に劣る傾向があるが、カーボンナノファイバーと瀝青炭粉砕物を適切に配合することによって、耐熱老化性を向上させることができる。FKMのパーオキサイド架橋に用いる有機過酸化物としては、一般にゴムのパーオキサイド架橋に使用できるものであれば特に制限なく使用することができ、例えば第3ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、第3ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ジ(第3ブチルパーオキシ)−3,3,3−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ジ(第3ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパーオキシベンゾエート、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n−ブチル−4,4−ジ(第3ブチルパーオキシ)バレレート等を用いることができる。有機過酸化物は、3元系FKM100質量部当り約0.5〜6質量部、好ましくは約1〜5質量部の割合で用いることができる。
有機過酸化物によるパーオキサイド架橋に際しては、多官能性不飽和化合物、例えばトリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド等を、併用することができる。
また、FKMに対して、ゴムの一般的な配合剤として用いられているホワイトカーボン等の補強剤、タルク、クレー、グラファイト、けい酸カルシウム等の充填剤、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス等の加工助剤、老化防止剤、可塑剤等を必要に応じて適宜添加して用いることができる。
FKMは、フッ素含有量が64質量%〜72質量%、ムーニー粘度(ML1+10100℃)の中心値が47〜97、ガラス転移点が0℃以下であることができる。さらに、FKMは、フッ素含有量が69質量%〜72質量%であることができる。フッ素含有量が64質量%以上であると耐熱性に優れ、特にフッ素含有量が69質量%以上であると耐薬品性にすぐれることができる。また、フッ素含有量が72質量%以下であれば市場において入手可能である。また、ムーニー粘度(ML1+10100℃)の中心値が47以上であると引張強さ(TS)や圧縮永久ひずみ(CS)などの基本要求性能を有することができ、ムーニー粘度(ML1+10100℃)の中心値が97以下であれば適度な粘度を有するので加工することができる。
FKMは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって、30℃、観測核がHで測定した、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が好ましくは30ないし100μ秒、より好ましくは45ないし60μ秒である。上記範囲のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)を有することにより、フッ素ゴムは、柔軟で充分に高い分子運動性を有することができ、すなわちカーボンナノチューブを分散させるために適度な弾性を有することになる。また、フッ素ゴムは粘性を有しているので、フッ素ゴムとカーボンナノチューブとを混合したときに、フッ素ゴムは高い分子運動によりカーボンナ
ノチューブの相互の隙間に容易に侵入することができる。スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が30μ秒より短いと、フッ素ゴムが充分な分子運動性を有することができない。また、スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が100μ秒より長いと、フッ素ゴムが液体のように流れやすく、弾性が小さい(粘性は有している)ため、カーボンナノチューブを分散させることが困難となる。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られるスピン−スピン緩和時間は、物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、パルス法NMRを用いたハーンエコー法によりFKMのスピン−スピン緩和時間を測定すると、緩和時間の短い第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する第1の成分と、緩和時間のより長い第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する第2の成分とが検出される。第1の成分は高分子のネットワーク成分(骨格分子)に相当し、第2の成分は高分子の非ネットワーク成分(末端鎖などの枝葉の成分)に相当する。そして、第1のスピン−スピン緩和時間が短いほど分子運動性が低く、FKMは固いといえる。また、第1のスピン−スピン緩和時間が長いほど分子運動性が高く、FKMは柔らかいといえる。
パルス法NMRにおける測定法としては、ハーンエコー法でなくてもソリッドエコー法、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)あるいは90゜パルス法でも適用できる。ただし、本発明にかかる無端状シール部材は中程度のスピン−スピン緩和時間(T2)を有するので、ハーンエコー法が最も適している。一般的に、ソリッドエコー法および90゜パルス法は、短いT2の測定に適し、ハーンエコー法は、中程度のT2の測定に適し、CPMG法は、長いT2の測定に適している。
FKMは、カーボンナノファイバー、特にその末端のラジカルに対して親和性を有するハロゲン基を有する。カーボンナノファイバーは、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっている。また、FKMの主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーのラジカルと親和性(反応性または極性)が高いハロゲン基を有することにより、FKMとカーボンナノファイバーとを結合することができる。このことにより、カーボンナノファイバーの凝集力にうち勝ってその分散を容易にすることができる。
FKMは、未架橋体のままカーボンナノファイバーと混練することができる。
(II)カーボンナノファイバー
本実施の形態にかかる無端状シール部材は、FKM100質量部に対して、カーボンナノファイバーを5質量部〜12質量部含む。カーボンナノファイバーは凝集しやすく、一般に凝集体のままマトリクスに分散させることが多いが、無端状シール部材におけるカーボンナノファイバーは凝集体ではなく、解繊された状態でFKMマトリックス中に分散して存在する。カーボンナノファイバーの配合量は、瀝青炭粉砕物との配合量と相互に補完しながら5質量部〜12質量部の間で調整することで無端状シール部材の耐蒸気性を向上させることができる。カーボンナノファイバーが5質量部以上であると耐蒸気性を向上させることができ、カーボンナノファイバーが12質量部以下であれば圧縮永久ひずみを小さく抑えることができる。無端状シール部材は圧縮永久ひずみを小さく抑えることによって、シール性を良好に維持することができる。
カーボンナノファイバーは、平均直径が9nmを超え20nm以下であり、かつ、下記式(1)で定義される剛直度が2.5以上、4.0以下である。
剛直度=Lx÷D (1)
Lx:カーボンナノファイバーの屈曲していない直線部分の長さ
D:カーボンナノファイバーの平均直径
FKMに平均直径が9nmを超え20nm以下であり、かつ、剛直度が2.5以上、4.0以下のカーボンナノファイバーを配合することによって、カーボンナノファイバーが3元系の含フッ素エラストマーを取り囲むセルが比較的小さないわゆるナノセルが形成されるため、無端状シール部材の優れた耐蒸気性及び耐摩耗性を有することができる。一般に10nm級のカーボンナノファイバーとして入手可能なカーボンナノファイバーの平均直径は9nmを超え20nm以下であり、その中でも剛直度の比較的低いもの、すなわち、屈曲していない直線部分が短いものを用いることができる。平均直径が20nmを超えるカーボンナノファイバーを用いると無端状シール部材の耐蒸気性が低下する傾向がある。剛直度が4.0以下のカーボンナノファイバーを用いることによって、無端状シール部材の圧縮永久ひずみを小さく抑えることができる。
カーボンナノファイバーの平均直径及び平均長さは、走査型電子顕微鏡による例えば5,000倍の撮像(カーボンナノファイバーのサイズによって適宜倍率は変更できる)から200箇所以上の直径及び平均長さを計測し、その算術平均値として計算して得ることができる。
カーボンナノファイバーの剛直度は、カーボンナノファイバーの剛直性を示すものであって、顕微鏡などで撮影した多数のカーボンナノファイバーの屈曲していない直線部分の長さと直径とを測定し、前記式(1)で計算することで得られる。カーボンナノファイバーの屈曲部分(欠陥)は、電子顕微鏡で繊維を幅方向に横切る白い線として写る。カーボンナノファイバーの屈曲していない直線部分の長さをLxとし、カーボンナノファイバーの平均直径をDとしたとき、剛直度はLx÷Dで定義される。したがって、剛直度が小さいカーボンナノファイバーは短い間隔で折れ曲がっていることを示し、剛直度が大きいカーボンナノファイバーは直線部分が長く、あまり屈曲しておらず剛直であることを示す。カーボンナノファイバーの直線部分の長さLxの測定は、1万〜5万倍で撮影したカーボンナノファイバーの写真データを例えば2〜10倍に拡大した状態で行なうことができる。拡大表示した写真では、繊維を幅方向に横切る屈曲部分(欠陥)確認することができる。このようにして確認した隣接する屈曲部分(欠陥)の間隔を、カーボンナノファイバーの屈曲していない直線部分の長さLxとして複数箇所計測して行なう。
カーボンナノファイバーは、炭素六角網面のグラファイトの1枚面(グラフェンシート)を巻いて筒状にした形状を有する多層構造を有し、多層カーボンナノチューブ(MWNT:マルチウォールカーボンナノチューブ)、気相成長炭素繊維などと呼ばれる。
このようなカーボンナノファイバーは、各種気相成長法により製造することができる。気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、カーボンナノファイバーを合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。カーボンナノファイバーは、例えばベンゼン、トルエン、天然ガス等の有機化合物を原料に、フェロセン等の遷移金属触媒の存在下で、水素ガスとともに800℃〜1300℃で熱分解反応させることによって得ることができる。また、カーボンナノファイバーは、ホウ素、炭化ホウ素、ベリリウム、アルミニウム、ケイ素等の黒鉛化触媒と共に例えば2300℃〜3200℃で黒鉛化処理することができる。
カーボンナノファイバーは、エラストマーと混練される前に、あらかじめ表面処理、例えば、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などを行うことによって、エラストマーとの接着性やぬれ性を改善することができる。
(III)瀝青炭粉砕物
本実施の形態にかかる無端状シール部材は、瀝青炭粉砕物を5質量部〜40質量部含む。瀝青炭粉砕物は安価に入手可能であるため、要求される耐蒸気性を満足する範囲で瀝青炭粉砕物を多く配合することでコストダウンが可能である。また、瀝青炭粉砕物は、カーボンナノファイバーには及ばないものの、カーボンブラックに比べて、無端状シール部材における耐蒸気性を向上させることができる。
したがって、瀝青炭粉砕物の配合量を多くしてカーボンナノファイバーの配合量を少なくすることでコストダウンすることができ、カーボンナノファイバーの配合量が多く硬度が高ければ瀝青炭粉砕物を少量配合することで適度な硬度でありながら高い耐蒸気性を得ることができる。例えば、カーボンナノファイバーが5質量部であるときは、優れた蒸気性を備え、かつ、シール部材に用いることができる適度な硬度にするために、瀝青炭粉砕物の配合量を40質量部以下に抑えることができる。また、例えば、カーボンナノファイバーが12質量部であるときは、優れた蒸気性を備え、かつ、シール部材に用いることができる適度な硬度にするために瀝青炭粉砕物を5質量部以上配合することができる。ここで、JIS K6253で測定した無端状シール部材の硬度(Hs(JIS A))は、86〜92であることができ、カーボンナノファイバーの配合量に応じて瀝青炭粉砕物の配合量を選択することによって、この硬度の範囲で調整することができる。無端状シール部材の硬度(Hs(JIS A))が86以上であると耐蒸気性に優れることができる。
瀝青炭粉砕物の配合量は、カーボンナノファイバーの配合量に応じて、下記式(2)〜(4)を満たすことができる。
5≦x≦12 (2)
5≦y≦40 (3)
60−5x≦y≦65−5x (4)
(ここで、xはカーボンナノファイバーの配合量(質量部)であり、yは瀝青炭粉砕物の配合量(質量部)である。)
上記式(2)〜(4)を満たすように適宜カーボンナノファイバーと瀝青炭粉砕物の配合量を調整することによって、耐蒸気性に優れた無端状シール部材を得ることができる。
瀝青炭粉砕物(bitumious coal)は、石炭の一種で高品位炭と呼ばれる瀝青炭(JIS M1002の石炭分類でB1、B2、C)を含む石炭一般を、平均粒径1μm〜100μmに粉砕したものである。さらに、瀝青炭粉砕物の平均粒径は1μm〜20μmであることができる。瀝青炭粉砕物の平均粒径が1μm以上であれば効率よく無端状シール部材の耐蒸気性を向上することができ、平均粒径が100μm以下であればFKMの強度を向上できる。平均粒径は、市販されている場合はメーカーで平均粒径を測定し公表しているが、瀝青炭粉砕物を走査型電子顕微鏡の撮像によって観察して単一粒子(基本粒子)とみなしての粒子直径を2000個以上測定して算術平均値として求めることができる。また、瀝青炭粉砕物は、比重が1.6以下であることができ、さらに1.35以下であることができる。
(IV)無端状シール部材を得る工程
本実施の形態では、無端状シール部材を得る工程として、図1を用いてロール間隔が0.5mm以下の薄通しを行なうオープンロール法を用いた例について述べる。
図1は、2本のロールを用いたオープンロール法を模式的に示す図である。図1において、符号10は第1のロールを示し、符号20は第2のロールを示す。第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、例えば1.5mmの間隔で配置されている。第1および第2のロールは、正転あるいは逆転で回転する。図示の例では、第1のロール10および第2のロール20は、矢印で示す方向に回転している。
まず、第1,第2のロール10,20が回転した状態で、第1のロール10に、FKM30を巻き付けると、ロール10,20間にFKMがたまった、いわゆるバンク32が形成される。このバンク32内にまず必要に応じて瀝青炭粉砕物42を加えて混練し、さらにカーボンナノファイバー40を加えて、第1、第2のロール10,20を回転させると、FKM30と瀝青炭粉砕物42とカーボンナノファイバー40の混合物が得られる。ロールに投入する順番はこれに限らない。この混合物をオープンロールから取り出す。さらに、第1のロール10と第2のロール20の間隔dを、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.1ないし0.5mmの間隔に設定し、得られた混合物をオープンロールに投入して薄通しを行なう。薄通しの回数は、例えば3回〜10回程度行なうことが好ましい。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05ないし3.00であることが好ましく、さらに1.05ないし1.2であることが好ましい。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。
このようにして得られた剪断力により、FKM30に高い剪断力が作用し、凝集していたカーボンナノファイバー40がFKM分子に1本ずつ引き抜かれるように相互に分離し、FKM30に分散されたゴム組成物が得られる。
また、カーボンナノファイバー40の投入に先立って、瀝青炭粉砕物42をバンク32に投入することで、ロールによる剪断力は瀝青炭粉砕物42のまわりに乱流状の流動を発生させ、カーボンナノファイバー40をFKM30により均一に分散させることができる。
この工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、FKMとカーボンナノファイバーとの混合は、0ないし50℃で行うことができ、さらに、5ないし30℃の比較的低い温度で行うことができる。このような低温での薄通しは、FKMがゴム弾性を有しているので、カーボンナノファイバーを効率よく解繊し、かつ、マトリックス中に分散することができる。
このとき、本実施の形態のFKMは、上述した特徴、すなわち、FKMの分子形態(分子長)や分子運動によって表される弾性と、粘性と、カーボンナノファイバーとの化学的相互作用と、を有することによってカーボンナノファイバーの分散を容易にするので、分散性および分散安定性(カーボンナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた無端状シール部材を得ることができる。より具体的には、FKMとカーボンナノファイバーとを混合すると、粘性を有するFKMがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、FKMの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合する。この状態で、分子長が適度に長く、分子運動性の高い(弾性を有する)FKMとカーボンナノファイバーとの混合物に強い剪断力が作用すると、FKMの移動に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、さらに剪断後の弾性によるFKMの復元力によって、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて解繊し、FKM中に分散されることになる。
本実施の形態によれば、薄通しによって混合物が狭いロール間から押し出された際に、FKMの弾性による復元力で混合物はロール間隔より厚く変形する。その変形は、強い剪断力の作用した混合物をさらに複雑に流動させ、カーボンナノファイバーを解繊しながらFKM中に分散させると推測できる。そして、一旦分散したカーボンナノファイバーは、FKMとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
FKMにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程は、上記オープンロール法に限定されず、密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。要するに、この工程では、凝集したカーボンナノファイバーを分離できる剪断力をFKMに与えることができればよい。
本工程(混合・分散工程)によって得られたゴム組成物を、架橋剤によって例えばパーオキサイド架橋して所定形状に成形して無端状シール部材を得ることができる。なお、FKMとカーボンナノファイバーとの混合・分散工程において、あるいは続いて、通常、ゴムなどのFKMの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知の例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを挙げることができる。例えば、瀝青炭粉砕物以外の充填剤として、シリカ、クレー、タルクなどを配合することができる。
(V)無端状シール部材
本実施の形態にかかる無端状シール部材は、200℃の飽和水蒸気中での144時間暴露による水蒸気暴露試験の前後における体積変化率が0%を超え20%未満であるさらに、無端状シール部材は、当該体積変化率が5%を超え13%未満であることができる。無端状シール部材の水蒸気暴露試験の前後における体積変化率が0%を超え20%未満であることで良好なシール性を維持することができる。特に、無端状シール部材を装着する溝は、一般に充填率が75%程度となるように設計されるため、無端状シール部材の体積変化率が20%未満であれば、溝から体積変化した無端状シール部材がはみ出すことがなく、良好なシール性を維持することができる。ここで、水蒸気暴露試験を144時間に設定しているのは、一般的な石油化学プラントにおいて、飽和水蒸気を72時間流す定期メンテナンスを2回実施する用途を想定していることによる。
本実施の形態にかかる無端状シール部材は、動的粘弾性試験を行った200℃における損失正接(tanδ)が0.075未満であることができ、さらに0.070以下であることができる。無端状シール部材の200℃における損失正接(tanδ)は、高温(200℃)におけるシール性を判断する基準の一つであり、損失正接(tanδ)が低ければゴム弾性に優れることから高温においてもシール性が良好であることを示す。
また、本実施の形態にかかる無端状シール部材は、JIS K6257の熱老化試験として大気圧下で、空気中、260℃、70時間放置し、その熱老化試験前後のゴム硬度変化量(ΔHs)が±15以内であることができ、引張強さ変化率(ΔTS)が±35%以内、破断伸び変化率(ΔEb)が−50%〜30%の範囲内であることができる。ここで、ゴム硬度変化量はJIS K6253による硬さ試験におけるゴム硬度変化量(ΔHs=Hs(試験後)−Hs(試験前))であることができ、引張強さ変化率及び破断伸び変化率はJIS K6251による引張試験における引張強さ変化率(ΔTS=(TS(試験後)−TS(試験前)/TS(試験前)×100)及び破断伸び変化率(ΔEb=(Eb(試験後)−Eb(試験前)/Eb(試験前)×100)であることができる。
無端状シール部材を構成するフッ素ゴムを膨潤し得る低分子の有機化合物としては、重合反応における重合性モノマー、反応性(重合性)オリゴマーなどが挙げられる。特に、ボールバルブは、合成ゴムや合成樹脂などの重合反応炉の配管に用いられることがあり、重合反応炉に導入される重合性モノマーや反応性オリゴマーが無端状シール部材を膨潤し、劣化する。このような膨潤や劣化は、無端状シール部材の機械的強度の低下、無端状シール部材内の微細なクラックの発生及び無端状シール部材のシール性の低下などとして現れる。重合性モノマーや反応性オリゴマーによる耐性を総称して耐モノマー性という。一般的には、重合性モノマーなどの流体を用いる配管用の無端状シール部材には耐モノマー性に優れたパーフルオロエラストマー(FFKM)製のシール部材が用いられる。しかし
、パーフルオロエラストマー(FFKM)は無端状シール部材のような消耗材としては比較的高価であり、低価格化が求められている。一方、フッ素ゴムの中でもFFKMに比べて安価なFKMにあっては、重合性モノマーによる膨潤及び劣化があり、無端状シール部材に対する市場の耐モノマー性の要求に応えることができていない。
重合性モノマーとしては、たとえばブタジエン、クロロプレンなどのジエン系モノマー;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化エチレン性不飽和モノマー:アクリロニトリルなどのアクリロニトリル系モノマー;アクリル酸、アクリル酸エステルなどのアクリル酸系モノマー:メタクリル酸、メタクリル酸エステルなどのメタクリル酸系モノマー;マレイン酸などの不飽和カルボン酸系モノマー;オレフィン系モノマー:ビニルエステル系モノマー;ビニルエーテル系モノマー;アセチレン系モノマー;ビニルケトン系モノマー;ビニルアミド系モノマー;マレイミド系モノマー;アクリルアミド系モノマー;開環重合性モノマー;フェノール誘導体系モノマーなどがあげられる。
本実施の形態に係る無端状シール部材は、接触する流体が重合性モノマー例えばブタジエンガスであっても、膨潤が少ない。また、無端状シール部材は、接触する流体が重合性モノマー例えばブタジエンガスであっても、機械的強度の低下が小さく、微細なクラックも発生しないため、シール性を維持することができる。
本実施の形態に係る無端状シール部材は、0.2MPa〜0.3MPaの圧力で80℃のブタジエンガスが100体積%の雰囲気中における720時間暴露による耐ブタジエン性評価試験の前後における引張強さの変化率が−10%以下であるさらに、無端状シー
ル部材は、当該引張強さの変化率が−0.1%〜−10%であることができ、特に引張強さの変化率が−0.1%〜−5%であることができる。このように、無端状シール部材によれば、ブタジエンガスに長時間暴露されても引張強さがあまり低下しない。無端状シール部材における耐ブタジエン性評価試験の前後における引張強さの変化率が−10%以下と小さいのは、カーボンナノファイバーによって補強されることでブタジエンによる微細なクラックの発生を防止できるためである。なお、無端状シール部材の引張試験は、ASTM 1414に準拠して室温で行うことができる。
また、無端状シール部材は、FKM中にカーボンナノファイバーが均一に分散し、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって150℃、観測核がHで測定した、無架橋体における、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は600ないし1000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満であることができる。
未架橋のゴム組成物におけるT2n,fnnは、マトリックスのエラストマーにカーボンナノファイバーが均一に分散されていることを表すことができる。つまり、3元系の含フッ素エラストマーにカーボンナノファイバーが均一に分散されているということは、3元系の含フッ素エラストマー分子がカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、カーボンナノファイバーによって拘束を受けた3元系の含フッ素エラストマー分子の運動性は、カーボンナノファイバーの拘束を受けない場合に比べて小さくなる。そのため、本実施の形態にかかる無架橋体における無端状シール部材の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)及びスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーを含まないフッ素ゴム単体の場合より短くなり、特にカーボンナノファイバーが均一に分散することでより短くなる。
また、3元系の含フッ素エラストマー分子がカーボンナノファイバーによって拘束され
た状態では、以下の理由によって、非ネットワーク成分(非網目鎖成分)は減少すると考えられる。すなわち、カーボンナノファイバーによって3元系の含フッ素エラストマーの分子運動性が全体的に低下すると、非ネットワーク成分は容易に運動できなくなる部分が増えて、ネットワーク成分と同等の挙動をしやすくなること、また、非ネットワーク成分(末端鎖)は動きやすいため、カーボンナノファイバーの活性点に吸着されやすくなること、などの理由によって、非ネットワーク成分は減少すると考えられる。そのため、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する成分の成分分率(fnn)は、カーボンナノファイバーを含まないフッ素ゴム単体の場合より小さくなる。なお、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する成分の成分分率(fn)は、fn+fnn=1であるので、カーボンナノファイバーを含まない3元系の含フッ素エラストマー単体の場合より大きくなる。
無端状シール部材は、外形が連続する無端状である。無端状シール部材は、外形が円形だけでなく、シール部材を配置する溝や部材の形状に併せて形成することができる。無端状シール部材としては、例えば、横断面が円形のOリングであることができる。
(VI)バルブ
第1の実施の形態におけるフローティング型ボールバルブ及び第2の実施の形態におけるトラニオン型ボールバルブは、流路を高温の流体が流れる用途において、バルブに用いられるシール部材に耐熱性が要求される。例えば、石油化学用途においては、耐熱性に加えて耐薬品性が要求される。このような石油化学用途においては、プラントのメンテナンス時に配管内の流体残渣を取り除くために、高温の飽和水蒸気を使用することがあり、このようなバルブに用いられるシール部材には耐熱性及び耐薬品性に加えて耐蒸気性が要求されることがある。
また、このような石油化学プラントにおいては、上記のようなボールバルブが重合性モノマー流体と接する配管に用いられることがあり、そのボールバルブに用いられるシール部材にも重合性モノマーに対する耐性が要求される。
(第1の実施の形態)
図2は、第1の実施の形態に係るバルブ10Aの縦断面図である。
バルブ10Aは、弁体であるボール4と、ボール4を収容するボデー1,2と、ボール4を回転させるステム3と、ボール4の外周面4Aと接触する無端状のシート30Aと、シート30Aを保持する無端状のシートリテーナ150と、を有する。バルブ10Aは、いわゆるフローティング型ボールバルブである。
ボール4は、流路12の一部を形成する貫通孔4Bを有する。
ボデー1,2は、ボール4を回転自在に収容するキャビティ1Aと、例えば高温(170℃以上210℃以下)の水蒸気の流体が流入する流入口12Aと、その流体が排出される流出口12Bと、を有する。流路12は、中心軸Pを中心とした略円形の外周面を有し、流入口12Aから流出口12Bへ略一直線上に延びるように形成される。ボデー1,2は、2つの部材からなり、キャビティ1Aのほぼ全体を構成するボデー1と、一般にボデーキャップと呼ばれるボデー2とから構成される。ボデー1とボデー2との連結部分には、前記実施の形態で詳細に説明した例えばOリング形状の耐蒸気性に優れた無端状シール部材45Aが組込まれている。無端状シール部材45Aは、静的シール部材として用いられ、例えば高温の水蒸気が流路12に導入された後も、流路12からボデー1,2の外部へ流体が流出することを防止できる。流出口12Bと流入口12Aとの間に流路12よりも大きな径を有するキャビティ1Aが形成されている。また、無端状シール部材45Aは
、流体が重合性モノマー例えばブタジエンガスであっても、膨潤が少なく、流路12とボデー1,2との間のシール性を長期間維持することができる。
シート30Aは、無端状であって、ボール4の外周面4Aと接触して流路12とキャビティ1Aとを液密にシールする。シート30Aは、少なくともボール4の流入口12A側と流出口12B側の少なくともいずれか一方に設けることができる。本実施の形態では外周面4Aの流入口12A側及び流出口12B側の両側に、円形の外形を有するシート30A,30Aが設けられている。シート30A,30Aは、その一端面がキャビティ1Aに臨んでボール4の外周面4Aに当接し、他側面がシートリテーナ150に当接して配設されている。シート30Aは、中心部に流入口12A及び流出口12Bと連通する連通孔が形成され中心軸Pに沿って貫通する。
無端状のシートリテーナ150,150は、シート30A,30Aをキャビティ1A内の所定位置に保持する。シートリテーナ150,150は、その外周面をキャビティ1Aの内周面に当接し、内周面を流路12の一部として形成する。シートリテーナ150,150は、ボール4の流入口12A側と流出口12B側に配置され、ボール4側にシート30A,30Aをそれぞれ保持し、その反対側にボデー1,2との間に介装された弾性部材であるシートスプリング143,143によってシート30A,30Aを常にボール4側に向かって付勢している。
シートリテーナ150,150とキャビティ1Aとの間には、前記実施の形態で詳細に説明した耐蒸気性に優れた無端状シール部材45B,45Bを備える。無端状シール部材45B,45Bは、外形が円形で縦断面が円形のOリングであることができる。無端状シール部材45B,45Bは、シートリテーナ150,150の外周面に沿って形成された溝部内に装着され、その外周面がキャビティ1Aの内周面に接触してシールすることができる。無端状シール部材45B,45Bは、動的シール部材として用いられ、例えば高温の水蒸気が流路12に導入された後も、シートリテーナ150,150が流路12に沿った方向に移動する際にもキャビティ1Aの内周面とのシール性を維持することができる。また、無端状シール部材45B,45Bは、流体が重合性モノマー例えばブタジエンガスであっても、膨潤が少なく、シートリテーナ150,150とキャビティ1Aとの間のシール性を長期間維持することができる。
ボール4は、流路12の中心軸Pに沿って一方の面から他方の面へと貫通する貫通孔4Bが形成された略球体である。ボール4の外周面4Aには、貫通孔4Bの両端部が開口した一対の開口部が形成され、その開口部の半径方向外側となる位置に環状のシート30A,30Aが外周面4Aに沿ってそれぞれ当接して配置される。図2は、ボール4の貫通孔4Bが流入口12A及び流出口12Bと一直線上に配置された弁開状態を示している。
ボール4の頂部には、凹部4Cが形成され、凹部4Cには、ステム3の端部が挿入されている。この凹部4Cは、貫通孔4Bの中心軸線と直交する方向に延在している。
ハンドル9は、ボール4の頂部に連結されたステム3の上端部に連結される。
ステム3は、ボデー1を貫通して回転自在に支持され、その下端部がキャビティ1A内においてボール4の凹部4Cに挿入される。ハンドル9を回転軸Qの周りに回転させることでステム3及びボール4をキャビティ1A内で回転させ、流入口12Aと流出口12Bとの連通状態を切り替えることができる。すなわち、ハンドル9を回転させることでボール4によって流路12を開閉することができる。
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態に係るバルブ10Bの一部を切り欠いた斜視図である。
バルブ10Bは、弁体であるボール4と、ボール4を収容するボデー1,2と、ボール4を回転させるステム3と、ボール4の外周面4Aと接触する無端状のシート30Aと、シート30Aを保持する無端状のシートリテーナ150と、を有する。バルブ10Aは、いわゆるトラニオン型ボールバルブである。バルブ10Bは、基本的な構成はバルブ10Aとほぼ同様であるので、同じ部材には同じ符号を付して説明し、重複する説明はここでは省略する。
ボール4は、ボール4の回転軸に沿って上下にステム3,3を配置している点でバルブ10Aと異なる。ボール4の下方に配置されたステム3はステムベアリング3Bの中心側にあって図示されていない。また、ボール4は、上下に配置されたステムベアリング3A,3Bを介してキャビティ1Aに対して回転自在である。
上方のステム3の外周面には、ボデー1との間に前記実施の形態で詳細に説明した耐蒸気性に優れた無端状シール部材45C,45Cを備える。無端状シール部材45C,45Cは、動的シール部材として用いられ、例えば高温の水蒸気が導入された後も、ステム3がボデー1に対して回転する際にもステム3とボデー1とのシール性を維持することができる。また、無端状シール部材45C,45Cは、流体が重合性モノマー例えばブタジエンガスであっても、膨潤が少なく、ステム3とボデー1との間のシール性を長期間維持することができる。
シートリテーナ150,150とキャビティ1Aとの間には、前記実施の形態で詳細に説明した耐蒸気性に優れた無端状シール部材45E,45Eを備える。無端状シール部材45E,45Eは、外形が円形で縦断面が円形のOリングであることができる。また、無端状シール部材45E,45Eは、流体が重合性モノマー例えばブタジエンガスであっても、膨潤が少なく、シートリテーナ150,150とキャビティ1Aとの間のシール性を長期間維持することができる。
(VII)耐モノマー性の評価試験
図6は、本発明の一実施形態に係る無端状シール部材の耐モノマー性を評価する評価装置の概略構成図である。
図6に示す耐モノマー性の評価装置を用いて、無端状シール部材または無端状シール部材の成形条件で成形されたダンベル状試験片(以下、単に「試験片126」という)を恒温槽115内に配置して、所定時間、重合性モノマーのガスに暴露することで耐モノマー性の評価試験を行うことができる。
ガスボンベ110は、流量調整バルブ112及びフローメータ114を介してエアパージした恒温槽115に配管で接続され、恒温槽115内の配管は熱交換機116を介して複数の試験片126が配置された耐圧ステンレス容器118の下端に接続される。耐圧ステンレス容器118の上端に接続された配管は、恒温槽115の外の排気ライン124に接続される。排気ライン124には、圧力計120及び流量調整バルブ122が設けられている。
耐モノマー性の評価試験を具体的に例示する。まず、試験片126の評価試験前の比重(g/cm)、体積(cm)、質量(g)を測定し、また、耐モノマー性試験を行う試験片と同じ試験片を用いて国際ゴム硬度(IRHD)試験を行ってゴム硬度(IRHD(point))を測定し、さらに引張試験を行い、引張強さ(TS(MPa))、破断伸び(Eb(%))、50%変形時の応力(σ50(MPa))、100%変形時の応力
(σ100(MPa))を測定する。なお、引張試験を行った試験片は破断しているので耐モノマー性試験には使わない。ここで試験片126は、無端状シール部材であっても良いし、または無端状シール部材と同じ加工条件で成形した短冊形の試験片であっても良い。
次に、重合性モノマーとして例えば液化ブタジエンガス(ブタジエン100体積%)をガスボンベ110に収容し、流量調整バルブ112を開いて恒温槽115へ導く。恒温槽115内の熱交換機116によって80℃に加熱されたブタジエンガスは、耐圧ステンレス容器118内を満たす。耐圧ステンレス容器118内の圧力は、圧力計120で確認しながら0.2MPa〜0.3MPaに設定する。例えば、暴露する期間は、720時間(4週間)とすることができる。その期間経過後の試験片126の比重(g/cm)、体積(cm)、質量(g)を測定し、また、国際ゴム硬度(IRHD)試験を行ってゴム硬度(IRHD(point))を測定し、さらに引張試験を行って引張強さ(TS(MPa))、破断伸び(Eb(%))、50%変形時の応力(σ50(MPa))、100%変形時の応力(σ100(MPa))を測定する。
評価試験前の各測定値からの変化率(%)を求める。80℃のブタジエンガスに暴露された試験片126は、耐モノマー性(ここでは耐ブタジエン性)に優れていれば膨潤による変化率が小さい。また、試験片126が耐モノマー性(ここでは耐ブタジエン性)に優れていれば引張試験における各測定結果の変化率が小さい。これは、無端状シール部材の強度向上に寄与するカーボンナノファイバーの機能の他に、非常に活性なブタジエン分子による膨潤や重合反応性を抑制するような一種の重合防止や潤滑抑制のような化学的な作用もあると推測できる。
なお、引張試験は、無端状シール部材を試験片とした場合、ASTM 1414に基づいて行う。
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて、本発明の範囲に含まれるものとする。
(1)サンプルの作製
参考例1〜13は、各種カーボンナノファイバー及びMTカーボンブラックによってFKMを補強したときの180℃における耐蒸気性を測定した。
そして、実施例及び比較例のサンプルは、参考例1〜13の中でも耐蒸気性に優れていたMWCNT−1を用いて作製した。
参考例、実施例及び比較例のサンプルは、以下の第1〜第6の工程によって作製した。
第1の工程:ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、表1〜表5に示す100質量部(phr)の3元系の含フッ素エラストマー(表1〜表5では「FKM−1」、「FKM−2」と記載した)を投入して、ロールに巻き付かせた。
第2の工程:次に、表1〜表5に示す質量部(phr)のカーボンナノファイバー(表1〜表5では「MWCNT−1」、「MWCNT−2」、「MWCNT−3」と記載した)、瀝青炭粉砕物(表4〜表5では「オースチンブラック」と記載した)、及びカーボンブラック(表1〜表5では「MT−CB」と記載した)をエラストマーに投入した。また、これらの補強剤の以外に、架橋剤としての有機過酸化物(比較例5のみポリオール架橋
剤)及び加工助剤等の配合剤もエラストマーに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。
第3の工程:補強剤及び配合剤を投入し終わったら、補強剤及び配合剤を含む混合物をロールから取り出した。
第4の工程:ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し10回行った。
第5の工程:ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした複合材料を投入し、分出しして未架橋のゴム組成物を得た。
第6の工程: 未架橋のゴム組成物を160℃、10分間プレス成形(キュア)した後
、さらに200℃、6時間ポストキュアして、参考例、実施例及び比較例のパーオキサイド架橋したシート状のゴム組成物サンプルを得た。カーボンナノファイバーを含む試験サンプルの破断面を電子顕微鏡観察したところ、カーボンナノファイバーは解繊した状態で分散していることが確認できた。
なお、表1〜表5において、各FKM及び補強剤の詳細は以下の通りであった。
FKM−1:ムーニー粘度ML(1+10)100℃(中心値)50、フッ素含有量71%の3元系FKM、パーオキサイド架橋
FKM−2:ムーニー粘度ML(1+10)100℃(中心値)54、フッ素含有量71%3元系FKM、ポリオール架橋
MWCNT−1:平均直径(走査型電子顕微鏡の撮像を用いて200か所以上の測定値を算術平均した値、以下同じ)18.6nm、剛直度3.1の多層カーボンナノチューブ
MWCNT−2:平均直径15.3nm、剛直度4.4の多層カーボンナノチューブ
MWCNT−3:平均直径68nmの多層カーボンナノチューブ
MT−CB:平均粒径200nm、DBP吸油量25ml/100gのMTグレード(平均粒径及びDBP吸油量はメーカー公表値)のカーボンブラック
オースチンブラック:平均粒径5μmの瀝青炭粉砕物(平均粒径はメーカー公表値)
(2)パルス法NMRを用いた測定
未架橋体の実施例及び比較例の第5の工程で得られた未架橋体のゴム組成物サンプルについて、パルス法NMRを用いてハーンエコー法による測定を行った。この測定は、日本電子(株)製「JMN−MU25」を用いて行った。測定は、観測核が1H、共鳴周波数が25MHz、90゜パルス幅が2μsecの条件で行い、ハーンエコー法のパルスシーケンス(90゜x−Pi−180゜y)にて、減衰曲線を測定し、複合材料サンプルの150℃における特性緩和時間(T2/150℃)及び第2のスピンスピン緩和時間(T2nn/150℃)を有する成分の成分分率(fnn)を測定した。実施例の未架橋体のゴム組成物サンプルは、600ないし1000μ秒の範囲内であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満であった。また、比較例1,2の未架橋体のゴム組成物サンプルは、1000μ秒を超え、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する成分の成分分率(fnn)は0.2を超えていた。
(3)各種試験
参考例、実施例及び比較例のパーオキサイド架橋したゴム組成物からなる試験サンプルについて、各種試験を行い、試験結果を表1〜表5に示した。なお、以下、各測定結果は、括弧内に示した省略した表記で表1〜表5に示した。
ゴム硬度(Hs(JIS A)):JIS K6253試験に基づいて測定した。
引張強さ(TS(MPa))、破断伸び(Eb(%))、50%変形時の応力(σ50(MPa))、100%変形時の応力(σ100(MPa)):JIS6号形のダンベル形状に打ち抜いた試験片について、島津製作所社製の引張試験機を用いて、23±2℃、引張速度500mm/minでJIS K6251に基づいて引張試験を行い測定した。
圧縮永久ひずみ(CS(%)):JIS K6262に基づいて、圧縮率25%、200℃、70時間の条件で圧縮永久ひずみ試験を行い、測定した。
水蒸気暴露試験前後の体積変化率(ΔV(180℃又は200℃)(%)):JIS6号形のダンベル形状に打ち抜いた試験片について、実施例と比較例は200℃の飽和水蒸気で144時間暴露試験を行い、参考例は180℃の飽和水蒸気で168時間暴露試験して、それぞれの試験前後の体積を測定し、試験前後の体積変化率(試験前の体積をA、試験後の体積をBとしたとき、((B−A)/A×100)を計算した。
引裂き強さ(T(N/mm)):試験サンプルをJIS K6252切込み無しのアングル形試験片に打ち抜き、島津製作所社製オートグラフAG−Xを用いて、引張速度500mm/minでJIS K6252に準拠して引裂き試験を行い、最大引裂き力(N)を測定し、その測定結果を試験片の厚さ1mmで除して計算した。
引裂疲労寿命(引裂疲労(回数)):試験サンプルを10mm×幅4mm×厚さ1mm(長辺が列理方向)の短冊状の試験片に打ち抜き、その試験片の長辺の中心から幅方向へカミソリ刃によって深さ1mmの切込みを入れ、SII社製TMA/SS6100試験機を用いて、試験片の両端の短辺付近をチャックにて保持して、200℃の大気雰囲気中、周波数1Hzの条件で繰り返し引張荷重(0N/mm〜2N/mm)をかけて引裂き疲労試験を行い、試験片が破断するまで回数を測定した。
tanδのピーク温度(Tg(℃))、室温におけるtanδ値(tanδ)、貯蔵弾性率(E’(200℃)(MPa))及び200℃におけるtanδ値(tanδ(200℃)/1Hz):短冊片40mm×1mm×2mm(巾)の試験片について、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離20mm、測定温度−100〜300℃、動的ひずみ±0.05%、周波数1HzでJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験して測定した。
各測定結果及び計算結果は、表1〜表5に示した。
また、表には示さないが、市販のFFKM製Oリングの蒸気暴露試験前後の体積変化率は、10.9%であった。
(4)DIN摩耗試験
試験サンプルと同様にして、直径16mm、高さ10mmの円柱状サンプルを加圧成型し、安田精機製作所社製の恒温槽付きDIN摩耗試験機No.151−OVを用いて、JIS K−6264に従って、空気中、室温、B法(回転あり)、摩耗距離40m、荷重10Nで試験を行い、摩耗試験前後の試験片の体積(mm)を計測した。この計測結果を距離と荷重で割り算して「比摩耗量(mm/Nm)」を求めた。比摩耗量が小さいほど摩耗しにくく耐摩耗性に優れている。
(5)耐薬品性試験
実施例1〜3及び比較例1のJIS6号形のダンベル形状に打ち抜いた試験片について、常温の各種薬品(有機酸(30%酢酸)、無機酸(37%塩酸)、アルコール(IPA
:99.5%以上)、アミン(ジエチルヒドロキシアミン:97%以上)、アルカリ(30%水酸化ナトリウム)、オイル(ASTM No.3オイル)、溶剤(トルエン:99%以上))に1008時間浸漬して耐薬品性試験を行った。耐薬品性試験前後の体積変化率(試験前の体積をA、試験後の体積をBとしたとき、((B−A)/A×100)を計算した。トルエンに対しては体積変化率が5%〜20%未満であったが、他の薬品に対しては体積変化率が5%未満であった。
なお、表には示さないが、市販のFFKM製Oリングは、すべての薬品に対して体積変化率が5%未満であった。
表1〜表3に示すように、参考例1〜3のMWCNT−1の180℃における水蒸気暴露試験前後の体積変化率は、MTグレードのカーボンブラック及びMWCNT−2,3のそれよりも小さく、4.0%未満であった。この測定結果から平均直径が一般に同程度に分類されるMWCTN−1、2でも耐蒸気性に大きな差が生じることがわかった。しかし、参考例1〜3のサンプルでは市販のFFKM製Oリングの蒸気暴露試験前後の体積変化率には及ばなかった。
実施例1〜3のサンプルにおける水蒸気暴露試験前後の体積変化率は8.5%〜10.2%であり、市販のFFKM製Oリングの10.9%より小さく、耐蒸気性に優れていることがわかった。
これに対し、比較例3のサンプルは、オースチンブラックを配合したことによって耐蒸気性に比較的優れる傾向があったが、動的シール部材の耐久性を示す引裂き疲労が50未満であり、高温時のシール性を示す200℃における損失正接(tanδ)が0.075を超えていた。
また、実施例1〜3のサンプルは、引裂き強さ(T)が50N/mm以上及び引裂き疲労特性が20万回以上であり、耐久性に優れていることがわかった。
さらに、実施例1〜3のサンプルは、200℃における貯蔵弾性率(E’(200℃))が20MPa以上であり、200℃におけるtanδ値(tanδ)が0.075未満であるので、200℃という高温時においてもシール性に優れていることが予測できた。
特に、実施例2,3のサンプルは、動的シール部材における耐摩耗性を示す比摩耗量が
比較例1のサンプルに比べて少なかった。
(6)熱老化試験
実施例2及び比較例1のJIS6号形のダンベル形状に打ち抜いた試験片について、JIS K6257の熱老化試験として大気圧下で、空気中、設定温度(200℃、230℃、260℃)、70時間放置した。熱老化試験前後の試験片について、JIS K6253による硬さ試験とJIS K6251による引張試験とを行った。測定結果を表6に示した。
また、上記(3)におけるゴム硬度(Hs(JIS A))、引張強さ(HS(MPa))、及び破断伸び(Eb(%))の測定結果と熱老化試験後の各測定結果とを比較して、ゴム硬度変化量(ΔHs)、引張強さ変化率(ΔTS)及び破断伸び変化率(ΔEb)を計算し、計算結果を表6に示した。
ここで、各変化率の許容範囲として、ゴム硬度変化量(ΔHs)が±15以内、引張強さ変化率(ΔTS)が±35%以内、破断伸び変化率(ΔEb)が−50%〜30%の範囲内と設定した。
(7)バルブにおける耐蒸気性試験
実施例のゴム組成物製のOリングを仕切弁のステムに装着して、擬似的に第1、第2の実施の形態におけるバルブにOリングを装着した状態として、耐蒸気性試験を行った。
具体的には、実施例2のゴム組成物を用いて3種類のOリング45A,45C((7−2)で後述する)を作製し、図4及び図5に示すカラー8fに4本のOリング45A,45Cを装着し、ねじ込み形内ねじ式仕切弁10f((7−1)で後述する)のパッキンに替えて試験1,2の組み合わせ((7−3)で後述する)でカラー8fをボンネット2fに内装し、流路12fに、200℃、1.5MPa(G)の飽和水蒸気を、1日当たり8時間流し、これを18日間繰り返し(延べ時間は144時間)た。
また、蒸気を流している間に、ハンドル9fを操作して、ステム3fの90度回転操作(ボールバルブと同様)を1日当たり10回繰り返した。
各日における上記10回回転操作後、パッキン押さえナット6f付近からの蒸気漏れを、鏡を用いた目視により確認した。
(7−1)ねじ込み形内ねじ式仕切弁
図4は、耐蒸気性試験に用いたねじ込み形内ねじ式仕切弁10fの縦断面図である。ねじ込み形内ねじ式仕切弁10fは、ダクタイル製、呼び圧力20K、呼び径2インチのバルブを用いた。ねじ込み形内ねじ式仕切弁10fは、ステンレス鋼(SUS420J2)製のステム3fの外周にステンレス鋼(SUS304)製で略円筒状のカラー8fが装着され、ダクタイル鋳鉄(FCD−S)製のボンネット2fの上部に螺合されるパッキン押さえナット6fを締めこむことにより、パッキン押さえ輪7fを介してカラー8fを押圧し、ステム3fの外周とボンネット2fの内周との間でシールする構造であった。通常、ステム3fの先端には弁体が設けられているが、流路12fからカラー8fまで蒸気を導入するため、装着しなかった。蒸気は流路12fからカラー8fへ達し、カラー8fに装着したOリングは蒸気に曝された。
図5は、図4におけるカラー8fを拡大して示す部分拡大縦断面図である。円筒状のカラー8fの外周面には上下2つの溝50A,50Bが掘り込まれ、それぞれに静的シールであるOリング45Aが装着された。円筒状のカラー8fの内周面には上下2つの溝50C,50Dが掘り込まれ、それぞれに動的シールであるOリング45Cが装着された。
(7−2)Oリング
Oリング45A,45Cは、実施例2のゴム組成物を用いて作製した。
静的シールであるOリング45Aは、JIS B 2401、呼び番号P18(太さ2.4mm、内径17.8mm)と、JASO F 404、呼び番号2019(太さ2.4mm、内径18.8mm)の2種類を作製し、試験した。
動的シールであるOリング45Cは、JIS B 2401、呼び番号P15(太さ2.4mm、内径14.8mm)を作製し、試験した。
(7−3)カラーとOリングとの組み合わせ
試験1:外側(ボンネット2f側)の溝50A,50BにP18のOリング45Aを、つぶし代が約9.9%、充填率が約65.4%となるように装着した。内側(ステム3f側)の溝50C,50DにP15のOリング45Cを、つぶし代が約10.4%、充填率が約65.8%となるように装着した。
試験2:外側(ボンネット2f側)の溝50A,50Bに2019のOリング45Aを、つぶし代が約20.3%、充填率が約73.9%となるように装着した。内側(ステム3f側)の溝50C,50DにP15のOリング45Cを、つぶし代が約20.8%、充填率が約74.4%となるように装着した。
(7−4)試験結果
試験1,2の組み合わせにおいて、パッキン押さえナット6f付近からの蒸気漏れは確認されなかった。従って、内周・外周いずれのOリング45A,45Cについても、シール性が維持されていることが確認された。
また、144時間の耐蒸気試験後、バルブ10fを分解してOリング45A,45Cの外観を確認したが、変形や変色は確認されなかった。
さらに、144時間の耐蒸気試験前後におけるOリング45A,45Cについて、比重(ρ(g/cm))、体積(V(cm))、及び重量(W(g))を測定した。次に、144時間の耐蒸気試験前後におけるOリング45A,45Cについて、国際ゴム硬度(IRHD)試験に基づいてゴム硬度(Hs)を測定した。耐蒸気性試験後のOリング45A,45Cにおける測定値を表7に示した。さらに、耐蒸気性試験前後の各種物性の変化率(ゴム硬度については変化量)を計算し、表7に示した。
(7−5)考察
試験1,2におけるOリング45A,45Cは、200℃の蒸気を8時間流した後は室温に戻り、翌日また200℃の蒸気を流すという熱サイクルを受けた。このような熱サイクルの状況下においても、本発明に係る無端状シール部材であるOリング45A,45Cのシール性が確保されることが確認された。
試験1,2に用いたねじ込み形内ねじ式仕切弁10fは、ハンドル9fを操作してステム3fが上下動するため、内側のOリング45Cには、ハンドル9fの操作による回転に加え、上下運動が加わった。したがって、回転運動のみが加わるステムを用いる第1、第2の実施の形態に係るボールバルブよりも厳しい条件で試験を行ったが、このような条件
下でも本発明に係る無端状シール部材であるOリング45Cのシール性が確保されることが確認された。
表7に示すように、試験1,2の前後で各種物性の変化は小さく、上記(3)における試験片の試験結果がOリングによる実機試験においても裏付けられた。特に、バルブに実装する場合にはOリングの体積変化が小さいことが望ましく、体積変化率が±5.0%以内が合格基準であるが、いずれのOリングサンプルも合格基準を満たした。
(8)耐ブタジエン性評価試験
実施例2の配合で成形されたOリング(形状はAS223)サンプルについて、図6に示した耐モノマー性評価装置を用いて耐ブタジエン性評価試験を行った。評価試験の各条件は、
ブタジエンガス:100vol%、
恒温槽及びブタジエンガスの温度:80℃、
耐圧ステンレス容器内の雰囲気圧力:0.2MPa〜0.3MPa、
暴露時間:720時間、
であった。
耐ブタジエン性の評価は、評価試験前と暴露時間経過後のサンプルの比重(g/cm)及び体積(cm)を測定し、また国際ゴム硬度(IRHD)試験を行ってゴム硬度(IRHD(point))を測定し、さらに引張試験を行って引張強さ(TS(MPa))、破断伸び(Eb(%))、50%変形時の応力(σ50(MPa))、100%変形時の応力(σ100(MPa))を測定し、その変化率((試験後−試験前)/試験前×100)(%)を計算し、各表に記載した。引張試験は、23±2℃、引張速度500mm/minでASTM 1414に基づいて行った。
また、参考例14として耐モノマー性に優れる市販のOリング(AS223)と、参考例15として実施例2と同じFKM単体で成形したOリングについて、耐ブタジエン性評価試験を行った。評価試験の結果は、表8に示した。また、実施例2及び参考例14のOリングについて、評価試験を行っていない状態の割断面(図7における「ブタジエン浸漬有り」)と、評価試験後の割断面(図7における「ブタジエン浸漬無し」)とを電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図7に示した。
表8によれば、実施例2のOリングは、参考例15のOリングよりも引張強さ(TS(MPa))の変化率が小さく、参考例14のOリングよりも引張強さ(TS(MPa))、破断伸び(Eb(%))、及び100%変形時の応力(σ100(MPa))の変化率が小さかった。特に、参考例14において引張強さの変化率が大きくなった原因は、図7におけるブタジエン浸漬有りの電子顕微鏡写真のように多数の微細なクラックが発生していることによるものであると推測できた。また、図7において、ブタジエン浸漬有りの実施例2のOリングには微細なクラックが発生していなかった。したがって、実施例2のOリングは、耐ブタジエン性に優れていることがわかった。
1 ボデー、1A キャビティ、2 ボデー、2f ボンネット、3,3f ステム、3A,3B ステムベアリング、4 ボール、4A 外周面、4B 貫通孔、4C 凹部、6f パッキン押さえナット、7f パッキン押さえ輪、8f カラー、9,9f ハンドル、10 第1のロール、10A,10B バルブ、10f ねじ込み形内ねじ式仕切弁、12,12f 流路、12A 流入口、12B 流出口、20 第2のロール、30 FKM、30A シート、32 バンク、40 カーボンナノファイバー、42 瀝
青炭粉砕物、45A,45B,45C,45E 無端状シール部材、143 シートスプリング、150 シートリテーナ、P 中心軸、Q 回転軸

Claims (6)

  1. 3元系の含フッ素エラストマー100質量部に対し、カーボンナノファイバーを5質量部〜12質量部と、瀝青炭粉砕物を5質量部〜40質量部と、を含み、
    200℃の水蒸気中での144時間暴露による水蒸気暴露試験の前後における体積変化率が0%を超え20%未満であり、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が9nm〜20nmであり、かつ、剛直度が2.5以上、4.0以下であり、
    前記瀝青炭粉砕物は、平均粒径が1μm〜100μmである、耐蒸気性に優れた無端状シール部材。
  2. 3元系の含フッ素エラストマー100質量部に対し、カーボンナノファイバーを5質量部〜12質量部と、瀝青炭粉砕物を5質量部〜40質量部と、を含み、
    0.2MPa〜0.3MPaの圧力で80℃のブタジエンガスが100体積%の雰囲気中における720時間暴露による耐ブタジエン性評価試験の前後における引張強さの変化率が−10%以下であり、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が9nm〜20nmであり、かつ、剛直度が2.5以上、4.0以下であり、
    前記瀝青炭粉砕物は、平均粒径が1μm〜100μmである、耐蒸気性に優れた無端状シール部材。
  3. 請求項1または2において、
    前記無端状シール部材中の3元系の含フッ素エラストマーは、パーオキサイド架橋されてなる、耐蒸気性に優れた無端状シール部材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    3元系の含フッ素エラストマーは、フッ素含有量が69質量%以上、72質量%以下である、耐蒸気性に優れた無端状シール部材。
  5. 流路の一部を形成する貫通孔を有するボールと、
    前記ボールを回転自在に収容するキャビティと流体が流入する流入口と該流体が排出される流出口とを有するボデーと、
    前記ボールを前記キャビティ内で回転させて前記流入口と前記流出口との連通状態を切り替えるステムと、
    前記ボールの外周面と接触して前記流路と前記キャビティとを液密にシールする無端状のシートと、
    前記シートを前記キャビティ内の所定位置に保持する無端状のシートリテーナと、
    を有し、
    前記シートリテーナと前記キャビティとの間に、請求項1〜4のいずれか1項の耐蒸気性に優れた無端状シール部材を備える、バルブ。
  6. 請求項において、
    前記ステムと前記ボデーとの間に、請求項1〜4のいずれか1項の耐蒸気性に優れた無端状シール部材をさらに備える、バルブ。
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