JP6275029B2 - 堆積物の安定化法 - Google Patents

堆積物の安定化法 Download PDF

Info

Publication number
JP6275029B2
JP6275029B2 JP2014252425A JP2014252425A JP6275029B2 JP 6275029 B2 JP6275029 B2 JP 6275029B2 JP 2014252425 A JP2014252425 A JP 2014252425A JP 2014252425 A JP2014252425 A JP 2014252425A JP 6275029 B2 JP6275029 B2 JP 6275029B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
deposit
material slurry
slope
solidifying
solidifying material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014252425A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016113793A (ja
Inventor
彩人 堤
彩人 堤
敏博 亀谷
敏博 亀谷
松田 直樹
直樹 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JX Nippon Mining and Metals Corp
Pan Pacific Copper Co Ltd
Original Assignee
JX Nippon Mining and Metals Corp
Pan Pacific Copper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JX Nippon Mining and Metals Corp, Pan Pacific Copper Co Ltd filed Critical JX Nippon Mining and Metals Corp
Priority to JP2014252425A priority Critical patent/JP6275029B2/ja
Publication of JP2016113793A publication Critical patent/JP2016113793A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6275029B2 publication Critical patent/JP6275029B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、安定化した堆積物を形成する方法に関する。より具体的には、固化材スラリーを用いて、堆積物を安定化させる方法に関する。
金属製錬で排出されるスラグは一般的に直径0.1〜10mm程度の粒子である。排出後には冷却されて保管場所に野積みされる。
日本の近代化以降スラグは大量に生産されており、生産されたスラグの一部は山積されて現在にいたる。
スラグは水によりほとんど膨潤しないものの、カラミレンガの様に大型化成型しない場合は積層した時に物理的に安定であるとは言えない。例えば地震等の揺れにより積層体が崩落すると危険である。
一般に不安定な砂状堆積物や土壌の傾斜面に対しては防災の観点から各種の土木技術方法が提案されている。例えば法面の構築では固化材を吹き付けて固化する方法が最もよく知られた工法である。固化材はセメントや高分子、ファイバー質などが知られている(特許文献1)。
軟弱な土壌を固化するには土壌中に固化材を投入するドリルやロッドにより高圧注入と混練を同時に行う方法も知られている。大量の土壌を取り出して処理するわけでなくスポット工事で土壌を安定化できる(特許文献2、特許文献3)。
スラグ等の砂状物質を物理的に安定化するには樹脂やセメントにより固化すればよいが、大量に山積されている砂状物質と再度混練することは現実的ではなく、固化した後の保管や処置が問題になる。上述のドリルを用いた工法でもスラグの流動性を考えると積層体の傾斜部で本方法の適用は不可能に近い。
混練しなくとも積層体に上述のような固化材を十分に注入して固化すると莫大な費用が必要になる。法面にのみ固化材の散布を施す方法では広範囲の面積を既存の工法で低コストで安定化することは難しい。
そこで特許文献4の様に表層のみを固化する方法を利用できればよいが、本方法は表面を均した後に耕運機等により表土を混練することから、傾斜面に適用することは困難であることは十分予想される。
特許文献5には土壌の表層のための固化材とその固化方法が示されているが、固化材を敷き均すことが必要で砂やスラグの様に流動性を持った傾斜面に適用できるかは疑問である。
また特許文献6にも広範囲にわたって土壌の表層のみを固化する方法が公開されている。しかし土壌からの放射性物質拡散を意図しており、流動性のある砂やスラグ堆積物の力学的安定については何ら教示するものではない。
特開2004−059787号公報 特開2010−261236号公報 特開2011−117174号公報 特開2014−055433号公報 特開2014−051849号公報 特開2013−186093号公報
スラグ等の堆積物は、保管の際に、一般的には台形状又はメサ状に成形され、これにより斜面部が形成される。そして、前記斜面部は、地震により崩落する危険性がある。従って、前記斜面部を強化する必要がある。しかし、斜面全体に吹付け等の上記特許文献で記載されているような方法を行うのはコストがかかる。
スラグ等の堆積物は締め固めがなされており、現状でも適度な安定性を持っているため崩落は滅多に生じない。そして、前記堆積物を崩落させる地震や事故等の発生確率は低い。従って、発生確率が低いものに備えるためのコストは、できる限り抑えることが望ましい。
上記事情に鑑みて、本発明は、堆積物を安定化するためにコストのかからない方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、堆積物の斜面を固化して堆積物を物理的に安定化出来ることを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(発明1)
安定化した堆積物を形成する方法であって、
前記堆積物は砂礫状物質を含み、
前記方法は、固化材スラリーを、前記堆積物の斜面の頂部から供給する工程を含み、
前記固化材スラリーは、自重により、前記斜面の頂部から、前記斜面の底部へ拡散し、
前記固化材スラリーの固化作用により、前記堆積物の斜面を安定化する方法であり、
前記固化材スラリーの平均浸透速度が0.13cm/秒以上である方法。
(発明2)
発明1に記載の方法であって、前記固化材スラリー中の固化材の供給量が、20kg/m2以上である方法。
(発明3)
発明1又は2に記載の方法であって、安定化後の堆積物の安全率が1.0以上である方法。
(発明4)
前記砂礫状物質がスラグである発明1〜3のいずれか1つに記載の方法。
(発明5)
前記堆積物の法勾配が30°〜45°であることを特徴とする、発明1〜4のいずれか1つに記載の方法。
(発明6)
発明5に記載の方法であって、前記固化材スラリーの固化作用による改良幅(cm)と、前記改良幅内における一軸圧縮強さ(kN/m2)とを乗じた値が10000以上である方法。
(発明7)
前記砂礫状物質は粒径0.075〜19mmであることを特徴とする発明1〜6のいずれか1つに記載の方法。
(発明8)
前記堆積物の間隙比が0.61〜0.77である発明1〜7のいずれか1つに記載の方法。
(発明9)
前記堆積物の相対密度が53〜67%であることを特徴とする、発明1〜8のいずれか1つに記載の方法。
(発明10)
前記固化材スラリーの粘度が3.0cP以下であることを特徴とする発明1〜9のいずれか1つに記載の方法。
(発明11)
前記固化材スラリーのW/Cが200〜600%である発明1〜10のいずれか1つに記載の方法。
(発明12)
前記固化材と堆積物とで規定されるグラウタビリティー比が15以上である発明1〜11のいずれか1つに記載の方法。
(発明13)
前記固化材スラリーがセメント系固化材スラリーである発明1〜12のいずれか1つに記載の方法。
(発明14)
前記固化材スラリーが、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系分散剤を含む、発明1〜13のいずれか1つに記載の方法。
(発明15)
前記固化材スラリーは積層体頂部からドリップ式に供給されることを特徴とする発明1〜14のいずれか1つに記載の方法。
本発明は以下の効果を有する
(1) 堆積物斜面の表層のみを対象とすることにより低コストで安定化できる。
(2) 斜面の頂部から自重により固化材スラリーを拡散するために簡単な装置で安定化できる。
一実施形態における、本発明対象の堆積物のモデル図である。 銅スラグの粒度分布図を表した図である。 固化材スラリーの粘性と浸透深さの関係を表した図である。 一実施形態における、本発明が対象とする堆積物の模型法面を表した図である。 試料の改良深さを測定しているときの写真である。
本発明は堆積物斜面の表面部を固化して、堆積物を安定化することを特徴とする。堆積物の斜面の特性とその固化材スラリーの物性を制御することにより簡便でコストを掛ける事無く安定化することができる。以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。
1.堆積物
一実施形態において、本発明の堆積物は、砂礫状の物質を含む。更なる実施形態では、本発明の堆積物は、砂礫状の物質から実質的に構成される。ここで、「砂礫状物質」とは、細砂、中砂、粗砂、細礫、中礫の大きさを有する物質であることを意味する。典型的には粒径0.075〜19mmの範囲の大きさを有する。更なる一実施形態において、前記砂礫状物質は、金属製錬スラグである。しかし、水で膨潤しない同程度の粒径と密度を持つ砂礫状の鉱物であれば適用することができる。金属製錬スラグとして、具体的には、銅製錬スラグ(例えば、粒径0.075〜10mm)、鉄鋼スラグ、鉛製錬スラグ、及びニッケルスラグが挙げられる。いずれの金属製錬スラグに適用しても同等の効果を得ることができると考えられる。
スラグは金属製錬時大量に副生する。一般には、スラグは水砕されて適当な粒度に調整し建築資材や路盤材となる。これを堆積する時には円錐状にはならず、台形状もしくはメサ状に成型して堆積する。円錐状では頂部付近が崩落するためである。成型後には重機で締め込めばさらに物理的安定度は増す。
しかしながら斜面部は十分に安定化することが難しく、地震や事故の衝撃を引き金に崩落する可能性が高い。これを舗装、固化するには固化材を斜面表面に吹き付ければ相応の安定化ができる。しかしながら、大量のスラグ積層体の広範な斜面に対して適用するには施工のコストが著しく高い。
斜面の頂部から固化材を供給して表層のみを固化する方法が最も安価であるが、積層体斜面の形状や必要な固化材の性質に影響を受けることは容易に推察できる。
2.地震時の安定性及びモデル法面について
(1)安全性の評価方法
斜面部分の崩落の安全性については、修正フェレニウス型の計算式に従った評価を行うことができる。常時の計算式と地震時の計算式があるが、本発明においては地震時の計算式に基づく評価を採用する。具体的には以下の通りである。
ここで、Fsは安全率、Cは粘着力、φはせん断抵抗角、Lはスライスで切られた滑り面の長さ、Wはスライスの全重量、Uは間隙水圧、bはスライスの幅、αはスライスで切られた滑り面の中点と滑り面の中心を結ぶ直線と鉛直線のなす角、hは各分割片の重心と滑り円の中心との鉛直距離、rは滑り円の半径、Khは設計水平震度である。「道路土工、のり面工・斜面安定工指針」によれば、安全率を、常時において1.2以上、地震時において1.0以上とするように定めている。安全率は、高ければ高いほど好ましい。従って、安全率の上限値については、特に制限されないが、典型的には、1.5以下で十分である。
(2)モデル法面
上述した評価方法を、モデル法面に適用し、安全性の評価を行うことができる。一実施形態において、図1のようなモデル法面を採用することができる。図1のモデル法面は、銅スラグの堆積物の斜面を表す。斜面の高さは10mである。また、「道路土工、のり面工・斜面安定工指針」によれば、盛土の小段は、盛土高が5m以上の場合は小段を5m以下の間隔で設けることを標準としている。そこで、当該モデル法面では、高さ5mの位置に小段を設けている。銅スラグの物理定数、即ち湿潤重量は20kN/m3である。また、内部摩擦角(せん断抵抗角)は35°を仮定している。境界条件として、銅スラグ領域の上端には重機を模擬した分布荷重10kN/m2を載荷し、銅スラグ領域の下端に地下水面を与えた。さらに間隙水圧については考慮していない。そして、設計水平震度については、中規模地震及び大規模地震を想定し、2種類の数値0.15及び0.23を採用した。また、滑り円の半径rについては、複数の円弧すべり面を改定してそれぞれの安全率を求め、安全率が最小となるパターンの時の値を採用した。
上述の設定数値のほか、法勾配θ、粘着力C、改良幅Bを、表1に示すように値を変更し、それぞれの場合の安全率を算出した。なお、改良幅とは、図1にあるように、斜面に対して垂直方向に測定したときのサイズを意味する。
3.堆積物及び法面の特性
(1)改良幅及び一軸圧縮強さ
表1の結果から、法勾配が33.7°(又はそれ以下)の場合には、固化による表層改良幅を30cm以上、且つ一軸圧縮強さ(例えば、JIS A 1216の「土の一軸圧縮試験方法」に準拠)を500kN/m2以上にすることが好ましい。更に厳しい条件である法勾配45°(又はそれ以下)の場合には、固化による表層改良は改良幅30cm以上、且つ一軸圧縮強さ1000kN/m2以上とすることが好ましい。改良幅が長くなれば当然安全率は上昇するので長くなるのは不都合ではないが、コストの面からなるべく幅は短い方がよい(例えば、50cm以下)。また、表1の結果から、改良幅が30cm未満であっても、その分一軸圧縮強さを上げることができれば、結果的には所望の安全率が確保できることがわかる。例えば、要求水準を30cm以上且つ一軸圧縮強さ1000kN/m2とする場合、30cm×1000kN/m2の数値を達成する組合せであれば、改良幅又は一軸圧縮強さのいずれか一方がそれぞれの基準値を下回ってもよい。例えば、改良幅が25cmであっても、一軸圧縮強さが1200kN/m2であれば、前述した組合せと同等の安全率を確保できる。従って、改良幅と一軸圧縮強さの組合せとしては、改良幅(cm)×一軸圧縮強さ(kN/m2)が10000以上とするのがよく、12000以上とするのがより好ましく、30000以上とするのが最も好ましい。
(2)法面角度
法勾配は45°超では内部摩擦角の関係で安定に存在できない。また33.7°以下では散布した時に自重で拡散できるのであれば問題はないが固化材スラリーの粘性に大きく依存する。本発明で使用する固化材スラリーであれば、30°以上であれば支障をきたすことはない。従って、一実施形態において、堆積物の斜面の法勾配は、30°〜45°、より好ましくは、33.7°〜45°であることが好ましい。
(3)相対密度
間隙比や密度は、粗粒土の力学的特性と密接な関係があることが知られている。本発明の一実施形態においては、後述する固化材スラリーの浸透性の観点から、間隙比は、0.61〜0.77が好ましく、0.65〜0.72が更に好ましい。更なる実施形態においては、堆積物中の砂礫状物質の特性は、相対密度によって特定することが好ましい。この理由としては、密度が大きい場合や間隙比が小さい場合でも、堆積物が相対的に良く締まっているとは限らず、密度や間隙比のみでは力学的特性は決まらないことが挙げられる。しかし、任意の相対密度であっても、後述する固化材スラリーにより、安定強化されれば、上述した安全率は達成可能である。従って、本発明の堆積物の相対密度は、特に限定されないが、典型的には、53〜67%、好ましくは、58〜62%である。
4.固化材スラリーの特性
(1)固化材スラリー
本発明で用いる固化材は、特に限定されないが、典型的にはセメント系固化材を用いる。粉末状だと、堆積物の内部へ浸透しないので、水と混練してスラリー状態にする。
セメント系固化材としては、特に限定されないが、堆積物へ十分に浸透可能な物が好ましい。一般的に、地盤材に対する浸透性は固化注入剤の粒度に依存するといわれる。より具体的には、地盤材の15%粒径であるD15 geomaterial、及び注入材の85%粒径であるD85 groutで表したグラウタビリティー比GRによって評価することができる。GRは以下の式で表すことができる。
ここで、GR<15だと注入不可能であると評価される。従って、一実施形態において、固化材スラリーと、堆積物の粒径の関係は、GRが15以上であることが好ましい。また、GRの上限値は特に制限されないが、典型的には1000以下である。
セメント系固化材スラリーの粘度は、堆積物に浸透することが可能な粘度であることが望ましい。即ち、極端に粘度が高いと堆積物への浸透が悪くなる。典型的には、3.0cp以下(18℃、振動式粘度計による測定。以下同じ)である。より、好ましくは2.5cP以下である。
セメント系固化材スラリーの粘度は、水セメント比(W/C)の影響を受ける。そして、セメント系固化材スラリーのW/Cは、堆積物に浸透することが可能な値であることが望ましい。典型的には200%以上、より好ましくは250%以上である。
一方で、粘度が低すぎると、堆積物の改良強度が不十分になる可能性がある。そこで、粘度は、少なくとも1.0cp以上とするのが好ましく、1.2cp以上だと更に好ましい。そして、堆積物への浸透性と堆積物の改良強度とのバランスを考慮すると、1.4〜2.0cp(18℃)が最も好ましい。
同様に、W/Cについても、堆積物の改良強度を考慮し、600%以下とするのが好ましい。そして、堆積物への浸透性と堆積物の改良強度とのバランスを考慮すると、250〜350%とするのが好ましい。
固化材スラリーを堆積物に対して投与すると、所定の浸透速度で堆積物内部へと浸透することができる。ここで、浸透速度が高くなると、改良深度を深くすることができ、及び供給限界量に達するのが早くなる可能性を回避できるため好ましい。換言すれば、堆積物表面から浅い部分での固化が開始されて更に深いところへの浸透が鈍くなることなどを回避できるため好ましい。従って、少なくとも0.13cm/秒以上の浸透速度で供給することが好ましく、0.19cm/秒以上が好ましい。また、浸透速度の上限については、特に制限されないが、典型的には0.30cm/秒以下である。
浸透速度は、堆積物の粒度と間隙比や傾斜面の角度、固化材の粒径、スラリーの濃度や粘度等の様々の要因により変化する。しかしいずれかの制御可能な因子を、上述した説明に従って調整することにより最適化することが可能である。
また、上記浸透速度のほか、実質的に供給される固化材の量は高ければ高いほど、改良強度が高くなるため好ましい。例えば、水の割合が高く、粘性が低い固化材スラリーであれば、堆積物内部への浸透速度は高くなる。しかし、その一方で、固化材スラリー中に含まれる固化材の割合は相対的に低いので、堆積物の表層部に供給される実質的な固化材の量は低くなる。従って、改良深度内において達成される改良強度が低くなる可能性がある。よって、限定されるものではないが、堆積物の表面の面積に対する固化材の供給量は、20kg/m2以上であることが好ましく、25kg/m2以上であることが更に好ましい。また、固化材の供給量の上限値については、特に限定されないが、典型的には、85kg/m2以下である。
(2)分散剤
また、幾つかの固化材の粒径は小さく、比表面積が大きいため粒子同士が凝集しやすい。そこで、こうした凝集を防ぐ目的で(そして、堆積物の内部への浸透を良くする目的で)、分散剤を更に混練してもよい。
分散剤としては、特に限定されないが、以下の物が挙げられる:ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸塩系;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸塩系;リグニンスルホン酸塩、変成リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系;ポリスチレンスルホン酸塩系等の分子中にスルホン酸基を有する各種スルホン酸系分散剤;ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体から得られる共重合体;不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体、マレイン酸系単量体または(メタ)アクリル酸系単量体から得られる共重合体等の分子中に(ポリ)オキシアルキレン基とカルボキシル基とを有する各種ポリカルボン酸系分散剤;(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、リン酸モノエステル系単量体、およびリン酸ジエステル系単量体から得られる共重合体等の分子中に(ポリ)オキシアルキレン基とリン酸基とを有する各種リン酸系分散剤。
分散剤の添加量は特に限定されないが、製品の指示書に従って添加すればよい。典型的には、固化材に対する重量比で0.5〜1%である。
5.固化材スラリーの投与方法
一実施形態において、固化材スラリーは、堆積物の斜面の頂部から投与することができる(例えばドリップ式で投与)。より具体的には、堆積物の斜面の頂部から散布ノズル等を用いて、固化材スラリーを散布することができる。固化材スラリーは、自身の重さにより、前記斜面の頂部から、前記斜面の底部(斜面のふもと)へ拡散することができる。その際に、斜面に沿った方向で拡散するため、前記斜面の表面部(表面、及び前記表面からの所定の深さの部分)が固化される。これにより、斜面部の崩落の危険性を低下することができる。投与後は、所定の日数、養生させる。日数については特に限定されないが、少なくとも14日、好ましくは28日間以上養生させれば、所望の改良幅で所望の改良強度が得られる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
銅スラグ試料の粒度特性を把握するため土の粒度試験(JIS A 1204)を実施した。図2に銅スラグ試料の粒度分布を示す。銅スラグ試料の最小・最大密度を求めるため、砂の最小密度・最大密度試験(JIS A 1224)を実施した。密度の測定は五度行いその平均とした。結果を表2に示す。前記結果を基にして、相対密度等を算出した。
(実施例2)
上記スラグを使用し、固化材スラリーの銅スラグ地盤(模型地盤)への浸透性、浸透後の改良強度を評価するため、一次元浸透試験を実施した。内径78mm、高さ500mmの透明塩ビパイプ(浸透容器)に、相対密度60%の銅スラグ地盤(地盤高さ450mm)を作製し、浸透容器上部から固化材スラリーを供給した。固化材としては粒径ごとに三種類のセメント系固化材を使用し、水との配合比を変えて粘性を調整した。また、浸透容器底面には金網メッシュを設置し、銅スラグ地盤を浸透・通過した滲出水を採取した。固化材スラリーは漏斗を介して銅スラグ地盤表面へ供給し、固化材スラリーの上面位置が地盤表面上から2cm程度となるように注意しながら連続的に供給した。供給量の上限は1Lとし、供給中に1分程度放置しても固化材スラリーの低下が見られない場合には、供給限界に達したと判断し、それまでに供給した量を供給限界量と定義する。固化材スラリーの粘度は振動式粘度計で測定した。
試験後は浸透容器上部をラップで覆い恒温室内で所定の期間養生した。養生28日後に浸透容器を解体し改良深さを計測した。改良深さの計測方法については、図5の写真に示す通りである。具体的には、容器を解体すると、円柱状のスラグにおいて固化されていない部分の形状が崩壊する。そして、円柱の形状が維持されている部分の高さをものさしで計測し、計測値を改良深さ(固化深さ)とした。結果を表3に示す。
※十分に固化材が浸透せず一軸圧縮強さ測定が不可能であった試料はimpossibleとしている。
なお、上記固化材Aは、超微粒子セメントであり、太平洋マテリアル社製の太平洋アロフィクスMCである。また、上記固化材Bは、ジオセットであり、太平洋セメント社製のジオセット200である。更に、上記固化材Cは、太平洋セメント社製の普通ポルトランドセメントである。そして、分散剤は、太平洋マテリアル社製のMCヘルパーを用いた。
表3の結果をもとに、粘度と固化深さの関係を図3に示す。粘性が3.0cP以下で30cm以上まで浸透して固化することが分かる。また表2の結果から間隙比は最大4%程度の変動係数を持っており、本粘性と固化材の浸透深さはその3倍の幅を持たせた間隙比0.61〜0.77で成立すると考えられる。同様の考え方で、相対密度についても、53〜67%で成立すると考えられる。
また、粘性が高すぎて十分に浸透しなかった場合を除いて、改良幅×一軸圧縮強さから算出される所望の強度水準も達成されることが分かった。
また、表3で示した各種固化材スラリーが達成した、浸透速度及び改良強度を表4に示す。浸透速度については、供給限界量÷供給時間÷(断面積×間隙率)で算出し、最大供給時間で規格化した。また、供給量については、供給限界に達した時点でのこれまでに供給した固化材スラリー量と、模型地盤の下側に滲出した固化材スラリー量を用いた。両者の値と、固化材スラリー中に含まれる固化材の割合の値とを用いることにより、模型地盤に対して添加された固化材の量が算出できる。そして、添加された固化材の量を単位当たりの面積に換算した。
※十分に固化材が浸透せず一軸圧縮強さ測定が不可能であった試料はimpossibleとしている。
上記表4から見ると供給量が20kg/m2以上の場合には少なくとも所望の改良強度が得られていることが分かる。また、浸透速度については、0.13cm/秒以上であれば、確実に所望の改良深さ及び改良強度の組合せが得られることが分かる。
(実施例3)
これらの配合で作製した固化材スラリーを銅スラグ法面(模型法面)へ撒布し、模型法面表層の改良状況を評価した。図4に模型法面の模式図を示す。模型法面の寸法は、法高0.63m、法勾配35°である。また、一次元浸透試験と同様に、模型法面の相対密度は60%とした。滲出した固化材スラリーは、底板に配置した金属メッシュを介して排出できる構造にした。また、模型法面から一軸供試体を採取する目的で、地盤中に浸透容器(モールド)を設置した。
頂部から固化材スラリーを撒布した。固化材は粒子の細かい固化材A(分散剤太平洋マテリアル社製のMCヘルパーを固化材に対して1%(重量比)添加)を使用し、粘性が2.05cPに調整されたものを使用した。散布には6cm間隔(二穴)の撒布ノズルで散布速度0.14L/秒/mで行った。固化材スラリーをおよそ190L撒布したところで滲出水が確認されたため、実験を終了した。単位面積当たりの固化材使用量は29.04kg/m2であった。模型法面の解体は、撒布終了から14日、28日後に実施した。
法面は全層に渡って固化されていた。モールドを回収し深さごとに一軸圧縮試験を実施した。結果を表5に示す。
表層は14日で十分に要求水準に達しており、28日後においては下層においても要求水準に近い値に改善されている。この結果から表層から30cm以内の平均強度は確実に1000kN/m2を満たしていると考えられる。また、仮にそうでなかったとしても、改良深さ×一軸圧縮強さの観点から算出される水準は十分満たしていると考えられる。
また、表5の結果は、表3〜4で示される同じ粘性の固化材スラリーと同程度の改良幅及び改良強度を達成できている。従って、表3〜4において所望の水準を達成した他の固化材スラリーについても、表5と同様の効果が得られると考えられる。
また、固化材スラリーは、斜面の頂部から散布した後、そのまますべての固化材スラリーが鉛直方向に堆積物内に浸透するのではなく、一部はしばらく斜面に沿って、ふもと方向に移動していった。従って、頂部からふもとにかけての斜面の途中部分においては、実施例2のように、上部から直接固化材スラリーが供与される状態と同じ状態になっていると考えられる。従って、斜面の頂部から固化材スラリーを投与する場合においても、実施例2で達成したのと同程度の改良強度と改良深さが達成可能であると考えられる。

Claims (15)

  1. 安定化した堆積物を形成する方法であって、
    前記堆積物はスラグの砂礫状物質を含み、
    前記堆積物は、台形状又はメサ状であり、
    前記方法は、固化材スラリーを、前記堆積物の斜面の頂部から供給する工程を含み、
    前記固化材スラリーは、自重により、前記斜面の頂部から、前記斜面の底部へ拡散し、
    前記固化材スラリーの固化作用により、前記堆積物の斜面を安定化する方法であり、
    前記固化材スラリーの平均浸透速度が0.13cm/秒以上である方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記固化材スラリー中の固化材の供給量が、20kg/m2以上である方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法であって、安定化後の堆積物の安全率が1.0以上である方法。
  4. 前記堆積物が、固化材スラリーを供給する前に、あらかじめ締め固めされている請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記堆積物の法勾配が30°〜45°であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 請求項5に記載の方法であって、前記固化材スラリーの固化作用による改良幅(cm)と、前記改良幅内における一軸圧縮強さ(kN/m2)とを乗じた値が10000以上である方法。
  7. 前記砂礫状物質は粒径0.075〜19mmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記堆積物の間隙比が0.61〜0.77である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記堆積物の相対密度が53〜67%であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記固化材スラリーの粘度が3.0cP以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記固化材スラリーのW/Cが200〜600%である請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記固化材スラリー中の固化材と堆積物とで規定されるグラウタビリティー比が15以上である請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記固化材スラリーがセメント系固化材スラリーである請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記固化材スラリーが、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系分散剤を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記固化材スラリーは積層体頂部からドリップ式に供給されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
JP2014252425A 2014-12-12 2014-12-12 堆積物の安定化法 Active JP6275029B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014252425A JP6275029B2 (ja) 2014-12-12 2014-12-12 堆積物の安定化法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014252425A JP6275029B2 (ja) 2014-12-12 2014-12-12 堆積物の安定化法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016113793A JP2016113793A (ja) 2016-06-23
JP6275029B2 true JP6275029B2 (ja) 2018-02-07

Family

ID=56141189

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014252425A Active JP6275029B2 (ja) 2014-12-12 2014-12-12 堆積物の安定化法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6275029B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7258696B2 (ja) * 2019-09-02 2023-04-17 株式会社不動テトラ 懸濁型注入材の注入工法
CN112796342B (zh) * 2020-12-15 2022-03-29 张强 一种河湖泥沙清淤造地方法及设备

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS53133589A (en) * 1977-04-28 1978-11-21 Nippon Steel Corp Dust proofing treatment method for slag
JPS5729506A (en) * 1980-07-28 1982-02-17 Nisshin Steel Co Ltd Aging method for slowly cooled blast furnace slag
JPS6048412B2 (ja) * 1981-10-12 1985-10-26 新日本製鐵株式会社 野積貯蔵鉱石の表面コ−テイング方法
JPS5943707A (ja) * 1982-09-02 1984-03-10 Nippon Steel Corp 野積堆積物の被覆装置
US4492729A (en) * 1982-10-08 1985-01-08 Georgia-Pacific Corporation Cohesive fibrous mat for in-transit particulate control
JPS59117589A (ja) * 1982-12-24 1984-07-06 Nippon Steel Corp 石炭山のコ−テイング材
JP3929544B2 (ja) * 1997-03-19 2007-06-13 新日本製鐵株式会社 野積み石炭の表面被覆方法
JP5134256B2 (ja) * 2006-02-07 2013-01-30 日鉄住金セメント株式会社 超微粒子注入材組成物
JP2013119578A (ja) * 2011-12-06 2013-06-17 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 土質改良体及びその施工方法
JP5873715B2 (ja) * 2011-12-28 2016-03-01 株式会社大林組 海水によって練り混ぜた地盤注入材、及び、地盤改良方法
JP5861535B2 (ja) * 2012-03-28 2016-02-16 栗田工業株式会社 野積み堆積物の発塵及び/又は水分上昇防止方法
JP5398096B1 (ja) * 2013-05-29 2014-01-29 有限会社シモダ技術研究所 浸透性微粒子グラウト材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016113793A (ja) 2016-06-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS6248009B2 (ja)
JP6275029B2 (ja) 堆積物の安定化法
JP6207149B2 (ja) 地中連続止水壁工法
JP5780714B2 (ja) 地下空洞部の充填方法
JP5478386B2 (ja) 地下空洞部を有する地盤の改良工法
JP6275028B2 (ja) 堆積物の安定化法
JP2011106158A (ja) 締固め砂杭造成装置及び締固め砂杭造成工法
JPWO2014045583A1 (ja) 撥水砂の混合物及び撥水砂構造体
JP5404344B2 (ja) スラグ杭造成工法
Jamnongpipatkul et al. Application of air foam stabilized soil for bridge-embankment transition zone in Thailand
KR101598119B1 (ko) 몰탈그라우트 주입기구를 이용한 점조성 조정 액상그라우트가 부배합된 몰탈그라우트의 압력다짐주입에 의한 지중기초구축공법
KR101278130B1 (ko) 부상토 재활용을 통한 해저표층고화 해상심층혼합처리공법
JP5398096B1 (ja) 浸透性微粒子グラウト材
RU2728075C1 (ru) Способ устройства свайного фундамента под машины с динамическими нагрузками и виброчувствительное оборудование
EP3880887A2 (en) High strength porous cement-based materials
JP6106836B1 (ja) 既設吹付モルタル法面の老朽化対策工法
JP5156900B2 (ja) 単粒度骨材からなる構造物の基礎及びその施工方法
CN110516344A (zh) 临坡面岩体竖向裂隙注浆设计方法
US11981853B2 (en) Chemical polymer deep soil stabilization columns and sand columns
JPH0751783B2 (ja) 杭定着用根固め部の築造工法
US11884860B2 (en) Fluidized sand and method of density control
CHIEN et al. Study on sludge recycling with compaction type and placing type by rice husk-cement-stabilized soil method
US20220363991A1 (en) Chemical polymer deep soil stabilization columns and sand columns
JP5912677B2 (ja) 撹乱ピートの流動性管理装置及び該装置を使用した固化処理土の製造方法
KR100897369B1 (ko) 해양 구조물 축조를 위한 케이슨 설치 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160930

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20161128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20161128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170804

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170829

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171212

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180109

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6275029

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250