JP5873715B2 - 海水によって練り混ぜた地盤注入材、及び、地盤改良方法 - Google Patents

海水によって練り混ぜた地盤注入材、及び、地盤改良方法 Download PDF

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Description

本発明は、セメント系材料を分散剤とともに海水によって練り混ぜた地盤注入材、及び、この地盤注入材を用いた地盤改良方法に関する。
地山の補強、液状化防止、漏水防止、遮水壁の築造などのために、地盤注入材を改良対象の地盤へ注入し、固化させることが行われている。この地盤注入材は、例えば粉体状のセメント系材料に真水及び分散剤を加えて混合攪拌することで作製される。ここで、真水が入手困難な地域では、真水に代えて海水が使用できると、真水を遠方から運搬せずに済み、工事費の節減やCOの削減につながる。
特許文献1には、高炉水砕スラグを海水で練り混ぜることでブリージングを抑制できることが開示されている。しかしながら、海水を用いてセメント系の地盤注入材を作製すると、セメント系材料等との混合後急激に流動性が低下し、十分な広さに亘って注入できなくなってしまうことが知られている。
特許文献2には、海水を用いたセメントスラリーの調整時において、粘度が急激に上昇する不具合を抑制することを目的として、半水石膏の量をポルトランドセメントクリンカーの量に対して所定割合以下にする技術が開示されている。
特許文献3には、セメントと急硬材を含む急硬性セメントの凝結を調整する凝結調整剤として、有機酸類、アルカリ金属炭酸塩、及び酸性物質を用いる技術が開示されている。
また、特許文献4,5には、セメント−水ガラス系の地盤注入材において、海水を用いてもゲル化までに十分長い時間を確保できようにする技術、或いは、ゲル化を抑制できるようにする技術が開示されている。
特開平4−293992号公報 特開2005−8450号公報 特開平8−333146号公報 特開平5−287270号公報 特開平9−78064号公報
このように、セメント系の地盤注入材の作製に海水を用いると流動性が低下するという問題があり、様々な解決方法が提案されている。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、先行文献に開示された技術とは異なる手法により、海水を用いても流動性の低下を抑制し、地盤注入材を十分な広さに亘って注入できるようにすることを目的とするものである。
前記目的を達成するため、本発明者等は鋭意検討を重ねた結果、特殊混和剤として亜硝酸塩を用いることにより、海水で地盤注入材を練り混ぜても所望の流動性が得られることを見いだした。
本発明は、この知見に基づいてなされたものであり、セメント系材料と分散剤とを練り混ぜ水によって練り混ぜた地盤注入材であって、前記練り混ぜ水として海水を用いるとともに、流動性を向上させるための特殊混和剤として亜硝酸塩を用いることを特徴とする。
本発明の地盤注入材によれば、特殊混和剤として亜硝酸塩を用いているので、練り混ぜ水として海水を用いても練り混ぜ時における急激な流動性の低下を抑制できる。これにより、地盤注入材を十分に地盤へ注入させることができる。
本発明の地盤注入材において、前記亜硝酸塩は亜硝酸カルシウムであることが好ましい。そして、前記亜硝酸カルシウムの添加量を、セメント系材料の量の1%以上であって2.5%以下の範囲内に定めることがより好ましい。このように構成することで、地盤に対する所望の浸透性を得ることができる。
本発明の地盤注入材において、前記分散剤としてナフタレンスルホン酸系の界面活性剤を用いることが好ましい。
また、本発明は、地盤注入材を改良対象となる地盤に注入することで、前記地盤を改良する地盤改良方法であって、請求項1から4の何れか1項に記載の地盤注入材を、注入圧力の強弱を変えながら前記地盤へ注入することを特徴とする。
本発明によれば、海水を用いてセメント系材料等を練り混ぜても地盤注入材における流動性の低下を抑制することができ、この地盤注入材を十分に地盤へ注入させることができる。
地盤注入材で使用される材料を説明する図である。 浸透試験器の構成を説明する断面図である。 浸透時間の確認試験で用いたサンプルを説明する図である。 浸透時間の確認試験の結果を説明するグラフである。 一軸圧縮強さ測定試験等で用いたサンプルを説明する図である。 一軸圧縮強さ測定試験等の処理を説明するフローチャートである。 試験砂層の性質を説明する図である。 サンプルの注入装置を説明する図である。 一軸圧縮強さの測定結果を説明するグラフである。 透水係数の測定結果を説明するグラフである。 地盤注入材の動的注入システムを説明する図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態の地盤注入材で使用される材料を説明する図である。この地盤注入材は、注入材と、分散剤と、特殊混和剤とを含有し、これらの材料を海水で練り混ぜたものである。
注入材は、粉末状のセメント系材料が用いられる。本実施形態では、日鐵セメント株式会社製の商品名「スーパーファイン−L」(SF−Lともいう)を注入材として用いている。このスーパーファイン−Lは、高炉スラグの超微粒子を主成分とする注入材であり、硬化時において耐海水性を有し、平均粒径(D50)が4μm、密度が2.92kg/mである。また、スーパーファイン−Lの化学成分は、SiOが31%,Alが13%、CaOが45%、SOが2%である。
分散剤は、注入材を構成する微粒子沈降を抑制して分散させるための薬剤である。本実施形態では、花王株式会社製の商品名「マイティ150R」を用いている。このマイティ150Rは、ナフタレンスルホン酸系の界面活性剤、詳しくはナフタレンスルホン酸・ホルマリン縮合物ソーダを主成分として含有する薬剤である。
特殊混和剤は、練り混ぜ水として海水を用いた場合において、練り混ぜ時における注入材の流動性低下を抑制するために添加する薬剤である。本実施形態では、亜硝酸塩系薬剤の一種である亜硝酸カルシウム(亜硝酸Caともいう)を用いている。
これらの成分を含有する地盤注入材による効果を確認すべく、(1)自然流下による浸透時間の確認試験と、(2)地盤注入材の加圧注入で作製された試験体の一軸圧縮強さ測定試験及び透水性測定試験とを行った。以下、これらの試験結果について説明する。
まず、自然流下による浸透時間の確認試験について説明する。図2は、浸透試験器1の構成を説明する断面図である。この浸透試験器1は、本体部2と受け容器3とを有している。
本体部2は、サンプルSP(浸透試験の対象となる地盤注入材)やサンプルSPが浸透する砂4が収容される部分であり、円筒状部材によって構成されている。本実施形態では、内径φが55mm、長さLが300mmとされた合成樹脂製の円筒状部材によって作製されている。そして、この円筒状部材の底面にはメッシュ材が取り付けられている。このメッシュ材は、本体部2に詰められた砂4が落下しないように、本体部2における底面側の開口を塞ぐ部材である。このメッシュ材には、サンプルSPが通過する大きさのメッシュが形成されている。なお、本体部2に詰められる砂4としては、例えば豊浦砂又は珪砂が好適に用いられる。
受け容器3は、砂4を透過したサンプルSPを受ける容器であり、上面が開放された有底円筒状の部材によって構成されている。受け容器3の内径は、本体部2の外径に揃えられており、本体部2の下端が受け容器3の上端に嵌め合いで固定される。この受け容器3は合成樹脂を成型することで作製される。
図3に示すように、浸透時間の確認試験ではサンプルSP(a1〜a8)からなる8種類のサンプルSPを作成した。ここで、サンプルSP(a1〜a3)は、練り混ぜ水として真水(水道水)を用い、特殊混和剤(亜硝酸カルシウム)の量を変化させて練り混ぜた地盤注入材である。一方、サンプルSP(a4〜a8)は、練り混ぜ水として海水を用い、特殊混和剤の量を変化させて練り混ぜた地盤注入材である。なお、水/セメント系材料比は全てのサンプルSP(a1〜a8)で共通とし、標準的な比率である400%に定めた。また、図3及び後述する図5における比率は重量%である。
分散剤の混入量に関し、サンプルSP(a1〜a3)ではセメント系材料の0.75%の量とし、サンプルSP(a4〜a8)では1.5%の量とした。ここで、サンプルSP(a1〜a3)における分散剤の混入量は、地盤注入材を作製する際の標準的な量である。従って、サンプルSP(a4〜a8)における分散剤の混入量は、標準的な量の2倍に相当する。特殊混和剤の混入量に関し、サンプルSP(a1,a4)ではセメント系材料の0%の量(非混入)、サンプルSP(a5)では1%の量、サンプルSP(a2,a6)では1.25%の量、サンプルSP(a7)では1.5%の量、サンプルSP(a3,a8)では2.5%の量に定めた。
これらのサンプルSPは次の手順で作製した。まず、水又は海水、分散剤、及び、特殊混和剤をミキサーに投入し、軽く攪拌した。その後、粉末状セメント系材料をミキサーに投入し、所定時間(例えば3分間)に亘って高速で攪拌した。これにより、スラリー状のサンプルSPを得た。
浸透時間の確認試験では、所定量(高さXが150mm)の砂4が本体部2に詰められた浸透試験器1を用意し、作成されたサンプルSPを本体部2の上側開口から投入した。そして、投入されたサンプルSPが漏出するまでの浸透所要時間、詳しくはサンプルSPの投入開始後からメッシュ材を透過するまでの経過時間を計測する。そして、各サンプルSP(a1〜a8)の浸透所要時間を比較することで浸透性を評価した。結果を図3の最右欄及び図4に示す。
まず、特殊混和剤が入っていないサンプルSP(a1,a4)について説明する。真水で練り混ぜたサンプルSP(a1)の浸透所要時間は28秒であったのに対し、海水で練り混ぜたサンプルSP(a4)の浸透所要時間は47秒であった。すなわち、サンプルSP(a4)では、サンプルSP(a1)の2倍の分散剤が混入されているにも拘わらず、サンプルSP(a1)よりも20秒弱余計に時間を要していることが確認された。このことは、海水を練り混ぜ水として地盤注入材を作製すると、練り混ぜ時に流動性が低下して地盤への浸透性が損なわれることを意味する。
次に、特殊混和剤がセメント系材料の1.25%混入されたサンプルSP(a2,a6)について説明する。真水で練り混ぜたサンプルSP(a2)の浸透所要時間は23秒であったのに対し、海水で練り混ぜたサンプルSP(a6)の浸透所要時間は37秒であった。先に説明したサンプルSP(a1)の浸透所要時間を基準にすると、サンプルSP(a1)との差は9秒にまで縮まった。このように、特殊混和剤としての亜硝酸カルシウムを添加することで、非添加の場合よりもサンプルの粘性を低減でき、サンプルSP(a6)の配合であれば、現場での施工に使用できるといえる。
また、真水で練り混ぜたサンプルSP(a1,a2)の組において、浸透所要時間は28秒から23秒まで5秒短縮された。これに対し、海水で練り混ぜたサンプルSP(a4,a6)の組において、浸透所要時間は47秒から37秒まで10秒短縮された。サンプルSP(a2,a6)において、特殊混和剤の混入量はともにセメント系材料の1.25%で等しいことから、特殊混和剤の添加による流動化効果は、練り混ぜ水に海水を用いた場合の方が、真水を用いた場合よりも大きいといえる。
次に、特殊混和剤がセメント系材料の2.5%混入されたサンプルSP(a3,a8)について説明する。真水で練り混ぜたサンプルSP(a3)の浸透所要時間は23秒とサンプルSP(a2)と同じであったのに対し、海水で練り混ぜたサンプルSP(a8)の浸透所要時間は38秒であった。サンプルSP(a8)の浸透所要時間は、サンプルSP(a6)よりも1秒長くなったが、特殊混和剤を添加することでサンプルの粘性を非添加の場合よりも低減できることから、サンプルSP(a8)の配合でも現場での施工に使用できるといえる。
次に、特殊混和剤がセメント系材料の1%,1.5%混入され、海水で練り混ぜたサンプルSP(a5,a7)について説明する。サンプルSP(a5)の浸透所要時間は40秒であり、サンプルSP(a7)の浸透所要時間は36秒であった。サンプルSP(a5)の浸透所要時間は、サンプルSP(a6)よりも長くなったが、特殊混和剤を添加することでサンプルの粘性を非添加の場合よりも低減できることから、現場での施工に使用できるといえる。また、サンプルSP(a7)の浸透所要時間はサンプルSP(a6)よりも短く、海水で練り混ぜたサンプルSPの中で最も短い時間となった。
以上説明した、海水で練り混ぜたサンプルSP(a4〜a7)の試験結果より、分散剤(界面活性剤)を標準量の倍程度混入させ、特殊混和剤(亜硝酸カルシウム)をセメント系材料の1%〜2.5%の範囲で混入させることで、練り混ぜ水として海水を用いても地盤注入材における流動性の低下を抑制することができ、この地盤注入材を十分に地盤へ注入させることができるといえる。
次に、サンプルSPの加圧注入で作製された試験体について、一軸圧縮強さ測定試験及び透水性測定試験を行った。以下、これらの試験について説明する。
図5に示すように、この試験ではサンプルSP(b1〜b3)からなる3種類のサンプルSPを作成した。なお、図3との対比で判るように、サンプルSP(b1)は先に説明したサンプルSP(a1)と同じ配合であり、サンプルSP(b2)はサンプルSP(a4)と同じ配合であり、サンプルSP(b3)はサンプルSP(a6)と同じ配合である。
図6のフローチャートに示すように、この試験では、試験砂層作成処理(S1)、試験砂層の透水係数測定処理(S2)、サンプルSPの作成処理(S3)、サンプルSPの注入処理(S4)、養生・脱型処理(S5)、供試体の一軸圧縮強さ・透水係数測定処理(S6)を行った。
試験砂層作成処理(S1)では、試験用の砂をアクリルモールドに投入し、締固めを行うことで試験砂層を作成した。ここでアクリルモールドとは、アクリル製の円筒体であり、本実施形態では外径が6cm、内径が5cm、長さが10cmのものを用いた。試験用の砂は5号硅砂(JIS標準砂)を用い、次式(1)により求めた量をアクリルモールドに充填して所定の高さとなるように締め固めることで、図7に示すように間隙率nを0.38に調整した。
Gs=A×L×(1−n)×ρ … (1)
なお、式(1)において、Gsは計りとる砂の質量(g)、Aは試験砂層(供試体)の断面積(cm)、Lは試験砂層の長さ(cm)、nは間隙率(−)、ρは砂の密度(g/cm)である。砂の密度ρに関し、本実施形態では2.63(g/cm)である。
試験砂層の透水係数測定処理(S2)では、作成した試験砂層の透水係数(初期透水係数)を求める。この処理では、まず試験砂層に対して水を注入して飽和させた後、時間あたりの流出水量を測定する。そして、次式(2)により試験砂層の透水係数を求める。図7に示すように、試験砂層の透水係数は、7.2×10−4(m/s)であった。
Figure 0005873715
なお、式(2)において、kは透水係数(m/s)、Lは試験砂層の長さ(cm)、hは水頭差(cm)、Qwは流出水量(cm)、Aは試験砂層の断面積(cm)、t−tは測定時間(s)である。
サンプルSPの作成処理(S3)では、図5で説明した配合となるように、分散剤と特殊混和剤を練り混ぜ水(真水又は海水)へ添加して水溶液を作成し、その後、この水溶液に粉末状のセメント系材料を投入してミキサーで所定時間(例えば3分間)に亘って攪拌した。これにより、スラリー状のサンプルSP(グラウト)を得た。
サンプルSPの注入処理(S4)では、図8に示す注入装置11を用い、所定の注入圧力で各サンプルSP(b1〜b3)を試験砂層12に注入する。図8の注入装置11は、試料容器13と、エアーコンプレッサー14と、アクリルモールド15と、固定治具16とを有している。
試料容器13は、スラリー状のサンプルSPが貯留される部分であり、容器本体13aと、攪拌機13bと圧力計13cとを備えている。容器本体13aの底部13dにはサンプルSPの排出路13eが設けられており、この排出路13eにはサンプルSPを案内するための配管17aが接続されている。また、容器本体13aの蓋部13fには圧縮空気の導入路13gが設けられており、この導入路13gにはエアーコンプレッサー14からの圧縮空気を導入するための配管17bが接続されている。
アクリルモールド15は試験用の砂(5号硅砂)が充填されるアクリル製の円筒状部材であり、型枠として機能する。本実施形態において、サンプルSPの注入処理(S4)で用いるアクリルモールド15と試験砂層作成処理(S1)で用いるアクリルモールドとは長さが異なっている。すなわち、注入処理用のアクリルモールド15は長さが100cmであり、試験砂層作成処理で用いるアクリルモールドよりも長いものが用いられている。なお、外径及び内径については、両者共通であるので説明は省略する。
固定治具16は、アクリルモールド15を立てた状態で固定するための部材であり、下側蓋体16aと、上側蓋体16bと、連結棒16cとを有している。下側蓋体16aは、アクリルモールド15の下端開口を下側から塞ぐ板状部材であり、サンプルSPをアクリルモールド15の内側空間へ注入するための注入路16dが設けられている。この注入路16dは、配管17aを通じて試料容器13の排出路13eと連通されている。このため、試料容器13から排出されたサンプルSPは、注入路16dを通じてアクリルモールド15の試験砂層12に注入される。なお、注入路16dにおける試験砂層12との境界部分を注入孔という。
上側蓋体16bは、アクリルモールド15の上端開口を上側から塞ぐ板状部材であり、サンプルSPの注入に伴って押し出されたアクリルモールド15内の空気等を排出するための排出路が設けられている。連結棒16cは、下側蓋体16aと上側蓋体16bとを連結するための棒状部材であり、例えば両端にネジ山が形成された長尺ボルトによって構成されている。連結棒16cによって下側蓋体16aと上側蓋体16bのそれぞれがアクリルモールド15の各端面に密着し、サンプルSPの漏れを抑制する。
サンプルSPの試験砂層12への注入は、次の手順で行った。まず、注入対象のサンプルSPを試料容器13に投入し、攪拌機13bによって連続的に攪拌する。次に、圧力計13cで試料容器13の内部圧力を確認しながらエアーコンプレッサー14からの圧縮空気を試料容器13へ供給する。このとき、内部圧力が0.1MPaとなるように圧縮空気を調整する。これにより、試料容器13のサンプルSPが押し出され、アクリルモールド15の下側から順に試験砂層12へ注入される。
設計注入量のサンプルSPが試験砂層12へ注入されるか、或いは、設計注入量に到達しないまま規定注入時間(例えば20分)が経過した場合に、サンプルSPの注入を終了する。なお、設計注入量は、次式(3)により予め求めておく。
Qg=V×n×α/100 … (3)
なお、式(3)において、Qgは設計注入量(cm)、Vは試験砂層12の体積(cm)、nは間隙率(%)、αは充填率(%)である。なお、本実施形態の充填率αは150%である。
養生・脱型処理(S5)では、注入されたサンプルSPを所定期間(例えば28日)に亘って温度や湿度を維持しつつ静置し(養生)、その後、試験砂層12とともにアクリルモールド15から取り外した(脱型)。
供試体の一軸圧縮強さ・透水係数測定処理(S6)では、養生後の硬化体(サンプルSP+試験砂層12)を10cm単位で切断し、そのうちの注入孔側から5個を供試体として一軸圧縮強さを測定した。また、これらの供試体のうち、注入孔側から2番目の供試体(10−20cmの供試体)と5番目の供試体(40−50cmの供試体)について、透水係数を測定した。
なお、一軸圧縮強さは試験機によって測定した。また、透水係数を測定するに際し、図8の注入装置11を用いて水を注入し、飽和した後に時間あたりの流出水量を測定した。そして、前述の式(2)により透水係数を求めた。
以下、一軸圧縮強さと透水係数の試験結果について説明する。まず、図9を参照して一軸圧縮強さについて説明する。
図9(a)は、サンプルSP(b1)、すなわち練り混ぜ水を水道水とし、分散剤を標準混入量とし、特殊混和剤を未混入としたサンプルSPによる供試体の一軸圧縮強さの測定結果を示す。サンプルb1に関し、各供試体の一軸圧縮強さは概ね2000kN/mで揃っている。一軸圧縮強さが揃っていることから、注入孔から50cmの長さ範囲に全体に亘り、十分な量のサンプル(グラウト)が試験砂層12へ注入されているといえる。
図9(b)は、サンプルSP(b2)、すなわち練り混ぜ水を海水とし、分散剤を標準の倍量混入し、特殊混和剤を未混入としたサンプルSPによる供試体の一軸圧縮強さの測定結果を示す。また、図9(c)は、サンプルSP(b3)、すなわち練り混ぜ水を海水とし、分散剤を標準の倍量混入し、特殊混和剤を適量混入したサンプルSPによる供試体の一軸圧縮強さの測定結果をそれぞれ示す。
サンプルSP(b2,b3)ともに、一軸圧縮強さで3000kN/m以上を示す供試体が多く確認された。このことから、練り混ぜ水に海水を用いることで供試体の強度を、練り混ぜ水に真水を用いた供試体よりも1.5倍以上高めることが可能と考えられる。
ここで、サンプルSP(b2)に関し、2番目の供試体(注入孔から10−20cm部分の供試体)の一軸圧縮強さが最も大きく、以降、注入孔からの距離が遠くなる程に一軸圧縮強さが小さくなっている。
サンプルSP(b3)については、各供試体の一軸圧縮強さが3500kN/m以上を示しており、十分な強度が得られていることが確認された。
これらの測定結果から、練り混ぜ水に海水を用いたサンプルSP(b2,b3)に関し、この試験での注入圧力(0.1MPa)は若干不足していると解される。しかし、サンプルSP(b3(1))では5番目の供試体まで高い一軸圧縮強さが得られていることから、その不足量はそれほど大きくないと解される。また、サンプルSP(b2)とサンプルSP(b3)を比較すると、サンプルSP(b3)の方が注入孔から遠い部分までの範囲で浸透されている。これは、特殊混和剤の添加による効果と解されることから、特殊混和剤の添加によって地盤注入材の流動性を改善できるといえる。
次に、図10を参照して透水性について説明する。ここで、図10(a)はサンプルSP(b1)での測定結果を、図10(b)はサンプルSP(b2)での測定結果を、図10(c)はサンプルSP(b3)での測定結果をそれぞれ示す。
透水係数に関し、サンプルSP(b1)では10−5程度の値であるのに対し、サンプルSP(b2)では10−6程度の値を示し、サンプルSP(b3)では10−7に近い値を示している。サンプルSP(b1)とサンプルSP(b2,b3)の比較により、サンプルSP(b2,b3)の方がサンプルSP(b1)よりも透水係数が1桁小さいといえる。このことから、練り混ぜ水に海水を用いることで、供試体の緻密性が向上されるといえる。
また、サンプルSP(b2)とサンプルSP(b3)とを比較すると、サンプルSP(b3)の方がサンプルSP(b2)よりも透水係数が小さくなっている。このことから、練り混ぜ水に海水を用い、かつ、特殊混和剤を添加することで、供試体の緻密性が一層向上されるといえる。
以上の試験結果より、高炉スラグの超微粒子を主成分とする粉末状のセメント系材料を注入材とし、この注入材を、ナフタレンスルホン酸系の界面活性剤を主成分とする分散剤、及び、亜硝酸塩系薬剤(亜硝酸カルシウム)を含有する特殊混和剤が添加された海水で練り混ぜることで、練り混ぜ時の流動性低下が抑制された地盤注入材が得られることが判る。そして、この地盤注入材を用いることで、十分な広さに亘って地盤注入材を注入することができる。
前述したように、この地盤注入材は、練り混ぜ時の流動性は改善されているが、真水を用いて練り混ぜたものに比べると流動性が若干低くなっている。そこで、地盤注入材を地盤に注入して当該地盤を改良する場合には、注入圧力の強弱を変えながら注入する動的注入を行うことが好ましい。
このような動的注入は、例えば図11に示す動的注入システム21を用いて実現することができる。例示した動的注入システム21は、地盤注入材を練り混ぜるミキサー22と、スラリー状の地盤注入材を圧送するポンプ23と、地盤注入材に脈動(注入圧力の変化)を生じさせる脈動発生装置24と、地盤注入材の流量や圧力を測定する流量・圧力測定装置25と、地盤注入材を地盤Gに注入する注入ロッド26とを有している。
この動的注入システム21では、脈動発生装置24が有する流量・圧力センサ24aの検出信号に基づいて流量・圧力測定装置25が地盤注入材の流量及び圧力を認識する。そして、流量及び圧力に基づいてリターンバルブ24bの動作を制御し、地盤注入材の送出先を注入ロッド26側とミキサー22側とに切り換えることで、地盤注入材に圧力変化を生じさせる。例えば、相対的に強い圧力と弱い圧力とを交互に発生させる。このように、地盤注入材の注入圧力を変化させることで、地盤注入材を地盤Gの広い範囲に亘って注入することができる。
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。例えば、次のように構成してもよい。
前述の実施形態では、注入材として高炉スラグの超微粒子を例示したが、これに限定されるものではない。例えばポルトランドセメントであってもよい。要するに粉末状のセメント系材料であれば用いることができる。
分散剤に関し、ナフタレンスルホン酸系の界面活性剤を例示したが、これに限定されるものではない。他の種類の分散剤であってもよい。
特殊混和剤である亜硝酸塩として亜硝酸カルシウムを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸塩であっても同様に用いることができる。
1…浸透試験器,2…本体部,3…受け容器,4…試験用の砂,11…注入装置,12…試験砂層,13…試料容器,13a…容器本体,13b…攪拌機,13c…圧力計,13d…容器本体の底部,13e…サンプルの排出路,13f…容器本体の蓋部,13g…圧縮空気の導入路,14…エアーコンプレッサー,15…アクリルモールド,16…固定治具,16a…下側蓋体,16b…上側蓋体,16c…連結棒,17a…配管,17b…配管,21…動的注入システム,22…ミキサー,23…ポンプ,24…脈動発生装置,24a…流量・圧力センサ,24b…リターンバルブ,25…流量・圧力測定装置,26…注入ロッド,SP(a1〜a8,b1〜b3)…サンプル,G…地盤

Claims (5)

  1. セメント系材料と分散剤とを練り混ぜ水によって練り混ぜた地盤注入材であって、
    前記練り混ぜ水として海水を用いるとともに、流動性を向上させるための特殊混和剤として亜硝酸塩を用いることを特徴とする地盤注入材。
  2. 前記亜硝酸塩が亜硝酸カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の地盤注入材。
  3. 前記亜硝酸カルシウムの添加量を、前記セメント系材料の量の1%以上であって2.5%以下の範囲内に定めることを特徴とする請求項2に記載の地盤注入材。
  4. 前記分散剤としてナフタレンスルホン酸系の界面活性剤を用いることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の地盤注入材。
  5. 地盤注入材を改良対象となる地盤に注入することで、前記地盤を改良する地盤改良方法であって、
    請求項1から4の何れか1項に記載の地盤注入材を、注入圧力の強弱を変えながら前記地盤へ注入することを特徴とする地盤改良方法。
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