JP2019026540A - 即時脱型方式用のセメント組成物、及び、それを用いたプレキャストコンクリート成型品の製造方法 - Google Patents

即時脱型方式用のセメント組成物、及び、それを用いたプレキャストコンクリート成型品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良質のプレキャストコンクリート成型品を、オンサイトで即時脱型により生産することができる手段を提供し、これにより、コンクリート建造物の建設において、建設作業の経済性の向上に寄与すること。【解決手段】即時脱型方式用のセメント組成物であって、水(W)と、セメント材(C)と、細骨材(S)と、粗骨材(G)と、粘土鉱物(CM)と、を含んでなり、水セメント比(W/C)が、30%以上80%以下であり、水(W)とセメント材(C)と細骨材(S)と、からなるモルタル(M)に対する細骨材(S)の容積割合(S/M)が、30体積%以上60体積%以下であり、前記粘土鉱物(CM)の含有量が、水(W)に対して3質量%以上10質量%以下である、セメント組成物とする。【選択図】図1

Description

本発明は、即時脱型方式用のセメント組成物、及び、それを用いたプレキャストコンクリート成型品の製造方法に関する。
コンクリート建造物を建設する際、コンクリートの打設は、これを工事現場(オンサイト)で行う場合と、部品化されたコンクリート製品(プレキャストコンクリート成型品)を予め工場で生産しておき、このプレキャストコンクリート成型品を、工場から工事現場に運搬して搬入し、これを用いてコンクリート建造物を建設する場合(特許文献1参照)と、がある。
一方、コンクリート硬化体の製造方法としては、大別して、流し込み方式、遠心力締固め方式、及び、即時脱型方式の三種類の方式がある。流し込み方式とは、比較的軟らかいコンクリートを型枠に投入しながら振動機や加圧機を用いて締固める方法であり、遠心力締固め方式は、遠心力を与えてコンクリート内部の水を絞り出して、水セメント比がより低いコンクリート製品を製造する方法である。そして、即時脱型方式は、一般的には、水セメント比30〜40%程度の硬練りの生コンクリートを型枠中に投入し、強力な振動や圧力を与えながらコンクリートを自立させ、打設後、速やかに脱型を行う方法である。この即時脱型方式は、1個の型枠を用いて大量のコンクリート成型品を連続的に成形できるため、経済性においては、極めて優れた方式である(特許文献2参照)。
しかしながら、即時脱型方式によるコンクリートの製造においては、材料選択において水/セメント比が小さい硬練りの生コンクリート(セメント組成物)を用いる必要があるという制約がある。そして、このような硬練りの生コンクリートは、内部に多くの空隙を保持しているので、施工時に十分な締固めが不可欠であり、そのために、強力な振動・加圧を付加することができる設備が必要となるという製造設備面における制約があった。これらの制約により、従来の即時脱型方式によるコンクリートの製造は、上記のような製造設備面における条件を満たしうる工場においてプレキャストコンクリート成型品として生産された後、工事現場への運搬、搬入の過程を経て、用いられることが当然の前提となっていた。
一方で、粘土鉱物等の保水成分を添加することにより、水/セメント比をある程度大きくしたセメント組成物であっても即時脱型が行うことが可能であることが知られている(特許文献3)。しかしながら、粘土鉱物の添加による粘性増大による即時脱型可能な自立性の確保と、即時脱型時におけるプレキャストコンクリート成型品表面の不陸と過剰な空隙の発生の防止とは、技術的にトレードオフの関係にあり、即時脱型時の適度な形状保持性を有するに足る程度にまで、粘土鉱物の添加量を増加した場合には、上記の不陸や空隙の発生を十分に防止するために、打設されたセメント組成物を締固めるための大型の加圧機等の重厚な設備が必須となる。オンサイトでは、そのような設備の導入は極めて困難であり、局所的に外部から振動をかける装置の利用のみが許容される状況であることが一般的である。
仮にコンクリート建造物の建設において、オンサイトでの即時脱型方式によるプレキャストコンクリート成型品の製造が可能となれば、建設作業の経済性の向上に寄与しうるものであることが明らかではあるが、上記理由により、オンサイトでの即時脱型方式によるプレキャストコンクリート成型品の製造は、未だいずれの工事現場においても実施には至っていないのが現状であった。
特開2015−206216号公報 特開2002−53361号公報 特開昭63−60139号公報
本発明は、良質のプレキャストコンクリート成型品を、オンサイトで即時脱型により生産することができる手段を提供し、これにより、コンクリート建造物の建設において、建設作業の経済性の向上に寄与することを目的とする。
本発明者らは、セメント材料を構成するセメント組成物において、水/セメント比、細骨材/モルタル比、及び粘土鉱物の添加量を、併せて特定範囲に最適化することによって、オンサイトにおいて実施容易な、簡易な振動装置による締固めのみによっても、良質なプレキャストコンクリート成型品を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 即時脱型方式用のセメント組成物であって、水(W)と、セメント材(C)と、細骨材(S)と、粗骨材(G)と、粘土鉱物(CM)と、を含んでなり、水セメント比(W/C)が、30%以上80%以下であり、水(W)とセメント材(C)と細骨材(S)と、からなるモルタル(M)に対する細骨材(S)の容積割合(S/M)が、30体積%以上60体積%以下であり、前記粘土鉱物(CM)の含有量が、水(W)に対して3質量%以上10質量%以下である、セメント組成物。
(1)の発明を用いることにより、良質のプレキャストコンクリート成型品を、オンサイトで、且つ、即時脱型により生産することができる。即ち、(1)の発明によれば、従来よりも低コストで、且つ、従来よりも著しく高い生産性の下で、プレキャストコンクリート成型品からなる建材を、オンサイトで生産することが可能となる。
(2) 前記粗骨材の含有量が、400L/m以上550L/m以下である、(1)に記載のセメント組成物。
(2)の発明においては、(1)のセメント組成物における粗骨材の含有量を、一般的なセメント組成物における含有量よりも多い、独自の所定範囲に最適化した。これにより、(1)のセメント組成物を用いて製造されるコンクリート成型品における表面の不陸を更に高い精度で抑制することができる。
(3) プレキャストコンクリート成型品の製造方法であって、型枠に生セメントを打設する打設工程と、前記生セメントの打設後に、締固めを行なう締固め工程と、即時脱型方式による脱型工程と、養生工程と、を含んでなり、前記生セメントは、(1)又は(2)に記載のセメント組成物の混錬物である、プレキャストコンクリート成型品の製造方法。
(3)の発明によれば、(1)又は(2)に記載のセメント組成物を用いることによる上記各効果を享受しつつ、優れた品質のプレキャストコンクリート成型品を即時脱型により製造することができる。
(4) 前記プレキャストコンクリート成型品をオンサイトで製造する製造方法であって、前記打設工程、前記締固め工程、前記脱型工程、及び前記養生工程の全てを、前記プレキャストコンクリート成型品を建材として用いて建設するコンクリート建造物の工事現場内で行う、(3)に記載のプレキャストコンクリート成型品の製造方法。
(4)の発明によれば、(3)の製造方法を構成する全ての工程をオンサイトで行うこととした。これによれば、(1)又は(2)に記載のセメント組成物を用いることによる上記各効果を享受しつつ、優れた品質のプレキャストコンクリート成型品をオンサイトで即時脱型により製造することができる。これにより、コンクリート建造物の建設コストの低下に顕著に寄与することができる。
(5) 前記締固め工程において、打設された前記生セメントの表面全体を加圧する処理は行わず、前記型枠の外部から局所的な振動を加える処理又は当該処理の繰り返しのみによって打設された前記生セメントの締固めを行なう、請求項(4)に記載のプレキャストコンクリート成型品の製造方法。
(5)の発明によれば、大型のプレス機等の導入が困難な工事現場においても、人力で施工可能な小型の締固め機械等によって高品質のプレキャストコンクリート成型品を、オンサイトで製造することができる。これによれば、即ち、(4)のプレキャストコンクリート成型品の製造方法の実施による上記効果を、より広範な条件下にある様々な工事現場において広く享受することができる。
(6) 前記養生工程が、屋外における常温養生によるものである(4)又は(5)に記載のプレキャストコンクリート成型品の製造方法。
(6)の発明によれば、建設現場内における屋外での常温での短期間の自然養生において高品質のプレキャストコンクリート成型品を、オンサイトで製造することができる。これによれば、即ち、(4)又は(5)のプレキャストコンクリート成型品の製造方法の実施による上記効果を、より広範な条件下にある様々な工事現場において広く享受することができる。
(7) (3)から(6)のいずれかに記載の製造方法によってオンサイトで製造したプレキャストコンクリート成型品からなる建材を用いて建造物を建設するコンクリート建造物の建設方法。
(7)の発明によれば、(3)から(6)のいずれかに記載の製造方法の奏する上記効果を享受して、コンクリート建造物の工事現場における、建設作業の経済性向上に寄与することができる。
本発明によれば、良質のプレキャストパネルを、オンサイトで即時脱型により生産することができる手段、即ち、即時脱型方式用のセメント組成物及びそれを用いたプレキャストコンクリート成型品の製造方法を提供し、これにより、コンクリート建造物の建設において、建設作業の経済性の向上に寄与することができる。
本発明の製造方法によってオンサイトで製造したプレキャストコンクリート成型品からなる建材を用いて建造物を建設するコンクリート建造物の建設方法の実施態様を模式的に示す図面である。 オンサイトでの即時脱型による形成が可能な本発明のプレキャストコンクリート成型品の製造方法の各工程の実施態様を模式的に示す図面である。
以下、本発明の実施形態について説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<コンクリート建造物の建設方法>
本発明のコンクリート建造物の建設方法(以下、「コンクリート建造物の建設方法」と言う)は、オンサイトで製造したプレキャストコンクリート成型品からなる建材を用いてコンクリート建造物を建設する建設方法である。この建設方法は、プレキャストコンクリート成型品の材料として、本発明の即時脱型方式用のセメント組成物(以下、「即時脱型方式用のセメント組成物」と言う)を用いること、そして、プレキャストコンクリート成型品の製造を本発明のプレキャストコンクリート成型品の製造方法(以下、「プレキャストコンクリート成型品の製造方法」と言う)によって行うことができる。即時脱型方式用のセメント組成物及びプレキャストコンクリート成型品及びその製造方法の詳細については後述する。
図1は、本発明の建設方法の実施態様の一例を模式的に示すものである。本明細書における「オンサイトでの製造」とは、図1に例示されるように、「単一の又は一連のコンクリート建造物10を建設するための建設作業を行うための単一の作業領域として想定される単一の又は一連の工事現場100内での製造」のことを意味する。
「コンクリート建造物の建設方法」においては、工事現場100内に設置された型枠2に即時脱型方式用のセメント組成物を混錬してなる生セメント1を打設し、これを、即時脱型方式によるプレキャストコンクリート成型品の製造方法によって成型する。そしてこのようにして得たプレキャストセメントパネル1B等のプレキャスト成型品を、コンクリート建造物10を建設するための建材1Cとして用いる。建材1Cは、例えば、残存型枠、或いは、その他の各種の建材として様々な態様で用いることができる。
尚、上記の残存型枠とは、コンクリート打設用の型枠であって、尚且つ、打設したコンクリートが固化した後も取り除かれることなく、そのまま建造物の表面部分を構成する型枠のことを言う。例えば、特開平6−55522号公報の図1〜8に開示されている型枠を、残残型枠の形態の具体例として挙げることができる。(尚、この型枠は、他の一般的な呼称として捨型枠とも称されるものである。)
従来、建材1Cのような、プレキャストコンクリート成型品は、いずれの使用態様であるとしても、工事現場100からは離間した地域にあるパネル工場で製造後に、トラック等で工事現場100に搬送されて用いられていた。これに対し、本発明の「コンクリート建造物の建設方法」は、「即時脱型方式用のセメント組成物」及び「プレキャストコンクリート成型品の製造方法」の導入により、オンサイトにおける良質なプレキャストコンクリート成型品の即時脱型方式による製造を可能とした。この建設方法の実施によれば、従来の工場生産によるプレキャストコンクリート成型品の工事現場への搬送コストを不要とし、又、オンサイトで即時脱型により、必要なタイミングで必要量のプレキャストコンクリート成型品を製造することが可能となり、コンクリート建造物10の建設作業の総生産性が飛躍的に向上する。
<プレキャストコンクリート成型品>
本発明にかかるプレキャストコンクリート成型品は、オンサイトでの即時脱型方式による製造を前提として開発された建材である。ここではパネル状の建材を実施形態の一例として説明するが、この建材はパネル状のものに限られず、本発明の即時脱型方式用のセメント組成物を用いて様々な態様、形状に成形することができる。
<プレキャストコンクリート成型品の製造方法>
本発明のプレキャストコンクリート成型品の製造方法は、即時脱型方式用のセメント組成物を混錬してなる生セメント1を型枠2に内で硬化させて、建材として用いるプレキャストコンクリート成型品を即時脱型方式によりオンサイトで成型する製造方法である。この製造方法は、打設工程、締固め工程、脱型工程、及び養生工程、を含んでなる製造方法であるが、これらの各工程は、いずれも一般的な工事現場内で過度の追加負担を伴うことなく実施可能な点において、従来方法とは異なるプロセスとされている。以下、各工程の詳細を適宜図1及び2を参照しながら説明する。
[打設工程]
この工程は、図1及び図2に示すように、セメント組成物を混錬してなる生セメント1を工事現場100内に設置されているプレキャストコンクリート成型品用の型枠2に打設する工程である。セメント組成物としては本発明の即時脱型方式用のセメント組成物を用いる。
[締固め工程]
この工程は、図2に示すように、型枠2に打設された半硬化の生セメント1Aに対して、振動機3等を用いて締固め処理を行う工程である。
通常、一般的な工場生産によるプレキャストコンクリート成型品の製造において即時脱型方式を採用する場合には、油圧装置や真空ポンプ等、大型のプレス機によって打設された半硬化状態の生セメントの全面を均等に載荷することによって、成型の安定性を担保している。これに対して、本発明の製造方法においては、生セメント1を本発明による即時脱型方式用のセメント組成物の混錬物とすることにより、打設された半硬化の生セメント1の表面全体を加圧する処理は行わずに、打設された半硬化の生セメント1Aの上面や側面から局所的な振動を加える処理又は当該処理の繰り返しのみによる締固め処理によって、プレキャストセメントパネルの成型の安定性を十分に担保することができる。
そして、この締固め処理は、例えば、上面からの振動が与えにくいような条件下においても、図2に示すように、小型のランマや型枠バイブレータ等を用いて型枠2の側壁22を通じた振動の付与のみによっても行うことができる。
[脱型工程]
締固め後、図2に示す通り、型枠2の脱型が可能となった時点で、速やかに型枠2の側壁22を底面21から離脱させる等して脱型する。締固めの終了後、脱型までの時間は、3分以内を目途とする。型枠2の脱型は、後述の養生工程の後に行ってもよいが、養生工程の前に行うことにより、脱型した型枠2をすぐに別のプレキャストコンクリート成型品の生産に用いることができるため、生産効率を向上させる観点から養生工程の前に行うことが好ましい。
尚、この脱型工程までのプロセスにおいて、生セメント1を完全に硬化させる必要はなく。例えば、要求される精度の範囲で形状を維持しつつ自立可能な程度にまで硬化すればよい。本発明のセメント組成物からなる生セメントはオンサイトにおいて、即時脱型を行った場合における形状保持の精度が必要十分な程度にまで高められている。即時脱型時における必要十分な形状保持の精度は、個別の現場や用途毎において求められる各範囲内であればよいが、一般的には、製品の寸法において±2mm以内であることが、即時脱型によるセメント成型品としての質管理基準として求められる好ましい範囲である。本発明の製造方法によれば、そのような基準を十分にクリアすることが可能である。
[養生工程]
脱型工程後、屋外環境又は、建設現場内に低コストで設置可能な保管場所、例えば簡易テント等において、常温養生を行う。
通常、一般的な工場生産によるプレキャストコンクリート成型品の製造において即時脱型方式を採用する場合には、大型の養生用の機器によって半硬化状態のセメントに対して、炭酸化処理を伴う上記養生が行われることによって、成型後のプレキャストコンクリート成型品の強度等を担保している。これに対して、本発明の製造方法においては、生セメント1を本発明による即時脱型方式用のセメント組成物の混錬物とすることにより、脱型された半硬化のプレキャストコンクリート成型品(プレキャストセメントパネル1B)に対して、屋外における常温での短期間の自然養生のみによって、プレキャストコンクリート成型品(プレキャストセメントパネル)の強度を十分に担保することができる。
<即時脱型方式用のセメント組成物>
本発明のプレキャストコンクリート成型品の製造に用いるセメント組成物(以下、単に「セメント組成物」とも言う)は、一般的な生セメント材料と同様、水(W)と、セメント材(C)と、細骨材(S)と、粗骨材(G)、減衰材等を含んでなる組成物である。そして、オンサイトでの即時脱型を可能とするために、更に、適量の粘土鉱物(CM)を含み、水セメント比(W/C)及び、モルタル(M)に対する細骨材(S)の割合が、従来品とは異なる特定範囲に最適化されている。
[セメント材(C)]
セメント材(C)としては、ポルトランドセメントを好ましく用いることができる。ポルトランドセメントには、普通ポルトランドセメントの他、早強、超早強、中庸熱、低熱等の種類がある。セメント組成物においては、これら種々のポルトランドセメントの1種又は2種以上を配合するものを用いることができる。これらの中でも、普通ポルトランドセメント及び早強ポルトランドセメントの1種又は2種を使用したものを用いることが好ましい。
又、セメント材(C)として用いる上記のポルトランドセメントの一部を高炉スラグで代替することもできる。これにより、セメント製造段階でのCO排出量を低減させることができる。
水セメント比(W/C)については、30%以上80%以下であればよい。又、粗骨材(G)の含有量を400L/m以上とした場合においては、水セメント比(W/C)を、40%以上55%以下とすることがより好ましい。
[細骨材(S)]
細骨材とは、JIS A 5308、JIS A 5005、JIS A 5002及びJIS A 5011で定義される骨材であり、細骨材としては、例えば砕砂、砂、川砂、海砂、石灰砕砂、再生骨材、軽量骨材、重量骨材等が挙げられる。セメント組成物における細骨材の配合量は、水(W)とセメント材(C)と細骨材(S)と、からなるモルタル(M)に対する細骨材(S)の容積割合(S/M)において、30体積%以上60体積%以下であり、であればよい。又、45体積%以上60体積%以下であることがより好ましい。セメント組成物における細骨材の配合量を、60体積%以下に保持することにより、大型の振動機等を使用することができないオンサイトでの即時脱型によるプレキャストコンクリート成型品の成型において、型枠内の全体にモルタルが均一に行き渡らないことに起因して発生するプレキャストコンクリート成型品側面等における空隙の発生を十分に抑止することができる。
[粗骨材(G)]
粗骨材とは、上記同様、JIS A 5308、JIS A 5005、JIS A 5002及びJIS A 5011で定義される骨材であり、粒の大きさにより細骨材とは区別されるもので、5mmふるいを通るか否かで区分するが,実用上は10mmふるいをすべて通り5mmふるいを重量で85%以上通るものを細骨材、5mmふるいに重量で85%以上とどまるものを粗骨材としている。セメント組成物における粗骨材(G)の含有量は、300L/m以上であればよく、400L/m以上とすることが好ましい。又、同含有量の上限は、骨材の実積率の観点から550L/m以下であることが好ましい。セメント組成物における粗骨材(G)の配合量を、上記範囲に特定することにより、特に、即時脱型によって成形したプレキャストコンクリート成型品表面における不陸の発生を、大型の機器による付圧等によらずとも十分に抑止することができる。
[粘土鉱物(CM)]
粘土鉱物としては、膨潤性が高く、高い吸水性と保水性を有する粘土鉱物でれば、特に限定はされず各種の粘土鉱物を用いることができるが、本発明のセメント組成物に用いる粘土鉱物(CM)としては、ホルマイト系粘土鉱物を用いることが好ましく、それらのうちでも中でもセピオライトを特に好ましく用いることができる。セピオライトは、含水マグネシウム珪酸塩を主成分とする粘土鉱物であり、化学組織は、MgSi1230(OH(OH)6〜8HOで、乾燥固結性(水で練って乾燥すると固まる性質)を有するとともに、内部に微細な連続空隙を有することから、優れた吸水性及び保水性を有するものである。尚、セピオライトの単位格子は、1つずつずれた配置を繰り返して鎖状に繋がっている。カオリンやベントナイト等が層状粘土と呼ばれるのに対し、セピオライトは鎖状粘土に分類されている。セメント組成物においては、このような粘土鉱物(CM)の含有量を、水(W)に対して3質量%以上10質量%以下とすればよく、3質量%以上7質量%以下とすることが好ましい。
尚、硬化後のプレキャストコンクリート成型品におけるセピオライトの含有量は、硬化体4.5部に酸化マグネシウム0.5部を添加し、メノウ乳鉢で十分混合したのち、粉末X線回折測定を実施し、測定結果を、例えば、Sietronics社製定量ソフト「SIROQUANT」で解析することによって、これを特定することが可能である。
[その他の混和材]
セメント組成物は、その他の混和材を更に含有していてよい。その他の混和材としては、公知の混和材を特に制限無く使用してよい。混和材の量も特に限定されず、プレキャストコンクリート成型品の用途、要求特性等に応じて適宜調整できる。混和材としては、例えば、γ−C2S、石炭灰、フライアッシュ、石灰石微粉末等が挙げられる。
又、本発明にかかるセメント組成物は、一般的なセメント組成物同様、必要に応じて各種の混和剤を含有させてもよい。混和剤としては、例えば、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE剤、流動化剤等が挙げられる。混和剤の配合量は、例えば、セメント成分100質量部に対して0.001質量部以上3質量部以下であることが好ましい。
以下、本発明にかかるプレキャストコンクリート成型品及びその製造方法について、実施例を挙げて詳細に説明する。尚、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。
本発明の奏する特段の効果を確認するために、先ずは、以下に説明する各材料を用いて、各実施例及び比較例のプレキャストコンクリート成型品供試体の成形に用いる各々の生セメントを下記表1に示す各材料を用いて調合した。表2に各々の生セメントの配合を示す。
表3には、各実施例及び比較例の供試体の成形に用いる生セメントにおける、「水セメント比(W/C)(%)」、「水(W)とセメント材(C)と細骨材(S)と、からなるモルタル(M)に対する細骨材(S)の容積割合(S/M)(体積%)」、及び「粘土鉱物(セピオライト)(CM)の水(W)に対する含有量(CM/W)(質量%)」を、それぞれ示した。
Figure 2019026540
Figure 2019026540
[評価例1:即時脱型時の形状保持]
(評価方法)
各実施例及び比較例の生セメントについて、内のりが、100mm×40mm×400mmの型枠に打ち込み、小型のランマにより型枠の側壁を通じた振動の付与を、5秒程度行うことのみにより締固めを行った後、ただちに側面の型枠を脱型(即時脱型)して半硬化常態の供試体を得た。各実施例及び比較例の供試体について、上記型枠の内のり寸法と、供試体の長さ、幅、高さにおけるそれぞれの差(以下「ずれ幅」と言う)を測定した。この試験における評価基準は以下の通りとし、評価結果は「形状保持」として表3に記載する
(評価基準)
○:供試体における、長さ、幅、高さのずれ幅が、いずれも2mm以下。
△:上記ずれ幅の最大値が2mmを超えて4mm以下。
×:上記ずれ幅の最大値が4mmを超える。
[評価例2:空隙]
(試験方法)
上記の即時脱型で得た各実施例及び比較例の半硬化体の状態の各供試体の側面を目視により観察し、空隙の発生の程度を観察した。この試験における評価基準は以下の通りとし、評価結果は「空隙」として表3に記載する。
(評価基準)
○:側面における空隙が面積率で2%未満。
△:側面における空隙が面積率で2%以上10%未満。
×:側面における空隙が面積率で10%以上。
[評価例3:表面不陸]
(試験方法)
上記の即時脱型で得た各実施例及び比較例の半硬化体の状態の各供試体の側面を目視により観察し、表面の不陸の発生の程度を観察した。この試験における評価基準は以下の通りとし、評価結果は「表面不陸」として表3に記載する。
(評価基準)
○:側面における不陸が±5mm未満。
△:側面における不陸が±5mm以上20mm未満。
×:側面における不陸が±20mm以上。
Figure 2019026540
[評価例4:強度]
上記の即時脱型で得た実施例1から4の半硬化体の状態の各供試体について、屋外の常温(25℃〜27℃)環境下で、14日間、養生して硬化を完了させ、プレキャストコンクリート成型品供試体を得た。このようにして得た各供試体について、JSCE G 552に準じて、3等分点載荷で試験を実施し、各供試体の曲げ強度を測定したところ、いずれも、曲げ強度が4N/mm以上であり、本発明にかかるプレキャストコンクリート成型品は、オンサイトでの製造を前提とした場合において、実用可能な十分な強度を有するものであることも確認された。
以上の結果より、本発明によれば、良質のプレキャストコンクリート成型品を、オンサイトで即時脱型により生産することができることが分る。
1、1A 生セメント
1B プレキャストセメントパネル
1C 建材
2 型枠
3 外部振動機
10 コンクリート建造物
100 工事現場

Claims (7)

  1. 即時脱型方式用のセメント組成物であって、
    水(W)と、セメント材(C)と、細骨材(S)と、粗骨材(G)と、粘土鉱物(CM)と、を含んでなり、
    水セメント比(W/C)が、30%以上80%以下であり、
    水(W)とセメント材(C)と細骨材(S)と、からなるモルタル(M)に対する細骨材(S)の容積割合(S/M)が、30体積%以上60体積%以下であり、
    前記粘土鉱物(CM)の含有量が、水(W)に対して3質量%以上10質量%以下である、セメント組成物。
  2. 前記粗骨材の含有量が、400L/m以上550L/m以下である、請求項1に記載のセメント組成物。
  3. プレキャストコンクリート成型品の製造方法であって、
    型枠に生セメントを打設する打設工程と、
    前記生セメントの打設後に、締固めを行なう締固め工程と、
    即時脱型方式による脱型工程と、
    養生工程と、を含んでなり、
    前記生セメントは、請求項1又は2に記載のセメント組成物の混錬物である、プレキャストコンクリート成型品の製造方法。
  4. 前記プレキャストコンクリート成型品をオンサイトで製造する製造方法であって、
    前記打設工程、前記締固め工程、前記脱型工程、及び前記養生工程の全てを、前記プレキャストコンクリート成型品を建材として用いて建設するコンクリート建造物の工事現場内で行う、請求項3に記載のプレキャストコンクリート成型品の製造方法。
  5. 前記締固め工程において、打設された前記生セメントの表面全体を加圧する処理は行わず、前記型枠の外部から局所的な振動を加える処理又は当該処理の繰り返しのみによって打設された前記生セメントの締固めを行なう、請求項4に記載のプレキャストコンクリート成型品の製造方法。
  6. 前記養生工程が、常温養生である請求項4又は5に記載のプレキャストコンクリート成型品の製造方法。
  7. 請求項3から6のいずれかに記載の製造方法によって製造したプレキャストコンクリート成型品からなる建材を用いて建造物を建設するコンクリート建造物の建設方法。
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