JP6274739B2 - 苗植付装置 - Google Patents
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Description
特許文献1では、植付ケース(特許文献1の図2の3)から横外側に突出して回転駆動される駆動軸(特許文献1の図2の8)に、回転ケース(特許文献1の図2の10)を一体回転自在に固定し、植付アーム(特許文献1の図2の13を)を回転ケースの両端部に回転自在に備えている。
これにより、回転ケースの回転に基づいてギヤ機構により植付アームの姿勢が決められて、植付アームが苗のせ台から苗を取り出す取出位置と、植付アームが田面に突入して苗を植え付ける植付位置とに亘って回転駆動されるのであり、植付アームが苗のせ台から苗を交互に取り出して田面に植え付ける。
これにより、回転ケースの回転に基づいて、カム部材により苗押し出し具が退入した状態で、植付アームが取出位置を通過して苗を取り出し、植付アームが植付位置に達するとバネにより苗押し出し具が突出して、植付アームの苗が田面に押し出されて植え付けられる。次にカム部材によりバネに抗して苗押し出し具が退入されて、植付アームが取出位置を通過して苗を取り出す。
これに対して苗押し出し具は植付位置に達するとバネにより突出し、次に取出位置に達する前にカム部材により退入するという動作を繰り返すので、駆動軸の回転位相に応じて苗押し出し具を退入させる為の操作抵抗が発生したり消失したりする。
(構成)
本発明の第1特徴は、
植付ケースから横外側に突出して回転駆動される駆動軸に、回転ケースを一体回転自在に連結し、植付アームを前記回転ケースの両端部に回転自在に備え、バネにより突出側に付勢された苗押し出し具を前記植付アームに備えて、
前記回転ケースの回転に基づいて前記回転ケースの内部に備えられたギヤ機構により、前記植付アームの姿勢が決められて、前記植付アームが苗のせ台から苗を取り出す取出位置と、前記植付アームが田面に突入して苗を植え付ける植付位置とに亘って回転駆動されるように構成され、
前記回転ケースの回転に基づいて、前記植付アームの内部に備えられたカム部により前記苗押し出し具が退入した状態で、前記植付アームが前記取出位置を通過して苗を取り出し、前記植付アームが前記植付位置に達すると前記バネにより前記苗押し出し具が突出して、前記植付アームの苗が田面に押し出されて植え付けられ、次に前記カム部により前記バネに抗して前記苗押し出し具が退入されて、前記植付アームが前記取出位置を通過して苗を取り出すように構成された苗植付装置において、次のように構成することにある。
前記回転ケースの回転に基づいて畜力及び力の放出が行われる畜力機構を、前記植付アームの各々に備えて、
前記植付アームの各々において、
前記取出位置から前記植付位置の間において、前記回転ケースの回転に基づいて前記畜力機構に畜力され、
前記植付位置から前記取出位置への前半において、前記カム部により前記バネに抗して前記苗押し出し具が退入される状態を補助する方向に、前記植付アームを回転させるように、前記畜力機構の力が放出され、
前記植付位置から前記取出位置への後半において、前記回転ケースの回転に基づいて前記畜力機構に畜力され、
前記取出位置の前に、前記植付アームに連結されて一体回転するもので前記ギヤ機構の一部を構成する植付ギヤのバックラッシュの分だけ、前記植付アームを前記回転ケースの回転方向上手側に回転させるように、前記畜力機構の力が放出されるように構成されている。
[I]−1
本発明の第1特徴によると、取出位置から植付位置の間において、回転ケースの回転に基づいて畜力機構に畜力される。この場合、取出位置から植付位置の間において、駆動軸に掛かる負荷としては主に、回転ケースの回転抵抗と、畜力機構の畜力抵抗とが掛かることになる。この場合に、苗押し出し具は既に退入した状態に操作されて保持されているので、取出位置から植付位置の間において、苗押し出し具を退入させる為の操作抵抗は発生しない。
本発明の第1特徴によると、前述のカム部によりバネに抗して苗押し出し具が退入される状態と同時に、畜力機構の力が放出されて畜力機構の力により、苗押し出し具が退入される状態を補助する方向に植付アームが回転させられる(畜力機構の力の放出により苗押し出し具を退入させる為の操作抵抗が減らされる)。
前項[I]−1について言い換えると、特許文献1では、取出位置から植付位置の間において、駆動軸に掛かる負荷が回転ケースの回転抵抗であり、植付位置から取出位置への前半において、駆動軸に掛かる負荷が、回転ケースの回転抵抗と苗押し出し具を退入させる為の操作抵抗とであった。
従って、特許文献1では、取出位置から植付位置の間と、植付位置から取出位置への前半との間において、駆動軸に掛かる負荷の差が大きなものとなっていた。
従って、本発明の第1特徴では、取出位置から植付位置の間と、植付位置から取出位置への前半との間において、駆動軸に掛かる負荷の差が小さなものとなる。
例えば図6及び図7(a)に示すように、植付位置から取出位置E1において、回転ケース6が矢印B1の方向に回転駆動されるのに伴って、植付アーム7に連結されて一体回転するものでギヤ機構の一部を構成する植付ギヤ20と、ギヤ機構の他のギヤ19との間において、図7(a)に示す位置にバックラッシュC1が生じていることがある。
図7(a)から図7(b)に示すような状態になると、植付ギヤ20のギヤ歯面20aがギヤ機構の他のギヤ19のギヤ歯面19aに衝突する状態となるのであり、この状態が繰り返されると、植付ギヤ20及びギヤ機構の他のギヤ19の損耗に発展する可能性がある。
本発明の第1特徴によると、植付位置から取出位置への後半において、回転ケースの回転に基づいて畜力機構に畜力され、例えば図6及び図7(b)に示すように、取出位置E1の前に畜力機構の力が放出されて畜力機構の力により、植付ギヤ20のバックラッシュC1の分だけ、植付アーム7が回転ケース6の回転方向上手側に回転させられる。
このことについて言い換えると、例えば図6及び図7(b)に示すように、植付ギヤ20のギヤ歯面20aとギヤ機構の他のギヤ19のギヤ歯面19aとが事前に接当した状態で、植付アーム7が取出位置E1を通過することになる。
前項[I]−1,2に記載のように、畜力機構は苗押し出し具を退入させる為の操作抵抗を減らす機能を備えるのに加えて、前項[I]−4に記載のように、畜力機構は苗のせ台から苗を取り出す際の抵抗により植付ギヤのギヤ歯面に衝突が発生する状態を抑える機能を備えている。
以上のように、畜力機構に前述の2つの機能を備えることにより、前述の2つの機能を構成する機構を別々に備える場合に比べて、全体の構造の簡素化を図ることができる。
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の苗植付装置において次のように構成することにある。
前記畜力機構が、前記植付ギヤに同芯状に連結されて一体回転する回転カムと、前記回転ケースの内部で揺動自在に支持されて前記回転カムの外周部に接当するアームと、前記アームを前記回転カムの押圧側に付勢するバネ体とを備えて構成され、
前記回転カムにより前記アームを介して前記バネ体が圧縮されることによって、前記畜力機構に畜力され、
圧縮された前記バネ体が伸長して前記アームを介して前記回転カムを回転させることによって、前記畜力機構の力が放出されるように構成されている。
本発明の第2特徴によると、畜力機構を回転カム、アーム及びバネ体により構成し、バネ体を圧縮及び伸長させることにより、畜力機構の畜力及び力の放出を行うように構成しているので、畜力機構が簡素で且つコンパクトに構成される。
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1又は第2特徴の苗植付装置において次のように構成することにある。
前記ギヤ機構が、前記回転ケースの内部の回転中心部分に前記植付ケースに対して固定状態で備えられた中央ギヤと、前記回転ケースに回転自在に支持されて前記中央ギヤに咬合する中間ギヤと、前記中間ギヤに咬合する前記植付ギヤとを備えて構成されている。
本発明の第3特徴によると、回転ケースの回転に基づいて植付アームの姿勢を決めるギヤ機構が、中央ギヤ、中間ギヤ及び植付ギヤにより構成されており、ギヤ機構が簡素で且つコンパクトに構成される。
苗植付装置1の全体の概要について説明する。
図1及び図2は乗用型田植機に備えられる苗植付装置1の全体を示しており、機体の後部から後方に延出されたリンク機構2に6条植型式の苗植付装置1が支持されている。
次に、回転ケース6の回転に基づいて植付アーム7の姿勢を決めるギヤ機構(18,19,20)について説明する。
図3及び図4に示すように、駆動軸14の先端部において回転ケース6が、ピン15により駆動軸14に一体回転自在に連結されている。植付ケース5にボルト16により固定された円筒部材17が、駆動軸14に外嵌されて回転ケース6の内部に挿入されており、回転ケース6の内部において、駆動軸14に外嵌された中央ギヤ18が円筒部材17の爪部17aに咬合している。
これにより、中央ギヤ18が、回転ケース6の内部の回転中心部分に植付ケース5に対して固定状態で備えられた状態となり、円筒部材17及び中央ギヤ18の内部で駆動軸14が回転駆動される状態となる。
図2及び図4に示す回転軌跡Fは、機体の停止状態で植付アーム7が回転駆動された状態を示しており、機体が前進しながら(植付走行を行いながら)、植付アーム7が回転駆動されると、機体の前進速度成分が入ることにより、図2及び図4に示す回転軌跡Fは前後方向の幅の狭い縦長状になる。
次に、植付アーム7について説明する。
図3及び図5に示すように、植付アーム7の先端部に植付爪25が連結され、苗押し出し具26がスライド自在に支持されている。植付アーム7の内部において、苗押し出し具26の端部にバネ受け部材27がピン28により接続されており、植付アーム7の内部の壁部とバネ受け部材27とに亘って、苗押し出し具26を突出側に付勢するコイル状のバネ29が少し圧縮された状態で取り付けられている。
一対の植付アーム7のカム軸33の端部に亘って、連係部材35が連結されている。この場合、カム軸33は植付アーム7に相対回転自在であるが、連係部材35に対してカム軸33は回転不能であるので、カム軸33のカム部33aは、回転ケース6に対して図6に示す姿勢で固定された状態となり、回転ケース6に対して図6に示す姿勢を維持しながら回転ケース6と一体で回転する状態となる。
図9に示すように、操作アーム31の基部31aがカム軸33のカム部33aから外れると、バネ29の付勢力により苗押し出し具26が突出するのであり、操作アーム31が図5の紙面左方に操作されてゴム体34に受け止められる。
次に、畜力機構(36,37,38)について説明する。
図3,4,6に示すように、植付ギヤ20に隣接する支持軸22の部分に、回転カム36がスプライン構造により支持軸22に一体回転自在に外嵌されており、略180度の位相の違いをもって第1凸部36a及び第2凸部36bが回転カム36に形成されている。これにより、回転カム36は支持軸22及び植付ギヤ20と同芯状に一体回転するように連結された状態となる。
次に、畜力機構(36,37,38)の作動について説明する(その1)。
図4に示す状態は、回転ケース6の一対の植付アーム7において、一方の植付アーム7が取出位置E1の少し手前の位置に位置している状態であり、他方の植付アーム7が植付位置E2に位置している状態である。
次に、畜力機構(36,37,38)の作動について説明する(その2)。
図7(a)に示す状態(中間ギヤ19と植付ギヤ20との間にバックラッシュC1が生じている状態)において、植付アーム7が取出位置E1を通過すると、苗のせ台10から苗を取り出す際の抵抗により、植付アーム7が矢印B1とは逆方向(回転ケース6の回転方向上手側)に回転させられる(植付アーム7がバックラッシュC1の分だけ矢印B3の方向にさらに回転させられる)。
前述の状態になると、植付ギヤ20のギヤ歯面20aが中間ギヤ19のギヤ歯面19aに衝突する状態となるのであり、この状態が繰り返されると、中間ギヤ19及び植付ギヤ20の損耗に発展する可能性がある。
次に、畜力機構(36,37,38)の作動について説明する(その3)。
図6から図8に示すように、植付アーム7において、取出位置E1から植付位置E2の間で、回転カム36の第1凸部36aによりアーム37を介してバネ38が圧縮されるのであり、畜力機構(36,37,38)に畜力される状態となる。操作アーム31の基部31aがカム軸33のカム部33aに乗り上げており、バネ29に抗して苗押し出し具26が退入した状態に維持されている(バネ29が圧縮されている)。
このように操作アーム31の基部31aがカム軸33のカム部33aに乗り上げ始める状態(バネ29が圧縮され始める状態)は、苗押し出し具26を退入させる為の操作抵抗が発生した状態であり、植付アーム7の矢印B3の方向への自転(回転ケース6の矢印B1方向への回転)に対して抵抗が発生した状態である。
これにより、圧縮されたバネ38が伸長して畜力機構(36,37,38)の力が放出されることによって、植付アーム7の矢印B3の方向への自転(回転ケース6の矢印B1方向への回転)が補助されるのであり、苗押し出し具26を退入させる為の操作抵抗が軽減される。
前述の[発明を実施するための形態]では、畜力機構(36,37,38)において、バネ38を圧縮することにより畜力し、バネ38を伸長させることにより力が放出されるように構成しているが、これとは逆に畜力機構(36,37,38)において、バネ38を伸長することにより畜力し、バネ38を収縮させることにより力が放出されるように構成してもよい。
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第2別形態]において、一つの植付アーム7に対して第1凸部を備えた第1回転カム及び第2凸部を備えた第2回転カム、第1及び第2回転カムに対応した第1及び第2アーム、第1及び第2アームに対応した第1及び第2バネを備えて、畜力機構を構成してもよい。
6 回転ケース
7 植付アーム
10 苗のせ台
14 駆動軸
18 ギヤ機構、中央ギヤ
19 ギヤ機構、中間ギヤ
20 ギヤ機構、植付ギヤ
26 苗押し出し具
29 バネ
33a カム部
36 畜力機構、回転カム
37 畜力機構、アーム
38 畜力機構、バネ体
C1 バックラッシュ
E1 取出位置
E2 植付位置
G 田面
Claims (3)
- 植付ケースから横外側に突出して回転駆動される駆動軸に、回転ケースを一体回転自在に連結し、植付アームを前記回転ケースの両端部に回転自在に備え、バネにより突出側に付勢された苗押し出し具を前記植付アームに備えて、
前記回転ケースの回転に基づいて前記回転ケースの内部に備えられたギヤ機構により、前記植付アームの姿勢が決められて、前記植付アームが苗のせ台から苗を取り出す取出位置と、前記植付アームが田面に突入して苗を植え付ける植付位置とに亘って回転駆動されるように構成され、
前記回転ケースの回転に基づいて、前記植付アームの内部に備えられたカム部により前記苗押し出し具が退入した状態で、前記植付アームが前記取出位置を通過して苗を取り出し、前記植付アームが前記植付位置に達すると前記バネにより前記苗押し出し具が突出して、前記植付アームの苗が田面に押し出されて植え付けられ、次に前記カム部により前記バネに抗して前記苗押し出し具が退入されて、前記植付アームが前記取出位置を通過して苗を取り出すように構成された苗植付装置であって、
前記回転ケースの回転に基づいて畜力及び力の放出が行われる畜力機構を、前記植付アームの各々に備えて、
前記植付アームの各々において、
前記取出位置から前記植付位置の間において、前記回転ケースの回転に基づいて前記畜力機構に畜力され、
前記植付位置から前記取出位置への前半において、前記カム部により前記バネに抗して前記苗押し出し具が退入される状態を補助する方向に、前記植付アームを回転させるように、前記畜力機構の力が放出され、
前記植付位置から前記取出位置への後半において、前記回転ケースの回転に基づいて前記畜力機構に畜力され、
前記取出位置の前に、前記植付アームに連結されて一体回転するもので前記ギヤ機構の一部を構成する植付ギヤのバックラッシュの分だけ、前記植付アームを前記回転ケースの回転方向上手側に回転させるように、前記畜力機構の力が放出されるように構成されている苗植付装置。 - 前記畜力機構が、前記植付ギヤに同芯状に連結されて一体回転する回転カムと、前記回転ケースの内部で揺動自在に支持されて前記回転カムの外周部に接当するアームと、前記アームを前記回転カムの押圧側に付勢するバネ体とを備えて構成され、
前記回転カムにより前記アームを介して前記バネ体が圧縮されることによって、前記畜力機構に畜力され、
圧縮された前記バネ体が伸長して前記アームを介して前記回転カムを回転させることによって、前記畜力機構の力が放出されるように構成されている請求項1に記載の苗植付装置。 - 前記ギヤ機構が、前記回転ケースの内部の回転中心部分に前記植付ケースに対して固定状態で備えられた中央ギヤと、前記回転ケースに回転自在に支持されて前記中央ギヤに咬合する中間ギヤと、前記中間ギヤに咬合する前記植付ギヤとを備えて構成されている請求項1又は2に記載の苗植付装置。
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