JP6273470B2 - 分子振動の表示方法 - Google Patents

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Description

本発明は、分子振動をディスプレイ装置等に表示する方法に関するものである。
分光分析法においては、試料に照射した光の透過光、散乱光、蛍光等を検出し、透過光等の検出強度を波長ごとに表示することにより試料に特有のスペクトルが得られるため、試料中に含まれる化合物の種類を同定する方法として、広く用いられている。そして得られたスペクトルの解釈方法や利用方法は様々である。
例えば特許文献1の請求項1には、被測定物のスペクトルデータを取り込むスペクトルデータ取り込み手段と、データ取り込み手段において取り込まれた被測定物のスペクトルデータから時間−波数−吸収強度、温度−波数−吸収強度などの特定変数−波数−吸収強度の三次元グラフを構成して出力するデータ処理手段と、データ処理手段からの出力を表示する表示手段と、表示手段に表示された三次元グラフから、任意のピーク部分、或いは任意のピークに対応する波数を指定して入力することによって、検索波数を指定入力する指定入力手段と、複数の官能基につき、吸収波数領域の情報を記憶した官能基情報記憶手段と、指定入力手段によって指定された検索波数を吸収波数領域にもつ官能基を官能基情報記憶手段から読み出し、該当する官能基名を表示手段に出力する官能基読み出し手段とを備えたスペクトルデータ処理装置が記載されている。
また、例えば特許文献2の図2には、被測定物のスペクトルピークA〜Dが表示されている。同図に示す識別表には、設定励起波長λEX1のピークAは、レーリー散乱光を示すピークであることを示唆する表示を行い、波長λEX1×2のピークDは、レーリー散乱光の2次光を示すピークであることを示唆する表示を行い、ピークBは、蛍光またはラマン光を示すピークである可能性を示唆する表示を行い、ピークCは、蛍光またはラマン光を示すピークである可能性を示唆する表示を行っている。蛍光またはラマン光を示すピークである可能性を示唆したものについては、二次判定を実行するための表示「△印」も行われている。
特開2008−185599号公報 特開2012−063148号公報
上述したように、特許文献1にはピークに該当する官能基名を表示する方法が記載され、特許文献2には該当ピークが蛍光によるものか或いはラマン光によるものかを表示する方法が記載されている。以上のように、分光分析法においては得られたスペクトルの解釈方法や利用方法は様々である。本発明は、スペクトルの表示方法に新たな手法を提供することにより分光分析法の実用性と利便性を向上させることを目的とするものである。
本発明の分子振動の表示方法は、化合物に固有のスペクトルを表示装置に表示させる第1ステップと、表示されたスペクトルのピークの一つを選択する第2ステップと、選択されたピークに対応する分子振動における一つまたは複数の原子の振動の向きと振幅を含む情報(以下、「原子振動情報」と記載する場合がある。)を表示装置に表示させる第3ステップを有するものである。好ましくは第3ステップにおいて化合物の分子構造モデルを用いて原子振動情報の表示を行えば、ユーザが分子振動の様子をより直感的に把握しやすくなる。
原子振動情報は、分子構造モデルの各原子の配置位置を始点とするベクトルにより表示することができる。或いは、原子振動情報は、分子構造モデルの各原子の振動の様子を動画により表示することもできる。
上記表示方法の第3ステップにおいて、振幅が最も大きい一つまたは複数の原子が他の原子とは異なる色で表示することができる。また、振幅が最も大きい一つまたは複数の原子以外の原子は、半透明にて表示することができる。
上記スペクトルをラマンスペクトルとし、本発明の表示方法をラマン分光法に応用することができる。
上記表示方法の第2ステップでは、前記スペクトルのピーク(極大位置)から所定の距離以下の位置にマウスポインタを置く、またはマウスポインタを置いてクリックすることにより当該ピークが選択されるものであり、マウスポインタの位置から前記所定の距離以内の範囲に2以上のピークが存在する場合には、マウスポインタの位置に最も近いピークが選択される態様とすることができる。
上記表示方法の第1ステップでは、前記スペクトルを波数軸と強度軸を有する2次元グラフで表示し、上記表示方法の第2ステップでは、前記2次元グラフ上に置かれたマウスポインタの位置またはマウスポインタを置いてクリックした位置との間の波数軸方向距離が最も近いピークを選択する態様とすることができる。
上記表示方法の第1ステップにおいて表示されるスペクトルは、スペクトル強度のピーク値と当該ピーク値に対応する波数の値で構成される離散的なスペクトルデータ関数と、第1ピーク関数(例えばローレンツ関数(スペクトルの広がりを示すもの))とをたたみ込み積分したものとする態様を好ましく実施することができる。
上記表示方法の第1ステップにおいて表示されるスペクトルは、スペクトル強度のピーク値と当該ピーク値に対応する波数の値で構成される離散的なスペクトルデータ関数と、第1ピーク関数(例えばローレンツ関数(スペクトルの広がりを示すもの))と第2ピーク関数(例えばガウス関数(装置関数を示すもの))とをたたみ込み積分したものとする態様を好ましく実施することができる。
また、本発明のスペクトルの表示方法は、化合物に固有のスペクトルであって計算機によって算出された計算スペクトルと、実測により得られた実測スペクトルとを同一の表示装置に重ねて表示させるものである。
本発明は、選択されたピークに対応する分子振動における一つまたは複数の原子の振動の向きと振幅を含む情報(原子振動情報)を表示装置に表示させるステップを含む方法であるため、この方法のユーザが該当ピークに対応する分子振動を直感的かつ視覚的に把握しやすくなり、分光分析におけるマッチング評価を適切に行うことができるようになるものである。
本発明の実施形態にかかる分子振動の表示を実現するためのプログラム構成の例を示すブロック図である。 図1のプログラム構成を実現するためのハードウェアの構成の例を示すブロック図である。 本発明の実施形態にかかる分子振動の表示方法を示すフローチャートである。 ラマンスペクトルの計算結果を示す図である。 図4の計算結果に対してたたみ込み積分を行って取得した結果を示す図である。 ラマンスペクトルのピーク値がユーザによって選択される様子を示す図である。 ラマンスペクトルのピーク値がユーザによって選択される他の例の様子を示す図である。 表示装置に表示される分子構造モデルを示す図である。 (a)(b)(c)は、いずれも計算スペクトルと実測スペクトルとを重ねて表示したグラフであり、(a)は、計算スペクトルとして離散的なラマンスペクトルデータ(式(1))を用い、(b)は、計算スペクトルとして式(4)を用い、(c)は、計算スペクトルとして式(6)を用いたものである。
以下、本発明の実施形態にかかる分子振動の表示方法をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(1)分子振動の表示方法を実行するための装置およびプログラム
図1は本発明にかかる分子振動の表示を実現するためのプログラム構成の例を示すブロック図であり、図2は図1のプログラム構成を実現するためのハードウェアの構成の例を示すブロック図である。まず先に、図2を中心としてハードウェアの構成を説明する。
図2において、ハードウェア20は、CPU21、ROM(リードオンリメモリ)22、RAM23、入力装置24、表示装置25、外部記憶装置26、記録媒体駆動装置27、及び通信装置28を含むパーソナルコンピュータ等で構成することができる。
図2において、CPU(中央演算処理装置)21が、RAM(ランダムアクセスメモリ)23又は外部記憶装置26に格納されているプログラムを実行することによって、図1の計算部1に含まれるプログラム構成、即ちスペクトル計算部2、たたみ込み積分部4、表示指令部5、及び可視情報生成部6が機能的に実現され、本発明の実施形態にかかる分子振動の表示を行うことができる。スペクトル蓄積部3としては、ハードディスク等の外部記憶装置26を使用することができる。
入力装置24は、操作者から各種指令及びデータを入力するために用いられる、キーボードやマウス等のインターフェイス機器である。ROM22にはハードウェア20の基本的な起動動作を司るプログラムが記憶されている。ハードディスク等の外部記憶装置26は、分子振動を表示するためのプログラム(以下、「分子振動表示プログラム」と記載する)が記録されており、当該プログラムは必要に応じてRAM23にロードされる。記録媒体駆動装置27は、必要に応じ、分子振動表示プログラムをハードウェア20の外部から外部記憶装置26にインストールする際に用いる。記録媒体駆動装置27は、例えばCD(コンパクトディスク)ドライブ又はDVD(デジタルバーサタイルディスク)ドライブであり、CDやDVD等のディスクである記録媒体29に対してデータの記録/再生を行うことができる。記録媒体29には分子振動表示プログラムが記録されている。なお記録媒体29を用いなくても、インターネットを経由して分子振動表示プログラムを外部記憶装置26にインストールすることもできる。
CPU21は、外部記憶装置26に記憶された分子振動表示プログラムをRAM23上で実行する。表示装置25は、例えば液晶表示パネルや有機EL表示装置であり、各種文字や静止画及び動画等を表示するものである。通信装置28は、例えばルータやモデム等であり、ハードウェア20は通信装置28を介してインターネットに接続されている。
(2)分子振動を表示するための各ステップ
図3は本実施の形態にかかる分子振動の表示方法を示すフローチャートである。図3において、まず、化合物に固有のスペクトルが表示される(第1ステップ:S1)。次に、そのスペクトルにおいてユーザによりピークの一つが選択される(第2ステップ:S2)。続いて、選択されたピークに対応する分子振動における一つ又は複数の原子の振動の向きと振幅を含む情報(原子振動情報)が表示される(第3ステップ:S3)。以下、各ステップの詳細について説明する。
(2−1)第1ステップ:スペクトル表示ステップ
まず、表示装置25にラマンスペクトルや赤外吸収スペクトルなど、化合物に固有のスペクトルを表示させる。図4は、表示装置25に表示させるスペクトルの一例である。ここでは、計算によって得られたラマンスペクトルを示している。図4の横軸は波数を示しており、縦軸はラマンスペクトルの相対的な強度を示している。
ラマンスペクトルデータは、図1に示すようにスペクトル計算部2によって算出し、その結果をスペクトル蓄積部3の第1計算結果蓄積領域3aに蓄積しておくことができる。計算部2における計算方法としては第一原理計算など、公知の手法を用いることができる。なお第一原理計算とは一般に量子力学の原理に基づいて、基本物理量(時間、長さ、質量、電流、温度、質量等の他の物理量だけでは導けない量)から目的の物性量を理論的に計算することをいう。
第1計算結果蓄積領域3aに蓄積されているラマンスペクトルデータを図4のように表示装置25にて表示することも可能である。しかし、図4からわかるように計算によって得られたラマンスペクトルは、実測によって得られるスペクトルとは異なり離散的であるため、ラマン分光法による物質の同定作業を行うユーザにとっては、図4をラマンスペクトルとしては把握しにくい。
そこで、連続的なラマンスペクトルを擬似的に表示するために、第1計算結果蓄積領域3aに蓄積されている離散的なラマンスペクトルデータ関数とラマンスペクトルの広がりを示す第1ピーク関数をたたみ込み積分(コンボリューション積分)することによって現実のラマンスペクトルの形状に近づけることができる。本発明においてピーク関数とは、所定区間内で最大ピークを有する関数であって、前記所定区間内に他のピークを有する場合であっても、当該他のピークの極大値は前記最大ピークの極大値の1/2以下であるものをいうものとする。前記第1ピーク関数としては例えば、ローレンツ関数、ガウス関数、フォークト関数、あるいは、これらの関数を近似した関数を用いることができる。また、上記第1ピーク関数をたたみ込み積分することに加え、特定のラマン分光装置の装置関数である第2ピーク関数をさらにたたみ込み積分することによって、実際に観測されるラマンスペクトルの形状に一層近づけることができる。第2ピーク関数としては特定のラマン分光装置の装置関数を実測したもの(ラマン散乱光のスペクトル線に比べて、線幅の細い、水銀ランプ、ネオンランプなどの発光スペクトルの測定結果を装置関数として用いることができる)あるいは装置関数を近似したガウス関数を用いることができる。
さらに、ユーザが装置関数を適宜変形して使用できるように、装置関数を入力できる構成とすることが好ましい。例えば、装置関数として、ガウス関数を用いることを選択し、その半値全幅を変更できるようにユーザが設定できる定数を設けることができる。これにより、ユーザが所有する装置で測定した結果に近いスペクトルを表示することができる。
なお、上記第1ピーク関数の説明において記載したラマンスペクトルの広がりは、エネルギー準位の寿命、分子の衝突、物質の温度などの条件に起因して生じるものである。
他方、測定装置に起因するラマンスペクトルの広がりは、該装置により決まるガウス関数に依存するものであり、試料から放射された電磁波が測定装置に辿り着くまでの間に受けるスペクトルの広がりを示すものである。
上記のたたみ込み積分は、図1のたたみ込み積分部4において実現される。たたみ込み積分部4では、半値全幅を例えば8cm−1としたローレンツ関数及びガウス関数を用いてたたみ込み積分を行うことができるが、想定するラマン分光装置によっては、適宜ガウス関数の半値全幅を変更することができる。たたみ込み積分が完了した連続的なラマンスペクトルデータは、第2計算結果蓄積領域3bに蓄積される。
表示指令部5は、第1計算結果蓄積領域3aに蓄積されたラマンスペクトルデータや第2計算結果蓄積領域3bに蓄積されたラマンスペクトルデータを、表示装置25に表示させるための信号処理機能を有するものである。
以下、上述の第一原理計算からたたみ込み積分までの計算について式を用いて説明する。第一原理計算によってラマンスペクトルを計算すると、表1のように複数の振動数及び強度の組み[K,I]が得られる。
ここで、ローレンツ関数(下記式(1))を用いてスペクトルをグラフ表示する場合、表示するグラフをy=f(x)とすると、下記式(2)のように表される。なお下記式(2)は、x軸方向にKだけずらしたローレンツ関数に強度Iを乗じたものを、ピークの数だけ足し合わせたものである。
上式(2)をたたみ込み積分の形式で表示すると、下記式(3)となる。なお、該たたみ込み積分の結果をグラフ化すると後述の図5のようになる。
上式(3)において、δ(x)はディラックのデルタ関数を表し、「**」はたたみ込み積分の記号である。また、上式(3)におけるIδ(x−K)がスペクトルデータ関数に相当する。図5は、第1計算結果蓄積領域3aに蓄積された離散的なラマンスペクトルデータに対してローレンツ関数をたたみ込み積分して取得した連続的なラマンスペクトルを示すものである。図5に示されるように、ラマンスペクトルの各ピークの波形が連続的に広がっており、ユーザはこれがラマンスペクトルであると認識しやすくなる。
なお、装置関数を考慮する場合には、ガウス関数G(x)をさらにたたみ込んだ下記式(4)をプロットしグラフ化することもできる。
(2−2)第2ステップ:ピーク選択ステップ
本実施の形態においてユーザに対して表示しようとする分子振動は、ラマンスペクトルの各ピークの波数に対して固有のものである。したがって、本実施の形態における分子振動の表示方法は、いずれの分子振動を表示するかを特定するためのステップとして、上述の第1ステップにおいて表示されたスペクトルのピークの一つをユーザが選択できる第2ステップを有する。以下、選択の一例について図6を用いて説明する。図6はラマンスペクトルのピーク値がユーザによって選択される様子を示す説明図である。
図6に示すように、表示装置25である液晶表示パネルには、図5のラマンスペクトルデータが表示された状態で、ユーザは、マウスポインタPTを用いて表示されたラマンスペクトルの所望のピークを選択することができる。
なおピーク同士が混み合っている場合は、ユーザが意図しないピークが誤って選択されないよう、ピークの選択に一定の条件を設けることが望ましい。例えば、ユーザはラマンスペクトルのピークの頂点から所定の距離以下の位置にマウスポインタPTを置くことにより、または、マウスポインタPTを置いてクリックすることにより該ピークを選択状態とすることができる。なお、マウスポインタPTの位置から上記所定の距離以内の範囲に2以上のピーク頂点が存在する場合には、マウスポインタPTの位置に最も近い頂点を含むピークが選択されるようにすることができる。
また、上記液晶表示パネルにおけるラマンスペクトルのピークの選択方法として以下のようにしてもよい。図7において、ユーザがマウスポインタPTを置いてクリックすると、該マウスポインタPTの位置を基準とした波数軸方向において隣り合う2つのピークの各々と該マウスポインタPTとの波数軸方向距離a,bのうち、小さい値となる側のピークが選択される。図7の例では、a<bであるので、マウスポインタPTの左側のピークSPが選択されることとなる。
(2−3)第3ステップ:分子振動表示ステップ
本実施の形態においてユーザに対して表示しようとしている分子振動は、分子に含まれる一つまたは複数の原子の振動を含むものであり、表示装置にはこれらの原子の振動の向きと振幅を含む情報(原子振動情報)が表示される。表示装置には、上述の第2ステップにおいて選択されたピークの波数に対して固有の分子振動(原子振動情報を含む)が表示されるため、ユーザが該当ピークに対応する分子振動を直感的かつ視覚的に把握しやすくなり、分光分析におけるマッチング評価を適切に行うことができるようになるものである。
以下、第3ステップのより好ましい形態について図面を用いて具体的に説明する。第2ステップによって液晶表示パネル上で一つのピークが選択されると、図1における可視情報生成部6は、選択されたピークに対応する分子振動における原子の振動の向きと振幅を含む情報(例えばベクトル(矢印)や動画)を作成する。さらに表示指令部5は、可視情報生成部6により得られた情報を表示装置25に表示させる。
図8は表示装置25に表示される分子構造モデルを示す図である。図8に示すように、表示された分子構造モデルにおいて各原子の振動が例えば動画により表される。これにより、ユーザは分子の振動モードを直感的に把握しやすくなる。また各原子の視覚的区別のため、例えば、振幅が最も大きい原子at1を、他の原子とは異なる色(図8では灰色)で表示することができる。振幅が最も大きい原子at1が複数存在する場合も同じである。また、振幅が最も大きい原子at1以外の各原子at2,at3については、それぞれ例えば半透明、白色等で表示することができる。なお、図8では便宜上原子at2の表示色を黒色として表示し、原子at3を外形線のみで表している。なお、本発明において、「異なる色」とは、彩度、明度、及び色相の少なくとも一つが異なる色を指すものとする。
上記のように、分子構造モデルを動画により示す方法のほか、各原子at1,at2,at3の振動ベクトル(振動の向き及び振幅)は、各原子の配置位置を始点とするベクトルvt1,vt2,vt3を用いて表示することもできる。
以上の通り、本発明によれば、ユーザにより選択されたピークに対応する分子振動における一つまたは複数の原子の振動の向きと振幅を含む情報(原子振動情報)を表示装置に表示させるステップを含む方法であるため、本発明の表示方法のユーザは、ピークと分子振動との対応関係を視覚的に把握しやすくなる。また、原子振動情報を表示する際に、分子構造モデルを用いて表示することによって、ユーザは分子振動の状態を直感的に理解しやすくなる。
(3)その他
図9に示すように、計算により算出された計算スペクトル(点線)と、ラマン分光装置で測定された実測スペクトル(実線)とを同一の表示装置の同じグラフ上に重ねて表示することにより両者を視覚的に比較することができ、それによって物質の同定作業が容易になる。より詳細には、図9(a)は、計算スペクトルとして離散的なラマンスペクトルデータ(式(1))を表示したものであり、図9(b)は、計算スペクトルとして上記式(4)を表示したものであり、(c)は、計算スペクトルとして下記式(6)を表示したものである。
図9(b)の場合、すなわち、上記式(4)に示したように離散的なスペクトルデータ関数L(x)と、第1ピーク関数と第2ピーク関数とをたたみ込み積分した関数yを計算スペクトルとして表示する場合、第2ピーク関数として、実測スペクトルを測定するのに用いたラマン分光装置の装置関数(あるいは装置関数と同程度の半値全幅(±10%以内が好ましい)をもったガウス関数)を用いることで、計算スペクトルと実測スペクトルのピークの半値全幅を同程度に揃えることができ、両者の比較がいっそう容易になる。
なお、計算スペクトルと実測スペクトルでは波数軸のスケール(縮尺)が一致しない場合があるため、計算スペクトルの波数軸のスケールを修正して表示することが望ましい。具体的には、スケール修正前の計算スペクトルを下記式(5)とすると、スケールを修正した後の式は、下記式(6)となる。なお、式(5)の右辺は式(3)あるいは式(4)の右辺を用いることができるが、ここでは式(4)の右辺を用いた。
ここでtはスケーリングファクター(縮尺因子)である。スケーリングファクターはユーザが入力できるようにするか、あるいは、計算によって、計算スペクトルと実測スペクトルの重なりが最も大きくなるように最適化して求めることもできる。式(6)を表示した図9(c)を見て分かるように、計算スペクトルと実測スペクトルは、一致度が高い状態で得られる。
以上、本発明の実施形態ではラマンスペクトルを用いた例について説明したが、スペクトルはラマンスペクトルに限定されるものではなく、赤外吸収スペクトル等の他のスペクトルを用いて分子振動表示を行うことも勿論可能である。
1 計算部
2 スペクトル計算部
3 スペクトル蓄積部
3a 第1計算結果蓄積領域
3b 第2計算結果蓄積領域
4 たたみ込み積分部
5 表示指令部
6 可視情報生成部
24 入力装置
25 表示装置
at1,at2,at3 原子
PT マウスポインタ
vt1,vt2,vt3 ベクトル
S1 第1ステップ
S2 第2ステップ
S3 第3ステップ

Claims (10)

  1. 分子振動の表示方法であって、
    化合物に固有のスペクトルを表示装置に表示させる第1ステップと、
    表示されたスペクトルのピークの一つを選択する第2ステップと、
    選択されたピークに対応する分子振動における一つまたは複数の原子の振動の向きと振幅を含む情報(以下、「原子振動情報」と記載する)を表示装置に表示させる第3ステップを有し、
    前記第2ステップでは、前記スペクトルのピーク(極大位置)から所定の距離以下の位置にマウスポインタを置く、またはマウスポインタを置いてクリックすることにより当該ピークが選択されるものであり、マウスポインタの位置から前記所定の距離以内の範囲に2以上のピークが存在する場合には、マウスポインタの位置に最も近いピークが選択されることを特徴とする分子振動の表示方法。
  2. 分子振動の表示方法であって、
    化合物に固有のスペクトルを表示装置に表示させる第1ステップと、
    表示されたスペクトルのピークの一つを選択する第2ステップと、
    選択されたピークに対応する分子振動における一つまたは複数の原子の振動の向きと振幅を含む情報(以下、「原子振動情報」と記載する)を表示装置に表示させる第3ステップを有し、
    前記第1ステップでは、前記スペクトルは波数軸と強度軸を有する2次元グラフで表示され、
    前記第2ステップでは、前記2次元グラフ上に置かれたマウスポインタの位置またはマウスポインタを置いてクリックされた位置との間の距離(波数軸方向)が最も近いピークが選択されることを特徴とする分子振動の表示方法。
  3. 前記第3ステップにおいて前記原子振動情報は、前記化合物の分子構造モデルを用いて表示される請求項1または2に記載の分子振動の表示方法。
  4. 前記原子振動情報は、前記分子構造モデルの各原子の配置位置を始点とするベクトルにより表示される請求項に記載の分子振動の表示方法。
  5. 前記原子振動情報は、前記分子構造モデルの各原子の振動が動画により表示される請求項に記載の分子振動の表示方法。
  6. 前記第3ステップにおいて、振幅が最も大きい一つまたは複数の原子が他の原子とは異なる色で表示される請求項3〜5のいずれかに記載の分子振動の表示方法。
  7. 前記第3ステップにおいて、振幅が最も大きい一つまたは複数の原子以外の原子は、半透明にて表示される請求項3〜6のいずれかに記載の分子振動の表示方法。
  8. 前記スペクトルは、ラマンスペクトルである請求項1〜のいずれかに記載の分子振動の表示方法。
  9. 前記第1ステップにおいて表示されるスペクトルは、スペクトル強度のピーク値と当該ピーク値に対応する波数の値で構成される離散的なスペクトルデータ関数と、第1ピーク関数とをたたみ込み積分したものである請求項1〜のいずれかに記載の分子振動の表示方法。
  10. 前記第1ステップにおいて表示されるスペクトルは、スペクトル強度のピーク値と、当該ピーク値に対応する波数の値で構成される離散的なスペクトルデータ関数と、第1ピーク関数と第2ピーク関数とをたたみ込み積分したものである請求項1〜のいずれかに記載の分子振動の表示方法。
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