JP6272063B2 - 伝動システム - Google Patents

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Description

本発明は、特定補機と内燃機関との間で動力を伝達する伝動システムに関する。
従来、ベルト等の無端伝動部材を用い、特定補機と内燃機関との間で動力を相互に伝達する伝動システムが知られている。例えば特許文献1の伝動システムでは、特定補機は、スタータとして力行作動することにより、車両の内燃機関を始動させる。また、特定補機は、力行作動し動力を内燃機関に伝達することにより、内燃機関の回転をアシストする。また、特定補機は、内燃機関により回転させられて回生作動することにより、発電可能である。
特許第3652177号公報
一般に、特定補機等の電動機は、低トルクを出力するよう力行作動するとき、出力に対する損失の割合が大きいため、効率が低下する。そのため、低トルクを出力する特定補機の力行作動を所定期間以上継続すると、特定補機の消費電力が増大する。
特許文献1の伝動システムでは、特定補機による内燃機関の始動時は、特定補機に要求される要求トルクが大きいため、特定補機を高効率で作動させることができると考えられる。しかしながら、特定補機による内燃機関のアシスト時は、運転者の要求、車両の走行状態および内燃機関の運転状態等によっては特定補機に要求される要求トルクが小さくなる場合があるため、特定補機の効率が低下し、特定補機の消費電力が増大するおそれがある。
また、特許文献1の伝動システムは、無端伝動部材の特定補機プーリに対し一方側または他方側に当接しながら回転可能、かつ、内燃機関に対し相対移動可能なテンショナプーリを有し、テンショナプーリが内燃機関に対し相対移動することで無端伝動部材の張力を調整可能なオートテンショナを備えている。ここで、内燃機関のアシスト時等、特定補機を力行作動させると、特定補機から出力されるトルクが、テンショナプーリを内燃機関に対し相対移動させるために使われ、特定補機の消費電力がさらに増大するおそれがある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、力行作動する特定補機の消費電力を低減可能な伝動システムを提供することにある。
本発明は、力行作動または回生作動可能な特定補機と内燃機関との間で動力を伝達する伝動システムであって、駆動プーリと特定補機プーリと無端伝動部材と制御部と第1オートテンショナとを備えている。
駆動プーリは、内燃機関の駆動軸に取り付けられ、駆動軸とともに回転する。特定補機プーリは、特定補機の軸である特定補機軸に取り付けられ、特定補機軸とともに回転する。無端伝動部材は、駆動プーリおよび特定補機プーリに掛け回され、駆動プーリおよび特定補機プーリとともに回転する。
制御部は、特定補機の作動を制御可能である。制御部は、要求トルク算出手段、定常作動制御手段、および、間欠作動制御手段を有している。要求トルク算出手段は、特定補機から出力されるべきトルクである要求トルクを算出する。定常作動制御手段は、特定補機を力行作動させることにより特定補機から出力されるトルクである定常作動トルクが前記要求トルクとなるよう特定補機を制御する。間欠作動制御手段は、「特定補機を力行作動させ、前記要求トルクより大きなトルクが出力されるよう特定補機を制御する高トルク作動制御」と「特定補機が停止するよう特定補機を制御する停止制御」とを所定期間内で交互に繰り返し、前記所定期間において特定補機から出力されるトルクの平均が前記要求トルクとなるよう特定補機を制御する。
一般に、特定補機等の電動機は、低トルクを出力するよう力行作動する場合、効率が低いため、消費電力が増大する。一方、特定補機は、高トルクを出力するよう力行作動する場合、効率が高いため、消費電力は小さくなる。本発明では、制御部は、定常作動制御手段に加え、間欠作動制御手段を有している。例えば要求トルクが小さい、すなわち、低トルクのとき、間欠作動制御手段により特定補機を制御すれば、特定補機の消費電力を抑えつつ、特定補機から要求トルクを出力することができる。この場合、定常作動制御手段により特定補機を制御し要求トルクを出力するのと比べ、特定補機の消費電力を小さくすることができる。
第1オートテンショナは、無端伝動部材の回転方向において特定補機プーリに対し上流側となる無端伝動部材の部位のうち特定補機プーリと駆動プーリとの間に当接しながら回転可能、かつ、内燃機関に対し所定の相対移動可能範囲において相対移動可能な第1テンショナプーリを有し、第1テンショナプーリが内燃機関に対し相対移動することで無端伝動部材の張力を調整可能である。
また、間欠作動制御手段は、無端伝動部材の回転方向において特定補機プーリに対し上流側となる無端伝動部材の部位の張力が増大する期間、または、内燃機関の気筒毎の燃焼トルクが発生していない期間に、特定補機がトルクを出力するよう高トルク作動制御を行い、無端伝動部材の回転方向において特定補機プーリに対し上流側となる無端伝動部材の部位の張力が低下する期間、または、内燃機関の気筒毎の燃焼トルクが発生している期間に、特定補機がトルクを出力しないよう停止制御を行う。
本発明の一実施形態による伝動システムを示す模式図。 特定補機の負荷率と損失との関係を示す特性図。 特定補機の出力トルクと効率および電流との関係を示す特性図。 本発明の一実施形態による伝動システムにより定常作動制御または間欠作動制御を行ったときの時間の経過に伴うトルク指令値の変化を示す図。 (A)は駆動軸から出力される燃焼トルクとクランク角との関係を示す図、(B)は第1オートテンショナの揺動角とクランク角との関係を示す図。 特定補機に流れる電流の時間の経過に伴う変化を示す図。 特定補機を定常作動制御または間欠作動制御したときの出力と効率との関係を示す図。 本発明の一実施形態の伝動システムによる特定補機の制御に関する一連の処理を示すフロー図。 特定補機を定常作動制御または間欠作動制御したときの特定補機に流れる電流およびトルク指令値の時間の経過に伴う変化を示す図。 特定補機を定常作動制御または間欠作動制御したときの特定補機および内燃機関の回転数の時間の経過に伴う変化を示す図。
以下、本発明の実施形態による伝動システムを図面に基づき説明する。
(一実施形態)
本発明の一実施形態による伝動システムを図1に示す。伝動システム1は、図示しない車両に搭載される内燃機関(以下、「エンジン」という)2と特定補機11との間で動力を伝達する。また、伝動システム1は、エンジン2および特定補機11の動力を特定補機11以外の補機13、15、17に伝達する。なお、エンジン2は、例えばガソリンを燃料として駆動する4気筒エンジンである。
図1に示すように、伝動システム1は、エンジン2に設けられる。伝動システム1は、駆動プーリ4、特定補機プーリ5、補機プーリ6、7、8、無端伝動部材としてのベルト9、第1オートテンショナ20、第2オートテンショナ30、および、制御部としての電子制御ユニット(以下、「ECU」という)50等を備えている。
駆動プーリ4は、円板状に形成され、中心部がエンジン2の駆動軸3に接続されるようにして取り付けられている。これにより、駆動プーリ4は、駆動軸3とともに回転可能である。特定補機プーリ5は、円板状に形成され、中心部が特定補機11の軸である特定補機軸12に接続されるようにして取り付けられている。これにより、特定補機プーリ5は、特定補機軸12とともに回転可能である。補機プーリ6、7、8は、それぞれ、円板状に形成され、中心部が補機13、15、17の軸14、16、18に接続するようにして取り付けられている。これにより、補機プーリ6、7、8は、それぞれ、軸14、16、18とともに回転可能である。
駆動軸3の駆動プーリ4とは反対側は、例えば、図示しないクラッチ手段を経由して、駆動対象としての変速機の入力軸に接続されている。変速機の出力軸は、図示しないデフを経由して車軸に接続されている。そのため、クラッチ手段により駆動軸3と変速機の入力軸とが接続されると、駆動軸3の回転は、出力軸、デフおよび車軸を経由して、車軸の両端に設けられた駆動輪に伝達する。これにより、車両が走行する。
ベルト9は、例えばゴムおよびワイヤー等により、端部を有しない環状に形成されている。ベルト9は、外力が作用すると弾性変形し伸縮する。ベルト9は、駆動プーリ4、特定補機プーリ5、補機プーリ6、7、8に掛け回されるようにして設けられている。これにより、例えば駆動プーリ4が回転すると、当該回転が補機プーリ8、7、6、特定補機プーリ5に伝達し、補機プーリ8、7、6、特定補機プーリ5が回転する。すなわち、各プーリの回転は、ベルト9を経由して他のプーリに伝達する。本実施形態では、エンジン2の通常運転時、駆動軸3、すなわち、駆動プーリ4の回転方向は、図1において時計回り方向である。よって、ベルト9および各プーリも時計回り方向に回転する。なお、本実施形態では、時計回り方向の回転を「正回転」、反時計回り方向の回転を「逆回転」という。
特定補機11は、電力が供給されることにより特定補機軸12が回転駆動(力行作動)し、特定補機軸12にトルクが入力されることで発電(回生作動)するモータジェネレータとして機能する。
特定補機11は、例えば、エンジン2が停止しているとき、回転駆動(力行作動)することにより駆動プーリ4を回転させ、すなわち、エンジン2をクランキングし、エンジン2を始動させることができる。ここで、特定補機11は、スタータとして機能する。
また、特定補機11は、例えば、エンジン2の運転時、すなわち、ベルト9が回転しているとき、回転駆動(力行作動)することにより駆動プーリ4をさらに回転させ、駆動軸3(エンジン2)の回転をアシストする。ここで、特定補機11は、アシストモータとして機能する。
一方、特定補機11は、例えば、エンジン2の運転時、すなわち、ベルト9が回転しているとき、特定補機プーリ5にトルクが入力されることにより発電(回生作動)する。ここで、特定補機11は、ジェネレータ(発電機)として機能する。
このように、本実施形態では、特定補機11は、複数の機能を統合した補機、例えばISG(Integrated Starter Generator)である。
本実施形態では、特定補機11は、例えば3相ブラシレスモータ(電動機)である。図2に、特定補機11の負荷率と損失との関係を示す。図2に示すように、機械損および鉄損は負荷率にかかわらず一定であるものの、漂遊負荷損および銅損は、負荷率が大きくなるほど大きくなる。そのため、特定補機11は、低負荷時、すなわち、低トルクを出力するよう力行作動するとき、出力に対する損失の割合が大きいため、効率が低下する(図3参照)。よって、低トルクを出力する特定補機11の力行作動を所定期間以上継続した場合、特定補機11の消費電力が増大する。
補機13、15、17は、それぞれ、例えば空調用コンプレッサ、ウォーターポンプ、パワステポンプ等であって、軸14、16、18にトルクが入力されることにより駆動する。つまり、補機13、15、17は、ベルト9が回転すると駆動する。
伝動システム1では、特定補機11の作動によって、ベルト9の最緩み位置(最も張力が小さい位置)が変化する。例えば、エンジン2の始動時またはアシスト時、すなわち、特定補機11の力行作動時、ベルト9の最緩み位置は、特定補機プーリ5と補機プーリ6との間になる。一方、特定補機11の発電時、すなわち、特定補機11の回生作動時、ベルト9の最緩み位置は、駆動プーリ4と特定補機プーリ5との間になる。また、特定補機11の作動、および、エンジン2の駆動軸3の回転状態等により、ベルト9の張力が変化する。
図1に示すように、第1オートテンショナ20は、第1テンショナプーリ21、アーム22、軸部23、24、ベース25、付勢手段26、ストッパ27等を有している。
第1テンショナプーリ21は、円板状に形成され、ベルト9の特定補機プーリ5に対し一方側、すなわち、ベルト9の特定補機プーリ5と駆動プーリ4との間に当接可能に設けられている。
アーム22は、長尺状に形成されている。軸部23は、アーム22の一端に設けられている。軸部23は、例えばエンジン2の壁面に固定されるベース25に設けられ、アーム22の一端を軸受けする。これにより、アーム22は、軸部23を中心にエンジン2に対し相対回転可能である。軸部24は、アーム22の他端に設けられている。軸部24は、第1テンショナプーリ21の中心を回転可能に支持している。この構成により、第1テンショナプーリ21は、ベルト9の特定補機プーリ5に対し一方側に当接しながら回転可能、かつ、軸部23を中心にエンジン2に対しx1方向またはy1方向に相対移動(回転)可能に設けられる。アーム22が軸部23を中心に回転し、第1テンショナプーリ21のエンジン2に対する相対位置が変化すると、ベルト9の特定補機プーリ5に対し一方側の張力が変化する。
ベース25は、軸部23が中央に位置するよう、エンジン2の壁面に固定される。これにより、ベース25とアーム22の一端とは、相対回転可能である。
付勢手段26は、ベース25とアーム22の一端との間に設けられている。付勢手段26は、例えばコイルスプリングであり、一端がベース25に接続され、他端がアーム22の一端に接続されている。付勢手段26は、ベース25とアーム22との相対回転、すなわち、ねじり方向の回転に抗する力を有している。本実施形態では、付勢手段26は、ベルト9の張力が増大する方向(図1に示すx1方向)に第1テンショナプーリ21を付勢している。
上記構成により、第1オートテンショナ20は、第1テンショナプーリ21がエンジン2に対しx1方向またはy1方向に相対移動することでベルト9の張力を調整可能である。第1オートテンショナ20により、例えば、特定補機11が回生作動するときのベルト9の駆動プーリ4と特定補機プーリ5との間の緩みを解消することができる。
ストッパ27は、ベース25に形成されている。アーム22は、ベース25に対しx1方向またはy1方向に回転したとき、一端の一部がストッパ27に当接する。アーム22の一端の一部とストッパ27とが当接したとき、アーム22は、x1方向またはy1方向へのさらなる回転が規制される。ここで、アーム22が一端を中心にエンジン2に対し相対回転、すなわち、揺動するときのアーム22のエンジン2に対する角度を第1オートテンショナ20の揺動角という。ストッパ27により、第1オートテンショナ20は、所定の角度範囲(揺動角範囲)でx1方向またはy1方向に揺動可能である。
第2オートテンショナ30は、第2テンショナプーリ31、アーム32、軸部33、34、付勢手段35、ベース36、ストッパ37等を有している。
第2テンショナプーリ31は、第1テンショナプーリ21と同様、円板状に形成されている。第2テンショナプーリ31は、ベルト9の特定補機プーリ5に対し他方側、すなわち、ベルト9の特定補機プーリ5と補機プーリ6との間に当接可能に設けられている。
アーム32は、アーム22と同様、長尺状に形成されている。軸部33は、アーム32の一端に設けられている。軸部33は、例えばエンジン2の壁面に固定されるベース35に設けられ、アーム32の一端を軸受けする。これにより、アーム32は、軸部33を中心にエンジン2に対し相対回転可能である。軸部34は、アーム32の他端に設けられている。軸部34は、第2テンショナプーリ31の中心を回転可能に支持している。この構成により、第2テンショナプーリ31は、ベルト9の特定補機プーリ5に対し他方側に当接しながら回転可能、かつ、軸部33を中心にエンジン2に対しx2方向またはy2方向に相対移動(回転)可能に設けられる。アーム32が軸部33を中心に回転し、第2テンショナプーリ31のエンジン2に対する相対位置が変化すると、ベルト9の特定補機プーリ5と補機プーリ6との間の張力が変化する。
ベース35は、軸部33が中央に位置するよう、エンジン2の壁面に固定される。これにより、ベース35とアーム32の一端とは、相対回転可能である。
付勢手段36は、ベース35とアーム32の一端との間に設けられている。付勢手段36は、付勢手段26と同様、例えばコイルスプリングであり、一端がベース35に接続され、他端がアーム32の一端に接続されている。付勢手段36は、ベース35とアーム32との相対回転、すなわち、ねじり方向の回転に抗する力を有している。本実施形態では、付勢手段36は、ベルト9の張力が増大する方向(図1に示すx2方向)に第2テンショナプーリ31を付勢している。
上記構成により、第2オートテンショナ30は、第2テンショナプーリ31がエンジン2に対しx2方向またはy2方向に相対移動することでベルト9の張力を調整可能である。第2オートテンショナ30により、例えば、特定補機11が力行作動するときのベルト9の特定補機プーリ5と補機プーリ6との間の緩みを解消することができる。
ストッパ37は、ベース35に形成されている。アーム32は、ベース35に対しx2方向またはy2方向に回転したとき、一端の一部がストッパ37に当接する。アーム32の一端の一部とストッパ37とが当接したとき、アーム32は、x2方向またはy2方向へのさらなる回転が規制される。ここで、アーム32が一端を中心にエンジン2に対し相対回転、すなわち、揺動するときのアーム32のエンジン2に対する角度を第2オートテンショナ30の揺動角という。ストッパ37により、第2オートテンショナ30は、所定の角度範囲(揺動角範囲)でx2方向またはy2方向に揺動可能である。
ここで、第1テンショナプーリ21は、特許請求の範囲における「無端伝動部材の特定補機プーリに対し一方側に当接しながら回転可能、かつ、内燃機関に対し相対移動可能なテンショナプーリ」に対応している。また、第2テンショナプーリ31は、特許請求の範囲における「無端伝動部材の特定補機プーリに対し他方側に当接しながら回転可能、かつ、内燃機関に対し相対移動可能なテンショナプーリ」に対応している。また、第1オートテンショナ20および第2オートテンショナ30は、それぞれ、特許請求の範囲における「オートテンショナ」に対応している。
ECU50は、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROMおよびRAM、ならびに、入出力手段等を有する小型のコンピュータである。ECU50は、車両の各部に取り付けられた各種センサからの信号等に基づき、ROMに記憶されたプログラムに従い処理を行い、車両の各種装置等の作動を制御することで車両を統合的に制御する。
本実施形態では、エンジン2に回転位置センサ61が設けられている。回転位置センサ61は、駆動軸3の回転位置を検出し、検出した回転位置に対応する信号をECU50に出力する。ECU50は、回転位置センサ61からの信号に基づき、駆動軸3の回転角および回転数を算出し、クランク角(クランク位置)や上死点、エンジン2の回転数等を算出することができる。
また、本実施形態では、図示しないアクセルペダルにアクセルセンサ62が設けられている。アクセルセンサ62は、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量を検出し、検出した踏み込み量に対応する信号をECU50に出力する。これにより、ECU50は、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量を検出可能である。
また、本実施形態では、車両に車速センサ63が設けられている。車速センサ63は、車両の走行速度、すなわち、車速に対応する信号をECU50に出力する。これにより、ECU50は、車速を検出可能である。
ECU50は、上述の回転位置センサ61、アクセルセンサ62および車速センサ63を含む各種センサからの信号等に基づき、特定補機11や空調用コンプレッサ等の作動を制御する。
ECU50は、図示しない駆動回路を有している。ECU50が駆動回路にトルク指令値を印加すると、当該トルク指令値に応じた電流が特定補機11に流れ、特定補機11が力行作動する。
ECU50は、各種センサからの信号等に基づき、「エンジン2の始動要求が発生した(エンジン2の始動条件が成立した)」と判断すると、特定補機11を力行作動させることによりベルト9を経由して駆動プーリ4(駆動軸3)を回転させ、エンジン2をクランキングする。これにより、エンジン2が始動する。
また、ECU50は、各種センサからの信号等に基づき、「エンジン2のアシスト要求が発生した」と判断すると、特定補機11を力行作動させることによりベルト9を経由して駆動プーリ4(駆動軸3)を回転させ、エンジン2の回転をアシストする。
ECU50は、機能的な構成として要求トルク算出手段51、定常作動制御手段52および間欠作動制御手段53を有している。
要求トルク算出手段51は、エンジン2の始動時およびアシスト時、特定補機11から出力されるべきトルクである要求トルクを算出する。本実施形態では、要求トルク算出手段51は、例えば回転位置センサ61、アクセルセンサ62および車速センサ63等からの信号に基づき算出した車両の走行状態やエンジン2の運転状態、空調用コンプレッサの作動状態等に基づき、要求トルクを算出する。
また、定常作動制御手段52は、特定補機11を「所定の期間である第1所定期間T1」中、常に力行作動させることにより特定補機11から出力されるトルクである定常作動トルクが前記要求トルクとなるよう特定補機11を制御する(図4に示す破線参照)。
また、間欠作動制御手段53は、「特定補機11を力行作動させ、前記要求トルクより大きなトルクが出力されるよう特定補機11を制御する高トルク作動制御」と「特定補機11が停止するよう特定補機11を制御する停止制御」とを「所定の期間である第2所定期間T2」内で交互に繰り返し、特定補機11から出力されるトルクの平均が前記要求トルクとなるよう特定補機11を制御する(図4に示す実線参照)。
ところで、エンジン2の各気筒で燃料が燃焼するとき(燃焼期間)、駆動軸3から燃焼トルクが出力される。本実施形態では、エンジン2は4気筒エンジンであり、各気筒における燃料の燃焼タイミングが異なるため、駆動軸3から出力される燃焼トルクは変動する(図5(A)参照)。本実施形態では、エンジン2の気筒毎の燃焼トルクが生じていない期間(非燃焼期間)、ベルト9の特定補機プーリ5と駆動プーリ4との間の張力が増大する。そのため、特定補機11が力行作動していない場合、第1オートテンショナ20の揺動角は、図5(B)に示す破線のとおりとなる。ここで、第1オートテンショナ20の揺動角は、燃焼期間においては揺動角範囲のx1方向側端部の角度となるものの、非燃焼期間においては揺動角範囲のy1方向側端部の角度に達しない。よって、非燃焼期間に特定補機11を力行作動させた場合、特定補機11から出力されるトルクは、第1テンショナプーリ21をエンジン2に対しy1方向に相対移動させるために使われる。
本実施形態では、間欠作動制御手段53は、ベルト9の回転方向において特定補機プーリ5に対し上流側(本実施形態では、特定補機プーリ5と駆動プーリ4との間)の張力が増大する期間に特定補機11がトルクを出力するよう高トルク作動制御を行う。
つまり、間欠作動制御手段53は、エンジン2の気筒毎の燃焼トルクが生じていない期間(非燃焼期間)に特定補機11がトルクを出力するよう高トルク作動制御を行う。この場合の第1オートテンショナ20の揺動角は、図5(B)に示す実線のとおりとなる。ここで、第1オートテンショナ20の揺動角は、燃焼期間において揺動角範囲のx1方向側端部の角度となり、非燃焼期間においては揺動角範囲のy1方向側端部の角度になる。すなわち、第1オートテンショナ20は、非燃焼期間においてアーム22の一端の一部がストッパ27に当接し、y1方向の揺動が規制される。よって、非燃焼期間に特定補機11を力行作動させた場合、特定補機11から出力されるトルクは、駆動軸3を回転させるために使われる。
なお、図6に示すように、ECU50が駆動回路にトルク指令値を印加した後、遅れて特定補機11に電流が流れ特定補機11が力行作動するため、トルク指令値の印加期間と上記非燃焼期間とは一致しない。上述のように、本実施形態では、間欠作動制御手段53は、非燃焼期間に特定補機11がトルクを出力するよう特定補機11を制御する。
また、本実施形態では、ECU50は、前記要求トルクが「所定のトルク値である所定要求トルク値」以上の場合、定常作動制御手段52により特定補機11を制御し、前記要求トルクが所定要求トルク値より小さい場合、間欠作動制御手段53により特定補機11を制御する。ここで、本実施形態では、所定要求トルク値は、例えばトルク変動による回転変動等ドライバビリティに基づき設定されている。
また、本実施形態では、ECU50は、「前記要求トルクが出力されるよう定常作動制御手段52により特定補機11を制御した場合の特定補機11の効率」が「前記要求トルクが出力されるよう間欠作動制御手段53により特定補機11を制御した場合の特定補機11の効率」より低いと判断したとき、間欠作動制御手段53により特定補機11を制御する。ここで、本実施形態では、「前記要求トルクが出力されるよう定常作動制御手段52により特定補機11を制御した場合の特定補機11の効率」と「前記要求トルクが出力されるよう間欠作動制御手段53により特定補機11を制御した場合の特定補機11の効率」とを事前にマップ等で設定しておくことにより、効率の大小関係を判断する(図7参照)。
次に、本実施形態のECU50による特定補機11の制御について図8に基づき説明する。
図8は、ECU50による特定補機11の制御に関する一連の処理を示すフロー図である。図8に示す一連の処理S100は、例えば車両のイグニッションキーがオンされることにより開始される。
S101では、ECU50は、各種センサからの信号等に基づき、特定補機11の力行作動が必要か否かを判断する。ここで、特定補機11の力行作動が必要な場合とは、エンジン2の始動時またはアシスト時等である。特定補機11の力行作動が必要であると判断した場合(S101:YES)、処理はS102へ移行する。一方、特定補機11の力行作動は必要でないと判断した場合(S101:NO)、処理は一連の処理S100を抜ける。
S102では、ECU50(要求トルク算出手段51)は、特定補機11から出力されるべきトルクである要求トルクを算出する。S102の後、処理はS103へ移行する。
S103では、ECU50は、S102で算出した要求トルクが所定要求トルク値より小さいか否かを判断する。算出した要求トルクは所定要求トルク値より小さいと判断した場合(S103:YES)、処理はS104へ移行する。一方、算出した要求トルクは所定要求トルク値以上であると判断した場合(S103:NO)、処理はS106へ移行する。
S104では、ECU50は、「S102で算出した要求トルクが出力されるよう定常作動制御手段52により特定補機11を制御した場合の特定補機11の効率」が「S102で算出した要求トルクが出力されるよう間欠作動制御手段53により特定補機11を制御した場合の特定補機11の効率」より低いか否かを判断する。「S102で算出した要求トルクが出力されるよう定常作動制御手段52により特定補機11を制御した場合の特定補機11の効率」は「S102で算出した要求トルクが出力されるよう間欠作動制御手段53により特定補機11を制御した場合の特定補機11の効率」より低いと判断した場合(S104:YES)、処理はS105へ移行する。一方、「S102で算出した要求トルクが出力されるよう定常作動制御手段52により特定補機11を制御した場合の特定補機11の効率」は「S102で算出した要求トルクが出力されるよう間欠作動制御手段53により特定補機11を制御した場合の特定補機11の効率」以上であると判断した場合(S104:NO)、処理はS106へ移行する。
S105では、ECU50(間欠作動制御手段53)は、特定補機11を制御する。具体的には、ECU50は、高トルク作動制御と停止制御とを第2所定期間T2内で交互に繰り返し、特定補機11から出力されるトルクの平均が、S102で算出した要求トルクとなるよう特定補機11を制御する。より具体的には、ECU50は、駆動回路に印加するトルク指令値と印加期間とを回転数毎のマップに基づき算出し、算出したトルク指令値を印加期間毎に駆動回路に印加する。
各気筒の燃焼期間および非燃焼期間は駆動軸3の角度、すなわち、クランク角に対応しているため、本実施形態では、トルク指令値の印加期間の始期および終期は、クランク角に対応して設定される。
S105の処理により、特定補機11には図6に示すような電流が流れ、特定補機11が間欠作動する。これにより、エンジン2がアシストまたは始動される。S105の後、処理は一連の処理S100を抜ける。
S106では、ECU50(定常作動制御手段52)は、特定補機11を制御する。具体的には、ECU50は、特定補機11を第1所定期間T1中、常に力行作動させることにより特定補機11から出力されるトルクである定常作動トルクが、S102で算出した要求トルクとなるよう特定補機11を制御する。より具体的には、ECU50は、要求トルクに対応するトルク指令値を第1所定期間T1、駆動回路に印加する。
S106の処理により、要求トルクが出力されるよう特定補機11が定常作動する。これにより、エンジン2が始動またはアシストされる。S106の後、処理は一連の処理S100を抜ける。
S101、S105、S106の後、一連の処理S100を抜けたとき、イグニッションキーがオンの状態の場合、再びS100が開始される。すなわち、S100は、イグニッションキーがオンの間、繰り返し実行される処理である。
次に、本実施形態の伝動システム1が奏する効果について図9、10に基づき説明する。
図9は、特定補機11を期間t1で定常作動制御を行い、期間t2で間欠作動制御を行った場合の実験結果(トルク指令値、特定補機11に流れる電流値)を示すものである。図10は、特定補機11を期間t3で定常作動制御を行い、期間t4で間欠作動制御を行った場合の実験結果(特定補機11およびエンジン2の回転数の変化)を示すものである。なお、ここでは、特定補機11から比較的小さなトルク(例えば3N・m)が出力されるよう定常作動制御または間欠作動制御を行った場合の結果を示している。
図9に示すように、間欠作動制御時(期間t2)に特定補機11に流れる電流の平均値は、定常作動制御時(期間t1)に特定補機11に流れる電流の平均値から低減することがわかる。つまり、低トルクを出力するよう間欠作動制御を行った場合、特定補機11の消費電力を低減できることがわかる。
また、図10に示すように、エンジン2の回転数の変動に関し、定常作動制御時(期間t3)と間欠作動制御時(期間t4)とで差異は認められないため、間欠作動制御によるエンジン2への影響は小さく、低トルクを出力するよう間欠作動制御を行った場合、定常作動制御時と同様、ドライバビリティは良好に保たれることがわかる。
以上説明したように、(1)本実施形態では、駆動プーリ4は、エンジン2の駆動軸3に取り付けられ、駆動軸3とともに回転する。特定補機プーリ5は、特定補機11の軸である特定補機軸12に取り付けられ、特定補機軸12とともに回転する。ベルト9は、駆動プーリ4および特定補機プーリ5に掛け回され、駆動プーリ4および特定補機プーリ5とともに回転する。
ECU50は、特定補機11の作動を制御可能である。ECU50は、要求トルク算出手段51、定常作動制御手段52、および、間欠作動制御手段53を有している。要求トルク算出手段51は、特定補機11から出力されるべきトルクである要求トルクを算出する。定常作動制御手段52は、特定補機11を「所定の期間である第1所定期間T1」中、常に力行作動させることにより特定補機11から出力されるトルクである定常作動トルクが前記要求トルクとなるよう特定補機11を制御する。間欠作動制御手段53は、「特定補機11を力行作動させ、前記要求トルクより大きなトルクが出力されるよう特定補機11を制御する高トルク作動制御」と「特定補機11が停止するよう特定補機11を制御する停止制御」とを「所定の期間である第2所定期間T2」内で交互に繰り返し、特定補機11から出力されるトルクの平均が前記要求トルクとなるよう特定補機11を制御する。
一般に、特定補機11等の電動機は、低トルクを出力するよう力行作動する場合、効率が低いため、消費電力が増大する。一方、特定補機11は、高トルクを出力するよう力行作動する場合、効率が高いため、消費電力は小さくなる。本実施形態では、ECU50は、定常作動制御手段52に加え、間欠作動制御手段53を有している。例えば要求トルクが小さい、すなわち、低トルクのとき、間欠作動制御手段53により特定補機11を制御すれば、特定補機11の消費電力を抑えつつ、特定補機11から要求トルクを出力することができる。この場合、定常作動制御手段52により特定補機11を制御し要求トルクを出力するのと比べ、特定補機11の消費電力を小さくすることができる。
また、(2)本実施形態では、第1オートテンショナ20および第2オートテンショナ30を備えている。第1オートテンショナ20は、ベルト9の特定補機プーリ5に対し一方側に当接しながら回転可能、かつ、エンジン2に対し相対移動可能な第1テンショナプーリ21を有し、第1テンショナプーリ21がエンジン2に対し相対移動することでベルト9の張力を調整可能である。第2オートテンショナ30は、ベルト9の特定補機プーリ5に対し他方側に当接しながら回転可能、かつ、エンジン2に対し相対移動可能な第2テンショナプーリ31を有し、第2テンショナプーリ31がエンジン2に対し相対移動することでベルト9の張力を調整可能である。
また、(3)本実施形態では、間欠作動制御手段53は、ベルト9の回転方向において特定補機プーリ5に対し上流側の張力が増大する期間に特定補機11がトルクを出力するよう高トルク作動制御を行う。これにより、特定補機11から駆動軸3に対しトルクを効率的に伝達することができ、特定補機11の消費電力をより低減することができる。
また、(4)本実施形態では、間欠作動制御手段53は、エンジン2の気筒毎の燃焼トルクが発生していない期間に特定補機11がトルクを出力するよう高トルク作動制御を行う。これにより、特定補機11から駆動軸3に対しトルクを効率的に伝達することができ、特定補機11の消費電力をさらに低減することができる。
なお、本実施形態では、第1オートテンショナ20を備えているが、上述のように、ベルト9の回転方向において特定補機プーリ5に対し上流側の張力が増大する期間、または、エンジン2の気筒毎の燃焼トルクが発生していない期間に特定補機11がトルクを出力するよう高トルク作動制御を行うことにより、特定補機11から出力されるトルクが、第1テンショナプーリ21をエンジン2に対し相対移動させるために使われるのを抑制することができる。よって、特定補機11の消費電力を低減することができる。
また、(5)本実施形態では、ECU50は、要求トルクが「所定のトルク値である所定要求トルク値」以上の場合、定常作動制御手段52により特定補機11を制御し、前記要求トルクが前記所定要求トルク値より小さい場合、間欠作動制御手段53により特定補機11を制御する。すなわち、本実施形態では、要求トルクが小さいとき(低トルクのとき)、間欠作動制御手段53により特定補機11を制御する。このように、要求トルクが小さいか否かに着目して間欠作動制御手段53により特定補機11を制御することにより、特定補機11の消費電力をより低減することができる。
また、(6)本実施形態では、ECU50は、「要求トルクが出力されるよう定常作動制御手段52により特定補機11を制御した場合の特定補機11の効率」が「要求トルクが出力されるよう間欠作動制御手段53により特定補機11を制御した場合の特定補機11の効率」より低いと判断したとき、間欠作動制御手段53により特定補機11を制御する。このように、特定補機11の効率に着目して間欠作動制御手段53により特定補機11を制御することにより、特定補機11の消費電力をさらに低減することができる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、特定補機を駆動する駆動回路に対するトルク指令値の印加期間の始期および終期を、クランク角に対応して設定する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、トルク指令値の印加期間の始期および終期は、処理開始後の経過時間に基づき設定することとしてもよい。
また、上述の実施形態では、所定要求トルク値を、トルク変動による回転変動等ドライバビリティに基づき設定する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、所定要求トルク値は、例えば特定補機の効率に基づき設定することとしてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、第1オートテンショナ20または第2オートテンショナ30のいずれか一方のみ備える構成としてもよい。また、第1オートテンショナ20および第2オートテンショナ30のいずれも備えない構成としてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、間欠作動制御手段は、無端伝動部材の回転方向において特定補機プーリに対し上流側の張力が低減する期間に特定補機がトルクを出力するよう高トルク作動制御を行うこととしてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、間欠作動制御手段は、内燃機関の気筒毎の燃焼トルクが発生している期間に特定補機がトルクを出力するよう高トルク作動制御を行うこととしてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、制御部は、要求トルクの値にかかわらず、定常作動制御手段または間欠作動制御手段を選択し、選択した制御手段により特定補機を制御することとしてもよい。よって、例えば要求トルクの値が比較的大きい内燃機関の始動時等に間欠作動制御手段により特定補機を制御することとしてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、制御部は、特定補機の効率にかかわらず、定常作動制御手段または間欠作動制御手段を選択し、選択した制御手段により特定補機を制御することとしてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、その他補機、および、補機プーリは、それぞれ、3個に限らず、いくつ設けられていてもよい。また、その他補機、および、補機プーリを設けない構成としてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、無端伝動部材として、ゴム製のベルトの代わりに、例えば金属製のチェーン等を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、ブラシレスモータを特定補機として採用する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、例えばブラシ付きモータ等、他の電動機を特定補機として採用することとしてもよい。
また、上述の実施形態では、車両の変速機を、内燃機関の駆動軸の回転の出力先、すなわち、内燃機関の駆動対象とする例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、例えば、車両以外のその他乗り物の変速機、または、回転が入力されることにより駆動するその他装置等を内燃機関の駆動対象としてもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
1 ・・・・伝動システム
2 ・・・・エンジン(内燃機関)
3 ・・・・駆動軸
4 ・・・・駆動プーリ
5 ・・・・特定補機プーリ
9 ・・・・ベルト(無端伝動部材)
11 ・・・特定補機
12 ・・・特定補機軸
50 ・・・ECU(電子制御ユニット、制御部)
51 ・・・要求トルク算出手段
52 ・・・定常作動制御手段
53 ・・・間欠作動制御手段

Claims (5)

  1. 力行作動または回生作動可能な特定補機(11)と内燃機関(2)との間で動力を伝達する伝動システム(1)であって、
    前記内燃機関の駆動軸(3)に取り付けられ、前記駆動軸とともに回転する駆動プーリ(4)と、
    前記特定補機の軸である特定補機軸(12)に取り付けられ、前記特定補機軸とともに回転する特定補機プーリ(5)と、
    前記駆動プーリおよび前記特定補機プーリに掛け回され、前記駆動プーリおよび前記特定補機プーリとともに回転する無端伝動部材(9)と、
    前記特定補機の作動を制御可能な制御部(50)と、
    前記無端伝動部材の回転方向において前記特定補機プーリに対し上流側となる前記無端伝動部材の部位のうち前記特定補機プーリと前記駆動プーリとの間に当接しながら回転可能、かつ、前記内燃機関に対し所定の相対移動可能範囲において相対移動可能な第1テンショナプーリ(21)を有し、前記第1テンショナプーリが前記内燃機関に対し相対移動することで前記無端伝動部材の張力を調整可能な第1オートテンショナ(20)と、を備え、
    前記制御部は、
    前記特定補機から出力されるべきトルクである要求トルクを算出する要求トルク算出手段(51)、
    前記特定補機を力行作動させることにより前記特定補機から出力されるトルクである定常作動トルクが前記要求トルクとなるよう前記特定補機を制御する定常作動制御手段(52)、および、
    「前記特定補機を力行作動させ、前記要求トルクより大きなトルクが出力されるよう前記特定補機を制御する高トルク作動制御」と「前記特定補機が停止するよう前記特定補機を制御する停止制御」とを所定期間内で交互に繰り返し、前記所定期間において前記特定補機から出力されるトルクの平均が前記要求トルクとなるよう前記特定補機を制御する間欠作動制御手段(53)を有し、
    前記間欠作動制御手段は、
    前記無端伝動部材の回転方向において前記特定補機プーリに対し上流側となる前記無端伝動部材の部位の張力が増大する期間、または、前記内燃機関の気筒毎の燃焼トルクが発生していない期間に、前記特定補機がトルクを出力するよう前記高トルク作動制御を行い、
    前記無端伝動部材の回転方向において前記特定補機プーリに対し上流側となる前記無端伝動部材の部位の張力が低下する期間、または、前記内燃機関の気筒毎の燃焼トルクが発生している期間に、前記特定補機がトルクを出力しないよう前記停止制御を行うことを特徴とする伝動システム。
  2. 前記間欠作動制御手段は、
    前記無端伝動部材の回転方向において前記特定補機プーリに対し上流側となる前記無端伝動部材の部位の張力が増大する期間、または、前記内燃機関の気筒毎の燃焼トルクが発生していない期間に、前記特定補機がトルクを出力するよう前記高トルク作動制御を行うことで、前記相対移動可能範囲の一方の端部に前記第1テンショナプーリを位置させ、
    前記無端伝動部材の回転方向において前記特定補機プーリに対し上流側となる前記無端伝動部材の部位の張力が低下する期間、または、前記内燃機関の気筒毎の燃焼トルクが発生している期間に、前記特定補機がトルクを出力しないよう前記停止制御を行うことで、前記相対移動可能範囲の他方の端部に前記第1テンショナプーリを位置させることを特徴とする請求項1に記載の伝動システム。
  3. 前記無端伝動部材の回転方向において前記特定補機プーリに対し下流となる前記無端伝動部材の部位に当接しながら回転可能、かつ、前記内燃機関に対し相対移動可能な第2テンショナプーリ(31)を有し、前記第2テンショナプーリが前記内燃機関に対し相対移動することで前記無端伝動部材の張力を調整可能な第2オートテンショナ(30)をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の伝動システム。
  4. 前記制御部は、前記要求トルクが「所定のトルク値である所定要求トルク値」以上の場合、前記定常作動制御手段により前記特定補機を制御し、前記要求トルクが前記所定要求トルク値より小さい場合、前記間欠作動制御手段により前記特定補機を制御することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の伝動システム。
  5. 前記制御部は、「前記要求トルクが出力されるよう前記定常作動制御手段により前記特定補機を制御した場合の前記特定補機の効率」が「前記要求トルクが出力されるよう前記間欠作動制御手段により前記特定補機を制御した場合の前記特定補機の効率」より低いと判断したとき、前記間欠作動制御手段により前記特定補機を制御することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の伝動システム。
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