JP6271666B2 - ポリウレタン弾性繊維 - Google Patents
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Description
Ca(CO3)・Mg(CO3) (1)
で表されるドロマイトを1重量%〜20重量%含有し、かつ、繊維を糸長方向へ30cm分観察した際に該繊維中に観察される、該ドロマイトの塊の長軸の長さが11μm以上であるところの塊状物の数が10個以下であることを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
[2]前記繊維を糸長方向へ1mサンプリングし、任意に選択した20箇所に観察される前記ドロマイトの粒子の長軸の長さの平均値であるところの糸中粒子径が0.2μm〜6.0μmである、前記[1]に記載のポリウレタン弾性繊維。
[3]前記ポリウレタン弾性繊維を構成するポリウレタン重合体に対して、片ヒンダードフェノール化合物を0.1重量%〜5重量%さらに含有する、前記[1]又は[2]に記載のポリウレタン弾性繊維。
[4]下記式(1):
Ca(CO3)・Mg(CO3) (1)
で表される予め600℃以下の温度で乾燥処理した原料ドロマイトをポリウレタン重合体に対して1重量%〜20重量%含有させたポリウレタン重合体組成物を、乾式紡糸する工程を含む、前記[1]又は[2]に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
[5]前記原料ドロマイトの平均粒子径が0.01μm〜6.0μmである、前記[4]に記載の方法。
[6]前記原料ドロマイトの熱重量変化率が、常温から600℃まで昇温したときに10%以下である、前記[4]又は[5]に記載の方法。
本発明のポリウレタン弾性繊維は、下記式(1)で示されるドロマイトをポリウレタン重合体に対して1重量%〜20重量%含有するポリウレタン弾性繊維である。
Ca(CO3)・Mg(CO3) (1)
本発明においては、耐塩素性をさらに発揮するために、片ヒンダードフェノール化合物を併用することが好ましい。「片ヒンダードフェノール化合物」とは、ヒドロキシル基に隣接した1つの環の位置のみにアルキル基を有する、ヒドロキシフェニル化合物を意味する。
また片ヒンダードフェノール化合物の添加量は、ポリウレタン重合体100重量%に対して0.1重量%〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5重量%〜3重量%、特に好ましくは1重量%〜2重量%である。
(1)各種塩素劣化防止剤の平均粒子径
ヘキサメタリン酸ナトリウムの0.2重量%水溶液に塩素劣化防止剤を添加し、塩素劣化防止剤の濃度が0.5重量%である塩素劣化防止剤の懸濁水溶液を準備し、卓上小型振とう機で30秒以上攪拌した。HORIBA製LA−950V2装置にヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液の0.2重量%水溶液を200ml投入し、装置内の水溶液の循環と攪拌をしながら上記塩素劣化防止剤の懸濁水溶液を滴下し、超音波処理を行いながら塩素劣化防止剤の平均粒子径の測定を行った。このとき得られたメジアン径(d50)を平均粒子径とした。
アルミニウム製のサンプルパンに約10mgの試料を入れて秤量し、正確な重量を記録しておき、このサンプルパンをエスアイアイ・ナノテクノロジー社製TG/DTA−6200装置にセッティングし、N2流量250ml/min、昇温速度10℃/minにて常温から600℃まで昇温した際の重量変化を測定した。このときの測定前後における重量変化率を算出した。
濾材として400メッシュの金網フィルターを使用し、試験糸紡糸時における24時間の紡糸中の吐出圧の上昇率で評価した。フィルターの最高耐久圧力に対する吐出圧の割合を算出し、以下の規準で判定した。
0%以上25%未満:◎
25%以上50%未満:○
50%以上75%未満:△
75%以上100%未満:×
紡糸された繊維の断面を日本電子株式会社製電子顕微鏡JSM−6510にて観察したときに見られる粒子の長軸の長さを糸中粒子径とした。ポリウレタン弾性繊維の糸長方向に1mサンプリングし、任意に選択された20箇所の糸中粒子径を測定し、平均値を求めた。
紡糸された繊維の糸長方向30cm分をサンプリングしてガラス板の上に置き、その繊維を覆うように流動パラフィンを滴下し、その上にカバーガラスを載せた。KEYENCE社製マイクロスコープVHX−500にて観察し、得られた画像からポリウレタン弾性繊維中の塩素劣化防止剤の塊による繊維の膨らみ部または繊維中に確認される直径(長軸の長さ)11μm以上の塊の数をカウントした。
<サンプル繊維の前処理(ナイロン交編染色想定処理)>
初期サンプル長100mmで50%伸長下に190℃×1分間乾熱セットした原糸を準備する。Irgalan Black BGL200(バイエル(株)製)2%owf量および硫酸アンモニウム12gを9Lのイオン交換水に溶解し、酢酸でpH4に調整した染浴にて、上記セット後の原糸を50%伸長下30分間染色し、次いで50%伸長のまま170℃×1分間乾熱セットした。次いで、イオン交換水6Lにタンニン酸(ハイフィックスSA、大日本製薬(株)製)4.5g及び酢酸2.7gを加えた液に上記染色セット終了した原糸を50%伸長下に浸漬し、25℃から80℃まで1℃/分の昇温速度で昇温し、そのまま20分間浸漬した。
次亜塩素酸ナトリウム液をイオン交換水で希釈して有効塩素濃度3ppmとし、クエン酸と燐酸水素ナトリウムの緩衝溶液でpH7に調整した塩素水を30℃に温度調節した浴に、上記前処理の終わった原糸を50%伸長下で1サイクル6時間の間隔で浸漬し、経時的に破断強度の変化を追跡して浸漬処理前強力対比で保持率を算出した。強力保持率が50%になる時間(τ1/2)で耐塩素性を評価した。各サイクルにおける強力保持率の変化から作成された近似曲線より求められた式から、強力保持率50%における時間を読み取った。強力保持率50%の時間(τ1/2)が長いほど耐塩素性に優れている。
<サンプル繊維の前処理(ナイロン交編染色想定処理)>
初期サンプル長50mmで5本を引き揃えたものを1サンプルとし、50%伸長下に190℃×1分間乾熱セットした原糸を準備した。硫酸アンモニウム20gを10Lのイオン交換水に溶解し、酢酸でpH4.2に調整した染浴にて乾熱セット後の原糸を30分間、50%伸長下に熱処理し、次いで50%伸長のまま170℃×1分間乾熱セットした。
引張試験機オリエンテック(株)製UTM−III−100型を用いた。引張試験機に熱処理後のサンプルを掴み間隔50mmでセットし、温度20℃、湿度65wt%の条件下で、変形速度1000mm/分で300%伸張する試験を3回繰り返して行った。熱処理前のサンプルも同様に引張試験機で3回繰り返し試験を行い、熱処理前後による3回目の帰りの200%応力の比を熱処理後における応力保持率とし、下記式(2)により算出した。
応力保持率=(熱処理後の200%応力/熱処理前の200%応力)×100 (2)
200%応力:300%伸張を繰り返し、3回目の帰りの200%応力
1口丸編機を使用し、ポリウレタン弾性繊維を供給してポリウレタンのみの丸編生地を30cm作製し、その丸編生地を大きさ400mm×700mm×2mmの黒い板にはめて編地の緯筋状態を確認した。緯筋が入っていなければ◎、緯筋が2本以下であれば○、緯筋が5本以下であれば△、緯筋が6本以上あれば×とした。この評価における判定は、緯筋が2本以下である◎か○を合格とした。
数平均分子量(Mn)1800のポリテトラメチレングリコール(以下、PTMGと表す)400gと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと表す)91.7gとを乾燥窒素雰囲気下、80℃で3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーを得た。これを室温に冷却した後、ジメチルアセトアミド720gを加え溶解してポリウレタンプレポリマー溶液を調整した。別途、エチレンジアミン5.41gおよびジエチルアミン0.80gをジメチルアセトアミド390gに溶解した溶液を調製し、この溶液を上記プレポリマー溶液に室温下で添加して、粘度4500ポイズ(30℃)のポリウレタン溶液を得た。得られたポリウレタン溶液に、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(サイテック社製 商品名CYANOX1790)および2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾールをポリウレタン固形分に対してそれぞれ1.5重量%および0.5重量%になるように添加した。さらに、予め300℃で1時間乾燥処理を行って室温まで冷却した、熱重量変化率が2.8%、平均粒子径が1.6μmの天然ドロマイト(吉澤石灰工業株式会社製)をジメチルアセトアミド中にホモミキサーで分散せしめ、ドロマイト濃度が13重量%になるようにした混合溶液を、ドロマイトの重量がポリウレタン固形分に対して4重量%になるように加え、紡糸用原液を得た。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に示す。
このようにして得られた紡糸用原液を、紡糸速度600m/分、紡口直下の熱風温度200℃で乾式紡糸して44デシテックス/4フィラメント(単糸繊度11デシテックス)のポリウレタン弾性繊維を得た。このポリウレタン弾性繊維を用いて各種評価した結果を表2に示す。
ドロマイトの重量がポリウレタン固形分に対して8重量%になるように加えたことを除いて、実施例1と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に、得られたポリウレタン弾性繊維の各種評価結果を表2に示した。
ドロマイトの重量がポリウレタン固形分に対して12重量%になるように加えたことを除いて、実施例1と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に、得られたポリウレタン弾性繊維の各種評価結果を表2に示した。
ポリウレタン溶液に、片ヒンダードフェノール化合物としてエチレン−1,2−ビス(3,3−ビス[3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]ブチレート(Clariant Corporation社製Hostanox03)をポリウレタン固形分に対して1.2重量%さらに添加したことを除いて、実施例1と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に、得られたポリウレタン弾性繊維の各種評価結果を表2に示した。
乾燥処理を行なわず、熱重量変化率が4.5%、平均粒子径が6.8μmのドロマイトを用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に、得られたポリウレタン弾性繊維の各種評価結果を表2に示した。
ドロマイトを添加しないことを除いて、実施例1と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に、得られたポリウレタン弾性繊維の各種評価結果を表2に示した。
塩素劣化防止剤として、熱重量変化率が43.1%、平均粒子径が0.5μmのハイドロタルサイト化合物Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2Oを用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に、得られたポリウレタン弾性繊維の各種評価結果を表2に示した。
塩素劣化防止剤として、熱重量変化率が43.1%、平均粒子径が0.5μmのハイドロタルサイト化合物Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2Oを用いたことを除いて、実施例2と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に示す。紡糸試験を試みたが、紡糸工程中のフィルター吐出圧が急上昇し、糸切れが多発し、サンプルが得られなかったため、ポリウレタン弾性繊維の評価は実施できなかった。
塩素劣化防止剤として、熱重量変化率が39.1%、平均粒子径が1.4μmのフンタイトMg3Ca(CO3)4およびハイドロマグネサイトMg4(CO3)4・Mg(OH)2・4H2Oの50/50混合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に、得られたポリウレタン弾性繊維の各種評価結果を表2に示した。
Claims (6)
- 下記式(1):
Ca(CO3)・Mg(CO3) (1)
で表されるドロマイトを1重量%〜20重量%含有し、かつ、繊維を糸長方向へ30cm分観察した際に該繊維中に観察される、該ドロマイトの塊の長軸の長さが11μm以上であるところの塊状物の数が10個以下であることを特徴とするポリウレタン弾性繊維。 - 前記繊維を糸長方向へ1mサンプリングし、任意に選択した20箇所に観察される前記ドロマイトの粒子の長軸の長さの平均値であるところの糸中粒子径が0.2μm〜6.0μmである、請求項1に記載のポリウレタン弾性繊維。
- 前記ポリウレタン弾性繊維を構成するポリウレタン重合体に対して、片ヒンダードフェノール化合物を0.1重量%〜5重量%さらに含有する、請求項1又は2に記載のポリウレタン弾性繊維。
- 下記式(1):
Ca(CO3)・Mg(CO3) (1)
で表される予め600℃以下の温度で乾燥処理した原料ドロマイトをポリウレタン重合体に対して1重量%〜20重量%含有させたポリウレタン重合体組成物を、乾式紡糸する工程を含む、請求項1又は2に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。 - 前記原料ドロマイトの平均粒子径が0.01μm〜6.0μmである、請求項4に記載の方法。
- 前記原料ドロマイトの熱重量変化率が、常温から600℃まで昇温したときに10%以下である、請求項4又は5に記載の方法。
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