JP2013209772A - ポリウレタン弾性繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期にわたって安定に紡糸することができ、また原糸の熱処理後の応力保持率が高く、耐塩素性および編品位に優れたポリウレタン弾性繊維の提供。
【解決手段】下記式(1)で表されるドロマイトをポリウレタン重合体に対して1重量%〜20重量%含有することを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
Ca(CO3)・Mg(CO3) (1)
【選択図】なし

Description

本発明は耐塩素脆化性能に優れたポリウレタン弾性繊維に関する。
従来、有機ジイソシアネートと高分子量ジオールで調整されたイソシアナート末端のプレポリマーにジアミンまたはジオールで鎖長伸長させて得られるポリウレタン弾性繊維は公知であり、これは高度のゴム弾性を有し、引張応力、回復性等の機械的性質に優れ、さらに熱的挙動についても優れた性質を有するため、ファンデーション、ソックス、スポーツウェア等の衣料用機能素材として大いに注目されている。しかしながら、塩素系漂白剤を含む洗剤や水泳プール中で活性塩素濃度0.5〜3ppmを含む塩素水中に暴露されるなど、塩素水環境下に繰り返しさらされると、ポリウレタン弾性繊維は塩素により劣化して物理的性能が著しく低下したり、断糸をきたすことが知られている。ポリウレタン弾性繊維の塩素耐久性の改善に関しては、従来より各種塩素劣化防止剤の添加が提案されている。例えば、ハイドロタルサイト類化合物などの無機金属化合物をポリウレタン弾性繊維に添加し、塩素耐久性を改善する方法が提案されている。
下記特許文献1には、結晶水を有し、カーボン数が10〜30の脂肪酸が付着されたハイドロタルサイトを、ポリウレタンに対して、0.1〜10重量%添加する方法が記載されている。また、下記特許文献2には、表面に燐酸エステルが付着しているハイドロタルサイト類を0.5〜10重量%添加する方法が開示されている。しかしながら、これら開示されている塩素劣化防止剤は、ポリウレタンの紡糸時の溶媒であるジメチルアセトアミド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシドといった極性溶媒中では極めて凝集しやすく、紡糸工程中でのフィルターの目詰まりによって吐出圧が上昇し、長期にわたって安定した紡糸をすることが困難であった。さらに原液中のハイドロタルサイトの濃度を高くすると凝集性は促進され、短期的にも紡糸することが困難であった。また下記特許文献3には、ドロマイトを添加する方法が開示されているが、ドロマイトはポリウレタン弾性繊維の紡糸溶媒中での凝集性が高く、紡糸工程中でフィルターの目詰まりが頻繁に発生することがあり、二次凝集の問題を有することが改善できていない。
特開平5−78569号公報 特開2000−290836号公報 特開2003−113303号公報
本発明は、長期にわたって安定に紡糸することができ、また原糸の熱処理後の応力保持率が高く、耐塩素性および編品位に優れたポリウレタン弾性繊維の提供を目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定のドロマイトを含有したポリウレタン弾性繊維は優れた耐塩素性および編品位を有し、かつ、原糸の熱処理後における応力保持率が高く、また、ドロマイトをポリウレタン原液に対してポリウレタン重合体を基準として1重量%〜20重量%と幅広く添加させても、極性溶媒中の粒子の二次凝集によるフィルター目詰まりが極めて少ないため、長期にわたって安定に紡糸ができることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)下記式(1)で表されるドロマイトをポリウレタン重合体に対して1重量%〜20重量%含有することを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
Ca(CO3)・Mg(CO3) (1)
(2)ドロマイトの糸中粒子径が0.2μm〜6.0μmであることを特徴とする上記(1)に記載のポリウレタン弾性繊維。
(3)原料ドロマイトの平均粒子径が0.01μm〜6.0μmであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のポリウレタン弾性繊維。
(4)ドロマイトの熱重量変化率が常温から600℃まで昇温したときに10%以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
(5)片ヒンダードフェノール化合物をポリウレタン重合体に対して0.1重量%〜5重量%含有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
(6)乾式紡糸により得られる上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
本発明のポリウレタン弾性繊維は、原糸の熱処理後における応力保持率が高く、耐塩素性および編品位に優れる。また、本発明で用いるドロマイトは、ポリウレタン原液に対してポリウレタン重合体基準で1重量%〜20重量%と幅広く添加しても、極性溶媒中における粒子の二次凝集性が極めて低く、長期紡糸安定性に優れる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明のポリウレタン弾性繊維は、下記式(1)で示されるドロマイトをポリウレタン重合体に対して1重量%〜20重量%含有するポリウレタン弾性繊維である。
Ca(CO3)・Mg(CO3) (1)
本発明で用いる上記ドロマイトは結晶水を持たないことが特徴である。そのため、乾燥等の前処理をしなくてもよい。しかし、極性溶媒中における二次凝集性を抑制する効果を効果的に発揮させるためには、予めドロマイトを乾燥することが好ましい。乾燥温度は特に限定されないが、600℃以下で処理することが好ましい。処理温度が600℃を超えると、上記ドロマイトは脱炭酸し、耐塩素性は著しく低下する。また、常温から600℃まで昇温した時の熱重量変化率は10%以下であることが好ましい。この値が10%を超えるようなドロマイトであれば、結晶水を含有しているか、または加熱によって脱炭酸化等の反応が起こりやすい安定性に劣るドロマイトであるので好ましくない。より好ましくは5%以下であり、4%以下が特に好ましい。下限は特に限定されず、前処理によって完全に乾燥された熱重量変化率0%のドロマイトを用いてもよいが、極少量の水分が吸着された熱重量変化率0.1%以上のドロマイトを用いてもよい。また、上記ドロマイトは天然物と合成物が存在するが、本発明ではどちらでも使用できる。
本発明において、上記ドロマイトは、ポリウレタン弾性繊維の紡糸工程前の紡糸用原液中に添加することが望ましい。また、ドロマイトの添加量はポリウレタン重合体100重量%に対して1重量%〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは3重量%〜15重量%、特に好ましくは5重量%〜10重量%である。ドロマイトの添加量が20重量%を超えると生産時の紡糸安定性には影響は少ないが、繊維の物理的性質に悪影響を及ぼすため好ましくない。また、1重量%未満では十分な塩素劣化防止効果が期待できない。
本発明において用いる原料ドロマイトは、後述する方法で測定した平均粒子径が0.01μm〜6.0μmの範囲にある微細な粉末であることが好ましく、さらに好ましくは0.5μm〜5.0μm、特に好ましくは1.0μm〜3.0μmである。原料ドロマイトの平均粒子径が6.0μmを超えると、生産時の紡糸安定性に悪影響を及ぼすので好ましくない。逆に、0.01μm未満では、粒子同士の凝集が促進されるので好ましくない。また、原料ドロマイト粒子は、表面処理がされていてもされてなくてもよい。表面処理剤を施す場合は、表面処理剤として、脂肪酸、脂肪酸エステル、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、またはこれらの混合物などであるが、特に限定されない。
従来の紡糸用原液中に添加された塩素劣化防止剤に用いられるハイドロタルサイト等の無機金属化合物は、極性溶媒中の分散状態等により粒子同士が凝集し巨大化することがある。巨大化した粒子は紡糸工程中のフィルターで除去されるが、紡口の吐出圧上昇の原因となる。またフィルターを通過した塩素劣化防止剤の中でも凝集された粒子はその形状のまま繊維中に存在し、塊状物となる。塊状物はポリウレタン弾性繊維をマイクロスコープで観察することにより、繊維の膨らみ部または繊維中塊状物として確認できる。本発明では、粒径(長軸の長さ)が11μm以上のものを塊状物という。塊状物が多数存在すると、紡糸中や加工・整経時における糸切れの原因となるので好ましくない。本発明では塩素劣化防止剤として特定のドロマイトを用いることにより、糸中の塊状物を減少させることができ、ポリウレタン弾性繊維を糸長方向へ30cm分観察した際の塊状物の数を好ましくは0〜10個、さらに好ましくは0〜5個の範囲に減少させることができる。
本発明のポリウレタン弾性繊維中に存在するドロマイトは、後述する方法で測定した平均粒子径(本発明においては糸中粒子径と言う)が0.2μm〜6.0μmの範囲の微細な粉末であることが好ましく、糸中粒子径は0.3μm〜5.5μmの範囲がさらに好ましく、0.5μm〜5.0μmの範囲が特に好ましい。6.0μm以下であれば、糸切れが抑制されるので好ましい。また、後述の方法では、0.2μm以下の粒子径においては粒子が微細すぎるため測定は困難であり、0.2μmが測定限界である。
本発明のポリウレタン弾性繊維を構成するポリウレタン重合体としては、公知のものが何ら制限なく使用できる。例えば、本発明に用いられるポリウレタン重合体は、両末端にヒドロキシル基を有し、分子量が600〜4000の実質的に線状の重合体、例えばホモまたは共重合体からなるポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルアミドジオール、ポリ炭酸エステルジオール、ポリアクリルジオール、ポリチオエステルジオール、ポリチオエーテルジオール、ポリ炭化水素ジオールまたはこれらの混合物またはこれらの共重合体と、有機ジイソシアネートと、多官能性活性水素原子を有する鎖延長剤、例えばポリオール、ポリアミン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ポリヒドラジド、ポリセミカルバジド、水、またはこれらの混合物等とを主成分とするものである。
ポリウレタン化反応の操作に関しては、ウレタンプレポリマー合成時やこのウレタンプレポリマーとポリオール等との反応時に、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジメチルアセトアミド等の溶媒を用いてもよい。
ポリウレタン重合体組成物には、ポリウレタン弾性繊維に用いられる公知の有機または無機の化合物、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、黄変防止剤、熱変色防止剤、粘着防止剤、顔料、帯電防止剤、防黴剤、着色剤、充填剤等を単独、または必要に応じて任意に組み合わせて添加してもよい。
本発明においては、耐塩素性をさらに発揮するために、片ヒンダードフェノール化合物を併用することが好ましい。「片ヒンダードフェノール化合物」とは、ヒドロキシル基に隣接した1つの環の位置のみにアルキル基を有する、ヒドロキシフェニル化合物を意味する。
片ヒンダードフェノール化合物としては、例えばエチレン−1,2−ビス(3,3−ビス[3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]ブチレート、1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン等が挙げられる。
また片ヒンダードフェノール化合物の添加量は、ポリウレタン重合体100重量%に対して0.1重量%〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5重量%〜3重量%、特に好ましくは1重量%〜2重量%である。
前記のような添加剤をポリウレタン紡糸原液中へ添加する方法は特に限定されず、公知の方法を取ることができる。複数の添加剤を添加する場合は単独で添加してもよいし、予め数種の添加剤が混合されたものを添加してもよい。このようにして得られたポリウレタン紡糸原液は、公知の紡糸方法にて繊維状に成形し、ポリウレタン弾性繊維を製造することができる。公知の紡糸方法の中でも、本発明のポリウレタン弾性繊維の紡糸方法として乾式紡糸が好ましい。乾式紡糸で得られたポリウレタン弾性繊維は原糸物性が優れ、また無機物が添加されたポリウレタン弾性繊維を高品位で紡糸するためには乾式紡糸が好ましい。
紡糸したポリウレタン弾性繊維に油剤として、ポリエステル変性シリコン、ポリエーテル変性シリコン、ポリオルガノシロキサン、アミノ変性シリコン、鉱物油、タルク、シリカ、コロイダルアルミナ等の鉱物性微粒子、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩粉末、高級脂肪族カルボン酸、高級脂肪族アルコール、パラフィン、ポリエチレン等の常温で固体のワックスなどを単独または必要に応じて任意に組み合わせて付与してもよい。
本発明におけるドロマイトが含有されたポリウレタン弾性繊維は、ドロマイトが極性溶媒中での凝集性が低いため紡糸工程中におけるフィルターの目詰まりが発生しにくいので、長期紡糸安定性に優れる。長期紡糸安定性は後述するように紡口吐出圧の上昇率で評価することができる。
本発明のポリウレタン弾性繊維は、そのまま裸糸として使用してもよく、他の繊維、例えばポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ウール、アクリル繊維、綿、再生繊維等、従来公知の繊維で被覆して被覆弾性繊維として使用することもできる。本発明のポリウレタン弾性繊維の用途としては、特に水泳プールで使用される競泳用水着に好適であるが、これに限定されることなく、一般の水着、タイツ、パンティストッキング、ファンデーション、靴下、口ゴム、コルセット、包帯、各種スポーツ衣料等にも用いることができる。
以下に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例に記載されている評価項目の測定法は以下の通りである。
(1)各種塩素劣化防止剤の平均粒子径
ヘキサメタリン酸ナトリウムの0.2重量%水溶液に塩素劣化防止剤を添加し、塩素劣化防止剤の濃度が0.5重量%である塩素劣化防止剤の懸濁水溶液を準備し、卓上小型振とう機で30秒以上攪拌した。HORIBA製LA−950V2装置にヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液の0.2重量%水溶液を200ml投入し、装置内の水溶液の循環と攪拌をしながら上記塩素劣化防止剤の懸濁水溶液を滴下し、超音波処理を行いながら塩素劣化防止剤の平均粒子径の測定を行った。このとき得られたメジアン径(d50)を平均粒子径とした。
(2)各種塩素劣化防止剤の熱重量変化率
アルミニウム製のサンプルパンに約10mgの試料を入れて秤量し、正確な重量を記録しておき、このサンプルパンをエスアイアイ・ナノテクノロジー社製TG/DTA−6200装置にセッティングし、N2流量250ml/min、昇温速度10℃/minにて常温から600℃まで昇温した際の重量変化を測定した。このときの測定前後における重量変化率を算出した。
(3)長期紡糸安定性
濾材として400メッシュの金網フィルターを使用し、試験糸紡糸時における24時間の紡糸中の吐出圧の上昇率で評価した。フィルターの最高耐久圧力に対する吐出圧の割合を算出し、以下の規準で判定した。
0%以上25%未満:◎
25%以上50%未満:○
50%以上75%未満:△
75%以上100%未満:×
(4)各種塩素劣化防止剤の糸中粒子径
紡糸された繊維の断面を日本電子株式会社製電子顕微鏡JSM−6510にて観察したときに見られる粒子の長軸の長さを糸中粒子径とした。ポリウレタン弾性繊維の糸長方向に1mサンプリングし、任意に選択された20箇所の糸中粒子径を測定し、平均値を求めた。
(5)繊維中に存在する塩素劣化防止剤塊状物の数
紡糸された繊維の糸長方向30cm分をサンプリングしてガラス板の上に置き、その繊維を覆うように流動パラフィンを滴下し、その上にカバーガラスを載せた。KEYENCE社製マイクロスコープVHX−500にて観察し、得られた画像からポリウレタン弾性繊維中の塩素劣化防止剤の塊による繊維の膨らみ部または繊維中に確認される直径(長軸の長さ)11μm以上の塊の数をカウントした。
(6)耐塩素性
<サンプル繊維の前処理(ナイロン交編染色想定処理)>
初期サンプル長100mmで50%伸長下に190℃×1分間乾熱セットした原糸を準備する。Irgalan Black BGL200(バイエル(株)製)2%owf量および硫酸アンモニウム12gを9Lのイオン交換水に溶解し、酢酸でpH4に調整した染浴にて、上記セット後の原糸を50%伸長下30分間染色し、次いで50%伸長のまま170℃×1分間乾熱セットした。次いで、イオン交換水6Lにタンニン酸(ハイフィックスSA、大日本製薬(株)製)4.5g及び酢酸2.7gを加えた液に上記染色セット終了した原糸を50%伸長下に浸漬し、25℃から80℃まで1℃/分の昇温速度で昇温し、そのまま20分間浸漬した。
<耐塩素性の測定(水泳プールを想定した耐塩素性評価)>
次亜塩素酸ナトリウム液をイオン交換水で希釈して有効塩素濃度3ppmとし、クエン酸と燐酸水素ナトリウムの緩衝溶液でpH7に調整した塩素水を30℃に温度調節した浴に、上記前処理の終わった原糸を50%伸長下で1サイクル6時間の間隔で浸漬し、経時的に破断強度の変化を追跡して浸漬処理前強力対比で保持率を算出した。強力保持率が50%になる時間(τ1/2)で耐塩素性を評価した。各サイクルにおける強力保持率の変化から作成された近似曲線より求められた式から、強力保持率50%における時間を読み取った。強力保持率50%の時間(τ1/2)が長いほど耐塩素性に優れている。
(7)熱処理後における応力保持率
<サンプル繊維の前処理(ナイロン交編染色想定処理)>
初期サンプル長50mmで5本を引き揃えたものを1サンプルとし、50%伸長下に190℃×1分間乾熱セットした原糸を準備した。硫酸アンモニウム20gを10Lのイオン交換水に溶解し、酢酸でpH4.2に調整した染浴にて乾熱セット後の原糸を30分間、50%伸長下に熱処理し、次いで50%伸長のまま170℃×1分間乾熱セットした。
<応力保持率の測定(300%R/Sの測定方法)>
引張試験機オリエンテック(株)製UTM−III−100型を用いた。引張試験機に熱処理後のサンプルを掴み間隔50mmでセットし、温度20℃、湿度65wt%の条件下で、変形速度1000mm/分で300%伸張する試験を3回繰り返して行った。熱処理前のサンプルも同様に引張試験機で3回繰り返し試験を行い、熱処理前後による3回目の帰りの200%応力の比を熱処理後における応力保持率とし、下記式(2)により算出した。
応力保持率=(熱処理後の200%応力/熱処理前の200%応力)×100 (2)
200%応力:300%伸張を繰り返し、3回目の帰りの200%応力
(8)原糸の編品位
1口丸編機を使用し、ポリウレタン弾性繊維を供給してポリウレタンのみの丸編生地を30cm作製し、その丸編生地を大きさ400mm×700mm×2mmの黒い板にはめて編地の緯筋状態を確認した。緯筋が入っていなければ◎、緯筋が2本以下であれば○、緯筋が5本以下であれば△、緯筋が6本以上あれば×とした。この評価における判定は、緯筋が2本以下である◎か○を合格とした。
[実施例1]
数平均分子量(Mn)1800のポリテトラメチレングリコール(以下、PTMGと表す)400gと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと表す)91.7gとを乾燥窒素雰囲気下、80℃で3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーを得た。これを室温に冷却した後、ジメチルアセトアミド720gを加え溶解してポリウレタンプレポリマー溶液を調整した。別途、エチレンジアミン5.41gおよびジエチルアミン0.80gをジメチルアセトアミド390gに溶解した溶液を調製し、この溶液を上記プレポリマー溶液に室温下で添加して、粘度4500ポイズ(30℃)のポリウレタン溶液を得た。得られたポリウレタン溶液に、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(サイテック社製 商品名CYANOX1790)および2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾールをポリウレタン固形分に対してそれぞれ1.5重量%および0.5重量%になるように添加した。さらに、予め300℃で1時間乾燥処理を行って室温まで冷却した、熱重量変化率が2.8%、平均粒子径が1.6μmの天然ドロマイト(吉澤石灰工業株式会社製)をジメチルアセトアミド中にホモミキサーで分散せしめ、ドロマイト濃度が13重量%になるようにした混合溶液を、ドロマイトの重量がポリウレタン固形分に対して4重量%になるように加え、紡糸用原液を得た。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に示す。
このようにして得られた紡糸用原液を、紡糸速度600m/分、紡口直下の熱風温度200℃で乾式紡糸して44デシテックス/4フィラメント(単糸繊度11デシテックス)のポリウレタン弾性繊維を得た。このポリウレタン弾性繊維を用いて各種評価した結果を表2に示す。
[実施例2]
ドロマイトの重量がポリウレタン固形分に対して8重量%になるように加えたことを除いて、実施例1と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に、得られたポリウレタン弾性繊維の各種評価結果を表2に示した。
[実施例3]
ドロマイトの重量がポリウレタン固形分に対して12重量%になるように加えたことを除いて、実施例1と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に、得られたポリウレタン弾性繊維の各種評価結果を表2に示した。
[実施例4]
ポリウレタン溶液に、片ヒンダードフェノール化合物としてエチレン−1,2−ビス(3,3−ビス[3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]ブチレート(Clariant Corporation社製Hostanox03)をポリウレタン固形分に対して1.2重量%さらに添加したことを除いて、実施例1と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に、得られたポリウレタン弾性繊維の各種評価結果を表2に示した。
[実施例5]
乾燥処理を行なわず、熱重量変化率が4.5%、平均粒子径が6.8μmのドロマイトを用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に、得られたポリウレタン弾性繊維の各種評価結果を表2に示した。
[比較例1]
ドロマイトを添加しないことを除いて、実施例1と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に、得られたポリウレタン弾性繊維の各種評価結果を表2に示した。
[比較例2]
塩素劣化防止剤として、熱重量変化率が43.1%、平均粒子径が0.5μmのハイドロタルサイト化合物Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2Oを用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に、得られたポリウレタン弾性繊維の各種評価結果を表2に示した。
[比較例3]
塩素劣化防止剤として、熱重量変化率が43.1%、平均粒子径が0.5μmのハイドロタルサイト化合物Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2Oを用いたことを除いて、実施例2と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に示す。紡糸試験を試みたが、紡糸工程中のフィルター吐出圧が急上昇し、糸切れが多発し、サンプルが得られなかったため、ポリウレタン弾性繊維の評価は実施できなかった。
[比較例4]
塩素劣化防止剤として、熱重量変化率が39.1%、平均粒子径が1.4μmのフンタイトMg3Ca(CO34およびハイドロマグネサイトMg4(CO34・Mg(OH)2・4H2Oの50/50混合物を用いたことを除いて、実施例1と同様に実施した。使用した塩素劣化防止剤の特性および添加量を表1に、得られたポリウレタン弾性繊維の各種評価結果を表2に示した。
Figure 2013209772
Figure 2013209772
本発明は、耐塩素性に優れたポリウレタン弾性繊維の分野で好適に利用できる。

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表されるドロマイトをポリウレタン重合体に対して1重量%〜20重量%含有することを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
    Ca(CO3)・Mg(CO3) (1)
  2. ドロマイトの糸中粒子径が0.2μm〜6.0μmであることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン弾性繊維。
  3. 原料ドロマイトの平均粒子径が0.01μm〜6.0μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリウレタン弾性繊維。
  4. ドロマイトの熱重量変化率が常温から600℃まで昇温したときに10%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
  5. 片ヒンダードフェノール化合物をポリウレタン重合体に対して0.1重量%〜5重量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
  6. 乾式紡糸により得られる請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性繊維。
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