JP6270582B2 - アキノワスレグサを含有する筋肉量増加剤及び筋萎縮改善剤 - Google Patents

アキノワスレグサを含有する筋肉量増加剤及び筋萎縮改善剤 Download PDF

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Description

本発明は、アキノワスレグサを含有する筋肉量増加剤及び筋萎縮改善剤に関する。
アキノワスレグサ(学名:Hemerocallis fulva var. sempervirens)は、沖縄本島と離島を含む海洋性亜熱帯気候に広く自生する、ユリ科ワスレグサ属植物の多年生単子葉植物である。沖縄県で「クワンソウ」という方言で呼ばれている。クワンソウの別名はトキハカンゾウである。クワンソウは、その自生分布域のみならず、民間療法的利用記録を見ても、食材としても、沖縄に古くから根付いている伝承野菜として、正に沖縄固有のものである。これまで、クワンソウの民間療法的な利用方法としては、眠れない時、マラリアで熱が出て寝付けない時、鳥目の時等、様々な言い伝えがあり、総じて葉を食し「不眠症に効く」という伝承が多数を占めていた。
例えば、アキノワスレグサ(クワンソウ)の発酵処理物を用いて睡眠改善剤及び/又はACE阻害剤とすることが知られている(特許文献1)。また、アキノワスレグサ(クワンソウ)の抽出物を用いて、肝臓障害抑制剤とすることも知られている(特許文献2)。
さて、筋肉には、大きく分けると心筋、平滑筋及び骨格筋がある。その中でも骨格筋は、動物の筋肉の一分類であり、骨格を動かす筋肉(所謂、筋肉)を指す。運動やスポーツ競技において、骨格筋は最も重要な運動器である。動物は、骨格筋を収縮又は弛緩させることにより身体活動を行う。また、骨格筋は関節の安定化や姿勢の保持、血管、臓器の保護等の役割を有している。
骨格筋量(所謂、筋肉量)は、通常、筋蛋白質の合成と分解のバランスにより一定量に保たれている。一方、加齢に伴い骨格筋量や筋力等の筋機能は低下する。加齢に伴う筋機能の低下は、転倒による怪我を引き起こしたり、身体活動量の低下を引き起こしたりする。また、筋肉量については、人の高齢者では一年間に1%程度減少するといわれる。そのため、人や動物において筋肉量を数%でも増加させることは、健康寿命を延ばすために、価値が有り、非常に重要である。
また、臨床的に、運動器官である筋肉は長時間の安静状態により筋力の低下、筋肉の萎縮等の症状を示すことが知られている。例えば、短期的な例として、病床での寝たきり状態や、骨折、靭帯損傷等の治療において、患部が動かないよう外から固定・保護し安静を保つ為に用いられるギプスにより、筋肉が長時間の安静状態になる。また、長期的な例として加齢に伴う運動量低下が原因となり、長期の低運動状態が続くことが原因による、筋肉の萎縮も挙げられる。
このような状態が短期、長期に渡って続くことによって生じる臓器の退行性の変化、臨床症状は廃用症候群(disuse syndrome)と言われている。特に、加齢に伴う筋肉量低下に関しては、さらに症状が悪化し、筋力又は身体能力が低下するサルコペニア(sarcopenia、筋肉減弱症)といわれ、近年、患者の増加に伴い、その対応策が注目されつつある。
このため、経口組成物の摂取によって、筋肉量を増加させること、並びに廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることの意義は大きい。
特開2006-62998号公報 特開2001-10968号公報
本発明は、筋肉量を増加することができる筋肉量増加剤を提供することを目的とする。
本発明は、また、筋萎縮を改善することができる筋萎縮改善剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために種々の検討を重ねていたところ、アキノワスレグサに、筋肉量を増加させる作用があることを見出した。
本発明者は、また、アキノワスレグサに、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させる作用があることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものであり、下記の実施態様が包含される。
項1. アキノワスレグサ(学名:Hemerocallis fulva var. sempervirens)を含有する筋肉量増加剤。
項2. 液剤投与形態である前記項1に記載の筋肉量増加剤。
項3. アキノワスレグサ(学名:Hemerocallis fulva var. sempervirens)を含有する筋萎縮改善剤。
項4. 液剤投与形態である前記項3に記載の筋萎縮改善剤。
本発明の筋肉量増加剤を摂取することにより、筋肉量を増加させることができる。
また、本発明の筋萎縮改善剤を摂取することにより、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができる。
(A) アキノワスレグサを含有する筋肉量増加剤
本発明の筋肉量増加剤は、アキノワスレグサを含有することを特徴とし、筋肉量を増加させることが可能である。
(A-1) アキノワスレグサ
アキノワスレグサ(学名:Hemerocallis fulva var. sempervirens)はユリ科ワスレグサ属植物である。ワスレグサ属植物の中でも、筋肉量の増加効果を奏し、また、廃用症候群により萎縮した筋肉の早期回復効果を奏することから、アキノワスレグサを用いることが好ましい。
アキノワスレグサは、沖縄県では様々な方言で呼ばれる。沖縄県での方言名は、クヮンソウ、ニーブイグサ、カンソウ、グワンソウ、ガンショウ、クワンソウ、クワンシヤー、ガンソウ、ハンソウ、フファンサ、ファンツァ、フファンツア、ニーブイカンソウ、パンソー、カンゾーバナ、ウプンサ、ビラティ等がある。これらの方言名で呼ばれるものは、全て本発明のアキノワスレグサ(和名)に包含される。
本発明においては、アキノワスレグサをそのまま用いても良く、或いはアキノワスレグサの加工物を用いても良い。アキノワスレグサの加工物としては、アキノワスレグサの粉末物、アキノワスレグサの各種溶媒で抽出された抽出物、その抽出物の乾燥物(乾燥抽出物)、更にこれを粉末にした粉末乾燥抽出物等を使用することができる。
アキノワスレグサの植物体をそのまま用いる場合、植物体の抽出する場合の部位は限定されないが、例えば、植物の全体を用いる他、花、蕾、葉(及び葉柄)、茎(及び肉質茎)、根(根及び気根)等の部位を用いることができる。原料収量と抽出効率の点から、植物の全体を用いることが好ましい。
抽出する植物体は、葉、茎、蕾、花、若しくは根を生の状態のもの(未乾燥物)、乾燥させた後適切な大きさに細砕し粉末化したもの(乾燥物)、若しくは、凍結したもの(凍結物)を用いることができる。
本発明に関する植物体の抽出物を作製する方法としては、抽出工程、分離(ろ過)工程、乾燥工程等を組み合わせる方法、上記方法に更に分画工程を組み合わせる方法等があげられるが、これらに限定されない。
アキノワスレグサの溶媒で抽出された抽出物(アキノワスレグサの加工物)を用いる場合、その製造方法(抽出方法)及び抽出条件等は特に限定されず、従来公知の方法に従えばよい。例えば、アキノワスレグサをそのまま溶媒抽出によって抽出物を得ることができる。溶媒抽出の方法としては、当該技術分野において公知の方法を採用すればよく、例えば、水抽出、熱水抽出、温水抽出、アルコール抽出、超臨界抽出等の従来公知の抽出方法を利用することができる。
抽出溶媒の種類は特に限定されないが、水、有機溶媒及びこれらを混合した混合溶媒等があげられる。
上記の水としては、冷水、常温水、温水、熱水及び水蒸気等の全ての温度における水の状態があげられ、また、殺菌処理、イオン交換処理、浸透圧調整又は緩衝化されていてもよい。
有機溶媒としては、親水性有機溶媒が好ましく、例えば、炭素数1〜5の1価アルコール(エタノール、メタノール、プロパノール及びイソプロパノール等)、炭素数2〜5の多価アルコール(グリセリン、イソプロピレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコール等)、エステル(酢酸メチル等)及びケトン(アセトン等)等を用いることができる。これらの親水性有機溶媒は、1種のみを用いても、或いは2種以上を併用してもよい。
本発明では、安全性及び有効成分の抽出効率の点から熱水を用いることが好ましい。
抽出手法としては、浸漬抽出、攪拌抽出、還流抽出、振とう抽出及び超音波抽出があげられ、抽出条件としては、室温抽出、加熱抽出(加温抽出ともいう)、加圧抽出、超臨界抽出等があげられるが、好ましくは、加温抽出である。
抽出温度は抽出溶媒の種類等により適宜決定できる。本発明の抽出を加温抽出で行う場合の具体的な抽出条件としては、30〜100℃程度で良く、沸騰状態で行っても良い。抽出時間は特に限定されないが、例えば、5分〜6時間程度で良く、より好ましくは10分〜3時間程度である。
また、pH調整してもよい。上記抽出操作は1回でもよく、抽出操作を行った後に得られる抽出残渣を再度抽出することを複数回数繰り返すことにより複数回行ってもよい。さらに、工程の前後に、必要に応じて濾過等の処理を行っても良い。
分離工程は、上記で得られた抽出物から、抽出残渣である不溶物と抽出物を分離する方法であり、例えば、遠心分離、フィルタプレス、濾過(加圧、常圧)及びクロマトグラフィー等の吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離等による方法があげられる。抽出液から分取された抽出物はそのまま用いてもよく、更に分画等により精製してもよい。
分画工程では、上記で得られた分離物から必要な成分を分画して精製及び濃縮する。分画工程に用いられる方法としては、担体として陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、シリカゲル、芳香族化合物を吸着するポリスチレン系の樹脂などを用いるクロマトグラフィー、透析、分子ふるいや減圧濃縮、凍結乾燥等の方法があげられるがこれらに限定されない。さらに、本工程後に、必要に応じて遠心分離等により上清を回収する工程を行っても良い。
尚、上記各工程の前後に、必要に応じて濾過等の処理を行ってもよい。濾過には、ガーゼや濾過フィルター、市販の濾過器等を用いることができる。また、必要に応じて、滅菌処理等を施すことができる。
得られた抽出物をそのままの状態で使用することもできるが、乾燥させて粉末状のものを用いてもよい。また、必要に応じて得られた抽出物に精製、濃縮処理等を施してもよい。精製処理としては、濾過又はイオン交換樹脂や活性炭カラム等を用いた吸着、脱色といった処理を行うことができる。また、濃縮処理としては、エバポレーター等の常法を利用できる。
得られた抽出物は、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の乾燥工程により粉末化することもできる。或いは、得られた抽出物(又は精製処理物若しくは濃縮物)を凍結乾燥処理に供して粉末化する方法、デキストリン、コーンスターチ、アラビアゴム等の賦形剤を添加してスプレードライ処理により粉末化する方法等、従来公知の方法に従って粉末化し、本発明で用いる加工物としてもよい。また、該加工物を、必要に応じて純水、エタノール等に溶解して用いても良い。
具体的には、次の方法によってアキノワスレグサの濃縮抽出物を得ることができる。
アキノワスレグサの植物体を熱水抽出し、熱水抽出物を得る。次いで、その熱水抽出物を遠心分離にかけ、ろ過及び濃縮し、pH調整を行う。次いで、その濃縮物を80℃以上で噴霧乾燥(spray-dried)し、アキノワスレグサの熱水抽出物(乾燥エキス)を得ることができる。追加的に、最終段階で、アキノワスレグサの熱水抽出物を低温殺菌処理しても良い。
簡便には、本発明で用いられるアキノワスレグサの溶媒で抽出された抽出物として、商業的に入手可能なものを用いてもよい。例えば、ソムノクエスト株式会社から入手可能なクワンソウエキス(商品名:Hypnocallis/ヒプノカリス(R))を使用することができる。
また、ドリンク、ゼリー、グミ、各種健康食品等の用途において、アキノワスレグサの葉から抽出されたエキスとして、アキノワスレグサ濃縮エキスが入手可能である。また、アキノワスレグサ葉抽出エキスをスプレードライ粉末加工したアキノワスレグサ抽出エキス濃縮粉末が入手可能である。アキノワスレグサ抽出エキス濃縮粉末は、前記アキノワスレグサ濃縮エキスと比較して、内容成分が2.7倍程度の濃い濃度で含まれる。また、アキノワスレグサ乾燥葉を滅菌粉末化したアキノワスレグサ乾燥葉粉末が入手可能である。また、お茶等の用途において、アキノワスレグサの葉を裁断し、乾燥したものとして、アキノワスレグサ乾燥葉が入手可能である。
(A-2) 筋肉量増加剤
近年、食品の概念が拡大し、特定の用途、例えば特定の生理学的機能を付与する用途に摂取される医薬品様のものが多く存在することから、「剤」と表現した場合でも、健康食品等をも意味することが社会通念である。そのため、本発明の筋肉量増加剤は、「筋肉量増加剤」用途に用いられる医薬品のみを意味するものではない。本発明の筋肉量増加剤は、筋肉量を増加させることができる機能を有し、健康維持等を目的として摂食される医薬品類似の組成物(健康食品等)、健康維持等を目的として摂食される医薬品類似の組成物をも意味する。
本発明の「筋肉量増加剤」は、医薬品用途に用いられる組成物に限定されるものではなく、筋肉量を増加させることができる下記健康食品等をも意味する。
・健康食品(保健機能食品)
特定保健用食品:特保(とくほ)。体の生理学的機能等に影響を与える保健機能成分を含み、特定の効能が認められ、その効能を表示することを消費者庁から許可された食品。商品には、特定の効能が期待できる旨の文言と、「消費者庁許可特定保健用食品」等の証票が表示される。
栄養機能食品:高齢化や食生活の乱れ等で不足しがちな栄養成分の補給・補完のために利用する食品。販売するためには、厚生労働省の定めた基準を満たし、且つ、決められた栄養成分の栄養機能表示と注意喚起表示が必要となる。
・サプリメント:栄養補助食品、健康補助食品。不足し易い栄養素を補うための食品であり、栄養素を凝縮し、錠剤や飲料の形にしたもの。
・特別用途食品:厚生労働省が認可した病者用食品、妊産婦・授乳用粉乳、高齢者用食品等。特別用途食品マークが付けられている。特定保健用食品も特別用途食品の分類に入る。
・機能性食品:体調を整える効果をもつとされる加工食品。栄養や味ではなく、生体調節機能を人工的に強化している。保健機能食品とは違い、効能を示すことはできない。
本発明の筋肉量増加剤は、筋肉量を増加させる作用を有することから、健康食品等として好適に提供することができる。
本発明の筋肉量増加剤は、また、アキノワスレグサを含み、従来知られていなかった筋肉量の増加効果を奏し、筋肉量増加剤として機能する。本発明の筋肉量増加剤は、従来技術の用途とは全く異なる筋肉量増加用途に用いられるものである。
(A-3) アキノワスレグサそのもの又はその加工物の投与(摂取)量
(mg/kg体重/日)
アキノワスレグサそのもの又はその加工物の投与量及び摂取量は、後記のラットを用いた実験例結果と一日摂取許容量(Acceptable Daily Intake、ADI)とから、定めた数値範囲である。
一日摂取許容量とは、食品に用いられた特定の物質を一生涯にわたり摂取し続けても、ヒトになんら影響を及ぼさないと考えられている一日あたりの摂取量であり、通常体重1kgあたりで示した値(単位:mg/kg体重/日)で示す(医学書院、医学大辞典、2003年3月1日発行)。具体的な算出方法は、先ず、実験動物になんら影響を及ぼさない最大の量(最大無毒性量、NOAEL: No Observed Adverse Effect Level、NOAEL)を求める。ついで、これに安全係数を乗じ、更にヒトの体重を考慮して、一日摂取許容量を算出する。安全係数としては、一般にラット等(げっ歯類)の実験動物とヒトとの種の違いを考慮して1/100が用いられる。言い換えると、実験動物により得られた最大無毒性量の1/100量から多い量が、ヒトに対して影響を及ぼす量(一日摂取許容量)とされる。
ADI=NOAEL×1/100
そして、この一日摂取許容量の概念を基に、その有効成分のヒトに対する投与量・摂取量について、効果を表す有効成分の最小の投与量(最小有効量)を決定することが可能である。
後記のラットを用いた実験例では、筋肉量増加剤において、1日投与単位(1日摂取単位)中に、アキノワスレグサそのもの又はその加工物が約0.4mg/kg体重程度以上の範囲で含まれると、筋肉量を増加させることができることが立証された。
よって、通常の体重60kgのヒトに対するアキノワスレグサそのもの又はその加工物の最小有効量は、その値の1/100量である、0.004mg/kg体重/日程度以上の範囲となる。つまり、本発明の筋肉量増加剤に含まれるアキノワスレグサそのもの又はその加工物の割合としては、通常の体重60kgのヒトに対して、1日投与単位(1日摂取単位)中に、アキノワスレグサそのもの又はその加工物が0.24mg程度以上の範囲で含まれると、ヒトに対して筋肉量を増加させることができると考えられる。
その上限は特に制限されず、例えば後記の実施例に示すように、アキノワスレグサそのもの又はその加工物が、11mg/kg体重程度まで配合すれば足りる。
本発明の筋肉量増加剤は、筋肉を増加させることができる程度に、アキノワスレグサそのもの又はその加工物を含む。通常、体重60kgのヒトに対して、1日投与単位(1日摂取単位)中に、アキノワスレグサそのもの又はその加工物が、0.24mg(0.004mg/kg体重)程度以上の範囲で含まれる割合が好ましい。アキノワスレグサそのもの又はその加工物は、より好ましくは2.4mg(0.04mg/kg体重)程度以上、更に好ましくは24mg(0.4mg/kg体重)程度以上の範囲で含まれる割合を挙げることができる。その上限は特に制限されない。例えば実施例に示すように、アキノワスレグサそのもの又はその加工物が、660mg(11mg/kg体重)程度まで配合すれば足りるが、それ以上配合することに特に制限はされない。
筋肉量増加剤の投与量は、筋肉量増加剤の目的(筋肉量の増加)、当該筋肉量増加剤の投与方法、投与形態、投与する患者の症状、年齢、体重等に応じて適宜選択される。一般には、有効成分であるアキノワスレグサそのもの又はその加工物の投与量が、成人1日当り、0.24mg(0.004mg/kg体重)程度以上、好ましくは2.4mg(0.04mg/kg体重)程度以上、更に好ましくは2.4〜660mg(0.04〜11mg/kg体重)の範囲で投与するのが好ましい。尚、当該投与は必ずしも1日1回である必要はなく1日3〜4回に分割して投与することも可能である。
(A-4) 筋肉量増加剤の製剤形態等
本発明の筋肉量増加剤に配合されるアキノワスレグサそのもの又はその加工物の割合は、アキノワスレグサそのもの又はその加工物の1日あたりの摂取量が上記範囲となるように、適宜選択設定することができる。つまり、筋肉量増加剤はアキノワスレグサそのもの又はその加工物だけからなるものであってもよく、アキノワスレグサそのもの又はその加工物の配合割合は特に制限されない。筋肉量増加剤中のアキノワスレグサそのもの又はその加工物の配合割合は、通常0.1〜99重量%程度の範囲から適宜選択設定することができる。
本発明の筋肉量増加剤には、アキノワスレグサそのもの又はその加工物の含有割合が1日摂取あたり上記の割合になるように、筋肉量増加用に一般の食品に添加することが可能である。言い換えれば、アキノワスレグサそのもの又はその加工物を食品の原材料の一つ(添加物)として使用することが可能である。
筋肉量増加剤の投与形態(製剤形態)は、投与経路に応じて各種適宜選択することができ、これらは大きく経口投与剤、経腸投与剤、経胃瘻投与剤等に分類される。これらは常法に従って、錠剤(チュアブル錠を含む)、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤等の固体投与形態;ゼリー剤、溶液(ドリンク剤等を含む)、乳液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ等の液剤投与形態に、調合、成形乃至調製することができる。また、使用前に適当な担体の添加によって液状となし得る乾燥品として調製されてもよい(例えば、ドライシロップ等)。これらはいずれも常法に従い調製できる。好ましくは、錠剤(チュアブル錠を含む)、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤等の固体投与形態、ゼリー剤、溶液等の液剤投与形態である。
各種形態の製剤は、その形態に応じた適切な投与経路を通じて投与することができる。例えば固体投与形態及び液剤投与形態の製剤は、経口投与等により投与することができる。また液剤投与形態の製剤は、経鼻(経鼻胃管)投与、経腸投与、経胃瘻投与等により投与することができる。経腸的投与製剤には、腸に直接投与して用いられる製剤の他、胃壁と腹壁に跨って穴を開けて増設された胃瘻から胃に直接投与して用いられる製剤(胃瘻用経腸栄養剤等)が含まれる。また経鼻的投与製剤には、鼻から栄養チューブを挿入して食道内まで到達させて用いられる製剤(経鼻胃管栄養剤等)が含まれる。
本発明の筋肉量増加剤は、アキノワスレグサそのもの又はその加工物(粉末物、抽出物等)だけからなるものであってもよく、またアキノワスレグサそのもの又はその加工物に加えて、使用が可能な又は薬学的に許容された担体又は添加剤と共に調製しても良い。
担体としては、製剤の投与形態に応じて通常使用される賦形剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、滑沢剤、溶解補助剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤等が例示できる。
添加剤としては、製剤の投与形態に応じて通常使用される安定化剤、保存剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、着色剤、香料、風味剤、甘味剤などが例示できる。
また本発明の筋肉量増加剤は、筋肉量増加効果を付与するための添加剤等をも意味する。
本発明の筋肉量増加剤は、後記実施例で示すように、有効成分として含むアキノワスレグサそのもの又はその加工物に起因して、筋肉量を増加させる作用を発揮する。
(A-5) 筋肉量増加剤の作用
筋肉には、大きく分けると心筋、平滑筋及び骨格筋がある。その中でも骨格筋は、動物の筋肉の一分類であり、骨格を動かす筋肉(所謂、筋肉)を指す。運動やスポーツ競技において、骨格筋は最も重要な運動器である。動物は、骨格筋を収縮又は弛緩させることにより身体活動を行う。また、骨格筋は関節の安定化や姿勢の保持、血管、臓器の保護等の役割を有している。
骨格筋量(所謂、筋肉量)は、通常、筋蛋白質の合成と分解のバランスにより一定量に保たれている。一方、加齢に伴い骨格筋量や筋力等の筋機能は低下する。加齢に伴う筋機能の低下は、転倒による怪我を引き起こしたり、身体活動量の低下を引き起こしたりする。筋肉量については、人の高齢者では一年間に1%程度減少するといわれる。そのため、人や動物において筋肉量を数%でも増加させることは、健康寿命を延ばすために、価値が有り、非常に重要である。
本発明の筋肉量増加剤は、低下した筋機能を回復し、更には筋肉量を増加させる目的でも有効に用いることができる。
本発明は、日常的に且つ長期間にわたって手軽に摂取することができる筋肉量増加剤として有用である。
(B) アキノワスレグサを含有する筋萎縮改善剤
本発明の筋萎縮改善剤は、アキノワスレグサを含有することを特徴とし、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることが可能である。
(B-1) アキノワスレグサ
アキノワスレグサ(学名:Hemerocallis fulva var. sempervirens)はユリ科ワスレグサ属植物である。ワスレグサ属植物の中でも、廃用症候群により萎縮した筋肉の早期回復効果を奏し、また、筋肉量の増加効果を奏することから、アキノワスレグサを用いることが好ましい。
アキノワスレグサは、沖縄県では様々な方言で呼ばれる。沖縄県での方言名は、クヮンソウ、ニーブイグサ、カンソウ、グワンソウ、ガンショウ、クワンソウ、クワンシヤー、ガンソウ、ハンソウ、フファンサ、ファンツァ、フファンツア、ニーブイカンソウ、パンソー、カンゾーバナ、ウプンサ、ビラティ等がある。これらの方言名で呼ばれるものは、全て本発明のアキノワスレグサ(和名)に包含される。
本発明においては、アキノワスレグサをそのまま用いても良く、或いはアキノワスレグサの加工物を用いても良い。アキノワスレグサの加工物としては、アキノワスレグサの粉末物、アキノワスレグサの各種溶媒で抽出された抽出物、その抽出物の乾燥物(乾燥抽出物)、更にこれを粉末にした粉末乾燥抽出物等を使用することができる。
アキノワスレグサの植物体をそのまま用いる場合、植物体の抽出する場合の部位は限定されないが、例えば、植物の全体を用いる他、花、蕾、葉(及び葉柄)、茎(及び肉質茎)、根(根及び気根)等の部位を用いることができる。原料収量と抽出効率の点から、植物の全体を用いることが好ましい。
抽出する植物体は、葉、茎、花、蕾、若しくは根を生の状態のもの(未乾燥物)、乾燥させた後適切な大きさに細砕し粉末化したもの(乾燥物)、若しくは、凍結したもの(凍結物)を用いることができる。
本発明に関する植物体の抽出物を作製する方法としては、抽出工程、分離(ろ過)工程、乾燥工程等を組み合わせる方法、上記方法に更に分画工程を組み合わせる方法等があげられるが、これらに限定されない。
アキノワスレグサの溶媒で抽出された抽出物(アキノワスレグサの加工物)を用いる場合、その製造方法(抽出方法)及び抽出条件等は特に限定されず、従来公知の方法に従えばよい。例えば、アキノワスレグサをそのまま溶媒抽出によって抽出物を得ることができる。溶媒抽出の方法としては、当該技術分野において公知の方法を採用すればよく、例えば、水抽出、熱水抽出、温水抽出、アルコール抽出、超臨界抽出等の従来公知の抽出方法を利用することができる。
抽出溶媒の種類は特に限定されないが、水、有機溶媒及びこれらを混合した混合溶媒等があげられる。
上記の水としては、冷水、常温水、温水、熱水及び水蒸気等の全ての温度における水の状態があげられ、また、殺菌処理、イオン交換処理、浸透圧調整又は緩衝化されていてもよい。
有機溶媒としては、親水性有機溶媒が好ましく、例えば、炭素数1〜5の1価アルコール(エタノール、メタノール、プロパノール及びイソプロパノール等)、炭素数2〜5の多価アルコール(グリセリン、イソプロピレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコール等)、エステル(酢酸メチル等)及びケトン(アセトン等)等を用いることができる。これらの親水性有機溶媒は、1種のみを用いても、或いは2種以上を併用してもよい。
本発明では、安全性及び有効成分の抽出効率の点から熱水を用いることが好ましい。
抽出手法としては、浸漬抽出、攪拌抽出、還流抽出、振とう抽出及び超音波抽出があげられ、抽出条件としては、室温抽出、加熱抽出(加温抽出ともいう)、加圧抽出、超臨界抽出等があげられるが、好ましくは、加温抽出である。
抽出温度は抽出溶媒の種類等により適宜決定できる。本発明の抽出を加温抽出で行う場合の具体的な抽出条件としては、30〜100℃程度で良く、沸騰状態で行っても良い。抽出時間は特に限定されないが、例えば、5分〜6時間程度で良く、より好ましくは10分〜3時間程度である。
また、pH調整してもよい。上記抽出操作は1回でもよく、抽出操作を行った後に得られる抽出残渣を再度抽出することを複数回数繰り返すことにより複数回行ってもよい。さらに、工程の前後に、必要に応じて濾過等の処理を行っても良い。
分離工程は、上記で得られた抽出物から、抽出残渣である不溶物と抽出物を分離する方法であり、例えば、遠心分離、フィルタプレス、濾過(加圧、常圧)及びクロマトグラフィー等の吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離等による方法があげられる。抽出液から分取された抽出物はそのまま用いてもよく、更に分画等により精製してもよい。
分画工程では、上記で得られた分離物から必要な成分を分画して精製及び濃縮する。分画工程に用いられる方法としては、担体として陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、シリカゲル、芳香族化合物を吸着するポリスチレン系の樹脂などを用いるクロマトグラフィー、透析、分子ふるいや減圧濃縮、凍結乾燥等の方法があげられるがこれらに限定されない。さらに、本工程後に、必要に応じて遠心分離等により上清を回収する工程を行っても良い。
尚、上記各工程の前後に、必要に応じて濾過等の処理を行ってもよい。濾過には、ガーゼや濾過フィルター、市販の濾過器等を用いることができる。また、必要に応じて、滅菌処理等を施すことができる。
得られた抽出物をそのままの状態で使用することもできるが、乾燥させて粉末状のものを用いてもよい。また、必要に応じて得られた抽出物に精製、濃縮処理等を施してもよい。精製処理としては、濾過又はイオン交換樹脂や活性炭カラム等を用いた吸着、脱色といった処理を行うことができる。また、濃縮処理としては、エバポレーター等の常法を利用できる。
得られた抽出物は、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の乾燥工程により粉末化することもできる。或いは、得られた抽出物(又は精製処理物若しくは濃縮物)を凍結乾燥処理に供して粉末化する方法、デキストリン、コーンスターチ、アラビアゴム等の賦形剤を添加してスプレードライ処理により粉末化する方法等、従来公知の方法に従って粉末化し、本発明で用いる加工物としてもよい。また、該加工物を、必要に応じて純水、エタノール等に溶解して用いても良い。
具体的には、次の方法によってアキノワスレグサの濃縮抽出物を得ることができる。
アキノワスレグサの植物体を熱水抽出し、熱水抽出物を得る。次いで、その熱水抽出物を遠心分離にかけ、ろ過及び濃縮し、pH調整を行う。次いで、その濃縮物を80℃以上で噴霧乾燥(spray-dried)し、アキノワスレグサの熱水抽出物(乾燥エキス)を得ることができる。追加的に、最終段階で、アキノワスレグサの熱水抽出物を低温殺菌処理しても良い。
簡便には、本発明で用いられるアキノワスレグサの溶媒で抽出された抽出物として、商業的に入手可能なものを用いてもよい。例えば、ソムノクエスト株式会社から入手可能なクワンソウエキス(商品名:Hypnocallis/ヒプノカリス(R))を使用することができる。
また、ドリンク、ゼリー、グミ、各種健康食品等の用途において、アキノワスレグサの葉から抽出されたエキスとして、アキノワスレグサ濃縮エキスが入手可能である。また、アキノワスレグサ葉抽出エキスをスプレードライ粉末加工したアキノワスレグサ抽出エキス濃縮粉末が入手可能である。アキノワスレグサ抽出エキス濃縮粉末は、前記アキノワスレグサ濃縮エキスと比較して、内容成分が2.7倍程度の濃い濃度で含まれる。また、アキノワスレグサ乾燥葉を滅菌粉末化したアキノワスレグサ乾燥葉粉末が入手可能である。また、お茶等の用途において、アキノワスレグサの葉を裁断し、乾燥したものとして、アキノワスレグサ乾燥葉が入手可能である。
(B-2) 筋萎縮改善剤
近年、食品の概念が拡大し、特定の用途、例えば特定の生理学的機能を付与する用途に摂取される医薬品様のものが多く存在することから、「剤」と表現した場合でも、健康食品等をも意味することが社会通念である。そのため、本発明の筋萎縮改善剤は、「筋萎縮改善剤」用途に用いられる医薬品のみを意味するものではない。本発明の筋萎縮改善剤は、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができる機能を有し、健康維持等を目的として摂食される医薬品類似の組成物(健康食品等)、健康維持等を目的として摂食される医薬品類似の組成物をも意味する。
本発明の「筋萎縮改善剤」は、医薬品用途に用いられる組成物に限定されるものではなく、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができる下記健康食品等をも意味する。
・健康食品(保健機能食品)
特定保健用食品:特保(とくほ)。体の生理学的機能等に影響を与える保健機能成分を含み、特定の効能が認められ、その効能を表示することを消費者庁から許可された食品。商品には、特定の効能が期待できる旨の文言と、「消費者庁許可特定保健用食品」等の証票が表示される。
栄養機能食品:高齢化や食生活の乱れ等で不足しがちな栄養成分の補給・補完のために利用する食品。販売するためには、厚生労働省の定めた基準を満たし、且つ、決められた栄養成分の栄養機能表示と注意喚起表示が必要となる。
・サプリメント:栄養補助食品、健康補助食品。不足し易い栄養素を補うための食品であり、栄養素を凝縮し、錠剤や飲料の形にしたもの。
・特別用途食品:厚生労働省が認可した病者用食品、妊産婦・授乳用粉乳、高齢者用食品等。特別用途食品マークが付けられている。特定保健用食品も特別用途食品の分類に入る。
・機能性食品:体調を整える効果をもつとされる加工食品。栄養や味ではなく、生体調節機能を人工的に強化している。保健機能食品とは違い、効能を示すことはできない。
本発明の筋萎縮改善剤は、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させる作用を有することから、健康食品等として好適に提供することができる。
本発明の筋萎縮改善剤は、アキノワスレグサを含み、従来知られていなかった廃用症候群により萎縮した筋肉の早期回復効果を奏し、筋萎縮改善剤として機能する。本発明の筋萎縮改善剤は、従来技術の用途とは全く異なる筋萎縮改善用途に用いられるものである。
(B-3) アキノワスレグサそのもの又はその加工物の投与(摂取)量
(mg/kg体重/日)
アキノワスレグサそのもの又はその加工物の投与量及び摂取量は、後記のラットを用いた実験例結果と一日摂取許容量(Acceptable Daily Intake、ADI)とから、定めた数値範囲である。
一日摂取許容量とは、食品に用いられた特定の物質を一生涯にわたり摂取し続けても、ヒトになんら影響を及ぼさないと考えられている一日あたりの摂取量であり、通常体重1kgあたりで示した値(単位:mg/kg体重/日)で示す(医学書院、医学大辞典、2003年3月1日発行)。具体的な算出方法は、先ず、実験動物になんら影響を及ぼさない最大の量(最大無毒性量、NOAEL: No Observed Adverse Effect Level、NOAEL)を求める。ついで、これに安全係数を乗じ、更にヒトの体重を考慮して、一日摂取許容量を算出する。安全係数としては、一般にラット等(げっ歯類)の実験動物とヒトとの種の違いを考慮して1/100が用いられる。言い換えると、実験動物により得られた最大無毒性量の1/100量から多い量が、ヒトに対して影響を及ぼす量(一日摂取許容量)とされる。
ADI=NOAEL×1/100
そして、この一日摂取許容量の概念を基に、その有効成分のヒトに対する投与量・摂取量について、効果を表す有効成分の最小の投与量(最小有効量)を決定することが可能である。
後記のラットを用いた実験例では、筋萎縮改善剤において、1日投与単位(1日摂取単位)中に、アキノワスレグサそのもの又はその加工物が約0.4mg/kg体重程度以上の範囲で含まれると、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができることが立証された。
よって、通常の体重60kgのヒトに対するアキノワスレグサそのもの又はその加工物の最小有効量は、その値の1/100量である、0.004mg/kg体重/日程度以上の範囲となる。つまり、本発明の筋萎縮改善剤に含まれるアキノワスレグサそのもの又はその加工物の割合としては、通常の体重60kgのヒトに対して、1日投与単位(1日摂取単位)中に、アキノワスレグサそのもの又はその加工物が0.24mg程度以上の範囲で含まれると、ヒトに対して廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができると考えられる。
その上限は特に制限されず、例えば後記の実施例に示すように、アキノワスレグサそのもの又はその加工物が、11mg/kg体重程度まで配合すれば足りる。
本発明の筋萎縮改善剤は、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができる程度に、アキノワスレグサそのもの又はその加工物を含む。通常、体重60kgのヒトに対して、1日投与単位(1日摂取単位)中に、アキノワスレグサそのもの又はその加工物が、0.24mg(0.004mg/kg体重)程度以上の範囲で含まれる割合が好ましい。アキノワスレグサそのもの又はその加工物は、より好ましくは2.4mg(0.04mg/kg体重)程度以上、更に好ましくは24mg(0.4mg/kg体重)程度以上の範囲で含まれる割合を挙げることができる。その上限は特に制限されない。例えば実施例に示すように、アキノワスレグサそのもの又はその加工物が、660mg(11mg/kg体重)程度まで配合すれば足りるが、それ以上配合することに特に制限はされない。
筋萎縮改善剤の投与量は、筋萎縮改善剤の目的(萎縮した筋肉の早期回復)、当該筋萎縮改善剤の投与方法、投与形態、投与する患者の症状、年齢、体重等に応じて適宜選択される。一般には、有効成分であるアキノワスレグサそのもの又はその加工物の投与量が、成人1日当り、0.24mg(0.004mg/kg体重)程度以上、好ましくは2.4mg(0.04mg/kg体重)程度以上、更に好ましくは2.4〜660mg(0.04〜11mg/kg体重)の範囲で投与するのが好ましい。尚、当該投与は必ずしも1日1回である必要はなく1日3〜4回に分割して投与することも可能である。
(B-4) 筋萎縮改善剤の製剤形態等
本発明の筋萎縮改善剤に配合されるアキノワスレグサそのもの又はその加工物の割合は、アキノワスレグサそのもの又はその加工物の1日あたりの摂取量が上記範囲となるように、適宜選択設定することができる。つまり、筋萎縮改善剤はアキノワスレグサそのもの又はその加工物だけからなるものであってもよく、アキノワスレグサそのもの又はその加工物の配合割合は特に制限されない。筋萎縮改善剤中のアキノワスレグサそのもの又はその加工物の配合割合は、通常0.1〜99重量%程度の範囲から適宜選択設定することができる。
本発明の筋萎縮改善剤には、アキノワスレグサそのもの又はその加工物の含有割合が1日摂取あたり上記の割合になるように、筋萎縮改善用に一般の食品に添加することが可能である。言い換えれば、アキノワスレグサそのもの又はその加工物を食品の原材料の一つ(添加物)として使用することが可能である。
筋萎縮改善剤の投与形態(製剤形態)は、投与経路に応じて各種適宜選択することができ、これらは大きく経口投与剤、経腸投与剤、経胃瘻投与剤等に分類される。これらは常法に従って、錠剤(チュアブル錠を含む)、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤等の固体投与形態;ゼリー剤、溶液(ドリンク剤等を含む)、乳液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ等の液剤投与形態に、調合、成形乃至調製することができる。また、使用前に適当な担体の添加によって液状となし得る乾燥品として調製されてもよい(例えば、ドライシロップ等)。これらはいずれも常法に従い調製できる。好ましくは、錠剤(チュアブル錠を含む)、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤等の固体投与形態、ゼリー剤、溶液等の液剤投与形態である。
各種形態の製剤は、その形態に応じた適切な投与経路を通じて投与することができる。例えば固体投与形態及び液剤投与形態の製剤は、経口投与等により投与することができる。また液剤投与形態の製剤は、経鼻(経鼻胃管)投与、経腸投与、経胃瘻投与等により投与することができる。経腸的投与製剤には、腸に直接投与して用いられる製剤の他、胃壁と腹壁に跨って穴を開けて増設された胃瘻から胃に直接投与して用いられる製剤(胃瘻用経腸栄養剤等)が含まれる。また経鼻的投与製剤には、鼻から栄養チューブを挿入して食道内まで到達させて用いられる製剤(経鼻胃管栄養剤等)が含まれる。
本発明の筋萎縮改善剤は、アキノワスレグサそのもの又はその加工物(粉末物、抽出物等)だけからなるものであってもよく、またアキノワスレグサそのもの又はその加工物に加えて、使用が可能な又は薬学的に許容された担体又は添加剤と共に調製しても良い。
担体としては、製剤の投与形態に応じて通常使用される賦形剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、滑沢剤、溶解補助剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤等が例示できる。
添加剤としては、製剤の投与形態に応じて通常使用される安定化剤、保存剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、着色剤、香料、風味剤、甘味剤などが例示できる。
また本発明の筋萎縮改善剤は、筋萎縮改善効果を付与するための添加剤等をも意味する。
本発明の筋萎縮改善剤は、後記実施例で示すように、有効成分として含むアキノワスレグサそのもの又はその加工物に起因して、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させる作用を発揮する。
(B-5) 筋萎縮改善剤の作用
骨・関節・筋肉等体を支えたり動かしたりする運動器が衰えたり、障害を持ったりすることによって、要介護や寝たきりになる危険が高い状態になることがある。これをロコモティブ症候群(locomotive syndrome、運動器症候群)という。これは、加齢や生活習慣が原因と言われている。また、筋肉量が低下し、筋力又は身体能力が低下することをサルコペニア(sarcopenia、筋肉減弱症)という。これは、加齢によるもの(原発性サルコペニア)及び不活動・疾患・低栄養等によるもの(二次性サルコペニア)がある。サルコペニアは、主に高齢者にみられ、運動・身体機能に障害が生じたり、転倒・骨折の危険性が増大したりして、自立した生活を困難にする原因となることがある。
本発明の筋萎縮改善剤は、廃用症候群に対して有効に用いることができるだけでなく、その効果から、これらロコモティブ症候群やサルコペニアにより低下した筋力を回復させる目的でも有効に用いることができる。
本発明は、日常的に且つ長期間にわたって手軽に摂取することができる筋萎縮改善剤として有用である。
以下、実施例により本発明をより明確に説明する。但し、本発明はかかる実施例に何ら限定されるものではない。
(A) ラットを用いた筋肉量増加薬の効果試験
ラットを用いて、被験物質の、筋肉量の増加効果を検討した。
(A-1) アキノワスレグサ
アキノワスレグサとして、クワンソウ(沖縄県の方言)を用いた。クワンソウは、アキノワスレグサと同等物である。
クワンソウの植物体を熱水(100℃)抽出し、熱水抽出物を得た。次いで、その熱水抽出物を遠心分離にかけ、ろ過及び濃縮し、pH調整を行い、濃縮物を得た。次いで、その濃縮物を80℃以上で噴霧乾燥(spray-dried)した。次いで、その乾燥物を低温殺菌処理した。上記調製により、クワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス)を得た。
(A-2) 投与液の調製方法
調製濃度
必要量秤量し水道水に混和して50mg/mLの濃度に調製した(クワンソウA)。クワンソウAを10倍ずつ希釈してクワンソウB〜Dを作成した。K-1〜K-4は、クワンソウとして、クワンソウA〜Dを含む投与素材である。
調製頻度
一週間分の必要量をまとめて調製した。調整後の溶液は冷蔵保管し、1日の必要量を小分けし、室温に戻して投与した。
(A-3) 試験系
動物
種:Wistar系ラット
性別:雄
使用動物数:30匹
週齢(入手時):8週齢
供給源:日本エスエルシー株式会社
マウス及びラットを用いた廃用性モデルの検討は、多々報告があり、バックグラウンドデータの豊富なラットを選択した。尾部に油性インクで動物番号を示す棒線を入れ個体識別するとともに,試験番号,性別,動物番号を記入したラベルを各ケージに貼付して、個体を識別した。
(A-4) 飼育条件
飼育室の環境条件
飼育室名:マウス、ラット飼育室
温度:24±2℃
湿度:50%±20%
換気回数:13回/時間
照明時間:12時間/日(7〜19時)
ケージ
種類:プラスチック製、蓋ステンレス製ケージ(136mm W×208mm D×115mm H)
収容匹数/ケージ:1匹/ケージの個別飼育
床敷き交換頻度:各飼育ケージの床敷き交換は、週2回行った。
飼料
種類:市販固型飼料CE-2(日本クレア(株))
給餌方法:1日約50g/匹を通常給餌した。
給水
種類:水道水
給水方法:給水瓶にて自由に摂取させた。
(A-5) 試験系
ラットの群構成と被験物質の投与量
投与方法は、経口投与とした。胃ゾンデを取り付けた5mLディスポーザブル注射筒を用いて、グループ2〜5において、100mg/2mL/body〜0.1mg/2mL/bodyの割合で7日間連続投与を行った。
グループ1のコントロール群については、2mL/bodyで水道水を投与した。つまり、投与素材にクワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス)を含まないグループである。
Figure 0006270582
被験物質(クワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス))の投与量は100mg/2mL/body〜0.1mg/2mL/bodyとした。表1中では、「クワンソウ」と記した。
ラットの体重を215gとして、「体重換算量」を計算した。
体重換算すると、投与素材中のクワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス)合計量として約0.4〜480mg/kg/dayである。
Figure 0006270582
(A-6) 結果
処置及び下肢筋肉量の測定
馴化飼育後、2日間、胃ゾンデにより素材を投入した。そして、3日目に解剖し、左右下肢の筋肉量の測定を行った。その後、ペントバルビタールの腹腔内投与による深麻酔下にて採血・放血し、安楽死させた後に、両側のヒラメ筋、腓腹筋、足底筋及び長趾伸筋を分離・摘出後、筋肉量(重量%)を測定した。
試験期間中、各グループのラットの体重は正常に推移した。
ラットグループ1(コントロール群)は、被験物質として水道水を用いたグループである。ラットグループ2〜5は、被験物質としてクワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス)を含む投与素材を用いたグループである。
ラットグループ1〜5の筋肉量(重量%)(両足の各筋肉量の平均(g)/体重(g))を測定した。「両足/2/体重(筋肉量(重量%))」は、体重あたりの両足の各筋肉が占める割合(両足の平均値)を表す。
得られた数値データは、mean±S.D.で表示した。
Figure 0006270582
更に、両足/2/体重(筋肉量重量%)について、披験物質投与後の筋肉量の増加率(重量%)をコントロールと比較することで表した。コントロールは、被験物質の代わりに水のみを投与したグループであり、通常に飼育したラットでの両足/2/体重(筋肉量重量%)に相当する。
Figure 0006270582
ラットグループ1の筋肉量を基準に、ラットグループ2〜5の筋肉量の増加率を算出した。
ラットグループ2〜5では、コントロール群(100重量%)と比べて、筋肉量が増加した(100重量%以上)。
ラットグループ2では、筋肉量の増加率が、腓腹筋(速筋)で103.5%、ヒラメ筋(遅筋)で103.1%、長趾伸筋(速筋)で106.7%であり、筋肉量が増加した。
ラットグループ3では、筋肉量の増加率が、腓腹筋(速筋)で103.2%、ヒラメ筋(遅筋)で102.9%、長趾伸筋(速筋)で105.6%であり、筋肉量が増加した。
ラットグループ4では、筋肉量の増加率が、腓腹筋(速筋)で102.5%、ヒラメ筋(遅筋)で101.8%、長趾伸筋(速筋)で103.0%であり、筋肉量が増加した。
ラットグループ5では、筋肉量の増加率が、腓腹筋(速筋)で101.0%、ヒラメ筋(遅筋)で101.2%、長趾伸筋(速筋)で102.8%であり、筋肉量が増加した。
実施例から、クワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス)を摂取したラットグループで、筋肉量を増加できることが確認された。特に、クワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス)を0.1mg/day以上摂取したラットグループ2〜5で、筋肉量を増加できることが確認された。つまり、経口組成物は、ラットに対して、1日投与単位中に、クワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス)を約0.4mg/kg体重以上の割合で摂取することにより、筋肉量を増加させることができることが立証された。
(A-7) 考察
上記結果より、通常の体重60kgのヒトに対するアキノワスレグサそのもの又はその加工物の最小有効量は、上記値の1/100量である、0.004mg/kg体重/日程度以上の範囲となる。つまり、本発明の筋肉量増加剤に含まれるアキノワスレグサそのもの又はその加工物の割合としては、通常の体重60kgのヒトに対して、1日投与単位(1日摂取単位)中に、アキノワスレグサそのもの又はその加工物が0.24mg(0.004mg/kg体重)程度以上の範囲で含まれると、ヒトに対して筋肉量を増加させることができると考えられる。
本発明のアキノワスレグサを含有する筋肉量増加剤を摂取することにより、筋肉量を増加させることができる。また、本発明の筋肉量増加剤を摂取することにより、加齢に伴う筋機能の低下を回復させ、更には筋肉量を増加させる目的でも有効に用いることができる。
(B) ラット下肢ギブス固定筋委縮モデルを用いた筋委縮改善薬の回復効果試験
ラットを用いて下肢廃用性モデルの筋委縮に対する被験物質の改善効果を検討した。
(B-1) アキノワスレグサ
アキノワスレグサとして、クワンソウ(沖縄県の方言)を用いた。クワンソウは、アキノワスレグサと同等物である。
クワンソウの植物体を熱水(100℃)抽出し、熱水抽出物を得た。次いで、その熱水抽出物を遠心分離にかけ、ろ過及び濃縮し、pH調整を行い、濃縮物を得た。次いで、その濃縮物を80℃以上で噴霧乾燥(spray-dried)した。次いで、その乾燥物を低温殺菌処理した。上記調製により、クワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス)を得た。
(B-2) 投与液の調製方法
調製濃度
必要量秤量し水道水に混和して50mg/mLの濃度に調製した(クワンソウA)。クワンソウAを10倍ずつ希釈してクワンソウB〜Dを作成した。K-1〜K-4は、クワンソウとして、クワンソウA〜Dを含む投与素材である。
調製頻度
一週間分の必要量をまとめて調製した。調整後の溶液は冷蔵保管し、1日の必要量を小分けし、室温に戻して投与した。
(B-3) 試験系
動物
種:Wistar系ラット
性別:雄
使用動物数:30匹
週齢(入手時):8週齢
供給源:日本エスエルシー株式会社
マウス及びラットを用いた廃用性モデルの検討は、多々報告があり、バックグラウンドデータの豊富なラットを選択した。尾部に油性インクで動物番号を示す棒線を入れ個体識別するとともに,試験番号,性別,動物番号を記入したラベルを各ケージに貼付して、個体を識別した。
(B-4) 飼育条件
飼育室の環境条件
飼育室名:マウス、ラット飼育室
温度:24±2℃
湿度:50%±20%
換気回数:13回/時間
照明時間:12時間/日(7〜19時)
ケージ
種類:プラスチック製、蓋ステンレス製ケージ(136mm W×208mm D×115mm H)
収容匹数/ケージ:1匹/ケージの個別飼育
床敷き交換頻度:各飼育ケージの床敷き交換は、週2回行った。
飼料
種類:市販固型飼料CE-2(日本クレア(株))
給餌方法:1日約50g/匹を通常給餌した。
給水
種類:水道水
給水方法:給水瓶にて自由に摂取させた。
(B-5) 試験系
ラットの群構成と被験物質の投与量
投与方法は、経口投与とした。胃ゾンデを取り付けた5mLディスポーザブル注射筒を用いて、グループ2〜5において、100mg/2mL/body〜0.1mg/2mL/bodyの割合で7日間連続投与を行った。
グループ1のコントロール群については、2mL/bodyで水道水を投与した。つまり、投与素材にクワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス)を含まないグループである。
Figure 0006270582
被験物質(クワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス))の投与量は100mg/2mL/body〜0.1mg/2mL/bodyとした。表5中では、「クワンソウ」と記した。
ラットの体重を245gとして、「体重換算量」を計算した。
体重換算すると、投与素材中のクワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス)量として約0.4〜420mg/kg/dayである。
Figure 0006270582
(B-6) 結果
処置及び下肢筋肉量の測定
馴化飼育後、動物をペントバルビタール(20mg/kg)の腹腔内投与により麻酔を施した。
その後、右側下肢は非処置の対照側とし、左側下肢を大腿部〜足先全体にスコッチキャストギプス包帯を巻き付けて10日間固定し、筋肉の運動量を低下させた(右側非処理:左側ギプス処理)。
その後、ギプスを切除し、7日間の回復期間を設けた。
そして、ギプス固定・回復期間後17日目に解剖し、左右下肢の筋肉量の測定を行った。
ペントバルビタールの腹腔内投与による深麻酔下にて放血し、安楽死させた後に、両側のヒラメ筋、腓腹筋、足底筋及び長趾伸筋を分離・摘出後、重量を測定し、ギプス固定側(左側下肢)の筋肉量(重量)を非ギプス固定側(右側下肢)の筋肉量(重量)で割り、萎縮率(%)を算出した。
得られた数値データは、mean±S.D.で表示した。
Figure 0006270582
試験期間中、各グループのラットの体重は正常に推移した。
ラットグループ1(コントロール群)は、被験物質として水道水を用いたグループである。ラットグループ1では、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復することができなかった。グループ1では、非処置の右側下肢に対するギプス包帯処置の左側下肢の回復力が、例えば腓腹筋(速筋)で77.9%、ヒラメ筋(遅筋)で71.6%程度に止まった。
ラットグループ2〜5は、被験物質としてクワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス)を含む投与素材を用いたグループである。ラットグループ2〜5では、コントロール群と比べて、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復することができた。
ラットグループ2では、非処置の右側下肢に対するギプス包帯処置の左側下肢の萎縮率が、腓腹筋(速筋)で83.4%、ヒラメ筋(遅筋)で81.2%、足底筋(速筋)で84.1%、長趾伸筋(速筋)で97.6%と、コントロール群と比較して改善した。
ラットグループ3では、非処置の右側下肢に対するギプス包帯処置の左側下肢の萎縮率が、腓腹筋(速筋)で82.5%、ヒラメ筋(遅筋)で81.1%、足底筋(速筋)で83.8%、長趾伸筋(速筋)で97.5%と、コントロール群と比較して改善した。
ラットグループ4では、非処置の右側下肢に対するギプス包帯処置の左側下肢の萎縮率が、腓腹筋(速筋)で80.1%、ヒラメ筋(遅筋)で79.0%、足底筋(速筋)で82.5%、長趾伸筋(速筋)で95.2%と、コントロール群と比較して改善した。
ラットグループ5では、非処置の右側下肢に対するギプス包帯処置の左側下肢の萎縮率が、腓腹筋(速筋)で79.0%、ヒラメ筋(遅筋)で75.3%、足底筋(速筋)で80.2%、長趾伸筋(速筋)で93.1%と、コントロール群と比較して改善した。
実施例から、クワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス)を摂取したラットグループで、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復できることが確認された。特に、クワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス)を0.1mg/day以上摂取したラットグループ2〜5で、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復できることが確認された。つまり、経口組成物は、ラットに対して、1日投与単位中に、クワンソウの熱水抽出物(クワンソウ濃縮エキス)を約0.4mg/kg体重以上の割合で摂取することにより、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復できることが立証された。
(B-7) 考察
上記結果より、通常の体重60kgのヒトに対するアキノワスレグサそのもの又はその加工物の最小有効量は、上記値の1/100量である、0.004mg/kg体重/日程度以上の範囲となる。つまり、本発明の筋萎縮改善剤に含まれるアキノワスレグサそのもの又はその加工物の割合としては、通常の体重60kgのヒトに対して、1日投与単位(1日摂取単位)中に、アキノワスレグサそのもの又はその加工物が0.24mg(0.004mg/kg体重)程度以上の範囲で含まれると、ヒトに対して廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができると考えられる。
本発明のアキノワスレグサを含有する筋萎縮改善剤を摂取することにより、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができる。また、本発明の筋萎縮改善剤を摂取することにより、廃用症候群に対して用いるだけでなく、ロコモティブ症候群やサルコペニアにより低下した筋力を回復させる目的でも有効に用いることができる。
(C) 調製例
以下の処方により、アキノワスレグサそのもの又はその加工物を含有する筋肉量増加剤及び筋萎縮改善剤(液剤)を調製した。
Figure 0006270582
処方例では、1液剤あたり、アキノワスレグサそのもの又はその加工物を0.96mg摂取できる。ヒトに対して、1日あたり、1液剤を摂取することが好ましい。

Claims (4)

  1. アキノワスレグサ(学名:Hemerocallis fulva var. sempervirens)を含有する筋肉量増加剤。
  2. 液剤投与形態である請求項1に記載の筋肉量増加剤。
  3. アキノワスレグサ(学名:Hemerocallis fulva var. sempervirens)を含有する筋萎縮改善剤。
  4. 液剤投与形態である請求項3に記載の筋萎縮改善剤。
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