JP2019189571A - 廃用性筋萎縮抑制剤及び廃用性筋萎縮抑制用食品組成物 - Google Patents

廃用性筋萎縮抑制剤及び廃用性筋萎縮抑制用食品組成物 Download PDF

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【課題】新規な廃用性筋萎縮抑制剤を提供すること。【解決手段】エリオシトリンを有効成分として含有する、廃用性筋萎縮抑制剤。【選択図】なし

Description

本発明は、廃用性筋萎縮抑制剤及び廃用性筋萎縮抑制用食品組成物に関する。
筋トレーニング等により機械的な負荷をかけることで筋肉量は増加するが(筋肥大)、逆に寝たきり若しくはギブス固定等による筋肉の不動化、又は宇宙空間等の無重力環境下で機械的な負荷の減少が続くと筋肉量が低下する(筋萎縮)。筋萎縮が進行すると、歩行等の運動機能が低下するロコモティブシンドローム(略称:ロコモ、和名:運動器症候群)を引き起こし、「要介護」になるリスクが高まる。超高齢化社会を迎えた日本において、40歳以上を対象とした調査によると、ロコモは予備群を含め約4,700万人と推計されている。また平成25年厚生労働省国民生活基礎調査では、要介護・要支援になった原因の1位は運動器の障害、すなわちロコモである。したがって、加齢又は寝たきりによる筋萎縮を抑制することは、ロコモの予防、及びクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に繋がると考えらえる。
廃用性筋萎縮の抑制剤として、例えば、特許文献1には、飲食品に配合して廃用性筋萎縮抑制用飲食品組成物を得るために用いられる廃用性筋萎縮抑制用剤であって、オオバギ抽出物及び8−プレニルナリンゲニンの少なくとも一方を有効成分として含有し、前記オオバギ抽出物は、ニムフェオール−A、ニムフェオール−B、イソニムフェオール−B、ニムフェオール−C、及び3’−ゲラニルナリンゲニンを含有することを特徴とする廃用性筋萎縮抑制用剤が開示されている。
特開2016−136952号公報
本発明は、新規な廃用性筋萎縮抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、エリオシトリンが廃用性筋萎縮を抑制する作用を有することを新たに見出した。本発明は、この新規な知見に基づき、エリオシトリンの新たな用途を提供するものである。
本発明の一態様は、エリオシトリンを有効成分として含有する廃用性筋萎縮抑制剤である。本発明の別の一態様は、エリオシトリンを含む柑橘類抽出物を有効成分として含有する廃用性筋萎縮抑制剤である。柑橘類抽出物は、レモン果皮抽出物であってよい。
本発明の廃用性筋萎縮抑制剤は、エリオシトリンを含有するため、廃用性筋萎縮を抑制する用途に好適に用いられる。また、エリオシトリンは、レモン(特に、レモン果皮)等の柑橘類に含まれる成分であるため、食経験が極めて豊富である。したがって、本発明の廃用性筋萎縮抑制剤は、生体への安全性が高く、長期間継続的に摂取可能である。
本発明の一態様は、エリオシトリンを有効成分として含有する廃用性筋萎縮抑制用食品組成物である。本発明の別の一態様は、エリオシトリンを含む柑橘類抽出物を有効成分として含有する廃用性筋萎縮抑制用食品組成物である。柑橘類抽出物は、レモン果皮抽出物であってよい。
本発明の廃用性筋萎縮抑制用食品組成物は、エリオシトリンを含有するため、廃用性筋萎縮を抑制する用途に好適に用いられる。また、エリオシトリンは、レモン(特に、レモン果皮)等の柑橘類に含まれる成分であるため、食経験が極めて豊富である。したがって、本発明の廃用性筋萎縮抑制用食品組成物は、生体への安全性が高く、長期間継続的に摂取可能である。
本発明によれば、新規な廃用性筋萎縮抑制剤が提供される。
レモン果皮抽出物の廃用性筋萎縮抑制試験(実施例1)の結果を示す図である。(A)腓腹筋量(体重当たりの腓腹筋量(mg/g体重))の評価結果を示すグラフである。(B)腓腹筋維持率(偽手術した左後肢腓腹筋量に対する除神経処理した右後肢腓腹筋量の割合(%))の評価結果を示すグラフである。 エリオシトリンの廃用性筋萎縮抑制試験(実施例2)の結果を示す図である。(A)腓腹筋量(体重当たりの腓腹筋量(mg/g体重))の評価結果を示すグラフである。(B)腓腹筋維持率(偽手術した左後肢腓腹筋量に対する除神経処理した右後肢腓腹筋量の割合(%))の評価結果を示すグラフである。 クエン酸の廃用性筋萎縮抑制試験(参考例)の結果を示す図である。(A)腓腹筋量(体重当たりの腓腹筋量(mg/g体重))の評価結果を示すグラフである。(B)腓腹筋維持率(偽手術した左後肢腓腹筋量に対する除神経処理した右後肢腓腹筋量の割合(%))の評価結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制剤は、エリオシトリンを有効成分として含有する。
本明細書における「廃用性筋萎縮」とは、廃用(例えば、筋肉の不動化)による筋萎縮、及び無重力環境下等での機械的な負荷の減少による筋萎縮を含む概念である。本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制剤は、エリオシトリンを含有するため、廃用性筋萎縮を抑制することができる。
エリオシトリンは、下記式(1)で表される化合物である。エリオシトリンは、エリオディクティオールにルチノース(L−ラムノシル−D−グルコース)が結合したフラボノイド配糖体である。
Figure 2019189571
本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制剤におけるエリオシトリンの含有量は、0.1w/w%以上であってよく、0.2w/w%以上であってよく、0.3w/w%以上であってよく、0.5w/w%以上であってよい。エリオシトリンの含有量が上記範囲にあることにより、廃用性筋萎縮抑制作用がより一層顕著に奏される。また、本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制剤におけるエリオシトリンの含有量は、100w/w%以下であってよく、95w/w%以下であってもよい。
エリオシトリンは、例えば、柑橘類からの抽出若しくは精製、又は化学合成により得ることができる。エリオシトリンは、市販されているものを使用してもよい。
本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制剤は、エリオシトリンを含む柑橘類抽出物を有効成分とするものであってもよい。エリオシトリンを含む柑橘類抽出物を有効成分とすることにより、廃用性筋萎縮抑制作用がより優れたものとなる。
上記柑橘類としては、例えば、レモン、ライム、シークワサー、スダチ、ユズ、ダイダイ、カボスなどの香酸柑橘類、グレープフルーツ、ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ、サワーオレンジ、ハッサク、温州ミカン、イヨカン、ポンカン、あま夏、ブンタン等が挙げられる。上記柑橘類抽出物は、これらの柑橘類のうち、1種単独に由来するものであってもよく、2種以上に由来するものであってもよい。上記柑橘類としては、エリオシトリンの含有量が多いことから、レモン及びライムからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、レモンであることがより好ましい。
抽出に用いられる原料(抽出原料)としては、柑橘類の果実又はその構成成分が使用される。果実の構成成分としては、果皮、果汁、じょうのう膜、さのう及び種子が挙げられる。果実又はその構成成分のうち、エリオシトリンを多量に得ることが容易である点から、抽出原料として、果皮を用いることが好ましい。上記抽出原料は、乾燥、凍結、加工、粉砕、選別等の処理が施されたものであってもよい。
エリオシトリンを含む柑橘類抽出物は、上記抽出原料を抽出溶媒により抽出し、固液分離することで抽出液を得る工程(抽出工程)及び必要に応じて抽出液を合成吸着樹脂等により精製する工程(精製工程)を経て得ることができる。抽出溶媒としては、極性溶媒であることが好ましく、メタノール、エタノール及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種の抽出溶媒であることがより好ましい。
上記精製工程は、柑橘類抽出液を、例えば合成吸着樹脂を用いて、精製し、エリオシトリンを含む柑橘類抽出物を得る工程である。柑橘類抽出物は濃縮、乾燥等の処理を行った処理物を用いてもよい。濃縮、乾燥は公知の方法(例えば、減圧濃縮、凍結乾燥)により行うことができる。
上記柑橘類抽出物はレモン果皮抽出物であることが好ましい。これにより、廃用性筋萎縮抑制作用がより一層優れたものとなる。レモン果皮抽出物は、レモン果皮のメタノール、エタノール及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒抽出物であることが好ましく、水抽出物であることがより好ましい。
エリオシトリンは、例えば、高速液体クロマトグラフ(HPLC)分析等の公知の方法により分析することができる。
本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制剤は、上述の有効成分のみからなるものであってもよく、また上記有効成分の他、食品、医薬部外品又は医薬品に許容されるその他成分を含有するものであってもよい。その他成分として、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤等が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、ラクトース、スクロース、デンプン、デキストリン等が挙げられる。結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、結晶セルロース、寒天、ゼラチン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、デキストリン等が挙げられる。乳化剤又は界面活性剤としては、例えば、Tween60、Tween80、Span80、モノステアリン酸グリセリン等が挙げられる。基剤としては、例えば、セトステアリルアルコール、ラノリン、ポリエチレングリコール、米糠油、魚油(DHA、EPA等)、オリーブ油等が挙げられる。溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、Tween80等が挙げられる。懸濁化剤としては、例えば、Tween60、Tween80、Span80、モノステアリン酸グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制剤は、固体(例えば、粉末)、液体(水溶性又は脂溶性の溶液又は懸濁液)、ペースト等のいずれの形状でもよく、また、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤、軟膏剤、硬膏剤等のいずれの剤形をとってもよい。また、放出制御製剤の形態をとることもできる。
本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制剤は、医薬品、医薬部外品、食品組成物及び飼料組成物等の製品として、又はこれら製品の成分として使用することができる。当該食品組成物は、例えば、健康食品、機能性表示食品、特別用途食品、栄養補助食品、サプリメント及び特定保健用食品であってもよい。食品組成物の具体例としては、例えば、パン類、麺類、米類、豆腐、乳製品、醤油、味噌、菓子類、飲料等が挙げられる。飲料としては、例えば、水、清涼飲料水、果汁飲料、乳飲料、アルコール飲料、ノンアルコール飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク等が挙げられる。上記製品は、廃用性筋萎縮抑制用であってよい。
本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制用製品(特に、廃用性筋萎縮抑制用食品組成物)におけるエリオシトリンの含有量は、0.1w/w%以上であってよく、0.2w/w%以上であってよく、0.3w/w%以上であってよく、0.5w/w%以上であってよい。エリオシトリンの含有量が上記範囲にあることにより、廃用性筋萎縮抑制作用がより一層顕著に奏される。また、本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制用製品(特に、廃用性筋萎縮抑制用食品組成物)におけるエリオシトリンの含有量は、100w/w%以下であってよく、95w/w%以下であってもよい。
本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制剤、又は廃用性筋萎縮抑制用製品は、廃用性筋萎縮の抑制を介してロコモティブシンドローム(運動器症候群)を予防又は治療できるため、ロコモティブシンドローム予防剤若しくは治療剤、又はロコモティブシンドローム予防用製品若しくは治療用製品と捉えることもできる。
上記製品には、例えば、ロコモティブシンドロームを防ぐ旨、加齢によって衰える筋肉の維持に役立つ筋肉をつくる力をサポートする機能と歩行能力の改善に役立つ機能がある旨、自立した日常生活を送る上で必要な身体を支える力の維持に役立つ筋肉量や筋力の維持をサポートする機能がある旨、足の筋肉機能(立つ・歩くなどの動作に必要な筋力)の維持に役立つ旨等の表示が付されていてもよい。
本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制剤、又は廃用性筋萎縮抑制用製品は、ヒトに摂取されても、非ヒト哺乳動物に摂取されてもよい。本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制剤、又は廃用性筋萎縮抑制用製品の投与量(摂取量)は、エリオシトリン量に換算して、成人1日あたり、体重1kgあたり、例えば、0.1mg〜1gであってよく、1mg〜500mgであってもよい。投与量は、個体の状態、年齢等に応じて適宜決定することができる。
本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制剤、又は廃用性筋萎縮抑制用製品は、経口投与(摂取)されてもよく、非経口投与されてもよいが、経口投与されることが好ましい。廃用性筋萎縮抑制剤、又は廃用性筋萎縮抑制用製品は、1日あたりのエリオシトリン量が上記範囲内にあれば、1日1回投与されてもよく、1日複数回に分けて投与されてもよい。
本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制剤、又は廃用性筋萎縮抑制用製品は、継続的に摂取されることにより、廃用性筋萎縮抑制がより一層優れたものとなる。本実施形態に係る廃用性筋萎縮抑制は、4週間以上継続して摂取されてもよく、8週間以上継続して摂取されてもよく、12週間以上継続して摂取されてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、本実施例で用いた試薬は、すべて市販の特級試薬である。また、動物実験は、サッポロホールディングス株式会社価値創造フロンティア研究所動物実験規定に基づいて実施した(承認番号:2017−008)。
〔実施例1:レモン果皮抽出物の廃用性筋萎縮抑制試験〕
(レモン果皮抽出物の調製)
レモン果皮抽出物は以下の方法で調製した。インライン搾汁後のレモン果皮に2倍量の水を加え、25℃で2時間抽出した。得られた抽出液を珪藻土濾過し、次いで濾液をMF濾過した。得られた濾液を、Brix値40°になるまで減圧濃縮した。Brix値を参考にして算出した可溶性固形分量の2倍量のデキストリン(商品名:NSD300,サンエイ糖化製)を得られた濃縮液に添加した。次いで、デキストリンを添加した濃縮液を凍結乾燥して粉末化した。得られた粉末をレモン果皮抽出物(エリオシトリン0.5w/w%含有)として試験に供した。
(実験動物及び飼育条件)
日本エスエルシー社より購入した雄性C57BL/6NCrSlcマウスを試験に供した。マウスは、温度24±1℃、湿度48±4%、12時間の明暗サイクル(明期8:00−20:00)の環境下で飼育した。
(レモン果皮抽出物の廃用性筋萎縮抑制作用の評価)
坐骨神経を切除することで、不動化による筋萎縮(廃用性筋萎縮)を誘導させたマウスを用いて、レモン果皮抽出物の廃用性筋萎縮抑制作用を評価した。
5週齢の雄性C57BL/6NCrSlcマウスを、粉末飼料(AIN−93M)を給餌して1週間予備飼育した。予備飼育後のマウスを体重を基に群分けした(試験食群及び対照食群)。試験食群のマウスは、試験食としてAIN−93Mの15.0w/w%をレモン果皮抽出物で置換した粉末飼料(レモン果皮換算では5.0w/w%配合に相当する。エリオシトリン換算では0.025w/w%配合に相当する。)を給餌して、14日間飼育した。対照食群のマウスは、対照食としてAIN−93Mの15.0w/w%をデキストリン(商品名:NSD300,サンエイ糖化製)で置換した粉末飼料を給餌して、14日間飼育した。
試験食群及び対照食群のマウスの右後肢の坐骨神経を麻酔下で切除し、筋萎縮を誘導した(除神経処理)。試験食群及び対照食群のマウスの左後肢には、座骨神経の切除を行わなかったこと以外は、右後肢と同様の処理を施した(偽手術)。除神経処理及び偽手術の後、上記と同様にそれぞれ試験食及び対照食を給餌して、6日間飼育した。その後、両群のマウスを解剖して、左右後肢の腓腹筋を摘出した。摘出した腓腹筋の重量を測定し、測定結果から、腓腹筋量(体重当たりの腓腹筋量(mg/g体重))、及び腓腹筋維持率(偽手術した左後肢腓腹筋量に対する除神経処理した右後肢腓腹筋量の割合(%))を算出した。
なお、両群間での総摂餌量の差を無くすため、ペアフィーディングにより給餌量を調節した。
(結果)
腓腹筋量及び腓腹筋維持率の評価結果を表1及び図1に示す。表1及び図1に示す腓腹筋量及び腓腹筋維持率の値は、平均値±標準誤差(n=5〜6)である。統計解析はJMP 13(SAS)ソフトを用いた。腓腹筋量はTukeyの検定で多重比較を行い、また腓腹筋維持率はStudentのt検定で2群比較を行い、危険率5%未満を有意とした。
Figure 2019189571
表1及び図1に示すとおり、レモン果皮抽出物を摂取することで、除神経処理による筋重量(腓腹筋量)の低下が抑制されることが確認された。また、試験食群では、対照食群と比較して、腓腹維持率は有意に高値を示した(p<0.001)。この結果から、レモン果皮抽出物に廃用性筋萎縮の抑制作用が認められた。
〔実施例2:エリオシトリンの廃用性筋萎縮抑制試験〕
(エリオシトリンの調製)
エリオシトリンは以下の方法で調製した。レモン果皮抽出物(粉末)に酢酸エチルと蒸留水を加えて分配し、酢酸エチル画分と水画分を得た。水画分を回収した後、この水画分にn−ブタノールを加えて分配し、n−ブタノール画分と水画分を得た。n−ブタノール画分を回収した後、このn−ブタノール画分を中圧分取液体クロマトグラフ(LC)により分画し、エリオシトリンを多く含む画分を回収した。次いで、回収した画分をリサイクル分取LCにより分画して、エリオシトリンを精製した。精製したエリオシトリンを、高速液体クロマトグラフ(HPLC)により分析した結果、純度は95%以上であった。
エリオシトリンのHPLCによる分析条件を表2に、中圧分取LC分画条件を表3に、リサイクル分取LC分画条件を表4に示した。
Figure 2019189571

Figure 2019189571

Figure 2019189571
(エリオシトリンの廃用性筋萎縮抑制作用の評価)
試験食として、AIN−93Mの0.25w/w%を精製したエリオシトリンで置換した粉末飼料を使用したこと、及び対照食として、AIN−93Mの0.25w/w%をデキストリン(商品名:NSD300,サンエイ糖化製)で置換した粉末飼料を使用したこと以外は、実施例1と同様の手順で、腓腹筋量及び腓腹筋維持率を評価した。
(結果)
腓腹筋量及び腓腹筋維持率の評価結果を表5及び図2に示す。表5及び図2に示す腓腹筋量及び腓腹筋維持率の値は、平均値±標準誤差(n=7)である。統計解析はJMP 13(SAS)ソフトを用いた。腓腹筋量はTukeyの検定で多重比較を行い、また腓腹筋維持率はStudentのt検定で2群比較を行い、危険率5%未満を有意とした。
Figure 2019189571
表5及び図2に示すとおり、エリオシトリンを摂取することで、除神経処理による筋重量(腓腹筋量)の低下が抑制されることが確認された。また、試験食群では、対照食群と比較して、腓腹維持率は有意に高値を示した(p<0.05)。この結果から、エリオシトリンに廃用性筋萎縮の抑制作用が認められた。
〔参考例:クエン酸の廃用性筋萎縮抑制試験〕
(クエン酸の廃用性筋萎縮抑制作用の評価)
試験食として、AIN−93Mの1.0w/w%をクエン酸で置換した粉末飼料を使用したこと、及び対照食として、AIN−93Mの1.0w/w%をデキストリン(商品名:NSD300,サンエイ糖化製)で置換した粉末飼料を使用したこと以外は、実施例1と同様の手順で、腓腹筋量及び腓腹筋維持率を評価した。
(結果)
腓腹筋量及び腓腹筋維持率の評価結果を表6及び図3に示す。表6及び図3に示す腓腹筋量及び腓腹筋維持率の値は、平均値±標準誤差(n=7〜8)である。統計解析はJMP 13(SAS)ソフトを用いた。腓腹筋量はTukeyの検定で多重比較を行い、また腓腹筋維持率はStudentのt検定で2群比較を行い、危険率5%未満を有意とした。
Figure 2019189571
表6及び図3に示すとおり、クエン酸を摂取しても、除神経処理による筋重量(腓腹筋量)の低下の抑制は確認できなかった。また、試験食群と対照食群との間で、腓腹維持率に有意差は認められなかった。この結果から、クエン酸には、廃用性筋萎縮の抑制作用は認められなかった。
レモン果皮は、エリオシトリン等のポリフェノール成分の他、フルクトース等の糖類及びクエン酸等の有機酸を含んでいる。これらの中でもクエン酸は、含有量が高い成分である。そこで、実施例2及び参考例では、レモン果皮抽出物による廃用性筋萎縮の抑制作用に関与する成分を特定するために、エリオシトリン、及びクエン酸の摂取が廃用性筋萎縮に与える影響を評価した。その結果、エリオシトリンには、廃用性筋萎縮の抑制作用が認められたが(表5及び図2)、クエン酸には同抑制作用は認められなかった(表6及び図3)。これらの結果から、レモン果皮抽出物による廃用性筋萎縮の抑制作用は、エリオシトリンが関与成分であることが推定された。

Claims (6)

  1. エリオシトリンを有効成分として含有する、廃用性筋萎縮抑制剤。
  2. エリオシトリンを含む柑橘類抽出物を有効成分として含有する、廃用性筋萎縮抑制剤。
  3. 前記柑橘類抽出物がレモン果皮抽出物である、請求項2に記載の廃用性筋萎縮抑制剤。
  4. エリオシトリンを有効成分として含有する、廃用性筋萎縮抑制用食品組成物。
  5. エリオシトリンを含む柑橘類抽出物を有効成分として含有する、廃用性筋萎縮抑制用食品組成物。
  6. 前記柑橘類抽出物がレモン果皮抽出物である、請求項5に記載の廃用性筋萎縮抑制用食品組成物。
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