JP6161494B2 - 血漿タンパクを含有する筋萎縮改善用経口組成物及び筋萎縮改善剤 - Google Patents

血漿タンパクを含有する筋萎縮改善用経口組成物及び筋萎縮改善剤 Download PDF

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Description

本発明は、血漿タンパクを含有する筋萎縮改善用経口組成物及び筋萎縮改善剤に関する。
血漿タンパクとは、血漿中に溶解して全身を循環している蛋白質である。血漿タンパクでは、約半分を血漿アルブミンが占め、ついで各種免疫グロブリン、フィブリノゲン、リポ蛋白質等が含まれる。
従来、牛、豚等の血液から得られる血漿粉末又は血漿タンパク粉末が、初乳中の抗病因子免疫グロブリンと同等の効果を有する免疫グロブリンを含むことがしられている。そこで、血漿粉末又は血漿タンパク粉末を幼牛又は幼豚用の代用乳に用いて、幼牛又は幼豚の下痢の発生及び死亡率を減少させる方法が提案されている(特許文献1)。また、畜類や魚類の血液から得られる血漿パウダーをペットフードに配合し、ペットフードの膨化性、嗜好性及び消化性を向上させる方法が提案されている(特許文献2)。また、血漿タンパクを利用することで、子豚の離乳直後のストレスによる、食欲減退、下痢や重度の軟便発生の改善、免疫力の強化、生産効率の向上が可能であることが報告されている。一方、食品分野では、牛、豚等の血液から得られる血漿粉末を魚肉冷凍すり身、かまぼこ類の食品に添加し、食品の離水防止、弾力増強、油の乳化を行なう方法が提案されている(特許文献3及び4)。
さて、臨床的に、運動器官である筋肉は長時間の安静状態により筋力の低下、筋肉の萎縮等の症状を示すことが知られている。例えば、短期的な例として、病床での寝たきり状態や、骨折、靭帯損傷等の治療において、患部が動かないよう外から固定・保護し安静を保つ為に用いられるギプスにより、筋肉が長時間の安静状態になる。また、長期的な例として加齢に伴う運動量低下が原因となり、長期の低運動状態が続くことが原因による、筋肉の萎縮も挙げられる。このような状態が短期、長期に渡って続くことによって生じる臓器の退行性の変化、臨床症状は廃用症候群(disuse syndrome)と言われている。特に、加齢に伴う筋肉量低下に関しては、さらに症状が悪化し、筋力又は身体能力が低下するサルコペニア(sarcopenia、筋肉減弱症)といわれ、近年、患者の増加に伴い、その対応策が注目されつつある。
このため、経口組成物の摂取によって、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることの意義は大きい。
特開昭61-289845号公報 特開平02-299554号公報 特開昭59-28386号公報 特開平02-104261号公報
本発明は、筋萎縮を改善することができる筋萎縮改善用経口組成物及び筋萎縮改善剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために種々の検討を重ねていたところ、牛、豚等の血液から得られる血漿タンパクに、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させる作用があることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものであり、下記の実施態様が包含される。
項1. 1日投与単位中に、血漿タンパクを0.3mg/kg体重以上の割合で含有する筋萎縮改善用経口組成物。
項2. 粉末状、顆粒状、錠剤状、丸剤状、カプセル状、ゼリー状及び液状から選ばれる形態を有する、前記項1に記載の筋萎縮改善用経口組成物。
項3. 血漿タンパクを含有する筋萎縮改善剤。
項4. 1日投与単位中に、血漿タンパクを0.3mg/kg体重以上の割合で含有する、前記項3に記載の筋萎縮改善剤。
項5. 錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤及びゼリー剤から選ばれる投与形態を有する、前記項3又は4に記載の筋萎縮改善剤。
本発明の筋萎縮改善用経口組成物又は筋萎縮改善剤を摂取することにより、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができる。
(1)血漿タンパクを含有する筋萎縮改善用経口組成物
本発明の筋萎縮改善用経口組成物は、1日投与単位中に、血漿タンパクを0.3mg/kg体重以上の割合で含有することを特徴とする。本発明の筋萎縮改善用経口組成物を摂取することにより、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができる。
血漿タンパクは、通常牛又は豚の血液から調製される血漿タンパクである。本発明では、牛及び豚に限定されず、山羊、羊、馬、鹿、トナカイ、水牛、バッファロー等の哺乳動物の他、鳥類、魚類、爬虫類、両生類に属する動物の血液から調製される血漿タンパクも含まれる。好ましくは牛又は豚の血液から調製される血漿タンパクである。
血漿は、例えば、牛又は豚の血液を遠心分離により血球を除くことによって得られる。また、血漿タンパクは、例えば、血漿を限外濾過法、塩析法、カラム分離法等の適当な方法を用いて、タンパク質画分を濃縮させることによって得られる。これらの製法は特に限定されない。
血漿タンパクは、その粉末物を用いることも可能である。血漿タンパク粉末は、例えば、血漿タンパク(血漿から得た濃縮物)を噴霧乾燥する方法、凍結乾燥する方法等によって得られる。この製法は特に限定されない。
具体的には、次の方法によって血漿タンパク粉末を得ることができる。屠殺場で屠殺した豚から血液を得、それを遠心分離にかけ、血球画分を除き、血漿画分を得る。その血漿画分を濃縮し、80℃以上で噴霧乾燥(spray-dried)することにより、血漿タンパク粉末を得ることができる。追加的に、最終段階で、血漿タンパク粉末を低温殺菌処理しても良い。
本発明の筋萎縮改善用経口組成物に含まれる血漿タンパク又はその粉末物の割合としては、通常の体重60kgのヒトに対して、1日投与単位(1日摂取単位)中に、血漿タンパク又はその粉末物が0.3mg/kg体重程度以上の範囲で含まれる割合である。この配合割合により、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができる。血漿タンパク又はその粉末物は、好ましくは3mg/kg体重程度以上、より好ましくは30mg/kg体重程度以上の範囲で含まれる割合を挙げることができる。その上限は特に制限されない。例えば実施例に示すように、血漿タンパク又はその粉末物が、800mg/kg体重程度まで配合すれば足りるが、それ以上配合することに特に制限はされない。
筋萎縮改善用経口組成物の投与量又は摂取量は、筋萎縮改善用経口組成物の目的(萎縮した筋肉の早期回復)、当該筋萎縮改善剤の投与方法、投与形態、投与する患者の症状、年齢、体重等に応じて適宜選択される。一般には、有効成分である血漿タンパク又はその粉末物の投与量が、成人1日当り、0.3〜800mg/kg体重程度、好ましくは3〜800mg/kg体重程度の範囲で投与するのが好ましい。なお、当該投与は必ずしも1日1回である必要はなく1日3〜4回に分割して投与することも可能である。
血漿タンパク又はその粉末物の投与(摂取)量(mg/kg体重/日)
前記血漿タンパク又はその粉末物の投与量及び摂取量は、後記のラットを用いた実験例結果と一日摂取許容量(Acceptable Daily Intake、ADI)とから、定めた数値範囲である。
一日摂取許容量とは、食品に用いられた特定の物質を一生涯にわたり摂取し続けても、ヒトになんら影響を及ぼさないと考えられている一日あたりの摂取量であり、通常体重1kgあたりで示した値(単位:mg/kg体重/日)で示す(医学書院、医学大辞典、2003年3月1日発行)。具体的な算出方法は、先ず、実験動物になんら影響を及ぼさない最大の量(最大無毒性量、NOAEL: No Observed Adverse Effect Level、NOAEL)を求める。ついで、これに安全係数を乗じ、更にヒトの体重を考慮して、一日摂取許容量を算出する。安全係数としては、一般にラット等(げっ歯類)の実験動物とヒトとの種の違いを考慮して1/100が用いられる。言い換えると、実験動物により得られた最大無毒性量の1/100量から多い量が、ヒトに対して影響を及ぼす量(一日摂取許容量)とされる。
ADI=NOAEL×1/100
そして、この一日摂取許容量の概念を基に、その有効成分のヒトに対する投与量・摂取量について、効果を表す有効成分の最小の投与量(最小有効量)を決定することが可能である。
後述のラットを用いた実験例では、経口組成物において、1日投与単位(1日摂取単位)中に、血漿タンパク又はその粉末物が30mg/kg体重程度以上の範囲で含まれると、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができることが立証された。
よって、通常の体重60kgのヒトに対する血漿タンパク又はその粉末物の最小有効量は、その値の1/100量である、0.3mg/kg体重/日程度以上の範囲となる。つまり、本発明の筋萎縮改善用経口組成物に含まれる血漿タンパク又はその粉末物の割合としては、通常の体重60kgのヒトに対して、1日投与単位(1日摂取単位)中に、血漿タンパク又はその粉末物が0.3mg/kg体重程度以上の範囲で含まれると、ヒトに対して廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができると考えられる。
その上限は特に制限されず、例えば後記の実施例に示すように、血漿タンパク又はその粉末物が、800mg/kg体重程度まで配合すれば足りる。
本発明の筋萎縮改善用経口組成物の投与又は摂取方法は、通常経口投与・摂取である。しかし、目的又は投与若しくは摂取方法に応じて、経腸投与・摂取、経胃瘻投与又は経鼻胃管投与を採用することも可能である。
その投与又は摂取方法に応じて、任意の形態に調製することができる。例えば、血漿タンパク又はその粉末物を単独で、又は必要に応じて薬学的又は食品上許容される担体や添加剤と共に、粉末状、顆粒状、錠剤(チュアブル錠を含む)状、丸剤状、カプセル状等の固形剤形態、又は乳濁液、ペースト状、ゼリー状、溶液(ドリンク状等を含む)等の液剤形態に調製することができる。好ましくは、粉末状、顆粒状、錠剤(チュアブル錠を含む)状、丸剤状、カプセル状等の固形剤形態、ゼリー状、溶液等の液剤形態である。
本発明の筋萎縮改善用経口組成物は、血漿タンパク又はその粉末物だけからなるものであってもよく、また血漿タンパク又はその粉末物に加えて、使用が可能担体又は添加剤と共に調製しても良い。
本発明の筋萎縮改善用経口組成物に配合される血漿タンパク又はその粉末物の割合は、血漿タンパク又はその粉末物の1日あたりの摂取量が上記範囲となるように、適宜選択設定することができる。つまり、筋萎縮改善用経口組成物は血漿タンパク又はその粉末物だけからなるものであってもよく、血漿タンパク又はその粉末物の配合割合は特に制限されない。筋萎縮改善用経口組成物中の血漿タンパク又はその粉末物の配合割合は、通常0.1〜99重量%程度の範囲から適宜選択設定することができる。
本発明の筋萎縮改善用経口組成物には、血漿タンパク又はその粉末物の含有割合が1日摂取あたり上記の割合になるように、筋萎縮改善用に一般の食品に添加することが可能である。言い換えれば、血漿タンパク又はその粉末物を食品の原材料の一つ(添加物)として使用することが可能である。
本発明の筋萎縮改善用経口組成物は、後記実施例で示すように、有効成分として含む血漿タンパク又はその粉末物に起因して、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させる作用を発揮する。
(2)血漿タンパクを含有する筋萎縮改善剤
本発明の筋萎縮改善剤は、血漿タンパクを含有することを特徴とし、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることが可能である。
近年、食品の概念が拡大し、特定の用途、例えば特定の生理学的機能を付与する用途に摂取される医薬品様のものが多く存在することから、「剤」と表現した場合でも、健康食品等をも意味することが社会通念である。そのため、本発明の筋萎縮改善剤は、「筋萎縮改善剤」用途に用いられる医薬品のみを意味するものではなく、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができる機能を有し、健康維持等を目的として摂食される医薬品類似の組成物(健康食品等)をも意味する。
本発明の「筋萎縮改善剤」は、医薬品用途に用いられる組成物に限定されるものではなく、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができる、次の健康食品等をも意味する。
健康食品(保健機能食品)
特定保健用食品:特保(とくほ)。体の生理学的機能等に影響を与える保健機能成分を含み、特定の効能が認められ、その効能を表示することを消費者庁から許可された食品。商品には、特定の効能が期待できる旨の文言と、「消費者庁許可特定保健用食品」等の証票が表示される。
栄養機能食品:高齢化や食生活の乱れ等で不足しがちな栄養成分の補給・補完のために利用する食品。販売するためには、厚生労働省の定めた基準を満たし、且つ、決められた栄養成分の栄養機能表示と注意喚起表示が必要となる。
サプリメント:栄養補助食品、健康補助食品。不足し易い栄養素を補うための食品であり、栄養素を凝縮し、錠剤や飲料の形にしたもの。
特別用途食品:厚生労働省が認可した病者用食品、妊産婦・授乳用粉乳、高齢者用食品等。特別用途食品マークが付けられている。特定保健用食品も特別用途食品の分類に入る。
機能性食品:体調を整える効果をもつとされる加工食品。栄養や味ではなく、生体調節機能を人工的に強化している。保健機能食品とは違い、効能を示すことはできない。
本発明の筋萎縮改善剤は、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させる作用を有することから、健康食品等として好適に提供することができる。
本発明の筋萎縮改善剤は、血漿タンパクを含み、従来知られていなかった廃用症候群により萎縮した筋肉の早期回復効果を奏し、筋萎縮改善剤として機能する。本発明の筋萎縮改善剤は、従来技術の用途とは全く異なる筋萎縮改善用途に用いられるものである。
血漿タンパクは、前述の血漿タンパク又はその粉末物を用いることができる。
本発明の筋萎縮改善剤は、血漿タンパク又はその粉末物だけからなるものであってもよく、また血漿タンパク又はその粉末物に加えて、使用が可能な又は薬学的に許容された担体又は添加剤と共に調製しても良い。また本発明の筋萎縮改善剤は、筋萎縮改善効果を付与するための添加剤等をも意味する。
担体としては、製剤の投与形態に応じて通常使用される賦形剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、滑沢剤、溶解補助剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤等が例示できる。
添加剤としては、製剤の投与形態に応じて通常使用される安定化剤、保存剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、着色剤、香料、風味剤、甘味剤などが例示できる。
本発明の筋萎縮改善剤は、前記筋萎縮改善用経口組成物での説明の通り、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができる程度に、血漿タンパク又はその粉末物を含む。通常、体重60kgのヒトに対して、1日投与単位(1日摂取単位)中に、血漿タンパク又はその粉末物が、0.3mg/kg体重程度以上の範囲で含まれる割合が好ましい。血漿タンパク又はその粉末物は、より好ましくは3mg/kg体重程度以上、更に好ましくは30mg/kg体重程度以上の範囲で含まれる割合を挙げることができる。その上限は特に制限されない。例えば実施例に示すように、血漿タンパク又はその粉末物が、800mg/kg体重程度まで配合すれば足りるが、それ以上配合することに特に制限はされない。
筋萎縮改善剤の投与量は、筋萎縮改善剤の目的(萎縮した筋肉の早期回復)、当該筋萎縮改善剤の投与方法、投与形態、投与する患者の症状、年齢、体重等に応じて適宜選択される。一般には、有効成分である血漿タンパク又はその粉末物の投与量が、成人1日当り、0.3〜800mg/kg体重程度、好ましくは3〜800mg/kg体重程度の範囲で投与するのが好ましい。なお、当該投与は必ずしも1日1回である必要はなく1日3〜4回に分割して投与することも可能である。
本発明の筋萎縮改善剤に配合される血漿タンパク又はその粉末物の割合は、血漿タンパク又はその粉末物の1日あたりの摂取量が上記範囲となるように、適宜選択設定することができる。つまり、筋萎縮改善剤は血漿タンパク又はその粉末物だけからなるものであってもよく、血漿タンパク又はその粉末物の配合割合は特に制限されない。筋萎縮改善剤中の血漿タンパク又はその粉末物の配合割合は、通常0.1〜99重量%程度の範囲から適宜選択設定することができる。
本発明の筋萎縮改善剤には、血漿タンパク又はその粉末物の含有割合が1日摂取あたり上記の割合になるように、筋萎縮改善用に一般の食品に添加することが可能である。言い換えれば、血漿タンパク又はその粉末物を食品の原材料の一つ(添加物)として使用することが可能である。
筋萎縮改善剤の投与形態(製剤形態)は、投与経路に応じて各種適宜選択することができ、これらは大きく経口投与剤、経腸投与剤、経胃瘻投与剤等に分類される。これらは常法に従って、錠剤(チュアブル錠を含む)、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤等の固体投与形態;ゼリー剤、溶液(ドリンク剤等を含む)、乳液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ等の液剤投与形態に、調合、成形乃至調製することができる。また、使用前に適当な担体の添加によって液状となし得る乾燥品として調製されてもよい(例えば、ドライシロップ等)。これらはいずれも常法に従い調製できる。好ましくは、錠剤(チュアブル錠を含む)、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤等の固体投与形態、ゼリー剤、溶液等の液剤投与形態である。
各種形態の製剤は、その形態に応じた適切な投与経路を通じて投与することができる。例えば固体投与形態及び液剤投与形態の製剤は、経口投与等により投与することができる。また液剤投与形態の製剤は、経鼻(経鼻胃管)投与、経腸投与、経胃瘻投与等により投与することができる。経腸的投与製剤には、腸に直接投与して用いられる製剤の他、胃壁と腹壁に跨って穴を開けて増設された胃瘻から胃に直接投与して用いられる製剤(胃瘻用経腸栄養剤等)が含まれる。また経鼻的投与製剤には、鼻から栄養チューブを挿入して食道内まで到達させて用いられる製剤(経鼻胃管栄養剤等)が含まれる。
本発明の筋萎縮改善剤は、後記実施例で示すように、有効成分として含む血漿タンパク又はその粉末物に起因して、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させる作用を発揮する。
また、骨・関節・筋肉等体を支えたり動かしたりする運動器が衰えたり、障害を持ったりすることによって、要介護や寝たきりになる危険が高い状態になることがある。これをロコモティブ症候群(locomotive syndrome、運動器症候群)という。これは、加齢や生活習慣が原因と言われている。また、筋肉量が低下し、筋力又は身体能力が低下することをサルコペニア(sarcopenia、筋肉減弱症)という。これは、加齢によるもの(原発性サルコペニア)及び不活動・疾患・低栄養等によるもの(二次性サルコペニア)がある。サルコペニアは、主に高齢者にみられ、運動・身体機能に障害が生じたり、転倒・骨折の危険性が増大したりして、自立した生活を困難にする原因となることがある。
本発明の筋萎縮改善用経口組成物及び筋萎縮改善剤は、廃用症候群に対して有効に用いることができるだけでなく、その効果から、これらロコモティブ症候群やサルコペニアにより低下した筋力を回復させる目的でも有効に用いることができる。
本発明は、日常的に且つ長期間にわたって手軽に摂取することができる筋萎縮改善用経口組成物及び筋萎縮改善剤として有用である。
以下、実施例により本発明をより明確に説明する。但し、本発明はかかる実施例に何ら限定されるものではない。
ラット下肢ギブス固定筋委縮モデルを用いた筋委縮改善薬の回復効果試験
ラットを用いて下肢廃用性モデルの筋委縮に対する被験物質の改善効果を検討した。
(1)血漿タンパク
血漿タンパクとして、下記スプレードライ・ブタ血漿(粉末物)を使用した。
名称:K-1(ブタ血漿A)、K-2(ブタ血漿B)、K-3(ブタ血漿C)及びK-4(ブタ血漿D)(Proliant Meat Ingredients社製、APROPORK(R)、SPRAY DRIED PORK PLASMA)
保管方法:室温保管
媒体の名称:水道水
(2)投与液の調製方法
調製濃度
必要量秤量し水道水に混和して100mg/mLの濃度に調製した。
投与素材
K-1は、タンパクとして、ブタ血漿を含まず、カゼインのみを含む投与素材である。
K-2〜K-4は、タンパクとして、ブタ血漿を含む投与素材である。
Figure 0006161494
調製頻度
一週間分の必要量をまとめて調製した。調整後の溶液は冷蔵保管し、1日の必要量を小分けし、室温に戻して投与した。
(3)試験系
動物
種:Wistar系ラット
性別:雄
使用動物数:30匹
週齢(入手時):8週齢
供給源:日本エスエルシー株式会社
マウス及びラットを用いた廃用性モデルの検討は、多々報告があり、バックグラウンドデータの豊富なラットを選択した。尾部に油性マジックインクで動物番号を示す棒線を入れ個体識別するとともに,試験番号,性別,動物番号を記入したラベルを各ケージに貼付して、個体を識別した。
(4)飼育条件
飼育室の環境条件
飼育室名:マウス、ラット飼育室
温度:24±2℃
湿度:50%±20%
換気回数:13回/時間
照明時間:12時間/日(7〜19時)
ケージ
種類:プラスチック製、蓋ステンレス製ケージ(136mm W×208mm D×115mm H)
収容匹数/ケージ:1匹/ケージの個別飼育
床敷き交換頻度:各飼育ケージの床敷き交換は、週2回行った。
飼料
種類:市販固型飼料CE-2(日本クレア(株))
給餌方法:1日約50g/匹を通常給餌した。
給水
種類:水道水
給水方法:給水瓶にて自由に摂取させた。
(5)試験系
ラットの群構成と被験物質の投与量
各ラット群に対して、100mg/mL濃度の被験物質を、下記量で投与した。
投与方法は、経口投与とした。胃ゾンデを取り付けた5mLディスポーザブル注射筒を用いて、グループ3〜5において、200mg/2mL/bodyの割合で7日間連続投与を行った。
グループ1のコントロール群については、2mL/bodyで水道水を投与した。つまり、投与素材にタンパクを含まないグループである。
Figure 0006161494
被験物質の投与量は200mg/dayとした。
ラットの体重を245gとして、「体重換算量」を計算した。
体重換算すると、投与素材中のタンパク合計量として約81mg/kg/dayである。
Figure 0006161494
(6)結果
処置及び下肢筋肉量の測定
馴化飼育後、動物をペントバルビタール(20mg/kg)の腹腔内投与により麻酔を施した。
その後、右側下肢は非処置の対照側とし、左側下肢を大腿部〜足先全体にスコッチキャストギプス包帯を巻き付けて10日間固定し、筋肉の運動量を低下させた(右側非処理:左側ギプス処理)。
その後、ギプスを切除し、7日間の回復期間を設けた。
そして、ギプス固定・回復期間後17日目に解剖し、左右下肢の筋肉量の測定を行った。
ペントバルビタールの腹腔内投与による深麻酔下に放血し、安楽死させたのちに、両側のヒラメ筋、腓腹筋、足底筋及び長趾伸筋を分離・摘出後、重量を測定し、ギプス固定側(左側下肢)の筋肉量(重量)を非ギプス固定側(右側下肢)の筋肉量(重量)で割り、萎縮率(%)を算出した。
得られた数値データは、mean±S.D.で表示した。
Figure 0006161494
試験期間中、各グループのラットの体重は正常に推移した。
ラットグループ1(コントロール群)は、被験物質として水道水を用いたグループである。ラットグループ1では、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復することができなかった。グループ1では、非処置の右側下肢に対するギプス包帯処置の左側下肢の回復力が、例えば腓腹筋(速筋)で77.9%、ヒラメ筋(遅筋)で71.6%程度に止まった。
ラットグループ2は、被験物質としてカゼインを含むがブタ血漿を含まない投与素材を用いたグループである。ラットグループ2では、コントロール群と同等の萎縮率であったため、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復することができなかった。グループ2では、非処置の右側下肢に対するギプス包帯処置の左側下肢の回復力が、例えば腓腹筋(速筋)で78.3%、ヒラメ筋(遅筋)で74.2%程度に止まった。
ラットグループ3〜5は、被験物質としてブタ血漿を含む投与素材を用いたグループである。ラットグループ3〜5では、コントロール群と比べて、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復することができた。
ラットグループ3では、非処置の右側下肢に対するギプス包帯処置の左側下肢の萎縮率が、例えば腓腹筋(速筋)で82.1%、ヒラメ筋(遅筋)で88.2%と、コントロール群と比較して改善した。ラットグループ4では、非処置の右側下肢に対するギプス包帯処置の左側下肢の萎縮率が、例えば腓腹筋(速筋)で84.2%、ヒラメ筋(遅筋)で88.4%と、コントロール群と比較して改善した。ラットグループ5では、非処置の右側下肢に対するギプス包帯処置の左側下肢の萎縮率が、例えば腓腹筋(速筋)で85.0%、ヒラメ筋(遅筋)で89.7%と、コントロール群と比較して改善した。他の筋肉量も、同様に回復力が向上した。
実施例から、ブタ血漿を摂取したラットグループで、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復できることが確認された。
特に、ブタ血漿を8mg/day以上摂取したラットグループ3〜5で、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復できることが確認された。つまり、経口組成物は、ラットに対して、1日投与単位中に、血漿タンパクを30mg/kg体重以上の割合で摂取することにより、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復できることが立証された。
(7)考察
上記結果より、通常の体重60kgのヒトに対する血漿タンパク又はその粉末物の最小有効量は、上記値の1/100量である、0.3mg/kg体重/日程度以上の範囲となる。つまり、本発明の筋萎縮改善用経口組成物に含まれる血漿タンパク又はその粉末物の割合としては、通常の体重60kgのヒトに対して、1日投与単位(1日摂取単位)中に、血漿タンパク又はその粉末物が0.3mg/kg体重程度以上の範囲で含まれると、ヒトに対して廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができると考えられる。
本発明の筋萎縮改善用経口組成物又は筋萎縮改善剤を摂取することにより、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができる。また、本発明の筋萎縮改善用経口組成物又は筋萎縮改善剤を摂取することにより、廃用症候群に対して用いるだけでなく、ロコモティブ症候群やサルコペニアにより低下した筋力を回復させる目的でも有効に用いることができる。
(8)調製例
以下の処方により、血漿タンパクを含有する筋萎縮改善用経口組成物及び筋萎縮改善剤(健康食品等)を調製した。
Figure 0006161494
処方例1では、1錠剤あたり、血漿タンパクを100mg摂取できる。ヒトに対して、1日あたり、1錠を摂取することが好ましい。
Figure 0006161494
処方例2では、1錠剤あたり、血漿タンパクを18mg摂取できる。ヒトに対して、1日あたり、1錠を摂取することが好ましい。
Figure 0006161494
処方例3では、1錠剤あたり、血漿タンパクを90mg摂取できる。ヒトに対して、1日あたり、2錠を摂取することが好ましい。
Figure 0006161494
処方例4では、顆粒剤は、通常、体重60kgのヒトに対して、1日投与単位(1日摂取単位)中に、血漿タンパクが、0.3mg/kg体重程度以上の範囲で含まれる量を摂取することが好ましい。
Figure 0006161494
処方例5では、1カプセルあたり、血漿タンパクを105mg摂取できる。ヒトに対して、1日あたり、1カプセルを摂取することが好ましい。
Figure 0006161494
処方例6では、1液剤あたり、血漿タンパクを20000mg摂取できる。ヒトに対して、1日あたり、1液剤を摂取することが好ましい。
Figure 0006161494
処方例7では、1ゼリー剤あたり、血漿タンパクを16000mg摂取できる。ヒトに対して、1日あたり、3ゼリー剤を摂取することが好ましい。
本発明の筋萎縮改善用経口組成物及び筋萎縮改善剤(健康食品等)は、上記の通り、廃用症候群により萎縮した筋肉を早く回復させることができる程度に、血漿タンパク又はその粉末物を含む。通常、体重60kgのヒトに対して、1日投与単位(1日摂取単位)中に、血漿タンパク又はその粉末物が、0.3mg/kg体重程度以上の範囲で含まれる割合が好ましい。つまり、体重60kgのヒトを例にとると、1日投与(1日摂取)量として、血漿タンパク又はその粉末物が、18mg程度以上の範囲で含まれる割合が好ましい。また、筋萎縮改善用経口組成物及び筋萎縮改善剤(健康食品等)では、血漿タンパクの摂取量の上限は特に制限されず、800mg/kg体重程度(体重60kgのヒト:48000mg程度)まで配合すれば足りる。

Claims (5)

  1. 1日投与単位中に、血漿タンパクを0.3mg/kg体重以上の割合で含有する筋萎縮改善用経口組成物。
  2. 粉末状、顆粒状、錠剤状、丸剤状、カプセル状、ゼリー状及び液状から選ばれる形態を有する、請求項1に記載の筋萎縮改善用経口組成物。
  3. 血漿タンパクを含有する筋萎縮改善剤。
  4. 1日投与単位中に、血漿タンパクを0.3mg/kg体重以上の割合で含有する、請求項3に記載の筋萎縮改善剤。
  5. 錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、カプセル剤及びゼリー剤から選ばれる投与形態を有する、請求項3又は4に記載の筋萎縮改善剤。
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