JP6265335B2 - 骨密度増加剤、破骨細胞活性抑制剤及び骨リモデリング改善剤 - Google Patents

骨密度増加剤、破骨細胞活性抑制剤及び骨リモデリング改善剤 Download PDF

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Description

本発明は、サケ鼻軟骨プロテオグリカンを有効成分として含有する骨密度増加剤、破骨細胞活性抑制剤、骨リモデリング改善剤及び食品に関する。
骨粗鬆症は国民の健康にとって大きな脅威の1つである。骨粗鬆症の患者は、高齢女性を中心に年々増加しており、ヨーロッパ、日本、アメリカを含めると、7500万人以上が骨粗鬆症に罹患し、ヨーロッパとアメリカを合わせると毎年230万件の骨折が骨粗鬆症によって発生している。我が国でも大腿骨頸部骨折は年間に12万件を超えると推定され、そのうちの約10%は1年以内に死亡し、約30%は日常生活動作能力が低下する。このように、骨の健康を保つ必要性は男女とも同じであり、すべての年齢を通じて骨粗鬆症を予防することが必要であるという認識は、世界に共通なものとなっている。
ところで、1991年の骨粗鬆症のコンセンサス会議において、骨粗鬆症は、「低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である」と定義され、骨強度の大部分が骨量により規定されると考えられていたが、2000年の米国国立衛生研究所(NIH)コンセンサス会議において、従来の骨密度を中心とする考え方が改められ、骨粗鬆症の定義が「骨強度の低下を特徴とする骨折リスクが増大しやすくなる骨格疾患である」と修正された。この会議で、骨強度は骨密度及び骨質の2つの要因から規定されることが示された。骨質に関するすべての要因(微細構造、骨代謝回転、微小骨折、石灰化等)は骨密度とともに骨強度に影響を及ぼし、骨折危険因子となりうることから、骨強度の向上には、骨密度改善と骨質改善の両方を考慮する必要がある。
骨粗鬆症は、骨リモデリング(骨代謝回転)のバランスが崩れて、骨吸収が骨形成を上回り、骨量及び骨質が低下することによって起こる。女性ホルモン(エストロゲン)は骨の代謝に大きな関わりがあり、特に女性は閉経により急激にエストロゲンに分泌が悪くなるため、高齢の女性は骨粗鬆症になりやすい。現在は、骨粗鬆症予防のために、閉経後の女性において食事によりカルシウム不足を補うことが指導されている。
一方、サケの鼻軟骨は、プロテオグリカンを豊富に含むことが知られている。プロテオグリカンは、タンパク質と糖鎖とが共有結合した複合糖質の1種であり、高度の水分保持能力、水分補充能力、解毒、鎮痛等の作用をもつことが知られている。従来は、牛の気管軟骨、豚皮、ニワトリのトサカ等から抽出していたプロテオグリカンが使用されていたが、非常に高額であり、また狂牛病、鳥インフルエンザ等の病気が社会問題となり、これらの原料の使用が難しくなったことから、サケ鼻軟骨から分離及び精製されたプロテオグリカンが注目されている(特許文献1及び2)。
特許第3731150号公報 国際公開第WO2012/099216号
本発明は、安全性が高く、優れた骨粗鬆症予防又は治療効果を有する薬剤及び食品を提供することを課題とする。
本発明者らは、サケ鼻軟骨を精製して得られたプロテオグリカンの骨粗鬆症予防効果について鋭意研究を重ねた結果、優れた骨密度増加作用、破骨細胞活性抑制作用又は骨リモデリング改善作用を有することを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の骨密度増加剤等を提供する。
項1.サケ鼻軟骨プロテオグリカンを有効成分として含有する骨密度増加剤。
項2.サケ鼻軟骨プロテオグリカンを有効成分として含有する破骨細胞活性抑制剤。
項3.サケ鼻軟骨プロテオグリカンを有効成分として含有する骨リモデリング改善剤。
項4.サケ鼻軟骨プロテオグリカンを含有する骨密度増加食品。
項5.サケ鼻軟骨プロテオグリカンを含有する破骨細胞活性抑制食品。
項6.サケ鼻軟骨プロテオグリカンを含有する骨リモデリング改善食品。
本発明の骨密度増加剤、破骨細胞活性抑制剤又は骨リモデリング改善剤は、有効成分として、優れた骨密度増加作用、破骨細胞活性抑制作用又は骨リモデリング改善作用を有し、安全性が高いサケ鼻軟骨プロテオグリカンを含んでいることから、骨粗鬆症を予防又は治療するための食品、医薬品、医薬部外品等として有用である。また、本発明によれば、従来廃棄されていたサケの頭部を有効利用することができ、廃棄物の軽減に役立つ。
ラット血清中オステオカルシン濃度の測定結果を示すグラフである。 ラット血清中TRAP−5b濃度の測定結果を示すグラフである。 閉経後骨粗鬆症モデルラットへのサケ鼻軟骨プロテオグリカン投与の全骨塩量への影響を示すグラフである。 閉経後骨粗鬆症モデルラットへのサケ鼻軟骨プロテオグリカン投与の全骨密度への影響を示すグラフである。 閉経後骨粗鬆症モデルラットへのサケ鼻軟骨プロテオグリカン投与の全骨断面積への影響を示すグラフである。 閉経後骨粗鬆症モデルラットへのサケ鼻軟骨プロテオグリカン投与の海綿骨塩量(左図)及び海綿骨密度(右図)への影響を示すグラフである。 閉経後骨粗鬆症モデルラットへのサケ鼻軟骨プロテオグリカン投与の皮質骨塩量(左図)及び皮質骨密度(右図)への影響を示すグラフである。 閉経後骨粗鬆症モデルラットへのサケ鼻軟骨プロテオグリカン投与の皮質骨断面積への影響を示すグラフである。 閉経後骨粗鬆症モデルラットへのサケ鼻軟骨プロテオグリカン投与の皮質骨厚への影響を示すグラフである。 閉経後骨粗鬆症モデルラットへのサケ鼻軟骨プロテオグリカン投与の皮質骨外膜周囲長(左図)及び皮質骨内膜周囲長(右図)への影響を示すグラフである。 閉経後骨粗鬆症モデルラットへのサケ鼻軟骨プロテオグリカン投与の骨末端部のX軸断面係数(左図)及び極座標断面係数(右図)への影響を示すグラフである。 閉経後骨粗鬆症モデルラットへのサケ鼻軟骨プロテオグリカン投与の骨幹部のX軸断面係数(左図)及び極座標断面係数(右図)への影響を示すグラフである。 閉経後骨粗鬆症モデルラットへのサケ鼻軟骨プロテオグリカン投与の骨末端部のX−SSI(左図)及びY−SSI(右図)への影響を示すグラフである。 閉経後骨粗鬆症モデルラットへのサケ鼻軟骨プロテオグリカン投与の骨末端部のPolar−SSIへの影響を示すグラフである。 閉経後骨粗鬆症モデルラットへのサケ鼻軟骨プロテオグリカン投与の骨幹部のX−SSI(左図)及びY−SSI(右図)への影響を示すグラフである。 閉経後骨粗鬆症モデルラットへのサケ鼻軟骨プロテオグリカン投与の骨幹部のPolar−SSIへの影響を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
サケ(Oncorhynchus keta(Walbaum))は、サケ目サケ科サケ属に分類される魚である。サケとしては、一般的名称として標準和名であるサケの他、シロザケ、アキアジ、秋サケ、シャケ等と呼ばれるものも使用することができる。本発明では、主に北東北又は北海道沿岸で漁獲されたシロザケ等を缶詰等の食料品に加工処理する際に廃棄される頭部が使用される。
サケの鼻軟骨から、例えば、上記特許文献2に記載されたプロテオグルカンの大量調製法を用いてプロテオグリカンを製造することができる。具体的には、サケの鼻軟骨を凍結した後、1小片が0.001〜0.5gとなるようにブレンダー等を用いて破砕し、80℃以上、好ましくは100℃の水中で、3時間より長い時間、好ましくは4時間加熱して抽出を行い、遠心分離(5000rpm、20分。4℃)し、不溶物を取り除いて上清を回収し、これを凍結乾燥することによりサケ鼻軟骨プロテオグリカンを製造することができる。また、市販されているサケ鼻軟骨プロテオグリカンを使用することもできる。
サケ鼻軟骨プロテオグリカンは、下記実施例で詳述するように、優れた骨密度増加作用、破骨細胞活性抑制作用又は骨リモデリング改善作用を有することから、これらを有効成分として含有する製剤は、骨密度増加剤、破骨細胞活性抑制剤又は骨リモデリング改善剤となり得る。さらに、サケ鼻軟骨プロテオグリカンは、副作用が少なく、長期投与が可能であることから、食品、医薬部外品、医薬品等として使用することができる。例えば、本発明の骨密度増加剤、破骨細胞活性抑制剤又は骨リモデリング改善剤を医薬品として用いる場合、哺乳動物(特に、ヒト)における骨粗鬆症の予防薬又は治療薬となり得る。特に、サケ鼻軟骨プロテオグリカンは、破骨細胞活性を低下させて骨リモデリングにおける骨芽細胞活性と破骨細胞活性とのバランスを正常状態に近づけることにより、骨密度、特に皮質骨の骨密度を上昇させる効果が高く、それにより骨粗鬆症を予防又は治療することができる。
本発明の骨密度増加剤、破骨細胞活性抑制剤又は骨リモデリング改善剤を医薬品とする場合は、例えば、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、被覆錠剤、カプセル剤、トローチ剤等の経口用固形製剤;内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等の経口用液体製剤とすることができる。
なお、経口用固形製剤を調製する場合には、本発明のサケ鼻軟骨プロテオグリカンに、製剤化に通常用いられる賦形剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤や、必要により安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、抗酸化剤等を適宜選択して加えた後、常法により所望の形態に製剤化することができる。また、経口用液体製剤を調製する場合には、本発明のサケ鼻軟骨プロテオグリカンに、矯味剤、矯臭剤、安定化剤等を適宜加えて常法により所望の形態に製剤化することができる。
本発明に係る医薬品の投与量は、症状の程度、年齢、性別、体重、投与形態の種類、疾患の具体的な種類等に応じて、製剤学的な有効量を適宜選択することができる。投与量の一例を挙げると、経口投与の場合、通常、成人において、有効成分量として500〜2,500mg/kg程度が適当であり、これを1日1回〜数回に分けて投与すればよい。
なお、本発明の骨密度増加剤、破骨細胞活性抑制剤又は骨リモデリング改善剤は、ヒトだけでなく、ヒト以外の哺乳動物(例えば、家畜、愛玩動物等)に対しても使用することができる。
本発明の骨密度増加剤、破骨細胞活性抑制剤又は骨リモデリング改善剤は、これをそのまま食品添加剤として飲食物中に添加して、骨密度増加食品、破骨細胞活性抑制食品又は骨リモデリング改善食品とすることができる。このようにして得られる飲食品は、日常的に摂取することが可能であるため、骨粗鬆症の予防又は改善効果が期待でき、骨の健康維持のために極めて有用である。
ここで、飲食品とは、一般食品、健康食品、機能性食品、医薬部外品等を広く含むものであり、具体的には、例えば、各種飲料、麺類、乳製品(加工乳、ヨーグルト等)、菓子類(ゼリー、チョコレート、ビスケット、ガム、錠菓等)、油脂及び油脂加工食品、調味料、その他種々の形態の機能性食品等が挙げられる。機能性食品としては、骨粗鬆症の予防又は改善をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した健康食品、健康・栄養補助食品、病者用食品、特定保健用食品等が挙げられる。
また、上記飲食品には、ヒトを対象とするものだけでなく、ヒト以外の哺乳動物を対象とする飲食品、例えば、ペットフード、飼料、療法食等も含まれる。
上記食品中には、通常用いられる補助的な原料又は添加物、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マントース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等を配合することができる。
本発明のサケ鼻軟骨プロテオグリカンを食品添加剤として飲食物中に添加する場合には、その添加量については、特に限定的ではなく、食品の種類に応じ適宜決めればよい。一例としては、乾燥重量として含有量が2.0〜10.0重量%程度の範囲内となるように添加すればよい。
以下、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
(1)飼育飼料の作製
上述の特許文献2(国際公開第WO2012/099216号)に記載の方法に従って、サケ頭部からサケ鼻軟骨プロテオグリカンを製造した。得られたサケ鼻軟骨プロテオグリカン粉末をラット飼育用固形飼料(MF)に0.83重量%、4.15重量%又は8.3重量%濃度で混合して特別飼育飼料を作製した。対照としてラット飼育用固形飼料(MF)に炭酸カルシウムを2重量%濃度で混合した飼育飼料を用いた。
(2)骨粗鬆症モデルラットの作製
実験にはSDラット8週齢雌60匹を用いた。1週間の馴化飼育後、そのうちの50匹の両側卵巣を外科的に摘出し、閉経後骨粗鬆症モデルラット(OVX)を作製した。該モデルラットを10匹ずつ5群に分け、それぞれ10匹ずつにラット飼育用固形飼料(MF)、ラット飼育用固形飼料に炭酸カルシウムを2重量%濃度で混合した飼育飼料(MF+2%Ca)、ラット飼育用固形飼料にサケ鼻軟骨プロテオグリカン粉末を0.83重量%濃度で混合した飼育飼料(MF+0.83%PG)、ラット飼育用固形飼料にサケ鼻軟骨プロテオグリカン粉末を4.15重量%濃度で混合した飼育飼料(MF+4.15%PG)、又はラット飼育用固形飼料にサケ鼻軟骨プロテオグリカン粉末を8.3重量%濃度で混合した飼育飼料(MF+8.3%PG)を自由摂取させた。対照には卵巣を摘出しなかった残りのSDラット8週齢雌10匹を用い、ラット飼育用固形飼料(MF)を自由摂取させた。
(3)評価方法
(3−1)骨粗鬆症バイオマーカー検査
上記の12週間の自由摂取期間終了後、各ラットの腹部大動脈から血液を採取し、3000rpmで10分間遠心して血清を分離した。得られた血清に対して骨粗鬆症バイオマーカー検査を行った。
骨粗鬆症バイオマーカー検査は、オステオカルシン(Osteocalcin)及びTRAP−5b(骨型酒石酸抵抗性酸性フォスフォターゼ)について行った。オステオカルシンは、骨芽細胞により合成されるタンパク質であり、骨疾患において骨の代謝回転状態を把握する指標として用いられる。オステオカルシン濃度の測定は、タカラバイオ株式会社製TaKaRa Rat Gla-Osteocalcin High Sensitive EIA KitによりELISA法を用いて行った。
TRAP−5bは、骨代謝において骨吸収を行う破骨細胞から分泌される酵素であり、その血中濃度は骨吸収の程度を反映する骨吸収マーカーとして骨粗鬆症の診断等に用いられる。TRAP−5b濃度の測定は、ニットーボーメディカル株式会社製EIAラットTRAP−5bによりELISA法を用いて行った。
ラット血清中オステオカルシン濃度の測定結果を図1に、ラット血清中TRAP−5b濃度の測定結果を図2に示す。図1及び図2において、MFを投与した正常ラット群を「Normal」、MFを投与した卵巣摘出ラット群を「OVX MF」、MF+2%Caを投与した卵巣摘出ラット群を「OVX+2%Ca」、MF+8.3%サケ鼻軟骨プロテオグリカンを投与した卵巣摘出ラット群を「OVX+8.3%PG」、MF+4.15%サケ鼻軟骨プロテオグリカンを投与した卵巣摘出ラット群を「OVX+4.15%PG」、MF+0.83%サケ鼻軟骨プロテオグリカンを投与した卵巣摘出ラット群を「OVX+0.83%PG」と表記した。
(3−2)大腿骨のpQCT解析
12週間の自由摂取期間終了後、MFを投与した正常ラット群、MFを投与した卵巣摘出ラット群、MF+2%Caを投与した卵巣摘出ラット群、及びバイオマーカー検査において変動が認められた上記MF+8.3%サケ鼻軟骨プロテオグリカンを投与した卵巣摘出ラット群について外科的に両側大腿骨を摘出し、10%中性緩衝ホルマリン水溶液にて48時間固定後に、70%エタノールにて再固定し冷蔵保存を行った。固定処理後、Stratec社製動物研究用pQCT骨密度測定装置XCT Research SA+により、骨幹端部(遠位成長板軟骨より3.0mmの部位)及び骨幹部(骨長の約1/2位置部位)の2点についてスライス幅0.46mm及びボクセルサイズ0.12mmにてX線CT撮影を行い、pQCT(peripheral Quantitative Computed Tomography:末梢型定量的コンピューター断層法)を用いて解析した。
解析パラメータは、Peel mode 2 (Threshold:395mg/cm3)又はPeel mode 20 (Trabarea:35%)を使用し、全骨塩量、全骨密度、海綿骨密度、海綿骨塩量、皮質骨密度、皮質骨塩量、皮質骨断面積、骨内膜周囲長、骨外膜周囲長、断面係数、骨強度指標(Stress Strain Index:SSI)を算出した。骨強度指標(SSI)は、次式に示す計算式で計算した。
SSI = Z × CBD / NCBD
SSI:骨強度指標(mm
Z:断面係数(mm
CBD:皮質骨密度(mg/cm
NCBD:皮質骨密度の正常値、1200mg/cm
なお、骨強度指標は、骨の構造強度を応力ひずみ指数を用いて評価したものである。得られた断面の水平方向をX軸、上下方向をY軸として、それぞれの方向の曲げ強度をX−SSI、Y−SSIとした。また、断面に垂直に交わる方向をZ軸とし、このZ軸を中心として回転させたねじりの強度をPolar−SSIとした。また、断面定数は、骨の幾何学特性を評価する際に用いられる。X−SSIは三点曲げ強度と、またPolar−SSIはねじり強度との相関性が高いことが報告されており、pQCTを用いることにより物理的な強度を画像診断から算出することができる。
それらの結果を図3〜図16に示す。図3〜図16において、MFを投与した正常ラット群を「Normal」、MFを投与した卵巣摘出ラット群を「OVX MF」、MF+2%Caを投与した卵巣摘出ラット群を「OVX+Ca」、MF+8.3%サケ鼻軟骨プロテオグリカンを投与した卵巣摘出ラット群を「OVX+PG」と表記した。なお、サケ鼻軟骨プロテオグリカン粉末を4.15重量%濃度で混合した飼育飼料を投与した卵巣摘出ラット群、及びサケ鼻軟骨プロテオグリカン粉末を0.83重量%濃度で混合した飼育飼料を投与した卵巣摘出ラット群については、バイオマーカー検査において変動が認められなかったため、pQCT解析を行わなかった。
(4)評価結果
(4−1)骨粗鬆症バイオマーカー検査結果
オステオカルシンの測定結果を図1に示す。オステオカルシンについては、サケ鼻軟骨プロテオグリカンを投与することでNormalと比較して骨形成能は上昇したが、有意差は認められなかった。OVX MFと比較すると、OVX+8.3%PGにおいて骨形成能の低下傾向がみられたが、有意差は認められなかった。
TRAP−5bの測定結果を図2に示す。TRAP−5bについては、Normal及びOVX MFと比較して、サケ鼻軟骨プロテオグリカンを投与することにより骨破壊能が有意に低下した。
(4−2)pQCT解析結果
全骨塩量の結果を図3に示す。骨末端部(股関節側)及び骨幹部の両方で、OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意な全骨塩量向上効果は認められなかった。
全骨密度の結果を図4に示す。骨末端部(股関節側)では、OVX+PGにおいてOVX MFと比較して全骨密度向上効果は認められなかったが、骨幹部では、OVX+PGにおいてOVX MFと比較して有意な全骨密度向上効果が認められた(P<0.05)。図4より、約3ヶ月間サケ鼻軟骨プロテオグリカンを摂取することにより、骨幹部において全骨密度の向上効果が得られたことがわかる。
全骨断面積の結果を図5に示す。骨末端部(股関節側)及び骨幹部の両方で、OVX+PGにおいてOVX MF 及びNormalと比較して有意な全骨断面積増大効果は認められなかった。
骨末端海綿骨の骨塩量及び骨密度の結果を図6に示す。海綿骨塩量では、OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意な海綿骨塩量向上効果は認められなかったが、海綿骨密度では、OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意な海綿骨密度の低下が認められた(P<0.05)。
骨幹部皮質骨の骨塩量及び骨密度の結果を図7に示す。皮質骨塩量では、OVX+PGにおいてOVX MFと比較して皮質骨塩量向上効果は認められなかったが、皮質骨密度では、OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意な皮質骨密度向上効果が認められた(P<0.05)。図7の結果から、約3ヶ月間サケ鼻軟骨プロテオグリカンを摂取することにより皮質骨密度増加効果が得られたことがわかる。
骨幹部皮質骨の断面積の結果を図8に示す。OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意な皮質骨断面積向上効果は認められなかった。
皮質骨厚の結果を図9に示す。OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意な皮質骨厚の上昇効果が認められた(P<0.05)。図9の結果から、約3ヶ月間サケ鼻軟骨プロテオグリカンを摂取することにより、皮質骨の骨厚上昇効果が得られたことがわかる。
皮質骨の外膜周囲長及び内膜周囲長の結果を図10に示す。皮質骨の外膜周囲長では、OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意な皮質骨外膜周囲長の上昇効果は認められなかった。皮質骨の内膜周囲長では、OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して皮質骨内膜周囲長の有意な低下が認められたが(P<0.05)、Normalと比較すると有意な変化は認められなかった。
骨末端部のX軸断面係数及び極座標断面係数の結果を図11に示す。X軸断面係数では、OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意なX軸断面係数改善効果は認められなかった。極座標断面係数では、OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意な極座標断面係数改善効果は認められなかった。
骨幹部のX軸断面係数及び極座標断面係数の結果を図12に示す。X軸断面係数では、OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意なX軸断面係数改善効果は認められなかった。極座標断面係数では、OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意な極座標断面係数改善効果は認められなかった。
骨末端部のX−SSI及びY−SSIの結果を図13に示す。X−SSIでは、OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意なX−SSI改善効果は認められなかった。Y−SSIでは、OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意なY−SSI改善効果は認められなかった。
骨末端部のPolar−SSIの結果を図14に示す。OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意なPolar−SSI改善効果は認められなかった。
骨幹部のX−SSI及びY−SSIの結果を図15に示す。X−SSIでは、OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意なX−SSIの変化は認められなかった。Y−SSIでは、OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意なY−SSIの低下が認められた(P<0.05)。
骨幹部のPolar−SSIの結果を図16に示す。OVX+PGにおいて、OVX MFと比較して有意なPolar−SSIの改善効果は認められなかった。
pQCT解析より、約3ヶ月間サケ鼻軟骨プロテオグリカンを摂取することで、骨粗鬆症モデルに対して全骨密度及び皮質骨密度において有意な向上効果が得られた。また、皮質骨厚、皮質骨外膜周囲長及び皮質骨内膜周囲長は、正常モデルと同レベルを示したことより、維持効果が認められた。この解析結果は、オステオカルシン(骨形成マーカー)の値が骨粗鬆症モデルと同程度であり、TRAP−5b(骨吸収マーカー)の値が骨粗鬆症モデルよりも有意に低下した、骨代謝マーカーの結果と一致している。よって、サケ鼻軟骨プロテオグリカンは、骨密度において骨粗鬆症の予防又は改善効果があり、この効果は破骨細胞活性の低下により骨リモデリングにおける骨芽細胞活性と破骨細胞活性とのバランスが改善されることによってもたらされると考えられる。なお、カルシウムを摂取させた場合には、上記の骨粗鬆症予防効果は得られなかった。

Claims (3)

  1. サケ鼻軟骨プロテオグリカンを含有する骨密度増加食品。
  2. サケ鼻軟骨プロテオグリカンを含有する破骨細胞活性抑制食品。
  3. サケ鼻軟骨プロテオグリカンを含有する骨リモデリング改善食品。
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