JP6269743B2 - 庇の垂れ抑制腕木の取付構造及び庇の垂れ抑制腕木の取付金具 - Google Patents

庇の垂れ抑制腕木の取付構造及び庇の垂れ抑制腕木の取付金具 Download PDF

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Description

この発明は、木製軒梁を有する建物の庇の垂れ抑制腕木の取付構造と、この取付構造に使用する庇の垂れ抑制腕木の取付金具に関し、特に、庇の垂れを調整できる張出し調整具を備えた取付構造と取付金具に関する。
従来のこの種の庇の垂れ抑制腕木としては、軒梁と腕木が共に鋼製の場合には、例えば、特許文献1などに示されるような種々の発明が存在するが、軒梁が木製で腕木が鋼製の従来技術としては、特許文献2に示されるように、木製梁に腕木を支持する支持金物を取付ける構造が開示されている。この構造は、支持金物が木製梁の屋外側面に接触固定されるフランジとこのフランジに固定されている腕木の根元が差し込まれる差込部とを備えた構造となっている。そして、フランジに設けられている釘穴からねじ釘をねじ込んで、腕木を差込部に差し込むことで木製梁に取付固定している。
特開2014−84659号公報 特開2011−117219号公報
しかしながら、上記の従来技術においては、年月の経過に伴い、腕木に掛る屋根材あるいはベランダ部材などの荷重によって、フランジの背面が当接している木製梁側面への大きな圧力が働き、梁側面へのめり込みや木痩せが促進し易く、とくに荷重が多く掛るフランジの下方が木製梁の方向へ傾き、その結果として、腕木に支持されている庇などの屋根材の先端が垂れ、建物の見栄えが悪くなると共に構造上も不安定になるなどの問題点がある。
このような問題点を解決するために、腕木の根元を支持固定している支持金物の下方と建物の柱などの躯体物との間にスティフナーを設けて支持金物のフランジに掛る荷重を分散させることによって、めり込みや木痩せを防止する方策が取られている。しかしながら、スティフナーを設けると外壁と干渉するために、外壁にスティフナーを通す開口部を形成する必要が生じ施工に手間が掛るという問題点がある。さらに、見栄えを良くするために開口部とスティフナーの隙間を塞ぐためのシーリング処理が必要となる問題点がある。
そこで、この発明は上記問題点を解消して、年月の経過によっても庇などの屋根部材の垂れ下りを調整可能にして、常時、建物の見栄えの良い状態を維持することを目的としてなされたものである。
この発明の庇の垂れ抑制腕木構造は、屋外側面に腕木を固定した取付板を有する腕木本体の前記取付板の屋内側面を木製軒梁の屋外面に当接し、前記取付板の屋内側面に当接する押圧部材を屋外方向へ移動可能とする張出し調整具を設けた裏当板を有する裏当部材の前記裏当板の屋外側面を前記木製軒梁の屋内面側に当接して、前記腕木本体と前記裏当部材とを前記木製軒梁を挟んで締付固定部材によって締付固定している構造としたことにある。
前記張り出し調整具は、前記押圧部材に形成した雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を前記裏当板に設けたものであることを特徴とするものである。
又、前記締付固定部材は、前記取付板と前記裏当板に形成している通し穴及び前記木製軒梁に設けられている貫通孔に挿通するボルトと、該ボルトの前記裏当板から突出するねじ部に螺合するナットであることにある。
さらに、前記裏当板の屋内側面に補強材を設けたことにある。
前記庇の垂れ抑制腕木金具は、木製軒梁の屋外側面に当接する取付板と、前記取付板の屋外側面に固定された腕木とを有する腕木本体と、前記木製軒梁の屋内側面に当接する裏当板と、前記取付板の屋内側面に当接する押圧部材を屋外方向へ移動可能とする張出し調整具を設けた裏当部材と、前記腕木本体と前記裏当部材とを前記木製軒板を挟んで締付固定する締付固定部材と、を具備することにある。又、前記張出し調整具は、前記押圧部材に形成した雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を前記裏当板に設け、前記裏当板より突出した位置に前記押圧部材を回転可能な係合部を設けたものであることにある。更に、前記締付固定部材は、前記取付板と前記裏当板に形成している通し穴及び前記木製軒梁に設けられている貫通孔に挿通するボルトと、該ボルトの前記裏当板から突出するねじ部に螺合するナットであることにある。更に又、前記裏当板の屋内側面に補強材を設けたことにある。
この発明の庇の垂れ抑制腕木構造によると、腕木に掛る屋根材でもある庇の荷重は、とくに取付板から木製軒梁の屋外側面の下方に多く掛って、年月の経過と共に木製軒梁の下方にめり込みや木痩せが生じるので、前記取付板の屋内側面の下方に押圧部材が当接して前記取付板の下方に作用する荷重がこの押圧部材によって受け止められるために木製軒梁の屋外側面の下方には荷重が集中して掛らなくなり、めり込みや木痩せが発生するのを阻止できる。これによって、腕木に支持されている庇の垂れを抑制できて、建物の外観の見栄えの損失を防ぎ、木製軒梁の耐久性も向上する。又、年月の経過によって庇の垂れが更に生じてきた時は、張り出し調整具により、簡単に調整できる。更に加えて、木製軒梁の屋外側面からの支持材などの突起物がないので、外壁には腕木の通る穴だけを設けるだけでよいので、施工が簡易である。更に、新築の建物のみではなく、既に垂れた庇の補強施工の際にもこの庇の垂れ抑制腕木構造は採用することができる。これによって、めり込みや木痩せがすでに生じている木製軒梁の補強も併せて行うことができる。
前記張り出し調整具の前記押圧部材に作用する荷重は、前記裏当板を屋内側へ移動させるように作用するが、前記腕木本体と前記裏当部材とは前記木製軒梁を挟んで前記締付固定部材によって固定されているために作用した荷重は前記裏当板、前記取付板の全面積から前記木製軒梁の両側面に作用するので、前記木製軒梁の屋外側面の下方部分のみがめり込んだり木痩せすることができなくなる。前記押圧部材を介して前記裏当板に荷重が作用すると、前記裏当板の下方に屋内側への力が作用するので、前記裏当板の屋内側面に裏当板全面に力を分散して作用するように前記補強板を設けるのが望ましい。そして、庇の垂れの角度が気になり出したら押圧部材を回転させて押圧部材を取付板の屋内側面に当てて屋外側へ張り出すようにするだけでよい。
又、前記締付固定部材として、前記腕木本体の前記取付板、前記裏当部材の前記裏当板に設けた通し穴に、前記木製軒梁の貫通孔を通じてボルトを挿通し、前記裏当板から突出した前記ボルトのねじ部にナットを螺合して締め付け固定すると、取付けが簡単でしかも確実に固定することができる。逆に前記ボルトのねじ部は前記取付板から突出させてナットで締め付け固定しても良い。
前記庇の垂れ抑制腕木金具は、前記した庇の垂れ抑制腕木構造に使用する金具である。前記木製軒梁の大きさ、材質や腕木に掛る庇などの屋根材の荷重などによって、前記取付板、前記裏当板の面積や形状を変えることによって、種々の腕木構造に対応することができる。又、この前記庇の垂れ抑制金具を用いることによって、前述したように、前記木製軒梁への前記取付板のめり込みや木痩せを防止できると共に、前記木製軒梁の耐久性も向上する。更に又、この前記庇の垂れ抑制腕木金具は、新築の建物には勿論のこと、既に垂れた庇を新しく取り替える施工の場合にも使用することができる。そして、張り出し調整具によって庇の傾き度合を自在に調整することができるので、建物全体の外観の見栄えを常時良くすることができる。
庇の垂れ抑制腕木の取付構造の実施形態断面説明図。 庇の垂れ抑制腕木の取付金具の実施形態の分解斜視説明図。 同実施形態の要部平面説明図。 張り出し調整具の実施形態の断面説明図。 他の実施形態の張り出し調整具の断面説明図。
この発明の庇の垂れ抑制腕木構造1の実施形態について、以下図に基づいて説明する。この庇の垂れ抑制腕木構造1を構成する前記垂れ抑制腕木金具2は、図1、図2に示されるように、木製軒梁3を挟んで木製軒梁3に取付ける腕木本体4と裏当部材5、これら木製軒梁3、腕木本体4、裏当部材5を締付固定する締付固定部材6、及び腕木本体4を木製軒梁3の屋外側面から離反する方向へ押圧する押圧部材7を有する張り出し調整具8を主な構成要素とする。
前記腕木本体4は、軒先方向に延出する庇ユニット9などの屋根材を固定する長尺な腕木10と、腕木10の根元となる端部を直角方向に溶接などによって屋外側面に固定している取付板11を有している。前記腕木10は、先端が低くなるように緩い傾斜を上方に形成しているがこれに限定されるものではない。腕木10の固定位置は取付板11の屋外側面11aの中央下方として、庇ユニット9の荷重が取付板11の中央下方に掛るようにしている。又、この腕木10の取付位置の両側上方にはそれぞれ縦方向に等間隔で複数の通し穴12が形成されている。更に、腕木10にも軒先方向へ延びる部材を固定するための前記通し穴12が必要個数設けられている。
前記取付板11の大きさや形状はとくに限定されるものではないが、木製軒梁3の屋外側面に取付けた際に、腕木10の根元部分を固定している下方側が木製軒梁3の下方からはみ出るようにし、且つ、取付板11の屋内側面11bが木製軒梁3の屋外側面に対向する位置となるようにすることから、木製軒梁3の高さと略同等か若干長い程度が望ましいが、とくに限定されるものではない。横方向の幅長さもとくに限定されることはないが、取付板11の面積が大きくなれば、荷重の受け止め面積が大きくなるのでめり込みや木痩せの発生がより少なくなり、他の事情が許されるならば大きい方が望ましい。
前記裏当部材5は、取付板11に形成した通し穴12に、対向する位置に通し穴12を形成した裏当板13のこの通し穴12の両側の屋内側面13bに補強板14を設けてなる。前記裏当板13の大きさや形状はとくに限定されるものではないが、取付板11と対をなして木製軒梁3を両側面から挟み締付固定することから、木製軒梁3に当接する長さが同じであることが望ましい。この実施形態では、横幅の小さい裏当板13を2組使用したが、裏当板13の横幅を取付板11と同じ1枚ものの板材であっても良い。
そして、前記張り出し調整具8は、図4によく表れているように、裏当板13の下方に形成したねじ穴15に螺合する雄ねじを外周に有するボルトなどからなる押圧部材7であり、この押圧部材7の先端が木製軒梁3の貫通孔16を通って前記取付板11の屋内側面11bの下方に当接するようにしている。そして、裏当板13から突出しているボルト頭7aをレンチ等で回転させることによって、押圧部材7が取付板11を屋外方向へと押圧して、取付板11から木製軒梁3に加わる荷重を抑制する。図4において、ナット19はボルト7aとの螺合部分を多くするために裏当板13の屋内側面13bに固定したナットであり、ナット20は押圧部材7の緩み防止用のナットである。
又、図5に示すように、裏当板13にねじ穴15を形成することに代えて、木製軒梁3に埋設した内周にねじを形成した円筒ねじ17にボルトなどの押圧部材7と螺合させ、裏当板13にはこの押圧部材7の通過穴18を設け、この通過穴18からの突出部分のボルト頭7aをレンチ等を用いて回転させて、図4の場合と同じように、押圧部材7の先端の取付板11への押圧力を操作し張り出し量を調整するようにしてもよい。この実施形態では、木製軒梁3内に形成した貫通孔16を通したが、これに代えて、図4に示す裏当板13の下方を延長してその延長した部分にねじ穴15を形成し木製軒梁3の下方を通って屋外方向へ延出しても良い。この場合には貫通孔16を通さないことになる。
前記裏当板13には取付板11に設けた前記通し穴12に対応する位置にボルト穴12が形成されており、締付固定部材6を構成するボルト6aが取付板11に形成されている通し穴12、木製軒梁3の貫通孔16を通ってこの通し穴12から突出したねじ部6bにナット21が螺合されて締め付けられることで、腕木本体4、木製軒梁3、裏当部材5が一体的に締付固定される。これによって、腕木10に掛った前記庇ユニット9の荷重は取付板11から押圧部材7を介して裏当板13に伝達されるために、木製軒梁3の屋外側面に掛る荷重圧力は大巾に軽減される。前記裏当板13にかかる荷重圧力は押圧部材7を介して裏当板13の下方へ伝達されるので、縦方向に長い補強材14を裏当板13の屋内側面に設けることによって裏当板13の全面に力を分散させるようにしている。又、この補強材14は、図2によく表れているように、縦方向に並ぶ1列の通し穴12の両側に設けておけばより補強が効果的である。尚、前記裏当板13に作用する力は押圧部材7からだけでなく、ボルト6aを介して取付板11の上方に作用する屋外側へ引張る力を受け止める役割をも果たしている。
尚、この実施形態においては、締付固定部材6としては、ボルト6aとナット21を使用した例について説明したが、これに代えて、腕木本体4の取付板11と木製軒梁3を挟んだ裏当板13を木製軒梁3の長手方向と直行する方向にロープなどの長尺締付部材で締付固定してもよい。
上記の前記庇の垂れ抑制腕木金具2を用いて木製軒梁3に取付けた庇の垂れ抑制腕木構造1は図1に示す通りであるが、図1では2つで1組の庇の抑制腕木金具2のみが見えているが、図2に示すように2組を用いて、ここに庇ユニット9の下方の両側を取付け固定する。木製軒梁3に取り付けた内壁22及び取付板11の屋外側には少しの隙間を開けて外壁23が設けられている。外壁23には腕木10の根元部分が通過するスリット状の開口部23aが形成されており、この開口部23aと腕木10の上方に設置されている庇ユニット9などの屋根材との間隙からの雨水浸入を防止するために水切り24が設けられている。更に、前記腕木10及びこの腕木10に設けてある通し穴12にボルトで固定されている庇ユニット9の骨組みであるC型鋼25の下方には軒裏天井部材26を取付けるための補助取付材27が設けられている。更に、前記庇ユニット9の軒先端には樋28が設けられ、補助取付部材27の軒先端には化粧板29が取付られている。
以上の構成からなるこの発明の庇の垂れ抑制腕木構造1によると、経年によって前記庇ユニット9などの屋根材の荷重が取付板11を介して木製軒梁3を押圧する方向に掛っても、押圧部材7が受け止めて裏当板13に伝達される。裏当板13は締付固定部材6によって木製軒梁3及び取付板11に締付固定されていることから、これらの部材に力が分散されるので、木製軒梁3の特定個所へ力が作用せず、結果として、めり込みや木痩せなどが生じて腕木10、しいては庇ユニット9などの屋根材の先端が垂れ下ることは生じない。又、張り出し調整具8によって、垂れの度合が増すとその都度調整ができるので、庇などの屋根材を常時適正位置に保つことができ、建物の見栄えをよくすることができる。
この庇の垂れ抑制腕木金具2を用いた庇の垂れ抑制腕木構造1は、新築の建物のみならず庇などの屋根部材が垂れている既設の建物の補修にも適用できるので、応用用途は広く、多くの需要が望めるものである。
1 庇の垂れ抑制腕木構造
2 庇の垂れ抑制腕木金具
3 木製軒梁
4 腕木本体
5 裏当部材
6 締付固定部材
6a ボルト
6b ねじ部
7 押圧部材
8 張り出し調整具
9 庇ユニット
10 腕木
11 取付板
11a 屋外側面
11b 屋内側面
12 通し穴
13 裏当板
13a 屋外側面
13b 屋内側面
14 補強材
15 ねじ穴
16 貫通孔
17 円筒ねじ

Claims (8)

  1. 屋外側面に腕木を固定した取付板を有する腕木本体の前記取付板の屋内側面を木製軒梁の屋外面に当接し、
    前記取付板の屋内側面に当接する押圧部材を屋外方向へ移動可能とする張出し調整具を設けた裏当板を有する裏当部材の前記裏当板の屋外側面を前記木製軒梁の屋内面側に当接して、
    前記腕木本体と前記裏当部材とを前記木製軒梁を挟んで締付固定部材によって締付固定していることを特徴とする庇の垂れ抑制腕木の取付構造。
  2. 前記張出し調整具は、前記押圧部材に形成した雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を前記裏当板に設けたものであることを特徴とする請求項1に記載の庇の垂れ抑制腕木取付構造。
  3. 前記締付固定部材は、前記取付板と前記裏当板に形成している通し穴及び前記木製軒梁に設けられている貫通孔に挿通するボルトと、該ボルトの前記裏当板から突出するねじ部に螺合するナットであることを特徴とする請求項1又は2に記載の庇の垂れ抑制腕木取付構造。
  4. 前記裏当板の屋内側面に補強材を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の庇の垂れ抑制腕木取付構造。
  5. 木製軒梁の屋外側面に当接する取付板と、前記取付板の屋外側面に固定された腕木とを有する腕木本体と、
    前記木製軒梁の屋内側面に当接する裏当板と、前記取付板の屋内側面に当接する押圧部材を屋外方向へ移動可能とする張出し調整具を設けた裏当部材と、
    前記腕木本体と前記裏当部材とを前記木製軒板を挟んで締付固定する締付固定部材と、
    を具備することを特徴とする庇の垂れ抑制腕木の取付金具。
  6. 前記張出し調整具は、前記押圧部材に形成した雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を前記裏当板に設け、前記裏当板より突出した位置に前記押圧部材を回転可能な係合部を設けたものであることを特徴とする請求項5に記載の庇の垂れ抑制腕木の取付金具。
  7. 前記締付固定部材は、前記取付板と前記裏当板に形成している通し穴及び前記木製軒梁に設けられている貫通孔に挿通するボルトと、該ボルトの前記裏当板から突出するねじ部に螺合するナットであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の庇の垂れ抑制腕木の取付金具。
  8. 前記裏当板の屋内側面に補強材を設けたことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の庇の垂れ抑制腕木の取付金具。
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