JP6268847B2 - スラスト軸受 - Google Patents
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Description
しかしながら、前記スラストフォイル軸受では、その外周端側でのスラストカラーの周速が内周端側での周速に比べて速いため、外周端側では流体潤滑膜の圧力(膜圧)が高くなり、内周端側では周速が遅いため圧力(膜圧)が低くなる。このため、トップフォイルの外周端側はバンプフォイル側へ押し込まれてスラストカラーから離れる方向へ動くものの、内周端側はスラストカラーの側へ起き上がることにより、スラストカラーに近づいてしまう。
しかし、前記(a)ではバンプフォイルの設計、すなわち内外でバンプフォイルの剛性を適切にコントロールすることが難しいといった課題がある。また、前記(b)ではバンプフォイルの山の高さを10μmレベルでコントロールする必要があるため、その製作が難しく、特に量産時の品質制御が非常に困難である。
前記スラストカラーに対向して配置されるトップフォイルと、
前記トップフォイルの、前記スラストカラーに対向する面と反対側の面に対向して配置されて、該トップフォイルを支持するバックフォイルと、
前記バックフォイルの、前記トップフォイル側と反対の側に配置されて、該バックフォイルを支持する円環板状のベースプレートと、を備え、
前記バックフォイルは、前記ベースプレートの周方向に配列された複数のバックフォイル片によって形成され、
前記トップフォイルは、前記バックフォイル片の上にそれぞれ配設された複数のトップフォイル片によって形成され、
前記トップフォイル片には、前記回転軸の回転方向上流側に、前記ベースプレートに固定される固定部が形成されるとともに、前記バックフォイル片に対向する面が削られたことにより、その内周端側に外周端側より薄肉に形成された内周端側薄肉部が形成されていることを特徴とする。
このようにすれば、トップフォイル片における回転軸の回転方向下流側が容易にかつ円滑に傾斜できるようになり、したがって、例えばスラストカラーが一対のトップフォイルによって挟み込まれているような場合に、始動トルクが低減する。また、回転軸が回転を開始した後も、トップフォイル片が容易にかつ円滑に傾斜するため、最適傾斜角が得られ易くなり、負荷能力が向上する。
このようにすれば、トップフォイル片の内周端側がスラストカラーの側へ起き上がり易くなることが、回転軸の回転方向上流側から下流側にかけてほぼ均一に抑制され、したがってトップフォイル片がスラストカラーに近づいてこれに接触することがより確実に防止される。
流体潤滑膜の圧力がトップフォイル片に作用すると、トップフォイル片の内周端と外周端に挟まれた径方向の中央部では、バックフォイル側への撓みが大きくなり、同部位において流体潤滑膜の圧力が低下して負荷能力が下がる。
そこで、谷部側薄肉部を形成することにより、トップフォイル片は回転軸の回転方向上流側から下流側にかけて、すなわち周方向において曲がり易くなるものの、径方向では曲がり難さ(曲げ剛性)が維持される。したがって、トップフォイル片を形成する板材を従来に比べて厚いものを用いることにより、周方向においては従来と同様の曲がり易さを維持しつつ、径方向では従来より曲がり難くして中央部でのバックフォイル側への撓みを抑制することができる。
このようにすれば、バンプフォイル片によってトップフォイル片を弾性的に支持することができる。
このようにすれば、この傾斜面上にバックフォイル片を介してトップフォイル片を配設することにより、トップフォイル片の高さを傾斜面に沿って精度よく変化させることができる。また、その際にバックフォイル片については、高さを変化させることなく一定の高さに作製すればよく、したがって加工コストを抑えることができる。
このようにすれば、バンプフォイル片によってトップフォイル片を弾性的に支持することができる。
このようにすれば、トップフォイル片に発生する流体潤滑膜の圧力が軸受隙間の狭い側、すなわち回転軸の回転方向下流側で高くなるようにするべく、この回転方向下流側を高い剛性で支持することができ、これによって負荷能力を高めることができる。
図1は、本発明のスラスト軸受が適用されるターボ機械の一例を模式的に示す側面図であり、図1中符号1は回転軸、2は回転軸の先端部に設けられたインペラ、3は本発明に係るスラスト軸受である。
また、インペラ2は静止側となるハウジング5内に配置されており、ハウジング5との間にチップクリアランス6を有している。
また、回転軸1には、スラストカラー4より中央側に、ラジアル軸受7が設けられている。
図3(a)、(c)、(d)に示すようにバックフォイル20は、ベースプレート30の周方向に配列された6枚のバックフォイル片21によって形成されている。これらバックフォイル片21は、ベースプレート30の各支持領域31上にそれぞれ配置され、これによってベースプレート30の周方向に配列されている。また、これらバックフォイル片21は、後述するトップフォイル片11より僅かに小さく形成され、したがって図3(a)に示すようにベースプレート30上にてスラストカラー4側に露出することなく、トップフォイル片11に覆われている。
また、バンプフォイル片21は、回転軸1の回転方向下流側の端辺21aが、後述するトップフォイル片11における回転軸1の回転方向下流側の端辺11aと平面視した状態でほぼ一致する位置に配置されている。そして、この端辺21aとなる谷部22の形成方向に沿って、ベースプレート30にスポット溶接(点付溶接)され、固定されている。
なお、ベースプレート30への端辺21aの固定については、スポット溶接以外にも、例えばネジ止めなどによって行うことができる。
そして、このような形状のトップフォイル片11は、ベースプレート30の各支持領域31上にて前記バンプフォイル片21を覆ってそれぞれ配置され、ベースプレート30の周方向に等間隔で配列されて全体として略円環板状に配置されたことにより、トップフォイル10を形成している。
本実施形態では、この内周端側薄肉部15とこれの外周端側との境界線15a、すなわち段差部は、トップフォイル片11の内周端や外周端の周方向に沿う円弧状になっている。なお、本実施形態では、前記の固定辺12(固定部13)やこれに隣接して配置された曲げ加工部分を含む近傍部12aには、内周端側薄肉部15が形成されていない。
本実施形態では、図2に示したようにスラスト軸受3Aをスラストカラー4の両側に設けている。このようにスラストカラー4の両側に設けることにより、スラスト方向の移動量を極力抑えることができる。すなわち、スラスト移動量を小さくすることにより、図1に示したチップクリアランス6を狭くすることができ、これによってターボ機械としての流体性能を向上することができる。
よって、スラスト荷重がさらに増して流体潤滑膜の膜厚がさらに薄くなったとしても、トップフォイル片11はスラストカラー4に接触し難くなり、結果としてより高いスラスト荷重を受けることが可能になる。
第2実施形態のスラスト軸受が第1実施形態のスラスト軸受3A(3)と主に異なるところは、トップフォイル片として、図4(a)、(b)に示す構成のものを用いた点にある。ここで、図4(a)はトップフォイル片50の裏面を示す平面図と側面図とを対応させた説明図、図4(b)は図3(a)のA−A線矢視断面図である図3(c)と同じ位置での断面図である。
第3実施形態のスラスト軸受が第2実施形態のスラスト軸受と主に異なるところは、トップフォイル片として、図5(a)〜(c)に示す構成のものを用いた点にある。ここで、図5(a)はトップフォイル片60の裏面を示す平面図と側面図(前記平面図のC−C線矢視断面図)とを対応させた説明図、図5(b)は図5(a)のD−D線矢視断面図、図5(c)は谷部側薄肉部の説明図である。
すなわち、図5(c)に示すようにバンプフォイル片21の山部23の頂点をHとし、山部23の谷部22側の位置、つまり山部23と谷部22との境界線をLとし、さらに頂点Hと境界線Lとのベースプレート30上での中間点をMとすると、谷部22を挟んだ二つの中間点M、M間を、谷部22に対向する箇所とする。したがって、図5(c)に示すようにトップフォイル片60の中間点M、M間に対応する箇所に、谷部側薄肉部16を形成する。なお、図5(c)では谷部22が幅を有している場合について示したが、谷部22が単に折り曲げ部であり、幅を有していない場合には、前記境界線Lが隣り合う山部23、23間で共通になるだけで、前記した定義はそのまま用いることができる。
ここで、流体潤滑膜の圧力がトップフォイル片60に作用すると、トップフォイル片60の内周端と外周端に挟まれた径方向の中央部では、バックフォイル21側に撓み(凹み)易くなる。このような撓みが大きくなると、同部位において流体潤滑膜の圧力が低下し、負荷能力が低くなる。
よって、本実施形態では、径方向中央部での撓みを抑制することにより、同部位において流体潤滑膜の圧力が低下して負荷能力が低くなることを抑制することができる。
第4実施形態のスラスト軸受3B(3)が第1実施形態のスラスト軸受3A(3)と主に異なるところは、図6(a)〜(d)に示すように、ベースプレート30の前記支持領域31に傾斜面32を形成した点と、バンプフォイル片21の山部23の高さを、全て同一にした点である。なお、図6(a)は一部を断面視したスラスト軸受3の平面図、(b)はトップフォイル片の構成を説明するためにその裏面を示す平面図と側面図とを対応させた説明図、(c)は(a)のB−B線矢視断面図、(d)はバンプフォイル片の形状を説明するためにその平面図と側面図とを対応させた説明図である。
例えば、前記実施形態ではバックフォイル20やトップフォイル10をそれぞれ6つのバックフォイル片21(バンプフォイル片21)、トップフォイル片11で構成し、したがってベースプレート30の支持領域31もこれに合わせて6つ形成(設定)したが、バックフォイル片21(バンプフォイル片21)やトップフォイル片11は、複数であれば5つ以下でも7つ以上であってもよい。その場合に、支持領域31の数についても、バックフォイル片21(バンプフォイル片21)やトップフォイル片11の数に合わせるのはもちろんである。
さらに、内周端側薄肉部15の厚さについても、均一な厚さに形成することなく、例えば境界線15a側から内周端にかけて漸次肉厚が薄くなるように、内周端側薄肉部15のバックフォイル21に対向する面を傾斜面にしてもよい。
また、トップフォイル片やバンプフォイル片の形状、支持領域上へのトップフォイル片やバンプフォイル片の配置、傾斜面の傾斜方向など、前記実施形態以外にも種々の形態を採用することが可能である。
10…トップフォイル、11…トップフォイル片、11a…端辺、12…固定辺、
12a…近傍部、13…固定部、14…固定部側薄肉部、15…内周端側薄肉部、
16…谷部側薄肉部、20…バックフォイル、
21…バックフォイル片(バンプフォイル片)、21a…端辺、22…谷部、
23…山部、30…ベースプレート、31…支持領域、32…傾斜面、
50…トップフォイル片、60…トップフォイル片
Claims (7)
- 回転軸に設けられたスラストカラーに対向して配置されるスラスト軸受であって、
前記スラストカラーに対向して配置されるトップフォイルと、
前記トップフォイルの、前記スラストカラーに対向する面と反対側の面に対向して配置されて、該トップフォイルを支持するバックフォイルと、
前記バックフォイルの、前記トップフォイル側と反対の側に配置されて、該バックフォイルを支持する円環板状のベースプレートと、を備え、
前記バックフォイルは、前記ベースプレートの周方向に配列された複数のバックフォイル片によって形成され、
前記トップフォイルは、前記バックフォイル片の上にそれぞれ配設された複数のトップフォイル片によって形成され、
前記トップフォイル片には、前記回転軸の回転方向上流側に、前記ベースプレートに固定される固定部が形成されるとともに、前記バックフォイル片に対向する面が削られたことにより、その内周端側に外周端側より薄肉に形成された内周端側薄肉部が形成されていることを特徴とするスラスト軸受。 - 前記固定部および該固定部の近傍部で該固定部より前記回転軸の回転方向下流側に、前記外周端側より薄肉に形成された固定部側薄肉部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のスラスト軸受。
- 前記トップフォイル片は、円環板をその周方向にて分割した円弧板状に形成されており、
前記内周端側薄肉部とこれの外周端側との境界線は、前記トップフォイル片の内周端の周方向に沿う円弧状になっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスラスト軸受。 - 前記固定部は、前記回転軸の回転方向下流側に位置する直線状の固定辺を含んで形成され、
前記バックフォイル片は、山部と谷部とを交互に形成した波板状のバンプフォイル片によって形成されるとともに、前記山部の配列方向が前記固定辺と交差して配置され、
前記トップフォイル片には、前記バンプフォイル片に対向する面の一部が削られたことにより、前記谷部に対向する箇所に、前記山部に対向する箇所に比べて薄肉に形成された谷部側薄肉部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスラスト軸受。 - 前記山部は、その高さが前記固定辺側から前記回転軸の回転方向下流側に向かうに連れて高くなるように形成されていることを特徴とする請求項4記載のスラスト軸受。
- 前記バンプフォイル片は、前記回転軸の回転方向下流側の端辺で前記ベースプレートに固定されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のスラスト軸受。
- 円環状のトップフォイルを備えるスラスト軸受であって、
前記トップフォイルは、トップフォイル片を備え、
前記トップフォイル片は、前記トップフォイル片の内周端から延伸する薄肉部を備え、 前記薄肉部よりも外周側は、前記薄肉部より厚肉となっていることを特徴とするスラスト軸受。
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