JP6268845B2 - ロボットの回転関節用配線装置およびロボット - Google Patents

ロボットの回転関節用配線装置およびロボット Download PDF

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Description

本発明は、ロボットの回転関節用配線装置およびロボットに関する。
相対的に回転する2つの部材から構成される回転関節を1つまたは複数備えるロボットが広く用いられている。ロボットには、電力の供給や信号の送受信のための各種配線が設けられるが、ロボットの回転関節には、関節の回転に追随可能な配線装置が用いられる。
ロボットの回転関節用の配線装置の小型化や回転追随性の向上を図るために、比較的柔軟で薄肉な帯状のフレキシブルプリント配線板(以下、FPCと呼ぶ)を厚さ方向に沿って複数重ねたフレキシブルプリント配線板アセンブリ(以下、FPCアセンブリと呼ぶ)を用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この配線装置は、回転関節を構成する第1の部材に連結される筐体と、筐体との間に環状の案内空間が確保された状態で回転関節を構成する第2の部材に連結され、第2の部材の第1の部材に対する相対的な回転に伴い筐体に対して相対的に回転するリール部材とを備える。また、この配線装置に用いられるFPCアセンブリには、折り返しの前後で厚さ方向が反転し、かつ、長さ方向が略90度変わるように折り返された2つの折返し部が形成され、2つの折返し部に挟まれた中央部は上記案内空間内に収容され、第1の折返し部はリール部材に保持されてリール部材と共に動き、第2の折返し部は筐体に形成された2つの壁体の間に保持されて筐体と共に動く。
特開2011−194496号公報
上記従来の配線装置では、筐体に形成された2つの壁体の内の内側の壁体の縁が、FPCアセンブリの第2の折返し部に対向する状態となる場合があった。FPCアセンブリの第2の折返し部は、中央部と比較して厚さが2倍である。そのため、FPCアセンブリの中央部ではなく第2の折返し部が上記壁体の縁に対向する状態となると、回転関節の回転動作に伴い第2の折返し部と上記壁体の縁とが干渉して、最内側(回転関節の軸に近い側)に位置するFPCにマイクロクラックが発生して断線を起こすおそれがあった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、ロボットの回転関節用配線装置に用いられるFPCにマイクロクラックが発生することを抑制することを目的とする。
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
本発明の一適用例によれば、第1の部材と、前記第1の部材に対して所定の軸を中心に相対的に回転可能な第2の部材と、から構成されるロボットの回転関節に適用可能な配線装置が提供される。この配線装置は、前記第1の部材に連結される略円筒形状の筐体本体部を有する筐体と、前記筐体との間に前記軸を中心とする環状の案内空間が確保された状態で前記第2の部材に連結され、前記第2の部材の前記第1の部材に対する相対的な回転に伴い前記筐体に対して相対的に回転するリール部材と、厚さ方向に沿って互いに重ねられた複数の帯状のフレキシブルプリント配線板により構成されるフレキシブルプリント配線板アセンブリと、を備え、前記フレキシブルプリント配線板アセンブリは、折り返しの前後で厚さ方向が反転し、かつ、長さ方向が略90度変わるように折り返された第1および第2の折返し部を有し、前記フレキシブルプリント配線板アセンブリにおける前記第1および第2の折返し部に挟まれた中央部は、前記案内空間内で延伸し、所定の位置で延伸方向を反転させて前記案内空間内で延伸するように、前記案内空間内に収容され、前記第1の折返し部は、前記リール部材に保持されて前記リール部材と共に動き、前記第2の折返し部は、前記筐体と共に動き、前記筐体本体部の内周面には、前記内周面から前記軸に向かう方向に突出し、前記案内空間における前記フレキシブルプリント配線板アセンブリの前記軸と平行な方向に沿った動きを制限する凸部が形成されていることを特徴とする。
本発明の一形態によれば、第1の部材と、前記第1の部材に対して所定の軸を中心に相対的に回転可能な第2の部材と、から構成されるロボットの回転関節に適用可能な配線装置が提供される。この配線装置は、前記第1の部材に連結される略円筒形状の筐体本体部と、前記筐体本体部に着脱可能であり、前記軸に直交する方向に沿って対向する2つの壁体を有するキャップ部と、を有する筐体と、前記筐体との間に前記軸を中心とする環状の案内空間が確保された状態で前記第2の部材に連結され、前記第2の部材の前記第1の部材に対する相対的な回転に伴い前記筐体に対して相対的に回転するリール部材と、前記案内空間内に前記軸を中心に回転可能に収容され、前記軸に平行な方向に延伸した複数のローラが前記軸を中心とした円弧上に並んで配置された摺動補助部材と、厚さ方向に沿って互いに重ねられた複数の帯状のフレキシブルプリント配線板により構成されるフレキシブルプリント配線板アセンブリと、を備え、前記フレキシブルプリント配線板アセンブリは、折り返しの前後で厚さ方向が反転し、かつ、長さ方向が略90度変わるように折り返された第1および第2の折返し部を有し、前記フレキシブルプリント配線板アセンブリにおける前記第1および第2の折返し部に挟まれた中央部は、前記案内空間における前記複数のローラより内側を延伸し、所定の位置で延伸方向を反転させて前記案内空間における前記複数のローラより外側を延伸するように、前記案内空間内に収容され、前記第1の折返し部は、前記リール部材に保持されて前記リール部材と共に動き、前記第2の折返し部は、前記キャップ部における前記2つの壁体の内の内側の壁体の縁が前記第2の折返し部ではなく前記中央部に対向する状態で、前記2つの壁体の間に保持されて前記筐体と共に動き、前記フレキシブルプリント配線板アセンブリを構成する複数の前記フレキシブルプリント配線板は、少なくとも前記内側の壁体の前記縁に対向する位置において、互いに固定されていないことを特徴とする。この形態の配線装置によれば、キャップ部の内側壁体の縁が、比較的厚い第2の折返し部ではなく比較的薄い中央部に対向しているため、フレキシブルプリント配線板と内側壁体の縁との干渉が起こりにくくなり、フレキシブルプリント配線板におけるマイクロクラックの発生を抑制することができる。また、この形態の配線装置によれば、少なくとも内側壁体の縁に対向する位置において、複数のフレキシブルプリント配線板は互いに固定されていないため、あるフレキシブルプリント配線板に作用する応力は他のフレキシブルプリント配線板に伝わらず、仮にフレキシブルプリント配線板と内側壁体の縁との干渉が起こっても、当該干渉するフレキシブルプリント配線板に作用する応力の増大を抑制することができ、フレキシブルプリント配線板におけるマイクロクラックの発生をより確実に抑制することができる。
上記配線装置において、前記キャップ部は、前記軸に平行な方向に沿った前記キャップ部に対する前記フレキシブルプリント配線板アセンブリの動きを制限する制限部を有するとしてもよい。この形態の配線装置によれば、上記軸と平行な方向に沿ったキャップ部に対するフレキシブルプリント配線板アセンブリの余分な動きが制限されて、フレキシブルプリント配線板におけるマイクロクラックの発生をより確実に抑制することができると共に、キャップ部へのフレキシブルプリント配線板アセンブリの組み付けの際にフレキシブルプリント配線板アセンブリの脱落が防止され、組み付け性を向上させることができる。
上記配線装置において、前記制限部は、前記キャップ部の前記2つの壁体の内の外側の壁体から前記軸の方向に向かって突出する凸部であるとしてもよい。この形態の配線装置によれば、凸部によって上記軸に平行な方向に沿ったキャップ部に対するフレキシブルプリント配線板アセンブリの動きを制限することができる。
上記配線装置において、前記筐体の内周面には、前記内周面から前記軸に向かう方向に突出する凸部が形成されているとしてもよい。この形態の配線装置によれば、凸部によっても上記軸と平行な方向に沿ったキャップ部に対するフレキシブルプリント配線板アセンブリの余分な動きが制限され、フレキシブルプリント配線板におけるマイクロクラックの発生をより確実に抑制することができる。
上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
本発明は、ロボットの回転関節用配線装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、本発明は、そのような配線装置を備えるロボット等の形態で実現することができる。
本発明の実施形態におけるロボット10の概略構成を示す説明図である。 ロボット10の回転関節の断面構成を示す説明図である。 配線装置12の分解斜視図である。 配線装置12の斜視図である。 配線装置12の動作を示す説明図である。 配線装置12の動作を示す説明図である。 キャップ部15aの詳細構成を示す説明図である。 キャップ部15aの詳細構成を示す説明図である。 キャップ部15aの詳細構成を示す説明図である。 キャップ部15aの詳細構成を示す説明図である。 キャップ部15aの詳細構成を示す説明図である。 キャップ部15aとFPCアセンブリ14との関係を示す説明図である。 キャップ部15aとFPCアセンブリ14との関係を示す説明図である。
A.実施形態:
A−1.ロボットの構成:
図1は、本発明の実施形態におけるロボット10の概略構成を示す説明図である。本実施形態におけるロボット10は、6軸の垂直多関節型の産業用ロボットである。
ロボット10は、工場等の設置場所(サイト)の水平面に固定されるベース部2と、鉛直方向の第1の軸を中心に旋回可能にベース部2に支持されたショルダ部3と、水平方向の第2の軸を中心に旋回可能にショルダ部3に下端が支持された下アーム4と、水平方向の第3の軸を中心に旋回可能に下アーム4の先端に支持された後上アーム5と、上記第3の軸に直交する第4の軸を中心に捻り回転可能に後上アーム5に支持された前上アーム6と、上記第4の軸に直交する第5の軸を中心に旋回可能に前上アーム6の先端に支持された手首7と、上記第5の軸に直交する第6の軸を中心に捻り回転可能に手首7に支持されたフランジ8とを備えている。フランジ8には、例えばワークを把持するためのハンドといったエンドエフェクタが取り付け可能である。なお、エンドエフェクタとして、ハンド以外のもの(例えば視覚検査用のカメラ)も取り付け可能である。
図2は、後上アーム5と前上アーム6とで構成される回転関節の断面構成を示している。以降の説明では、後上アーム5と前上アーム6とで構成される回転関節の回転軸RAに沿って、前上アーム6が位置する側を先端側と呼び、後上アーム5が位置する側を基端側と呼ぶ。図2に示すように、後上アーム5は、アーム基枠31が外カバー32によって覆われた構成を有している。後上アーム5のアーム基枠31の先端側には、軸穴31aが形成されている。また、前上アーム6は、アーム基枠33を有している。前上アーム6のアーム基枠33の基端側には、筒状の軸部33aが設けられている。前上アーム6のアーム基枠33の軸部33aは、後上アーム5のアーム基枠31の軸穴31aに嵌合された状態で、クロスローラベアリング11によって軸穴31aに対して相対的に回転可能となっている。前上アーム6は、このような回転関節構造によって、後上アーム5に対して回転軸RAを中心に回転可能に支持されている。ロボット10における他の回転関節の構造も同様である。
ロボット10の各回転関節は、アクチュエータとしてのサーボモータ(図示しない)により駆動される。ロボット10の内部には、サーボモータやエンドエフェクタに電源を供給する電源線や、サーボモータやエンドエフェクタとロボットコントローラ(図示しない)との間で制御信号を送受信するための信号線が設けられている。このようなロボット10の内部の配線には、各回転関節における高速回転運動に追随可能であることが求められる。そのため、本実施形態のロボット10では、各回転関節における配線のために、図2から図4に示す回転関節用配線装置(以下、配線装置とも呼ぶ)12が用いられる。図2から図4には、後上アーム5と前上アーム6とで構成される回転関節に用いられる配線装置12の構成を示しているが、他の回転関節に用いられる配線装置の構成も同様である。図2には、配線装置12の断面構成を示しており、図3は、配線装置12の分解斜視図であり、図4は、配線装置12の斜視図である。各図において、配線装置12の構成の理解を容易にするために、配線装置12の構成の一部の図示を適宜省略している。
図2から図4に示すように、配線装置12は、配線ケース13と、配線ケース13内に一部が収容されたフレキシブルプリント配線板アセンブリ14とを備えている。図3および図4に示すように、フレキシブルプリント配線板アセンブリ14は、複数の帯状のフレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuits、フレキシブルプリント回路基板とも呼ばれる)14−1ないし14−8が厚さ方向に沿って重ねられたものである。以降の説明では、フレキシブルプリント配線板をFPCと呼び、フレキシブルプリント配線板アセンブリをFPCアセンブリと呼ぶ。FPC14−1ないし14−8は、電源供給用または信号送受用の導電線を形成したプラスチックフィルム(例えばポリイミドフィルム)に、絶縁被覆のためのプラスチックフィルム(例えばポリイミドフィルム)を接着剤により接着した基本構成を有しており、比較的柔軟で薄肉である。FPCアセンブリ14を構成する各FPC14−1から14−8は、互いに接着等によって固定されていない。すなわち、各FPC14−1から14−8は互いに摺動可能となっている。
図2および図3に示すように、配線ケース13は、筐体15と、芯部材17と、円板部材18とから構成されている。筐体15と芯部材17と円板部材18とは、樹脂材料により形成されている。
筐体15は、両面が開放された略円筒形状の筐体本体部15bと、筐体本体部15bに着脱可能なキャップ部15aとを備える。キャップ部15aは、筐体本体部15bに形成された切り欠き部15eを埋めるように、筐体本体部15bに装着される。キャップ部15aは、回転軸RAに直交する方向に沿って対向する2つの壁体(内側壁体53および外側壁体52)を有する(図2参照)。キャップ部15aの構成については、後に詳述する。筐体本体部15bの内周面の比較的先端側には、回転軸RAに向かう方向に突出する凸部15cが形成されている。凸部15cは、筐体本体部15bの内周面と回転軸RAに直交する仮想平面との交線(円)に沿って連続的に形成されている。また、筐体本体部15bの基端側縁には、他の部分より内径の大きい略円筒形状の拡径部15dが形成されている。
芯部材17は、輪状の大径輪部17bと、大径輪部17bより径の小さい輪状の小径輪部17cと、大径輪部17bの内周縁と小径輪部17cの外周縁とを連結する略円筒形状の側壁部17aとから構成されている。側壁部17aには、基端側に開口するスリット17dが形成されている。また、小径輪部17cには、複数の開口17eが形成されており、回転軸RAに平行な方向に沿って各開口17eと対向する側壁部17aの位置には、回転軸RAに向かう方向に突出する凸部17fが形成されている。
円板部材18は、中央に孔が形成された略円板形状の部材である。円板部材18における芯部材17の各開口17eに対応する位置には、先端側へと突出する凸部18aが形成されている。各凸部18aには、芯部材17の側壁部17aに設けられた凸部17fと係合するための開口18bが形成されている。
図2および図4に示すように、芯部材17は、小径輪部17cが基端側に位置し大径輪部17bが先端側に位置する姿勢で、略円筒形状の筐体15の内側に収容される。このとき、芯部材17の大径輪部17bの外縁が筐体本体部15bの内周面に形成された凸部15cと干渉することによって、芯部材17の基端側への移動が制限される。また、図2に示すように、円板部材18は、芯部材17の小径輪部17cの基端側に載置される。このとき、円板部材18の凸部18aが芯部材17の小径輪部17cに形成された開口17eに挿入され、凸部18aに形成された開口18b内に芯部材17の凸部17fが係合する。これにより、円板部材18は芯部材17に固定される。この互いに固定された芯部材17および円板部材18は、請求項におけるリール部材に相当する。円板部材18の直径は、筐体15の拡径部15dの内径より小さく、かつ、筐体15の他の部分の内径より大きい。そのため、円板部材18の外縁が筐体15と干渉することによって、円板部材18および芯部材17(リール部材)の先端側への移動が制限される。このようにして、筐体15と円板部材18および芯部材17(リール部材)とが組み立てられ、配線ケース13として構成される。配線ケース13において、芯部材17の側壁部17aの外周面と筐体15の内周面との間に、回転軸RAを中心とする環状の案内空間GSが確保される。
図2に示すように、筐体15は、中継部材35およびネジ36,37を介して、前上アーム6(アーム基枠33)に固定されている。一方、芯部材17は、中継部材39およびネジ19,38,41を介して、後上アーム5(アーム基枠31および外カバー32)に固定されている。そのため、前上アーム6が後上アーム5に対して回転軸RAを中心に相対的に回転すると、前上アーム6に固定された筐体15は、後上アーム5に固定された芯部材17(および芯部材17に固定された円板部材18)に対して回転軸RAを中心に相対的に回転する。この回転の際にも、筐体15と芯部材17および円板部材18との間には、環状の案内空間GSが確保される。なお、前上アーム6は、請求項における第1の部材に相当し、後上アーム5は、請求項における第2の部材に相当する。
図2から図4に示すように、筐体15、芯部材17および円板部材18で構成される配線ケース13の案内空間GS内には、摺動補助部材23が収容されている。摺動補助部材23は、輪状の回転板24と、回転板24の基端側表面から回転軸RAに平行な方向に延伸した複数のローラ25および1つの保護柱26とを備えている。回転板24は、芯部材17の大径輪部17bの基端側表面上を、回転軸RAを中心に回転可能である。また、複数のローラ25は、回転軸RAを中心とした円弧上に並んで配置されている。各ローラ25は、回転軸RAに平行な軸を中心に自転可能である。
図3に示すように、FPCアセンブリ14は、2つの折返し部(第1の折返し部14bおよび第2の折返し部14d)を有する。2つの折返し部14b、14dのそれぞれは、折返し部の前後で、FPCアセンブリ14の厚さ方向が反転し、かつ、長さ方向が略90度変わるように折り返された部分である。FPCアセンブリ14において、2つの折返し部14b、14dに挟まれた部分を中央部14cと呼び、第1の折返し部14bを挟んで中央部14cと隣接する部分を第1の周縁部14aと呼び、第2の折返し部14dを挟んで中央部14cと隣接する部分を第2の周縁部14eと呼ぶ。折返し部14b、14dは、折り返されていることから、他の部分(中央部14c、第1の周縁部14a、第2の周縁部14e)と比較して厚さが略2倍である。第1の周縁部14aにおける第1の折返し部14b側とは反対側の端部には、接続端子43が設けられており、第2の周縁部14eにおける第2の折返し部14d側とは反対側の端部には、接続端子44が設けられている。
図2および図4に示すように、FPCアセンブリ14の第1の折返し部14bは、芯部材17のスリット17d内に挿入されて保持される。FPCアセンブリ14の第2の折返し部14dは、筐体15のキャップ部15aの外側壁体52と内側壁体53との間に挿入されて保持される。また、FPCアセンブリ14の中央部14cは、厚さ方向が回転軸RAに略直交した姿勢で、配線ケース13内に形成された案内空間GS内に収容される。具体的には、中央部14cは、芯部材17のスリット17d内に保持された第1の折返し部14bとの境界部分から、案内空間GSにおける各ローラ25よりも内側の位置を回転軸RAを中心とした円弧状に延伸し、保護柱26の手前の位置で巻き方向が反転されて案内空間GSにおける各ローラ25よりも外側の位置を円弧状に延伸し、筐体15のキャップ部15aの外側壁体52と内側壁体53との間に保持された第2の折返し部14dとの境界部分に至るような姿勢である。すなわち、中央部14cは、二重の円弧状の姿勢で案内空間GS内に収容されている。なお、中央部14cにおける巻き方向が反転された部分を反転部Tと呼ぶ。
FPCアセンブリ14の第1の周縁部14aは、配線ケース13から後上アーム5の方向に延伸している。第1の周縁部14aの先端に設けられた接続端子43は、後上アーム5の図示しない接続端子に接続される。同様に、FPCアセンブリ14の第2の周縁部14eは、配線ケース13から前上アーム6の方向に延伸している。第2の周縁部14eの先端に設けられた接続端子44は、前上アーム6の図示しない接続端子に接続される。これにより、後上アーム5における各種配線と前上アーム6における各種配線とが、FPCアセンブリ14を介して接続される。
A−2.配線装置の動作:
上記構成を有する配線装置12の動作について説明する。図5および図6は、配線装置12の動作を示す説明図である。図5および図6には、配線装置12(ただし円板部材18が取り付けられていない状態)の基端側から見た平面構成を示している。図5に示す状態から、後上アーム5の前上アーム6に対する相対回転に伴い後上アーム5に固定された芯部材17が筐体15に対して図5の矢印方向に相対回転すると、図6に示す状態になる。反対に、図6に示す状態から、芯部材17が筐体15に対して図6の矢印方向に相対回転すると、図5に示す状態になる。
芯部材17が筐体15に対して相対回転すると、芯部材17のスリット17dと筐体15のキャップ部15aとの相対位置関係が変化する。上述したように、芯部材17のスリット17dにはFPCアセンブリ14の第1の折返し部14bが保持されており、筐体15のキャップ部15aにはFPCアセンブリ14の第2の折返し部14dが保持されている。そのため、スリット17dとキャップ部15aとの相対位置関係が変化すると、それに対応して、FPCアセンブリ14の第1の折返し部14bと第2の折返し部14dとの相対位置関係が変化する。このFPCアセンブリ14の第1の折返し部14bと第2の折返し部14dとの相対位置関係の変化は、図5および図6に示すように、中央部14cの案内空間GS内での姿勢変化によって吸収される。この中央部14cの姿勢変化は、ローラ25の自転や、摺動補助部材23自体の回転によって補助(促進)される。以上のような配線装置12の動作により、ロボット10の内部の配線は、各回転関節における回転運動に追随することができる。
A−3.筐体のキャップ部の構成およびFPCアセンブリとの位置関係:
上述した筐体15のキャップ部15aの詳細構成およびキャップ部15aとFPCアセンブリ14との関係について説明する。図7から図11は、キャップ部15aの詳細構成を示す説明図である。図7には、キャップ部15aの正面構成(キャップ部15aを挟んで回転軸RAとは反対側から見た構成)を示しており、図8には、キャップ部15aの背面構成(回転軸RAの側から見た構成)を示しており、図9には、キャップ部15aの右側面構成を示しており、図10には、キャップ部15aの左側面構成を示しており、図11には、先端側から見たキャップ部15aの平面構成を示している。
上述したように、キャップ部15aは、筐体本体部15bに装着された状態で回転軸RAに直交する方向に沿って対向する2つの壁体(内側壁体53および外側壁体52)を有している。内側壁体53および外側壁体52は、キャップ部15aの基端側に位置する底板51から先端側に向かって延伸するように形成されている。外側壁体52の先端側縁には、回転軸RAの方向に向かって突出する凸部57が形成されている。また、正面から見てキャップ部15aの左右端には、筐体本体部15bへの装着・固定のためのガイド部54が形成されている。キャップ部15aは、ガイド部54が筐体本体部15bに形成された溝に係合した状態で筐体本体部15bの切り欠き部15eの位置にスライド挿入され、ガイド部54の凸部が筐体本体部15bに形成された穴に係合することによって筐体本体部15bに固定される。
図12および図13は、キャップ部15aとFPCアセンブリ14との位置関係を示す説明図である。図12および図13は、それぞれ、図7および図8にFPCアセンブリ14の位置を加筆した図である。上述したように、FPCアセンブリ14の第2の折返し部14dは、キャップ部15aの外側壁体52と内側壁体53との間に挿入されて保持される。ここで、図13に示すように、第2の折返し部14dは、内側壁体53に覆われており、内側壁体53の縁53aには対向していない。内側壁体53の縁53aは、第2の折返し部14dではなく、中央部14cに対向している。また、凸部57は、回転軸RAに平行な方向に沿って、FPCアセンブリ14の中央部14cと隙間を介して対向している。
配線装置12の回転動作に伴い、FPCアセンブリ14を構成するFPCの内、最も内側(回転軸RAに近い側)に位置するFPCは内側壁体53の縁53aに干渉(接触)する場合がある。このような干渉は、FPCにマイクロクラックが発生する原因となる。本実施形態の配線装置12では、内側壁体53の縁53aは、FPCアセンブリ14において比較的薄い中央部14cに対向しているため、比較的厚い第2の折返し部14dに対向している場合と比較して、FPCと内側壁体53の縁53aとの干渉が起こりにくくなり、FPCにおけるマイクロクラックの発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態の配線装置12では、FPCアセンブリ14を構成する各FPCは、互いに固定されておらず摺動可能になっている。そのため、あるFPCに作用する応力は他のFPCに伝わらないため、仮にFPCと内側壁体53の縁53aとの干渉が起こっても、当該干渉するFPCに作用する応力の増大を抑制することができ、FPCにおけるマイクロクラックの発生をより確実に抑制することができる。
また、本実施形態の配線装置12では、筐体15のキャップ部15aの外側壁体52に回転軸RAの方向に向かって突出する凸部57が形成されているため、回転軸RAと平行な方向に沿ったキャップ部15aに対するFPCアセンブリ14の余分な動きが制限されて、FPCにおけるマイクロクラックの発生をより確実に抑制することができると共に、キャップ部15aへのFPCアセンブリ14の組み付けの際にFPCアセンブリ14の脱落が防止され、組み付け性を向上させることができる。なお、凸部57は、請求項における制限部に相当する。
また、本実施形態の配線装置12では、筐体15の内周面に、回転軸RAに向かう方向に突出する凸部15cが形成されているため、この凸部15cによっても回転軸RAと平行な方向に沿ったキャップ部15aに対するFPCアセンブリ14の余分な動きが制限されて、FPCにおけるマイクロクラックの発生をより確実に抑制することができる。
本実施形態の配線装置12を用いて耐久試験を行った結果、ISOに規定されたロボットの耐久性の目標値を大きく上回る回数の回転動作実行後にもFPCアセンブリ14にマイクロクラックが発生しないことを確認した。
なお、例えば自動車のステアリング構造にはフレキシブルフラットケーブル(Flexible Flat Cable、以下、FFCと呼ぶ)を用いた配線装置が用いられる場合があるが、自動車のステアリングの使用態様(回転速度やトルク、回転動作頻度等)や要求される耐久性は、ロボットの回転関節の使用態様や要求耐久性と大きく異なる。また、FFC自体もFPCとはその性質(柔軟性、厚さ、軽さ、表面性状(例えば滑りやすさ)等)が大きく異なる。そのため、FFCを用いた自動車のステアリング構造に用いられる配線装置は、ロボットの回転関節に適用できるものではない。本願の発明者は、ロボットの回転関節の上記特性を考慮して、FPCを用いた上述の配線装置を発明したものである。
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態におけるロボット10の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、配線装置12は、6軸の垂直多関節型の産業用ロボット10に適用されているが、上記実施形態の配線装置12は、7軸以上または5軸以下の垂直多関節型や、単関節型、水平型といった他の形式のロボットの回転関節にも適用可能である。
上記実施形態における配線装置12の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、FPCアセンブリ14は、8枚のFPCから構成されているが、FPCアセンブリ14が2−7枚、あるいは、9枚以上のFPCから構成されるとしてもよい。また、FPCアセンブリ14が、第1の折返し部14bおよび第2の折返し部14dの他に折返し部を有するとしてもよい。また、上記実施形態では、芯部材17と円板部材18とからリール部材が構成されるとしているが、リール部材は単一の部材から構成されるとしてもよい。また、上記実施形態では、筐体15と芯部材17と円板部材18とは、樹脂材料により形成されているとしているが、これらの一部または全部が金属等の他の材料により形成されているとしてもよい。また、上記実施形態では、FPCアセンブリ14を構成する各FPCは互いに接着等によって固定されていないとしているが、必ずしも全長にわたって非固定である必要はなく、少なくともキャップ部15aの内側壁体53の縁53aに対向する位置において非固定であれば、FPCと内側壁体53の縁53aとの干渉が起こっても当該干渉するFPCに作用する応力の増大を抑制することができ、FPCにおけるマイクロクラックの発生を抑制することができる。
また、上記実施形態では、回転軸RAに平行な方向に沿ったキャップ部15aに対するFPCアセンブリ14の動きを制限する構成として、外側壁体52に凸部57が形成されているが、他の構成によって上記制限が実現されるとしてもよい。例えば、内側壁体53の表面から回転軸RAとは反対の方向に向かって突出する凸部を形成することによって上記制限を実現することも可能である。
2…ベース部
3…ショルダ部
4…下アーム
5…後上アーム
6…前上アーム
7…手首
8…フランジ
10…ロボット
11…クロスローラベアリング
12…配線装置
13…配線ケース
14…フレキシブルプリント配線板アセンブリ
14a…第1の周縁部
14b…第1の折返し部
14c…中央部
14d…第2の折返し部
14e…第2の周縁部
15…筐体
15a…キャップ部
15b…筐体本体部
15c…凸部
15d…拡径部
15e…切り欠き部
17…芯部材
17a…側壁部
17b…大径輪部
17c…小径輪部
17d…スリット
17e…開口
17f…凸部
18…円板部材
18a…凸部
18b…開口
19…ネジ
23…摺動補助部材
24…回転板
25…ローラ
26…保護柱
31…アーム基枠
31a…軸穴
32…外カバー
33…アーム基枠
33a…軸部
35…中継部材
36…ネジ
39…中継部材
43…接続端子
44…接続端子
51…底板
52…外側壁体
53…内側壁体
53a…縁
54…ガイド部
57…凸部
T…反転部
RA…回転軸
GS…案内空間

Claims (5)

  1. 第1の部材と、前記第1の部材に対して所定の軸を中心に相対的に回転可能な第2の部材と、から構成されるロボットの回転関節に適用可能な配線装置であって、
    前記第1の部材に連結される略円筒形状の筐体本体部を有する筐体と、
    前記筐体との間に前記軸を中心とする環状の案内空間が確保された状態で前記第2の部材に連結され、前記第2の部材の前記第1の部材に対する相対的な回転に伴い前記筐体に対して相対的に回転するリール部材と、
    厚さ方向に沿って互いに重ねられた複数の帯状のフレキシブルプリント配線板により構成されるフレキシブルプリント配線板アセンブリと、を備え、
    前記フレキシブルプリント配線板アセンブリは、折り返しの前後で厚さ方向が反転し、かつ、長さ方向が略90度変わるように折り返された第1および第2の折返し部を有し、
    前記フレキシブルプリント配線板アセンブリにおける前記第1および第2の折返し部に挟まれた中央部は、前記案内空間内で延伸し、所定の位置で延伸方向を反転させて前記案内空間内で延伸するように、前記案内空間内に収容され、
    前記第1の折返し部は、前記リール部材に保持されて前記リール部材と共に動き、
    前記第2の折返し部は、前記筐体と共に動き、
    前記筐体本体部の内周面には、前記内周面から前記軸に向かう方向に突出し、前記案内空間における前記フレキシブルプリント配線板アセンブリの前記軸と平行な方向に沿った動きを制限する凸部が形成されている、
    配線装置。
  2. 請求項1に記載の配線装置であって、
    前記案内空間内に前記軸を中心に回転可能に収容され、前記軸に平行な方向に延伸した複数のローラが前記軸を中心とした円弧上に並んで配置された摺動補助部材を備え、
    前記筐体は、前記筐体本体部に着脱可能であり、前記軸に直交する方向に沿って対向する2つの壁体を有するキャップ部、を有し、
    前記フレキシブルプリント配線板アセンブリにおける前記第1および第2の折返し部に挟まれた中央部は、前記案内空間における前記複数のローラより内側を延伸し、所定の位置で延伸方向を反転させて前記案内空間における前記複数のローラより外側を延伸するように、前記案内空間内に収容され、
    前記第2の折返し部は、前記キャップ部における前記2つの壁体の内の内側の壁体の縁が前記第2の折返し部ではなく前記中央部に対向する状態で、前記2つの壁体の間に保持されて前記筐体と共に動き、
    前記フレキシブルプリント配線板アセンブリを構成する複数の前記フレキシブルプリント配線板は、少なくとも前記内側の壁体の前記縁に対向する位置において、互いに固定されていないことを特徴とする、配線装置。
  3. 請求項に記載の配線装置であって、
    前記キャップ部は、前記軸に平行な方向に沿った前記キャップ部に対する前記フレキシブルプリント配線板アセンブリの動きを制限する制限部を有することを特徴とする、配線装置。
  4. 請求項に記載の配線装置であって、
    前記制限部は、前記キャップ部の前記2つの壁体の内の外側の壁体から前記軸の方向に向かって突出する凸部であることを特徴とする、配線装置。
  5. 前記第1の部材と、
    前記第2の部材と、
    請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の配線装置と、を備えることを特徴とする、ロボット。
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