JP5540996B2 - ロボットの回転関節用配線装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ロボットの回転関節により結合される2つの部材間での配線に用いるもので、特にフレキシブルプリント配線板を用いたロボットの回転関節用配線装置に関する。
産業用のロボットは、ベースに複数のアームを回転関節により順次結合して構成されている。アームの先端である手首部には、通常、ハンドなどのエンドエフェクタが装着される。このような産業用のロボットでは、アームやエンドエフェクタなどの駆動源をなすモータへの電源供給や、駆動源とロボットコントローラとの間での制御用信号の送受信などを行うためのケーブルが配線される。
このようなケーブルとして、フレキシブルプリント配線板(以下、FPCと称す)を用いた上で、回転関節部分において2つの部材(ベースとアーム、アームとアーム、アームと手首部など)の相対回転を阻害しないような配線構造にすることが提案されている。しかし、FPCは、複数の導電線が互いに近接配置されている点や、導電線が銅箔などにより形成されている点などから、過電流による発熱に対して通常の導線に比べて弱いという欠点がある。
このようなことから、FPCを用いた場合には、ロボット内の配線において過電流が生じた際、その過電流が流れたFPCの導電線が断線などの故障を起こす可能性が通常の導線を用いた場合に比べて高い。その結果、過電流が流れた導電線を含むFPCを特定して交換などの修理を行う必要性が、通常の導線を用いた場合に比べて高くなる。
一方、過電流を検出する技術としては、例えば、特許文献1記載の回路保護装置が挙げられる。特許文献1には、モータに流す電流を断電可能に設けられたPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタの表面に感熱性塗料を塗布する構成が開示されている。この構成によれば、モータに過電流が流れることによりPTCサーミスタが自己発熱し、その熱により感熱性塗料が変色する。そして、その変色がモータの連続通電の形跡として確認されることになる。
特開平10−023655号公報
PTCサーミスタは、温度の低い定常動作状態であっても小さい抵抗値を有するため、定常時に流れる電流により僅かな熱を発生することになる。そのため、PTCサーミスタの表面に塗布される感熱性塗料として感度の高いものを使用した場合には、定常動作状態での熱を長期間受けることによって経年変色してしまう可能性がある。このように経年変色を起こした場合、肝心の過電流が発生したときにその通電形跡を残すことができなくなる。従って、引用文献1記載の技術では、感熱性塗料としては、感度の低いものを用いるという選択肢しかない。
特許文献1では、モータに連続して過電流が流れた場合の通電形跡を残すことを目的としているため、感度の低い感熱性塗料を用いたとしても問題はない。一方、ロボットの配線に流れる過電流は、必ずしも連続的に流れるとは限らず、例えば外来ノイズの影響により短い時間だけ過電流が流れる場合もある。感度の低い感熱性塗料を用いた場合には、短い時間だけ流れる過電流の形跡を残すことができないことも考えられる。ロボットにおいては、そのような短い時間の過電流であっても、後々の故障の原因となり得るため、短い時間しか流れない過電流についても検出することが必要となる。このようなことから、ロボット内の配線に流れた過電流の形跡を残すため、すなわちロボット内の配線において過電流が流れた部分を特定するために、引用文献1記載の技術を適用することはできない。
また、前述したように、現在のロボットにおいては、各アーム間で電気信号を伝達するためのケーブルとしてFPCが採用された回転関節用配線装置(リテーナ)が使用されている。このような回転関節用配線装置では、その構造上、FPCが層をなすように重なる部分が存在する。そのFPCが重なる部分では複数の導電線が(層方向で)密集することになる。このような構成の回転関節用配線装置に対し、引用文献1における問題点を考慮して単純に感度の高い感熱性塗料を用いた場合、次のような問題が生じる。すなわち、導電線が密集する箇所では、過電流が流れた導電線に対応する感熱性塗料だけでなく、その導電線の近くに存在する(隣り合う層の)導電線に対応する感熱性塗料にまで熱が伝達して変色してしまい、感熱性塗料がどの導電線からの発熱により変色したものであるのかが見分け難くなる。従って、過電流などの異常が生じた場合に、その過電流が流れた部分を特定することが困難になってしまう。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロボットの回転関節により結合される2つの部材間の配線としてフレキシブルプリント配線板を用いた構成において、過電流が流れた部分をその過電流の継続時間にかかわらず特定することができるロボットの回転関節用配線装置を提供することにある。
請求項1記載の手段によれば、配線ケースは、筒状をなす筐体と、芯部材とを有し、筐体の内周側に芯部材を収納するように組み合わせて構成されている。筐体は、ロボットの相対回転する一方の部材に取り付けられている。芯部材は、ロボットの相対回転する他方の部材に取り付けられている。フレキシブルプリント配線板は、複数の導電線が配列された帯状をなし、その中間部は配線ケース内において芯部材の外周囲に層をなして巻くように収納されている。このような構成により、ロボットの相対回転する一方の部材と他方の部材との間で、その相対回転を阻害することなく電気信号の伝達を可能にしている。
また、フレキシブルプリント配線板の一端部は、中間部のように重ねられることなく、芯部材から一方の部材内に導出されるとともにコネクタに接続されている。フレキシブルプリント配線板の他端部は、一端部と同様に重ねられることなく、筐体から他方の部材内に導出されるとともにコネクタに接続されている。熱感応部材は、フレキシブルプリント配線板の表面における複数の導電線上の部位であり、且つ、コネクタとの接続部分(一端側または他端側の部分)に取り付けられている。この熱感応部材は、導電線にロボットの定常動作状態で流れる電流に比べて過大な電流が流れたときの導電線が発する熱により感応するように構成されている。
正の温度係数を持つサーミスタ(PTCサーミスタ)は、フレキシブルプリント配線板の導電線を介して伝達される電気信号の伝達経路に直列に介在するように設けられている。上記サーミスタは、過電流や過熱により熱せられると、素子内部の温度が上昇し、素子温度が所定の検知温度より上昇すると急激に抵抗値が増大するものである。すなわち、上記サーミスタは、導電線に過電流が流れると、その過電流を微小値に制限する過電流保護素子として機能する。このようなサーミスタとしては、例えば、ポリマ系のPTCサーミスタであるポリスイッチ(登録商標)などを用いることが可能である。
このような構成により、例えば外来ノイズの影響やロボットコントローラの誤動作などが原因で各部材間を伝達する電気信号に異常が生じ、所定の導電線に過大な電流が流れた場合、その導電線が一時的に発熱する。これにより、熱感応部材のうち、発熱した導電線上に位置する部分が感応する。また、このとき、過電流が流れる導電線に対応したサーミスタにも過電流が流れる。これにより、そのサーミスタの抵抗値が急激に増大し、過電流が流れる経路が直ちに電気的に遮断され、過電流が流れた導電線の発熱が収まる。このため、熱感応部材のうち、過電流が流れた導電線の発熱によって、その導電線に隣接する他の導電線上に位置する部分が感応することを極力抑制できる。
フレキシブルプリント配線板の中間部は、配線ケース内において層をなすように巻かれている。このため、フレキシブルプリント配線板は、その中間部において層方向に重なる部分が生じる。仮に、この重なりのある中間部に熱感応部材を設けた場合には、一方のフレキシブルプリント配線板の導電線が発熱すると、それと重なる他方のフレキシブルプリント配線板の導電線も熱せられてしまい、過電流が流れた部位を特定することが難しくなってしまう。さらに、各部材間の相対回転に応じてフレキシブルプリント配線板の重なり合う部分は互いに擦れ合い、その摩擦熱によって熱感応部材が感応するおそれもある。
これに対し、本手段では、熱感応部材は、フレキシブルプリント配線板のコネクタとの接続部分に取り付けられている。また、本手段のフレキシブルプリント配線板は、各端部においては重ねられることはない。つまり、熱感応部材は、フレキシブルプリント配線板のうち、層をなすように重ねられることのないコネクタとの接続部分に設けられている。従って、本手段によれば、フレキシブルプリント配線板において層方向に重なる部分が存在する場合であっても、それにより過電流が流れた導電線を特定することが難しくなる事態の発生を防止できるとともに、摩擦熱によって熱感応部材が誤って感応する事態の発生を防止できる。さらに、フレキシブルプリント配線板のうち、配線ケースの筐体外部に導出された部位であるコネクタとの接続部分に取り付けられた熱感応部材の感応状況により、過電流の通電形跡を確認することになる。このため、フレキシブルプリント配線板を配線ケースから取り出すことなく、過電流の通電形跡を容易に確認することが可能となる。
さて、前述した電気信号に異常が生じる事態というのは、例えば数年に1回など、稀にしか発生しない。一方、サーミスタは、定常動作状態においても小さな抵抗値を有しているため、小さな電流が流れ続け、これに伴い僅かに発熱する。仮に、従来技術のように、熱感応部材をサーミスタの表面に取り付けた場合、熱感応部材はサーミスタが定常動作状態において発する僅かな熱に晒されてしまい、経年による感応が生じてしまうおそれがある。そこで、本手段では、サーミスタは、熱感応部材と離間したところに設けるようにしている。これにより、熱感応部材が、サーミスタが定常的に発する熱に晒されることはない。従って、稀にしか発生しない過電流が流れる異常事態が生じたときに、熱感応部材が既に感応済みであり、過電流の通電形跡を残すことができなくなってしまうという事態を未然に防止することができる。
上記したとおり、本手段の熱感応部材は、定常動作状態においてサーミスタが発生する熱に晒されることがなく、また、フレキシブルプリント配線板の層方向の重なりに起因した誤感応のおそれもない。従って、熱感応部材として高感度のものを用いることが可能となる。熱感応部材として高感度のものを用いれば、一瞬の過電流についてもその通電形跡を残すことが可能となる。すなわち、過電流が流れた部分をその過電流の継続時間にかかわらず特定することが可能となる。
請求項2記載の手段によれば、一端部が繋がった複数の短冊状のフレキシブルプリント配線板を備えている。この複数の短冊状のフレキシブルプリント配線板は、一端部から他端部までの幅寸法が一定の形状の折曲前フレキシブルプリント配線板に対して、その一端部近くから他端部まで折曲前フレキシブルプリント配線板を幅方向に2つ以上に均等に分割する1本以上の切れ目を入れることにより形成されている。
このような複数の短冊状のフレキシブルプリント配線板を、その繋がっている部分に近い部分で折り曲げることにより、複数の短冊状のフレキシブルプリント配線板が互いに重なるように配置することにより、フレキシブルプリント配線板が構成されている。このような構成によれば、折曲前フレキシブルプリント配線板は、細長い長方形の帯状になるので、このフレキシブルプリント配線板を、大きなシートのフレキシブルプリント配線板から打ち抜き加工する際の材料ロスがほとんど無くなる。
上記構成によれば、複数の短冊状のフレキシブルプリント配線板が重なる部分が確実に存在することになる。ただし、熱感応部材は、フレキシブルプリント配線板の繋がった一端部とコネクタとの接続部分に取り付けられている。つまり、熱感応部材は、複数の短冊状のフレキシブルプリント配線板が重ならない部分に取り付けられている。このため、複数の短冊状のフレキシブルプリント配線板が重なる部分が確実に存在する本手段の構成であっても、それにより過電流が流れた導電線を特定することが難しくなる事態の発生を防止できるとともに、摩擦熱によって熱感応部材が誤って感応する事態の発生を防止できる。さらに、過電流の通電形跡を容易に確認することが可能となる。
本発明の一実施形態を示すFPC板の主要部分を示す図 回転関節構造とともに示す回転関節用配線装置の横断面図 外カバーを取り外して図2のA−A線の矢印方向から見た側面図 回転関節用配線装置の分解斜視図 重ねられた複数枚のFPC板の部分斜視図 FPC板の拡大断面図 複数枚のFPC板の重なり形態を示す断面図 折り曲げる前のFPC板の平面図 折り曲げる前のFPC板に切れ目を入れたものの平面図 折り曲げる前のFPC板に切れ目と折れ目線を入れたものの平面図 FPC板を折り曲げる工程を示す図(その1) FPC板を折り曲げる工程を示す図(その2) FPC板を折り曲げる工程を示す図(その3) 産業用ロボットの斜視図
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図14は、一般的な産業用ロボットの構成を示している。図14に示すロボット1は、例えば6軸の垂直多関節型ロボットとして構成されている。ロボット1は、ベース2と、そのベース2に水平方向に回転可能に支持されたショルダ部3と、そのショルダ部3に上下方向に回転可能に支持された下アーム4と、その下アーム4に上下方向に回転可能に支持された第1の上アーム5と、その第1の上アーム5に捻り回転可能に支持された第2の上アーム6と、その第2の上アーム6に上下方向に回転可能に支持された手首7と、その手首7に捻り回転可能に支持されたフランジ8とを備えている。そして、アーム先端であるフランジ8には、図示はしないが、エンドエフェクタ(手先)が取り付けられる。
エンドエフェクタとしては、ハンドの他に、視覚検査装置のカメラなどが考えられる。視覚検査装置とは、ワークの所望の検査ポイントをカメラで撮影してその撮影画像情報をロボットコントローラに送信し、ロボットコントローラが受信した撮影画像信号をディスプレイに表示するというもので、ディスプレイに表示された撮影画像を目で見て組立や加工などの良否を検査するものである。
上記したように、ショルダ部3はベース2に、下アーム4はショルダ部3に、第1の上アーム5は下アーム4に、第2の上アーム6は第1の上アーム5に、手首7は第2の上アーム6に、フランジ8は手首7に、それぞれ回転関節によって回転可能に支持されている。図2は、これら各部の回転関節構造のうち、手首7の第2の上アーム6に対する回転関節構造を示している。図2において、第2の上アーム6は、アーム基枠9を複数の外カバー10により覆って構成されている。第2の上アーム6のアーム基枠9の先端部分には、軸穴9aが形成されている。これに対し、手首7側には筒状の軸部7aが突設されている。軸部7aは、第2の上アーム6のアーム基枠9の軸穴9aに嵌合され、クロスローラベアリング11により相対回転可能に支持されている。手首7はこのような回転関節構造によって第2の上アーム6に上下方向に旋回可能に支持されているが、ショルダ部3、下アーム4、第1の上アーム5、第2の上アーム6、フランジ8といった他のロボット要素の回転関節も同様の構造である。
上記の旋回可能あるいは捻り回転可能なロボット要素であるショルダ部3、下アーム4、第1の上アーム5、第2の上アーム6、手首7およびフランジ8は、それぞれアクチュエータ、例えばサーボモータ(図示せず)を駆動源としている。これらのサーボモータに電源を供給したり、あるいは、ロボットコントローラからサーボモータの駆動回路に制御信号を送信したり、サーボモータのロータリエンコーダからロボットコントローラに回転検知信号を送信したりするために、ベース2から先端の手首7に至るまでのロボット内部には、ケーブル(図示せず)が通されている。
フランジ8に取り付けられるエンドエフェクタがハンドであれば、そのハンドのアクチュエータであるサーボモータに電源を供給したり、ハンドのサーボモータとロボットコントローラとの間で制御信号や回転検知信号を送受したりするためのケーブルがロボット内部に通される。エンドエフェクタが視覚検査装置のカメラである場合には、カメラに電源を供給したり、カメラの撮影画像信号をロボットコントローラに送信したりするためのケーブルがロボット内部に通される。
ロボット内部にケーブルを通す配線のうち、回転関節部分を通す配線には、図2〜図4に示す回転関節用配線装置12が用いられる。図2〜図4の回転関節用配線装置12は手首7の回転関節のものであるが、他の回転関節に用いられる配線装置も同様の構成のものである。回転関節用配線装置12は、配線ケース13内に帯状の長尺なフレキシブルプリント配線板14を収納してなる。なお、以下では、フレキシブルプリント配線板14を、FPC板14と称することとする。
回転関節用配線装置12の配線ケース13は、透明プラスチック製の両面が開放された円筒状の筐体15と、中心部に円形の芯部材16を一体に有した透明プラスチック製の第1の円板17と、同じく透明プラスチック製の第2の円板18とから構成されている。
第1の円板17および第2の円板18は、筐体15の両側の開放面を塞ぐためのものである。第1の円板17は、筐体15の内側に嵌合する円形嵌合突部17aを有している。第2の円板18は、筐体15の外側に嵌合する環状嵌合リブ18aを有している。第2の円板18は、第1の円板17の芯部材16にねじ19によって固定されて第1の円板17と一体化される。一体化された第1の円板17と第2の円板18とは、中心に芯部材16を有したリール20を構成する。
第1の円板17と第2の円板18を一体化してリール20を構成する際、円形嵌合突部17aを筐体15の内側に嵌合するとともに環状嵌合リブ18aを筐体15の外側に嵌合するようにして、第1の円板17と第2の円板18との間に筐体15を挟むように配する。このとき、筐体15と第1の円板17、第2の円板18との間には若干の隙間が形成されるようになっており、これにより、筐体15とリール20とが相対回転可能に組み立てられ、配線ケース13として構成される。
配線ケース13の中心部に位置する芯部材16には、円弧状の保持溝16aが形成されており、その保持溝16a内に止め具21が嵌着されている。一方、筐体15には、その内周面から外周面に向かって円弧を描くようにしてスリット15aが形成されている。また、筐体15には、スリット15aから一方向に向かって反対側にまで延びる深溝15bが形成されている。深溝15bの先端部は、外周側の側面部が筐体15の外周面において外方に開放されているとともに、底面部も筐体15の端面において外方に開放されている。
第1の円板17の内面(配線ケース13の内面を構成する側の面)には、芯部材16と同心に大小径の異なる2本の環状リブ17b、17cが形成されており、それら2本の環状リブ17b、17cに挟まれた環状の溝状部分を案内路22としている。また、第1の円板17の内面には、芯部材16から放射状に延びる放射状リブ17dが複数本形成されている。なお、放射状リブ17dは、案内路22内には形成されていない。
配線ケース13内には、摺動補助器23が配設されている。摺動補助器23は、有端環状に形成されたプラスチック製の回転板24を基台としている。回転板24の表裏両面のうち、一方の面には、突部24aが突設されている。また、回転板24の他方の面には、複数本の支持軸24bが回転板24の円弧に沿って一列に整列した状態で立設されており、その支持軸24bにローラ25が回転自在に支持されている。このとき、ローラ25の外径寸法を回転板24の幅寸法よりも大きくしておくことにより、ローラ25が回転板24の内外両周縁から外方に出っ張るようにしている。
さらに、回転板24の支持軸24bが立設された面の一端近くには、他端に向く側の面を円弧凹面26aとした保護柱26が立設されている。保護柱26は、その幅が回転板24の幅よりも狭く、例えば回転板24の幅の半分程度に定められて回転板24の外周縁側に偏った位置に設けられている。ここで、回転板24の両端のうち、保護柱26が立設された一端とは反対側の他端にはローラ25が位置し、そのローラ25は回転板24の他端よりも外方に出っ張っている。
このように回転板24に複数個のローラ25を配列してなる摺動補助器23は、回転板24の突部24aを第1の円板17の案内路22にスライド可能に嵌合するようにして配線ケース13内に収納されている。そして、回転板24の突部24aが案内路22にスライド可能に嵌合されることにより、摺動補助器23は、芯部材16の周りで当該芯部材16を中心に回転運動可能になっている。
FPC板14は、図5にも示すように、複数枚重ねられて配線ケース13内に収容されている。また、FPC板14は、図6(a)および図6(b)に示すように、複数本の導電線27を形成したプラスチックフィルム、例えばポリイミドフィルム28に、絶縁被覆のためのプラスチックフィルム、例えばポリイミドフィルム29を接着剤30により接着してなる基本構成を有している。導電線27は、電源線または信号線として使用される。この場合、FPC板14としては、図6(a)に示すように導電線27が電源線27−1として使用される電源用FPC板14−1と、図6(b)に示すように導電線27が信号線27−2として使用される信号用FPC板14−2の2種類用意されている。電源線27−1および信号線27−2は、厚さについては同一で、線幅については信号線27−2の方が電源線27−1よりも狭くなっている。また、電源線27−1、信号線27−2の本数については、図6では、それぞれ4本ずつ図示しているが、もっと多数本形成するように構成してもよい。
本実施形態では、電源用FPC板14−1は、手首7やフランジ8のアクチュエータ(駆動源)であるサーボモータに電源を供給するため、およびエンドエフェクタに電源を供給するためのものとして用いられている。また、信号用FPC板14−2は、上記サーボモータとロボットコントローラとの間で信号を送受するため、およびエンドエフェクタとロボットコントローラとの間で信号を送受するためのものとして用いられている。
複数枚のFPC板14としては、電源用FPC板14−1および信号用FPC板14−2がそれぞれ所要枚数使用されている。例えば3枚のFPC板14を重ね合わせる場合、1枚の信号用FPC板14−2を2枚の電源用FPC板14−1で挟むように重ね合わせる(図7参照)。このような構成の3枚のFPC板14−1、14−2、14−1を製造する方法について、図8〜図13を参照して説明する。
まず、上記3枚のFPC板14−1、14−2、14−1は、図8に示すような一枚のFPC板51(折曲前フレキシブルプリント配線板に相当)から構成されている。FPC板51の形状は、長尺な帯状、且つ、一端部から他端部まで幅寸法が一定の形状である。FPC板51には、上記3枚のFPC板14−1、14−2、14−1にそれぞれ相当する領域51−1、51−2、51−3が形成されている。
続いて、図9に示すように、FPC板51における一端部(図9中の上端部)近くから、電源用FPC板14−1相当の領域51−1と、電源用FPC板14−1相当の領域51−3との境界に切れ目51aを入れ、電源用FPC板14−1相当の領域51−3と信号用FPC板14−2相当の領域51−2との境界に切れ目51bを入れ、いわゆる暖簾のような形状に加工する。これにより、電源用FPC板14−1と、信号用FPC板14−2と、電源用FPC板14−1とが形成される。電源用FPC板14−1、信号用FPC板14−2、および、電源用FPC板14−1は、それぞれ帯状で且つ同一幅の短冊状である。
この後、図13に示すように、左右両側の信号用FPC板14−2と電源用FPC板14−1の各一端部を折り曲げることにより、電源用FPC板14−1、信号用FPC板14−2、および、電源用FPC板14−1を重ねた状態にする。以下、この重ね方について、詳述する。
まず、図10に示すように、左右両側の信号用FPC板14−2と電源用FPC板14−1の各一端部に、折り易くするために、折れ目線51c、51d、51e、51fを入れる。続いて、図11に示すように、左側の信号用FPC板14−2を折れ目線51cに沿って折り曲げ、右方へ延ばす。そして、図12に示すように、上記折り曲げた信号用FPC板14−2を折れ目線51dに沿って折ることにより、電源用FPC板14−1の上に重ねる。
次いで、右側の電源用FPC板14−1を折れ目線51eに沿って折り曲げ、左方へ延ばす。この後、図13に示すように、上記折り曲げた電源用FPC板14−1を折れ目線51fに沿って折り曲げることにより、信号用FPC板14−2(および電源用FPC板14−1)の上に重ねる。これにより、3枚のFPC板14−1、14−2、14−1を重ね合わせたFPC板14が製造される。
電源用FPC板14−1、14−1と、信号用FPC板14−2とでは、図4に示すように、他端部側の長さが異なり、信号用FPC板14−2の方が、電源用FPC板14−1、14−1よりも長尺となっている。そして、電源用FPC板14−1、14−1、信号用FPC板14−2は、一端部側の部分14dでほぼ直角に図4中上方に折り曲げられ、上方に延びる延長部14aが形成されている。また、電源用FPC板14−1、14−1は他端部側の部分14eでほぼ直角に図4中下方に折り曲げられ、下方に延びる延長部14bが形成されている。さらに、信号用FPC板14−2の他端部側の部分14fもほぼ直角に図4中下方に折り曲げられ、下方に延びる延長部14cが形成されている。
電源用FPC板14−1、14−1、信号用FPC板14−2の一端部である折曲部分14dは、リール20の相対回転中心部である芯部材16に連結されている。また、電源用FPC板14−1、14−1の他端部である折曲部分14eと、信号用FPC板14−2の他端部である前記折曲部分14fとは、筐体15に連結されている。
具体的には、電源用FPC板14−1、14−1、信号用FPC板14−2の折曲部分14dについては、芯部材16に嵌着された止め具21の差し込み溝21a内に挿入保持されている。一方、電源用FPC板14−1、14−1の折曲部分14eはスリット15a内に挿入され、信号用FPC板14−2の折曲部分14fは、スリット15aに連続する深溝15b内にその全体にわたって挿入され、スリット15aの外周側の開放口および深溝15bの先端部の外周側の開放口を塞ぐようにして筐体15に固定された押え具31および32によってそれぞれ押えられている。
このようにして両端部が芯部材16および筐体15に連結されたFPC板14は、図3に示すように、配線ケース13内において、途中部分が摺動補助器23の両端間の開口部に通され、そして、摺動補助器23の内側に位置する部分が芯部材16の外周に所要回数巻かれ、摺動補助器23の外側に位置する部分が摺動補助器23の内側での巻き方向と逆の巻き方向になるよう所要回数巻かれている。このように摺動補助器23の内外両側において巻き方向が異なるFPC板14は、摺動補助器23の両端間の開口部分においてU字状に折り返された状態になっている。そして、そのU字状に折り返された部分T(ほぼ円弧状の反転部、以下、折り返し部分Tという)の内側には、前述した回転板24の他端に設けられたローラ25が位置している。
図4に示すように、FPC板14の延長部14a、14b、14cのうち、芯部材16に連結された一端部の延長部14aの先端部には、FPC板14の導電線27に接続されたコネクタ33が取着されている。また、延長部14aとコネクタ33との接続部分において、延長部14aの表面(コネクタ33と接する側と反対側の面)には、矩形状をなす熱感応シール60(熱感応部材に相当)が貼付されている。図1にも示すように、熱感応シール60は、延長部14aの表面において、全ての導電線27(電源線27−1、信号線27−2)を覆うようにして配置されている。また、熱感応シール60は、その長手方向がコネクタ33の長手方向と一致するような向きで配置されている。すなわち、熱感応シール60の長手方向は、各導電線27の延びる方向に対して概ね直角となっている。
熱感応シール60は、色の変化で温度上昇を知らせるものである。熱感応シール60は、いわゆる高感度タイプであり、所定の検知温度以上になると短時間(例えば数ミリ秒〜1秒程度)で変色する。また、熱感応シール60は、不可逆性タイプのものであり、一旦変色すると元には戻らない。熱感応シール60は、導電線27に正常時に比べて極めて大きな電流(過電流)が流れたとき、その導電線27が発する熱によって感応するように上記検知温度が設定されている。このような構成により、熱感応シール60は、ロボット1の定常動作状態では感応することなく、ロボット1に何らかの異常が生じて所定の導電線27に過電流が流れた場合に、その痕跡を変色という形で残すようになっている。
筐体15に連結されたFPC板14の他端部の延長部14b、14cのうち、スリット15aに保持された短尺な電源用FPC板14−1の他端部の延長部14bは、その中間部分付近で切断されている。ただし、その切断部分は、基板61を介して再度接続されている。その基板61には、図1に示すように、FPC用コネクタ62、63およびポリスイッチ71〜74が搭載されている。延長部14bの切断部分のうち、折曲部分14eに近い側の端部は、FPC用コネクタ62に接続されている。一方、延長部14bの切断部分のうち、折曲部分14eから遠い側(先端部に近い側)の端部は、FPC用コネクタ63に接続されている。
FPC用コネクタ62の各端子は、基板61上に形成された配線パターンおよびポリスイッチ71〜74を介して、それぞれFPC用コネクタ63の各端子に接続されている。このような構成により、電源用FPC板14−1の電源線27−1を介して伝達される電源(電気信号)の伝達経路に、ポリスイッチ71〜74が直列に介在するようになっている。そして、延長部14bの先端部(図4中の下端部)には、コネクタ34が取着されている。
筐体15に連結されたFPC板14の他端部の延長部14b、14cのうち、深溝15bの先端部に保持された長尺な信号用FPC板14−2の他端部の延長部14bは、その中間部分で切断されている。ただし、その切断部分は、基板64を介して接続されている。その基板64には、図1に示すように、FPC用コネクタ65、66およびポリスイッチ75〜78が搭載されている。延長部14cの切断部分のうち、折曲部分14fに近い側の端部は、FPC用コネクタ65に接続されている。一方、延長部14cの切断部分のうち、折曲部分14fから遠い側(先端部に近い側)の端部は、FPC用コネクタ66に接続されている。
FPC用コネクタ65の各端子は、基板64上に形成された配線パターンおよびポリスイッチ75〜78を介して、それぞれFPC用コネクタ66の各端子に接続されている。このような構成により、信号用FPC板14−2の信号線27−2を介して伝達される信号(電気信号)の伝達経路に、ポリスイッチ75〜78が直列に介在するようになっている。そして、延長部14cの先端部(図4中の下端部)には、コネクタ35が取着されている。
ポリスイッチ71〜78は、ポリマ系のPTCサーミスタ(正の温度係数を持つサーミスタ)である。ポリスイッチ71〜78は、過電流などに起因する熱が加えられると、素子内部の温度が上昇し、素子温度が所定温度より上昇すると急激に抵抗値が増大するものである。このため、ポリスイッチ71〜78は、導電線27に過電流が流れると、その過電流を微小値に制限する。また、ポリスイッチ71〜78の抵抗値変化は可逆性であり、素子温度が下がると再び元の抵抗値に戻るようになっている。従って、ポリスイッチ71〜78は、自己復帰可能な(交換の必要がない)過電流保護素子(ヒューズ)として機能する。このため、ポリスイッチ71〜78は、導電線27に過電流が流れることで過電流制限動作を行った場合でも、その後は自己復帰してしまうため、過電流制限動作を行った形跡を残すことはできない。このような事情から、本実施形態では、前述した熱感応シール60を設けている。
芯部材16に保持されたFPC板14の延長部14aは、第2の円板18にその外周から中心部にかけて直線状に形成されたスリット18bを通して配線ケース13の外方へ導出されている。また、筐体15のスリット15aに保持された短尺な電源用FPC板14−1の延長部14bは、スリット15aのうち第1の円板17による閉鎖から除かれた部分を通して配線ケース13の外方へと導出され、深溝15bの先端部に保持された長尺な信号用FPC板14−2の延長部14cは、深溝15bの先端部の底面部側(第1の円板17側)の開放口から配線ケース13の外方へと導出されている。
ここで、3枚のFPC板14は、配線ケース13内に位置する部分については接着されておらず、互いに摺動可能になっている。FPC板14の非接着部分の長さは、図3に示すように、摺動補助器23の開放部分でU字状の折り返し部分Tにおいて内側に位置するFPC板14から外側に位置するFPC板14が離れて互いの間に隙間が形成されるようにするために、折り返し部分Tにおいて外側に位置するFPC板14ほど長く定められている。
回転関節用配線装置12は以上のように構成されている。ここで、回転関節用配線装置12の組み立て手順の一例を説明する。まず、作業台上に第1の円板17を載せ、筐体15を第1の円板17上に、円形嵌合突部17aに嵌合させるようにして載せる。続いて、摺動補助器23の回転板24の突部24aを第1の円板17の案内路22に嵌め込むようにして摺動補助器23を筐体15内に収納する。
その後、前述したようにして製造された3枚のFPC板14の一端部を止め具21の差し込み溝21aに差し込んだ上で、止め具21を芯部材16の保持溝16aに嵌着する。次いで、FPC板14を、摺動補助器23の内側において芯部材16の周りに所要回数緩く巻き、続いて、FPC板14を摺動補助器23の両端間の開口部に通して摺動補助器23の内側から外側へと出し、そして、折り返して摺動補助器23の外側に、内側と巻き方向を逆にして所要回数巻く。
続いて、FPC板14のうち、短尺な電源用FPC板14−1の他端部の延長部14bを筐体15のスリット15a内に外周側から入れるとともに、長尺な信号用FPC板14−2の他端部の延長部14cを、深溝15bの先端部の内側に、筐体15の外周側の開放口から入れる。そして、短尺な電源用FPC板14−1の他端部から長尺な信号用FPC板14−2の他端部に至る部分をスリット15aおよび深溝15b内に上方から挿入する。これにより、短尺な電源用FPC板14−1および長尺な信号用FPC板14−2の延長部14b、14cがそれぞれスリット15aおよび深溝15bの先端部から第1の円板17側に導出された状態にする。
続いて、第2の円板18を、そのスリット18b内に芯部材16から上向きに導出されている延長部14aを外周側から中心側に向けて挿入するようにしながら、筐体15の上に配置して環状嵌合リブ18aを筐体15の外周に嵌合する。最後に、第2の円板18をねじ19によって芯部材16に固定する。以上により、回転関節用配線装置12が組み立てられる。
さて、FPC板14を収納した配線ケース13は、図2に示すように、筐体15を金属製の保持筒36に取り付けた上で、筐体15およびリール20の相対回転の中心を、手首7および第2の上アーム6の相対回転の中心に一致させるようにして回転関節部分に配置されている。そして、保持筒36のフランジ36aが例えば手首7の軸部7aにねじ37によって固定されている。これにより、筐体15が保持筒36を介して手首7(ロボットの相対回転する一方の部材に相当)に固定される。
筐体15が手首7の軸部7aに固定された配線ケース13は、第2の上アーム6のアーム基枠9にねじ38によって固定された取り付け枠39の筒状収納部39a内に収納されている。筒状収納部39aは両端開放型で、一端部に、例えばT型の連結枠39bが形成されており、その連結枠39bが第2の円板18を通して芯部材16にねじ40によって固定されている。これにより、リール20が連結枠39bを介して第2の上アーム6(ロボットの相対回転する他方の部材に相当)に固定される。なお、連結枠39bには、第2の円板18のスリット18bから外方に導出されたFPC板14の延長部14aを通すためのスリット39cが形成されている。そして、外カバー10が取り付け枠39を覆うようにしてアーム基枠9および取り付け枠39に複数本のねじ41によって固定されている。
配線ケース13の第2の円板18から導出されたFPC板14の一方の延長部14aのコネクタ33は、第2の上アーム6内の所定部位に固定され、そのコネクタ33に第2の上アーム6内に配線されたケーブルがコネクタ(いずれも図示せず)を介して接続される。また、配線ケース13の筐体15から第1の円板17側に導出された2つの他方の延長部14b、14cのコネクタ34、35は、手首7内の所定部位に固定され、そのコネクタ33に手首7内に配線されたケーブルがコネクタ(いずれも図示せず)を介して接続される。
以上のようにして第2の上アーム6内に配線されたケーブルと、手首7内に配線されたケーブルとが回転関節用配線装置12を介して接続される。このような構成により、ロボットの相対回転する一方の部材(手首7)と他方の部材(第2の上アーム6)との間で、その相対回転を阻害することなく電気信号の伝達を可能にしている。
上記構成によれば、次のような作用および効果が得られる。
例えば、外来ノイズの影響やロボットコントローラの誤動作などが原因で各部材間を伝達する電気信号に異常が生じ、所定の導電線27に過大な電流が流れた場合、その導電線27は一時的に発熱する。これにより、熱感応シール60のうち、発熱した導電線27上に位置する部分が変色(感応)する。ユーザは、上記異常が生じた際、熱感応シール60の変色した位置を確認することで、どの導電線27に過電流が流れたのかを確認することができる。このように、異常発生時、過電流が流れた部位を特定することが可能になり、その後の異常対応(FPC板14の修理、交換など)が行い易くなる。
上記異常発生時、過電流が流れる導電線27に対応したポリスイッチ(71〜78)にも過電流が流れる。これにより、そのポリスイッチ(71〜78)の抵抗値が急激に増大し、過電流が流れる経路が直ちに電気的に遮断される。このため、熱感応シール60のうち、過電流が流れた導電線27に対し平面方向にて隣接する他の導電線27上に位置する部分が感応することを極力抑制できる。すなわち、過電流が流れた部位を誤って特定してしまう事態の発生を防止できる。
FPC板14は、配線ケース13内では層をなすように巻かれている。このため、FPC板14には、配線ケース13内に収容された部分(中間部)において層方向に重なる部分が存在する。仮に、この重なりのある部分に熱感応シール60を設けた場合には、所定の導電線27が発熱すると、発熱した導電線27と層方向に隣接する(重なる)他の導電線27も、その発熱によって熱せられることから、過電流が流れた部位を特定することが難しくなる。FPC板14は、その厚みが薄いのが通常であるので、層方向に重なる部分においては、横方向に隣り合う導電線27との間の距離よりも、層方向に重なる導電線27との間の距離のほうが短くなる可能性が高い。このようなことからも、層方向の重なりに伴う上記問題を解決する必要性は高い。さらに、各部材間の相対回転に応じてFPC板14の重なり合う部分は互いに擦れ合い、その摩擦熱によって熱感応シール60が経年的に変色(感応)するおそれもある。
これに対し、本実施形態では、熱感応シール60は、FPC板14のコネクタ33との接続部分に取り付けられている。そして、FPC板14は、コネクタ33との接続部分である端部においては重ねられていない。つまり、熱感応シール60は、FPC板14のうち、層をなすように重ねられることのない部分に設けられている。従って、配線ケース13内に収容されるFPC板14が層方向に重なる部分が存在するとしても、それにより過電流が流れた導電線27を特定することが難しくなる事態の発生を防止できるとともに、摩擦熱によって熱感応シール60が誤って感応する事態の発生を防止できる。
さらに、本実施形態によれば、FPC板14のうち、配線ケース13の筐体15外部に導出された部位であるコネクタ33との接続部分に取り付けられた熱感応シール60の感応状況により、過電流の通電形跡を確認することになる。このため、FPC板14を配線ケース13から取り出すことなく、過電流の通電形跡を容易に確認することが可能となる。従って、異常発生時における異常箇所の特定作業の効率を高めることができるという効果が得られる。
ロボット1において、前述したような電気信号に異常が生じる事態というのは、例えば数年に1回など、稀にしか発生しない。一方、ポリスイッチ71〜78は、定常動作状態においても小さな抵抗値を有しているため、小さな電流が流れ続け、これに伴い僅かに発熱している。仮に、従来技術のように、熱感応シール60をポリスイッチ71〜78の表面に取り付けた場合、熱感応シール60はポリスイッチ71〜78が定常動作状態において発する僅かな熱に常に晒されてしまい、経年による変色が生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、ポリスイッチ71〜78は、熱感応シール60と離間したところに設けるようにしている。これにより、熱感応シール60が、ポリスイッチ71〜78が定常的に発する熱に晒されることはない。従って、稀にしか発生しない過電流が流れる異常事態が生じたときに、熱感応シール60が既に変色済み(感応済み)であり、過電流の通電形跡を残すことができなくなってしまうという事態を未然に防止することができる。
熱感応シール60は、所定の検知温度以上になると短時間で変色する、いわゆる高感度タイプのものを用いている。上記したとおり、本実施形態の熱感応シール60は、定常動作状態においてポリスイッチ71〜78が発生する熱に晒されることがなく、また、FPC板14の層方向の重なりに起因して誤って変色するおそれもない。従って、熱感応シール60として高感度のものを用いたとしても、経年変色や誤変色することなく、一瞬の過電流についてもその通電形跡を確実に残すことが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、過電流が流れた部分をその過電流の継続時間にかかわらず特定することが可能となる。
一枚のFPC板51における一端部(図9中の上端部)近くから、電源用FPC板14−1相当の領域51−1と、信号用FPC板14−2相当の領域51−2と、電源用FPC板14−1相当の領域51−3との各境界に切れ目51a、51bを入れ、いわゆる暖簾のような形状に加工した後、左右両側の信号用FPC板14−2と電源用FPC板14−1の各一端部を折り曲げることにより、電源用FPC板14−1、信号用FPC板14−2、および、電源用FPC板14−1を重ねた状態にした。この構成によれば、一枚の細長い長方形状のFPC板51を、FPC板の大きなシートから打ち抜き加工する(切り出す)だけであるから、両端部にT字型部分が存在する細長い帯状のフレキシブルプリント配線板とは異なり、材料ロスがほとんどなくなる。
上記構成によれば、複数の短冊状のFPC板14−1、14−2が重なる部分が確実に存在することになる。ただし、熱感応シール60は、FPC板14のコネクタ33との接続部分に取り付けられている。このように、複数の短冊状のFPC板14−1、14−2が重なる部分が確実に存在する構成であっても、それにより過電流が流れた導電線27を特定することが難しくなる事態の発生を防止できるとともに、摩擦熱によって熱感応シール60が誤って感応する事態の発生を防止できる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した実施形態に限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
熱感応シール60は、その長手方向がコネクタ33の長手方向と一致するように配置したが、これに限らずともよく、熱感応シール60およびコネクタ33の長手方向が一致しない配置でもよい。その場合、熱感応シール60は、各導電線27が延びる方向に対して斜めに配置されることになる。このような配置により、熱感応シール60において、各導電線27と対向する部分の面積が増加するため、より多くの部分が導電線27の発熱により感応する対象となる。このような構成によれば、所定の広がりを持つ熱というものを、より多くの部分でもって検知することになるため、どの導電線27に過電流が流れたのかを一層精度よく特定することが可能となる。
熱感応シール60の取り付け位置は、FPC板14の表面における複数の導電線27上の部位であり、且つ、FPC板14が重ねられない部分であれば、図1および図4に示した位置に限らずともよく、適宜変更可能である。また、熱感応シールを3つ用意し、FPC板14およびコネクタ34の接続部分(2箇所)と、FPC板14およびコネクタ35の接続部分(1箇所)とにそれぞれ配置してもよい。
本発明におけるフレキシブルプリント配線板とは、厚み方向の長さが通常のケーブルに比べて格段に短い(通常のケーブルに比べて格段に薄い)フラットケーブル全般を意味するものであり、例えば、フレキシブルフラットケーブル(FFC)も含む。
フレキシブルプリント配線板としては、ロボット1の相対回転する各部材間において電気信号を伝達するための複数の導電線が配列された帯状をなすものであればよく、例えば、両端部にT字型部分が存在する帯状をなすFPC板を用いてもよい。なお、この場合、回転関節用配線装置におけるFPC板以外の構成について、FPC板の変更に合わせて適宜変更する必要がある。このように、折り曲げ部分の存在しないFPC板を用いる場合でも、そのFPC板は、配線ケース内にて層方向に重なり合う部分が存在することになるので、上記実施形態と同様の作用および効果が得られる。
ポリスイッチ71〜78を設けるための基板61、64の挿入位置は、図4に示した位置に限らずともよく、導電線27を介して伝達される電気信号の伝達経路にポリスイッチ71〜78を直列に介在することができる位置であれば、適宜変更可能である。
正の温度係数を持つサーミスタとしては、ポリスイッチ71〜78に限らずともよい。
熱感応部材としては、熱感応シール60に限らずともよく、例えば、感熱性塗料でもよい。
上記実施形態では、本発明を6軸の垂直多関節型のロボット1に適用した例を説明したが、本発明は、回転関節を有するロボット全般に適用可能である。
図面中、1はロボット、6は第2の上アーム、7は手首、12は回転関節用配線装置、13は配線ケース、14はフレキシブルプリント配線板、15は筐体、16は芯部材、27は導電線、33〜35はコネクタ、60は熱感応シール(熱感応部材)、71〜78はポリスイッチ(サーミスタ)を示す。

Claims (2)

  1. ロボットの相対回転する一方の部材に取り付けられた筒状をなす筐体と、前記ロボットの相対回転する他方の部材に取り付けられた芯部材とを有し、前記筐体の内周側に前記芯部材を収納するように組み合わせて構成される配線ケースと、
    前記ロボットの相対回転する各部材間において電気信号を伝達するための複数の導電線が配列された帯状をなし、中間部は前記配線ケース内において前記芯部材の外周囲に層をなして巻くように収納され、一端部は重ねられることなく前記芯部材から前記一方の部材内に導出され、他端部は重ねられることなく前記筐体から前記他方の部材内に導出されるフレキシブルプリント配線板と、
    前記フレキシブルプリント配線板の一端部および他端部がそれぞれ接続されるコネクタと、
    前記フレキシブルプリント配線板の表面における前記複数の導電線上の部位であり、且つ、前記コネクタとの接続部分に取り付けられた熱感応部材と、
    前記電気信号の伝達経路に直列に介在するように、且つ、前記熱感応部材と離間して設けられた正の温度係数を持つサーミスタと、
    を備え、
    前記熱感応部材は、前記導電線に定常動作状態で流れる電流に比べて過大な電流が流れたときの前記導電線が発する熱により感応するように構成されていることを特徴とするロボットの回転関節用配線装置。
  2. 前記フレキシブルプリント配線板は、一端部から他端部まで幅寸法が一定の形状の折曲前フレキシブルプリント配線板に対して、その一端部近くから他端部まで前記折曲前フレキシブルプリント配線板を幅方向に2つ以上に均等に分割する1本以上の切れ目を入れることにより形成された、一端部が繋がった複数の短冊状のフレキシブルプリント配線板を備え、前記複数の短冊状のフレキシブルプリント配線板を、その繋がっている部分に近い部分で折り曲げることにより、前記複数の短冊状のフレキシブルプリント配線板が互いに重なるように配置して構成され、
    前記熱感応部材は、前記フレキシブルプリント配線板の繋がった一端部と前記コネクタとの接続部分に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のロボットの回転関節用配線装置。
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