JP6268065B2 - ワイヤハーネス用シート - Google Patents

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本発明は、ワイヤハーネス用シートに関する。
従来、ワイヤハーネス用シートとしては、シート状に形成されたフォームとしてのシート基材と、このシート基材の表裏面のうち一方の面に設けられたフィルムとしての表面材と、シート基材の表裏面のうち他方の面に設けられた粘着層とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このワイヤハーネス用シートでは、シート基材がPP(ポリプロピレン)発泡材からなり、表面材がPPフィルムやPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどからなり、粘着層が糊や結束テープなどが不要であり互いの粘着面同士を合わせるだけで貼ることができる自己粘着層からなる。
このようなワイヤハーネス用シートは、複数の電線の外周を粘着層を内側面とし表面材を外側面として巻き、互いの粘着面同士を合わせて貼り付けることにより、複数の電線を集束して保護する。
特開2013−168322号公報
ところで、上記特許文献1のようなワイヤハーネス用シートでは、フィルムとして用いられる表面材が、押出機でダイより出た原反シートを冷却し、その後延伸装置で熱延伸して製造された、いわゆる延伸シートとなっている。この延伸シートは、その硬度がショア硬度A97となっている。
しかしながら、このようなフィルムが適用されたワイヤハーネス用シートでは、例えば、車両の走行時における振動などによって、外側面であるフィルムが周辺部材と干渉してしまうと、異音が発生していた。
そこで、この発明は、周辺部材との干渉による異音の発生を抑制することができるワイヤハーネス用シートの提供を目的としている。
請求項1記載の発明は、シート状に形成されたフォームと、このフォームの表裏面のうち一方の面に設けられたフィルムと、前記フォームの表裏面のうち他方の面に設けられた粘着層とを備えたワイヤハーネス用シートであって、前記フィルムの硬度は、ショア硬度A85以上A92以下に設定され、前記フィルムの厚さは、0.10mm以上0.40mm以下であることを特徴とする。
このワイヤハーネス用シートでは、フィルムの硬度が、ショア硬度A85以上A92以下に設定され、フィルムの厚さが、0.10mm以上0.40mm以下であるので、フィルムに柔軟性をもたせることができ、フィルムと周辺部材との干渉による衝撃を吸収し、周辺部材との干渉による異音の発生を抑制することができる。
また、フィルムは、柔軟性を有するので、ワイヤハーネス用シートの屈曲が容易となり、複数の電線に対する組付性を向上することができる。加えて、フォームからのフィルムの剥がれを軽減することができる。
従って、このようなワイヤハーネス用シートでは、フィルムと周辺部材との干渉による衝撃をフィルムによって軽減することができるので、周辺部材との干渉による異音の発生を抑制することができる。
本発明によれば、周辺部材との干渉による異音の発生を抑制することができるワイヤハーネス用シートを提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施の形態に係るワイヤハーネス用シートの分解斜視図である。 本発明のワイヤハーネス用シートの実施例及び比較例における異音の測定の一例を示す図である。 本発明のワイヤハーネス用シートの実施例及び比較例における異音の測定と耐摩耗性の測定との結果を示す表である。
図1を用いて本発明の実施の形態に係るワイヤハーネス用シートについて説明する。
本実施の形態に係るワイヤハーネス用シート1は、シート状に形成されたフォーム3と、このフォーム3の表裏面のうち一方の面に設けられたフィルム5と、フォーム3の表裏面のうち他方の面に設けられた粘着層7とを備えている。
そして、フィルム5の硬度は、ショア硬度A60以上A92以下に設定されている。
なお、本実施の形態に係るワイヤハーネス用シート1は、例えば、ドアなどに配置される室内ワイヤハーネスに適用される。
図1に示すように、フォーム3は、PP(ポリプロピレン)樹脂に対して所定量の発泡剤を添加して形成された組成物としてのPP発泡材からなり、四角形のシート状に形成されている。このフォーム3の表裏面のうち一方の面(ここでは図1における表面)には、フィルム5がフォーム3と一体的に設けられている。
フィルム5は、PP樹脂からなり、ダイより出た溶融膜を内部に水を循環する冷却ロールに直接触れさせて冷却してフィルム5を得る、いわゆる無延伸シートとなっている。
この無延伸シートであるフィルム5は、その硬度がショア硬度A60以上A92以下に設定されている。これは、従来の延伸シートであるフィルムの硬度のショア硬度A97より低く設定されている。このため、フィルム5は、従来のフィルムよりも柔軟性を有している。
このようなフィルム5は、ワイヤハーネス用シート1が複数の電線9(図2参照)の外周に巻き付けられて集束して保護することによってワイヤハーネスを構成する際に、ワイヤハーネス用シート1の外側面となる。このため、フィルム5は、周辺部材と干渉し、異音を発生する恐れがある。
そこで、フィルム5の硬度をショア硬度A60以上A92以下に設定することにより、従来のフィルムよりも柔軟性をもたせることができ、周辺部材との干渉による衝撃を吸収し、異音の発生を抑制することができる。
また、このようにフィルム5の硬度を設定することにより、ワイヤハーネス用シート1を複数の電線9の外周に巻き付ける際に、その柔軟性によってワイヤハーネス用シート1を曲げやすくすることができ、組付性を向上することができる。
加えて、フィルム5の柔軟性により、複数の電線9の外周に巻き付けられるときなどの屈曲によって、フィルム5がフォーム3の表面から剥がれることを抑制することができる。
一方、フィルム5の厚さは、フィルム5の硬度がショア硬度A85以上A92以下であるとき、0.10mm以上に設定され、フィルム5の硬度がショア硬度A80以上であるとき、0.15mm以上に設定され、フィルム5の硬度がショア硬度A65以上A75以下であるとき、0.30mm以上に設定され、フィルム5の硬度がショア硬度A60以上であるとき、0.35mm以上に設定され、上限値がフィルム5の厚さによる柔軟性の低下を防止するために、0.40mm以下に設定されている。
このようにフィルム5の厚さを設定することにより、周辺部材との干渉によるワイヤハーネス用シート1の耐摩耗性を向上しつつ、ワイヤハーネス用シート1の柔軟性の低下を防止することができる。
このようなフィルム5が設けられたフォーム3の表裏面のうち他方の面(ここでは図1における裏面)には、粘着層7がフォーム3と一体的に設けられている。
なお、フィルム5やフォーム3に使用される樹脂は、PPに限定されるものではなく、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)など、種々の樹脂が使用可能である。
粘着層7は、互いの粘着面同士を合わせるだけで貼ることができる自己粘着層からなる。このため、ワイヤハーネス用シート1を複数の電線9の外周に巻き付ける際には糊や結束テープなどが不要であり、ワイヤハーネス用シート1自体を巻き付けて保管するときや搬送するときには粘着面同士以外に貼り付かないために剥離紙などが不要となる。
この自己粘着層からなる粘着層7は、ワイヤハーネス用シート1が複数の電線9の外周に巻き付けられた際に、ワイヤハーネス用シート1の内側面となり、例えば、図2に示すように、両端側が複数の電線9の外周から突出され、両端側の粘着層7のそれぞれの粘着面同士が合わされてワイヤハーネスが構成される。
このようなワイヤハーネス用シート1では、フィルム5の硬度が、ショア硬度A60以上A92以下に設定されているので、フィルム5に柔軟性をもたせることができ、フィルムまると周辺部材との干渉による衝撃を吸収し、周辺部材との干渉による異音の発生を抑制することができる。
また、フィルム5は、柔軟性を有するので、ワイヤハーネス用シート1の屈曲が容易となり、複数の電線9に対する組付性を向上することができる。加えて、フォーム3からのフィルム5の剥がれを軽減することができる。
従って、このようなワイヤハーネス用シート1では、フィルム5と周辺部材との干渉による衝撃をフィルム5によって軽減することができるので、周辺部材との干渉による異音の発生を抑制することができる。
本実施の形態に係るワイヤハーネス用シートを、以下の実施例を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。
(実施例)
フィルムの硬度を、各実施例ではショア硬度A92〜A60とし、各比較例ではショア硬度A97〜A94とした。
各実施例及び各比較例において、図2に示すように、複数の電線9の外周に適当な長さの試験片としてのワイヤハーネス用シート1を巻き付け、両端側の粘着層7同士を貼り付けた。
この貼り合わされた端部を、アルミ棒11などで弾いたときの音をマイクなどの測定器具13を用いて測定した。なお、測定器具13は、貼り合わされた端部より40mmの高さで固定し、23℃、0℃、−40℃の条件で測定を行った。
この測定による判定は、65db未満を○とし、65db以上を×とした。なお、65dbは、従来のフィルムであるビニルシートを適用したときの音であり、これを基準としたものである。
また、各実施例及び各比較例において、フィルムの厚さを0.05mm〜0.40mmとし、フォームの厚さを2.00mmとし、フィルムの厚さにおける耐摩耗性の測定を行った。
この耐摩耗性の測定は、適当な長さの試験片としてのワイヤハーネス用シートをφ10mmのアルミパイプに貼り付け、JASO D 608に規定する耐摩耗試験器にセットし、試験片に4.4Nの荷重を加え、1500mm/minの速さで摩耗テープを移動させ、アルミパイプとテープとが接触するまでのテープ長さを読み取った。
この測定による判定は、上記の操作を行い、8個のデータの平均値を求め、平均値以下のデータについて再平均したものを最小摩耗抵抗値としており、この測定では最小摩耗抵抗値が1000mmであったため、1000mm以上を○とし、1000mm未満を×とした。これらの結果を図3の表に示す。
図3の表から明らかなように、本発明に従う各実施例は、測定した各温度において、65db未満となり、異音の判定基準を満たしていた。
これに対して、各比較例では、測定した各温度において、65db以上となり、異音の判定基準を満たしていなかった。
このことから、フィルムの硬度をショア硬度A92以下とすることにより、フィルムに柔軟性をもたせることができ、フィルムと周辺部材との干渉による異音の発生を抑制することができるということがわかる。
一方、本発明に従う各実施例では、フィルムの硬度がショア硬度A85以上A92以下であるとき、フィルムの厚さを0.10mm以上、フィルムの硬度がショア硬度A80以上であるとき、フィルムの厚さを0.15mm以上、フィルムの硬度がショア硬度A65以上A75以下であるとき、フィルムの厚さを0.30mm以上、フィルム5の硬度がショア硬度A60以上であるとき、フィルムの厚さを0.35mm以上とすることにより、耐摩耗性の判定基準を満たしていた。
なお、耐摩耗性は、フィルムの厚さを厚くすればするほど、判定基準を満たすことになるが、フィルムの厚さが厚くなればフィルムの柔軟性の低下やフィルムをワイヤハーネスに取り付けたときの大径化などを引き起こすので、フィルムの厚さの上限は0.40mm以下に設定することが好ましい。
以上の結果から、本発明(実施例)の場合、周辺部材との干渉による異音の発生を抑制することができるワイヤハーネス用シートを得ることができる。一方、本発明を満たさない(比較例)場合、あまり魅力的でないワイヤハーネス用シートが得られる。
なお、本発明の実施の形態に係るワイヤハーネス用シートでは、粘着層が自己粘着層となっているが、これに限らず、糊や結束テープなどを用いる粘着層であってもよい。
また、本発明のワイヤハーネス用シートでは、フィルムの硬度の下限としてショア硬度A60以上と規定しているが、例えば、フィルムを成形できる範囲であれば下限をショア硬度A60以上とする必要はなく、上限のみをショア硬度A92以下とすればよい。
1…ワイヤハーネス用シート
3…フォーム
5…フィルム
7…粘着層

Claims (1)

  1. シート状に形成されたフォームと、このフォームの表裏面のうち一方の面に設けられたフィルムと、前記フォームの表裏面のうち他方の面に設けられた粘着層とを備えたワイヤハーネス用シートであって、
    前記フィルムの硬度は、ショア硬度A85以上A92以下に設定され
    前記フィルムの厚さは、0.10mm以上0.40mm以下であることを特徴とするワイヤハーネス用シート。
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