JP6267913B2 - フェイスマスク用不織布 - Google Patents
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Description
また、薄い不織布において透明性が高く、装着についての抵抗感が少ないセルロース繊維不織布も開発されている(例えば下記特許文献2参照)。
(1)バインダー等の不純物が入っている不織布が多く、肌への刺激性を否定できない。
(2)乾燥時に白度の高い不織布が好まれるが、漂白している不織布が多く、漂白剤の肌への刺激が否定できない。
(3)湿潤時に透明度の高い不織布が求められるが、厚みに応じて透明度が下がってしまう。
(4)薄くして透明性を改善した不織布は形態安定性が悪く、取り扱えない。
即ち、本発明は、以下の構成を有している。
形態安定性 =[1−{|G−200|+|H−200|}/400]×100
{式中、GおよびHはそれぞれ、4つ折状態の200mm×200mmの不織布を水中に浸漬して1分間放置した後、網の上に1分間置き水切りをした4つ折状態の不織布を開いたときのタテの長さ(mm)、およびヨコの長さ(mm)である。}で表わされる形態安定性が88%以上98%以下であることを特徴とするフェイスマスク用セルロース不織布。
(2)前記セルロース繊維が再生セルロース連続長繊維である、上記1に記載のフェイスマスク用セルロース不織布。
(3)漂白処理が施されていない、上記1又は2に記載のフェイスマスク用セルロース不織布。
(4)上記1〜3のいずれかに記載のフェイスマスク用セルロース不織布からなるフェイスマスク。
(5)繊維径が5.2μm以上12μm以下のセルロース繊維を用いて、目付が20g/m2以上60g/m2以下、厚みが0.20mm以上0.50mm以下になるようにセルロース不織布を調製し、水流交絡を施したのち乾燥し、さらに洗浄と乾燥を少なくとも1回行う工程を含む、上記1に記載のフェイスマスク用セルロース不織布の製造方法。
本発明で用いられるセルロース繊維としては、銅アンモニアレーヨン、ビスコースレーヨン、テンセル(リヨセル)、ポリノジック等の再生セルロース繊維およびコットン、パルプ、麻等の天然セルロース繊維が挙げられる。好ましくは再生セルロース繊維である。この繊維は連続長繊維でも短繊維でも構わないが、連続長繊維は、短繊維のものよりもよりリントフリー性に優れ、吸液性にも優れている。
本発明のセルロース不織布の後述する方法で測定される蒸留水による抽出物量は、不織布1kg当たり1000mg以下であることが好ましい。より好ましくは900mg/kg以下であり、更に好ましくは800mg/kg以下である。セルロース不織布の蒸留水による抽出物量が1000mg/kgより大きい場合、フェイスマスク着用時に不純物の溶出が無視できず、化粧品用途では好ましくない。
(1)繊維径(μm)
セルロース不織布を、走査型電子顕微鏡、日本電子製JSM−6380を用いて10000倍の倍率で観察し、任意の50本を選び測定した平均値を繊維径とした。
(2)目付(g/m2)
0.05m2以上の面積のセルロース不織布を、105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置してその質量を測定し、不織布のm2当たりの質量(g)を求めた。
セルロース不織布を、JIS−L1096準拠の厚み試験にて荷重を1.96kPaとして測定した。
(4)密度(g/cm3)
セルロース不織布の厚みと目付をそれぞれ10回測定し、その平均値となる厚みA(mm)と目付B(g/m2)を用いて次式により密度を算出した。
密度 = { B / A } / 1000
(5)乾燥時の白色度(%)
セルロース不織布を、スガ試験機株式会社製積分球方式SM−Tを用いて白色度(WL)を5回測定した平均値を乾燥時の白色度(%)とした。
5cm×5cmのセルロース不織布をメッシュ(10メッシュ、線径0.5mm)の上に載せ、これをバットに入れた水の中に入れて30秒間浸漬する。その後、メッシュを引き上げて10分間放置した後、過剰な水、水溶液を濾紙などで拭き取る。含水状態の不織布をガラス板に挟み、スガ試験機株式会社製積分球方式SM−Tを用いてL値を5回測定し、その平均値Cを用いて次式により湿潤時の透明度(%)を算出した。この時、ガラス板のみのL値も5回測定し、その平均値をDとしている。
湿潤時の透明度 = 100−(C−D)
セルロース不織布40gを入れたガラス瓶に蒸留水640gを加え、蓋をして16時間放置する。抽出液は、濾過することによって繊維くずを取り除き、質量E(g)を測定する。その後、濾過した抽出液は減圧蒸留を行い、抽出物(固体)の質量F(g)を測定し、次式により抽出物量を算出した。
抽出物量 = F/{(E/640)×40}×1000000
4つ折状態の200mm×200mmの不織布を水中に浸漬して1分間放置した後、網の上に1分間置き水切りをした4つ折状態の不織布を開いたときのタテの長さG(mm)、ヨコの長さH(mm)を測定し、下記式にて算出される。
形態安定性 =[1−{|G−200|+|H−200|}/400]×100
被験者20人で肌触りの官能評価を行った。評価方法および判定水準は以下のとおりであり、20人の平均値をそのサンプルの肌触りの官能評価の値とした。
評価方法:左手上腕部内側を10cm×10cmの湿潤サンプルで軽くこすり、以下の判定基準に従って各サンプルを評価する。
<判定基準>
5:ソフトで肌への刺激が感じられない。
4:サラサラした刺激を感じる。
3:弱くざらざら感を感じる。
2:ざらざらした刺激を感じる。
1:ちくちくした刺激を感じる。
純水150mLが入ったビーカーに、サンプル5gを浸漬させる。5分後、ビーカーを1分間振りながら撹拌する。100mLのメスシリンダーに60mLの抽出液を取り、蓋をして上下に20回振る。メスシリンダーを立てて1分間放置した時の泡立ちの状態を見て下記基準により化学的刺激性を評価した。
<判定基準>
○:泡が無い状態か、ほとんど泡が目立たず液面に薄い筋状の泡が残る程度で壁面には泡は付着しない。
×:液面上に明らかに泡と分かる層が形成されており、シリンダーの壁面にも泡が付着している。
特開2003−52752号公報に記載された擦過刺激指数に準拠して評価した。
5cm×5cmの不織布をカトウテック株式会社製摩擦感テスター(KES−SE)の摩擦端子に装着する。不織布と初期圧縮応力98N・m/cm2の弾性体とを接圧4.9×103 Pa、接触面積1cm2 、摩擦距離2cmの条件で上記摩擦感テスターを用いて1回摩擦する。幅1cm、摩擦方向2cmの摩擦後の弾性体表面の中央部分に摩擦によって生じた摩擦方向に対して直交する方向の1cm幅の傷の最大深さを求める。不織布の機械軸方向と機械軸と垂直方向での摩擦試験をそれぞれ10回実施し、得られた弾性体の最大傷深さの平均値を物理的刺激性として評価した。
フェイスマスクの付け心地がどのように感じるのか、被験者20人での官能評価を行った。評価方法および判定基準は以下のとおりであり、20人の平均値をそのサンプルの着用感官能評価の値とした。
評価方法:フェイスマスク型の不織布を蒸留水に浸漬させて10分後、液だれがしない程度に軽く絞り、顔に貼りつけて評価した。
<判定基準>
3:着用時の不快感がなく、鏡越しに見ても着用している感じがしない。
2:着用時の不快感はないが、鏡越しに見ると着用している感じがある。
1:着用時の不快感があり、鏡越しに見ても着用している感じがある。
コットンリンター(重合度900〜100)を銅アンモニア溶液で溶解し(コットンリンター10wt%、アンモニア7wt%、銅3wt%)紡糸原液を準備した。原液吐出孔が直径0.6mm、45個/cm2である紡口を用い、1ホール当たりの吐出量が0.09cc/min.にて、流下緊張下で連続してネット上に4層重ねで紡糸してシートを形成させ、3MPaの高圧水流によってシートを交絡させた後、100℃の熱風で乾燥させた。なお、ネットスピードは26m/min.であった。得られた不織布を純水で水洗後、再度100℃の熱風乾燥工程に導入し、不織布を得た。得られた4層構造の不織布の繊維径は11.8μmであり、目付は38.1g/m2であった。得られた不織布の特性を表1に、着用感等の評価結果を表2に示す。
ネットスピードを16m/min.であること以外は実施例1と同様の条件にて4層構造の不織布を得た。得られた不織布の繊維径は11.9μmであり、目付は59.5g/m2であった。得られた不織布の特性を表1に、着用感等の評価結果を表2に示す。
[実施例3]
原液吐出孔が直径0.3mm、180個/cm2である紡口を用い、1ホール当たりの吐出量が0.02cc/min.であること以外は実施例1と同様の条件にて4層構造の不織布を得た。得られた不織布の繊維径は5.2μmであり、目付は29.6g/m2であった。得られた不織布の特性を表1に、着用感等の評価結果を表2に示す。
ネットスピード11m/min.にて5層重ねで紡糸してシートを形成させ、得られた不織布を水洗後、再度乾燥工程に導入しないこと以外は実施例1と同様の条件にて5層構造の不織布を得た。得られた不織布の繊維径は14.1μmであり、目付は114.6g/m2であった。得られた不織布の特性を表1に、着用感等の評価結果を表2に示す。
[比較例2]
市販の再生セルロース繊維不織布(リヨセル製不織布)の特性測定と評価を行なった。繊維径は11.9μm、目付は34.5g/m2であった。得られた特性を表1に、着用感等の評価結果を表2に示す。
Claims (5)
- 繊維径が5.2μm以上12μm以下のセルロース繊維からなる、目付20g/m2以上60g/m2以下、厚み0.20mm以上0.50mm以下のフェイスマスク用セルロース不織布であって、乾燥時の白色度が30%以上70%以下であり、湿潤時の透明度が60%以上100%以下であり、蒸留水抽出物量が800mg/kg以下であり、そして下記式:
形態安定性 =[1−{|G−200|+|H−200|}/400]×100
{式中、GおよびHはそれぞれ、4つ折状態の200mm×200mmの不織布を水中に浸漬して1分間放置した後、網の上に1分間置き水切りをした4つ折状態の不織布を開いたときのタテの長さ(mm)、およびヨコの長さ(mm)である。}で表わされる形態安定性が88%以上98%以下であることを特徴とするフェイスマスク用セルロース不織布。 - 前記セルロース繊維が再生セルロース連続長繊維である、請求項1に記載のフェイスマスク用セルロース不織布。
- 漂白処理が施されていない、請求項1又は2に記載のフェイスマスク用セルロース不織布。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のフェイスマスク用セルロース不織布からなるフェイスマスク。
- 繊維径が5.2μm以上12μm以下のセルロース繊維を用いて、目付が20g/m2以上60g/m2以下、厚みが0.20mm以上0.50mm以下になるようにセルロース不織布を調製し、水流交絡を施したのち乾燥し、さらに洗浄と乾燥を少なくとも1回行う工程を含む、請求項1に記載のフェイスマスク用セルロース不織布の製造方法。
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