JP6647129B2 - 圧密化された柄を有するセルロース不織布 - Google Patents
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Description
[1]以下の特徴:
(i)湿潤状態において圧密化した部分を有する、
(ii)前記湿潤状態の透明度が70〜100%である、
(iii)前記湿潤状態の水分保持量が0.01〜0.69g/cm2である、
(iv)前記圧密化した部分の面積が全体の1〜45%であり、該圧密化した部分の幅が1〜15mmである、及び
(v)前記湿潤状態の強度の縦横比(縦/横)が0.5〜2.0である、
を有する、セルロース繊維を含む不織布シート。
[2]前記圧密化した部分の形に周期性があり、その周期が2〜60mm単位で繰り返されている、前記[1]に記載の不織布シート。
[3]前記不織布シートにバインダーが使われていない、前記[1]又は[2]に記載の不織布シート。
[4]目付が10g/m2以上110g/m2以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の不織布シート。
本実施形態の不織布シートを構成するセルロース繊維としては、銅アンモニアレーヨン、ビスコースレーヨン、テンセル(リヨセル)、ポリノジック等の再生セルロース繊維、コットン、パルプ、麻等の天然セルロース繊維が用いられ、好ましくは再生セルロース繊維であり、さらに好ましくは、銅アンモニアレーヨンまたはテンセル(リヨセル)である。最も好ましくは、銅アンモニアレーヨンである。この繊維は連続長繊維でも短繊維でも構わないが、連続長繊維は、短繊維のものよりも、よりリントフリー性に優れ、吸液性にも優れている。また、バインダーや界面活性剤を付与したセルロース繊維不織布シートでは、吸水性の低下や、成分の溶出が懸念されるため、ノーバインダーのセルロース繊維不織布であることが好ましい。
尚、上記セルロース繊維は、セルロース繊維以外の繊維、例えば、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維などの合成繊維や、他の素材を一部有したものであってもよいが、セルロース繊維のみからなるものがより好ましい。
尚、本明細書中、「圧密化」とは、熱エンボス加工によって不織布シートを構成する繊維に熱による融着がなく、基材繊維と比べ1.2倍以上高密度に圧縮され、目視により基材との差異が確認される状態という。
セルロース繊維は熱可塑性ではないため、熱エンボス加工装置のロール表面温度としては特段の制約を持つものではない。しかしながら、実際にはエンボス加工を行う際の製造工程内の製品温度管理基準やその素材毎の耐熱温度を鑑みる必要があることから、加工条件としては20〜200℃が好ましく、20〜150℃がより好ましい。
[目付]
0.05m2以上の面積のセルロース繊維不織布シートを、105℃で一定重量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置してその重量を測定し、不織布のm2当たりの重量(g)を求めた。以下、特別な表記がない限り、いずれの測定を行う場合もこの状態にしたセルロース繊維不織布シートを用いた。
5cm×5cmのセルロース繊維不織布シートをバットに入れ、上から純水を10ml滴下した。滴下後のシートをピンセットで持ち上げ30秒間バット上でその状態を保持し液だれしなくなったことを確認した後、目視にて柄を判別できるか確認した。この際、良好にその柄を確認できた場合を◎、判別可能に確認できた場合を○、霞んで確認が困難な場合を△、膨潤によって柄が確認できない場合を×と判定した。
5cm×5cmのセルロース不織布をメッシュ(10メッシュ、線径0.5mm)の上に載せ、これをバットに入れた水の中に入れて30秒間浸漬した。その後、メッシュを引き上げて10分間放置した後、過剰な水、水溶液を濾紙などで拭き取った。含水状態の不織布をガラス板に挟み、スガ試験機株式会社製積分球方式SM−Tを用いてL値を5回測定し、その平均値Aを用いて次式:
湿潤時の透明度=100−(A−B)
により湿潤時の透明度(%)を算出した。この時、ガラス板のみのL値も5回測定し、その平均値をBとした。
セルロース系繊維不織布シートに上記と同様に純水を滴下し、液切りを行ったものを重量測定した。目付測定後の重量をC(g)、純水滴下後の重量をD(g)としたとき、水分保持量E(g/cm2)を次式:
E=(D−C)/セルロース系繊維不織布シート面積(cm2)
で定義した。
セルロース系繊維不織布シートを任意のサイズに切り取り、その中から圧密化された部位と、非圧密化部位を同面積になるよう切り取って重量を計測した。また、それぞれの部位の厚さを校正されたマイクロメーターで計測した。圧密化部の重量をF(g)、厚さをG(mm)、非圧密化部の重量をH(g)、厚さをI(mm)としたとき、次式:
F×I/H×G≧1.2
を満たし、かつ、前述の柄の視認性が◎又は○であれば、圧密化していると判断した。
デジタルカメラを用いて、大きさが10cm2のセルロース系繊維不織布シートを高さ20cmから撮影した。その後、この画像をPC内に取り入れ2値化画像として出力した。この際、セルロース系繊維不織布シートには圧密化部と非圧密化部で異なった色差が出ているため、色差の面積比をそのまま、該セルロース系繊維不織布シートの面積比として定義した。この時の圧密化部の面積をJ(mm2)、非圧密化部の面積をK(mm2)としたとき、面積比Sは以下の式:
S=J/K
で定義した。
本発明で言う柄の幅とは、その柄模様毎に異なる様態を示す。例えば、長方形では長手方向と幅方向では幅が異なる。そこで、本発明における柄の幅とは、柄の1周期内に現れる最大の幅のものを柄の幅として定義した。また、例えば文字のように文字単体における幅とそれを構成する各パーツ毎に異なる線幅を有するものは、各パーツに分解してみた場合における最大の線幅を、本願における幅として定義した。加えて、柄の周期とはエンボスロールが1回転した際に付与した柄の周期として定義した。
セルロース繊維不織布シートを前述した縦方向、横方向になるよう幅5cm、長さ15cmの試験片を把握長10cmとなる様に把持した後、上記の水分保持量と同程度の純水を付与し、定速伸長型引張り試験機(商品名:テンシロンUCT−1t(オリエンテック株式会社製))を用いて不織布の伸長性を有する方向に、引っ張り速度が30cm±3cm/minの条件で伸長させ、試料が破断するときの引張り強さを測定した。
セルロース繊維不織布シートを10cm×10cmに切り取り、それを4つ折りにした。折り畳んだセルロース不織布シートに純水を10ml滴下し、湿潤状態のセルロース不織布シートを元のサイズに再度広げ直した。この時の広げやすさを取り扱い性が良いと定め、ストレスなく広げることができた場合を◎、多少手間取るが問題なく広げられた場合を○、広げる際少しストレスを感じた場合を△、広げるのに大変手間取り大きなストレスを感じた場合を×とした。
コットンリンターを原料としたセルロース繊維不織布シート(目付:60g/m2)を原反として用いた。熱エンボス装置としては、ハニカム形の模様が凸状に設けられた金属ロールとフラットな金属ロールを組み合わせて用い、前記セルロース繊維不織布シートを乾燥機内で3%程度の水分率に乾燥させ、その後、水分を保持したロール上を通過させることで再度水分率を調湿し、前述した近赤外線水分計にて水分率が10%になっていることを確認した。水分率を調湿したセルロース繊維不織布シートを前記熱エンボス装置に供給し、100℃に加熱された前記2本のエンボスロールに80kg/cmのロール圧が加わるように荷重を加え、そのロール間を50m/minの速度で通して熱エンボス加工を行い、該セルロース系繊維不織布シートを得た。得られた不織布シートの写真を図1に示す。また、ハニカム形の模様の参考寸法を図2に示す。得られた不織布シートを前述した各試験・測定方法によって評価した。結果を以下の表1、2に示す。得られたセルロース繊維不織布シート中の柄は湿潤状態でも明瞭に現れており、それを使用した際の取り扱い性も良好であった。
目付が100g/m2のセルロース繊維不織布シート(水分率8%)を用い、エンボス加工後の面積比が5%となるロールを用いた以外は実施例1と同様の加工を行い評価した。
目付が20g/m2のセルロース繊維不織布シート(水分率14%)を用い、エンボス加工後の面積比が60%となるロールを用いた以外は実施例1と同様の加工を行い評価した。得られた不織布シートの写真を図3に示す。また、ハニカム形の模様の参考寸法を図4に示す。
エンボス加工後の面積比は参考例3と同様であるが、柄の周期が異なるロールを用いて加工した。それ以外は実施例1、実施例2、参考例3と同様の条件であった。
目付が80g/m2のセルロース繊維不織布シート(水分率11%)を用い、エンボス加工後の面積比が2.5%となる格子形の形状を有するロールを用いた以外は実施例1と同様の加工を行い評価した。得られた不織布シートの写真を図5に示す。また、格子形の模様の参考寸法を図6に示す。
目付が60g/m2のセルロース繊維不織布シート(水分率12%)を用い、エンボス加工後の面積比が15%となる文字柄を有するロールを用いた以外は実施例1と同様の加工を行い評価した。
目付が38g/m2のリヨセル繊維不織布シート(水分率10%)を用いた以外は実施例1と同様の加工を行い評価した。
市販のエンボス加工されたセルロース不織布シート(目付:68g/m2、水分率10%)であり、エンボス形状が直径1mmの円形で、その柄の面積比は50%であった。このセルロース不織布を実施例1、実施例2、参考例3、参考例4と同様の方法で評価した。こちらのセルロース不織布に純水を滴下し、柄を確認したところ、構成繊維が膨潤してしまい柄の視認性が不明瞭であった。
使用したセルロース繊維不織布シートは実施例1と同じものであった。エンボス加工後の面積比は70%であり、それ以外は実施例1、実施例2、参考例3と同様の条件であった。面積比を増加した場合、柄の視認性には特段の問題はないが、引張り荷重をかけた際、横方向に大きく伸びてしまい物性を制御することが困難であった。また、柄が多く入っているため取扱い時にごわついた触感であり、取り扱い性に支障をきたしていた。
使用したセルロース繊維不織布シートは比較例2と同じものであった。エンボス加工後の面積比は55%であり、柄の幅が25mmとなっている。それ以外は実施例1、実施例2、参考例3と同様の条件であった。柄の幅を増加した場合、柄の視認性には特段の問題はなかったが、引張り荷重をかけた際、圧密化部で裂けが発生した。
使用したセルロース繊維不織布シートは比較例2、3と同じものであった。エンボス加工後の面積比は30%であり、柄の周期は30mmであった。それ以外は実施例1、実施例2、参考例3と同様の条件であった。柄の周期が大きくなる場合、柄の視認性には特段の問題はなかったが、引張り荷重をかけた際、縦方向の強度に比べ横方向の強度が強く、湿潤時の取り扱い性に支障をきたしていた。
使用したセルロース繊維不織布シートは比較例2〜4と同じものであった。エンボス加工後の縦横強度比は2.3であった。縦方向の強度が横方向に比べ強く、繊維が伸展する前に断裂してしまった。
加工前水分率を20%に調湿した以外は実施例1と同様の方法でセルロース繊維不織布シートを得た。水分率が20%の時は、セルロース繊維不織布シートを構成する繊維が膨潤してしまうことで柄の端部が変形しており、乾燥後には判別が困難であった。また、シート全体に皺が入っているため、取り扱い性に支障をきたしていた。
Claims (4)
- 以下の特徴:
(i)湿潤状態において圧密化した部分を有する、
(ii)前記湿潤状態の透明度が70〜100%である、
(iii)前記湿潤状態の水分保持量が0.01〜0.69g/cm2である、
(iv)前記圧密化した部分の面積が全体の1〜45%であり、該圧密化した部分の幅が1〜15mmである、及び
(v)前記湿潤状態の強度の縦横比(縦/横)が0.5〜2.0である、
を有する、セルロース繊維からなる不織布シート。 - 前記圧密化した部分の形に周期性があり、その周期が2〜60mm単位で繰り返されている、請求項1に記載の不織布シート。
- 前記不織布シートにバインダーが使われていない、請求項1又は2に記載の不織布シート。
- 目付が10g/m2以上110g/m2以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布シート。
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