JP6647129B2 - 圧密化された柄を有するセルロース不織布 - Google Patents

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Description

本発明は、乾燥状態及び湿潤状態のいずれにおいても圧密化された柄が容易に崩れず、柄の面積比や幅を変化させることで、湿潤状態での取扱い性や不織布の縦横強度比を向上させたセルロース繊維不織布シートに関する。
肌触りに優れる不織布シートとして、構成繊維同士が交絡によって形態を保持しているスパンレース不織布シートが挙げられる。そして、スパンレース不織布シートは、肌に直接触れる用途、例えば、対人向けのウェットワイパーや美容用のフェイスマスク等に広く用いられている。また、これらの用途では直接人の肌に触れることから、コットンやレーヨン等のセルロース繊維からなる素材が好ましく用いられている。
このような不織布シートに意匠性をもたすため、不織布シートに模様付けすることが行われている。模様を付与する方法としては、以下の特許文献1に記載されるようなプリントによる樹脂転写といった方法が挙げられるが、この方法では、スパンレース不織布の風合いを悪化させ、触感を損ったり、バインダーが添加されていることから、人肌への刺激性を否定することができない。また、物性としてはプリントされる不織布に起因するものが多く、強度の改善は困難である。
これ以外の方法としては、以下の特許文献2に記載されるように、不織布を製造する際に不織布を構成する繊維をメッシュベルトで支持、搬送しながら高圧水流によって繊維同士を交絡させ、かつ、該高圧水流がメッシュベルトを構成している経糸と緯糸の交錯点に形成されるナックル部と接触することによって構成繊維を移動させ、不織布面に微細な開孔模様を成形するものがある。しかしながら、この方法により製造された不織布シートは、風合いや肌触りは良いものの、模様としては微細な開孔模様に近しいものしか形成することができず、高い意匠性を付与することはできない。また、開孔模様は不織布シート全体に均一した状態で存在するため、強度を大きく変化させることは困難であり、意匠性と強度の制御を両立できないという問題がある。
また、特許文献3に記載されるように、セルロース繊維の一部に熱可塑性繊維を介在させ、それを熱エンボス加工によって圧着させ凹凸模様を形成させる技術もある。しかしながら、熱可塑性樹脂を介在させることでシート厚みが増すため、近年美容用フェイスマスクで好まれるような水分保持量が高く、透明度が高い不織布シートを提供することはできないという問題がある。また、セルロース繊維単体の不織布では、熱エンボス加工を行っただけでは、時間経過や摩擦によりその柄が薄れていき消失してしまうという問題もある。
特開2003−201687号公報 特開平3−019950号公報 特開2007−8145号公報
本発明が解決しょうとする課題は、湿潤状態において高い意匠性と透明度を有し、かつ、取り扱い性が良い縦横強度比をもつセルロース繊維不織布を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、セルロース繊維単体の不織布に熱エンボスによる加工を行うことで、圧着部の繊維密度が高まり半透明のフィルム状になり、その圧密化された部分の幅が1〜15mm、該面積比が1〜60%であるとき、所定の湿潤状態における不織布シートの縦横強度比が0.5〜2.0になることで、取り扱い性が改善されることを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]以下の特徴:
(i)湿潤状態において圧密化した部分を有する、
(ii)前記湿潤状態の透明度が70〜100%である、
(iii)前記湿潤状態の水分保持量が0.01〜0.69g/cmである、
(iv)前記圧密化した部分の面積が全体の1〜45%であり、該圧密化した部分の幅が1〜15mmである、及び
(v)前記湿潤状態の強度の縦横比(縦/横)が0.5〜2.0である、
を有する、セルロース繊維を含む不織布シート。
[2]前記圧密化した部分の形に周期性があり、その周期が2〜60mm単位で繰り返されている、前記[1]に記載の不織布シート。
[3]前記不織布シートにバインダーが使われていない、前記[1]又は[2]に記載の不織布シート。
[4]目付が10g/m以上110g/m以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の不織布シート。
本発明のセルロース繊維不織布シートは、熱融着による圧着部がなく、熱エンボス加工によってセルロース繊維が高密度に圧縮された圧密部を有し、それにより高い意匠性を発現している。また、圧密部は幅や面積比を変化させることによって高い取り扱い性を発揮することができる。
実施例1の不織布シートの図面に代わる写真である。 実施例1の不織布シートのハニカム形の模様の参考寸法を示す。 参考例3の不織布シートの図面に代わる写真である。 参考例3の不織布シートのハニカム形の模様の参考寸法を示す。 実施例5の不織布シートの図面に代わる写真である。 実施例5の不織布シートの格子形の模様の参考寸法を示す。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の不織布シートを構成するセルロース繊維としては、銅アンモニアレーヨン、ビスコースレーヨン、テンセル(リヨセル)、ポリノジック等の再生セルロース繊維、コットン、パルプ、麻等の天然セルロース繊維が用いられ、好ましくは再生セルロース繊維であり、さらに好ましくは、銅アンモニアレーヨンまたはテンセル(リヨセル)である。最も好ましくは、銅アンモニアレーヨンである。この繊維は連続長繊維でも短繊維でも構わないが、連続長繊維は、短繊維のものよりも、よりリントフリー性に優れ、吸液性にも優れている。また、バインダーや界面活性剤を付与したセルロース繊維不織布シートでは、吸水性の低下や、成分の溶出が懸念されるため、ノーバインダーのセルロース繊維不織布であることが好ましい。
尚、上記セルロース繊維は、セルロース繊維以外の繊維、例えば、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維などの合成繊維や、他の素材を一部有したものであってもよいが、セルロース繊維のみからなるものがより好ましい。
上記セルロース繊維不織布シートに圧密化した柄を付与する方法としては、熱エンボス加工によるものが好適である。熱エンボス加工を用いることで、凸形状を有したエンボスロールがセルロース繊維不織布シートと接触し、その表面を押し込むことでエンボスロールの形状が柄としてセルロース繊維不織布シートに付与されることとなる。熱エンボス加工装置としては平滑なロールと凸形状を有するエンボスロールの組み合わせであっても、一対のエンボスロールからなるものであってもよい。また、熱エンボス加工を行う際のそれぞれのロールの組み合わせとしては、ゴム製ロール、セラミックス製ロール、金属製ロールのどの組み合わせを用いても良好に柄を転写することが可能である。
尚、本明細書中、「圧密化」とは、熱エンボス加工によって不織布シートを構成する繊維に熱による融着がなく、基材繊維と比べ1.2倍以上高密度に圧縮され、目視により基材との差異が確認される状態という。
セルロース繊維は熱可塑性ではないため、熱エンボス加工装置のロール表面温度としては特段の制約を持つものではない。しかしながら、実際にはエンボス加工を行う際の製造工程内の製品温度管理基準やその素材毎の耐熱温度を鑑みる必要があることから、加工条件としては20〜200℃が好ましく、20〜150℃がより好ましい。
エンボス加工を行う際のロール加圧条件は、好ましくは10〜150kg/cm、より好ましくは15〜130kg/cm、さらに好ましくは25〜120kg/cmである。ロール加圧条件が10kg/cm未満であると、柄付を行うことは可能ではあるが、湿潤状態時や時間経過時に柄が薄くなってしまうため不適である。他方、ロール加圧条件が150kg/cmを超えると、熱エンボス加工を行うセルロース繊維不織布シートに亀裂や孔が明いてしまうことや、ロール同士が接触し摩耗してしまうということ等が発生するため好ましくない。
エンボス加工を行う際のセルロース繊維不織布の水分率としては5〜15%が好ましい。加工時の水分率が5%未満の場合、熱エンボス加工を行うとセルロース繊維不織布シートに裂けが発生し、製造することができないため不適である。他方、水分率が15%を超える場合はセルロース繊維不織布シートを構成する繊維が膨潤してしまい乾燥後の収縮で柄が変化してしまうことや、製品として巻き取る際に皺入りが発生するため好ましくない。尚、ここでいう「水分率」とは、近赤外線水分計(JTE社製、JE-100)を用い、熱エンボス加工装置導布前のセルロース繊維不織布の計測を行った際の値である。
本実施形態における熱エンボス加工による柄の好ましい様態としては、花形、星形、ハニカム形といった幾何学的な模様や、直線や曲線の圧密化部によって非圧密部に囲まれている形状、商標名や企業名などの文字列といったものであってもよい。これらの柄はその配置や柄を構成するパーツを変化させることで、後述する引張り試験などで荷重を付与した際、柄部分に応力集中を意図的に発生させることができ、セルロース繊維不織布シートの物性を所望の範囲で制御することが可能になる。しかしながら、幾何学模様であっても円形やそれに近しい形状のものは荷重を付与した際全方向に荷重が分散してしまうため、物性の制御といった観点からは好ましくない。尚、ここに挙げた柄の好ましい様態は例示であり、その他の模様や柄であってももちろん構わない。
一般的にはセルロース繊維不織布シートに熱エンボス加工を行っても、時間経過や摩擦により柄が薄くなってしまうことや、湿潤物質を含むことで不織布の構成繊維が膨潤し、柄が不鮮明になってしまうということが知られている。しかしながら、上記の柄は前述の条件で熱エンボスによる加工を行うことで、明瞭で高い意匠性を持った柄を付与できるだけでなく、湿潤状態でも乾燥状態と同様の意匠性を得ることが可能である。尚、ここでいう「湿潤状態」とは、後述の水分保持量試験で該セルロース繊維不織布シートが示す、水分保持量以上の湿潤物質を付与・含浸された状態をいう。
上記の熱エンボス加工による圧密化した柄部分は、本発明における物性の制御において重要な要素であり、その柄の面積比はセルロース繊維不織布シート全体の1〜60%が好ましく、より好ましくは3〜50%、さらに好ましくは3〜45%である。かかる柄の面積比が1%未満の場合、意匠性を付与することはできても物性を制御するための応力集中が発生しないため好ましくない。他方、柄の面積比が60%を超える場合には応力集中が過剰になり物性を制御することができなくなるため好ましくない。また、圧密化した柄の幅は1〜15mmが好ましく、より好ましくは1〜13mmであり、さらに好ましくは1〜10mmである。圧密化した柄の幅が1mm未満の場合、応力集中よりも圧密化されていない部分の物性が効いてくるため、所望の効果を発現させることが困難であり好ましくない。他方、圧密化した柄の幅が15mmを超える場合には、圧密化した面内に応力が集中するためセルロース系繊維不織布シートが裂けてしまうため好ましくない。
本実施形態のセルロース繊維不織布シートの湿潤状態における透明度は、後述する方法で計測した値として70〜100%が好適である。透明度が70%未満の場合、例えば、美容用のパックとして顔面に張付けた場合の着用感が低下するため好ましくない。
本実施形態のセルロース繊維不織布シートを湿潤状態で使用する際、該湿潤状態における該不織布シートの縦横強度比は0.5〜2.0が好ましく、より好ましくは0.5〜1.95であり、さらに好ましくは0.55〜1.90である。この縦横強度比が0.5未満であると、横の強度が高く、セルロース繊維不織布シートが本来持つ柔軟性や適度な伸度を得ることができないため、湿潤状態で使用するときに取り扱い性が悪く感じるため好ましくない。他方、縦横強度比が2.0を超えると、縦の強度が高いため、横方向の伸びに対し縦方向の伸びが著しく小さいため、取り扱い辛く感じるため好ましくない。尚、ここでいうセルロース系繊維不織布シートの「縦方向」とは、製造工程のライン方向に沿った向きのことであり、不織布シートを構成する繊維が正弦波を描く場合の周期の進行方向と同方向の状態をいう。また、「横方向」とは製品の幅方向であり、不織布シートを構成する繊維が正弦波を描く場合の振幅の変位方向と同方向の状態という。加えて、横方向は縦方向と直行した向きのことである。
熱エンボス加工による柄は、エンボスロールの周期に依存して付与される。そのためセルロース繊維不織布シートもエンボスロールと同様の周期性を持つこととなる。その際の周期(柄の間隔)は2〜60mmであることが好ましく、より好ましくは2〜55mm、さらに好ましくは2〜50mmである。周期が2mm未満である場合、柄同士が近傍に存在するため応力集中が局所的に高くなり、適度な伸度を得ることができず取り扱い性を損うため好ましくない。他方、周期が60mmを超える場合は、柄同士が離れすぎてしまうため、適当な強度を得られず伸度が高くなるため取り扱い性を損うため好ましくない。
熱エンボスによる加工を行う際の、セルロース繊維不織布シートの目付は10〜110g/mが好ましい。セルロース繊維不織布シートの目付が10g/m未満の場合、シートの厚みが薄く、繊維密度が低いため明瞭な柄付けを行うことができない。また、柄が付いた場合でも、時間経過や摩擦によって柄が薄くなってしまうということから好ましくない。他方、セルロース繊維不織布シートの目付が110g/mを超える場合、シートの厚みが厚く、繊維密度も高くなるため加工をする際の圧力を高くし、十分な時間をかけて圧着する必要があり生産速度が低下してしまう。また、大きな力を掛けて加工することで繊維表面の組成状態が悪化し、風合いや肌触りも低下してしまうことから好ましくない。
上記目付範囲内のセルロース繊維不織布シートに熱エンボス加工を行った後の水分保持量としては、0.01〜0.069g/cmが好ましい。水分保持量が0.01g/cm未満の場合、例えば、湿潤状態で肌に張り付けた時、シート中の水分量が不足しているため十分な密着感や装着感が得られないため、使用者の満足感が得られず好ましくない。他方、水分保持量が0.069g/cmを超える場合、湿潤状態よりも飽和した状態の水分が付与されているため、使用時に液だれが起きてしまい折角の湿潤物質が損なわれてしまうということが発生するため好ましくない。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されるものではない。まず、実施例における測定項目の試験方法について述べる。
[目付]
0.05m以上の面積のセルロース繊維不織布シートを、105℃で一定重量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置してその重量を測定し、不織布のm2当たりの重量(g)を求めた。以下、特別な表記がない限り、いずれの測定を行う場合もこの状態にしたセルロース繊維不織布シートを用いた。
[(湿潤状態の)柄の視認性]
5cm×5cmのセルロース繊維不織布シートをバットに入れ、上から純水を10ml滴下した。滴下後のシートをピンセットで持ち上げ30秒間バット上でその状態を保持し液だれしなくなったことを確認した後、目視にて柄を判別できるか確認した。この際、良好にその柄を確認できた場合を◎、判別可能に確認できた場合を○、霞んで確認が困難な場合を△、膨潤によって柄が確認できない場合を×と判定した。
[透明度]
5cm×5cmのセルロース不織布をメッシュ(10メッシュ、線径0.5mm)の上に載せ、これをバットに入れた水の中に入れて30秒間浸漬した。その後、メッシュを引き上げて10分間放置した後、過剰な水、水溶液を濾紙などで拭き取った。含水状態の不織布をガラス板に挟み、スガ試験機株式会社製積分球方式SM−Tを用いてL値を5回測定し、その平均値Aを用いて次式:
湿潤時の透明度=100−(A−B)
により湿潤時の透明度(%)を算出した。この時、ガラス板のみのL値も5回測定し、その平均値をBとした。
[水分保持量]
セルロース系繊維不織布シートに上記と同様に純水を滴下し、液切りを行ったものを重量測定した。目付測定後の重量をC(g)、純水滴下後の重量をD(g)としたとき、水分保持量E(g/cm)を次式:
E=(D−C)/セルロース系繊維不織布シート面積(cm)
で定義した。
[圧密化]
セルロース系繊維不織布シートを任意のサイズに切り取り、その中から圧密化された部位と、非圧密化部位を同面積になるよう切り取って重量を計測した。また、それぞれの部位の厚さを校正されたマイクロメーターで計測した。圧密化部の重量をF(g)、厚さをG(mm)、非圧密化部の重量をH(g)、厚さをI(mm)としたとき、次式:
F×I/H×G≧1.2
を満たし、かつ、前述の柄の視認性が◎又は○であれば、圧密化していると判断した。
[(圧密部の)面積比]
デジタルカメラを用いて、大きさが10cmのセルロース系繊維不織布シートを高さ20cmから撮影した。その後、この画像をPC内に取り入れ2値化画像として出力した。この際、セルロース系繊維不織布シートには圧密化部と非圧密化部で異なった色差が出ているため、色差の面積比をそのまま、該セルロース系繊維不織布シートの面積比として定義した。この時の圧密化部の面積をJ(mm)、非圧密化部の面積をK(mm)としたとき、面積比Sは以下の式:
S=J/K
で定義した。
[厚密部(柄)の幅、柄の周期]
本発明で言う柄の幅とは、その柄模様毎に異なる様態を示す。例えば、長方形では長手方向と幅方向では幅が異なる。そこで、本発明における柄の幅とは、柄の1周期内に現れる最大の幅のものを柄の幅として定義した。また、例えば文字のように文字単体における幅とそれを構成する各パーツ毎に異なる線幅を有するものは、各パーツに分解してみた場合における最大の線幅を、本願における幅として定義した。加えて、柄の周期とはエンボスロールが1回転した際に付与した柄の周期として定義した。
[縦横強度比]
セルロース繊維不織布シートを前述した縦方向、横方向になるよう幅5cm、長さ15cmの試験片を把握長10cmとなる様に把持した後、上記の水分保持量と同程度の純水を付与し、定速伸長型引張り試験機(商品名:テンシロンUCT−1t(オリエンテック株式会社製))を用いて不織布の伸長性を有する方向に、引っ張り速度が30cm±3cm/minの条件で伸長させ、試料が破断するときの引張り強さを測定した。
[(湿潤時)取扱い性]
セルロース繊維不織布シートを10cm×10cmに切り取り、それを4つ折りにした。折り畳んだセルロース不織布シートに純水を10ml滴下し、湿潤状態のセルロース不織布シートを元のサイズに再度広げ直した。この時の広げやすさを取り扱い性が良いと定め、ストレスなく広げることができた場合を◎、多少手間取るが問題なく広げられた場合を○、広げる際少しストレスを感じた場合を△、広げるのに大変手間取り大きなストレスを感じた場合を×とした。
[実施例1]
コットンリンターを原料としたセルロース繊維不織布シート(目付:60g/m)を原反として用いた。熱エンボス装置としては、ハニカム形の模様が凸状に設けられた金属ロールとフラットな金属ロールを組み合わせて用い、前記セルロース繊維不織布シートを乾燥機内で3%程度の水分率に乾燥させ、その後、水分を保持したロール上を通過させることで再度水分率を調湿し、前述した近赤外線水分計にて水分率が10%になっていることを確認した。水分率を調湿したセルロース繊維不織布シートを前記熱エンボス装置に供給し、100℃に加熱された前記2本のエンボスロールに80kg/cmのロール圧が加わるように荷重を加え、そのロール間を50m/minの速度で通して熱エンボス加工を行い、該セルロース系繊維不織布シートを得た。得られた不織布シートの写真を図1に示す。また、ハニカム形の模様の参考寸法を図2に示す。得られた不織布シートを前述した各試験・測定方法によって評価した。結果を以下の表1、2に示す。得られたセルロース繊維不織布シート中の柄は湿潤状態でも明瞭に現れており、それを使用した際の取り扱い性も良好であった。
[実施例2]
目付が100g/mのセルロース繊維不織布シート(水分率8%)を用い、エンボス加工後の面積比が5%となるロールを用いた以外は実施例1と同様の加工を行い評価した。
参考例3]
目付が20g/mのセルロース繊維不織布シート(水分率14%)を用い、エンボス加工後の面積比が60%となるロールを用いた以外は実施例1と同様の加工を行い評価した。得られた不織布シートの写真を図3に示す。また、ハニカム形の模様の参考寸法を図4に示す。
参考例4]
エンボス加工後の面積比は参考例3と同様であるが、柄の周期が異なるロールを用いて加工した。それ以外は実施例1、実施例2、参考例3と同様の条件であった。
[実施例5]
目付が80g/mのセルロース繊維不織布シート(水分率11%)を用い、エンボス加工後の面積比が2.5%となる格子形の形状を有するロールを用いた以外は実施例1と同様の加工を行い評価した。得られた不織布シートの写真を図5に示す。また、格子形の模様の参考寸法を図6に示す。
[実施例6]
目付が60g/mのセルロース繊維不織布シート(水分率12%)を用い、エンボス加工後の面積比が15%となる文字柄を有するロールを用いた以外は実施例1と同様の加工を行い評価した。
[実施例7]
目付が38g/mのリヨセル繊維不織布シート(水分率10%)を用いた以外は実施例1と同様の加工を行い評価した。
[比較例1]
市販のエンボス加工されたセルロース不織布シート(目付:68g/m、水分率10%)であり、エンボス形状が直径1mmの円形で、その柄の面積比は50%であった。このセルロース不織布を実施例1、実施例2、参考例3、参考例4と同様の方法で評価した。こちらのセルロース不織布に純水を滴下し、柄を確認したところ、構成繊維が膨潤してしまい柄の視認性が不明瞭であった。
[比較例2]
使用したセルロース繊維不織布シートは実施例1と同じものであった。エンボス加工後の面積比は70%であり、それ以外は実施例1、実施例2、参考例3と同様の条件であった。面積比を増加した場合、柄の視認性には特段の問題はないが、引張り荷重をかけた際、横方向に大きく伸びてしまい物性を制御することが困難であった。また、柄が多く入っているため取扱い時にごわついた触感であり、取り扱い性に支障をきたしていた。
[比較例3]
使用したセルロース繊維不織布シートは比較例2と同じものであった。エンボス加工後の面積比は55%であり、柄の幅が25mmとなっている。それ以外は実施例1、実施例2、参考例3と同様の条件であった。柄の幅を増加した場合、柄の視認性には特段の問題はなかったが、引張り荷重をかけた際、圧密化部で裂けが発生した。
[比較例4]
使用したセルロース繊維不織布シートは比較例2、3と同じものであった。エンボス加工後の面積比は30%であり、柄の周期は30mmであった。それ以外は実施例1、実施例2、参考例3と同様の条件であった。柄の周期が大きくなる場合、柄の視認性には特段の問題はなかったが、引張り荷重をかけた際、縦方向の強度に比べ横方向の強度が強く、湿潤時の取り扱い性に支障をきたしていた。
[比較例5]
使用したセルロース繊維不織布シートは比較例2〜4と同じものであった。エンボス加工後の縦横強度比は2.3であった。縦方向の強度が横方向に比べ強く、繊維が伸展する前に断裂してしまった。
[比較例6]
加工前水分率を20%に調湿した以外は実施例1と同様の方法でセルロース繊維不織布シートを得た。水分率が20%の時は、セルロース繊維不織布シートを構成する繊維が膨潤してしまうことで柄の端部が変形しており、乾燥後には判別が困難であった。また、シート全体に皺が入っているため、取り扱い性に支障をきたしていた。
本発明のセルロース系繊維不織布シートは、美容用フェイスマスク用のシート及び制汗用不織布シート、アルコールウエットティッシュ、メイク落とし等のWET拭き取りシートなど、化粧用バルクやアルコール含浸用基材としてコスメ分野や電子材料用途、医療系用途、生活資材用途、農業資材用途、食品関連用途、産業資材用途等に好適に利用できる。

Claims (4)

  1. 以下の特徴:
    (i)湿潤状態において圧密化した部分を有する、
    (ii)前記湿潤状態の透明度が70〜100%である、
    (iii)前記湿潤状態の水分保持量が0.01〜0.69g/cmである、
    (iv)前記圧密化した部分の面積が全体の1〜45%であり、該圧密化した部分の幅が1〜15mmである、及び
    (v)前記湿潤状態の強度の縦横比(縦/横)が0.5〜2.0である、
    を有する、セルロース繊維からなる不織布シート。
  2. 前記圧密化した部分の形に周期性があり、その周期が2〜60mm単位で繰り返されている、請求項1に記載の不織布シート。
  3. 前記不織布シートにバインダーが使われていない、請求項1又は2に記載の不織布シート。
  4. 目付が10g/m以上110g/m以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布シート。
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