JP2005248365A - 化粧用基材及びこれを用いた皮膚洗浄用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面がセルロース長繊維不織布であって、該不織布の少なくとも表面を構成する繊維本数の60%以上が繊維径2.9〜7.1μmのセルロース長繊維である化粧用基材、及び化粧用基材に薬液が含浸されてなる皮膚洗浄用シート。
【選択図】なし
Description
これらの化粧用基材および化粧用基材に薬液が含浸されてなる皮膚洗浄用シートには上述のように脱脂綿や脱脂綿シート、コットンスパンレース不織布のような短繊維が一般的に使用されている。これは綿がセルロース繊維で液含浸性が良好であること、天然繊維で肌への刺激が少ないと考えられていること、短繊維のため膨らみがあり柔らかな触感があることなどを理由とする。しかし、これらの基材は短繊維であるため、多量の油分、固体油を含有する化粧液を含浸した状態では、短繊維が脱落して皮膚へ付着し再汚染したり、化粧液を含浸しない状態では繊維径が太いため化粧落とし効果が充分でないなどの問題点があった。
これらの問題点を解決するために再生セルロース長繊維不織布からなる化粧綿が特許文献1に開示されている。再生セルロース長繊維不織布は、例えば銅アンモニア法レーヨンやビスコース法レーヨンにより製造された不織布で通常繊維径が10〜16μm程度のものである。銅アンモニアレーヨン法による再生セルロース連続長繊維不織布は、繊維自体の自己接着と高圧水流による繊維交絡により不織布が形成され、融着繊維等を使用することがないので脱脂綿と同様に皮膚への刺激性が非常に低い素材であり、かつ、長繊維で構成されているため繊維の脱落による皮膚への再汚染も非常に少ないという特徴がある。しかし、メークの拭き取り性は脱脂綿等とほとんど変わらず、より簡単にメーク落としを行いたいという要求を満足できるものではなく、また、化粧液に含浸すると湿潤時の伸度が大きいため形態安定性に問題があった。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)表面がセルロース長繊維不織布であって、該不織布の少なくとも表面を構成する繊維本数の60%以上が繊維径2.9〜7.1μmのセルロース長繊維であることを特徴とする化粧用基材。
(2)該不織布が再生セルロース連続長繊維不織布であることを特徴とする(1)に記載の化粧用基材。
(3)(1)または(2)に記載の化粧用基材に薬液が含浸されてなることを特徴とする皮膚洗浄用シート。
本発明でいうセルロース長繊維不織布とは、例えば銅アンモニア法レーヨン原液を流下緊張紡糸法によりネット上に連続で紡糸し、繊維自体の自己接着と水流交絡にて接着、交絡させた再生セルロース連続長繊維不織布や、特表2002−521585号公報に開示される方法等で製造されたリヨセル等の精製セルロース長繊維不織布等のことをいう。
セルロース長繊維不織布は、構成する繊維が長繊維であるため繊維の脱落が少なく表面材として使用した場合、綿等の短繊維不織布に比べて人体への繊維付着による汚染が少ない。また、従来の合成繊維不織布に比べ、保液性及び物理刺激性に優れるため好ましい。
また、セルロース長繊維不織布が再生セルロース連続長繊維不織布である場合、不織布形成時に接着用の樹脂等のバインダーを使用しないため、安全性に優れたものであるので好ましい。また、自己接着により形態安定性が高いので好ましい。
不織布の少なくとも表面を構成する繊維のうち、繊維径2.9〜7.1μmの繊維本数が60%未満であると湿潤時の形態安定性と白色度が減少するばかりでなく、拭き取り性も低下することがある。
湿潤形態保持率(%)=(10−(L−10))/10×100
湿潤形態保持率は化粧液を含浸させた湿潤状態におけるメーク拭き取り時の取扱い性と大きく相関する。湿潤形態保持率が80%未満では湿潤状態におけるメーク拭き取り時に表面材がヨレて取扱い性が低下したり、表面材が破れて中綿等が体表面に接触したりして拭き取り面を再汚染することがある。
本発明の化粧用基材における、表面を構成するセルロース長繊維不織布の厚みは、化粧液等をクッション層や吸収材層へ速やかに移行させる観点から0.1〜0.4mmが好ましい。0.1mm未満であると湿潤時の強度に問題を生じることがある。0.4mmを超えると化粧液等の吸収速度が遅くなることがあり、化粧液等が表面を流れ手や周辺を汚染することがある。
ここでいう液拡散面積とは以下の方法で測定したものをいう。
20cm四方の試料を準備し、直径12cmの円筒に試料表面にしわが入らない状態で輪ゴムやテープ等で固定する。蒸留水1Lにシャチハタスタンプインキ水性染料系S−1(赤)を10ml入れ、評価液を作成する。評価液を先端口径0.7mmのビューレットに注入する。ビューレットとカメラを図1に示すようにセットする。カメラは固定式、ビューレットは高さ固定の横移動式で、カメラ位置は試料表面から10cm上方に、ビューレットは試料表面から5cm上方にセットする。評価液を1滴(0.01ml)サンプル上に落とし、同時にビューレットを横に移動させ、10秒後の拡散状態の写真撮影を行う。この際、試料表面にJIS規格の金尺を置き、写真に写るようにして実際の拡散面積に換算できるようにする。写真から画像処理等で拡散面積を求める。
液拡散状態係数c=b/a
液拡散状態係数は液が滴下された時の拡散状態を示す係数であり、どの方向にも同じ状態で拡散すると円状になり、この場合液拡散状態係数は1となる。クレンジング用基材の液拡散状態は、形状によって製造方法や使用方向を変えなくても済む観点から等方性がある方が好ましいと考えられるため、液拡散状態係数は0.65〜1.35が好ましく、より好ましくは0.75〜1.25である。液拡散性は基材を構成する繊維の配向状態を調整することによってコントロールすることが可能である。長繊維不織布の場合、製法上の特性から機械軸(MD)方向に繊維が多く配向する傾向にあるが、例えば繊維をネット上に振り落とす際に機械軸と垂直(CD)方向に振動を与えることにより繊維の配向状態を制御することが可能である。
本発明のセルロース長繊維不織布は、前記条件を満足していれば複合されていてもよい。例えば、保液性を向上させるため、繊維径の異なるセルロース長繊維不織布を水流交絡等で複合してもよい。この場合、繊維径の異なる繊維が表面に出ることがあるが、前記条件の範囲内であれば効果に影響はない。
皮膚洗浄用シートには、薬液を充分に保持する機能と拭取り性と拭き拭取り時の形態保持性が要求されるが、本発明の化粧用基材は前述の理由で上記の機能性を全て満足する極めて有効な基材である。
本発明の化粧用基材からなる皮膚洗浄用シートに含浸される薬液は、通常のメーク落としのウエット商品に使用される薬液を用いればよい。例えば、薬液には化粧落とし用の活性剤、例えばGラウリン酸PEG−12等の親油性乳化剤や、保湿剤、抗菌剤、防腐剤、香料などが水やアルコール水溶液に含まれていてもよい。
尚、実施例中の評価は以下の方法で行った。
(1)拭き取り性
鏡の上に口紅を塗り、更にティッシュ等で塗り広げて出来る限り均一な油膜を作成する。標準品としてカネボウ合繊株式会社製クリーンルーム用ワイピングクロス「ザヴィーナミニマックス(商品名)」と日本薬局方綿ガーゼを用意する。基材1枚を取り、親指と人差し指と中指で保持し、人差し指の腹で油膜を1回拭き取る。同程度の力で各基材を用いて拭き取りを実施し、拭き取り性を官能評価し下記のように級判定を行う。各基材について5回の評価を行い、平均値を結果とした。
10級:油膜がほぼ完全に拭き取れる(「ザヴィーナミニマックス(商品名)」で拭き取った状態に相当)。
5級:油膜はそこそこ拭き取れているが筋状の拭き残しがある。
1級:油膜は殆ど拭き取れず、伸ばされた感じである(日本薬局方ガーゼで拭き取った状態に相当)。
尚、1〜10級の間は相対的に見て中間の級を補間する。6級以上であれば合格とする。
前述の方法で測定、算出した。
(3)湿潤時の形態安定性
前述の方法で測定した。
(4)脱落繊維
試料を300mlの純水に浸し、15分間超音波を当てた後にワイパーを取り出す。この液を黒色に着色された濾紙を用いて濾過し、濾紙上に残されたファイバー状のワイパーからの脱落物を測定する。長さが100μm以上のものを数えて、試料1m2当たりに換算して記録する。
コットンリンターを銅アンモニア溶液で溶解し、直径0.3mmの原液吐出孔が180.9個/cm2である紡口を用い、流下緊張下で連続してネット上に5層重ねで紡糸してシートを形成させ、高圧水流により繊維を交絡させながらシートに貫通孔及び凹部を形成させた後、乾燥させて再生セルロース連続長繊維不織布を得た。得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、目付18.7g/m2、厚み0.13mm、平均単繊維径が3.2μm、貫通孔の平均面積0.253mm2、シート表面に占める貫通孔の面積率が15.3%であり、繊維径2.9〜7.1μmの単繊維が表面に占める割合は100%であった。
得られた再生セルロース連続長繊維不織布からなる化粧用基材の性能評価結果を表1に示す。表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は化粧用基材として極めて良好なものであった。
原液の吐出量を増加させた以外は実施例1と同様の方法で再生セルロース連続長繊維不織布を得た。得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、目付29.3g/m2、厚み0.22mm、平均単繊維径が6.8μm、貫通孔の平均面積0.295mm2、シート表面に占める貫通孔の面積率が14.9%であり、繊維径2.9〜7.1μmの単繊維が表面に占める割合は100%であった。
得られた再生セルロース連続長繊維不織布からなる化粧用基材の性能評価結果を表1に示す。表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は化粧用基材として極めて良好なものであった。
実施例1において、積層するシートの1層目と5層目は直径0.3mmの原液吐出孔が180.9個/cm2である紡口を用い、2〜4層目は直径0.6mmの原液吐出孔が45.3個/cm2である紡口を用い、紡糸されたシートを積層するネットのスピードを遅くした以外は実施例1と同様の方法で再生セルロース連続長繊維不織布を得た。得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、目付28.9g/m2、厚み0.23mm、平均単繊度が3.2μmと11.8μmの2種類であり、貫通孔の平均面積0.283mm2、シート表面に占める貫通孔の面積率が19.4%であり、繊維径2.9〜7.1μmの単繊維が表面に占める割合は73%であった。
得られた再生セルロース連続長繊維不織布からなる化粧用基材の性能評価結果を表1に示す。表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は化粧用基材として極めて良好なものであった。
実施例1において直径0.6mmの原液吐出孔が45.3個/cm2である紡口を用いた以外は実施例1と同様の方法で再生セルロース連続長繊維不織布を得た。得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、目付18.5g/m2、厚み0.13mm、平均単繊維径が11.8μ、貫通孔の平均面積0.215mm2、シート表面に占める貫通孔の面積率が19.0%であり、繊維径2.9〜7.1μmの単繊維が表面に占める割合は0%であった。
得られた再生セルロース連続長繊維不織布からなる化粧用基材の性能評価結果を表1に示す。表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は化粧用基材として実施例に比べて湿潤時の形態保持性と拭き取り性が劣るものであった。
Gラウリン酸PEG−12をベースとする、市販のメイク落としに用いられているものと同様の薬液を、実施例1で得た再生セルロース連続長繊維不織布に250重量%含浸させ皮膚洗浄用シートを得た。
得られた皮膚洗浄用シートを用いて化粧をした20歳代の女性10名にメイク落としの効果を従来のコットン系ウエブ使用の洗浄シートと比較したところ、全員がメイク落としの効果が向上すると共に、基材から肌への繊維の脱落が大幅に減少したとの官能評価であった。
Claims (3)
- 表面がセルロース長繊維不織布であって、該不織布の少なくとも表面を構成する繊維本数の60%以上が繊維径2.9〜7.1μmのセルロース長繊維であることを特徴とする化粧用基材。
- 該不織布が再生セルロース連続長繊維不織布であることを特徴とする請求項1に記載の化粧用基材。
- 請求項1または2に記載の化粧用基材に薬液が含浸されてなることを特徴とする皮膚洗浄用シート。
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