本発明の第1の発明に係る金券識別装置は、遊戯用機械同士の間に設置される金券識別装置であって、筐体の前方に設けられ、金券の挿入を受け付ける挿入口と、挿入口から挿入された金券が通る挿入路と、挿入路に設けられ、挿入された金券を識別する識別部と、挿入路に挿入された金券を搬送する搬送駆動手段と、搬送駆動手段で搬送された金券を一時的に保管する保管部と、保管部を筐体の外部に排出する排出駆動手段と、筐体の前方に設けられ、保管部を筐体から排出する排出口と、を備え、搬送部および保管部とは、挿入方向に略平行な同一平面上に配置され、挿入口は、遊戯用機械を操作する遊戯者に近い側に設けられ、排出口は、遊戯用機械を操作する遊戯者から遠い側に設けられる。
この構成により、金券識別装置は、遊戯用機械同士の隙間に設置が可能となりつつ、ユーザーフレンドリーな使い勝手を提供できる。
本発明の第2の発明に係る金券識別装置では、第1の発明に加えて、筐体は、隣接する遊戯用機械同士の間に、縦方向に設置される。
この構成により、金券識別装置は、遊戯用機械同士の隙間であっても設置が可能である。
本発明の第3の発明に係る金券識別装置では、第1又は第2の発明に加えて、搬送駆動手段および排出駆動手段の少なくとも一方は、モーターを有し、モーターは、筐体内部の上方および下方の少なくとも一方に配置される。
この構成により、モーターによって搬送や排出が実現できる。
本発明の第4の発明に係る金券識別装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、挿入路は、挿入口を基準として、テーパー部、屈曲部および湾曲部の少なくとも一部を有する。
この構成により、挿入口から保管部の金券を見ることが難しくなる。結果として、客の盗難への欲望を生じさせにくくなる。
本発明の第5の発明に係る金券識別装置では、第4の発明に加えて、挿入路が有するテーパー部、屈曲部および湾曲部の少なくとも一つは、挿入口から保管部に向かうに従い、保管部に近い側から遠い側に向かう。
この構成により、保管部の大きさを確保できる。
本発明の第6の発明に係る金券識別装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、保管部は、筐体内部の上下において、上方余地および下方余地を生じさせる位置に設けられる。
この構成により、金券識別装置は、ノイズの影響を電気部系統に与えずに済む。また、全体として小型化できるように、電子部品や機械部品を配置できる。
本発明の第7の発明に係る金券識別装置では、第6の発明に加えて、識別部、搬送駆動手段および排出駆動手段の少なくとも一つを制御する制御手段を更に備え、制御手段は、電気信号を処理する電気部と、機械動作を処理する機械部とを有し、機械部および電気部のそれぞれは、上方余地および下方余地のいずれかに配置される。
この構成により、金券識別装置の小型化がはかられるように、電子部品や機械部品が配置できる。加えて、電気部と機械部とが、中央の保管部によって上下に分割されることで、相互にノイズなどの影響を及ぼすことが低減できる。
本発明の第8の発明に係る金券識別装置では、第7の発明に加えて、電気部は、複数の電子部品を実装する電子基板を含む。
この構成により、電子基板が、上方余地もしくは下方余地の広いレイアウト領域に実装できる。このため、筐体内部のレイアウトが容易になる。
本発明の第9の発明に係る金券識別装置では、第8の発明に加えて、電気部は、筐体外部との電気信号を接続するコネクタを有し、コネクタは、電気部から筐体の側面および底面の少なくとも一方に突出する。
この構成により、金券識別装置は、外部との電気信号のやり取りが容易に実現できる。
本発明の第10の発明に係る金券識別装置では、第7から第9のいずれかの発明に加えて、機械部は、搬送手段に用いられる第1モーターおよび排出駆動手段に用いられる第2モーターを含む。
この構成により、ノイズ源となりやすいモーターが、電気部と分離して設けられる。また、金券識別装置の使い勝手に合わせた外形構造に内部構造を合わせることができる。
本発明の第11の発明に係る金券識別装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、排出駆動手段は、保管部を排出口から排出する方向に圧力を付与する圧力付与部と、保管部の排出の停止および解除を制御するストッパーと、ストッパーを駆動するストッパー駆動部と、を有する。
この構成により、ストッパーが解除されれば、電気的あるいはモーターの駆動を必要とせず、保管部は筐体から排出される。この結果、保管部を筐体から排出するためだけの専用モーターを必要としない。結果として、金券識別装置の小型化・薄型化を実現し、さらに低コスト化も実現できる。
本発明の第12の発明に係る金券識別装置では、第11の発明に加えて、圧力付与部は、下方余地に配置され、ストッパーおよびストッパー駆動部は、上方余地に配置される。
この構成により、排出駆動手段に必要な要素が、筐体内部で適切にレイアウトされる。
本発明の第13の発明に係る金券識別装置では、第12の発明に加えて、圧力付与部は弾性体であり、弾性体は常に保管部に対して、排出する方向に圧力を付与続ける。
この構成により、保管部は、簡単な構造部品で排出される。
本発明の第14の発明に係る金券識別装置では、第13の発明に加えて、弾性体を固定すると共に所定長さを有する固定部材を更に備え、固定部材は、当該固定部材の支点を固定する支点固定部と、支点固定部を基準として移動可能な力点となる動作部と、弾性体の一端である係止端を係止すると共に該係止する部分を移動可能な移動範囲を有する移動部と、を有し、係止端は、支点固定部と動作部との間の移動範囲を移動し、保管部が筐体内部に収容される場合には、係止端は、移動部を移動して支点固定部に近づき、動作部と係止端との距離が大きくなり(以下、「第1の場合」という)、保管部が筐体外部から排出される場合には、係止端は、移動部を移動して動作部に近づき、動作部と係止端の距離が短くなり(以下、「第2の場合」という)、第2の場合は、第1の場合よりも、弾性体による保管部への圧力付与が大きくなる
この構成により、保管部の排出時には、より強い圧力が付与された状態が維持される。
本発明の第15の発明に係る金券識別装置では、第1から第14のいずれかの発明に加えて、保管部は、金券の側面に沿って該側面を支持する一対の側面支持部材を有し、一対の側面支持部材のそれぞれは、金券の平面方向を支える底面より立設しており、一対の側面支持部材のそれぞれにおける排出口側の高さは、一対の側面支持部材のそれぞれにおける逆側の高さよりも低い。
この構成により、保管部の収納量を減らさずに、排出口からの排出を可能とできる。
本発明の第16の発明に係る金券識別装置では、第15の発明に加えて、一対の側面支持部材のそれぞれにおける排出口側の高さは、排出口の幅以下である。
この構成により、保管部は、排出口からその一部を排出させることができる。
本発明の第17の発明に係る金券識別装置では、第15又は第16の発明に加えて、一対の側面支持部材の高さが低い範囲は、保管部が排出口から排出される際に、保管部に保管されている金券が露出する長さに基づく。
この構成により、金券の回収が可能な程度に、保管部は排出される。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
(全体概要)
まず、実施の形態1における金券識別装置の全体概要を、図1〜図3を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の斜視図である。図1は、金券識別装置1の外観を示している。下記に説明する金券識別装置1の要素の一部は、金券識別装置1の内部の要素であるが、全体を把握する便宜上、全体概要においては、内部の要素も含めて外観を示す図1で説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の正面図である。図2は、左側と右側に、保管部6が排出されていない状態と保管部6が排出されている状態とを示している。図3は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の設置態様を示す模式図である。
金券識別装置1は、自動貸出機などに含まれて設置されることが多い。特に、図3に示されるように遊戯用機械100同士の間の自動貸出機に含まれて設置されることが多い。
図3では、遊戯用機械100として、パチンコ機やスロットマシン機が示されている。このようなパチンコ機やスロットマシン機は、パチンコ玉やゲーム用コインを必要とする。遊戯者200は、遊戯用機械100の前に着座して遊戯を行う。もちろん、多数の遊戯用機械100が遊戯店において設置されており、遊戯者200は、多数の遊戯用機械100のいずれかの前に着座して遊戯を行う。
遊戯者200は、遊戯の実施に当たってパチンコ玉やゲーム用コインを必要とする。このとき、遊戯中に簡単にパチンコ玉やゲーム用コインを追加して入手したいと考える。このため、パチンコ機やスロットマシン機などの遊戯用機械100同士の間に、パチンコ玉やゲーム用コインなどの自動貸出機50が設置される。この自動貸出機50は、台間機とも呼ばれる。
自動貸出機50は、パチンコ玉やゲーム用コインを貸し出すに当たって、遊戯者200からの金券を受けとる。金券は、紙幣であったり、専用のプリペイドカードであったり、商品券などであったりする。このため、自動貸出機50は、金券識別装置1を含んで設置されることが多くなる。
すなわち、金券識別装置1は、遊戯用機械100同士の隙間に設置される必要がある。この隙間は非常に狭いので、金券識別装置1は、この隙間となる遊戯用機械100同士の間に縦型に設置される。このため、金券識別装置1は、遊戯用機械100同士の隙間に縦型に設置されるように薄型でありつつ、縦型に適した要素の配置や要素の形態を必要とする。
金券識別装置1は、図1に示されるように、挿入口3、挿入路31、識別部4、搬送駆動手段9、保管部6、排出駆動手段8、排出口7を備える。また、この金券識別装置1は、これらの要素を筐体2に格納する。金券識別装置1は、筐体2によってその外形を形成できる。ここで、筐体2は、一定の奥行きと高さを有しつつ、幅の小さい薄型かつ縦型である。このため、金券識別装置1も、幅の小さな薄型の外形を有するようになる。薄型の外形であることで、狭い隙間において縦方向に、金券識別装置1が、設置される。
挿入口3は、筐体2の前方に設けられ金券の挿入を受け付ける。挿入路31は、挿入口3から挿入された金券を通す。識別部4は、挿入路31において設けられ、金券を識別する。搬送駆動手段9は、挿入路31に挿入された金券を搬送する。保管部6は、搬送駆動手段9で搬送された金券を一時的に保管する。排出駆動手段8は、保管部6を筐体2の前方であって外部に排出する。排出口7は、この排出駆動手段8によって排出される保管部6を排出する出口となる。
また、挿入路31と保管部6とは、挿入口3を基点とした挿入方向において、略平行な同一平面上に配置される。また、保管部6は、筐体2の縦方向に沿って金券を保管する形態で設けられる。加えて、搬送駆動手段9および排出駆動手段8を構成する機械部品や電子部品は、縦型(縦長であって薄い)の筐体2の縦方向に沿って実装されている。このような形態と実装により、金券識別装置1は、遊戯用機械100同士の狭い隙間に縦型にして設置することが可能となる。
金券識別装置1は、筐体2をその外形上の本体部としつつ、このような要素を有している。金券識別装置1は、図3を用いて説明した通り、遊戯用機械100同士の間に縦型に設置される。これは遊戯用機械100同士の隙間が狭く、この隙間に縦型に設置されることが要求されるからである。また、図3に示されるように、遊戯用機械100のそれぞれに対面する形で、遊戯者200は遊戯用機械100での遊戯を楽しむ。
このとき、遊戯者200は、遊戯用機械100の前に着座したまま、遊戯を続行しながら、必要に応じてパチンコ玉やゲーム用コインを借り出したい。このため、図2、図3に示されるように、遊戯者200が金券を挿入する際に必要となる挿入口3は、遊戯用機械100を操作する遊戯者200に近い側に設けられる。一方、金券を一時的に保管している保管部6が排出される排出口7は、遊戯用機械100を操作する遊戯者200から遠い側に設けられる。
排出口7から保管部6の排出を受けるのは、遊戯者200ではなく、遊戯用機械100の管理者であるからである。
このように、実施の形態1の金券識別装置1は、遊戯用機械100同士の狭い隙間に縦型に設置することができる。加えて、遊戯者200および管理者のいずれにとっても使い勝手の良い挿入口3と排出口7の配置によって、使い勝手と管理の容易性とを両立できる。
(動作概要)
挿入口3は、筐体2の前方に設けられ、金券の挿入を受け付ける。筐体2は、金券識別装置1の外形を形成するので、挿入口3は、設置された金券識別装置1の前方に位置することになる。遊戯者200は、この挿入口3に金券を投入する。金券は、紙幣、商品券、プリペイドカード、ICカードおよびIDカードの少なくとも一つを含む。一般的には紙幣が金券として、挿入口3に投入されることが多いが、専用の金券や電子マネーに対応するカード媒体が投入されてもよい。
挿入口3に挿入された金券は、挿入路31(図1、図2では、筐体2内部であり、図面上露出していない)に入り、挿入路31を通って搬送駆動手段9によって、保管部6に向けて搬送される。このとき、挿入口3から挿入路31に入る過程に識別部4が設けられる。挿入路31に挿入された金券は、識別部4に到達できるので、識別部4が役割を実行できる。
識別部4は、挿入された金券を識別する。金券が識別部4の位置まで到達しているので、識別部4は、金券を視認することができ、この視認を介して金券の真贋および券種のそれぞれを識別できる。識別部4が、真贋や券種を識別できることで、金券識別装置1は、自動販売機や自動貸出機での処理を実行させることができる。
搬送駆動手段9は、挿入路31に挿入された金券を保管部6に向けて搬送する。なお、識別部4で真券と識別された金券については、搬送駆動手段9は保管部6に搬送し、識別部4で偽造金券と識別された金券については、搬送駆動手段9は、必要に応じて挿入口3から排出されるように金券を搬送する。搬送駆動手段9は、金券に直接接触して搬送させるローラーやこれを回転させるモーターなどを備える。また、これらの機械部品の動作に必要となる電気信号を処理する電子部品も備える。電子部品等は、機械部品の動作を制御する制御回路となる。
搬送駆動手段9は、真券と識別された金券を、最終的に挿入路31の後方に位置する保管部6に搬送する。
保管部6は、搬送駆動手段9で搬送された金券を一時的に保管する。金券識別装置1は、自動販売機や自動貸出機で必要となる金券が挿入された後で、所定の回収まで金券を保管しておく必要がある。保管部6は、回収までの一時的な期間において、金券を保管する。金券が紙幣である場合には、保管部6は、所定枚数の紙幣を保管できる。
図1、図2には、保管部6に保管されている金券20が示されている。保管部6は、このように所定枚数を限度として金券20を保管できる。このとき、図1に示されるように挿入路31と保管部6は、挿入口3を基点として略平行な同一平面上に配置される。これにより、挿入口3から挿入されて挿入路31を通って保管部6に保管される金券20の移動動線には無駄がない。言い換えれば、移動動線は、挿入口3から筐体2の奥行き方向に沿ったものとなる。この結果、金券識別装置1は、上述の通り縦型であって幅を薄くできる。なお、ここでいう同一平面や同一直線とは、これらの要素が、筐体2内部で大体において重なる平面や直線上に位置することを意味する。すなわち、金券識別装置1全体が薄型・小型化されることが実現される意味であって、厳密に同じ直線や平面上に位置することを要求するものではない。
保管部6は、図2の右側に示されるように、金券20の回収を必要とする場合には、排出駆動手段8の駆動によって、排出口7から排出される。なお、保管部6は、排出口7から全て排出されず、その一部のみが排出される。また、後述するが、保管部6は、排出駆動手段8の備える弾性体による圧力付与のみで、排出口7から排出される。
排出方向への移動においては、専用モーターを必要とせず、弾性体によって、移動して、排出口7から排出される。このため、実施の形態1の金券識別装置1は、保管部6の排出のためだけの専用モーターを必要とせず、全体の小型化・薄型化および低コスト化を実現できる。
また、図2の右側のように、保管部6は、その一部のみが排出口7から排出される。しかしながら、一部のみが排出される場合でも、図2の右側に示されるように、保管部6に保管されている金券20の一部が露出する。この露出によって、管理者は、保管部6に保管されている金券20を回収できる。さらに、排出された保管部6の前方が折り曲げられることによって、保管部6の中に保管されている金券を、管理者は回収しやすくなる。
また、排出口7から排出される保管部6が上述のように同一平面上に配置されていることで、金券20の排出が金券20の挿入方向と平行の直線上で行われる。このとき、挿入口3は、遊戯者200に近い側であり、排出口7は遊戯者200から遠い側であるので、管理も使用も容易である。
このように金券識別装置1は、自動貸出機などに組み込まれて設置され、金券20が投入されると、その金券20の額に対応してパチンコ玉やゲーム用コインが貸し出される。
次に、各部の詳細について説明する。
(挿入口および挿入路)
挿入口3は、上述の通り、金券20の挿入を受け付けると共に遊戯者200に近い側に設けられる。挿入口3は、金券20の大きさに合わせた形状と大きさを有したスリット状であることが適当である。挿入口3は、実際に挿入された金券20が一定量挿入される挿入路31に繋がっている。
このため、挿入口3は、遊戯者200が金券20を挿入されてから挿入路31にスムーズに入れる奥行きに繋がることが好ましい。挿入口3から挿入された金券20は、遊戯者200の手作業による送り込みによって挿入路31の一部に到達できることが好ましいからである。挿入路31の後半においては、遊戯者200の手作業ではなく、搬送駆動手段9によって金券20は搬送される。
挿入路31は、挿入口3に続いて設けられる部分であるので、挿入口3から保管部6にかけてまっすぐに延びていてもよい。このような構造であれば、挿入された金券20は、スムーズかつ容易に保管部6にまで搬送される。
一方、挿入路31は、図4に示されるように、挿入口3を基準としてテーパー部、屈曲部および湾曲部の少なくとも一部を有していてもよい。図4は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の側面図である。図4は、金券識別装置1の側面の断面図を示している。
挿入路31は、挿入口3を基準として、湾曲している。すなわち、湾曲部31を有している。このように挿入路31が、テーパー部、屈曲部および湾曲部31の少なくとも一部を有することで、挿入口3からその奥にある金券20の保管部6を、遊戯者200が見ることが難しくなる。
挿入口3から覗き込んで保管部6にある金券20を遊戯者200が見ることができる場合には、遊戯者200が保管部6の金券20を盗み出すような誘惑に駆られることがある。あるいは、悪質な遊戯者200が挿入口3を通じて、保管部6に保管されている金券20を盗み出すこともありえる。
このような盗難や盗難への誘惑を防止するために、挿入路31が、湾曲しているなどで挿入口3から保管部6に保管されている金券20を覗き込まれないようにすることは、好適である。もちろん、湾曲部31だけでなく、テーパー部や屈曲部と混在して設けられても良い。
また、挿入路31がこのようにテーパー部、屈曲部および湾曲部の少なくとも一部を有することで、挿入口3と排出口7との間隔は狭いままでも、内部における挿入路31と保管部6との筐体2における幅方向での間隔をあけることができる。この結果、筐体2の幅方向が薄くせざるを得なくても、保管部6の幅を確保でき、保管部6が保管できる金券20の枚数を確保できる。
この点で、挿入路31が有するテーパー部、屈曲部および湾曲部の少なくとも一つは、挿入口3から保管部6に向かう。この方向性を有することで、保管部6の幅を確保しつつ、盗難防止などを実現できる。
(識別部)
挿入路31の途中において識別部4が設けられる。識別部4は、複数の発光部およびこの発光部に対応する複数の受光部を備える。図5は、本発明の実施の形態1における識別部周辺の拡大図である。
識別部4は、複数の発光部と複数の受光部とを有する。この複数の発光部41および複数の受光部は、発光部からの光とこれの受けによって、金券20に対しての反射光や透過光を確認できる。この反射光や透過光を用いて識別部4は、挿入路31に挿入された金券20の真贋と券種を識別する。
複数の発光部および受光部の少なくとも一部は、挿入検知センサー(図5には図示せず)を構成する。あるいは、複数の発光部および受光部の少なくとも一部が、識別用センサー42を構成する。挿入検知センサーは、金券20が挿入されたことを検知する。挿入検知センサーは、発光部と受光部との光のやり取りにおいて、波長や光度の変化を検出することで、挿入路31に金券20が挿入されたことを把握できる。
また、識別用センサー42は、発光部から金券20を透過した透過光を利用したり、発光部から金券20を反射した反射光を利用したりして、挿入された金券20の真贋や券種を識別する。このとき、透過光や反射光の光量、波長、周波数などの変化を利用して、識別処理を実行する。反射光や透過光の光量、波長などの変化に基づく識別においては、予め金券20の種類によって想定される変化を閾値や参考値として記憶しておくことで、識別部4の識別用センサー42は、金券20の真贋や種類を識別する。
例えば参考値と比較することで、金券20の種類(1000円札、2,000円札、5,000円札、10,000円札)のいずれかを識別できる。あるいはこれらのいずれにも該当しない光量や波長を検出する場合には、識別用センサー42は、挿入口3から挿入された金券20を、偽造であると識別する。
金券20は、紙の種類、印刷の凸凹、印刷インクの種類などを様々に工夫してあり、反射光や透過光において、特定の光量や波長を示すことが想定されている。本来のあるべき光量や波長のいずれにも合致しないということは、偽造と考えられるからである。
識別部4が挿入された金券20が偽造であると判断する場合には、識別部4は、その識別結果を制御手段10もしくは搬送駆動手段9に通知する。通知を受けた搬送駆動手段9は、逆方向の駆動力を生じさせて、挿入された金券20を、挿入口3から排出する。こうして、偽造金券が保管部6に保管されてしまうことおよび偽装金券によりパチンコ玉やゲーム用コインが貸し出されてしまうことが防止される。
なお、識別部4は、発光部と受光部とによる光の種々のパラメータを用いて、金券20の挿入や真贋の識別を行うことを説明したが、光のパラメータ以外のパラメータを用いて挿入の有無や真贋を識別しても良い。例えば、識別部4は、磁気を用いて、金券の挿入、真贋、種類を識別しても良い。
識別部4は、このように挿入口3から挿入された金券20の真贋と券種を識別し、偽造である場合には、排出するなどして盗難や犯罪を未然防止できる。
(搬送処理)
搬送駆動手段9は、挿入路31に挿入された金券20を保管部6に向けて搬送する。なお、上述の通り、金券20が偽造であると判断される場合には、挿入口3の方向に搬送する。
搬送駆動手段9は、識別部4、搬送駆動手段9および排出駆動手段8の少なくとも一つを制御する制御手段10によって制御される。制御手段10は、電気信号を処理する電気部と機械動作を処理する機械部を有する。
搬送駆動手段9および排出駆動手段8の少なくとも一方は、モーターを有する。ここで、搬送駆動手段9は、図6に示されるように、モーター92を備えている。モーター91は、保管部6に到達した金券を押さえつけるための駆動部であると共に、保管部6の排出の停止・解除を行うストッパー800を駆動する駆動部である。モーター91は、ストーパー駆動部801を駆動できる。図6は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の内部詳細図である。
搬送駆動手段9は、モーター92を用いて、これに連結する駆動機構を用いて、挿入路31における金券20を保管部6に向けて搬送する。
このとき、搬送駆動手段9は、挿入路31に挿入された金券20に直接接触してこれを所定方向に送るために回転可能なローラーを更に備えていることも好適である。モーター92が、このローラーを回転させることで、搬送駆動手段9は、金券20を保管部6の方向もしくは挿入口3の方向に搬送できる。
なお、図6では搬送駆動手段9を筐体2の上部方向に位置するものとして符号を付与している。しかし、搬送駆動手段9は、単一の部品や機構だけで構成されるものではなく、機械部品や電気部品などの様々な部品や機構の組み合わせを有する。このため、搬送駆動手段9は、図6の符号を付与された位置だけで実現されるものではない。筐体2内部の様々な場所に配置される複数の部品や機構の組み合わせが、搬送駆動手段9として把握される。要は、搬送駆動手段9は、挿入路31に挿入された金券20を、所定方向に搬送するのに必要な作業を実行する要素である。
(保管部)
保管部6は、搬送駆動手段9によって搬送された金券20を保管する。保管部6は、図1より明らかなように、筐体2内部に設けられる空間であり、排出口7から排出可能な独立したユニットである。また保管部6は、金券20の縦横にあわせたサイズを有している(もちろん、金券20が紙幣であればこれに合わせたサイズを有していればよいし、プリペイドカードであればこれにあわせたサイズを有していればよい)。
また、保管部6は、所定枚数の金券20を保管できる厚みを有している。このとき、保管部6は、金券識別装置1が遊戯用機械100同士の間の隙間に縦型に設置されることから、筐体2内部で縦方向に金券20を保管できる構造を有している。
図2からも明らかな通り、保管部6が排出口3から排出される場合には、その縦方向に沿って金券20が保管されている。このように、金券20を筐体2の縦方向に沿って保管できることで、保管部6が筐体2の幅方向を拡げることがなく、筐体2の薄型を実現できる。
また、保管部6は、筐体2内部の上下において上方余地21と下方余地22とを生じさせる位置に設けられることが好ましい。図7は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の内部詳細図である。図7は、図6と同じように内部が可視できる状態で示している。
保管部6は、筐体2内部の上下方向におけるおおまかな中央付近に設けられる。加えて、保管部6は、横長の金券20に合わせて、筐体2の奥行きを利用して金券20の横長に対応している。このように筐体2内部で保管部6が配置されることで、筐体2の上方に上方余地21と、筐体2の下方に下方余地22とを形成できる。
このように、実施の形態1における金券識別装置1は、縦型に設置されることを前提として、上方余地21と下方余地22とを形成できるように保管部6が配置される。このような配置をされることで、上方余地21と下方余地22に、様々な要素を分配できる。この結果、諸般の問題を生じさせずに、機械部品や電子部品を最適にレイアウトできる。
例えば、機械部品を主とする機械部は上方余地21に配置され、電子部品を主とする電気部は下方余地22に配置される。保管部6が、筐体2の上下方向の略中央付近に配置されることで生じる上方余地21と下方余地22とに、機械部および電気部のそれぞれを分割してレイアウトすることで、レイアウト自由度が高まる。レイアウト自由度が高まれば、より小型化・薄型化が求められる筐体2において、小型化等を実現しやすくなる。
また、レイアウトの自由度が高いことで、より小型化等を実現できる。
加えて、機械部と電気部とが、上方余地と下方余地とに分割されることで、相互に生じうるノイズを、相手方に影響を及ぼすことがなくなるメリットもある。
また、保管部6は、挿入口3および排出口7とに繋がる。このため、保管部6が筐体2の上下方向における中央付近に配置されることで、挿入口3や排出口7が、筐体2の上下方向の中央付近に配置されることになり、遊戯者200や管理者の使い勝手がよくなる。
また、保管部6は、保管部6に搬送されて到達した金券20を、収納しやすいように保管部6に押し当てる押し当て部を有することもよい。押し当て部によって金券20が保管部6に押し当てられることで、保管部6での収容枚数が向上できる。
押し当て部は、弾性力を有しており、弾性力を用いて金券20の一方の面に圧力を付与する。例えば、伸縮性のあるフレームと弾性体との組み合わせから押し当て部が構成されており、弾性体による弾性力によって、フレームが伸縮する。このフレームの伸縮によって、保管部6に到達する金券20をある方向に押し当てる。フレームは伸縮性があるので、保管部6に保管される金券20の枚数の変化に応じることが可能である。
あるいは、押し当て部は、金券20に圧力を付与する押し当て板と、この押し当て板の圧力を生じさせる弾性機構とを有することでもよい。押し当て板は、フレームと同様に、弾性機構の圧力と押し当て対象となる金券20の厚みに応じて、伸縮できる。押し当て板が、金券20に接触しながら圧力を付与できることで、保管部6に到達する金券20を次々と押し当てる。こうして、保管部6は、次々と挿入路31を介して挿入される金券20を、収納密度を高めつつ、保管できる。
なお、この押し当て部は、モーター91によって動作すればよい。モーター91は、この押し当て部の動作およびストッパー駆動部の動作を、単一のモーターで実現できる。
(制御手段)
制御手段10は、識別部4、搬送駆動手段9及び排出駆動手段8の少なくとも一つを制御する。ここで、制御手段10は、電子部品を主とする電気部110と、機械部品を主とする機械部111とを有する。このため、制御手段10は、筐体2内部の様々な場所に配置される複数の要素によって構成される。
筐体2内部において、筐体2の上下方向の略中央に保管部6が配置される。保管部6が略中央に配置されることで、筐体2の上部に上方余地21が生じ、下部に下方余地22が生じる。すなわち、筐体2内部は、上下方向に3分割された領域を有することになる。
保管部6は、その前方(遊戯者側)で、挿入口3と排出口7と繋がっている。保管部6が、筐体2の上下方向の略中央に配置されることで、この挿入口3および排出口7も、筐体2の前方の略中央に位置できる。この結果、遊戯者にとって、金券識別装置1の使い勝手が良くなる。このように、保管部6が、筐体2の上下方向の略中央に配置されることで、遊戯者にとってのユーザーフレンドリーが高まる。
加えて、上述の通り、保管部6によって筐体2が上下方向に3分割されるので、上方余地21と下方余地22とが生じる。これら上方余地21と下方余地22は、筐体2内部に必要となる電子部品や機械部品のレイアウト自由度を与えることができる。
制御手段10は、電気部110と機械部111とを有しているが、電気部110および機械部111のそれぞれは、上方余地21および下方余地22のいずれかに配置される。図7では、上方余地21に機械部111が配置されている。このため、機械部111の中核要素であるモーター91、92は、上方余地21にレイアウトされている。
一方、図7では、下方余地22に電気部110が配置されている。このため、電子部品や半導体素子などを実装する電子基板も、下方余地22にレイアウトされる。電子基板は、一定の大きさを必要とするので、下方余地22を有効活用して電子基板が実装できることは、レイアウト自由度で非常に好適である。
このように、電気部110と機械部111のそれぞれが、下方余地22と上方余地21に分割されてレイアウトされることで、レイアウト自由度が高まるだけでなく、レイアウト自由度が高い結果、高密度実装が可能となる。高密度実装が可能となれば、筐体2の小型化・薄型化が実現できる。
また、レイアウト自由度が高いことで、製造ラインでの負担が下がり、製造コストの低下にも寄与できる。もちろん、レイアウト自由度が高く、無理のないレイアウトができることは、金券識別装置1の使用における耐久性も高めるメリットがある。
図7では、電気部110が下方余地22に配置され、機械部111が上方余地21に配置されているが、逆の配置でも良い。このように、上方余地21と下方余地22とに、電気部110と機械部111とが分割されて配置されることで、相互に与えうる影響を防止しやすくなる。
例えば、機械部111は、モーター91、92を備えている。モーター91、92は、その回転動作や磁場によってノイズを生じさせうる可能性がある。また、モーター91、92は、他の電子部品に比較して高い電圧を必要とする。このため、モーター91、92を始めとした機械部111は、ノイズを発生させやすい。
一方で、電子基板を中心とする電気部110は、低い電圧で動作するので、ノイズの影響を非常に受けやすい。このような状況であっても、電気部110と機械部111が、下方余地22と上方余地21に分割されているので、このノイズの影響を最小限に抑えることができる。
とくに、モーター91.92は、モーターだけでなく、これに関る駆動部材や連結部材、あるいは電力供給路などが、ノイズを発生させる可能性がある。図6、図7に示されるように、実施の形態1における金券識別装置1は、略中央の保管部6によって、上方余地21と下方余地22とに分割された上で、電気部110と機械部111が配置される。このことにより、モーター91、92を始めとした周辺要素(連結部材や電力供給路)からのノイズが、電気部110に影響を及ぼしにくい。
当然ながら、逆も然りである。すなわち、電気部110で生じうるノイズが、機械部111に影響を及ぼしにくいメリットもある。
なお、機械部111が上方余地21に配置されるか下方余地22に配置されるかについては、機械部111の動作速度、動作電圧及び動作方向の少なくとも一つを基準として分割されればよい。このような基準によって分割される(部品等が分配される)ことで、ノイズの発生やノイズの影響を低減できる。こうして電気部110への影響を抑えやすくなる(機械部が単一である場合に比べて)。
また、電気部110は、筐体2外部との電気信号を接続するコネクタ112を有している。図8は、このコネクタ112を示している。図8は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の斜視図である。電気部110は、コネクタ112を有しており、筐体2の側面から、このコネクタ112が露出している。
もちろん、筐体2の側面ではなく底面からコネクタ112が露出しても良い。コネクタ112は、後述するように外部の電気配線や電子基板と電気信号をやり取りする接点である。金券識別装置1は、遊戯用機械100同士の隙間に設置される。このとき、遊戯用機械100の裏や下方においては、金券識別装置1と電気信号をやり取りする様々な電気配線や電子基板を備えている。
金券識別装置1は、これらの遊戯用機械100の裏や下方にある電気配線や電子基板と電気信号をやり取りする必要がある。コネクタ112が、筐体2の側面もしくは底面から露出していることで、この電気信号のやり取りのための電気的接続が容易となる。電気配線などが、このコネクタ112に接続されれば良いからである。もちろん、メンテナンスも容易になるメリットがある。
このように、筐体2内部で、電気部110と機械部111とが適切に分割されることで、ノイズなどの影響を低減しつつ、外部との電気信号のやり取りを実現し、さらには筐体2に要求される薄型や縦型を実現できる。加えて、遊戯者200や管理者にとって使い勝手の良い外部構成(挿入口3や排出口7の位置)を実現できる。
(排出処理)
排出駆動手段8は、保管部6を外部に排出する。
図9は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の斜視図である。金券識別装置1は、図1などを用いて説明した通り、排出駆動手段8を内蔵している。
排出駆動手段8は、保管部6を、排出口7から外部に排出させる。図9は、排出駆動手段8によって、保管部6が、排出口7から外部に排出された状態を示している。保管部6の一部が、排出口7より筐体2の外部に飛び出している。保管部6は、金券20を保管しており、この金券20の一部も筐体2の外部に飛び出している。
管理者は、この飛び出している部分から、手作業で金券20を取り出す。これにより、管理者は、保管部6に保管されている金券20を回収できる。
図10は、本発明の実施の形態1における金券識別装置の斜視図である。図10は、図9の状態となった金券識別装置1を、逆方向から見た状態を示している。このため、保管部6が排出口7から排出されて、金券20が露出している状態が、図10には示されている。
また、保管部6は、保管部蓋61を有している。保管部6が排出口7から排出されると、この保管部蓋61が折れ曲がる。この折れ曲がりによって、金券20が取り出しやすくなる。特に、保管部6は、排出口7から全体が排出されるのではなく、一部のみが排出される。この一部のみの排出によって、排出口7から保管部6が取り外されて紛失したり盗難されたりすることが防止される。一方で、一部のみの排出なので、金券20の回収作業に手間が掛かる。
これに対応するために、保管部蓋61が折れ曲がる。図10は、保管部蓋61が折れ曲がった状態を示している。このように折れ曲がれば、金券20の露出部分は広がり、手作業での回収が容易となる。
このように、金券識別装置1は、保管部6の排出とこれによる金券20の回収を金券識別装置1単体で行うことができる。
以上、実施の形態1における金券識別装置1は、遊戯用機械100同士の隙間に設置できる大きさに合わせて要素を含むことができ、ノイズなどの影響も防止できる。加えて、挿入口3と排出口7の位置関係の特定により、遊戯者200および管理者にとっての使い勝手を高めることもできる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
実施の形態2では、各要素やその他の種々の追加的な工夫について説明する。
(排出駆動手段)
図11は、本発明の実施の形態2における金券識別装置の内部図である。排出駆動手段8は、下方余地22と上方余地21とに必要な要素を振り分けて配置している。排出駆動手段8は、保管部6を排出口から排出する方向に圧力を付与する圧力付与部81、保管部6の排出の停止及び解除を制御するストッパー800と、ストッパーを駆動するストッパー駆動部801を備える。ストッパー駆動部801は、モーター91によって駆動される。
ここで、圧力付与部81は、下方余地22に配置され、残りの要素であるストッパー800とストッパー駆動部801は、上方余地21に配置される。金券識別装置1は、縦型に設置される。このため、保管部6は下方に重力によって下がりやすい。言い換えれば、保管部6は、下方に重力による圧力をかける。特に、保管部6が、金券を収容している場合にはこうなる。
圧力付与部81は、保管部6を排出口7から排出する圧力を付与するので、下方余地22に圧力付与部81が配置されることで、保管部6を排出しやすくなる。一方で、ストッパー800は、保管部6に対して突出している場合には、圧力付与部81の圧力に関らず、保管部6の排出を停止できる。一方、ストッパー800が保管部6に対する突出を解消すると、圧力付与部81の圧力によって、保管部6が排出される(排出が解除される)。
このような理由で、ストッパー800は、保管部6に圧力付与部81による排出圧力が付与されている状態で、保管部6の排出を停止したり許可したりできるので、圧力付与部81と逆側である上方余地21に設置されることが適当である。
すなわち、排出圧力を付与する圧力付与部81とこれを停止させる機構(ストッパー800)が、上下に分割されることで、排出と停止とが確実になる。
圧力付与部81は、弾性体81Aを備える。図11では、弾性体81Aの例としてばねが示されている。このばねなどによる弾性体81Aは、保管部6に対して、常に排出口7から排出される排出方向に、圧力を付与する。すなわち、金券識別装置1では、保管部6を排出口7から排出するに当たって、専用のモーターなどによる駆動を必要とせず、この弾性体81Aによる排出圧力を活用する。
ストッパー800は、上方余地21から保管部6に対して貫通する貫通孔を上下できる。すなわち、ストッパー800は、貫通孔に差し込まれている状態であれば、保管部6に引っ掛かりを生じさせる。この引っ掛かりにより、弾性体81Aからの排出圧力が常に付与されていても、保管部6は、排出されず筐体2内部で停止したままである。
一方、ストッパー駆動部801は、このストッパー800を上下させることができる。例えば、金券識別装置1に設けられる排出スイッチなどが起動されると、ストッパー駆動部801は、上昇して、貫通孔から上に戻る。この結果、ストッパー800が貫通孔から抜け出た状態となり、ストッパー800は、保管部6に引っ掛かりを与えない状態となる。
この引っ掛かりがなくなった状態となると、保管部6には、弾性体81Aによる排出圧力が常に付与されているので、保管部6は、排出口7から排出される。
このように、保管部6には、圧力付与部81の備える弾性体81Aによる排出圧力が常に付与されている(なお、常にとは、厳密に常にということを意味するのではない。例えば、故障あるいは何らかの理由や改造などで、圧力を付与しない期間が生じることを除外する意図ではない)。
ストッパー800がストッパー駆動部801によって上下して、保管部6に引っ掛かりを付与したり、保管部6を開放したりできる。このストッパー800の動作によって、圧力付与部81からの圧力が開放されれば、保管部6は、排出口7から排出される。あるいは、圧力付与部81からの圧力がストッパー800で停止されていれば、保管部6は、排出口7から排出されない。
このように、圧力付与部81の排出圧力の停止と解除によって、保管部6は、専用のモーターなどによる駆動を必要とせずに、筐体2から外部に排出される。この結果、筐体2の小型化・薄型化が図られる。もちろん、低コスト化も図られる。また、機械部111が配置される上方余地21のレイアウト余地も高まり、レイアウト自由度が高くなる。この結果、設計や製造の容易性が高まるメリットも生じる。
パチンコ機やスロットマシン機を大量に備える遊戯場では、多数の金券識別装置1を必要とする。このため、金券識別装置1の製造コストが低いことは非常に好適である。
(圧力付与部の詳細動作)
図12、図13を用いて、排出駆動手段8による保管部6の排出の際の、弾性体の動作詳細を説明する。図12、図13は、実施の形態2における圧力付与部の内部図である。図12、図13は、排出駆動手段8の一部であって、下方余地22に配置される圧力付与部81の内部の詳細構成を示している。
排出駆動手段8は、図11を説明したように圧力付与部81を備え、この圧力付与部81が常に圧力を付与していることで、モーターなどを使わずに保管部6を排出口7から排出できる。ここで、圧力付与部81は、図12に示されるように弾性体81Aを備えている。
この弾性体81Aを固定すると共に所定長さを有する固定部材85が更に備わっている。この固定部材85は、固定部材85の支点を固定する支点固定部86と、支点固定部86を基準として移動可能な力点となる動作部87と、弾性体81Aの一端である係止端81Bを係止すると共に、係止端を移動可能な移動範囲を有する移動部88と、を有する。
移動部88は、支点固定部86と動作部87との間に移動範囲を有している。係止端81Bは、この移動範囲を移動可能である。係止端81Bのこの移動範囲での移動によって、移動部88と係止端81Bとの位置関係が変化する。この位置関係の変化に基づいて、動作部87の位置が変化する。動作部87は、動作軸89に沿って固定されており、動作部87は、この動作軸89に沿って移動可能であり、この移動によって動作部87の位置が変化する。
図12は、保管部6が収納位置に収納されている状態を示している。保管部6は、手動あるいは自動で排出口7から押し込まれる。押し込まれることにより、動作軸89に沿って動作部87が奥(図12では右側)に移動する。動作部87が奥に移動することで、固定部材85は、奥側の動作部87とこれより前側の視点固定部86との関係となる。この結果、係止端81Bは、移動部88において下側に移動する。
係止端81Bは、弾性体81Aによる排出圧力付与を行う構造における力点となる。支点固定部86は、支点となる。動作部87は、作用点となる。固定部材85は、弾性体81Aと接続されることで、このような力点、支点、作用点となる部位を生じさせることができる。
図12に示されるように、保管部6が収納位置に収納されている場合には、作用点である動作部87と力点である係止端81Bとの距離が大きくなる。この距離が大きいことで、弾性体81Aが、保管部6に付与する排出圧力が弱まる。もちろん、排出圧力を付与したままであるが、排出圧力が弱まることで、保管部6やストッパー800への過剰な負担をかけずに済む。
これに対して、排出を指示する操作が行なわれると、ストッパー駆動部801がストッパー800を保管部6から抜く。この結果、ストッパー800が保管部6を停止させた状態から開放状態に変化させる。
この状態となると、図11を用いて説明した通り、圧力付与部81による圧力によって、保管部6が排出口7から排出される。このとき、圧力付与部81の状態は、図12から図13の状態に変化する。
すなわち、係止端81Bが移動部88の移動範囲を支点固定部86から動作部87に向けて移動する。この移動によって、動作部87は、動作軸89を前側に移動する。この結果、動作部87は、支点固定部86よりも前側に位置するようになる。
このような位置関係となって、動作部87と係止端81Bとの距離が小さくなり、動作部87の荷重が大きくなる。荷重が大きくなることで、弾性体81Aは、十分な弾性力を、保管部6に対して付与できる。すなわち、作用点と力点の距離が小さくなる。この作用点と力点の距離が小さくなることで、弾性体81Aが付与する排出圧力がより大きくなる(図12の場合に比べて)。
保管部6は、既に排出口7から筐体2の外に排出されている。この状態で、弾性体81Aは、より強い排出圧力を保管部6に付与できる。しかも、この強い排出圧力は、弾性体81Aそのものに負担が生じているのではなく、固定部材85での作用点と力点の距離が小さくなることによる。このため、弾性体81Aへの負担をかけることなく、保管部6へ強い排出圧力を付与した状態を維持できる。
この維持によって、排出口7から排出された保管部6の排出状態を確実に維持できる。
(保管部の形状)
図14は、本発明の実施の形態2における保管部の斜視図である。保管部6は、金券20を所定枚数保管すると共に、回収時には、筐体2の前方である排出口7から排出される。ここで、金券識別装置1は、パチンコ機やスロットマシン機など、多数の遊戯用機械100同士の隙間に縦型に設置される。また、保管部6に保管されている金券20の回収に当たっては、筐体2のままで遊戯用機械100同士の隙間から取り出すのではなく、遊戯用機械100の隙間に設置された状態を維持して回収できることが好ましい。
これらを両立させるために、本発明の金券識別装置1は、筐体2の前方に設けられた排出口7から保管部6が直接的に排出される構成を有している。
ここで、遊戯用機械100同士の隙間は非常に狭い。このため、筐体2の前方の幅も制限がある。筐体2の前方は、排出口7に加えて挿入口3も設けられる。また、挿入口3のあとには挿入路31も設けられる必要がある。このため、排出口7の幅には自ずと制限が生じる。
一方で、保管部6は、この排出口7から排出される必要があるので、保管部6の幅は、排出口7の幅によって制限されてしまう。しかしながら、保管部6の幅が排出口7の幅で完全に制限されてしまうと、保管部6での金券20の保管枚数が少なくなりすぎてしまう。
図14に示されている保管部6は、このような問題を解決するものである。
保管部6は、金券20を保管する際に金券20を受ける載置面64を有する。また、保管部6は、底面64Xも有している。載置面64は、この底面64Xに略平行に設けられる。底面64Xが保管部6の底面となって外形を形成するのに対して、載置面64は、挿入路31を通じて搬送された金券を保管する際に、この金券を支持する面となる。このため、金券の保管量の変化に伴って、載置面64は、底面64Xに対して略平行に近づいたり遠ざかったりして、可動する。この可動によって、金券を保管できる。
保管部6は、底面64Xの側面に沿って立設しており、保管される金券20の側面を支持する一対の側面支持部材65を備える。更に排出口7側には、蓋68を備える。このような載置面64、側面支持部材65および蓋68によって、金券20の保管を可能とする立体空間を形成できる。
一対の側面支持部材65は、底面64Xの両側において立設している。ここで、一対の側面支持部材65の排出口側での前方部材65Bの高さは、側面支持部材65の逆側(奥側)の後方部材65Aの高さよりも低い。図14では、前方部材65Bの高さが、後方部材65Aの高さより低い状態が示されている。
保管部6は、排出口7から排出されるが、その全てが排出されるものではない。図9、図10を用いて説明した通り、保管部6の盗難を防止する観点から保管部6の一部のみが排出口7から排出される。
ここで、側面支持部材65の高さは、排出口7から排出が可能となるかを決定できる。側面支持部材65の高さが高ければ、排出口7から保管部6が排出されない。このため、側面支持部材65の高さは、排出口7の幅より低いことが適当である。しかしながら、筐体2は薄型化が要求され、排出口7の幅は狭くなりがちである。この幅に合わせて側面支持部材65の高さを決めてしまうと、保管部6での保管できる金券20の枚数が減ってしまう。
これに対して、前方部材65Bの高さのみを低くすることで、金券20を保管する際に金券20の側面を支持する後方部材65Aの高さは十分となる。この結果、排出口7の幅に限定されずに一定量の金券20を、保管部6は、保管できる。
一方で、前方部材65Bは低くなっているので、保管部6が排出口7から排出される場合の邪魔とならない。特に、前方部材65Bの高さが、排出口7の幅より狭ければ、排出口7より、保管部6は排出される。このとき、前方部材65Bの長さ分において、保管部6は、排出口7より排出される。すなわち、前方部材65Bの長さは、排出口7から排出されるべき保管部6の長さによって定められる。
このように、保管部6の側面支持部材65の排出口側の前方部材65Bの高さが、後方部材65Aよりも低い(と同時に、排出口7の幅より低い)ことで、保管部6の保管枚数を下げずに、保管部6の排出口7からの排出を可能とできる。
また、前方部材65Bの部分に、可動板67が設けられることも好適である。
この可動板67は、保管部6が収納されている場合には図14に示されるように飛び出している。このように飛び出すことで、側面支持部材65は、保管部6の側面全体に渡って、金券20の側面を支持することができる。当然に、保管部6における金券20の収納不具合がなくなり、保管部6に起因する問題は減少する。
一方、排出時には、この可動板67は、前方部材65B内部に収容される。結果として、前方部材65Bの高さだけが残る。こうして、保管部6の前方部分が、排出口7から排出される。可動板67の動作は、排出駆動手段8に連動していればよい。
以上のように、保管部6の側面支持部材65の高さの工夫によって、保管部6の排出と保管量とのバランスが図られる。
なお、実施の形態1、2で説明した金券識別装置1は、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲を排除するものではない。